2017年度第2四半期決算説明会
梅原尚人氏:この度の当社グループの製品に対する不適切行為に関しまして、改めてお詫び申し上げます。
当社および当社グループ会社は、これまでに公表した事案に関わる不適合製品の出荷先のお客さまとともに、不適合製品を使用したお客さまの製品に対する安全性を含む、品質影響についての技術的検証を行っております。
併せて、社内に品質問題調査委員会を設置いたしまして、自主点検・本社部門による緊急監査を実施し、ほぼ終了いたしました。
さらに客観性・独立性を担保することが必要との観点から、外部委員のみで構成する外部調査委員会を設置し、今後はこれを主体として、自主点検、緊急監査の方法・内容などについての適正性や妥当性の再検証、徹底的な原因の究明と再発防止策の検討を行ってまいります。
それでは、2017年度第2四半期の決算および2017年度の業績見通しについて発表いたします。お手元にお配りしている第2四半期および業績見通し発表補足説明資料をご覧ください。
2017年度第2四半期実績
はじめに、連結業績概要をご説明いたします。
上期の国内経済につきましては、雇用関係の良好な状況が維持され、個人消費や企業の設備投資も持ち直しており、緩やかな回復基調が続いております。
また海外経済につきましては、中国で減速傾向にあった経済成長にも、各種政策効果もあり持ち直しの動きが見られ、アメリカでは回復基調が継続し、東南アジアの一部やヨーロッパにおきましても、緩やかな回復基調が続いております。
このような経済環境の中、当社グループにおきましては、鉄鋼や建設機械において需要が堅調であったことなどから、売上高は前年同期比919億円増収の9,070億円。経常利益は前年同期比334億円増益の457億円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純損益につきましても、特別損益に90億円の投資有価証券売却益を計上したことなどから、前年同期比352億円増益の393億円となりました。
なお、この度判明した製品に対する不適切行為による、当第2四半期連結累計期間の業績への金額影響は僅少でございます。
2017年度業績見通し
2017年度業績見通しをご覧ください。国内におきましては、引き続き良好な雇用環境が続き、個人消費および企業の設備投資の持ち直しにより、景気は緩やかな回復基調が持続するものと想定されます。
海外については、アメリカやヨーロッパ、東南アジアの一部でも景気回復基調が継続すると想定されるものの、中国においては各種政策の動向が懸念されます。
また保護主義的な傾向の強まりや各地域の地政学的リスクに加え、原料価格や為替などの変動も懸念されることから、先行きの不透明感を払拭できません。
このような状況の中、当社グループの今年度の売上高については、7月に公表した前回見通しを据え置き、1兆8,800億円としました。
一方、損益につきましては、製品に対する不適切行為に関連して、アルミ・銅セグメントにおいて、品質管理の適正化に伴う不良率の増加によるコストアップや、生産量の減少および本件にかかる不適合品在庫の処分による業績の悪化影響を考慮し、また当社グループ全体の販売活動に与えるリスクについて、一定の想定をした結果、総額で100億円程度の減益要因を織り込みました。
この結果、経常利益については50億円下方修正し、500億円を見込みました。
一方、親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、製品に対する不適切行為に関して、お客さまへの補償費用を始めとする業績悪化要因の影響を、現時点で見通すことが困難であるということから、未定といたします。
配当について
また当期の中間配当につきましては、1株につき10円とする方針としておりましたが、製品に対する不適切行為に関し、お客さま等への補償費用を始めとする、業績悪化要因の影響を現時点で見通すことができず、通期の親会社株主に帰属する当期純損益の予想が困難なことから、誠に遺憾ながら中間配当を見送ることを決議いたしました。
第2四半期 セグメント別売上高
売上高および経常損益につきまして、セグメント別に上期の実績をご説明いたします。
はじめに鉄鋼セグメントでございます。
売上高は前年同期比641億円増収の3,544億円。経常損益は前年同期比282億円改善の184億円となりました。
鋼材需要につきましては、国内の自動車向けが堅調に推移しており、粗鋼生産量は、前年同期比10万トン増加の394万トン。鋼材販売数量につきましては、前年同期比12万トン増加の304万トンとなりました。
鋼材販売価格につきましては、主原料価格の上昇などの影響を受けて、前年をトン当たり1万3,500円上回る8万1,500円となっております。
以上に加え、安定操業に努めコスト削減を進めたことや、主原料価格について下落基調であった前年同期に比べ、在庫評価影響が改善したことなどから、経常損益は前年同期に比べ改善いたしました。
次に、溶接セグメントでございます。溶接材料の販売数量につきましては、国内建築向けやエネルギー向けの需要が回復傾向にある一方、海外は韓国の造船向けなどの販売量が減少したことなどから、前年同期を下回っております。
このことなどから、売上高は前年同期を下回る397億円となり、経常利益につきましても、前年同期比12億円減益の25億円となっております。
アルミ・銅セグメントでございます。アルミ圧延品につきましては、自動車向けの需要が堅調推移したことなどから、販売数量は前年同期を上回りました。
また、銅板条の販売数量につきましては、自動車用端子や半導体向けの需要が増加したことなどから、前年同期を上回りました。
一方、銅管におきましては、昨年12月に発生したタイ生産拠点での設備トラブルによる影響を受け、前年同期を下回る販売数量となりました。
これらの結果、売上高は前年同期を113億円上回る、1,743億円となりました。
経常利益は、当期はアルミおよび銅地金の価格が上昇基調となり、在庫評価影響が改善したことなどから、前年同期比14億円増益の79億円となりました。
次に、機械セグメントです。受注高は、中国で石油化学分野等の市場が回復基調になったことなどから、前年同期を上回る671億円となっております。
樹脂機械や圧縮機などを中心に大口案件の計上があった前年同期に比べて、売上高は14億円減収の705億円となり、経常利益につきましても、圧縮機の一部案件の採算性の悪化などにより、42億円悪化の4億円の損失となりました。
次に、エンジニアリングセグメントでございます。受注高は、海外で還元鉄プラントの大型案件の受注があった前年同期に比べ減少し、559億円となっております。
原子力案件や東日本大震災復興案件、廃棄物処理案件などの案件構成差から、売上高は前年同期比15億円減収の480億円となりました。
経常利益につきましては、案件構成差や一部案件での採算性の改善などから、前年同期比17億円増益の17億円となりました。
次に、建設機械セグメントでございます。油圧ショベルの販売台数につきましては、国内においては排ガス規制前の駆け込み需要などにより、前年同期を上回りました。
海外の販売台数も、中国において政府主導のインフラ工事などの景気刺激策により需要が増加したことなどから、前年同期を上回っております。
クローラクレーンの販売台数は、国内は需要が比較的高水準で推移したものの、一部の案件の工事遅れなどから前年同期を下回りました。
また、海外の販売台数は、東南アジアを中心に需要が減少したことなどから、前年同期を下回っております。
これらの結果、売上高は前年同期比265億円増収の1,827億円となりました。経常損益は、油圧ショベルの販売台数の増加に加え、前年同期には中国での油圧ショベル事業の大量債権について貸倒引当金を計上していたことなどから、120億円改善の114億円の利益となっております。
次に、電力セグメントでございます。神戸発電所は安定操業を継続しておりますが、販売電力量が発電所の定期修理日数の増加により、前年同期を下回ったことなどから、売上高は前年同期比25億円減収の329億円となっております。
経常利益は、神戸発電所1号機の償却費の計上が新規契約期間の初期に集中することや、定期点検時の保全費用の増加などから、前年同期比49億円減益の33億円となりました。
以上の結果、グループ全体では、当上期につきましては前年同期に比べ増収増益の、売上高9,070億円、経常利益457億円となりました。
2017年度 セグメント別 経常損益
続きまして、2017年度の見通しでございます。主なセグメントの経常損益についてご説明申し上げます。
【鉄鋼】
鉄鋼セグメントでございます。鋼材需要については造船向けの需要が弱含み傾向にあるものの、自動車向けを中心に堅調な需要が見込まれております。これらのことから、鋼材販売数量は前回公表時の見通し並、615万トン程度を想定しています。原料炭の価格につきましては、変動が大きく先行き不透明であり、価格動向を注意してまいります。
このような状況の中、主原料価格の上昇に伴う在庫評価影響の好転を見込みましたが、政治に対する不適切行為が受注等の販売活動に与えるリスクを加味したことなどから、経常利益は前回見通しを10億円下方修正し、140億円程度を見込んでおります。
【アルミ・銅】
次に、アルミ・銅セグメントでございます。
アルミ圧延品、銅圧延品ともに、需要は堅調に推移するものと見込んでおりますが、製品に対する不適切行為に関連して、品質管理を適正化することに伴う不良率の増加によるコストアップや、生産量の減少、不適合品在庫処分に加えて、受注などの販売活動に与える影響について一定の想定をおいて、総額で30億円程度の減益要因を織り込んだことなどから、経常利益につきましては、前回見通しから40億円下方修正して100億円程度になるものと見込んでいます。
【建設機械】
次に、建設機械セグメントでございます。
油圧ショベルにつきましては、国内は排ガス規制の駆け込み需要後の買い控えが予想されますが、インドあるいはヨーロッパを中心に堅調な需要が見込まれており、中国についても各種政策の動向が懸念されるものの、足下の需要は堅調に推移しています。
クローラクレーンにつきましては、国内は引き続き高水準の需要が見込まれておりますが、海外では東南アジアを中心に厳しい需要環境が想定されております。
これらの状況の中、経常利益につきましては、ユーロに対し為替が円安基調にあることなどから、前回見通しを20億円上方修正し、120億円程度を見込んでいます。
以上の結果、2017年度通期のグループ全体の経常損益につきましては、前回見通しを50億円下方修正して500億円程度といたしました。
繰り返しになりますが、製品に対する不適切行為に関連し、お客さま等への補償費用を始めとするする業績悪化要因につきましては、現時点で見通すことが困難であるということから、当期の親会社株主に帰属する当期純損益は未定とさせていただいております。
以上で、2017年度上期決算および年度見通しについてのご説明を終わらせていただきたいと思います。