「互いの手法をぶった斬る!」といいつつ、実は仲良しな二人

森口亮氏(以下、森口):みなさん、こんばんは。今日は「数字で攻めるExcel株投資家 VS 数字オンチのど文系女子投資家 双方の投資手法をぶった斬る対談トーク」というテーマで始めていきたいと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

森口:ありがとうございます。始めにみなさんに謝っておかなきゃいけないことがあります。

藤川里絵氏(以下、藤川):そうなの?

森口:そうなんですよ。「お互いの投資法をぶった切る」って言っているじゃないですか? でも僕たち、けっこう仲良しなんですよ(笑)。

(会場笑)

藤川:そうね(笑)。昨日、事前に打ち合わせしたけど、ぜんぜんぶった斬れなかったの。

森口:そうなんです。だからたぶん、おぎやはぎのコントみたいになる可能性が(笑)。

藤川:ほんわかしちゃうと思うね。

森口:ほんわかしちゃうと思いますので、もしも“殴り合い”みたいなものを想像している方には、ちょっと期待外れになっちゃうかもしれないので、そこだけよろしくお願いいたします。

ともに「10年選手」で「アベノミスクに乗っちゃった系」の投資家

森口:ではまず最初に、この2人の共通点についてお話させていただいて、続いてお互いの本を自己紹介を兼ねて紹介。そのあと、ざっくばらんにいろいろと対談していければと思っております。

では2人の共通点なんですけれども、まず投資歴がけっこう近いですよね、

藤川:そうね、10年くらい?

森口:2010年スタート?

藤川:そうです。

森口:僕が2011年スタートなので、僕は11年、12年目ぐらいですよね。互いに「10年選手」で、アベノミスクに乗っちゃった系の投資家ですよね。

藤川:乗っちゃったね(笑)。

森口:運が良かった。

藤川:上手に乗っちゃったね。

森口:そうなんですよね。始めてちょっと経ったらアベノミクスが来て、そんなに実力ないんだけど、けっこう儲かっちゃったという。

藤川:そうなの!(笑)

森口:そういうタイプの投資家です。

「四季報LOVER」でありながら、選ぶ銘柄は異なる両者

森口:そして、2人とも同じ株式投資のスクールで学んだんですよね。

藤川:そう。だから師匠が一緒ですね。

森口:そうなんです。ファイナンシャルアカデミーというスクールなんですけど、そこで2人で学び、そのあと講師もやりましたね。

藤川:はい。やりました。

森口:だから同じ先生に株式投資を学んで、基本的な投資手法がよく似ているんです。その投資手法というのは「日本株をメインにして、会社四季報で銘柄を探して、成長株に中長期で投資をしていく」という、兼業投資家とかでもぜんぜん実現可能なスタイルがメインになっています。

「会社四季報で銘柄を探す」ことを、僕らは勝手に「四季報ナイト」と呼んでるんですけど、これ公認なんですかね?

藤川:編集部の方もそう言っているから、公認です!

森口:Twitterとかでも「#四季報ナイト」(というハッシュタグで投稿しています)。会社四季報を定期購読すると、発売日の1日前に届くので「その日のうちに読んでしまおう!」ということを、僕らに教えてくれた先生がずっとやっていたんですね。なので僕らもそれを真似して、10年間やっています。

(藤川氏の書籍『世界一楽しい! 会社四季報の読み方 小説のようにハマり、10倍儲かる!』を指して)この本の中には、計44冊(の会社四季報を読んだ、と書いてある)。「早いもので44冊目です」みたいな。

藤川:そのときに数えたんだと思う。

森口:11年ですからね。

藤川:そういうことです。

森口:(藤川氏の書籍を指して)この本では「四季報LOVER」と名乗っているんですけど。

藤川:名乗っています。

森口:(自身もそれをやっているので)僕も四季報LOVERである、と。

藤川:私が“公式”です。森口さんは認めない、まだね(笑)。

森口:みなさん、四季報は見てますか? 東洋経済新報社の四季報オンラインの中で、藤川さん、すごく目立つところにいますよね。めちゃくちゃ羨ましい。

藤川:ゴリ押ししていますから。

森口:素晴らしいですよね。という、四季報LOVER。僕も“なんちゃって四季報LOVER”という共通点があります。ただ、ここからが違っていて。やっぱり、選ぶ銘柄がけっこう異なります。

それは1つ「男性・女性の視点の違い」なんかもあるのかな? と思いますし。あとは本日のイベント企画のタイトルにもなっているとおり、僕はけっこうExcelとかも使って、数字でバーっと並べてそこから深く分析していくスタイルなんですけど。藤川さんはこの本読むとわかるように、コメント欄に注目したりとか。

藤川:そうですね。

森口:あと月足チャートで見たりとか。「最後、どうやって選んでいるんですか?」と聞いたら「直感です!」と。

(会場笑)

森口:「ああ、なるほど……」と。

藤川:駄目なやつね(笑)。

両方やると、もう“鉄板”

森口:今日、会場に来てくださったみなさんが、それぞれで(森口氏の書籍)『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資 超効率的な「ファンダメンタル分析」入門』を読んでくださっている方もいますし、この(藤川氏の書籍)『四季報の読み方』を読んでくださっている方もいると思うんですけど。それぞれの片方しか知らない状態でこの話を聞いていたら「いったいどっちにすればいいんだ?」と、悩むんじゃないかなと思います。

でも昨日、事前に「どんな話をしようか?」って打ち合わせしてたんですね。そこで出た結論を、先に伝えておきます。「どっちでもいい」です!

藤川:そうね(笑)。

森口:「好きなほう」から……というか「自分に合うと思ったほう」から、まずは始めてください。ただ、話している中で思ったのが「自分にとって得意なことを、何となく継続できちゃっている」ということなんですよね。お互い「(相手がメインで)やっている手法がちょっと面倒くさいから敬遠している」みたいな、そんな感じなんですよ。お互いがやっていることを本を通じて知ったら「それってやっぱり、やったほうがいいよね」と、2人で言い合っていましたね。

藤川:そう、お互いね。

森口:だから「どっち(の手法)でもいい」です。好きなほうから読み込んで、ぜひやってみてください。慣れてきて「いいな」と思える“壁”を1個超えたら、ぜひ、もう1冊の本も読んで、そのエッセンスも少しずつでもいいので取り入れてみる。

藤川:両方やると、もう“鉄板”だよね。

森口:鉄板だと思います。「これ(森口氏の手法)やったら私、すごい儲かるかも!」と藤川さんに言っていただけました。

藤川:そうそう! さっそく真似しようと思って(笑)。

森口:なので、ぜひぜひそんな感じで今日は聞いていただければと思っています。

四季報を推理小説のように“謎解き”すると、すごく楽しい?

森口:では自己紹介も兼ねて、2人の本の紹介をしていきたいと思うんですけれども。僕ばっかりしゃべっちゃうとなんで、藤川さんからご自身の本の紹介と簡単な自己紹介をお願いします。

藤川:はい。藤川里絵と申します、よろしくお願いします。私はさっき紹介していただいたように、株式投資歴が11〜12年ぐらいですね。どういう投資をやっているか? というと、最近『ド文系女子の株の達人が教える 世界一楽しい! 会社四季報の読み方』という本を出したんですけど。会社四季報の中から銘柄を探して、それを「良きタイミングで買う」という投資をずっとやってるんです。

投資をやってる人だったら、四季報って読んだことはあります? 読んだことない人もいるのかな。たぶん会場にいる人は、見たことはあると思う。でも実際「四季報からどうやって銘柄を探していいかわからない」とか「買ってはみたけれど、結局、お漬物の“重し”になっている」って人とかもいると思うんですよね。

それってなぜか? というと、たぶん「ただ見るだけ」ではつまんない。だって数字の羅列だし、すごく堅そうだから読む気もしない。私も最初はそうだったんですけど、そうじゃなくて。「四季報から上がる株を見つけよう!」っていう、いやらしい気持ちがあるとつまんないんですよ。

そうじゃなくて。四季報を推理小説のように“謎解き”(するように読む)。つまり「記者の人が(読者に)謎を仕掛けている。それを見つけるような気持ちで読む」。すると、すごく楽しいってことがわかったんですね。

森口さんは数字を大事にする。もちろん私もそれは大事だと思うんだけど、四季報って記事欄にすごくいろんなヒントがあって。すぐには投資に結びつかなくても、それが後々「あ、そういえばあそこにあんなこと書いてあった」みたいなことがけっこうあって。それが投資につながることもあるんですよね。

そういう「(四季報って)楽しいものだよ」ということを書いた、四季報の販促本みたいな(笑)。これ(自身の著書)を読んで四季報を買った人もたくさんいるみたいだから、四季報の販促本みたいなものです。興味がある人は、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

森口:「四季報からお願いされて書いた本」ではないんですよね?

藤川:“自ら”書きました!

森口:素晴らしくないですか。

藤川:自ら四季報の人に「いいですか?」と許可も取りました。けっこう大変なんですよ。四季報の本を書くのって。

森口:そうなんです。

藤川:そんな感じです。

株の基本的な計算「加減乗除」において、とても便利なExcel

森口:ありがとうございます。じゃあ今度は、僕の自己紹介させていただきます。森口亮(まこと)といいます。よろしくお願いします。僕はこちらの『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』という本を書かせていただきました。

このタイトルについて、「Excel」ってみなさん、使ったことありますか? 僕、ぶっちゃけ「Excel」ではなくて、ほぼ同じような機能の「スプレッドシート」というのを使っています。

Excelって、本来のメイン機能は表計算ですよね。でも僕は最初は「単なるメモ」というか、「どんな銘柄をピックアップして、どんな感じかな」というのをメモしてただけなんですけど。「表計算機能もあるから計算しておこうか」と、そんなふうに考えるようになって。いろいろやっていったら「あれもできるな」「これもできるな」と、どんどん気が付いていったんですね。

僕はExcelがすごく上手なわけでもないし、マクロとかプログラムとか書いているわけでもぜんぜんなくて。シンプルに「足し算・引き算・掛け算・割り算」しか使っていないし。株の基本的な計算って、それしか使わないじゃないですか。

その程度の計算なら、自分の知識でもExcelがすごく便利だということにだんだん気が付いていって、5年間くらいずっと改善を繰り返していって。そしてようやく、ここにたどり着いたという感じなんですね。

なので、けっこう年季がこもったと言いますか、非常にいい本になったなと自画自賛しています。

藤川:なってます。

森口:藤川さんにとっても、いい本でしたか? 読んでいただけましたか?

藤川:いい本でした! すごいなと思って。

森口:ありがとうございます。書籍の内容については、この後の対談で深堀りしていきたいと思うんですけど、四季報との相性が本当に抜群なんですよね。

僕らは四季報LOVERで、この書籍は四季報との相性も抜群ですので、ぜひぜひ読んでみてください。かつ、フォーマットダウンロードできるので、使ってみていただければなと思っております。あらためて、今日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

『Excel株投資』をやれば、余った時間で銘柄分析に注力できる

森口:ではここから、お互いの本を読んでの感想を話していきたいと思います。まず最初に聞きたいのは、お互いの本を読んでみての「自分にはない視点」について聞いていきたいと思いますので、藤川さんからお願いしていいですか?

藤川:「ない視点」ではないんだけど、私が今までやってこなかったこと。それは「データを記録する」ということなんですよね。もちろん、この四季報もそうだし決算もそうだし、記録したほうがいいのはわかっているけど、(これまでは)手書きで記録していたの(笑)。

でも森口さんの本を読んだら、わざわざ自分で計算しなくていいし、何より「損益率」とか勝手に目標のところとか出てくるんでしょ? (これまでは)自分で計算して、ノートに手で書いていたんですよね。そうすると、すごく時間がかかる。それって単純作業というか事務作業だから、そこに時間を掛けるのってすごくもったいないと思ったんですよ。

でも、森口さんの『Excel株投資』をやれば、そんなの自分の頭を使わなくてよくて、すごく短い時間でできる。そしたら、余った時間で銘柄分析。四季報をもっと読んだり、決算短信を読んだり、有報(有価証券報告書)を読んだり。他のことができるなって今更ながら感心して、ありがとうございましたと。

今日も(書籍から)フォーマットがダウンロードできるから、さっそくしたんですよ。これ、想像を超えるレベルの高さだから、ぜひみなさんダウンロードしてみてください。

「記事欄」を定期的に読み込むことで気づく、言葉の変化

森口:ありがとうございます。じゃあ僕のほうも藤川さんの本を読んでみての、自分にはない視点なんですけど。僕は「これ、藤川さんにしか書けないな」と思いました。普通は投資って……いや「普通」って言っちゃいけないね。

藤川:「普通」がどうかわからないもんね。

森口:人によってだいぶ違うと思うんだけど、やっぱり(書籍の構成として)パート1に「記事欄(についての記述)」が来る株の書籍なんて見たことない。

藤川:そっか!

森口:ないと思います。「記事欄が推理小説のように」ってね。ここから投資のヒントを見出そうと思えるところが、まずすごいなと思ったし。ここに出てくる銘柄の半分以上、僕はまず見ないなと。

藤川:ええ! そうなの!?(笑)

森口:(見ない)ような銘柄が(載っていた)。でも本当に、日常的に会社四季報を雑誌のように読み込んでいて、記事欄も定期的に読んでいるからこそ、そのちょっとしたキーワードに“アンテナ”を張って。

その張ったアンテナを、前号・前々号と振り返って「こういうふうに言葉が変化してくるんだな」という、言葉の変化(に気がつく)。決算短信とかではやらなくはないんだけど、それ(「四季報の記事欄の読み方」)が(書籍の構成上)最初のパートに来ているというのは、なんかすごいなと思いましたね。

記事欄は「ただ『本みたいに読む』」という藤川氏

森口:ふだんはどんな感じで(四季報の記事欄を)読んでいるんですか?

藤川:私の場合は、ただ「本みたいに読む」んです。最近の四季報はオンラインもあるから、昔みたいに「(本の)四季報が届いた翌日に(株を)買って、サプライズで上がる」というのはだいぶ少なくなっちゃったんですよね。だから、それはあまり求めていなくて。

毎朝1時間「四季報読書タイム」というのがあって、ただ記事欄を読む。そこから何かをしようと思っていない。ただ単に「自分の雑学としての知識を増やすため」というのもあって、ひたすら読むんですよ。1000番台から順番に。それが楽しい。

森口:すごいですよね。僕なんかは、お気に入り銘柄をピックアップしたら、それ中心にばかり集めるから。(藤川氏の書籍には)そういう雑学的な知識がすごく深いなと思って。

藤川:そう。雑学が増える。

森口:「よくこんなこと知っているな」と思いました。そういう感じの本になっているので、知識の幅を広げるという点ですごくおもしろかったです。あと、1個だけ気になったのが、17ページ。最初のところに書いてある「四季報を長年愛読している私の友人が見るのは、主に業績欄」。これってたぶん、僕のことですよね?(笑)

(会場笑)

藤川:はい!

森口:合ってます? よかった(笑)。

藤川:森口さんのことです! よく気付いたね(笑)。

森口:最初読んだ時には、そんなに気にしなかったんですけど。

藤川:あらためて、読んだら気付いちゃった?

森口:今日、移動中に読んでいたら「もしかして俺のことか?」って(笑)。

藤川:はい。許可取らずにすみません(笑)。

森口:ぜんぜん大丈夫です、ありがとうございます(笑)。ネタに使っていただいてうれしかったです。

「私、検証したことがないんだよね」「本当に……?」

森口:じゃあ続いて「お互いの本を読んでみて、真似したいなと思った点」について聞いてみたいと思うんですけど、いいですか?

藤川:真似したいところは、四季報で銘柄ピックアップするじゃないですか。最初に登録して見るんだけど、森口さんは最後にちゃんと反省しているんですよね。自分がピックアップした銘柄が、例えば3ヶ月後にどういうパフォーマンスだったのか。

しかも3ヶ月後だけじゃなくて、間も見ているでしょ。その時の高値・安値みたいな。私はそういうのをやったことなかったから、確かにそれを(四季報の)毎号毎号やってたら、絶対にいいよねとすごく思ったんで、その点は真似したい。

真似したいけど、今までのわたしのやり方だとたぶん真似できないから「『Excel株投資』をやります!」って、結局はそこになっちゃうけど(笑)。Excelに入力するというのを、ちゃんとやろうと思いました。

森口:ありがとうございます。これもまた、事前打ち合わせの時の話なんですけど(藤川氏に)「私、検証したことがないんだよね」と言われて、愕然としました。「本当に……?」と思って。「それでよく10年間がんばってきましたね!」みたいな(笑)。

藤川:そうなの。ある意味で器用だから、できちゃったんだね(笑)。

森口:という部分も当然ある。ちょっとしたセンス的な部分もあると思うんですけど、僕の中では自分をすごく「できない」と思っているんですよ。できないからこそ改善していかないと、たぶんステップアップできないな、と。(自身の書籍に)検証用のシートもありますよね。

藤川:はい。

森口:検証用のシートも、四季報の発売日直前にやるんですけど、3ヶ月前の株価と発売直前の株価を見比べて、株価が上がったか下がったか。株って結局は「安く買って高く売ればいい」ワケなんで、「その間のどこで安い状態で買って高く売れていればいいか?」がわかればいいので、高値とその高値の時期等みたいなものを全部入力して。

藤川:すごい。

森口:日経平均、TOPIX、マザーズも全部入力して。それで「こういう地合いで、こういう銘柄たちが、こういうふうに変わっていったんだ」と。そしたら次の四季報が出る時に「同じ感覚で銘柄選びをしていいのか? ちょっと変えていったほうがいいのか?」についてわかるシートになっている、という感じですね。

藤川:それが大事だと思ったんですよ。つまり自分でピックアップしたものが、すごくパフォーマンスが良ければ、たぶん選択方法は間違っていない。だけど、ほとんどが上がらなかったとしたら、「ピックアップの自分の条件自体が違う」ってことですよね。それって相場環境によってもすごく違うから、毎回毎回検証するってすごいなと思いました。

習慣化・アウトプットの大切さ

森口:裏事情を言うとね。

藤川:あるの? 裏。

森口:裏事情ありますよ。

藤川:何ですか? 裏。

森口:みなさん、自分のために投資するじゃないですか。でも「自分のためだけ」って、あんまりがんばれなくないですか。? 強制力がないと、がんばれない。

でも四季報の講座(の講師を)やっていたので、その資料が欲しかった(必要だった)んですよ。

藤川:それあるかもね。アウトプットすること。

森口:そこで習慣化されたんですよね。だからアウトプットってすごく大事だなと思っています。僕、YouTubeもやっているし、noteもやっているし、それも全部習慣化のためにやっている部分もあるんですけど、アウトプットはすごく重要かなと思いました。

藤川:しかもそれ、人に見せるからね。

森口:そうです。「下手なものは出せない」ということでございました。

株価が上がる会社を一瞬で見つける方法「月足ぴょこ」

森口:じゃあ続いて、僕が藤川さんの本を読んで真似したいなと思った点。115ページですね。タイトルを読みますと「3,800社分のチャートの中から、株価が上がる会社を一瞬で見つける方法」。

藤川:はい。一瞬で見つけられる! これは間違いないです。

森口:素晴らしい方法ですよ。会社四季報って(読むのが)大変なんですよ。3,800社分あってね。業績欄から見るのが僕のやり方ではあるんですけど、藤川さんは最初は株価チャート。

藤川:チャート。月足。

森口:月足チャート。月足チャートを見て「陽線でポコ!」…いや「ぴょこ!」ですね(笑)。

藤川:「ぴょこ!」です(笑)。

森口:ごめんなさい。「ポコ!」じゃなくて「ぴょこ!」です。

藤川:そこ、大事なんです。

森口:「月足ぴょこ」って呼んでますよね(笑)。

藤川:「月足ぴょこ」です(笑)。

森口:藤川さんはチャートをババっと見ていって「月足で陽線が“ぴょこ”って立っているもの」を見つけて……そこからどうやっているんですかね? もうちょっと詳細を教えてください。

藤川:四季報が届いたその日に「月足ぴょこ」っとなっている銘柄だけに付箋を貼りますよね。そうするとだいたい50銘柄ないくらい、そんなにたくさんないんです。「月足ぴょこってなっている」「横ばいからぴょこってなっている」。もしくは「下落したところからぴょこっとなっている」。

それに付箋を貼って。月足でぴょこっとなっているのは、わりと継続的に株価が上がっているから、何らかの要因があることが多いんですよ。そのあとに、記事欄。記事欄を読んで「何でこんなに株価が上がっているのかな?」って、3号とか4号ぐらい前から(遡って)読んでいく。

その理由が納得いくものだったら、投資対象になる。まだこれから上がる余地がある。だいたい「月足ぴょこ」って、「すごく横ばってから上がる」か「すごく下がってから上がる」のどちらかだから、割安なことがすごく多い。月足で上がるということは、突発的で短期的な要素じゃないことが多いんですよ。だから、けっこうそれだけでそのあと上昇するものを見つけられるんですよね。お勧めします。

藤川氏が実際に投資した、オカムラの事例

森口:本当にこれはすごいなと思いますよ。実際に藤川さんの本の中では、119ページにオカムラの例が載っていますが。オカムラのちょっとした言葉の変化を、実際に見ていたんですか?

藤川:そうですね。

森口:実際に見てて、実際に投資したんですか?

藤川:はい。オカムラの椅子も買ったしね(笑)。

森口:すごいですね、本当に。本に載っているのは、2021年の1週と2021年の3週の言葉のちょっとした違いなんですけど「ちょっと広がったな」という感じ(の印象)ですよね。「社内や駅に設置する一人用ブースの引き合いが活発」という記述が2021年1週。そこから3週だから、半年後の記述は「個室形式のワークブースは企業内だけでなく、公共空間でも引き合い活発」。

藤川:そうそう。

森口:「公共空間」(という文言)がプラスされた。

藤川:そうそう。企業間でもあるじゃない。

森口:企業間でもある。

藤川:そう。やっぱりBtoBになると儲けがあるからね。

森口:儲けがぜんぜん違う。そういう要因も含めて、投資対象に入るということですよね。こういうふうに過去を深掘りしていって。かつ、過去だったら僕なんかは業績とかから入っちゃうけど、コメントから入るというのは藤川さん独特だし、ここはやっぱり真似したいなと。あとは「月足ぴょこ」というのが気軽ですよね。

藤川:誰でも最初の“とっかかり”としては、月足ぴょこは(オススメ)。

森口:本当にお手軽。

「どういう状態が『ぴょこ』なのか?」は著書に

参加者:「月足ぴょこ」って、四季報に書いてあるんですか?

森口:本に書いていますよ。

参加者:ええ!?

藤川:私の書籍のほうにね。四季報には「ぴょこ」って書いてくれてないです(笑)。

(会場笑)

藤川:「ぴょこ」は自分で見つけて。「どういうのが『ぴょこ』なのか?」は、この本に書いてあるから。

森口:「ぴょこ一覧」みたいなのはない。

藤川:それはない(笑)。

森口:あったらほしいですね(笑)。

藤川:でもね。四季報オンラインに、有料の人しか見られないんだけど。スクリーニングのところに、プロのスクリーニングってあって。そこに「藤川里絵さんの月足ぴょこ」っていうコンテンツはあるの。

(会場笑)

藤川:それをクリックすると「ぴょこ」みたいになるやつが、ちゃんとした計算式で編集部がやってくれたんだけど、月足でぴょこっとなる銘柄がピックアップされるから、もしよければそれを使ってみて。

森口:あったわ。見た見た。

藤川:これ、公式だから。

森口:月足ぴょこはスクリーニングできます。

藤川:いい銘柄が出てくるのよ。

森口:それをスクリーニングしてしまうと、もしかしたら紙の四季報が売れなくなるかもしれない(笑)。ありがとうございます。

後編はこちら