2018年3月期第2四半期決算説明会

吉田淳一氏:吉田でございます。改めましてよろしくお願いいたします。それでは、まず今第2四半期の決算についての説明を始めさせていただきます。

本日ご説明したい内容は、大きく分けて2つございます。

1点目が、足元の良好なマーケット環境を反映しまして、2018年3月期の予算を上方修正したということです。

それから2点目が、中計期間における一層の利益拡大への、我々三菱地所グループの収益獲得への自信の表れとして、当社の目安とする配当性向の上限に近いところまで、増配を行うということです。

1.2018年3月期 2Q累計実績(前年同期比)

それでは、まず簡単に上期の決算について説明をさせていただきます。昨年度の上半期と比較いたしました、今上期の実績でございますけれども、営業利益ベースでマイナスの78億円。純利益でマイナス157億円となっております。

こちらの数字につきましては、昨年度と比較しまして、分譲マンション事業における大型物件の引き渡しの時期が、下期により偏っているということ。それから、物件売却等によるキャピタルゲイン等の計上額につきましても、今期は下期に多いということが原因になっております。

また前の期に、物流の東京流通センターの新規連結に伴う、負ののれんの発生期があったこと。こういったことも、純利益の減少に影響を与えてございます。

一方で、通期で見た場合には、各事業セクションにおいて期初の見込みを上回る利益を獲得できる見込みでございます。そういったところから自信を持って、当初の想定を上回るペースで利益が進捗しているというところでございます。

それでは本題となります、今回の中期経営計画のポイント等を説明をさせていただきます。

2.本中期経営計画(18/3期~20/3期)のポイント

(2017年)5月に公表いたしました、中期経営計画のポイントの振り返りになります。

1点目として、前の中期経営計画期間までに行った収益基盤強化の成果を、利益として具現化すること。それから2点目が、(環境変化の加速をチャンスととらえ)2020年代に向けてのさらなる成長を成し遂げるべく、ビジネスモデル革新を推進していくこと。この2点でございます。

まず、2点目のビジネスモデル革新についてです。現在の当社グループにおいて、例えばアウトレットモール事業、それから回転型事業のように、次の時代の成長の原動力となる事業を育てていきたいということでございます。今申し上げました、アウトレットモール事業等。これらの事業は、過去に当社において、新たなビジネスモデルとして立ち上げた事例でございます。

当社はこれまで、丸の内再開発という、他ではまねできない既存資産のバリューアップを推進する一方で、新しいこういった事業を、当社グループの柱の1つとなるところまで育ててまいりました。

アウトレット事業は、日本一の売上を誇る御殿場アウトレットを中心に成長を続けておりまして、現在の三菱地所・サイモン株式会社の営業利益は、2018年3月期で約180億円というところまで伸長してきております。

もう1点の、回転型事業。こちらは、ジャパンリアルエステイト投資法人、それから三菱地所投資顧問株式会社とのシナジーにより、投資開発を行った後売却をして、その後運営管理とのフィービジネスを得るというバリューチェーンを構築しております。国内のキャピタルゲインと、ジャパンリアルエステイト・三菱地所投資顧問の営業利益の合計は、約200億円という規模になっております。

今年度(2018年3月期)から始まっております中期経営計画の3ヶ年を通して、これらの事業のように、当社の成長ドライバーとなるような事業の下地を作りたいと考えております。

(中期経営計画におけるポイントの)1点目に戻ります。前の中計までに行った収益基盤強化の成果を利益として具現化するということにつきましては、現在、中計策定時の想定よりも高い成果を上げております。これは、本日ご説明いたします予算の見直しの数値に表れておりますので、増配の考え方と合わせてご説明をしたいと思っております。

3.2018年3月期予想(前回予想比)

次のページに移っていただきますと、(2017年)5月に当初予算を発表して以降、良好な事業環境が継続しており、通期予想を上方修正することにいたしました。

営業利益につきましては、当初から過去最高益の予算としておりましたが、ビル・商業施設・海外事業の好調を背景に、さらに100億円(を積み増ししました)。パーセンテージでいきますと、5パーセントプラスということになりますが、100億円の積み増しをいたしまして、2,000億円の大台を突破する2,050億円に上方修正をしております。

営業利益の増加によりまして、当期純利益も40億円ほど上方修正して、1,120億円を見込んでおります。それらの要因につきましては、次のスライド等でご説明をさせていただきます。

4.通期予想上方修正の主な要因

次の4ページ目をご覧ください。営業利益をプラス100億円上方修正した主な要点は、2点ございます。1点目は、賃貸利益の増加が、約40パーセントの40億円。それから2点目は、キャピタルゲイン等の増加が、(約60パーセントの)約60億円というものでございます。

賃貸利益の増加につきましては、主にオフィスビル、それから商業施設において実現をされております。オフィスビルにつきましては、貸付の進捗が想定を上回るペースで進んでおります。

当初予算策定時には、この2018年3月期末における全国全用途の空室率予想を、3パーセントとしてご説明しておりました。貸付の進捗が想定を上回るペースで進みましたので、この数字を、3パーセントから2.5パーセントに見直しをしております。

加えまして、丸の内を中心として、各エリアの既存ビルの賃料改定についても順調に行われております。今回の見直しで、ビル事業の賃貸利益は20億円強増加する見込みとなっております。

商業施設につきましては、とくにアウトレットモールが好調でございます。国内の需要ももちろんですが、インバウンド需要ともに旺盛でございます。施設ごとで言っても、月商レコードを更新する施設が多くなってきてございます。これらを踏まえまして、商業施設関連の賃貸利益を、20億円程度上方修正するということにいたしました。

それから2つ目の、キャピタルゲイン等の増加につきましては、各アセットにおけるキャップレートの低下などの好調なマーケットを反映いたしまして、国内外の各アセットの物件売却予定価格が上振れする。そういったことで、利益の増加につながっております。

キャピタルゲイン等につきましては、この中計期間において、今期2017年度と同水準以上の利益を毎年度計上する方針としており、安定性のある利益として認識しております。

5.当社営業利益の推移(前中計期間~今期)

次の5ページ目をご覧いただきますと、当社営業利益の推移を記載させていただいております。 今回の2017年度の当初の予算の策定時には、国内外の政治経済の情勢に若干の不透明感が残っておりました。それから約半年が経過いたしまして、情勢の不透明感も後退し、良好な事業環境が確認できております。

中計のポイントの1つとして掲げておりました、前中計期間の成果を利益として具現化するということが、想定より高いレベルで推移しています。とくに市場の懸念が大きかったオフィス市況につきましては、2018年度の大量供給が、他社のビルを含めてほぼリーシング消化が進んでいると認識をしております。また、2019年度以降の供給につきましても、供給のペースは後倒し傾向にございます。

また、新ビルにテナントさんが移転することに伴いまして生じてくる、既存ビルの2次空室につきましても、丸の内エリアの優位性が存分に発揮できており、順調に貸付リーシングが進んでおります。

オフィスのプレミアム性の構成要素は、これまでもご説明してきてございますけれども、ロケーションと建物のスペックということになろうかと思います。丸の内エリアにおきましては、ビルのスペックだけではなくて、企業集積・立地・交通インフラの充実という、ロケーションでの圧倒的な強みが存分に発揮されていることを、確認できております。

さらに今後は、企業のマッチングの促進・ワークスペースの改修等を通じた働き方改革の提案・大手町ビルで計画をしておりますビルのリニューアルなど、ソフト・ハード面の施策を推進することで、他のエリアを凌駕する収益機会の獲得が可能と、認識しております。

6.今期の増配について

次の6ページをご覧いただきたいと思います。これらの業績の好調を背景に、今期の還元策について、社内で議論を行ってきております。

グラフにあるとおり、当社はこれまでも拡大した利益を、株主のみなさまに配当として還元してきております。これまでの好業績を背景に、この(2014年3月期から2018年3月期の)5年で、配当の水準は2倍。(2014年3月期の)年間12円が(2018年3月期は)24円となります。

当期純利益は、固定資産売却に伴う特別利益など、今期特有の要因も含まれておりますけれども、本中計期間は来期以降においても、今期を上回る水準の純利益を計上することができると判断しております。

その結果として、配当性向で言うと、上限の30パーセントに近い(水準の増配を決定しました)。配当性向25パーセントから30パーセントの、4円の増配を行うと決めております。この考え方につきましては、継続的な利益の見通しを背景にして、配当の上積みとして株主のみなさまに還元するという考え方でございます。

当社グループは、配当性向を25パーセントから30パーセントと申し上げておりますし、同様に安定配当ということで、よほどのことがない限り配当を減ずるということは、これまでもやってきておりません。利益獲得の自信を持って継続して行って、配当も安定的に、配当性向の中での上限値に近いかたちで還元をしていきたいということの、意思表示でございます。

本中計期間におきましても、将来の成長に向けた投資を着実に実行して、今後とも拡大した利益を、引き続き配当による還元としたいという方針で考えておりますので、よろしくお願いいたします。

私の説明は、以上でございます。