2018年3月期 第1四半期決算説明会

内藤忠顕氏:2018年3月期第1四半期決算説明会においでいただきまして、ありがとうございます。内藤でございます。私より、概略をご説明申し上げます。最初に、資料には書いておりませんが、私より3点ハイライトをお話し申し上げます。

1点目は第1四半期の実績評価。2点目は通期の見通し。3点目は経営課題について、簡単にお話ししてから、資料に沿ってご説明申し上げます。

最初に、第1四半期の実績評価でございます。経常利益102億円、当期純利益53億円ということで、大幅な改善でございます。正直に申し上げまして、思ったよりよかったなというところでございます。内容は後ほど申し上げますが、大きな意味では市況の回復でございます。

昨年の11~12月ごろ、市況は大底を打ったという見通しを申し上げましたが、その後、緩やかな回復が続いております。業績につきましても、それを少しずつ反映しているという状況でございます。

とくに定期船・航空運送(NCA)・ドライバルク市況でございます。第1四半期の実績評価を、(資料の)数字では(記載が)ございませんが、定期船につきまして2点述べさせていただきます。

この4月より、コンソーシアムの再編を行いました。当社は、「The Alliance(ザ・アライアンス)」というコンソーシアムに属しておりますが、これが順調にいっているということを申し上げたいと思います。

投入船舶の大型化を図ったわけでございますが、それを超える実績を得ているという実感を持っております。これによりアライアンスの数は、昨年度の4つから3つに、1つ減少したということでございます。これは、航路全体の安定化に寄与していると考えております。

定期船のもう1つのトピックスは、本年(2017年)7月7日に、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス・ホールディングスという会社を設立いたしますと申し上げておりました。来年(2018年)4月の開業を目指して現在、鋭意進めております。まずまず順調な進展ということを、ご報告申し上げたいと思います。

2点目に、通期の見通しでございます。経常利益230億円、当期純利益50億円ということで、前回の予測から据え置きということにさせていただきました。第1四半期(の経常利益)が100億円でございますので、4倍すれば400億円ではないかという考えもないことはないのですが、230億円ということで、据え置きとさせていただきました。

前回比較で言いますと、定期船が上振れ。(また、不定期専用船の)ドライバルク及びリキッドの中の、在来タンカー(が下振れ)。原油・石油製品・LPG(液化石油ガスを輸送する貨物船)。これが市況の見通しもございまして、下振れというところでございます。

市況の回復につきましては、去年がパーフェクトストームということで、大変な大嵐でございました。それが回復に向かっているということは、今回のご説明のとおりでございますが、残念ながら回復は一直線にはいかず、行きつ戻りつというところでございます。ただ、方向性は改善ということで進んでおりますので、後は時間軸かなと考えております。

この通期の見通しを持ちまして、配当のご説明でございます。中間期につきましては、見送りをさせていただきまして、期末につきましては未定です。これも、前回ご報告させていただいたものと同じ状況でございます。復配につきましては、経営課題の第一と考えております。とにかく実績を上げて、復配を目指したいと思っております。

3点目は、経営課題でございます。先ほど申し上げました、復配が一番(の経営課題)でございます。それに加えて、現在やっている大きなところは2つございます。1つ目は、2年間の緊急対応ということで、「Beat the Crisis」というものを社内で行っております。「耐えるときが、次のかたちを仕込むとき」ということで、2年目(を迎えており)今年もう1年やっていこうと思っています。

オーシャン・ネットワーク・エクスプレスを作り、1つの次のかたちをお示ししたわけでございますが、この他もいろいろ研究を進めております。それに加えて、グループ会社改革ということで、各グループ会社の効率を上げる仕組みを、全グループにわたって持とうという試みを進めております。結果が出てくるまでには多少時間がかかると思いますが、次のかたちをしっかり作っていきたいと思っております。

2つ目は、来年(2018年)3月末をめどに発表させていただくつもりでございますが、新中期経営計画の検討を進めております。定期船がなき後、連結としては持分法適用会社になる、定期船部門がコアビジネスとして残ります。これを除いた残りの部分も含めて、どういうかたちになるかというものを、しっかりお示ししたいなと思っております。

1. 2018年3月期第1四半期決算概要

それでは、簡単に内容をご説明申し上げます。四半期概要の決算でございますが、先ほど申し上げたとおり、大幅な増収・黒字転換というところでございます。こちらの資料にその内容がございますが、まず定期船について。

アライアンス(再編)は混乱もなく、成功裏に完了しました。また、荷動きが好調で高消席率を維持しました。NCA(航空運送)は、予想以上に荷動きが活発で、運賃も上昇しました。物流は残念ながら、仕入れ運賃の高止まりによる、粗利の低下がございます。

不定期専用船につきましては、ドライバルクの荷動きは活発で、市況は回復基調にございます。ただ、船腹の余剰感がまだございまして、なかなか厳しい状況でございます。タンカー市況は軟調でございますが、LNG・海洋事業がしっかり支えております。自動車船につきましては、欧米向けは好調でございますが、資源国向けは低迷ということで、効率の点で若干劣っております。ここの対応を、今必死でやっているところでございます。

第1四半期決算 (サマリー)

それでは、第1四半期決算のサマリーでございます。総論としては黒字転換で、燃料油価格の上昇を跳ね返すということで、資料に書いています。前期比較で申しますと、134ドルの燃料費増でございましたが、これを跳ね返しての黒字転換でございます。第1四半期比較では、ここにございますが、全段階において改善をしております。回復を印象づけるというところかと思います。

あと、営業損益と経常損益の間の、営業外(損益)についてお話し申し上げます。為替が円安にふれておりまして、評価差損益がプラスに効いております。また、持分法の適用会社、とくに海洋事業・LNG等が好調でございまして、こちらの改善も大きく効いております。営業外(損益)が、大きくプラスに出ております。

前年同期比較(セグメント別)

セグメント別の比較でございます。増益ということでございまして、その中身でございます。定期船で申しますと、145億円。202億円の改善のうち、145億円は定期船ということで、ここは非常に大きいところでございます。積高・消席率ともに改善しております。とくに、欧州航路が非常に好調でございます。ターミナル事業も物流の増加により、好調でございます。

もう1点はNCA、航空運送でございます。27億円の改善で、積高・単価も改善しております。エアカーゴが非常に伸びておりまして、やはりEコマースが大きなうねりとなって、航空貨物にも押し寄せているというところでございます。また、不定期専用船も36億円ということで、改善しております。

経常損益 前年同期比増減分析

これは要因分析でございます。(連結の経常利益が約)200億円の改善をしているわけですが、大きな主因は3点ございます。1点目は市況でございまして、121億円の改善。2点目は為替差損益が、55億円の改善。3点目は構造改革(効果)が、40億円でございます。構造改革は、昨年度巨額な減損ということをさせていただきまして、年間160億円の改善効果があるというお話をさせていただきました。

下期・下期で比較しますと打ち消されるわけですが、上期・上期比較ですと、80億円の改善。そのうちの四半期であれば、40億円の改善というところでございます。

2. 2018年3月期通期業績予想

通期業績予想は、期初の想定並みに据え置くというところでございます。定期船の改善と、不定期専用船の下方修正が打ち消し合うというかたちで、据え置きとさせていただきました。

定期船については、欧州航路を中心に堅調でございますが、北米航路は船腹の供給量が増えておりまして、運賃が若干伸び悩んでおります。

航空運送でございますが、ここは堅調でございます。

物流は、第1四半期が不調でございましたが、これは改善してくると考えております。

不定期専用船につきましては、ドライバルカーおよび在来タンカー市況は、一気には改善に向かわない。行きつ戻りつというところであるかと予想しております。

自動車専用船につきましては、効率をもう一度戻すべく、三国間等の荷物を増やしております。ちょっと時間がかかるかなというところでございます。

配当は、従来予想を据え置きとさせていただきました。方針につきましては、以前より申し上げておりますように、基本的には安定配当をしたいと(考えております)。配当性向は25パーセント。適正な内部留保等を総合的に勘案して、判断していくというところでございます。このまま改善をしていけば、復配も視野に入ってくると考えております。

通期業績予想(サマリー)

これは、通期予想のサマリーでございます。営業損益段階では、在来タンカー・ドライバルクの収益回復が若干遅れておりまして、前回予想比ではマイナス30億円となっております。

一方、ここを打ち消しまして、経常損益段階では前回と同じ、ゼロということでございます。これは営業外で受配が出ているところと、持分法適用会社の損益が改善しているというところでございます。

また、第2四半期でここ(当期純利益)にマイナス43億円と出ております。これは、システムの管理費用につきまして調整ということで、費用を見込んでいるためでございます。

前提条件ですが、為替レートは110円ということで、残りの期をみております。燃料油価格につきましても340ドルということで、前回予想を据え置いております。ここの感応度につきましても、だいぶ為替が変わっております。

(経常利益に対する感応度は)前回は6.9億円/年と、1円あたりのセンシティビティをお出ししましたが、今回は4.8億円/年でございます。一部、外貨の費用が増えているところを反映しております。

通期業績予想(セグメント別)

セグメント別(の通期業績予想)というところで、一番大きいのはやはり定期船でございます。定期船をどうみるのかが、今期の見通しの大きいところでございます。アライアンスの再編後、アジア・欧州航路の復興が好調でございまして、しばらくはよいとみております。

しかし、北米航路はちょっと厳しいという点と、なによりも(事業)統合費用がございます。これについては、いろいろな見積もりをしておりまして、一定数織り込んでおります。

ただ、これだけ大きめの変動でございますので、詳細な数字はある程度時期をみてみないとよくわからないということがございます。今期の1つの特徴は、定期船の統合費用が上にも下にもぶれて、通期の見通しを変えるかもしれないというところでございます。統合費用を除きました実力ベースでは、大きく改善していることは事実でございます。

次に、物流でございます。ここはだんだん回復してくるという想定になっております。仕込みという部分で昨年度は厳しい状況でございましたが、これが改善してくると考えております。ドライバルクは、先ほどのお話のとおりでございます。

通期業績予想(セグメント別・前回今回予想比較)

こちらの資料では、先ほど申し上げましたように、定期船と不定期船で打ち消すという図を示しております。

3. セグメント別状況

こちらの資料は(別途ご覧ください。ご説明は)飛ばしましょうか。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)①

定期船でございます。全般に、シーズナリティの問題もございますので、下期は保守的にみております。アライアンスの再編で、大型船が投入されました。結果として積高は、北米航路も欧州航路も大きく伸びております。消席率は北米航路で91パーセント・欧州航路で96パーセントと、順調に消化しているということで、収支の改善につながっております。

また、運賃動向ですが、実績ベースで北米が70、欧州が50ということで、去年に比べてかなり改善しております。欧州につきましては、もう一段階の改善を見込んでおります。北米についても改善だろうというところでございますが、下期を71と、やや保守的にみているというところです。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)②

それでは、航空運送事業のご説明です。がんばっていると申し上げてもいいかと思います。通期ベースで、4期連続の黒字を目指しております。原因はやはり、サプライ。デマンドチェーンが大きく改善しております。

1つの例をご紹介いたしますと、IATA(国際航空輸送協会)が、通期の値動き動向を年に4回出しております。前回の予報では、世界中の値動きが本年度は3.5パーセント伸びると予測しておりました。2017年6月の最新版の予測では、全体のデマンドが7.5パーセント伸びるということで、大きく上方修正しております。

それに加えて、アジア地区においては、上海空港の管制規制が(2017年)7月までと言われておりましたが、まだ混雑が続いており、12月まで延長されるということでございます。フレイターにとっては大きな制約要因といいますか、マーケットが締まる要因となっております。

セグメント別状況 (一般貨物輸送事業)③

こちらは、物流事業の資料でございます。

セグメント別状況 (不定期専用船事業)①

次に、不定期専用船のマーケットの前提をご紹介申し上げます。これ(青い部分の左から2番目から)が、2018年3月期第2四半期・下期・通期(の予想)でございます。基本的には、あまり変えておりません。上期の実績が第1四半期について出てまいりましたので、通期の平均がそれにしたがって、多少下がったというところでございます。

需要は回復してきておりますが、残念ながらマーケットはまだ、コストをカバーする域に至っておりません。本格的な回復は、2018年度かなと考えております。

傭船解約でございますが、予算を設定して大きく傭船解約を進めていくことは想定しておりません。基本的に、今期は個船ごとに対応していこうかなと思っております。

セグメント別状況 (不定期専用船事業)②

続きまして、自動車船でございます。ここに今期の予想を、(輸送台数)354万台と出させていただいております。前回の予想は340万台でございましたので、14万台の上方修正。パーセントで言いますと、4パーセント増ということでございます。

主に北米・欧州向けの値動きが伸びているということですが、逆に資源国向けは減っております。なんとか効率をよくするために、三国間の荷物または自動車以外の荷物(の輸送量)をとっていくということで、努力しているところでございます。

今回、私からの発表は以上でございます。