セルムの存在意義

加島禎二氏(以下、加島):みなさま、あらためまして株式会社セルムの加島禎二と申します。本日はあいにくの天候となりましたが、そのような中、お集まりくださいまして誠にありがとうございます。私からIRミーティングを進めさせていただきます。今日は会社およびサービスの概要、2021年3月期の業績予想対実績、2022年3月期の業績予想、中計の骨子についてご説明申し上げます。

会社およびサービスの概要ですが、我々は「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」会社です。顧客企業の持続的企業価値向上の支援パートナーとして、「人と組織」の側面からアプローチしています。永続的な進化・成長に不可欠な「リーダー人材の開発」「企業カルチャーの創造・革新」をメインフィールドとして、これまでずっと事業を展開してきました。

セルムの概観

我々は「研修/コンサルティングサービス」という産業で、大企業に特化しているという特徴があり、「人と組織」の課題解決に貢献する会社です。創業27年を迎えますが、今の社員数は167名で、セルムと6社の子会社で運営してきました。私自身は2016年に創業者からマネジメント・バイアウトし、この会社の成長を確信しているため、今回、上場を選択しました。

事業内容

事業内容ですが、経営幹部層ならびに経営幹部候補層向けの「経営塾」サービスを基軸に、5つの主要サービスを展開しています。スライドの「A」が「経営塾」の領域、「B」がミドルマネジメントの革新・育成、「C」の組織開発の部分が「人と組織」のコンサルティングで、この「A」「B」「C」が単体のセルムの事業です。

「D」のファーストキャリア開発は若手で、「E」のASEAN/中国における人材・組織開発の領域とともに、子会社で展開しています。主要サービス別の売上構成比はスライド右側の円グラフのとおりになっています。

経営塾とは

「経営塾」は我々の成長の基盤ですが、経営トップがオーナーとなって次世代の経営リーダーを育成する、「個社のニーズに最適化」した企業内のビジネススクールです。各大企業は、企業内大学というものを持っているわけですが、こちらは20年前には姿もかたちもありませんでした。「経営塾」という市場が立ち上がってきたことにあわせて、我々も成長してきたという経緯があります。

これは単なる研修ではありません。経営人材を育成する人事制度であるサクセションマネジメントや、求めるリーダー人材・リーダー像は、時代によってどんどん変わっていきます。これらをコンサルティングによって策定し、受講者一人ひとりをアセスメントして、半年から1年くらいにわたる長期的なプロジェクト型の研修を行ったり、我々が「プロフェッショナルタレント」と呼んでいる複数の専門家をオーケストレーションしたりすることが我々の仕事です。

集合型の研修のみならず、1on1ということで、次世代のリーダーたちとタレントたちが1対1で壁打ちをしながら、一人ひとりの資質を見極めて育成していくのが「経営塾」です。

当社の強み① 経営塾を軸に取引基盤を拡充するモデル

「経営塾」を軸に取引基盤を拡充していくモデルが、我々の強みの1つ目です。人材開発領域の最重要テーマになるため、ここで信頼を得ていき、他の施策へ展開していきます。

ご存知のとおり、経営人材の育成は永続的に続く経営課題です。したがって、取引は長期化しやすく、深耕/横展開が可能です。また、継続的な取引基盤がずっと積み上がっていくため、準ストックとも言えるようなモデルを有していると考えています。

経営塾を起点とした取引拡大の具体例

「経営塾」を起点とした取引拡大の具体例です。スライド左側の会社からは、2013年3月期に当時のトップより「グローバルレベルで負けないリーダーを育成したい」ということで、「30代の役員と20代の課長を育成し、グローバルベースに合わせた人事制度を作りたい」と要望がありました。

そこから「経営塾」が始まり、集まってきたバリューチェーンのキーマンたちと個別のコンサルティング契約を結ぶことで1社あたりのシェアが拡大していく、つまり「経営塾を起点とした顧客とのパートナーシップ」を構築できました。

当社の強み② 顧客・プロフェッショナルタレントとのパートナーシップ

当社の強みの2つ目は、顧客とプロフェッショナルタレントとのパートナーシップです。スライド左側の強固な顧客基盤をご覧ください。大手企業に特化しているとご説明しましたが、主に売上高1兆円以上の大手企業91社が我々の顧客になっています。

主要の取引顧客150社の年間の平均取引金額は2,250万円です。新型コロナウイルスの影響でだいぶ下がりましたが、これは業界の5倍くらいと言われています。5年以上の継続取引顧客は7割超で、長期的な取引関係が我々の強みです。

スライド右側は進化し続けるタレントネットワークについてですが、「0」から始めて、現在は1,300名超までタレントネットワークが広がっています。スライドに記載しているような方々を常に旬なかたちでビジネスの現場から獲得し、プロデュースしていきます。そのため、すべて固定費ではなく変動費ということで、サステナブルな成長モデルだと考えています。

そして、セルムの営業は1人で4社から5社しか担当しないため、高密度なリレーションを追求しています。こちらも業界標準に対して10分の1くらいだと思います。

また、最上流から最下流までをテイラーメイドしていく体制を組んでおり、先ほどお伝えしたとおり、「経営塾」では、年間1,500名ほどの次世代の経営リーダーたちとリレーションができます。これが厚い顧客基盤を作っていき、私どもの強みとなっています。

ナレッジとタレントのプラットフォーム

お客さまからは、「ナレッジとタレントのプラットフォームだね」と言われます。社内を通して意思決定を行っていく上で、大企業においては先進他社の実績や安心感が非常に大事です。

何かを売り込むのではなく、個社固有の課題を解決するため、寄り添う営業や売り込みをしない営業を行っています。このようなことが、「プラットフォームだね」と言っていただける理由ではないかと考えています。

プロフェッショナルタレント

プロフェッショナルタレントの事例ですが、圧倒的な専門性や経営経験は当たり前として、優れた人間力がなければ、大企業の経営リーダーからの評価は得られません。プロ経営者のような人もいれば、マッキンゼー等のパートナー出身者や、専門家もいます。

例えばスライド左下の西村さんは、シナリオプランニングという長期的な企業のシナリオを描く専門家です。琴坂さんは新進気鋭の若手研究者で、ベンチャー企業にも明るい方です。このように旬となる方々を常に獲得していることが、我々の強みになっています。

当社の強み③ 変化し続ける個社固有の経営課題に伴⾛できる

もう1つの強みは、変化し続ける個社固有の経営課題に伴走できることだと考えています。我々は、一般的な研修会社やコンサルティング会社とは違い、自社の独自メソッドやプログラム、講師やコンサルタントをまったく抱えていません。そのような意味で、個社にフィットさせる力や、新しいニーズにスピーディに対応する力は、いずれも一般的な会社を上回っているのではないかと思っています。ここまでが会社の概要でした。

2021.3期 業績ハイライト

2021年3月期の業績予想対実績についてお話しします。ハイライトですが、新型コロナウイルスの影響を受け、前年比で減収減益となってしまいました。しかし、サービスのオンライン化によって、売上高等の業績予想は達成できています。セルムおよびファーストキャリア事業は、順調な回復軌道にあると思っています。

2021年3⽉期 業績予想対実績

業績予想対実績においては、売上高・EBITDAともに業績予想を達成しており、営業利益も対予想で2,900万円のプラスという実績を上げることができました。

COVID-19の通期業績への影響

新型コロナウイルスの通期業績への影響は、非常に大きなものがありました。上期にかなり集中して影響がありましたが、オンライン比率が80パーセント以上に上がったこともあり、下期は順調に回復しました。現在も続く緊急事態宣言の影響も、ほとんど出ていない状況になっています。

COVID-19の利益への影響

利益への影響については、どの会社も同じ状況だと思いますが、管理費用が抑制されたことによって、減少幅を抑えることができました。また、先ほどお話ししたとおり、下期、特に第4四半期の回復ぶりが通年よりも大きかったため、大きな利益減少には至りませんでした。

(ご参考)EBITDAにおけるのれんの概要

ご参考までにですが、EBITDAにおけるのれんの概要をご説明します。MBOを実施したとお話ししましたが、そちらののれんの償却、ならびにローンの返済も順調に進んでいます。

COVID-19がもたらしたリスクの現状及び成長機会

2022年3月期の業績予想です。新型コロナウイルスがもたらしたリスクは現在どうなっているのかというお話ですが、集合研修は、徹底した「三密回避」によってリスクにさらされたものの、今はオンライン化によって問題ない状態となっています。

顧客企業の業績リスクは、実はまだ残っています。一部の業界は業績が戻ってきていないのですが、それも想定内で推移しており、当期の業績への影響は現時点では非常に限定的ではないかと思います。

ポジティブサイドは、新たな成長機会として、「アフターコロナを見据えた攻め」という顕著なテーマに基づいて、DX人材育成や企業全体のトランスフォーメーションのニーズが拡大しており、我々にとって追い風だと思います。

また、手法も集合からオンラインに切り替えたことによって、たくさんの試行錯誤や学びがありました。これによって、1対1へのメンタリングが非常に伸びましたので、こちらも期待できると思っています。

2022年3月期 業績予想

2022年3月期の業績予想については、EBITDAで6億5,700万円、営業利益で4億5,000万円を目指したいと思います。私としては、アフターコロナに向けて順調な回復を想定しています。

セルム単体 2022年3月期の業績推移

セルムの業績推移については、第1四半期は非常に順調に推移していると思っています。集合リスクは想定されませんし、通期もわりと順調に進むと考えられるため、新型コロナウイルスの業績リスクは想定されないと考えています。

セルム単体のTOPICS

TOPICSです。先ほどお伝えしたとおり、今期もサービスのオンライン化が高い比率で進むと思います。

また、新しいサービスをリリースしました。「経営塾」が我々のトップシェアの強みですが、さらに付加価値を乗せていく「リーダーシップ・リテラシー・サーベイ」を開発しています。トライアル実施では非常に好評を博していますので、期待している分野です。

金融/商社のトランスフォーメーションの伴走案件は、足元でかなり増加しています。新規の顧客および案件は、このような特定の業界が引っ張っていくと思っています。

ファーストキャリア事業 2022年3月期の業績推移

ファーストキャリアについても、第1四半期ならびに通期において順調です。想定外のリスクはないと思っています。

ファーストキャリア(FC)事業のTOPICS

ファーストキャリアのTOPICSです。大企業は一括採用した新人の導入研修が4月に行われますが、ビフォアーコロナの2020年3月期と比較しても、順調に回復していると言えます。

新しいプログラムの展開も少し加速しました。我々はSDGsあるいは地方創生を掲げていますが、その中に若手リーダーの育成をテーマとした「True Experience」という研修があります。こちらの導入企業が足元で非常に増えており、よいニュースとなりました。

中期経営計画の概要

最後に、中期経営計画の骨格についてお話しします。2023年3月期には、新型コロナウイルス前までの利益水準に戻したいと考えています。それ以降、売上高は前年比で成長率10パーセントを目指したいと思っています。

セルムを取り巻く市場予測

我々を取り巻く市場環境です。新型コロナウイルスで人材開発の一部予算削減があり、そのような意味で一時的なマイナスは見込まれました。しかし、アフターコロナに向けた人材開発の投資の回復が順調に見込まれると想定しており、市場全体も再びプラス成長に転じるのではないかと考えています。

セルムを取り巻く市場トレンド

市場でも、アフターコロナが加速させたようなトレンドが急速に顕在化してきていると思っています。大手企業は社会の縮図ですから、社会の課題が経営課題にどんどん上がってきています。

例えば、DXや自律的なキャリア支援、また副業もどんどん解禁されていますので、新たな価値観による新しい働き方というトレンドが非常に強くなってきています。

投資家のみなさまの中長期志向や社会課題への意識向上を受けた組織・人材開発ということで、我々は新しい事業を考える研修をかなり行うのですが、その中で「SDGsを実現するための事業アイデアを出す」という研修へのニーズを、たくさんいただくようになりました。

アフターコロナに向けた事業・顧客価値の再編ということで、組織全体のトランスフォーメーション、特に「本業の質的変容を促したい」「企業のカルチャーを変えたい」というニーズが非常に出てきていると思います。

中期経営計画における5つの成⻑戦略

中計における我々の5つの成長戦略です。一つひとつ見ていきたいと思います。

既存顧客における成⻑戦略

既存の大手顧客に対し、取引をいかに深耕するかということですが、人事部門についてはDXを推進していきます。また、先ほどお話ししたとおり、1on1のメンタリングやDX人材育成サービスが人事のニーズとして出てきているため、これを確実に取り込んでいきたいと思います。

今までは、人事部さまとの信頼を「てこ」にして「経営塾」の参加者とお会いする中で、お引き合いベースで仕事を受けていました。

これからは、卒業生のデータをためて、こちらからマーケティング施策を積極的に打っていくことによって部門展開を広げ、1社あたりのシェアを極大化していきたいと考えています。

新規顧客における成⻑戦略

新規顧客については、大手顧客の開拓を進めます。我々が「大手」としているのは年商5,000億円以上で、日本に400社ほどあるわけですが、金融・IT・通信・物流・総合商社などの特定市場にフォーカスしたいと思います。

先ほどもお話ししたとおり、デジタライゼーションによる本業のトランスフォーメーションが「待ったなし」となると、たくさんの人たちが関わっている本業全体を変えていくことになります。これは我々の強みですので、それを活かすことができる特定市場にフォーカスするということです。

準大手顧客も伸ばしていきたいと思います。我々が「準大手」としているのは年商2,000億円から5,000億円未満で、日本にだいたい500社あるのですが、3年ほど前から取り組みを開始したところ、大手で培った知見をいろいろ活用できることがわかりました。1社あたりの年間のお取引額も大きく変わりません。そのため、こちらを加速させていきたいと思います。

新たな事業開発を通じた成⻑戦略

新たな事業開発を通した成長戦略としては、「現業の強みを軸とした事業開発」ということで、我々は経営人材に関するソリューションに非常に強いため、経営人材に特化した副業プラットフォームを作ることを考えています。

また、オープンイノベーションの時代ですから、企業内大学同士をアライアンスさせて、異業種でリーダーたちが切磋琢磨し合うような「アライアンス構想」を各社と進めたり、シニア活躍という1社ではなかなか出口の見つからない問題を、企業同士で連携して解決していくため、10社ほどの会社と「シニア副業ハブ研究会」を立ち上げたりしています。

「投資先を軸とした事業開発」としては、我々はHR‐Techを中心にコーポレートベンチャーキャピタルを持っており、数社への投資実績があります。投資先と一緒に大企業向けサービスを開発し、お客さまにご提案することを進めていきたいと考えています。

M&Aですが、我々の特定の色があるというよりは、お客さまのためのプラットフォームとして進化していく上で、さまざまな会社の強みとあわせたようなM&Aを展開したいと思っています。私の説明は以上でございます。ご清聴、誠にありがとうございました。

質疑応答:クライアントの業種別売上構成、乗り換えの多い会社、サービスの効果について

質問者1:1点目は、現状のクライアントについて業種別の売上構成を教えてください。

2点目は、御社の競合についてです。例えば、セルムに依頼する前は研修やサービスをどちらに依頼していたのでしょうか? まったく依頼していないケースはないと思うのですが、どの会社から御社に乗り換えが多いのかを教えてください。

3点目は、御社のサービスを利用することによって、その企業に対してどのようなプラスの効果が発現されているのか、また、それに対してKPIがあればお願いします。

井上卓哉氏(以下、井上):1点目の業種別の売上構成については具体的なところは避けさせていただきますが、顧客として明確に少ないところでは小売業や飲食業になります。

基本的には大企業がお客様となっていますので、どちらかと言いますと製造業の顧客は多いです。それ以外では、最近は金融業界で新たな顧客が増えてきています。

2つ目の競合についてです。基本的にはサービスの領域別に少し変わってしまうのですが、例えば、経営塾や経営人材の育成については、最近はビジネススクールを行っているような大学さまやグロービスさまなどとなります。

ミドルマネジメントでは、例えばリクルートマネジメントソリューションズさまやリンクアンドモチベーションさまなどが比較的多いと考えています。ファーストキャリア開発の領域では、例えば上場企業ではアルーさまなどがあり、それぞれの領域別に競合先が変わっている状況です。

3点目の効果についてです。経営塾では1回1日~2日間の研修を年間6回から10回程度進めていくことになりますが、顧客の経営トップなどは経営塾の最初と最後に参加することで変化を強く感じて頂いているケースが多いと思います。成果としては、「最終的に各受講者がどのようなアウトプットを出しているか」を見られるケースが多いです。

また、よくあるケースとして、例えば、同期生として経営塾に参加した方々は、社内の中でステルスのネットワークができることが多く、同期間での情報交換やビジネス上の連携などにつながります。そちらも含めた成果や効果を目的に、各企業が実施している状況だと思います。

加島:私から少し補足します。効果については井上からもご説明がありました。経営塾は社長がずっとスポンサーとなっており、経営塾が始まる前・中間・最後に社長が参加することが多いです。加えて社外取締役や指名報酬委員会も関わります。

そのため、次の経営人材を見極めるためにどのような人材がいるのかを見て、直接会話します。受講者には、例えば、「10年後にあなたが社長になったらどのような会社にするか」というスピーチを行っていただいたり、あるいは10年後の事業ポートフォリオを描かせたりします。

すると、実務ではぜんぜん見えなかったその人の構想力と、どれだけ会社を愛しているかが、手に取るようにわかってしまいます。受講生たちはものすごく大変ですが、そのような場になっています。

ですので、教育の効果だけではなく経営人材をいかに質・量ともにプールして登用していくかということも重要であり、卒業後は経営塾の塾生がいろいろな部門に散らばっていくのです。

そして、重要なプロジェクトでは必ず経営塾生同士が「またここで会ったね」「お前、何期?」というかたちで出会い、リーダーのネットワークができます。これが、社長が一番手応えを感じている効果かと思います。

質疑応答:経営塾の利益について

質問者2:基本的に経営塾についてご説明していると思いますが、経営塾は利益率が一番高くて、利益の大半を稼いでいるという考え方でよろしいでしょうか?

井上:経営塾だけで利益があるというよりは、経営塾で信頼していただいた実績がベースになって他のところに展開されていく、経営塾がすべての取引の基盤になってくるため、経営塾を中心にご説明させていただきました。

利益率についてですが、売上はミドルマネジメント革新が一番大きな割合を占めますので、利益もそちらが一番大きなポーションとなります。

加島:中間管理職のほうが人数が多いということです。

質疑応答:準大手顧客へのアプローチについて

質問者2:今の市場のセグメントの分け方としては、先ほどおっしゃっていた「競合で市場が構成されている」ということだと思いますが、準大手顧客のシェアを取りにいくにあたり、どのようにアプローチできるのかを教えてください。

加島:準大手顧客のほうは、3年ほど前から営業を始めてみました。そうすると非常にニーズもあり、現在の我々の競合に必ずしも満足していないということも、たくさん発見できました。参入して3年目で5億円ほどの売上が上がっており、数年以内にはおそらく倍増できるのではないかと考えています。

なぜそんなに自信があるかと言いますと、「大手顧客で培った知見やノウハウがかなり活かせるから」ということです。競合各社と異なり、我々は、その知見やノウハウをもとに各お客さまと一緒に課題を解決していきます。

本当に大事な、お客さまが研修で実現したいことは、自社の固有のリーダーを育て、自社のDNAを伝えて、そして社長が「ああ、この人だ」と言う人のチームを作ることです。これが本当のニーズですので、人材育成はそのための箱のようなものです。

コーポレートガバナンスの流れが強く、社外取締役からも「もうちょっとリーダーをなんとかしたほうがよいのではないか」「次の経営者をどう考えているの?」という問いが増えており、ますます我々への期待が高まってくるのではないかと感じています。

質問者2:下のほうのマーケットに行くほど、どちらかというと市場が大きく、よりパッケージ化しやすく、利益率が高いのではないかと思います。御社としては、提供するコマ数も大変多くなるということですし、上のほうとは違って、講師をより均一にそろえるようなかたちでパッケージ化していくのかどうか教えてください。それとも、コストがかかると思いますが、あくまでもテイラーメイド型を貫く方針なのでしょうか?

井上:おそらく、セルムとファーストキャリアの違いについてご案内したほうがよいと思います。ファーストキャリアについては、今ご説明したようにプログラムベースです。プログラムベースといっても、各社で特徴があります。

例えば、2日間や3日間のパッケージを持っているところもあると思いますが、一方で我々のファーストキャリアの場合は、1つのコースのプログラムではなくて、独自のモジュールをたくさん持っています。8モジュールくらいで1日分の研修ができあがるわけですが、このモジュールの組み合わせを通じて顧客の課題に応じてカスタマイズしていきます。

そのため、若手の領域においても「個社の課題をベースにしながら、モジュールをどうカスタマイズしていくか」ということを実現しています。考え方としては、下に行くほどパッケージ化していくというよりは、あくまでもカスタマイズを通じてお客様としっかりと向き合っていくスタンスです。

質疑応答:目指す市場区分とSDGsへの取り組みについて

質問者3:2つご質問したいと思います。まず、来年度に東証の市場区分が変わりますが、御社の目指す市場区分について教えてください。

2点目もそれと関連して、御社の教育内容としてESGとSDGsについての記載がありますが、御社自身の取り組み等を教えていただければと思います。

吉冨敏雄氏(以下、吉冨):東証区分については私、財務の吉冨からご説明します。来年の移行のタイミングでは、スタンダードを選択することを想定しています。私どもの場合、組織の体制として、スタンダードの中でのガバナンスに対しては耐えうる状態かと思っています。

社外取締役を含めたボード、コーポレートガバナンスの布陣については相応の体制となっているため、制度としてできあがっている部分について選定するとスタンダードとなり、事業の規模としても相応のものと考えています。その上で、ゆくゆくはプレミアムへ、市場の昇格をしていくことを想定しています。

現状の経営計画の中では具体的な日付までは発表していませんが、必要となるいくつかの基準値は乗り越えた上で、長期的にはそこを目指していくというのが、現状の想定となっています。

井上:2点目のSDGsについては私の方から回答させて頂きます。我々自身としては、現状でも例えばSDGsの「人や国の不平等をなくそう」という視点から地方創生につながるTrue Experience(Tex)というプログラムを展開したり、障がい者の活躍支援事業などに取り組んでおります。ただ、まだまだSDGsに対してどう取り組んでいくかを模索している段階であり、今後、社会の縮図とも言える大企業さまと一緒に、様々な課題と向き合っていきたいと考えております。

質疑応答:利益率について

質問者4:中期経営計画の2023年3月期と2024年3月期では、売上高に対するEBITDAのマージンの比率がだいたい15パーセントで横並びになっています。

今後のイメージとしては、売上高の成長に対して利益も同じくらいの比率で成長するとお考えでしょうか? それとも、オンライン化やeラーニングなども含めて、利益率が向上する余地や施策等をお考えであれば教えてください。

吉冨:営業利益率の切り上がる要素としては、販管費に存在する人件費の部分になると思います。何をお伝えしているかと言いますと、私どもの事業の場合、人員の稼働としては先ほどの1,300名からなる外部のプロフェッショナルタレントと、営業人員の2点です。

プロフェッショナルタレントの稼働については、その瞬間の登壇しているタイミングだけですので、今後も一定の比率で売上に対して発生するかたちになります。一方で、営業人員は増員することによる利益の増加はありますが、単純比例するかたちにはならないというのが想定される内容です。

1社のお客さまと深く深く取引していくとなると当然質・量は増えますが、比例して人員が確実に増えるような事業ではありません。従って考え方としては、営業利益率の切り上がりがある場合、販管費の構成が変わっていくことになります。

一方で、現状の中計では、新型コロナウイルスの影響も受けた状態の中で、若干保守的に設計するべきことや、今後、中期経営計画の先でプレミアム市場を含めて大きく飛躍していく中では、投資も発生することが十分に考えられます。その部分を若干勘案して、今回の中期経営計画は設計しています。

質疑応答:お客さまを担当する社員の採用について

質問者5:先ほどの質問に関わってきますが、社員が1名あたり4社から5社を担当しているというお話がありました。「人材を単に増やせば売上が増えるものではない」とは言いつつも、ある程度社員の採用は必要になってくると思います。

向こう3年くらいでお客さまを担当する社員をどのくらい採用する予定でしょうか? その採用に関して、主に中途になるのか、新卒になるのか、考えている人材像についてもお聞かせください。

井上:今後の人員計画については、純増として10名程度を想定しています。新卒と中途は、半々くらいで採用しています。

例えば、新卒はだいたい1年経つと利益貢献し始めて、3年目くらいで一人前になっていきます。6年目くらいになると、アカウントの責任者として担当できるようになります。中途に関しては、だいたい半年経ったくらいから利益貢献が始まり、2年くらいでアカウントの責任者を担えるようになります。

前提としては先ほどお伝えしたとおり、1人が4社から5社を担当しますが、1人だけで担当するわけではありません。基本的にはチーム営業を行っていますので、例えば3人で12社から15社を担当します。新しく入った人間が他のメンバーと一緒に営業しながらキャッチアップする組織の体制を作っていますので、比較的早いキャッチアップが可能です。

人材像については、新人の場合は、基本的には教育や人への貢献が好きな人です。中途の場合も、必ずしもコンサルタントみたいな方ではなくて、大企業の人事の課題にしっかりと寄り添える方です。

タレントに対してもですが、「何をしたいのか」など対話を通じて実現していくことがすごく大事になってきます。ですので、必ずしも専門性があって経験豊富という方ではなくて、顧客志向が強く、顧客の企業と人にしっかり寄り添える人材を求めており、異業種から来ていただく方も非常に多い状況です。

質疑応答:オンライン化による将来の展望について

質問者6:新たな成長機会としてDX人材の育成やトランスフォーメーションが非常に顕著化する中、研修の手法がオンラインとなり、場所を選ばずに効率よくできるようになりました。それによって講師の数がかなり爆発的に増えて、提供できるサービスの幅や規模を広げられるなどの展望は考えられるのか教えてください。

井上:まず、オンライン化についてです。講師の数が爆発的に増えるというよりは、今までは顧客先や研修会場への移動が発生して、だいたい9時から18時まで、1人の講師が常にその場にいないといけない状況でした。

しかしオンライン化により、例えば1日の中で半日だけオンラインで研修したあと、また違う会社で研修できるかたちになってきますので、1人の講師が対応できる量も増えてくると想定されます。

オンライン研修では、受講者は当然どこにいても大丈夫であるのと同じように、講師もどこにいても大丈夫ですので、例えば、海外の教授に1時間だけ登壇していただくなど、リソースに関してもこれまでのような制約がなくなっています。

そのあたりの選択肢も含めて、研修をデザインするオプションが一気に増えているという状況ではありますので、我々の中では1つの大きな成長機会として捉えています。