本日の説明内容

石川精一氏(以下、石川):みなさま、こんにちは。青山財産ネットワークスの石川と申します。本日は少しでも当社のことを知っていただきたいと思い、参加しました。どうぞよろしくお願いします。

さっそくですが、ご説明を始めます。企業概要、外部環境と成長への取り組み、株主還元の順にご説明します。

会社概要

石川:まずは会社概要です。当社は東証スタンダードに上場しています。設立は1991年で、2023年で32年目を迎えました。

従業員数は297名で、そのうち約210名がコンサルタントです。従業員のほとんどが、税理士や会計士、ファイナンシャル・プランナー、不動産または金融関連の資格を持っている専門家集団です。

連結子会社の他にもグループ会社として、税理士法人が2社、社労士法人が1社ありますので、お客さまの財産の承継や運用、事業承継のお手伝いをワンストップで行うことができる会社となっています。

沿革

石川:沿革です。1991年9月に、船井総合研究所から出資をいただき設立しました。当時は、地主向けに相続コンサルを行っている会社でした。

2004年7月に東証マザーズ市場に上場し、2008年にプロジェストホールディングスを経営統合しました。その会社は事業承継を専門に行っている会社でしたので、相続および事業承継ができる会社へと変遷してきました。

昨今では2020年に、青山フィナンシャルサービスという会社を設立しました。当該会社は金融資産の運用をメインに行っており、不動産、自社株、金融資産などのお客さまの財産に関する悩みすべてに答えられる会社へと変遷しています。

経営目的と事業内容

石川:経営目的と事業内容です。当社のお客さまは、地主や金融資産家などの個人資産家、または企業オーナーです。

個人資産家については、ソリューションとして相続対策や不動産の有効活用、不動産の購入・売却などのお手伝いをしています。企業オーナーについては、事業承継、親族承継や従業員に承継する社員承継、M&A、転廃業の支援などを行っています。

また、個人資産家・企業オーナーの双方に不動産小口化商品や金融商品の提供を行い、運用もお手伝いしています。

事業内容としては、お客さまの最適な財産構成の実現、キャッシュフローの最大化のコンサルを行っています。決して一過性の取引ではなく、継続してお客さまに寄り添うことによって、お客さまの最適な財産構成を実現することが目的です。

個人資産家向けビジネス

石川:当社の収益化の方法です。少しわかりにくいビジネスですので、例を挙げてご説明します。個人資産家の顧客数は現在約2,100名ですが、家族構成も資産構成も違いますので、財産に関する悩みはさまざまです。

例えば、持っている土地を有効活用したいお客さまには、その土地の立地に合ったテナントの誘致など、キャッシュフローを最大化するような支援を行います。このような提案をして実行することによって、報酬をいただいています。

「持っている不動産が古くなったため組み替えたい」というニーズがあれば、不動産を売却して購入するなどの支援を行っており、そのようなところで報酬をいただきます。中には、継続的に本契約を結んで、長期的にコンサル報酬をいただくお客さまもいらっしゃいます。

kenmo氏(以下、kenmo):事前質問でもいただいていて、私も気になっているのですが、顧客獲得の手段について教えてください。個人資産家の数は多いと思いますが、リーチするのがなかなか難しいのではと思います。貴社には現在約2,100名の顧客がいるとのお話でしたが、どのように接点を持たれてきたのでしょうか?

石川:現状は、90数パーセントが金融機関からの紹介です。後ほど詳しくご説明します。

企業オーナー向けビジネス

石川:企業オーナー向けビジネスの収益化です。企業オーナーの顧客数は約500名で、メインは同族承継のお手伝いです。同族承継というものは1年、2年で終わることはありませんので、基本的には長期の顧問契約を結んでおり、長期的に収益を計上するビジネスとなっています。

同族承継を行うにあたっては、さまざまな課題も発生してきます。例えば、成長戦略や資本政策、財務改善に悩んでいるお客さまがいます。そのようなことが発生した場合、その都度ソリューションを提供して、報酬をいただいています。

他にも、M&Aで会社を売却された際には金融資産が入ってきます。そのような場合、個人資産家向けと同様に、財産の承継をお手伝いしています。

ビジネスモデルの特色

石川:当社のビジネスモデルは、決して一過性で終わることなく、長期的にお客さまに寄り添い、永続的にコンサルティングを行うことが特色です。

お客さま個人ごとに「アカウンティングプラン」という長期的なプランを作成しており、そのようなかたちで長くお客さまに寄り添い、長期的に収益を計上できる、いわゆるリカーリングモデルを構築しています。

上場後の売上高と営業利益

石川:ここからは数値についてご説明します。スライドのグラフは、上場後からの売上高と営業利益の推移です。

2004年に上場して以降、2007年まで順調に推移していますが、この期間は通常のコンサルに加えて、不動産の転売を行って利益を拡大していました。その間、短期の資金調達を行い、不動産を購入しては転売を繰り返すようなリスクの高いビジネスを行っていました。

2008年にリーマン・ショックが起こり、持っていた不動産を損切りしましたので、2009年に約40億円の赤字を出しました。それ以降は不動産の転売を止め、現在に至るまで、コンサルティングと、お客さまへのソリューションとして不動産の提供のみを行う会社に生まれ変わることとなりました。

連結業績推移(2022年度通期)

石川:直近5年間のPLです。2019年度までは順調に成長していましたが、2020年度以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、一時期、利益が減少しました。当社のお客さまは60歳から70歳と年配層の方が多く、当時は対面での営業活動を行うことがなかなかできなかったため、その影響で2020年度は減益となりました。

2021年度以降は、通常どおり営業活動ができるようになりましたので、増収増益となりました。さらに、2022年度の最終利益については、会社設立以来の最高益を計上することができました。

実態PL~純額方式採用の場合~

石川:先ほどの数字は会計上のPLでしたが、こちらは当社が重視している実態PLです。

当社はコンサルティングを行う一方で、お客さまのソリューションのために不動産を購入・売却しています。PL上は不動産の売上が大きく見えてしまいますので、PLだけ見ると当社がコンサルティング会社であることがわかりにくくなっています。そのため、こちらの実態PLでは、不動産の売上高を純額表示にして計上しています。

表の右下をご覧いただくと、2022年度の営業利益率は28.1パーセントとなっており、他のコンサルティング会社に引けを取らない利益率を確保しています。

こちらの表の数字は投資家のみなさまに有用だと考えており、あわせて開示しています。

通期業績予想の修正について

石川:通期業績予想の修正についてです。11月に行った第3四半期決算の際に、年間の通期業績予想を修正しました。後ほど詳しく説明しますが、売上高については、不動産小口化商品「ADVANTAGE CLUB」が来年に1件ずれ込んだことによって下方修正となりました。

一方で、財産コンサルティングのうち、個人資産家向けの財産承継が非常に順調です。こちらの利益率が高いため、営業利益は当初見込みの維持を見込んでいます。

経常利益以下については、在外子会社の為替差益の発生や、当初見込んでいた金利コストがかからなかったことが上振れ要因となっています。

連結業績ハイライト

石川:連結決算ハイライトです。当社はコンサルティング会社ですので、季節性は本来ありませんが、例年、第4四半期に財産コンサルティングの売上が偏重する傾向があります。

営業利益の進捗率は、第3四半期が終わった現段階で55.2パーセントと、かなり低い数字になりましたため、先ほどお伝えしたとおり業績予想の修正を開示しました。

BSハイライト(財務戦略)

石川:BSハイライトです。当社のBSのポイントは2つあります。まず、不動産の売上高は年間300億円ほどありますが、不動産の見込み在庫は持たない方針です。そのため、販売用不動産も極めて少ない金額になっています。

一時的に不動産を持つこともありますが、極めて短期に売却することにより在庫リスクを最小限に抑えています。

一方で、当社はコンサルティング会社ですので運転資金はほとんど必要ありませんが、現預金を厚く確保しています。こちらはリーマン・ショックの教訓から、不動産を扱う以上は何があっても持ち堪えられるように、という考えによるものです。

投資家のみなさまからは「これだけ現預金があるのだから、有利子負債を返済したほうがよいのではないか?」もしくは「もっと配当に回したほうがよいのではないか?」とのご質問をいただきますが、現段階は保守的な会社運営を行っているものとご理解ください。

日本の人口の推移

石川:外部環境と成長への取り組みです。スライドのグラフは日本の人口の推移ですが、ご説明するまでもなく、高齢化がどんどん進んでいます。団塊の世代は現在75歳前後となっていますので、相続に関するコンサルティングのニーズは今後ますます増えてくると考えています。

個人資産家を取り巻く環境 〈相続マーケット〉

石川:東京都が開示している相続税申告事績と、相続財産の金額の構成比のデータをスライドに示しています。全体的な平均としては、土地や家屋の不動産が約40パーセント、現金や有価証券の金融資産が約50パーセントとなっています。

個人資産家の方には、「資産をほぼ不動産しか持っていない」「現金しか持っていない」「どのようにして納税資金を確保したらよいか」「なるべく資産を減らさずに納税資金を確保したい」といったニーズがあります。このようなポートフォリオの組み替えによって、お客さまをお手伝いしています。

個人資産家を取り巻く環境 〈相続マーケット〉

石川:被相続人数の推移です。一都三県、東京・千葉・神奈川・山梨のデータを示していますが、2013年に税制が改正されたことにより、相続税の基礎控除の縮減や、最高税率が55パーセントに引き上げられたことにより、被相続人数が大幅に増加しています。

昨今では、不動産価格の値上がりや、持っている株式の価値の上昇も、被相続人増加の要因となっています。

このようなかたちで、高齢者および被相続人数が増加することにより、我々のコンサルティングのニーズが非常に高まっていると考えています。

企業オーナーを取り巻く環境 〈事業承継マーケット〉

石川:企業オーナーを取り巻く環境です。社長の平均年齢は年々上昇しており、1990年は54.0歳でしたが、2022年には60.4歳まで上昇しています。

後継者についても半数以上が不在となっており、事業承継のニーズも高まっていると考えています。

コンサルタント数と顧客数の推移

石川:コンサルタント数と顧客数の推移です。いずれも当社が最重要視しているKPIですので、今後も引き続き注視していただければと思います。

好調な外部要因により、ここ2年で顧客数は300名ほど増加しています。先ほどもお伝えしましたが、現状、お客さまのほとんどは金融機関から紹介していただいています。

kenmo:スライドのグラフでは、2022年、2023年と急速に顧客数が増えているように見えます。このきっかけは何でしょうか?

石川:後ほど詳しくご説明しますが、当社では不動産小口化商品を扱っています。もともとは我々のお客さまのみに提供していましたが、2021年からは金融機関のお客さまにも紹介を始めました。この不動産小口化商品をきっかけに、我々のコンサルティングを受ける方が増えています。

kenmo:「ADVANTAGE CLUB」のことですね。また後ほどおうかがいします。

石川:現状、毎年300名ほどのペースでお客さまが増えていますが、金融機関から紹介いただくお客さまは年間3,000名ほどいます。この3,000名のうち300名しか顧客化ができていないということで、まだまだ我々のリソースが足りないと考えています。

ですので、我々が成長していくには、コンサルタント数を増やしてどんどんお客さまを増やす必要があると考え、積極的な採用を続けています。

kenmo:直近はどのぐらいの人数まで増やしていきたいか、イメージを教えていただけますか?

石川:少なくとも毎年20名以上は増やしていかないと、需要には追いつかないと考えています。

財産コンサルティング売上、コンサルタント一人あたり売上(生産性)

石川:コンサルタント1人当たりの売上高、生産性です。ここ数年は1人当たり3,000万円ほどで推移していますので、やはり人を増やすことと同時に、生産性を高めていくことが課題だと考えています。

DX化の進捗状況

石川:当社のDX化の進捗状況です。スライド中央に「ARTシステム」と記載していますが、こちらは当社独自で開発したコンサルティングシステムで、2021年から本格稼働しています。

これまでは、お客さまからいただいた資料などの情報を、コンサルタントがExcelに手で打ち込み、そこから分析していたため、分析業務に膨大な時間をかけていました。しかし、このARTシステムを使うことで、一定の情報を自動で読み取ることができ、自動で計算することもできますので、お客さまの現状を分析する時間が格段に短縮されました。

そのおかげで提案する時間が増えていますので、生産性は一定程度上がってはいるのですが、生産性が2倍、3倍にまで改善したかというとそうではありません。

今後はARTシステムに「ChatGPT」などの生成AIを活用し、より精度の高いシステムに生まれ変わるようにと現在検討しています。こちらについては、定期的に状況をご報告できればと考えています。

kenmo:個人資産家や企業オーナーなど、お客さまのどのようなデータを貴社で管理されているのかを、もう少し教えていただけますか?

石川:例えば、お客さまは不動産や金融資産、現金等をお持ちだと思いますが、我々はそのようなすべての財産を勘案して、どのぐらい相続税がかかるかということを試算します。

そのようなときに、不動産・金融資産のいろいろな情報をいただくのですが、不動産関連の資料や申告書などはほとんど紙で持っている方が多く、そのようなものをいちいち手入力していくことでかなり時間がかかっていました。

ARTシステムでは、OCRで紙の資料を自動で読み込めるようになっており、入力作業がだいぶ縮小されています。

kenmo:紙をすべて電子化することで、生産性を改善しているということですね。

戦略的個別サービス

石川:当社の顧客拡大化と収益拡大化の戦略です。もともと当社はお客さまの総合財産コンサルティングを行う上で、全体最適を考え、多面的なところで長期的なプランを立ててコンサルティングを行っていました。

しかし、例えば、「ADVANTAGE CLUB」のみ要望される方や、購入コンサルとして不動産購入のお手伝いだけしてほしい方、持っている不動産の有効活用だけしてほしいという方など、部分的なニーズを持っているお客さまもかなりいらっしゃいます。

そのようなお客さまを取りこぼさないように、まずは個別サービスから提供することも行っており、そちらから総合財産コンサルティングへの誘導を行うことで、顧客拡大化と収益拡大化につなげています。

本日は、スライドの青い部分「ADVANTAGE CLUB」「STO事業」「地域創生コンサルティング」の3つについてご説明します。

ADVANTAGE CLUBの組成実績

石川:まず「ADVANTAGE CLUB」です。こちらは不動産小口化商品で、都心の不動産を1口1,000万円でお客さまに提供している商品です。かなりニーズが大きく、販売開始後、数日で完売するようなことも続いていますので、積極的に販売していきたいと考えています。

もともとは2020年まで、当社のお客さまにのみコンサルティングの一環で提供していたものですが、現在は地方銀行や証券会社、約40数社のお客さまにも提供しています。まずは我々のことを「ADVANTAGE CLUB」から知っていただき、購入いただいたお客さまには総合的な財産コンサルティングを行っていけるように誘導しています。

こちらは2021年から進めている取り組みで、2022年、2023年と顧客数が増加している1つの要因です。

kenmo:要は「ADVANTAGE CLUB」を入口として、従来の10億円といったようないわゆる超富裕層のようなところから、富裕層・準富裕層というところに少し裾野を広げていくイメージでしょうか? それとも、選りすぐりのお客さまの中から超富裕層あたりを取りにいくのか、どちらのイメージのほうが強いでしょうか?

石川:総合的な財産コンサルティングを行うのは、やはり超富裕層がメインになりますが、部分的なニーズのあるお客さまも取りこぼさないよう、幅広くコンサルティングを提供していく方針です。

ADVANTAGE CLUBの償還実績(物件売却による組合解散)

石川:「ADVANTAGE CLUB」の運用実績です。こちらは2002年から始まり、すでに20数年経っていますが、過去の実績としては70物件ほど提供しています。その70件のうち31件は、お客さまに運用していただいた後、すでに売却に至っています。

平均でおよそ9年3ヶ月の間運用いただいており、最終的な売却益と運用期間の収益を含めて、年間で6パーセント強の利回りで運用できている商品となっています。資産家の方の資産保全にかなり役立ててもらっており、運用商品としても魅力的ということで、当社の商品が選ばれている1つの要因ではないかと考えています。

STO事業の今後の展開について

石川:STO事業です。STOというのは聞きなれない言葉かと思いますが、セキュリティ・トークン・オファリングという、いわゆるデジタル証券としての金融商品です。STO事業では、不動産を裏付けとしたデジタル証券を扱っています。

今年7月にようやく第1号案件を組成することができました。金融機関から借り入れして、レバレッジをかけている不動産商品ですので、「ADVANTAGE CLUB」に比べて利回りも高く設定できることがあり、好評のうちに完売しました。

来年以降は、第2号案件、第3号案件と組成していき、収益の柱の1つとしたいと考えています。

kenmo:「ADVANTAGE CLUB」とSTO事業については、後ほどさらに深掘りさせてください。

地域創生事業

石川:地域創生事業です。自治体が持っている遊休不動産を有効活用することにより、その地域を活性化する事業です。我々が全体のアセットマネジメントを行うことによって、長期的なストック収入をいただけるような仕組みになっています。

スライドの写真は、当社の第2号案件である福井県・敦賀駅前のものです。こちらは先日、2023年度の「土地活用モデル大賞」で、国土交通大臣賞を受賞することができました。過去には、日本橋のコレド室町も同じ賞を受賞しているということで、大変名誉ある賞をいただいています。

地域活性化の好事例として選ばれたのですが、この賞の受賞によっていろいろな自治体からも相談が増えており、今後の案件にも期待できると考えています。

セミナーの実施

石川:セミナーの実施についてです。現在、ほとんどのお客さまは金融機関からご紹介いただいているかたちですが、スライドに示しているように、自社でもセミナーを積極的に行っています。

ダイレクトマーケティングにも力を入れていますので、金融機関以外の経由として、直接のチャネルもどんどん拡大していこうと考えています。

株主還元方針

石川:株主還元です。株主還元の方針としては3つあり、1つ目に配当性向50パーセント以上、2つ目に継続的な増配を基本方針としています。3つ目に、株主資本コストを上回るDOE水準の維持、DOEとは純資産に対する配当割合ですが、こちらは10パーセントを目標としています。

資本コストを上回るROE利益を獲得する、という目標を立てる企業も多いかと思いますが、我々は資本コストを上回るDOE水準を維持することを目標に掲げています。DOE10パーセントですと、全上場企業の中でもかなり上位に入ると考えています。

配当の推移

石川:配当の推移です。昨年度までに12期連続の増配を実施することができましたので、今年度も13期連続の増配を目指しています。第2四半期が終わった際に、3円の増配を決定しましたので、昨年度に比べて6円の増配となり、今年度は41円の配当を予定しています。

株価動向

石川:株価の推移です。株価については10年前と比べて5倍程度になっていますが、時価総額については270億円程度と小粒な企業ですので、IR活動を積極的に行って知名度を上げていきたいと考えています。

今年度のIR活動について

石川:今年度のIR活動についてです。今年度、初めて海外のIRロードショーを行ってきました。8月にアメリカの主要都市に赴き、約20社の機関投資家と面談してきました。次回以降はアジア圏でも開催したいと考えています。

国内においては年間200件ほどのIR面談を実施していますので、国内外問わず積極的なIR活動を続けていきたいと考えています。

株主優待

石川:最後は株主優待です。6月末と12月末、株主のみなさまに対して株主優待を実施しています。

私からのご説明は以上となります。

質疑応答:顧客数増加の根拠について

荒井沙織氏(以下、荒井):「顧客数は微増、コンサルタントは積極採用ということで、この増加の推移は理解できますが、人件費の負担は増していくと思います。今後、顧客が増えていくという根拠がどこにあるかを教えてください」というご質問です。

顧客が増えている中で、ここ数年はコンサルタントをそこまで増やさずに来たということで、これからは積極採用することで数がちょうど合っていくというか、顧客の増加のほうが先に来ていたということでよろしいでしょうか?

石川:ここ数年ですと、システムを入れ替えたことで生産性が少し上がったこともあり、コンサルタントの数の増加に比べて顧客数は増えている状況です。

しかし、先ほどもお話ししたとおり、お客さま自体は年間3,000件ほどご紹介いただいており、コンサルタントがもっといれば、お客さまの数をさらに増やすことができるとも考えています。今後も積極的に人材を採用して、お客さまを取りこぼさないようにしていきたいと考えています。

荒井:ご質問に「顧客数は微増」という言葉があります。この顧客数はコンサルタント1人当たりの数字を示しているということで、今後新しい方が慣れていくことにより、生産性がどんどん向上していくと捉えていいのでしょうか?

石川:コンサルタント1人当たりが抱えられる顧客数について、ベテランのコンサルタントの中には、1人で50名、100名のお客さまを担当している者もいますが、ここ数年で入ったばかりのコンサルタントには、そこまで多くのお客さまを抱えることはできません。

そのため、全体の生産性の向上に加えて、新規で入ってきたコンサルタントの生産性を向上させることで、1人当たりのコンサルタントが抱えられるお客さまを増やしていこうと考えています。

そのためには、やはりシステム化が重要だと思っています。今使っているARTシステムをより進化させ、コンサルタントがシステムを使って標準的なコンサルティングサービスを提供できたり、コンサルティング業務にかける時間を短縮できたりするかたちにしていきたいと考えており、これにより一定程度、さらに生産性は高まるだろうと考えています。

荒井:人件費の負担については、そこまで心配しなくてもよいということでしょうか?

石川:おっしゃるとおりです。例えば、野村総研が出している調査レポート等を見ますと、日本全体で5億円以上の金融資産を持っている方が約9万人とあり、我々がマーケットシェアとして考えているのはそこです。

また、当社で調べたところ、東京都で10億円以上の土地を持っている方々は約3万人ということで、合計12万人ほど潜在的な顧客がいることになります。それに対してまだまだ2,500名程度、2パーセントから3パーセント程度ほどのお客さましか獲得できていません。

潜在的なニーズはありますので、コンサルタント数を増やし、生産性を高めて、お客さま数を増やしていきたいと考えています。

質疑応答:営業チャネルの種類について

荒井:「営業チャネルにはどのような種類があるのでしょうか?」というご質問です。

石川:お客さまの紹介チャネルとしては、基本的には金融機関からの流入がほとんどです。以前は農業協同組合、直近は信用金庫がメインでしたが、最近は全国の地方銀行や証券会社とも提携を進めており、そこからの流入がほとんどを占めています。

また、全国100社ほどの会計事務所とのネットワークも構築していますので、そこから紹介いただくこともあります。

kenmo:富裕層同士のネットワークもけっこう強固なものがあると思っています。例えば、ある方が「貴社でコンサルしていただいて非常によかった」ということで、ご紹介いただくこともあるのでしょうか?

石川:そうですね、既存のお客さまからご紹介いただくケースもあります。

質疑応答:海外でのIR活動の成果について

荒井:「海外でIR活動をされた成果を差し支えない範囲で教えていただきたいです」というご質問です。

石川:アメリカでは、エステートプランナーやファミリーオフィスサービスのような富裕層向けビジネスが一般的ですが、日本ではそのような文化は根付いておらず、おそらく、このような財産コンサルティングを行っている上場企業は当社のみです。富裕層向けビジネスにおいて、当社がどのようにリーディングカンパニーになっていくのか、海外投資家のみなさまは期待していました。

先ほどもお伝えしましたが、大きなマーケット規模がある中で、当社はお客さまをまだまだ獲得できていない状況ですので、潜在的な成長も期待していただいています。

kenmo:海外機関投資家との面談で、要望やフィードバックがありましたら教えていただけますか?

石川:当社の時価総額は270億円程度で、もう少し規模を上げてほしいという要望がありました。また、相続ビジネスを行っているため、国境を越えると法律も変わってくるということで、税法の詳しい説明や不動産の仕様についてもよく聞かれました。

質疑応答:不動産価格高騰による影響について

荒井:「不動産価格が高騰していますが、貴社の業績に影響はありますか?」というご質問です。

石川:基本的にはないと考えています。「ADVANTAGE CLUB」という不動産小口化商品は、主に都心3区で、駅近の立地の良い場所でオフィスを中心に提供しています。

特徴の1つとして、かなり築年数の古い物件を選んでいます。お客さまの資産保全を一番に考えており、建物価格ではなく、なるべく土地の価格が高いものを選んでいるためです。中には築40年や50年という物件もあり、そのような古い物件ですと、金融機関から資金調達して購入するのもなかなか難しいです。耐用年数が過ぎると、金融機関は融資できなくなるため、当社は物件を取得してすぐにお客さまに売却します。

このように、不動産ビジネスにおいても少し差別化をしているため、不動産価格が少し上がってもあまり影響はないと考えています。

質疑応答:コンサルタントの保有資格と提携金融機関数について

荒井:「コンサルタントの方は、どのような資格を保有しているのでしょうか? また、提携している金融機関の数は、全国でどのくらいでしょうか?」というご質問です。

石川:事業承継をメインに行うコンサルタントの場合、会計士や税理士が中心となっています。相続関連に強いコンサルタントは、宅地建物取引士やファイナンシャル・プランナー、不動産関連の資格を保有する者がほとんどです。

提携金融機関数は、全国で60数社です。メガバンクや大手証券会社、地方銀行、信用金庫など、さまざまです。

荒井:提携数の変動はあるのでしょうか?

石川:もともとは、都内を中心とした金融機関とのお付き合いがほとんどでした。2021年に「ADVANTAGE CLUB」を全国の金融機関に提供し始めた時には8社でしたが、「ADVANTAGE CLUB」関連の業務提携で40数社、従来の金融機関が20数社あるため、ここ数年でかなり急増しているかたちです。

荒井:減ることは考えにくいのでしょうか?

石川:減ることはないのですが、今後どんどん増やしていくわけでもありません。提携先の中には、ビジネスがあまり深まってない金融機関も多いためです。今後は、提携先を増やすというよりは、金融機関一つひとつと、ていねいに関係を深めていこうと考えています。

質疑応答:M&Aの予定について

荒井:「M&Aの検討などはされていますか?」というご質問です。

石川:M&Aは常に検討しています。コンサルタント数を増やす必要がありますが、採用だけで20名、30名とすぐに取れるものではありません。例えば、我々と同じようなビジネスを行っている会社や、富裕層向けビジネスを行っている会社とのM&Aは検討の余地があると考えています。

質疑応答:今後の金利動向による事業影響について

荒井:「最近、マイナス金利政策解除の見込みが話題に上がっていますが、今後の金利動向の事業影響を短期金利、長期金利それぞれの面で、お答えできる範囲で教えてください」というご質問です。

石川:不動産を取得して販売するビジネスを行っていますが、基本的には在庫としてほとんど所有しないかたちです。例えば、仕入れ契約をしてから仕入れ決済までは2ヶ月ぐらいありますが、その2ヶ月の間にお客さまに販売します。当社が不動産を持つ期間は極めて短いため、金利が上がっても影響はないと考えています。

また、金利が上がれば、お客さま自身で何らかの資産を運用したいというニーズが増えてくるため、いろいろな提案ができるようになります。

金利や不動産価格が上がっても下がっても、いろいろな面でお客さまに提案できる幅があるため、業績に影響はないと考えています。

kenmo:コンサルティング業で、しっかりと収益を上げていけるということでしょうか?

石川:おっしゃるとおりです。

質疑応答:株主優待のハードルについて

荒井:「株主優待のハードルを下げる予定はありますか?」というご質問です。

石川:株主のみなさまからよくご質問いただきますので、社内で検討していきたいと考えています。

荒井:ここまでうかがって、kenmoさんいかがでしょうか?

kenmo:非常にたくさんリアルタイムでご質問いただき、貴社への興味がある、またおそらく株を持っている投資家が多いのかなという印象を受けています。

質疑応答:業績予想の修正について

kenmo:直近の決算についておうかがいします。スライド12ページに、財産コンサルティングと不動産取引で下方修正とありました。主に「ADVANTAGE CLUB」の組成が遅れたことが要因かと思っているのですが、遅れた要因と、来期、再来期にこの影響が出てくるのか教えていただけますでしょうか?

石川:「ADVANTAGE CLUB」は当社が商品を仕入れて、仕入れ決済を取得するのですが、その時期が来年にずれてしまいました。そのため、販売活動が完了せず、来年にずれたかたちです。当社は、基本的に不動産在庫を持たないため、その都度良い物件を探して仕入れます。このように時期が少しずれることもあるため、今回12月に販売活動を開始しますが、最終的な売上が来年に延びたかたちになります。

kenmo:それ以外で、期初想定と変わったことや、今後リスクとして見ておかなければいけないことは特にないという理解でよろしいでしょうか?

石川:おっしゃるとおりです。財産コンサルティングについても、決算資料でもう少し細かく分類しており、個人向けの財産承継、企業向けの事業承継、商品販売した時の手数料等を計上する商品組成の3つに分けています。最も利益率の高い本業である財産承継は、個人のお客さまのコンサルティングです。こちらが当初の予想よりも上振れして、収益性の高いお客さまが増えたため、問題は特段ないと考えています。

質疑応答:「ADVANTAGE CLUB」について

kenmo6月のログミーFinance主催のセミナーの中で、「ADVANTAGE CLUB」の売上利益の構造や、ビジネスモデルについて説明されていました。

気になる方は詳細をそちらの記事で見ていただければと思いますが、個人的に気になっているのは、上場会社のクリアル社と業務提携されていますが、「ADVANTAGE CLUB」と関わりがあるのかを教えていただけますでしょうか?

石川:「ADVANTAGE CLUB」は、1口1,000万円で提供しています。クリアル社はもう少し小口で、規模も少し小さいと思っているため、「ADVANTAGE CLUB」と直接の関わりはないと考えています。例えば、「ADVANTAGE CLUB」は10年ぐらいで売却を迎えるため、クリアル社でそのような物件ニーズが出た場合に提供することも可能です。

クリアル社は不動産テック、いわゆるシステムの分野に強いため、我々としてはそのノウハウを学べればと考えています。

kenmo:ノウハウのやり取りと、出口戦略の選択肢を少し持っておこうというところでしょうか?

石川:クリアル社の不動産の出口として、お客さまのニーズに合いましたら提供も可能です。

kenmo:反対に、クリアル社から貴社に紹介も可能でしょうか?

石川:お客さまを紹介し合うことが可能と考えています。

質疑応答:STO事業について

kenmo:STO事業についておうかがいします。2030年までに2.5兆円の拡大が予測される膨大な市場規模だと思いますが、STOを聞き慣れない方も多いかと思います。そもそもSTOは何なのかも含め、詳しく教えていただけますでしょうか?

石川:もともとはプロの投資家向けに提供されていた商品でしたが、数年前の金融商品取引法の改正により、不動産を金融商品として一般のお客さまが購入できるようになったものが、このSTOです。

インターネット経由でも購入可能で、1口10万円からも購入できるため、幅広い投資家に向けて提供できると考えています。レバレッジをかけているため、運用期間において平均的な利回りは4.1パーセントほど期待できます。

10万円、20万円の現金を持っているだけでは利息もほとんどつきませんが、このようなかたちで投資をすると利回りも期待できるため、そのような運用商品として提供しています。

質疑応答:顧客獲得手段としてのSTOの可能性について

kenmo:「今後、STO自体が顧客獲得の手段になり得ますでしょうか?」というご質問です。

石川:「ADVANTAGE CLUB」は、当社がお客さまに説明した上で販売します。STOについては証券会社が販売するため、当社はそのような金融機関に販売するかたちになります。

このようなかたちで当社を知っていただき、ソリューションを理解していただき、そこからの顧客流入も期待できると考えています。

質疑応答:金融商品の制約について

荒井:「パートナーが金融機関中心というお話がありましたが、融資や金融商品などの意向や制約を受けることはあるのでしょうか?」というご質問です。

石川:金融機関から「このような融資の提案に持っていきたい」とご相談を受けることもありますが、お客さま全体の資産と家族構成を見て最適な回答を出しています。

ゆくゆくはソリューションの1つとして、不動産を購入いただくと金融機関から融資するという提案も検討しており、お客さま、金融機関、当社が「三方よし」となるかたちのソリューションを提供していきます。

質疑応答:増配の予定について

荒井:「現状、配当性向50パーセントを割っていますが、さらなる増配の予定はありますか?」というご質問です。

石川:先日、最終利益も少し上方修正したため、現状は配当性向49パーセント弱ぐらいになっています。最終利益は見込みですので、着地次第で再検討を考えています。

質疑応答:顧客からの期待度について

荒井:「先ほど、IRセミナーなどを活発に行っているというお話がありました。セミナーなどで直接顧客が増えるということは、自由度の高い提案ができるとお客さまから見込まれているのでしょうか?」というご質問です。

石川:金融機関からご紹介いただくと、例えば、運用商品の提供は金融機関が行い、それ以外は当社が担当というかたちで棲み分けすることもあります。直接のお客さまの場合は、当社で自由にコンサルティングができ、制約がないため、自由度が高いと考えています。

石川氏からのご挨拶

荒井:最後に、今日ご覧になっているみなさまへメッセージをお願いします。

石川:市場環境は追い風ですので、今後もどんどんお客さまが増えてくると考えています。

コンサルタントを増やして生産性を高め、より多くのお客さまにコンサルティングを提供して成長していきたいと考えています。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございました。