2018年3月期第2四半期決算説明会

孫正義氏:孫でございます。よろしくお願いいたします。

昨日、数多くの報道がされました。日本のみならず、米国、ドイツ、さまざまなところで報道されましたので、その内容についてはみなさんすでにご存じだと思います。

我々ソフトバンクグループのSprintと、そして米国のT-Mobile、この2社の合併の交渉をこの数ヶ月間行ってまいりましたけれども、それを正式に中止する、取り止めにするということを土曜日の夜、当事者同士で話し合いました。最終的な結論を出しました。

この数ヶ月間、私はずいぶん悩んだり迷ったりしました。

でも結局、迷った時ほど遠くを見よと。私自身が自らに言い聞かせている言葉でありますけれども、まさにその言葉どおり、迷った時ほど遠くを見よと。そうすると、自ずと出すべき結論は見えてくるということであります。

Sprintは米国での経営4位ということで、決して強い立場にはないと。

この4位のSprintと、3位のT-Mobileを合併させることによって、AT&Tとベライゾンに匹敵するお客様の数を持つと。ネットワークもより強化されたものを持つということは、さまざまなメリットがある、それがそもそもソフトバンクが米国にSprint買収ということで進出する時の基本戦略でありました。

第1回目の時は、残念ながら米国政府の許認可がまったく得られそうにないということで、中断せざるを得ませんでした。

今回は政権も変わって、もしかしたらそのような合併に関しても前向きに受け止められるかもしれないと。そういう望みを持って、2社の交渉に再度入ったわけです。

しかし交渉の過程で、合併後の会社に対して、決してソフトバンクが経営権を取れるような合併にはならなさそうだと。

せめて我々が経営権単独でとはいかないまでも、ほぼイコールパートナーという立場で合併に臨めるのであれば、選択肢としてありえるかなと考えておりましたが、先方としてはどうしても単独の経営権という状況でなければ飲めないということでした。

一方我々も、10日前の金曜日(2017年10月27日)に取締役会を行いました。そこにはジャック・マー、ユニクロの柳井(正)さん、そしてもちろんSprintのマルセロ(・クラウレ)、ラジーブ(・ミスラ)、ARMのサイモン(・シガース)、うちの宮内(謙)、ロン・フィッシャーと主要なメンバーがみな出席し、議論しました。

やはり役員共通の意見としては、Sprintが、アメリカが、我々にとって戦略的に重要な拠点なのか。戦略的に重要な会社なのか。それとも単なる投資アセットなのかと。

もし戦略的に重要な拠点であり、会社であれば、それは経営権を手放すべきではないだろうと、経営権を手放してまで合併をすべきではないだろうと。

5年後、10年後のことを考えると、それがより正しいものの考え方だということで、意見がまとまりました。

したがって、すぐその直後にドイツテレコムのCEOであるティム(・ヘットゲス)に、私自身で電話をし、これはどうも経営権という根本的な問題だから、小さな条件交渉とは違って根本に関わることだから、もう合併の話はなしにしようということを、約10日前にはっきりと伝えたわけです。

これまで何ヶ月もかけて話し合いをしてきたわけなので、電話だけで終わらせるのはお互いにいいことでもない、直接Face to Faceで会って話をしたいということでしたので、土曜日に当事者のトップが全部で8名東京に集まりまして、話し合いをして、最終的にはそのほうがいいだろうということになったわけであります。

先ほど一部の方に「今の気持ちはどうですか?」と聞かれました。私としては、ひと言で申し上げて「晴れやかな気持ちである」と。迷いが終わった後というのは、すっきりしたものです。ですから私としましては「とてもすっきりと晴れやかな気持ちである」とコメントさせていただきました。

まさにこの合併交渉停止というのは、重要な意思決定でありました。

しかし先ほど言いましたように、アメリカは世界で最大の市場であると。そこに今せっかく築きつつある、我々の重要な拠点を手放すわけにはいかないというのが結論であります。

つまり、通信・情報のインフラというのは、我々ソフトバンクにとって、これからどのようなかたちで事業を伸ばしていくとしても、欠かすことのできない根幹的なインフラであるということであります。

とくに去年買収したばかりのARMが、これから20年間で約1兆個のIoT向けのチップを出荷するというのが我々内部の予想であります。

この1兆個のIoTのチップが世界中にばらまかれる中で、米国は最もその数を多くインターネットにつなぐことになるだろうと思うわけです。

人間のユーザー同士をつなぐということの通信としては、AT&T、ベライゾンというのは圧倒的に先をいっているということだと思います。これを抜くのは簡単ではないと。それこそT-MobileとSprintを合併するというくらいのことをしないと簡単に抜けるというものではないと。

しかし一方、IoTということを考えると、我々はもしかしたらがぜん有利な立場にいるのではないかと。ARMという会社を持っているがゆえに、がぜん有利な立場にあると。

そもそもソフトバンクが日本でボーダフォンジャパンを買収するという時は、docomo、KDDIという2社が非常に大きく先行している中で、なぜ本当に末席で潰れそうなボーダフォンジャパンを、しかもすでに成熟している携帯電話事業にソフトバンクが参入するのかという質問をたくさん受けました。ほとんどの人には理解されませんでした。

しかし私は、これからモバイルインターネットの時代が来るんだと。モバイルインターネットの時代が来る時に、携帯電話はもはや電話で「もしもし、はいはい」という、音声通話のためのインフラではなくて、モバイルインターネットのためのインフラになると。

そこはソフトバンクの情報革命からすると欠かすことのできないインフラになるということを申し上げました。まだiPhoneが発表される前です。

でも、私はすでにスティーブ・ジョブズに会いに行っていました。それで、世の中には出ていませんでしたけれど、スティーブと私の間では、すでにiPhoneの開発中であるという取り決めがあったわけです。

しかし当時は、私がいくら「モバイルインターネットのために」と言っても、ほとんどの人には理解されませんでした。

今はもはや世界中にスマートフォンがこれだけ広がって、携帯電話でしゃべる回数よりも、スマホでインターネットにアクセスしている回数がはるかに多い。売上も利益も、そちら(スマホ)からのほうがはるかに多いということが、体験的にわかっています。

同じことがもう一度、もっと大きなかたちで起きるんです。それは、もはや人が人と通信するために、あるいは人がWebにアクセスするために、この無線のインターネットのインフラがあるのではなくて、それ以上にモノとモノが、モノとヒトがつながりあうと。IoTの時代がやってくると。

そのインフラのことを考えると、Sprintの経営権。世界でもっとも大きな、もっともリッチなマーケットのアメリカの経営権を失うというのは、10年後には大変後悔すると。

だから今、たとえSprintの株価が一時的に下がったとしても、ソフトバンクの株価が一時的に落胆売りされたとしても、本当に心の底から正しいと思って、晴れやかな気持ちでこの判断をするに至っているということであります。

いくら私が言っても、90数パーセントの人には負け惜しみに聞こえるんだろうということはわかっています。わかっていますけれども、私は心の底から晴れやかな意思決定をしたと信じているということであります。

またさらに、インターネットはモバイルだけではなくて、固定の家庭につながる。あるいは自動車の屋根の上につながる。コネクテッドカーということで、大変な超高速で、どこにいても、どんな山間部でも、車がどんなところを走っていても、あるいは山間部の家でも、大変高速なブロードバンドでつながると。

そのためには、従来の地上からのモバイルの基地局だけではなくて、それに加えて、空の上から、宇宙からつながると。このOneWebが超高速で、光ファイバーのスピードで衛星からつながる。しかも低軌道衛星です。

従来の衛星のインターネットだと遅いんです。細くて遅い。最初の取っかかりがつながり始めるのが遅いし、つながったあともスピードが遅いという状況ですけれども、低軌道に数千機の衛星を浮かべると。

30倍地球に近いということは、レイテンシー(遅延時間)も短いということで、数十ミリセコンドでつながると。ミリセコンドです。1ミリセカンドは1,000分の1秒です。数十ミリセカンドでつながると。

しかも数百Mbps(メガビットパーセコンド)からGbps(ギガビットパーセコンド)の世界でつながるということは、まさに光ファイバーが宇宙空間から、目に見えないかたちでつながっていると。こういう通信網ができる。

もちろんその最大の受益者はアメリカになると思います。IoT、そしてクワトロプレイ。無線のインターネットと音声(電話)、ビデオサービス、固定のブロードバンドの4つのサービスが同時に、同じお客さまに提供できる。

このようなことがまだ行われていないアメリカで、これからいよいよ始まります。クワトロプレイがいよいよ始まるんだと。そういう意味でも、我々にはOneWebという、他社が持っていない、差別化できる武器を持っていると。

このOneWebとARMのIoTの2つが、Sprintを単なる従来の携帯電話の会社ではなくて、まったく異なった次元で、まったく異なった角度から、圧倒的な差別化をもたらして顧客獲得を目指すと

つまりiPhoneを独占していたソフトバンクが、一気に飛躍して顧客を獲得し、少なくとも他の2社と戦える状況になったのと同じように、今、iPhoneは独占権を持ってないわけですけれども、ARMは世界で圧倒的なIoTのチップのマーケットシェアを持っている。OneWebでは独占的に低軌道衛星の周波数を持っている。

この2つは、簡単にマネしようと思って買ってくればいいというものではないんです。我々が買えない独占的なものをグループに持っているということが、これらのサービスが本格的に始まったときには「Sprintを売らなくてよかった」と心の底から喜べる時期が来るだろうということであります。

もちろん我々のシナジーは、OneWebとArmのIoTだけではありません。ソフトバンクには「SoftBank Vision Fund」という、大変強力な新しい構えができました。この「SoftBank Vision Fund」で、続々とユニコーン(企業)に投資することが可能になりました。

まさに「ソフトバンク2.0」ということで、単に我々が1つずつコツコツものを作り上げるだけではなくて戦略的なシナジー集団、我々が筆頭株主として20パーセントから40パーセント株を保有している我々の起業家集団。これで群れとして、群戦略として我々のグループの力を発揮していく。そういう構えが「SoftBank Vision Fund」ということでできたわけです。

このほとんどの会社が、無線の通信を使うわけです。米国が最大の投資先です。そういう意味で考えると、このシナジーの根幹にある通信インフラ、情報のインフラというのは、情報革命をする上でやはり欠かすことができないものになるだろうということで、我々は今回、このような意思決定をしたと。

つまりSprintの経営権を維持することによって、グループ全体の戦略的な将来像を描くということであります。

価格のちょっと高い安いという、小さな駆け引きの条件交渉の問題ではなかった。もっと根幹的な、戦略的なことで、我々はもうすでに10日前に、ソフトバンクの取締役会として意思決定をして、先方にお伝えして、両方顔合わせの上で一昨日決まったということであります。

そのような状況ですから、きっと合併交渉停止ということで、Sprintの株価は一時下がるだろうと(思います)。

むしろ我々は「ありがとうございます、買わせていただきます」ということで、ルール上85パーセントまでしか買えないんですけれども、今のルールではそれ以上買うためには、全体の株主総会を開いて、そこで決定をしなければいけませんので、まずいったんは85パーセントのギリギリまで、株主から与えられている権限のところまでは買い進むということで、我々は逆にその意思を明確にしたいと思っているわけであります。

以上、今日みなさんが一番聞きたかったであろうことへ、先に結論の説明を申し上げさせていただきました。

SoftBank Group 連結業績

それではここから、ソフトバンクグループの連結業績についてご説明をしたいと思います。まずこちらは全体の数字です。売上、EBITDA、営業利益、当期純利益とそれぞれ数字がございます。順を追って一つひとつ解説したいと思います。

SoftBank Group 売上高

売上高はご覧のとおりであります。

SoftBank Group 調整後EBITDA

調整後EBITDAもご覧のとおりであります。

内訳は黄色い部分がスプリントです。ご覧のように、スプリントが明確に伸びていることがおわかりいただけると思います。

SoftBank Group 営業利益

営業利益は35パーセント増です。

営業利益は何がどう伸びているのかというと、内訳はこちらにあるとおりです。

まず上から「SoftBank Vision Fund」が1,800億円以上利益に貢献いたしました。我々は今、NVIDIAの株式を保有しているわけですけれども、とくにこちらの利益が着実に増えているということであります。こちらはある意味一時的な益かもしれませんけれども「SoftBank Vision Fund」の幸先の良いスタートだと捉えていただきたいと思います。

ご覧のように色分けで見ると、黄色のところが一番伸びていることがおわかりいただけると思いますが、こちらがスプリントです。

「スプリントはソフトバンクの足を引っ張るお荷物だ」「疫病神のように背中に取り付いている」と思っている人が、今でもたくさんいると思います。

しかし、この色分けで見てください。営業利益が本業の利益を表す利益だとするならば、その営業利益で一番伸びているのがスプリントだと。国内のある意味成熟した市場の中に比べると、一番伸びているのがスプリントだと。1,000億円の営業利益が2,000億円になっているということであります。ですから、みなさんもそろそろイメージを新たにしていただきたいなと思うところであります。

当期純利益

当期純利益は87パーセント減です。大変な減益だと思われる方が多いと思います。

では、こちらをもう少し具体的にひもといてみたいと思います。

去年(2016年度上期)の(グラフの)白い部分は、一部アリババの株の売却益がありました。それからスーパーセルの売却益も大きく入っています。その部分は去年の一時益です。

その部分を外して考えて、かつアリババ株資金化に係るデリバティブ損失が3,465億円ありましたので、こちらは一時的なものですけれど、もしデリバティブ損失がなかったら、実質的には42パーセントの増益であったと捉えることもできるかもしれません。

この会計というのはいろいろな見方があって、「また孫正義がペテン師のように上手に言い訳しているな」とインターネットでは書かれそうですけれども、それはいろいろな人がいろいろな見方をしていただいてもけっこうだと思います。これは1つの真実であるということであります。私は実質的に42パーセントの増益であったのではないかと思っております。

スーパーセルの売却益は一時的なものですけれども、一番大きな影響を与えたデリバティブ損失について少し解説したいと思います。毎回説明をしているのですが、これがなかなかわかるようでわかりにくいと。

去年、アリババの株の一部を売却したときに、先売りのようなかたちになっております。2019年の6月に決済されて、正式に売れたことになります。

それまでの間は先売り予約のようなものですので、会計上はデリバティブというかたちで、2019年6月のときの株価によって、それまでの間に、去年売ったときから株価が上がっていれば上がっているほど、一時的にデリバティブ負債というかたちで、マイナスで計上されます。

しかし(デリバティブ負債と)まったく同額の6,587億円が、2019年6月に(デリバティブ利益として)プラスで計上されます。

つまりアリババの株が値上がりすればするほど、こちらの赤い部分が増えます。アリババの株が上がると悲しいかというと、私は100パーセント「バンザイ」と喜んでいるんです。しかし会計上は、一時的にデリバティブ負債というかたちで計上されます。

今までの累計6,587億円のマイナスとまったくの同額が、2019年6月にプラスとして遅れて計上されます。ですから、この部分は会計上の時差だと思っていただいていいと思います。

また、すでにアリババの売却が予約されているわけですから、売却益がすでに見えております。今日現在の株価のままであれば、このデリバティブでマイナスが出た分と同額がプラスで出て、さらに売却益が出ます。

アリババ関連だけで合計1.2兆円の益が、すでに2019年6月に確定しているということであります。ですから「アリババの株価が上がった」「デリバティブの損がまたドカンと出るぞ」と言って、世の中を悲しく思いたい人はすごく悲しまれると。悲しいことを喜ぶ人はすごく喜ぶ状況になりますが、私に言わせれば、それはぬか喜びですよと。

今から1年半の後の2019年6月には、同額が(プラスで)上がってくると。ひと言でいうと時差だと。プラスもマイナスもないと思っていただいていいと思います。

ですから2019年6月の時は、恐らく日本で一番利益を出した会社がソフトバンクとなるということがほぼ見えていると思っていただいてもいいと思います。

もちろんこれに加えて本業の利益の部分があります。アリババ関連だけでこのプラスが予約されているとご理解いただいていいと思います。

アリババ株の状況

ではアリババの株が上がっても下がっても、うれしさ・悲しさは一緒かというと、まったく違います。アリババの株は、去年売ったときには77ドルでした。しかし今は173ドルです。倍以上になっています。倍以上になったら、ソフトバンクの持っている残りのアリババ株はいくらなのかと。

約1兆円分をすでに先売り予約しているわけですけれども、持っている残りのアリババ株はいくらかというと、去年は6.4兆円です。今は14.5兆円です。この1年間で8兆円増えたわけです。1年間で8兆円増えたんです。もともとアリババ株に投資したのは20億円です。20億円投資したものが、この1年間だけで8兆円増えているわけです。

デリバティブはどうでもいい話です。プラスマイナスゼロで単なる時差ですから、デリバティブは100パーセント無視していただいてもけっこうです。それよりも本質は、アリババ株が倍になったら、ソフトバンクの実質益が1年間で8兆円増えたと。

そのようなことで、アリババ株が値上がりしたらうれしいか悲しいかというと、私は100パーセントうれしい。一点の迷いもなくうれしいということであります。ということで、しつこいようですけれども、もう一度解説させていただきました。

財務の状況

「そうは言うけど、ソフトバンクはたくさん借金を抱えてるから危ないんじゃないの?」と言う人が、常に多く残っています。

いくら借金があるかと言いますと、国内通信事業に対して、EBITDAの2.8倍です。調整後EBITDAが1.2兆円。営業的なキャッシュ・フローが1.2兆円。これに対して2.8倍の3.3兆円分あります。通信事業では非常に健全なほうです。AT&T、ベライゾンのような、格付けで言えばA格のような会社でこのぐらいの借入負債率です。

一方、我々は投資会社的な部分としては、上場している株式有価証券だけで22兆円分持っています。その部分に対する借入が4.7兆円ですから、借入に対して5倍の有価証券を持っていると。こちらは未上場のものを除いて計算しています。ですから私は3分の1ぐらいまでは十分健全な範囲だと思います。

個人の投資家さんが、自分が持っている借金の5倍株式を持っていれば、健全か不健全かというと「5倍あればいいんじゃないですか?」というのが私の意見です。

投資会社としては5倍の余裕があると考えていただいて、通信事業の会社としては(EBITDAの)2.8倍ということで健全な範囲と捉えております。

国内通信事業 営業利益

次に国内通信事業です。 営業利益は7パーセント減益です。今、新規の顧客を一生懸命増やしています。実は最近、顧客獲得が非常に順調に進んでおります。

新規の顧客を獲得すると、獲得のための値引きを一時行います。その獲得のための値引きが先行いたします。たくさんお客を獲得できないときは、獲得のための値引きがあまりコストになりません。今、順調にお客を取れているので、先行投資をしているかたちになります。

国内通信事業 フリーキャッシュフロー

そちらは会計上の話ですけれども、キャッシュ・フローは順調です。この6ヶ月間で3,300億円のフリー・キャッシュ・フローが出ています。こちらは設備投資税引後のフリー・キャッシュ・フローでこれだけのものが出てると。順調にいっていると。

国内通信事業 先行投資を強化

どのようなところに先行投資、顧客獲得をしているかというと「おうち割光セット」ということで、家庭にブロードバンドをつなぐと。

先ほどクワトロプレイと言いましたけれども、4つのサービスを同時に(提供)すると。携帯だけではなく、家庭にブロードバンドをつなぐと。もともとソフトバンクはYahoo! BBということでADSlをつないでいましたが、今は光ファイバーあるいは(SoftBank)Airというかたちで家庭につないでいます。

「おうち割光セット」の獲得費を先に費用として計上しています。その部分が獲得費用として先行しています。

もう1つは、今、Yahoo!ショッピングが急激に伸びています。Yahoo!ショッピングの10倍ポイントということで、Yahoo!でショッピングをすると、ソフトバンクユーザーなら10倍ポイントがつくと。毎日10倍ということを行なっております。

今、その(キャンペーンの)顧客がどんどん取れておりますので、そのポイントによる顧客獲得のところを使っています。こちらが一番先行投資している部分です。この先行投資がお客を取った部分で最初に値引きしますけれども、あとで徐々に累積のお客さまがたまってきます。

新規のお客さまが累積でたまってくると、累積のお客さんから入ってくる収入がどこかの時点で追い抜くと。その追い抜く時点が、実は来年きそうだという状況であります。

ですから今年は減益ですけれども、来年はソフトバンクの国内事業も増収増益になれるのではないかと見ております。これはまだ正式なコミットメントではありません。やってみないとわからない部分はありますが、内部的には増収増益にいけると。国内通信事業はこのように自信を深めているということです。

うまくいかなかったときは(社長の)宮内を叱っていただきたい(笑)。うまくいったときは私のおかげ。うまくいかなかったときは宮内のせいです(笑)。

社内的にはそういう冗談を言っていますけれども、慎重な男ですから、実際に宮内が「いける」と言っているときは、だいたいいける場合が多いということであります。非常にうまく進展しているということです。

国内通信事業 スマホ純増数

スマホの純増数も着実に増えています。こちらの中には、もちろんソフトバンクのユーザーとワイモバイルのユーザーの両方が入っていますが、両方を足し算して、来年には増収増益になれるだろうということであります。

国内通信事業 SoftBank 光 累計契約数

その自信の根源の1つとして、このSoftBank 光のユーザーがこの2年間で急激に増えていると。430万世帯ということで急激に増えています。

我々にとっては、これ(SoftBank 光)に入ると、一時的に値引きがあるわけです。これが顧客獲得コストになっておりますが、着実に増えていると。この結果、今、解約率もどんどん減っているということです。

国内通信事業 J.D.パワー:顧客満足度調査

顧客満足度も非常に良くなってきています。

国内通信事業 Yahoo!ショッピング購入者数

Yahoo!ショッピングはポイント10倍ということで、顧客を一生懸命獲得していますので、ポイント10倍のキャンペーンを開始して8ヵ月で、ソフトバンク経由でYahoo!ショッピングを行うお客さまが3倍に増えました。

こちらのプログラムはYahoo! JAPANとソフトバンクの両方で獲得コスト、プロモーション費用を折半するかたちで負担しておりますけれども、こちらが非常にうまくいっているということであります。

国内通信事業 みずほ銀行との合弁事業(17年9月25日〜)

さらにみずほ銀行との合弁事業が非常に良いスタートを切っております。今日の朝、みずほ銀行の佐藤(康博)社長とミーティングを行いましたけれども、大変喜んでおられました。想定以上に高い大きな金額でお客さまから借入をいただいているということで、グッドスタートであります。

国内通信事業 新領域の拡大①

それに加えて、国内事業を続々と増やしておりますが、今から「SoftBank Vision Fund」関連で投資した会社の日本法人、日本でのジョイントベンチャー、ジョイントプロジェクトが続々と生まれてきます。

「ソフトバンクは何屋さんですか?」「本業は何ですか?」「通信が本業ですか?」ということで、私は通信が本業だと思ったのは、一生涯の中で1日もないと。1秒すらないと。

ソフトバンクは情報革命が本業であるということで、通信はその中で欠かすことのできないコアの事業であるけれども、我々の本業はそれをコアとして使う、情報革命全体の群戦略で、この情報革命を群で行うということであります。

国内通信事業 新領域の拡大②

この群戦略で情報革命を行うときの、それぞれのパーツになるのがこのようなかたちで、国内でもどんどんとジョイントベンチャー、あるいはジョイントプロジェクトということで進んできて、「SoftBank Vision Fund」を持ったおかげで、この数年間で10兆円の投資を行うわけです。

この投資規模は、世界中のベンチャーキャピタルの全部を足した規模です。我々ソフトバンク1社で、世界のベンチャーキャピタルの去年1年間(の投資金額)を全部足した規模を行なっているということを考えると、いかにその規模が大きいかと。

世界中のユニコーン(企業)の大半のところには、ソフトバンクの資本が入りつつあると。これが日本でも続々と、ジョイントベンチャーというかたちで始まります。

アメリカで、インドで、中国で、東南アジアで、中東でということで、ありとあらゆるところで我々のグループの会社が、まさに群戦略として勃興してくるということであります。

国内通信事業 2017年度の見通し

ということで、国内の事業を考えただけでも、単に通信だけではなくて、その通信の周りに続々と、木や枝に実がなっていくように、続々と新たな実が群れでなっていき、花が咲くということであります。