17.11期 業績
井上伸雄氏:おはようございます、井上でございます。2017年11月期の業績についてご説明申し上げます。
まず売上高でございますが、5,617億円。前年に対して94億円の増収となりました。
国内は45億円の増収。海外は円高による8億円の為替影響を受けましたが、49億円の増収となりました。営業利益は313億円。前年に対して14億円の増益となりました。
国内は昨年の会計変更で生じた減価償却の一括償却がなくなることによる28億円の影響を含め、前年に対し25億円の増益となりました。
海外は円高による為替影響1億円や北米のタマゴ事業の苦戦により、10億円の減益となりました。
営業外損益・特別損益等のポイント
営業外損益ですが、持分法による投資利益の減少などにより3億円減少し、経常利益は11億円増加の325億円となりました。
特別損益は海外子会社の退職給付制度終了による損が発生したことなどにより、7億円の減少となりました。当期純利益は以上の影響に加え、法人税等の減少などにより10億円増の181億円となっています。
17.11期 業績
昨年の7月に公表いたしました計画に対しましては、売上高・利益ともに達成することができました。
17.11期 売上高の状況
次に事業別の売上高の状況を申し上げます。調味料事業はマヨネーズやドレッシングの海外展開が56億円増と伸長し、事業全体で63億円の増収となりました。
タマゴ事業は外食・中食向けの液卵などは増収となりましたが、米国の鶏卵相場の下落影響による、12億円の減収などを含めて、事業全体では17億円の減収となりました。
サラダ・惣菜事業は宅配や外食などへの展開を進めたことにより、惣菜が前年に対して22億円、カット野菜が5億円、それぞれ増加したことなどで、37億円の増収となりました。
加工食品事業はアヲハタ十勝コーンの休売による18億円の影響、アヲハタ株式会社の前年の決算月の変更の反動による25億円の減少などの影響で、46億円の減収となりました。
ファインケミカル事業ですが、通信販売向けの商品は好調に推移しましたが、医薬用EPAの減少が影響し、3億円の減収となりました。
物流システム事業は、既存顧客の受託エリアの拡大や新規顧客の増加などにより、43億円の増収となっています。共通事業は食品機械設備の販売増加によるものでございます。
17.11期 営業利益の状況
続いて事業別の営業利益の概況でございます。まず調味料事業ですが、国内で付加価値の高い商品が伸張したことに加え、主原料コストなどが減少し、16億円の増益となりました。
タマゴ事業は米国の鶏卵相場の下落影響9億円などにより、事業全体で11億円の減益となりました。サラダ・惣菜事業は売上の拡大や付加価値商品の伸張により、4億円の増益となりました。
加工食品事業はジャムなどの付加価値商品が伸張したことに加え、不採算商品の見直しなど、収益基盤強化の取り組みを継続しましたが、アヲハタ十勝コーンの休売などの影響により、3億円の減益となりました。
ファインケミカル事業ですが、ヒアルロン酸の伸張が利益の増加に貢献したものの、通信販売向けの広告宣伝費の増加などにより、2億円の減益となっています。
物流システム事業は、合理化によるコスト改善を進めたことなどを含め、10億円の増益となりました。なお共通事業は売上高の増加により、増益となりました。
17.11期 営業利益の増減要因(前年差)
営業利益14億円増の前年差での要因でございます。
17.11期 営業利益の増減要因(前年差) 主な内容
まず売上増加による利益増ですが、サラダ調味料や惣菜の拡大などで、18億円を創出いたしましたが、アヲハタ十勝コーンの休売などマイナスの要因もあり、合計で13億円となりました。
売上総利益率の改善による利益増の主な内容ですが、付加価値商品の販売を強化していく取り組みで9億円。生産の効率化や不採算カテゴリーの改善などのコスト改善の取り組みで13億円を創出いたしました。
また、総利益率の改善の中に、減価償却の一括償却がなくなることによる19億円の利益増も含んでいます。
なお主原料コストにつきましては、年間を通して相場が安定したことによりまして、12億円の増益要因となっています。
広告宣伝費は通信販売やドレッシングの新商品へ投入したことによるものです。その他の販管費は退職給付費用や社会保険料、事業拡大による人員増などの労務費の増加、またポーランドでの新規展開の費用などによるものでございます。
バランスシートの増減ポイント
バランスシート。
キャッシュ・フローの増減ポイント
キャッシュ・フローの状況を示していますのでご覧いただければと思います。設備投資の状況でございますが、年間で計画していました314億円に対しまして、272億円を実行いたしました。更新投資の延期など一部が2018年度にずれ込んでいます。以上、2017年11月期の状況についてご説明をいたしました。
18.11期 年間計画
長南収氏:長南でございます。それでは2018年度の計画についてご説明いたします。2018年度の売上高は前年差183億円増の5,800億円。
営業利益は前年差17億円増の330億円を計画しています。経常利益は前年差16億円増の341億円。当期純利益は前年差5億円増の186億円といたします。
参考) 主要相場の実績・指標
なお為替相場の前提につきましては、昨年よりも若干円安の1ドル112円で想定しています。
18.11期 営業利益の増減要因(前年差)
営業利益17億円増の前年差での要因をまとめました。食品事業では売上増加による利益を40億円確保し、売上総利益率の改善で23億円の利益を創出してまいります。
18.11期 営業利益の増減要因(前年差) 主な内容
売上増加による利益増は、国内外でのサラダ調味料の拡大や、新販路での惣菜・カット野菜の拡充などで40億円になります。売上総利益率の改善による利益増については、付加価値の高い商品の販売ウェイトを上げていく取り組みで19億円。
生産の効率化や、不採算カテゴリーの改善などのコスト改善の取り組みで9億円を創出してまいります。
なお、主原料コストの上昇による15億円のマイナス影響を見込んでおります。
食油につきましては、産地での健康の異変がない限り、年間を通じて現状の相場が継続すると予想しております。
年間では、昨年に比べ少し上昇すると予想しております。
販売促進費につきましては、売上の増加に伴うものであり、その他の販管費は主に労務費の増加によるものです。
物流システム事業につきましては、後ほどご説明申し上げます。
18.11期 事業別計画
続きまして、事業別の主な取り組みについてご説明申し上げます。
2018年度の事業別売上高と営業利益です。共通事業を除くすべての事業で、増収増益を計画します。
営業利益につきましては、とくに、タマゴ事業と、サラダ・惣菜事業が牽引します。
それでは、事業別に主な取り組みについてご説明申し上げます。
調味料事業
はじめに、調味料事業です。
売上高は、前年に対し106億円増の1,610億円、営業利益は、主原料コストの上昇を見込み、前年同様の153億円を計画します。
国内では、発売60周年を迎えるドレッシングを中心に、サラダ調味料市場をリードします。
それではまず、基幹商品の盤石化についてご説明いたします。
主力商品の深煎りごまドレッシングのシリーズ化で、サラダから主菜まで使える汎用調味料へと育成し、フードサービス市場でも提案してまいります。
焼く、炒めるなどというマヨネーズの万能化への取り組みは、キユーピーハーフのテレビCMと、SNSによるメニュー情報の拡散を起点にして、グループ共同で展開します。
調味料事業 (主食系サラダスタイルの内・中・外食同時展開)
サラダニーズが高まる中、健康感がある主食系サラダスタイルの『ベジボウル』を、外食、中食、内食で同時展開し、提案メニューの浸透力を高め、サラダ市場の拡大に努めます。
調味料事業
次に、新領域への挑戦についてです。
フードサービス市場では、ユーザーの困りごとを解決し、市場を進行します。
具材感と手作り感で本格的な美味しさを実現した具沢山調味料により、調理オペレーションの簡素化と、お客様への提供時間の短縮に貢献いたします。
また、ハーブの香りでサラダを楽しむという新たなサラダ調味料の展開で、野菜本来の味わいを楽しみたいという若年層を中心とした、新規顧客の獲得を進めます。
神戸工場が稼働し、茨城の五霞工場と合わせて、東西のマザー生産体制を構築しました。
今後、ロジスティクスとの連動で、在庫日数を短縮するなど、利益体質の強化をさらに進めてまいります。
海外については、各国のニーズに合わせた提案力を磨くことで成長し、調味料事業は国内外でマーケットをリードし続ける事業といたします。
タマゴ事業
次に、タマゴ事業です。
売上高は、前年に対し15億円増の1,020億円、営業利益は8億円増の52億円を計画します。
国内での展開については、外食・中食市場では、こだわりのタマゴを活用した商品や、技術を生かした商品で需要拡大を図るとともに、人手不足に対応した簡便なオペレーション提案の強化を進めてまいります。
内食市場では、朝食での主役化に向けて、商品ラインナップの拡充と、食べ方の提案を進めてまいります。
こだわりのタマゴ『ピュアホワイト』を使用した商品で、イースターを中心に需要創出を進めてまいります。
また、加熱しても凝固しない技術を活用し、メニュー提案による需要を創出してまいります。
朝食での主役化では、『ふわとろたまごのスクランブルエッグ』という新商品を導入して、売り場づくりを進めてまいります。
北米子会社の利益改善につきましては、原料購買、販売方法の見直しなどを継続し、体質強化を進めてまいります。
事業基盤の強化としては、原料調達の安定化や、事業内再編の推進などを進めてまいります。
また、キューピータマゴ東京工場に高速割卵機を導入しました。
現状の最大4倍の割卵能力があり、生産性工場につながるコスト削減に努めてまいります。
サラダ・惣菜事業
続いて、サラダ・惣菜事業です。
売上高は前年に対し、50億円増の1,205億円、営業利益は8億円増の46億円を計画します。
引き続き、3つの分野での成長を加速してまいります。
カット野菜では、お客様のニーズにお応えするため、栄養価の高い野菜を使用したシリーズを展開しており、2017年度はケール、クレソンに次いで、ビーツを展開し、お客様にもご好評をいただきました。今後も新商品を展開してまいります。
惣菜では、新販路の開拓と深耕、そして、マヨネーズをベースとした主力商品のサラダを拡大するとともに、商品集約や生産合理化で利益改善につなげてまいります。
サラダ・惣菜事業 (新販路の開拓と深耕、新たな技術と品位の向上)
昨年スタートしたネット通販などを中心に、様々な食シーンの展開が広がっています。
これまでのサラダに加え、今後は調理時間短縮キットなどの商品を拡充し、食卓での主役化を推進してまいります。
サラダ・惣菜事業
米飯は、量販店向けの拡大に加え、宅配ルートなどの新販路を開拓してまいります。
新領域での挑戦については、先ほど説明したEC市場への対応、また、昨年オープンしたサラダ専門レストラン『EVERYTHING SALAD青山』を活用し、お客様から得た情報などを今後の商品開発に生かしてまいります。
事業の構造改革として、省力化ラインの本格導入と、健康不純などによりますます厳しくなる野菜原料の安定調達に努めてまいります。
サラダ・惣菜事業 (新販路の開拓と深耕、新たな技術と品位の向上)
カット野菜で省力化ラインを拡充します。
品位・品質・生産性の向上を図ると同時に、エネルギーコストを削減し、人手不足の解消につなげてまいります。
加工食品事業
続いて、加工食品事業です。
売上高は9億円増の475億円、営業利益は2億円増の4億円を計画します。
既存カテゴリーは、3つの軸で進めます。
1つ目は、アヲハタジャムでの市場の活性化です。
順調に伸びているまるごと果実で主なロイヤル顧客であるシニア層を押さえ、55ジャム・スプレッドで若年層を獲得し、将来のアヲハタファミリーにつなげてまいります。
2つ目の、調理ソースの積極展開、3つ目のサラダメニューで、素材加工品の拡充については、使いやすさと付加価値の向上を追求し、パウチタイプの調理ソースや、スイートコーンなどを拡大します。
また、豆や雑穀をサラダ用などの素材として、調味料事業と連動して拡大してまいります。
新たな成長と創出は、2つの内容で進めてまいります。1つは、高齢者食をグループ横断で深耕し、高齢者の食のお困りに対応した商品を具現化してまいります。
もう1つは、大きくカットしたフルーツのフレッシュでゴロゴロ感がある冷凍ソースや、低糖度のフルーツ加工品など、フルーツ加工技術を活かした商品を展開してまいります。
そして、収益基盤の再構築では、不採算カテゴリーからの撤退や生産の再編を進め、コストの低減と速やかな商品開発など、市場対応力の向上につなげてまいります。
ファインケミカル事業
続いて、ファインケミカル事業です。売上高は前年に対し4億円増の110億円。営業利益は9億円を計画します。この中計では、素材販売は付加価値品へ特化し、収益性を高め、将来への成長の布石としてBtoCルートの開拓、育成を掲げております。
付加価値品への特価として、素材販売は医薬用ヒアルロン酸に集中し、さらに収益性を高めてまいります。
従来、医薬用ヒアルロン酸は鶏冠由来品を中心に販売しておりましたが、発酵由来品の販売を本格化します。これにより販路が拡大し、国内シェアのさらなる盤石化と、海外市場への展開を推進してまいります。
また、昨年度、定款変更ならびに製造販売業の取得を行った医療機器は付加価値品と位置づけており、今年度中に発売し、次期中計の成長につなげていきたいと考えております。
BtoCについては、独自素材を配合した2つの商品の成果を出し、通販子会社の黒字化を目指してまいります。通販子会社の主力商品は、ヒアロモイスチャー240です。
2015年6月、機能性表示食品制度の第1号商品として発売され、その後順調に成長しました。昨年度、発売後2年というスピードで売上高10億円を突破し、今年度は15億円を目指します。
物流システム事業
続いて、物流システム事業です。売上高は28億円増の1,340億円。営業利益は1億円増の60億円を計画します。
共同物流では、保管・配送効率の向上に加え、営業強化による取扱量の拡大で、収益力の強化を進めてまいります。
また、ドライバー不足に対し、長距離運行での中継輸送やトラックから鉄道へのモーダルシフトの拡大、さらには船舶の活用も視野に入れるなど、運び方を工夫することで幹線輸送力の強化を進めてまいります。
専用物流では、コンビニエンスストアや量販店向けが顕著に推移しており、今後も拡大させてまいります。食品物流業界も、慢性的な人手不足に加え、燃料費の高騰など、引き続き厳しい環境を予測しております。
職場環境の整備などにより、女性や高齢者にも働きやすい職場づくりを推進するなど、持続的な成長と収益向上に向けた事業基盤の確立に取り組んでまいります。
海外展開 主要テーマ
海外の業績と主な取り組みについて、ご説明申し上げます。海外展開は、中国・東南アジア・北米・欧州の4つのエリアで、マヨネーズ・ドレッシングの拡大に注力しております。エリアのニーズに合わせ、日本で培った提案力を活かし、各国に貢献してまいります。
2017年度の売上高は、海外全体で前年に対し113パーセント、49億円増の427億円となりました。北米タマゴ事業の減収影響はありましたが、調味料事業が中国・東南アジア・北米での順調な拡大とポーランドでの展開が寄与し、現地通貨ベースで121パーセントとなりました。
営業利益は、海外合計で10億円減の23億円となりました。タマゴ事業の減益と、中国・ポーランドでの新会社稼働に伴う費用が影響いたしました。
2018年度の売上高は、海外全体で前年に対し82億円増の509億円を計画します。調味料事業がマヨネーズ・ドレッシングを中心に4エリアで順調に拡大し、現地通貨ベースで119パーセントを計画しております。
営業利益は、海外合計で14億円増の37億円を計画します。調味料事業の売上拡大による増益と、タマゴ事業の回復が寄与いたします。
海外展開 18.11期 エリア別 主な取り組み
次に、各エリアの主な取り組みについてご説明申し上げます。中国では、スマートフォンへのメニュー配信や惣菜売り場でのサラダ提案など、市場の変化に対応した販売促進活動を通じて、家庭用・フードサービスともにサラダの提案を強化してまいります。
また、昨年増産体制を整えたタマゴ加工品とロングライフサラダの、成長著しい中食および外食市場への提案を強化してまいります。
東南アジアでは、順調に拡大している深煎りごまドレッシングを中心に、販売促進活動を強化してまいります。
2013年に発売したマレーシアでも、この深煎りごまドレッシングがドレッシング市場で売上ナンバーワンとなっております。また、フルーツフィリングやタマゴ加工品など、新規カテゴリーの育成も進めてまいります。
北米では、KEWPIEブランドの深煎りごまドレッシングを中心に、家庭用向けの販売を拡大しております。大手量販店への配荷も進みましたので、今後は販売促進活動を強化してまいります。
また、KEWPIEマヨネーズとドレッシングのフードサービスでの採用事例も増えており、主要用途の拡大につながるメニュー提案活動を強化してまいります。
輸出では、海外拠点のないエリアへ深煎りごまドレッシングの輸出を拡大していきます。欧州では、ポーランドで12月より、フードサービス向けにドレッシングの製造販売を開始し、市場を開拓していきます。
各エリアにて、マヨネーズ・ドレッシングを中心に調味料を拡大するとともに、中国・東南アジアでは新規カテゴリーの展開を強化してまいります。
今後の中国での成長に向けて
中国での、将来の成長に向けた体制整備についてご説明申し上げます。2017年12月に、現地法人の経営管理や資金管理、事業戦略策定の統括および支援を行う、中国統括会社を設立いたしました。そして、華南エリアの広東省広州市に広州キューピーを設立し、2020年春に工場の稼働を予定しております。
新工場を設立する華南エリアは、華北、華東とともに重要な経済圏の1つとされており、新たな生産拠点による生産能力の拡大で、伸長する中国の内食・中食・外食市場の深耕を進めてまいります。
中国統括会社と4ヶ所の生産拠点にて、マヨネーズ・ドレッシングを中心に、サラダとタマゴの事業も着実に拡大させ、現地通貨ベースで年約120パーセント成長の持続を目指してまいります。
配当金について
最後に、配当金についてご説明申し上げます。当社は配当金の基準として、配当性向30パーセント以上、DOE2.2パーセントを目安としております。
2017年度は年間で36円を予定しておりましたが、純利益の計画以上の上昇に伴い、計画から50銭、前年から2円増配の36円50銭といたしました。2018年度は、1円50銭増配の年間38円を予定しております。今後も、株主還元の持続的な向上を継続してまいります。
計画につきましては、以上でございます。みなさま方におかれましては、これまで以上のご支援をたまわりますよう、お願い申し上げます。