決算の概要
梅宮真氏:みずほフィナンシャルグループの梅宮でございます。本日はお時間をいただきありがとうございます。それではさっそく2020年度第1四半期の概要について、資料に沿ってご説明させていただきます。
資料3ページをご覧ください。はじめに、決算の概要からご説明いたします。スライドの左側3行目、本業の儲けを示す連結業務純益は、ETF関係損益等を含むベースで2,202億円と、前年同期比で284億円の増加となりました。年度計画5,700億円に対する進捗は38パーセントと、顧客部門・市場部門ともに堅調に推移しております。
内訳については、顧客部門は、米ドル金利をはじめとして海外の政策金利の大幅な引き下げにより、与信収益等が減少しましたが、国内外における貸出金収支やDCM関連収益が堅調に推移したことに加え、経費も基幹システムの減価償却費の増加などを構造改革への取り組みで打ち返すなど、経費コントロールを徹底したことにより、前年同期比で増加しました。
市場部門は、セールス&トレーディングにおいて海外の債権・デリバティブや国内の為替収益が好調に推移したことに加え、バンキングにおいても外債の売却益やキャリーポジションの構築などにより堅調に推移し、前年同期を大きく上回りました。
与信関係費用は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、国内外で390億円の費用を計上しましたが、年度計画2,000億円に対し、19パーセントの進捗に留まっています。
株式等関係損益は、ETF関係損益等を除くベースで、政策保有株式の減損などもあり、若干のマイナスとなり、大口の株式売却益を計上した前年との比較では、261億円の減少となりました。
結果として、親会社株主純利益は1,223億円となり、与信関係費用と株式等関係損益の減少を主因に、前年同期比で400億円の減少となりましたが、年度計画3,200億円に対しては38パーセントの進捗率と、堅調な決算となりました。
カンパニー別業績
4ページにお進みください。このページでは、グループ横断のカンパニー別業績を記載しております。
顧客部門について、スライドの表の中央右側の業務純益でご説明しますと、リテール・事業法人カンパニーは、構造改革への取り組みにより経費削減が進む一方で、新型コロナウイルス感染症拡大にともなう顧客設定の減少などを主因に、法人関連ビジネスで苦戦し、前年同期比で減少しました。
大企業・金融・公共法人カンパニーは、政策株式の配当金の減少などもありましたが、新型コロナ禍における資金支援にともなう貸倒金収支の増加や、ソリューション収益の計上などもあり、前年同期比で増加しました。
グローバルコーポレートカンパニーは、海外金利の利下げにともない、預金収支が増加した一方、優良非日系企業への資金支援にともなう貸倒金収支やソリューション収益に加え、欧米におけるDCM案件の獲得などもあり、前年同期を上回り、カンパニー制導入後、最高益を更新しました。
B/Sの概要
5ページにお進みください。このページでは、バランスシートの概要についてご説明いたします。
まず、スライドの左側です。コロナ禍におけるお客さまの資金ニーズ対応として、貸出金を大きく伸ばしたことを主因に、総資産は2020年3月末比で約6兆円増加しました。
スライドの右上に2行合算の貸出金末残を示していますが、国内大企業向けを中心に、全体では2020年3月末比で5兆2,000億円増加しております。
その下の外貨預貸構造については、外貨貸出金はコロナ影響による資金ニーズを受けて増加傾向にありましたが、DCMをはじめとした市場調達へシフトするなど、足元は落ち着いてきており、2020年3月末比で横ばいとなりました。一方、外貨顧客預金については2020年3月末比で増加しており、外貨預貸比率は引き続き70パーセント以上の水準を維持しております。
今後も外貨調達コストや市場動向に留意しつつ、顧客預金と中長期調達を組み合わせた安定的な外貨調達に基づく運営を行ってまいります。
貸出金
6ページにお進みください。貸出金の状況です。スライドの左側の2行合算の国内貸出金平残は、個人向け住宅ローンが減少する一方、法人向けが大きく増加し、全体では2019年度下期比で3兆7,000億円増加しました。
一方、スライドの右上のグラフのとおり、国内の預貸金利回差は、引き続き減少傾向にあります。スライドの右下のグラフのとおり、中堅・中小企業向けの貸出金スプレッドが引き続き低下していることが、主に影響したものです。
スライドの左下の海外貸出金平残は、全地域ともに非日系を中心に増加し、全体では2019年度下期比で296億ドル増加しました。とくに米州の増加が寄与しております。
なお、海外貸出のスプレッドは、スライドの右下のグラフのとおり、2019年度下期比で4ベースポイントの上昇となりました。新型コロナ禍において、米州を中心に短期貸出のスプレッド改善が進んだことによるものです。
非金利収支
7ページにお進みください。非金利収支についてご説明します。今回より、グループ横断のカンパニー別に分けてご説明いたします。
スライドの左側のグラフのとおり、グループ合算ベースの顧客部門の非金利収支は、前年同期比で200億円の増加となりました。これは、先ほどカンパニー別業績でも触れましたが、グラフの上から2つ目のCIC(大企業・金融・公共法人カンパニー)と、その下のGCC(グローバルコーポレートカンパニー)において、新型コロナ禍におけるお客さまニーズへの機動的な対応が成果につながったことによるものです。
一方で、グラフの一番上のRBC(リテール・事業法人カンパニー)は、株価上昇を受けた投資家マインドの好転により、外国株式販売が好調に推移したこと、さらにはESGをテーマにした新ファンドの設定が想定を大きく上回るなど、個人運用関連収益が前年同期比で増加しました。一方で、新型コロナを受けた顧客接点の減少により、ソリューションなどの法人関連収益が落ち込み、全体では減少となりました。
クレジットポートフォリオ
8ページにお進みください。クレジットポートフォリオについてご説明します。
スライドの左側の与信関係費用について、2020年度第1四半期実績390億円の内訳は、RBCとCICを合わせた国内で7割弱、海外で3割強となっております。年度計画2,000億円に対する進捗率は19パーセントに留まっておりますが、この第1四半期も他社の状況を踏まえ、一部予防的な引当対応を行ってまいります。
スライドの右側の金融再生法開示債権は、残高・不良債権比率ともに増加となりましたが、引き続き低水準を維持しております。足元のコロナ影響も踏まえ、引き続き与信コストの増加については十分に留意していきます。
有価証券ポートフォリオ
9ページにお進みください。次に、有価証券ポートフォリオについてです。
スライドの左側は、その他有価証券評価差額の状況です。2020年6月末の評価差額は、国内株式相場の上昇などにより、2020年3月末比で1,873億円増加の1兆3,636億円になり、引き続き高い水準にあります。
スライドの右上の2行合算ベースの債券残高については、2020年3月末比で、日本国債は短期債を中心に積み増しを行なったことにより増加していますが、外国債権はおおむね横ばいです。平均残存期間は、いずれも3年以内の運営としています。
スライドの右下の政策保有株式の削減については、2022年3月末までに3,000億円の削減という目標に対し、累計1,500億円、50パーセントの進捗となっております。
2020年第1四半期については、コロナ影響もあり、政策保有株式の売却執行は進んでいませんが、今年度の売却について、足元で400億円弱まで着実に積み上がってきております。
引き続きお客さまとの丁寧な投資を行い、早期削減に向けた取り組みを推進しております。
(参考)新型コロナ禍における取り組み
10ページにお進みください。最後に、新型コロナ禍におけるみずほの取り組みについてご説明いたします。
スライドの左側にお示ししているのは、みずほの資金繰り支援策の全体像です。従来の融資取引に加え、総額1兆円を超える新たな支援策も活用して、お客さまのニーズに寄り添う体制としております。
スライドの右上には、新型コロナ関連貸出金残高末残を示しています。海外では、優良・非日系企業を中心に、銀行調達からDCMをはじめとした直接調達へのシフトが進んでおり、2020年4月末をピークに残高は減少傾向にあります。
国内においても、大企業を中心に、借入ニーズ、残高の増加ペースも落ち着いてきていますが、その一方で、中堅・中小企業は引き続き資金ニーズが高く、今後もしっかりと支援していく必要があると考えています。
スライドの右下は、昨日、2020年7月30日にリリースしたJ-Coinのプラットフォームを活用した「J-Coin基金」による支援の取り組みをお示ししております。スマホを活用した簡単・便利な募金機能を提供することで、新型コロナウイルスにより大きな影響を受けている方々への、広くきめ細やかな支援を行ってまいります。
最後に一言申し上げます。第1四半期は、ご説明させていただきましたとおり、おおむね順調な決算となりましたが、一方で、足元は新型コロナウイルスの感染者数がふたたび拡大基調にあるなど、依然として先行きを見通すことが極めて困難な状況にあります。
引き続き高い緊張感を保ち、守りを固めつつ、お取引先の資金繰り支援や決済等を中心とした金融機能を十分に発揮し、経済・社会の1日も早い回復に向けて対応してまいります。決算に関するご説明は以上です。