【QAあり】川崎汽船、上期は減収減益で着地 500億円以上の機動的な追加還元は引き続き前向きに検討の考え
A-1:2025年度第2四半期業績

五十嵐武宣氏:川崎汽船株式会社、代表執行役社長の五十嵐です。私から、資料に沿ってご説明します。
2025年度第2四半期までの業績は以下のとおりです。売上高は5,005億円で、前年同期比374億円の減少。営業損益は429億円で、前年同期比181億円の減少。経常損益は596億円で、前年同期比1,276億円の減少。中間純損益は686億円で、前年同期比1,145億円の減少となりました。平均為替レートは146円18銭、平均バンカー価格は547ドルです。
セグメント別の状況については、次ページのスライドに記載しています。2025年度第2四半期実績は、前年同期比で7.71円の円高となった為替の影響、自動車船の運航費用の増加、ドライバルク市況が好調だったものの前年同期を下回ったことなどにより、営業損益が減益となりました。
コンテナ船事業では、関税発動前の駆け込み需要などから、輸送量は前年同期並みを維持しましたが、新造船の竣工の影響などで短期運賃が前年同期比で低下しました。これにより、持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS(ONE社)の持分法損益が減少し、経常損益及び中間純損益も前年同期比で減益となりました。
保有船舶や子会社株式の一部売却により、当期間に特別利益を計上しています。
主な財務指標は、スライド左下に記載のとおりです。自己資本は1兆6,839億円、有利子負債は3,122億円、DERは18.5パーセント、自己資本比率は75.6パーセントです。
なお、傭船料債務などのオフバランス資産及び負債は約6,000億円から7,000億円あり、これを加味した連結自己資本比率は58パーセントから60パーセント程度となります。
A-2:セグメント別第2四半期業績

第2四半期までのセグメント別業績です。ポイントをご説明します。
ドライバルクセグメントにおいて、第2四半期の市況は大型船、中・小型船ともに回復し、堅調に推移しました。しかし、上半期全体では市況が前年同期を下回り、経常損益も前年同期比で減益となりました。
一方、エネルギー資源セグメントでは、LNG船、LPG船、電力炭船、大型原油船、ドリルシップ及びFPSOなどが、引き続き中長期契約のもとで順調に稼働しました。また、前年度の一過性損失の剥落により、前年同期比で増益となりました。
製品物流セグメントでは、自動車船事業は第2四半期まで米国関税の影響が限定的であり、世界各国の底堅い需要に支えられて輸送台数は前年同期比で微増しました。しかし、為替の影響や運航費用の増加により、前年同期比で減益となりました。
コンテナ船事業では、貨物輸送量は関税発動前の駆け込み需要なども含めて前年同期並みで推移しましたが、新造船の竣工による供給増加の影響で市況が伸び悩み、ONE社からの持分法投資損益が減少したことにより、減益となりました。
B-1:2025年度通期業績予想及び変動要素

2025年度通期の業績予想及び変動要素です。まず、予想の前提として、2025年度は自営事業とコンテナ船事業の両方において、スエズ運河を通峡せず、喜望峰経由としています。
先日の米中協議を踏まえ、自動車船を対象としたUSTRの入港料の影響は織り込んでいません。10月30日の米中協議では、追加関税の発動を1年延期または一部取り消しすることなどが合意されましたが、荷動きなどへの影響については明確には把握できないため、今後の動向に留意していきたいと考えています。
為替レートは通期平均145円91銭、燃料油価格は536ドルです。市況や積高の見通しはスライドのAppendixをご覧ください。
これらを前提とした2025年度通期の業績予想は、売上高は9,840億円で前年比639億円の減少、営業損益は860億円で前年比168億円の減少、経常損益は1,000億円で前年比2,080億円の減少、当期純損益は1,050億円で前年比2,003億円の減少となりました。
営業損益は、前期比自動車船やドライバルクなどの利益減少に加え、為替円高の影響もあり減益となりました。一方、経常損益の段階では、ONE社からの持分法損益の減少なども加わり、減益となっています。
為替レートの変動影響は1円当たりプラスマイナス10億円、燃料油価格変動は10ドル当たりプラスマイナス1,000万円です。
2025年の年間配当予定は前回8月の公表内容から変更なく、1株当たり基礎配当40円に追加配当80円を加えた、1株当たり120円を予定しています。本年5月に公表した500億円以上の機動的な追加還元については、足元の事業環境などを踏まえ、時期や手法を引き続き検討しています。
B-2:セグメント別通期業績予想

2025年度通期業績予想のセグメント別についてご説明します。
ドライバルクセグメントについては、為替の影響が主な要因ですが、第1四半期における前期比での市況低迷に加え、積地事故や争議などの影響もあり、前期比で減益を見込んでいます。
エネルギー資源セグメントでは、LNG船、LPG船、電力炭船、VLCCなどが中長期契約のもとで安定的に稼働しており、前年度の一過性要因が剥落することもあって増益を見込んでいます。
製品物流セグメントの自動車船事業では、米国関税政策の影響を前回同様、通年でマイナス35億円として織り込んでいますが、全体への影響は軽微と考えています。総じて、世界各国の底堅い需要に支えられ、輸送台数は前期比で微増となる見込みです。
一方、円高の影響や運航費用の増加などにより、前期比で減益を見込んでいます。USTRの入港料の影響については、先ほどご説明したとおり織り込んでいません。
製品物流セグメントのコンテナ船事業では、2025年度後半は地政学的リスクや米国関税影響に加え、新造船の竣工による供給増加の影響で運賃市況が低迷すると予想しています。その結果、ONE社からの持分法投資損益が減少したことで、経常損益は前期比でマイナス1,845億円、前回8月公表比でマイナス175億円の215億円を見込んでいます。
8月の公表では、その時点での事業環境を踏まえ、ONE社全体の税引後損益を7億ドル弱としていましたが、今回はONE社の公表資料に記載のとおり、全体で約3.1億ドルを見込んでいます。
B-3:2025年度収支比較(2025年8月公表比)

スライドは、2025年度の収支を比較したものです。スライド左側には、8月時点の経常損益予想1,200億円、スライド右側には、今回の最新経常損益予想1,000億円を示しています。
自営事業については、8月の公表時からドライバルクセグメントでプラス15億円の増加が見られました。
一方、自動車船事業では、8月の公表時に織り込んだマイナス35億円の米国関税の影響には変更はありません。しかし、モデル切り替えに伴う欧州向け輸送台数の減少や生産トラブルに伴う影響などによる台数減で、8月公表時からさらにマイナス40億円の影響額が見込まれています。
自営事業全体では、前回8月公表の810億円から25億円減少し、785億円の見通しです。コンテナ船事業では、先ほどご説明した影響などにより175億円の減益を見込み、通期で215億円の経常損益を見込んでいます。
C-1:【資本政策】資本政策の進捗と企業価値向上に向けて

当社の現在の資本政策についてご説明します。稼ぐ力の強化では、2025年度通期経常損益について、先ほどご説明したとおり、8月公表比で200億円悪化し、1,000億円を見込んでいます。
一方、2026年度までの現行中期経営計画期間における営業キャッシュフローの見込みは、前回の8月公表から変更なく1.5兆円規模としています。これにより、全体のキャッシュアロケーションのスタートラインに変更はありません。
投資計画についても、2026年度までの投資キャッシュフローは前回公表の6,100億円から変更はない状況です。最適資本構成については、財務健全性と資本効率の両立を目指し、引き続き検証を進めていきます。
株主還元政策については、従来どおり最適資本構成を意識し、企業価値の向上や成長に必要な投資を実現するとともに、財務健全性を確保し、適正資本を超える部分についてはキャッシュフローを踏まえて積極的に株主還元を行う方針です。
したがって、最新のキャッシュアロケーションを踏まえたうえで、2025年度の配当予定は基礎配当40円、追加配当80円の合計120円とする予定であり、中期経営計画期間の還元総額8,000億円以上にも変更はありません。
また、すでに公表している500億円以上の機動的な追加還元については、事業環境を考慮しつつ引き続き手法や時期を検討しており、現行中期経営計画期間である2026年度までにしっかりと実施していく予定です。
足元でPBRが1倍を割っている状況については大きな課題であると認識しており、最適な資本構成と事業成長の実現を通じて市場から評価いただけるよう、引き続き努力していきます。
C-2:【資本政策】株主還元政策

スライドは、2026年度までの中期経営計画期間における株主還元全体をまとめたもので、前のスライドまでにご説明した内容の詳細となっていますのでご参照ください。
次のスライド以降では、事業環境や関税、USTRの状況についてまとめていますが、あらためてご参照いただければと思いますので、ここでのご説明は割愛します。以上で、私の説明を終わります。
質疑応答:自動車船の経常損益について
Q:自動車船事業について、通期の経常損益を下方修正されていますが、この際に輸送台数を下げたと理解しています。トラブルがあったという
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