「1日5分の分析」を毎日のルーティンにするコツとは?
森口亮氏(以下、森口):では続いて、お互いの本を読んで「これはちょっと難しいな。無理だな。すごいな」みたいなところを聞いてみたいなと思います。
藤川里絵氏(以下、藤川):無理なところは、これ(森口氏の手法を指して)5分でできるとは思わない(笑)。本の中身は実際やってみないとわからないから、できるかどうかわかんないんだけど。とにかくすごいのは、1日5分の分析を毎日ルーティン化する。それがどうやったら(いいのかわからない)。
私の場合の「朝1時間、四季報を読む」という(ルーティン)のは、ただ読めばいいから、何か作業みたいなのがあるわけじゃない。いろんなことをしなきゃいけないわけじゃない。でもそのあと、1時間か2時間ぐらい相場が始まる前、始まって30分くらいはニュース読んだり新聞読んだりして、とっ散らかるんですよ。「あれやって、これやって!」みたいな。「これやったっけ? あれやったっけ!?」みたいな。でもそれを、ちゃんとルーティン化していくというのがなかなかできないから。もしコツがあれば教えてください。
森口:はい。5分の分析に関しては、やっぱり「まずExcelがちゃんとできていて、本命銘柄が決まってて、本命銘柄のみの分析だったら5分でできるよね」ということなんですよね。
藤川:そこだね。
森口:そうそう。そこでチャートとニュースが表示されているのを、パパって見るだけだったら5分で終わるじゃんという、そういうことではあります。
結局は「この時間でできることはなんだ?」という強制力
藤川:はい!(挙手)
森口:はい。(挙手した藤川氏を指す)
藤川:本命銘柄に絞り込むのが......。
森口:それは本(森口氏の書籍『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資 超効率的な「ファンダメンタル分析」入門』)に書いてあります(笑)。
藤川:すいません(笑)。
(会場笑)
森口:そこは本を深読みしていただいて。
藤川:そうですね。ここで言っちゃいけないわね。
森口:いやいや、ぜんぜん大丈夫です。この本を書くにあたって「5分」という時間を設定したんですけど、それがなぜ5分になったか? というとちょっと事情があって。うちに今、2歳の娘がいるんですけど、保育園に送っていかないといけないんですよ。
それで送っていく時間が8時半なんですね。でも2歳で遊びたい盛りなので、園庭から入るとすごく遊びたがって「三輪車乗るんだ、乗るんだ!」みたいな話になっちゃって。本当は8時半に送りたいんだけど、結局は8時45分くらいまでかかっちゃうんです。そこから家に帰ってくると、8時50分くらいになっちゃうんですよ。
藤川:(9時に取引が始まって、株の売買が)始まっちゃうもんね。
森口:そこから「寄り付きまで」って計算すると、5分くらいしかないんですね。
藤川:なるほど、なるほど!
森口:だから結局は強制力なんですよ。「この時間でできることはなんだ?」と考えたら、そういうことになっちゃったということです。だから必要な情報だけに絞り込んで、必要な情報は見られるようにして、それを9時までにがんばって見ていたら、結果として「5分ぐらいでやっているよね」みたいな感じになったと。
藤川:時間がありすぎるから駄目なんだ。
森口:そういうことかもしれないですね(笑)。
藤川:(自分は)自由だから(笑)。
森口:という感じでございます。
藤川:ありがとうございます。
四季報を「ただ線を引きながら読む」
森口:そして僕のほうも(藤川氏の手法で)「これは無理だな」と思ったのが……これは被っちゃうんですけど、(藤川氏の書籍『世界一楽しい! 会社四季報の読み方 小説のようにハマり、10倍儲かる!』の)199ページ。これもさっきの「記事欄の読み込み」ですよね。これをここまでやるのは無理だな、なかなかできないなと思いました。オカムラの例ですけれども。このちょっとした言葉の違いに、なかなか気付けないなと。
藤川:線(アンダーライン)を引きながら読みます。
森口:会社四季報に線引くんだ。
藤川:学生の頃の試験で、読解の問題とかって「線引きながら読め」って言われましたよね。ああいう感じで、四季報に線引きながら読むんですよ。だから私の四季報って、すごく線が引いてある。別にそれでなにかするわけじゃない。引きながら読む。そうすると気付くんじゃないかな。
森口:なるほど。「ただ線を引く」という。
藤川:ただ線を引く。
森口:「気になったから線を引く」だけですか?
藤川:もちろん、なんか気になっているんだろうね。だけど、よっぽど「これを投資に結びつけよう」みたいなものは、四季報オンラインの登録するメモ欄に書きます。「これが将来的になにかつながるんじゃないかな」というキーワードとかは、ちょっと抜き出すんだけど。
それを全部やってたらすごく時間掛かっちゃうから、それより「ただ線を引く」だけ。ただ読むだけよりも線を引いたほうが、後々、なんとなくは記憶に残っている気がするからそうしています。
森口:それで気が付いて、気が付いたら前の四季報とかを全部引っ張り出して。
藤川:見る見る。
森口:それがすごい。なかなかできないですよね。
藤川:でもそれ、楽しいから。それを誰かに言いたくなるから。
森口:誰に言っているんですか?
藤川:Twitterとか(笑)。
(会場笑)
藤川:周りに(言う相手が)誰もいないもん。でも誰かに言いたいなって。
藤川氏の書籍に出てくる「4人の人物」誕生秘話
森口:このあと「出版の裏話」もちょっとしたいなと思っているんですけど。藤川さんの本には登場人物がたくさんいるんですけど、すべて藤川さんがご自身で設定されていて。藤川さんの「一人会話」みたいな感じ。
藤川:そうなんですよ。
森口:それをキャラクター別に分けてやっていた、ということですね。
藤川:そう。(本には)4人の登場人物が出てきて。その中に「不思議ちゃん」という、そもそも投資にまったく興味がなくて「この人がわかったら、全員がわかる」みたいな設定の人。あとは新入社員2年目くらいの営業マンで「就職活動した時に四季報を読んだきりで、ぜんぜん投資には活かせていない」という人。そして株式投資10年以上やってるんだけど、なかなか成果がでない人。もう一人は「買い物大好きさん」といって、親の遺産で株を引き継いだんだけど、どうしていいかわからないという人。
この4人は私がファイナンシャルアカデミーで講師をしてるけど、そこにいた(講義を受けていた)人なの。イメージしているのは。それを全部自分でキャラクターを設定して、自分でその4人になりきって書いたんですよ。
森口:僕が個人的に注目したのは、不思議ちゃんが最後のほうでちょっと成長してるんですよね。
藤川:そう!
森口:そこがこっちもうれしくなってくるんです。
藤川:そう! そうなの。
森口:不思議ちゃんがどんどん成長していく姿がなかなかおもしろいのと、あと藤川さんの妄想がちょっと暴走しかけてるのなんかも、けっこうおもしろいので(笑)。
僕の本って、ガチガチな本じゃないですか。
藤川:そうなの、ガチガチだった。でも時々、森口さんらしい言葉の使い方とか。(森口氏の書籍を指して)この「フルボッコ」とかそうでしょう?
森口:フルボッコはね、あんまり望ましい表現じゃないよねぇ。
藤川:そうなの?
森口:これ、編集者的にはやっぱりこういう言葉を使いたがるんですよね。
藤川:あー、そうなんだ。「森口さん語録」じゃないんだ。
森口:僕が「フルボッコ」って言うと思います?
藤川:言ったのかなと思って(笑)。
森口:(笑)。フルボッコ……まぁ、そんな間違っちゃないから、いいはいいんですね。
藤川:でもすごいね。本当に読むと勉強になったなぁ。この売買とかね。ぜひみなさん読んでいただきたいです。私と同じ銘柄もやってる(投資してる)んで、スノーピークは私は失敗したし。あとなんだったかな。けっこう被ってる銘柄ありましたよね?
森口:ユーグレナもあったし、オイシックス(・ラ・大地)もありましたよね?
藤川:あと最近もなんか一緒なのあったんじゃない。なんだかんだ、被ってる銘柄がありますよね? 新光電気(工業)とかも。
森口:新光電気ね。ありがとうございます。
「自分のためではない。みんなのためだ」の思い
森口:それぞれの本の魅力がだいぶ伝わったんじゃないかなと思いますので、ぜひみなさん本を読んでいただきたいなと思うんですけれども。ここから先はお互いの出版の苦労話なんていうのをね、ちょっとしてみようかなと。
藤川:苦労話。
森口:いいですか。
藤川:はい。
森口:大丈夫ですか。もしあれば。
藤川:苦労話……。
森口:……あの、そろそろマイク持ってもらってもいいですか?(笑)
(会場笑)
森口:ずっと僕、藤川さんのマイクスタンドになってるんですよね(笑)。
藤川:(笑)
森口:最初だけ1回だけ持ってくれたんですけど、マイク持ってくれないんですよ(笑)。
藤川:(森口氏からマイクを受け取って)苦労はね、書くこと自体はすごく好きだから、ぜんぜん苦労してないんですよね。だけど、実際に書きはじめてから出版されるまで、けっこう時間が経っちゃったから。書き上がったのが、去年(2021年)の8月ぐらいなんですよね。でも発売されたのが今年の4月だから、そこから時間が経っちゃってる。書き終わったテンションが、いったん冷めてからの発売になっちゃった。
なので、ちょっと自分のモチベーションが落ちたことと。あとは本当の苦労ではないけど、本を売るっていうのは、また書くのとは違う才能……というか能力が必要ですよね。
昔、自分が本を出したことがなかった時は「本は著者が書いたら終わり。あとは出版社の人が売ってくれる」と思ったんだけど、実際はやっぱり、中身は私が書いたけどイラスト描いてくれた人もデザインしてくれた人もいるし、編集さんも営業さんもいて。だから「この本を出版社さんに赤字が出ないように、売らなきゃいけない」というのはすごく思うんですよね。
だから本屋さんを廻ってポップを置いてきたりとか、それを写真に撮ってツイートしたりとか。そっちのほうが、自分にとっては本を書くよりもやり慣れないじゃないですか。「本屋さんに行って、書店の人に話しかける」とかって、もともとは私、まあまあ人見知りだから、知らない人に話しかけるのって苦手なんだけど。
でもこれは「自分のためではない。みんなのためだ」と。「チームのためだ」と思ってやってる。それが苦労とは言わないけど、得意じゃないけどがんばってやっていることですね。
森口:ありがとうございます。ちなみに、売れ行きは好調ですか?
藤川:わかんないんですよね。
森口:けっこう書店に並んでますよね。
藤川:「売れてる」と信じてる。このへんも私、振り返らない……というか分析しないというか(笑)。
森口:これで何冊目でしたっけ?
藤川:これが4冊目。
森口:1冊目(『月収15万円からの株入門 数字オンチのわたしが5年で資産を10倍にした方法』)が爆売れしたんですよね?
藤川:爆売れ。株の本では「1万部売れればベストセラー」と言われる中で、それは2万部以上売れてます。
森口:すごい、すばらしいです。お互い増刷がかかるように、がんばっていきましょう。
セミナーのように話した内容を、自分で書き起こして原稿に
森口:じゃあ続いて、僕の出版の苦労話もさせていただきます。僕は今回、(2021年)8月に出版の話をもらったんですけど、本を書くのが今回で初めてだったんですよ。だから本当に右も左もわからない。何もわからない状態で、とりあえず書こうと思ったんです。
本を書く時って、やり方が2種類あって。1つは、もう既に発信してる情報とかについてライターさんからインタビューを受けて、それをライターさんが書いていく方法と。一定量は自分で書いて、あとで編集してもらうという方法があって。「(担当編集者から)そのどっちがいいですか?」と聞かれて、何もわからないから「とりあえず全部自分でやります」と言ってやってみたんですけど、まぁ大変でしたね。
やっぱり「(全部で)200ページぐらいの内容の本になる」というのはわかってるけど、200ページを俯瞰して最初から作れないじゃないですか。だからもう、何書いていいかぜんぜんわかんないし、どう着地していいかわかんないし。間もどう構成していいか、ぜんぜんわかんなかったんです。
でも、そこでうまく回りはじめた……というか、すごくやっててよかったなと思ったのが、ファイナンシャルアカデミーの講師だったりYouTube。これらをずっとやってたので、スライドとかを作って講演するみたいなかたちは、すごく得意だったんですね。
だから本当に、授業・セミナーをやるような感じで、この本の内容をまず初めに1回スライドにぶわーっと起こして。それこそ、1時間半ぐらい自分でばーっと話して。それをYouTubeの動画と同じ感じで編集して。その音声を聴きながら、自分で文字起こしして。そうしないと書けなかったんですよね。
(会場から驚きの声)
藤川:私は浮かんできちゃうから(笑)。
森口:そう、天性のものがあるんで(笑)。ただ僕は、やっぱりそっちのほうが得意だったから、そんな感じでやりました。
苦労しただけ磨きがかかり、自分でも納得のデキに
藤川:でもすごい、すばらしい。
森口:結果として、それがある程度できて書き終わった後に、プロのライターさんが入って編集してくれるんですけど。ライターさんからは「情報がちゃんと整理されていたので、すごく編集しやすかったです」と褒めていただきましたね。
ただ、その後に「もうちょっと事例が欲しいです」とか、ライターさんからめちゃくちゃオーダーがあって。「これも欲しい」「これも欲しい」「こういう事例が欲しい」って追加で言われて、すごくうつ状態になって(笑)。
藤川:(笑)。
森口:かつ、その間に(2021年)11月ぐらいからアメリカ市場がかなり崩れたじゃないですか。(出版前の原稿は)もうすごく調子のいい感じで書いてたんですけど、非常に株式市場の調子が悪いと。
藤川:それ、あるね。
森口:本でピックアップした銘柄たちが下がる。それって、ちょっと嘘をついてるような気分になり。
藤川:信憑性がね。
森口:かつ、原稿の中でずっと1つの有力な事例として取り上げていた銘柄が、不正会計を起こしちゃって。「ちょっとこれ載せるのはまずいんじゃないっすかね」みたいな話になってしまい。
(会場笑)
藤川:あるね。
森口:その事例を総取っ替えとか、そういうことがけっこう締め切りギリギリまでいっぱいあり。ただ、その分だけ「じゃあ何がいいんだろう?」というのを書きました。
あともう1つ「何だよ!」って思ったのが、(ライターから)「事例がたくさん欲しい」って言われたから、たくさん書いたんですよ。もう「これでもか!」ってくらい書いたんです。でも書き終わって「あー全部終わった、やったー」と思った少し後に、ライターさんから「すみません。いただいた事例はすばらしいんですけど、数が多すぎて……。このままだと、400ページを超えます」と。
(会場笑)
森口:「ごめんなさい、半分ぐらいはカットします」って言われて、厳選された事例が……。
藤川:次回次回!
森口:そうですね。次回作のネタが残ったということですね。でも、その分だけ磨きがかかってるし、自分でも納得のデキになったかと思ってますので、ぜひご覧いただきたいなと思っています。
専業になって最初の3ヶ月、月に100万円ずつ損していた森口氏
森口:ではそれも含めてですけれども、質問もご用意いただいているということで。
藤川:(質問を読み上げながら)「森口さんに質問です。森口さんは専業投資家ですよね? 専業投資家になって、よかったことを教えてください」。
ちなみに私は兼業だから専業になったことがなくて、そもそもあんまりなりたいなって思ったことがないので、そのへんちょっとお聞きしたいです。
森口:よかったことか……なんだろうな。まぁ、時間の自由ができたというのは大きいんじゃないんですかね。自分のペースでいい。誰にも縛られないというのも、すごく大きいですね。そんなところかな。
でも本にはそんなに書いてないけど、専業投資家って「なろう!」と思って意気込んでやる気を持っていくと、株式市場って打ちのめされるじゃないですか。だから最初の3ヶ月ぐらい、月に100万円ぐらいずつ損してたんですよ。「やばいな……」と思って。
藤川:それデイトレ?
森口:デイトレ中心で月100万円。勢いで仕事辞めちゃって専業になって、月100万円損する旦那ってどう思います?
藤川:え、めっちゃやだ……。
(会場笑)
藤川:それ、奥さんに言った?
森口:もちろん!
藤川:えー! 私が奥さんだったらやだ!(笑)。「もうやめろ」って言うかも。
森口:だからその時は、8時45分になると毎日下痢をしていて。
藤川:繊細さん(笑)。
森口:その時が一番痩せてたんですよ。相場が開くのが怖くて。
藤川:えぇー。
稼げる月があれば、稼げない月があってもいい
森口:そこで落ちるところまで1回落ちて。でも開き直って冷静に考えて「別に今月困ってるわけじゃないから。こんなに切羽詰まってやらなくてもいいんじゃない?」って思いはじめて。稼げる月があれば、稼げない月があってもいいし。流れがいい月もあれば悪い月もあるから。だからその範囲内でできるようにしていこうと。
「専業」とは言っているものの、YouTubeとかも同時並行で進めていって。YouTubeは自分のためにもなってるし、相手(視聴者)のためにもなってるし。かつ、そこからもお金が入ってくる状態になった時に、ようやく専業だけど……。
藤川:そうね。そこから収入あるもんね。
森口:結局は「お金を稼がなきゃいけない、日銭を稼がなきゃいけない」ってなっちゃうと、ちょっとうまくいかなかったなと。逆に「日銭を稼ぎにいかない!」って思っている時のほうがうまくいっちゃうんですよね。
藤川:わかる。
森口:やる気は出すんだけど、ただ実際に投資する時は「ちょうどいい抜け感」みたいなものがないと難しいなと思っているので、そこを実感できた。専業投資家になったのは2020年の4月なんで、もう2年以上経ったんですけど。ありがたいことにこのままやっていけそうな感じはあるので、とりあえずそれを実感できたことはよかったかなと思います。ありがとうございます。
365日YouTubeを公開し続ける、森口氏のモチベーション
藤川:森口さん、毎日YouTubeあげてらっしゃるじゃないですか。その何がすごいか? というと、同じ時間に(動画を)あげるってすごいことだと思うんですよね。しかも365日。
今は登録者数もたくさんいて、そこからお金が入ってくるから、それがモチベーションにもなるのかなと思うんですけど。最初はそんなに(登録者が)いないじゃないですか。そして、その段階ではぜんぜんお金にならないのに、毎日それなりに労力がかかる。
それを続けていくこと、そこまでいくのが多くの人にとったら大変なのに、どうやってその壁を乗り越えて、そして今も維持しているのか? っていうことについて、おうかがいしたいと思います。
森口:今、言われて思い出したんですけど、最初の3ヶ月が「暗闇の3ヶ月」だったうえ、YouTubeの収益もなかったんですよね。
藤川:(毎月)100万ずつ減り……。
森口:どこからもお金は入ってこず……。
藤川:それね、森口さんじゃなくて奥さんがヘコむわ(笑)。子ども生まれたばっかでしょ?
森口:子どももまだ、1歳になってないぐらい。
藤川:でしょ?
森口:お先真っ暗ですよね。でもまぁそこは、検証と改善でございます。
藤川:さすが。
森口:検証と改善。
藤川:じゃあYouTubeも?
森口:YouTubeも検証と改善をやってて。やっぱり「再生数を伸ばすために」ということもすごく考えるし、いかに労力をかけずにやるかと。これって『Excel株投資』とまったく同じなんだけど。
藤川:そうだ、そうだ。
森口:いかに労力をかけずにやるか? ということを、もう常に追求していって……。
朝3時に起きて、朝7時までにやらなきゃいけない2つのノルマ
藤川:あの動画って何分ぐらいで作ってるんですか?
森口:僕、朝3時起きなんですね。
藤川:朝じゃない、夜。夜。それ(笑)。
(会場笑)
森口:朝3時に起きて、朝7時までにやらなきゃいけないノルマが2つあるんですけど、1つが「5時までにVoicyを更新すること」。2つめが「7時までにYouTubeを更新すること」なんですよ。
藤川:すごい。
森口:それが365日あるので。だから5時前ぐらいにVoicyが終わって、そこから7時までなんで、2時間弱ぐらい。
藤川:何時に寝てるんですか?
森口:9時ぐらいです。(睡眠時間)6時間ですね。厳密に言うともうちょっと起きてたいなと思うことが多いんですけど、子どもに「早く寝なさい」と言って、自分が子どもより早く寝るということが多いです(笑)。
藤川:でも、毎日毎日2時間2時間で用意するって、(ネタが)思いつかない時もありますよね。
森口:あります。あります。
藤川:それってどうするの?
森口:思いつかせるんです。搾り出すんです。
藤川:むりやり?
森口:でも実際考えてるのは、例えばYouTubeだったら(構成上の)1部と3部はほぼ固定なんですよ。だから何も考える必要がなくて、間の5分から7分ぐらいを。
藤川:そのネタ。
森口:そのネタを考えればいいし、そのネタ……ネタのストックはやっぱりできないんですけど。ただ、今だったら5時にニューヨーク、アメリカのマーケットが閉まって、5時台にもう日経新聞がバーンと出るので、その時にマーケットの変動要因がぱっと出るじゃないですか。
そこからなんか拾えれば、派生していくんだけど。それ以外も例えば、リアルタイムチャートとかを見て。リアルタイムチャートだと変動率が高い・上昇率が高いランキングと、下落率が高いランキングとかって出るので、それを一覧化してみて、何が大きく動いたのか? と。そこから原因を調べて、そしたらこういう話につなげられるなみたいなことを、ずっと考えてることをやっていますね。
でもそれをやると世界のマーケットのつながりがすごく見えてくるので、そこはやっていい、やってよかったなぁと……。
「あんまり『休みたい』って感覚がない」
藤川:やったほうがいいのは、みんなたぶんわかってるんだけど。でもやっぱり「自分で決めたこと」でしょう? 「毎日7時に更新する!」って、誰かから言われたわけじゃなくって、自分で決めて自分で守ってるわけじゃないですか。それがすごいと思います。だいたい自分で決めたことって自分で破れるから、破っちゃうことが多い。でもそれを続けてるのが、やっぱり森口さんの強み。
森口:でもそこは専業になったからでしょうね。専業になったんで、やっぱり情報発信とかも含めてちゃんとやってかないと、やりきらないと後悔するというか。ある意味、追い込まれてるじゃないですか。
藤川:でも、休めないじゃない。
森口:あんまり「休みたい」って感覚がないんですよね。
藤川:(笑)。毎日でしょ? だって365日でしょ?
森口:365日。ゴールデンウィークだと親戚の家から配信するし、お正月だと実家に帰ったりすることがあるんで、実家からとか。旅行中は車の中とか。
藤川:じゃあ、どこからでも撮れる環境が作れるってこと?
森口:インターネットさえあれば。インターネットがなくても撮影はできますけどね。
藤川:じゃあもし身内が亡くなったりして、「今日は(動画公開を休止)」って時はないんですかね。
森口:それでもやろう(公開しよう)と思いますけどね。やってましたよ、この2年間で(笑)。
藤川:え、そうなの? ちょっと尋常じゃない。尋常じゃないですよ。
急性胃腸炎で嘔吐していても、YouTubeは公開
森口:でもそれで言うと、さっきお話したように損を重ねた時とか儲けが少ない時でも、奥さんが「この人(森口氏)は本気なんだな」って思ってくれたことが1回だけあって。2人でご飯を食べに行った時に、2人とも食中毒になったんですよ。
急性胃腸炎の状態になって、上からも嘔吐するし下からも出ちゃうしみたいな感じで深夜の3時ぐらいまで、もう本当にトイレで……という感じだったんですね。
当時はまだVoicyはやってなかったんですけど、その日、YouTubeはちゃんと公開してるんですよね。(動画作成を)やってて、テンション上がってYouTubeをやりきっちゃったんだけど、でもそのあと僕は(家庭内での役割が)「ご飯を作る係」なんでいつもどおりにご飯作りはじめたら、自分が「吐き気を催してる人だったんだ」って思って。
ご飯を作ってる時に「やばい、俺さっきまで吐いてたんだ」って思って。奥さんも吐いててご飯食べたくなかったから「別に作んなくてもいいから、早く寝てきな」みたいなことになってて。でもYouTubeはやりきってて。
あとでその時に公開したYouTube見たら、そこそこちゃんとしゃべれてたんで「けっこうできちゃったなぁ」と。「こんな状況でもできるんだったら、もう何があってもできるな」と思って。
藤川:確かにね。
「四季報ナイト」を意地でも続けようと思ったきっかけとは?
森口:でもやっぱり「四季報ナイト」は、意地でもやるじゃないですか。
藤川:意地でもって、そこまで意地じゃない。ちょっと休むというかね。最初から最後まで読まずに「ここだけ」とか、途中でもう寝るとかいうのは、もちろんある。
森口:あるんですね。
藤川:あります。すみません(笑)。
森口:いや、大丈夫です。僕が「四季報ナイト」をずっとやろうと思ったきっかけは、僕らの師匠が「(定期購読している)『会社四季報』を、発売日の前日に全部読むのをずっとやってる」と言っていたんです。でも、ある日。いつもは発売日前日の夕方に届くじゃないですか。
藤川:4時~6時ね。
森口:「4時〜6時指定」なんで。でも来ない、6時になっても来ない。おかしい。東洋経済に電話してみたら、どうやら定期購読が切れていたらしいんです。おっと、これはまずい。でも意地でもやりたい。意地でもやりたいと思った彼は何をしたかというと、渋谷に24時間やっている本屋さんがあるらしい。そこにまず行ってみた。で「会社四季報も入ってますよね?」「入っていますが、発売日にならないと発売はできません」と。
藤川:だめだぁ。
森口:でもそこは24時間営業なんで「24時(深夜0時)になれば発売ができます」と。だから近くのビジネスホテルを取って、24時に本屋さんに行って購入し、そのままビジネスホテルで朝までに四季報を読んだ、と。すごくないですか。
藤川:すごい。
森口:「そこまでやる理由は何ですか?」って聞いたんですよ。「なんでそんなにがんばるんですか?」って聞いたら、「だって一晩徹夜すれば数百万円儲かるんだったら、やらない手はないでしょ」と言われて。
藤川:数百万円。
森口:僕らとちょっと規模感が違うんですけどね。
藤川:そうだね。ちょっと規模感が違う。
森口:確かにそうだなと思って。
藤川:確かに、時給にするとめちゃくちゃ高いよね。
森口:そうなんですよ。だからそれを聞いた時に「投資の世界ってこういう世界なんだなぁ」と思って、すぐに自分がそこにたどり着けなくても、いずれそこに少しでも近づけるように努力していこうと思ったのが、たぶん9年ぐらい前です。
藤川:ふーん。
森口:そこからやっぱり「会社四季報は意地でも読むんだ」と決めて。
藤川:意地でやることって、いっぱいない?
森口:意地だらけです。
藤川:なんか森口さんは継続力がありますよね。それが力になってると思います。
森口:ありがとうございます。ということで、だいたい僕らの話したいことは話し終わったかなと思います。
藤川:はい。ありがとうございます。
森口:話足りないところ、ありますか。大丈夫そうですか?
藤川:大丈夫です。
「Googleスプレッドシート」に記入するルーティン
森口:じゃあ、もし質問などがある方いたら少しだけ受け付けようかなと思います。いかがでしょうか。
(会場挙手)
森口:ありがとうございます。
質問者1:先生方、今日はありがとうございました。楽しくトークを聞かせていただきまして、お二人の仲のよさを再認識した次第でございます。
森口:ぶった切ってなかったね。
藤川:ぶった切ってなかった(笑)。
質問者1:とても仲良くて、ラブラブだなと思って。
(会場笑)
質問者1:質問なんですけれども、私はファイナンシャルアカデミーの生徒でして。授業の中でお二人が「共有のシート」で毎日、日経平均とかダウとか金の指数とかやってらっしゃいましたが、その後もお二人仲良く共有されているのかな? って思って。ラブラブ度合いを確認したいと思って、質問させていただきます。
藤川:はい(笑)。
森口:概要を説明しますね(笑)。それは何かというと、この書籍『Excel株投資』でもおすすめしている「Googleスプレッドシート」というものがあって。それはGoogleアカウントを持ってる人同士で共有ができるんですよ。そこがExcelにはない、すごくいいところ。
僕は「日経平均とかNYダウとかを毎日入力していったらよくないですか?」みたいなことを藤川さんに持ちかけて。同じ講師だったので「それを共有し合っていたら、なんかいろいろいいことありそうですね」と言って、かなり最近まで続いてたんですけど。
藤川:もう6~7年はね。ていうか“私は”やってるから。
森口:そう。だから今からその話をまず藤川さんに……ここからぶった切られますね……。
藤川:ぶった切ります! 森口先生が講師を卒業されてからも私はずっと入力してて、途中まで森口さんも入れてたんですけど。だんだんVoicyとかYouTubeとかでお忙しくなって。たぶんそのルーティンに入ってないんじゃないかな? と思うんですけれども、入れられなくなって。
私が森口さんの分も最近入れてて。もう今日も入れてきたんだけど、そろそろ止めようかなと思ったんですよ。だって1人でやっても虚しいなと思って。
だけど毎日これを入れることで、例え森口さんはいなくても、自分にとっては毎日つけることで変化に気付いてる。主に指数ですね。日経平均株価とかNYダウとかボラティリティとか10年債の利回りとかね。毎日書くことで、自分にとっては役に立ってるかもしれないから、「森口さんがいなくても、1人でやり続けよう!」って、今日まさに決意したところで(笑)。
(会場笑)
森口:はい。まさにおっしゃるとおりで……。最近までやってたんですよ? 本当に。でもねぇ、やっぱり「本の発売日って、けっこう大変ですね」っていう言い訳だけさせてください!(笑)。もういろいろ考えることがいっぱい出てきちゃった、という。だから完璧じゃないってことですよ。
藤川:そう。でもルーティン。あれそんな時間かかんないから、やりましょうよ。
森口:はい。
藤川:ぜひぜひ。
森口氏のルーティンから、藤川氏のルーティンへ
森口:初めお誘いした時に、(藤川氏は)「ちょっとめんどくさい」って言ったんですよね。なんとなく記憶にあるんですけど。
藤川:私が?
森口:そうそう。「ちょっとめんどくさいな」って言ったんですよ。
藤川:言ったんだ?
森口:言ったんです。
藤川:でも、やってるから私。
森口:僕は藤川さんのために「日経新聞のこことこことここを見れば、順番にこうやって入れられるんで。入れてみてください」って……。
藤川:そう。マーケット欄を見れば全部入る。
森口:そう、そう。「全部入れられますから、入れてみてくださいね!」って僕がお願いしたんですよね。でも僕が先に離脱してますね。
藤川:はい。だからいつも日経新聞を最初にそこを開いて、そこを最初に入力するというのは私のルーティンですから。
森口:そうですよね……。
藤川:今日も。ぜひお願いします!
森口:明日から復活したいと思います!
藤川:それのいいところは。時々、入力してると2人が同時にシートに接続することがあるんですよ。もうこれが年に何回かね。そうすると「おはよう」って。
(会場笑)
「おはよう」って声かけて、これ、付き合ってたらってすごいドキドキになっちゃう(笑)。
森口:チャットみたいな(笑)。
藤川:そう。チャットみたいにGoogleスプレッドシートの中でできちゃうから。年に2~3回ありましたよね。
森口:ありました。
藤川:最近それもなくて、ずっと森口さんのところが空白。
森口:「2人で暮らしてるのに帰ってこない彼」みたいな。
(会場笑)
藤川:すごく切ないので、お願いしますね。
森口:すみません、明日から早めに家に帰るようにします。
藤川:お願いします。ちゃんと欄も作ってあるから。
森口:ありがとうございます。こころがけます。
「いくら儲けたい」とかはあまりなく「今のペースでいいかな」
森口:はい。じゃああと1問ぐらいあれば。どうでしょう?
質問者2:今日は素敵な対談ありがとうございました。株式投資を続けられていて、将来的なピジョンとかを考えておられたら、それをお聞きしたいなと思いました。
藤川:ありがとうございます。ビジョン。
森口:どうでしょう? あります?
藤川:株式投資でのビジョン……。
森口:あんまりないかなぁ。「ずっとやってくんだろうな」ということぐらいしか考えてなくって。「いくら儲けたい」とかも、あんまないですよね。今のペースでいいかなと思って。
今、実はけっこうワクワクしていて。ワクワクしているというのは何かというと、相場がすごく下がってきてるじゃないですか。でも下がってきてる時のほうが、これからやりがいが出てくるなと感じてるので。
どこまで下がるかはわかんないですけど、この相場を経験して、それでもちゃんと生き残れてたらずっと生き残れるような気がしてるので、そういうビジョンかなと思っています。
「たぶん死ぬまで株式投資やって、四季報読んでるんじゃないかな」
藤川:そうですね。私もビジョンというほどのものではなくて、一生たぶん死ぬまで株式投資やって四季報読んでるんじゃないかな。そういえば四季報、私もワイド版の大きいやつに変えて見やすくしたんですけど、たぶん一生読んで。私も「いくら儲けたい」とかはぜんぜんなくって、楽しみながら一生の趣味としてやり続ける。
やり続けることによって、たぶんいろんな人と知り合えて。自分より若い人ともたくさん話せるようになって、新しいイノベーションとかも四季報から仕入れて。そういうのをずっと続けていきたい。だからボケないじゃないかな? と勝手に思ってるんだけど。それでずっと一生、株式投資を楽しみながらやれたら、それが本望かなと思います。
あとはそれをいろんな人に伝えたい。自分が年取っても、いろんな人に楽しさを伝えていきたいなと思っています。
森口:ありがとうございます。ということで、(同時配信している)Voicyが残り30秒ほどになりました。
藤川:30秒。
森口:全部で150人ぐらいの方には聞いていただいていますね。ありがたいですね。本当にね。この場には20人ぐらいしかいないんですけど、本当にたくさんの方に聞いていただいてうれしいですね。
藤川:うれしいです。
森口:ぜひ今日の振り返りとしては、みなさんいいですか。得意なほうの書籍から読んでいただいて、得意なほうを極めていただいたら、もう片方も必ず読んでいただいて。少しエッセンスを取り入れていただくときっと成長できると思いますから、そんな感じでぜひ試していただければと思います。
ではこれで終わりにしたいと思います。今日は本当にありがとうございました。