決算説明会 Agenda
賀来聡介氏(以下、賀来):KeePer技研株式会社、代表取締役社長の賀来です。2024年6月期第2四半期の決算説明会を始めます。
本日の内容です。業績、製品等関連事業の状況は私から、車以外の製品とLABO運営事業については谷からご説明します。
2024年6月期 業績ハイライト
業績ハイライトです。売上高は、会社計画比で101.1パーセントと上振れとなりました。しかし、営業利益は会社計画比で97.7パーセントと若干欠けてしまう結果となりました。
この原因をよりわかりやすくするため、7月から9月と10月から12月のP/Lを抜き出しています。ご覧のとおり、表の黄色の部分のLABO運営事業の第1四半期が大きな要因です。前年比マイナス20.7パーセントと、かなり大きなマイナスとなりました。
後ほどLABO運営事業の部分で詳しくご説明しますが、ビッグモーター社の風評被害により、8月と9月に直営事業のコーティング台数が大幅に減少しました。9月に入って対策を実施し、10月からはかなり持ち直しています。
第2四半期のみで見ますと、社内計画比で売上高・利益ともに予定どおり100パーセントという結果になっています。ただし、やはり上期全体で見ると、第2四半期だけでは補えなかったことが上期の結果につながったと思っています。
計画比増減益分析
営業利益が会社計画比で若干足りなかったもう1つの要因として、当初の予定よりも広告宣伝費を使ってしまったことが挙げられます。先ほどお話しした風評被害対策として、緊急で「キーパーLABO」の直営事業のユーザーへダイレクトメールを送ったことが一番大きいです。
また、10月末から11月に開催された「Japan Mobility Show 2023」に初めて出展しました。ブランディングとしては非常に効果的でしたが、初出展のため、計画していた数字よりも使ってしまったところがあります。
ただし、この2点は第3四半期以降には発生しないため、今後は予定どおりに進むのではないかと考えています。そのような理由から、上期の営業利益が会社計画比で若干足りない結果となりました。
キーパー製品等関連事業
製品等関連事業です。スライドに分野別売上の表を示しています。製品等関連事業全体は、前年比プラス29.9パーセントと非常に好調です。
この数年、「フレッシュキーパー」「エコダイヤキーパー」「EXキーパー」といった新製品を発売するとともに、テレビCMや「YouTube」を使ったマーケティングが非常に上手くいっていることが結果につながっています。
キーパー製品等関連事業 「アフターマーケット」
「アフターマーケット」です。スライドの棒グラフは「フレッシュキーパー」の施工台数を表しています。ご覧のとおり、右肩上がりに勢いよく上がっていることがおわかりいただけるのではないかと思います。
主にガソリンスタンドを中心とした「キーパーPRO SHOP」で非常に好評です。さらに価格帯も2万円から3万円であることから、非常に売れています。CMでも「フレッシュキーパー」をメインで宣伝しているため、その効果もかなり大きいです。
そして、手前味噌ですが「フレッシュキーパー」の品質は非常に良く、PRO SHOPの技術者たちからも「これは本当にいいな」と評判です。「これだったらお客さまが喜んでくれる」と技術者が自信を持っておすすめできていることも、この結果につながっているのではないかと思っています。
キーパー製品等関連事業 「新車マーケット」
新車マーケットです。こちらでは、メーカーから純正採用をもらっている4社を挙げています。新車マーケットは前年比200パーセントの進捗ですが、まだまだ上がっていくという手応えを非常に強く感じています。
SUBARUでの新車販売のうち、キーパーコーティングの付帯率は25パーセントから30パーセントで推移しており、ここからはそれほど上がっていきません。
トヨタ自動車も相当伸びてきていますが、まだまだ数パーセントです。ただし、今年からまた違う動きが出てきており、トヨタ自動車でも広がっていきそうだという十分な手応えがあります。
ホンダは「10パーセントに届かない程度」とスライドに記載していますが、足元ではすでに10パーセントを超えており、まだまだ拡大する見通しです。
10月より立ち上がった三菱自動車も好調です。10パーセントほどの付帯で進んでいます。
4社ともSUBARUの25パーセントほどの付帯率になるように活動しており、間違いなく達成するという手応えを感じています。スライド下段に他のメーカー名も並べています。引き続きアプローチが進んでおり、年内中には何かしら発表できるのではないかと思っています。
キーパー製品等関連事業 「キーパーLABOとの繋がり」
トヨタ自動車も含め、新車マーケット全体が伸びるだろうという手応えを強く感じている一例として、昨年5月にオープンした「KeePer LABO有明店」の事例があります。東京都江東区にあるトヨタディーラーの敷地内にあり、直営店として非常にうまくいっています。
3ストール、つまり3台分の施工スペースしかありませんが、それでも十分な実績が出ています。この出店に関して、トヨタの新車ディーラーからは「KeePerさん、二重丸です」「非常に良いです」というお声をいただいています。
新車販売時にその場でキーパーコーティングができることもありますが、もう1つ理由があります。今までは新車販売時にしかコーティングが提供できていませんでしたが、現在も含め、今後は既販車、いわゆるお客さまが乗っている車にもサービスを提供できる点が非常に好評です。
業界全体にそのような需要が広がってきており、全国のトヨタ自動車販売店の数店舗から「うちでもやってくれないか」というお話をいただいています。そのため、新車販売店の敷地内に直営を建てていくことにも力を入れています。
スライド右側の画像をご覧ください。こちらは「キーパーPRO SHOP」のホームページの一部です。実は、鳥取トヨペットが「キーパーPRO SHOP」を始めています。自分たちで人を採用し、私どもの研修に来ることで技術者を育成し、検定を受けてPRO SHOPに認定されたということです。
このような店舗・会社も徐々に増えてきています。ディーラーの中で、新車・既販車向けのコーティングが広まりつつあるという手応えを感じています。
海外進出 「積極的な営業活動開始」
海外進出についてです。海外は今期から力を入れていくということで、私が責任者として動き出しています。「そもそも海外で通用するのか」というご心配もあるかと思いますが、実際に行ってみて「間違いなく通用する」という手応えを感じ取ることができました。
台湾で3号店がオープンしましたが、この会社は非常に優秀で、日本の直営店となんら変わらないくらいの技術力と運営を行っています。昨年11月にオープンし、翌月の12月には約1,000万円に近い売上を上げることができました。これを見ても、海外でもしっかり通用することが実証されたのではないかと思っています。
韓国とメキシコには、PRO SHOPが進出しました。まだ1店舗ずつの出店で、ビジネスとしてはまだまだ小規模です。
現在は、今期中に日本国内と同様に海外に「キーパーLABO」の直営店を出そうと動いています。まだ正式にリリースしていませんが、近いうちにこの取り組みについて発表したいと考えています。少し時間がかかるかと思いますが、海外でも今後十分に大きくなっていくと考えています。
製品等関連事業の車については今も非常に伸びており、今後もかなり大きく伸びるセグメントではないかと思いますので、ぜひご期待ください。この後は会長の谷より、車以外のコーティング事業とLABO運営事業についてご説明します。
外販部 「車以外のコーティング事業」
谷好通氏(以下、谷):こんにちは、いつもお世話になっています。代表取締役会長兼CEOの谷です。最近、車以外の製品についてはいろいろなところから「こんなことはできないか」「あんなことはできないか」といろいろな引き合いをいただいており、楽しみながら開発に取り組んでいます。
まだまだお金にはなりませんが、いろいろなことを進めています。スライド左上にお示ししている商品は、「ツヤピカ」というゴルフクラブのクリーナーです。今まで扱っていた商品そのままのものになります。
名古屋の「ゴルフ5」では、「どれくらいのもなのか」という感じで利用し始めたところ、1年分くらいのつもりで買った商品が、1ヶ月ももたずにあっという間になくなったと非常に驚いていました。ただし、単価はそれほど高くはありません。
車以外のものに共通して言えることは、数は大量に出ます。「スマホキーパー」も本当に数が多く出ています。しかし、車の面積と比べると、やはり縦15センチメートル前後の横8センチメートル前後のものですので、100個売ってやっと1台分くらいです。
ですので、数を売らなければ金額的には乗ってきませんが、あって当たり前のようになっていくだろうという予感がしています。ゴルフクラブを磨く時には「キーパー」で磨くのが当たり前で、「お風呂コーティング」もするようになっていくと考えています。
大手家電店なども非常に興味をもって導入していますので、スマートフォンやタブレット、パソコンのディスプレイにも「キーパー」が塗ってあることがだんだん当たり前になっていくのではないでしょうか。
自動販売機にも試しにコーティングしたことを少し紹介したところ、たまたまそれをご覧になった自動販売機メーカーから「おもしろいじゃないか」と言われることもありました。
すでにお伝えしていることも多くあるのでお話ししてもよいかと思いますが、今日、もしくは昨日に、清水港でフジツボが付着した実際の漁船にコーティングを試みることを東海大学海洋学部で始めました。このようなところからコーティングがずいぶん広がっていくだろうとひしひしと感じています。
金額的にはやはり車のほうが大きく、車を追い越すところまでいくのかまではまだわかりません。「ひょっとしたらいくのかもしれない」という可能性の話にとどまっています。
具体的な貢献にはまだ何年かかかるだろうというところです。このあたりは海外事業と一緒ですね。海外事業でも「今すぐにでも爆発的な実績になる」など、簡単にいくわけはありません。
長期的・短期的に取り組んでいくものの両方を並行して行わなくてはなりません。足元の数字ばかりを追いかけていても、何年後かには必ず行き詰まってしまいます。ですので、長期的な目線を持ったものにもきちんと力を入れて取り組んでいきたいと思っています。
キーパーLABO運営事業 「LABO新店とコーティングブース増設、洗い場改装」
足元の取り組みについてです。LABO運営事業では現在、「キーパーLABO」の新店を一生懸命作っています。前期には12店舗を作りましたが、これがなかなか大変でした。
今年は15店舗を絶対にオープンしようと取り組んでおり、結果的には16店舗となる見込みです。今期はすでに工事を進めているため、なんらかの要因によって止まらない限りは達成できると思います。
また、来期の目標として30店舗を掲げています。我々も「そんなことはできるわけがない」と思っていましたが、不思議なもので最近は「できるのではないか」という気になってきました。ただ、無責任なことを言ってはいけないため、来期は現時点で7店舗か8店舗ほどがすでに開店の目星がついているとお伝えしておきます。
さらに、先ほど賀来よりお伝えしたように、全国にあるトヨタ自動車、ホンダのディーラーより、「この店に『キーパーLABO』を作るプランを1回練ってみてくれないか」という、けっこう本気での相談を2桁ほどの件数でいただいています。このすべてを進めていくのは大変なことです。
今期はありがたいことに、半期の中でも軒数を取れており、むしろやや先行で入れすぎてしまっているため、ブレーキをかけようと思っていましたが、30店舗という数は実によい数かもしれません。
このような勢いを踏まえ、社内では「人材採用のブレーキはかけず、やはり人材を取っていこう」という空気になっており、人件費を上回る伸びを示せばよいと考えています。
キーパーLABO運営事業 「ダイヤモンドキーパーの誤解による売上影響」
この半期においては、夏から秋にかけて、実に馬鹿らしい風評被害がありました。そこでマイナスになった分を取り返し、盛り返すために、あるいは誤解を解くために実施した「オータムフェア」は非常に成功しました。一方で、へこんだ分までは補うことができませんでした。
「オータムフェア」のお知らせは郵送したのですが、紙印刷代と郵便代のみで2,700万円がかかりました。実質的には3,000万円以上の出費があったと見ています。
第2四半期の12月にも力を入れ、へこんだ分を一気に取り戻そうと取り組みました。しかし、最後の1週間に洗車のお客さまが数多く来店したことにより、平均単価が3,000円から4,000円ほど減少し、少し空振りしたような状況となりました。
「洗車の嵐」と呼べるほどでしたが、我々の中では「大歓迎の姿勢を貫くぞ」という意志が統一されていたため、それが第3四半期につながることを期待していました。しかし、12月に洗車をたくさん行ったことで、1月の洗車の数がその分減ってしまうという結果となっています。
ただ、そのようなことが今年1年を通じてきちんとした力になってくるということを、この2月に感じています。お客さまの数が着々と増えているほか、今までのお客さまがまた来店しており、順調だと思っています。
一方で、不安材料がないわけではありません。この1年、2年の間で急激に人を増やしたため教育が不足し、意識などの当社が持つ1つの文化のようなものが少し薄れてきたと感じています。それがやはり、お客さまから苦情をいただくことにもつながっています。
そのため、そのようなものを解消し、きちんとした体制を作っていくことの必要性を今感じているところです。
今年も4月1日付で115名が入ってきます。当社の仕組みとして、これまでは2年生が1年生を教えてきました。そのサイクルでは、直前まで1年生と呼んでいた人が2年生になり、いきなり新たな1年生に教えることになってしまうため、この仕組みをもう少し工夫していかなければならないと思っています。
なお、おかげさまで新店を開店していく力が定着してきました。「あれをああして、これをこうして」ということをすることなく、自然と力がついてきたと感じています。
キーパーLABO運営事業「2024年6月期 新規オープン予定」
スライドには、新店として15店舗、改装として2店舗をご紹介しています。
現在、「松戸東店」という店舗がありますが、新店舗を作っていく中で、前の店舗をクローズしなくてもよいという考えになりました。移転ではなく、新店としてオープンしようという話になっています。
これにより、「新松戸東店」がスライドの線より上へ移るため、新規オープンは16店舗となります。工事が始まっていないところもまだ何店舗かありますが、建つことは間違いありません。
また、現在、ディーラーの中にどのようなかたちで店舗が建つのかという想像図が山ほどあります。それらを見せることはできませんが、来年はスライドに記載の倍のオープンを本当に達成してしまうのではないかと思っています。
1年半前に3ヶ年計画を発表しましたが、そちらでは12店舗、15店舗、30店舗を順次オープンしていくとお伝えしていました。この30店舗という数字は「誰も信用しないだろう」と思っていましたが、掲げているうちにだんだんと本当のことになってくることもあるのだと感じています。
既存店は、知名度が高まってきたことに加え、リピートのお客さまが積み重なってきたことにより、ここ3年、4年は1店舗ごとの人数をこれまでの倍近くに増やしています。それと同時にキャパシティを広げたり、ブースを増やすことによって能力を上げたりという取り組みを実施してきましたが、やはりハードの強化には限界があります。
100数店舗のうち、70店舗、80店舗ほどで「これが限界だろう」というところに来ているため、ハードの強化による効果はこれ以上はなかなか上がらないと見ています。つまり、人もそれほど増えないということになります。
既存店の増加はこの3年、4年で倍以上になっているため、ここから先は15パーセント、20パーセントという2桁ごとの上がりかたはないと思っています。ただし、今後も店舗数を上げていくことについては、まだ少し維持できるかと思います。
ここからはむしろ、新店のスピードがけん引していく想定です。今までの1つの流れとして、既存店で売上が15パーセントアップし、それに新店が加わって20数パーセントアップするというペースでした。今後は既存店で10パーセント前後の上昇となり、店舗数が増えるほど全体の売上も増え、新店ではプラス10パーセントほどアップしていくと考えています。
ここにまた新しい要素が加わる計画があるほか、今、たくさん持っているところを一斉に変えるような話も持ち上がっています。
スライドの中に非常におもしろいページがあるためご紹介します。スライドに日本地図がありますが、ご覧のとおり、愛知県に26店舗が集中していることがわかります。ここに、ディーラー関連でさらに5店舗増える予定です。
つまり、この地域では高い密度での運営を実現できています。これは同時に、他の地域はまだ空いている状態だということです。そのため、今は300店舗、400店舗のオープンを目標にするというレベルではなく、どんどん伸ばすべきではないかと思っています。
SUBARU、トヨタ自動車、ホンダ、三菱自動車以外の純正採用もどんどんと増やすことで、自動車業界においてはキーパーコーティングと言わずとも、「コーティングといえばキーパー」という認識が当たり前のように存在していくようなものを作ることを空想しています。
そして、今回はビッグモーター社の件により、つまらない風評が当社の数字にもまともに響いてくるということを初めて経験しました。常にこのようなリスクがあることを念頭に置いた上で、大胆に進んでいきたいと思います。
キーパーLABO運営事業 「新商品」
「TREXキーパー」についてご説明します。先日開催された「東京オートサロン2024」で当社が発表したものですが、このコーティングが売れるとは思っていません。
「TREXキーパー」の仕上がりは非常にすばらしいもので、施工後は透明な膜がかぶっていることが明らかにわかります。例えば、青い車にこれを施工すると、光って黒色のように見えます。
「誰かに車を見せたい」と思っている人は特に喜ぶと思います。今、予約販売を行っていますが、意外にも「CIVIC TYPE R(シビック タイプアール)」が多いことには少し驚きました。やはり「その車が大好きだ」という人は施工を希望されるのかもしれません。
「TREXキーパー」は効果が非常に高いですが、その分手間もものすごくかかります。1人の人間がかかりっきりで施工し、硬化時間も入れて24時間かかります。1人が1日1台施工できますが、1ヶ月に25台の施工はとても行えません。体力・根気・気力が必要です。
この施工を行える人間は3人いますが、「1ヶ月に5台以上は絶対にやりたくない」「これを施工した次の日は休みたい」と言っています。それほど大変なため、40万円、50万円という高い値段をつけています。
相応な値段をつけましたが、高くとも依頼はいただけるもので、20数台分の予約をいただいています。私が施工するわけではありませんが、大変なことだと思います。
「TREXキーパー」の開発背景についてお話しします。今まで「EXキーパー」という商品を販売してきましたが、そちらも本当にすばらしい商品です。商品の価値に対する価格のバランスが本当に良いものでした。他よりも秀でた商品として、ぜひこれを伸ばしていきたいと思っていましたが、これを最上位の商品とするにはやはり限界がありました。
我々の店舗では1ヶ月に2,000台近くに販売してきましたが、「ダイヤモンドキーパー」や「クリスタルキーパー」のような何万台ペースの販売とはなりませんでした。
せっかく良い商品である「EXキーパー」を最上位のなかなか手の届かない商品として置くのは非常にもったいないということで、思い切ってハイクラスの商品として「TREXキーパー」を開発しました。これにより、「EXキーパー」が普通の商品になるのではないかと考えています。
「EXキーパー」の発売時は、それまでトップであった「ダイヤモンドキーパー」が松竹梅の法則で2倍くらいの売上になりました。それを今度は「EXキーパー」でやってみようと考え、「TREXキーパー」を作りました。想定以上の反響があり、いろいろな雑誌などから取材を受けています。
質疑応答:値上げの可能性について
質問者:値上げの可能性についてです。2023年9月に洗車の値上げを行いましたが、例えば、今後は人員の増加や賃金アップで販管費の上昇が考えられる中で、コーティングを含めた値上げを行う可能性があるのかを教えてください。
谷:2022年4月に、コーティング類全商品について5パーセントの値上げを実施しました。これは為替などのさまざまな問題があったためです。また、人件費をベースアップしたいという意味も含め、2023年9月に洗車を値上げしました。
当面は製品そのものの値上げは行わない予定です。その代わりに、より付加価値の高い商品を販売していくことで単価を上げていくように努力したいと思っています。
質疑応答:海外展開の定量的な目標について
質問者:海外展開は御社の次の成長戦略の1つになると考えています。その中で、店舗数や売上などの定量的な目標があれば教えてください。
谷:まだ定量的な目標はありません。具体的な現地法人化に動いてはいますが、今数字を出しても、作っただけの数字になってしまいます。何らかの根拠が出てくる時期は、それほど遠くはないと思います。今期中は難しいかもしれませんが、少なくとも期が明けたくらいには出せるのではないかと思います。
質疑応答:広告費・販促費について
質問者:広告費や販促費の費用面についてです。中期経営計画を策定した時と比べ、このような費用を投じる必要性が高まっていると思いますが、どの程度まで使うことを許容すると考えていますか?
すでに公表されている今期と来期の利益目標達成に主眼を置くのか、もしくはその次の中期経営計画期間中など長い目で見た成長持続性を重視し、必要経費として今の中期経営計画の数字にはこだわらずに使っていくのか、今の時点でどのように考えていますか?
谷:今期に想定以上に広告費がかさんでいるのは、やはりビッグモーター社関連の影響を打ち消したいということが1つあります。まとめて3,000万円ほどかけたのに続き、予定していなかったテレビCMももう少し打ちたいということで、広告費が膨らんでいることは間違いありません。
今後は戦略の中で何をどのように振り分けるかを検討しなければなりませんが、基本的には増やさない方針で考えています。増やそうと思えばどれだけでも増やせますが、経費の使い方を考え、金額は上げない方向で進んでいます。
質疑応答:天候の影響と対策について
質問者:天候の影響についてです。昔ほど気にならなくなったと思いますが、最近、天候に左右されることが増えていると感じています。御社として対応策がとれるものなのか、もしくは自然のことはどうにもならないと受け入れるべきかを教えてください。
谷:この件についてはいろいろと考えています。雨が降ったら車がきれいになる商品は絶対に人気になると思い、確かに好評となっています。しかし、雨が降れば洗車が減るというわけでもなく、ここは計算外となりました。
「フレッシュキーパー」などのような自浄効果のあるものを売り出すようになってから、かえって天候に影響されるようになったのは少し意外です。現在、どのように工夫していくかをいろいろ企画しています。
「フレッシュキーパー」は、「ダイヤモンドキーパー」などの10倍近くがガソリンスタンドで売れています。どこの元売りも、オイルと並んで「フレッシュキーパー」で目標の数字を出しており、こんなにも力を入れていただけると、洗車機メーカーで上場している企業にもだいぶ影響が出てくるのではないかと思います。
天候はやはり何をどう言っても言い訳になってしまうため、なるべく言わないようにしています。
質疑応答:「フレッシュキーパー」のリピート率と付帯率について
質問者:「フレッシュキーパー」が好調ですが、リピート率を教えてください。おそらく「キーパーLABO」では把握していると思いますが、例えば1年でやめてしまうのか、もしくは毎年続けて累積でどんどん膨らんできているのでしょうか? また、それについてどのように考えているのかを教えてください。
また、先ほど「SUBARUのキーパーコーティングの付帯率が25パーセントから30パーセント」というお話がありました。他社もそのくらいの受注になるという根拠は何でしょうか?
例えば指名買いが増えていたり、「『フレッシュキーパー』でないと嫌だ」という声があったり、ディーラーでも「キーパー」というブランドを持っていなければ売上に影響するなど、製品についてのコメントをお願いします。
賀来:「フレッシュキーパー」のリピート率については、計測方法がありません。ただし、現場に聞くと5割くらいと言われます。ただし、その5割はその店舗での5割であり、このお客さまが他店に行く可能性も十分あります。
今、直営店で7割から8割がリピートしているため、肌感覚ではそれくらいなのではないかと思っています。「フレッシュキーパー」は試すとやめられなくなりますので、そこは安心してください。
谷:主にガソリンスタンドで売れており、ガソリンスタンド間で値引き競争等で取り合いになっている状況です。全体としてのリピート率は85パーセントに達しているのではないかと思います。
質問者:1年試して満足し、次も施工したいという声が大きいということですね。お話を聞くと、やはり累積効果が出ているのではないかと思いました。
賀来:ディーラーについては、三菱自動車とホンダで昨年から始まっています。現場に行くと、やはり「フレッシュキーパー」の認知度の高さでお客さまに買っていただきやすくなり、提案しやすくなったという営業マンの声を非常に多く聞きます。付帯率もどんどん上がってきているため、やはりこれは続くと感じています。
質問者:三菱自動車の付帯率10パーセントという立ち上がりは、SUBARUに比べても遜色なく、早いというイメージなのでしょうか?
賀来:SUBARUと同じくらいです。
質問者:車が違うとディーラーの嗜好も異なるため、すぐに付帯率が上がるというわけではないのですね。ここがすぐに上がればよいと思います。
質疑応答:「キーパーLABO」の新店の売上について
質問者:「キーパーLABO」の新店について、おそらく1店舗当たりの売上は昨年に比べて落ちているかと思います。
以前は店舗をたくさん出すとコストがかかって赤字になり、利益が一時減少したと思います。しかし、その後は「カンブリア宮殿」での紹介やSNS、コロナ禍の影響で、1年前などは新店を出すと垂直立ち上げで既存店と同じくらいの利益が出るなど、非常に効果があったと思います。
その頃から比べると、1店舗当たりの売上高が落ちていると思います。出店地域などもさまざまで何とも言えない部分がありますが、そちらはあまり気にしていないということで、2年目になってきちんとジャンプアップもしており、例えば福岡県の博多など大きな街の店舗当たりの売上が一気に立ち上がったと思います。
新店の1店舗当たりの売上はあまり気にしていないのでしょうか?
谷:大きく伸びた時期は、関東の店舗が多かったと思います。ローカルでも博多は福岡県の真ん中ですから、良い店が多かったのです。それが少し小ぶりになり、薄くなったという差であって、今のほうが垂直立ち上がりをしなくなったという感覚は持っていません。
質問者:コストと売上を考えると、その規模できっちり見合っており、当然関東で出店するより博多に出店するほうがそれなりのコストがかかると考えれば問題ないという意味合いでしょうか?
谷:今の建築費の上昇のほうが非常に効いてきています。今まで5,000万円で出店できたものが、8,000万円くらいかかるようになりました。これはどの業界でも同じではないかと思います。ただし、新店を建てると負担が大きくなり、赤字が先行するという心配はしていません。
質問者:積極的に店舗を出すほど利益も上がるため、多店舗展開しても問題ないということでよろしいでしょうか?
谷:程度はあると思います。必死に100店舗を建てるとかなりの費用がかかりますが、30店舗程度なら問題ないと考えたため、現在進めています。
質疑応答:通期計画について
質問者:通期計画を超過達成できるのではないかと期待しての質問なのですが、上期は営業利益が会社計画比で若干ショートしました。第3四半期から第4四半期にかけてどのように挽回することを社内で計画しているのかについて教えてください。
谷:第1四半期でへこんだ分を第2四半期で取り返そうと思い、第2四半期で完全に復活できましたが、第1四半期のマイナスを埋め切ることはできませんでした。ただし、若干ショートした程度ですので、この勢いで第3四半期と第4四半期を進んでいければ、通期計画を当然達成できると思っています。