中国 健康食品事業に関する代理店契約締結について

島田和幸氏:代表取締役の島田でございます。まず冒頭で5月16日に発表しました中国の健康食品事業についてご説明をさせていただき、その後2018年3月期第1四半期決算のご報告をさせていただきます。

このたび、中国最大の医薬品企業である中国医薬集団総公司(国薬グループ)の100パーセント子会社である中国国際医薬衛生公司(国薬国際)と、中国の健康食品事業に関し独占販売代理店契約を締結しました。

中国のサプリメント市場は年率10パーセント強の成長を続けており、2兆円を超える非常に魅力的な市場となっております。

一方で、外資系メーカーには非常に高い参入障壁が存在します。錠剤やカプセル形状のサプリメントは許認可の取得が非常に厳しく、過去20年間で外資系メーカーが取得できたのはわずかにすぎない状況でございます。

当社はこの問題をクリアにし、スムーズな事業展開を行っていくために、許認可取得に対し高いノウハウを有する国薬国際と組むことといたしました。

中国 健康食品 事業計画

現在両社で販売戦略の検討を進めているところですが、3つの事業領域での展開を検討しています。まずはイーコマース(EC)や店舗などの小売事業からスタートします。

続いて病院等の医療関連施設において予防医療事業を展開する方針です。

また、BtoBビジネスとして国営企業の従業員を対象に、健康診断に基づいて健康サービスやサプリメントを提供する健康増進サービス事業の展開も検討しています。

まずは中国向けの製品開発や許認可取得が必要なため、当面は当社業績に大きな寄与はない見込みですが、5年10年先を見据えた成長戦略として期待していただきたいと考えております。

セグメント別実績

それでは第1四半期の決算内容についてご説明いたします。まずセグメント別の実績についてご説明いたします。売上高は主力の化粧品事業、栄養食品事業が増収となり、前年比プラス10.2パーセントとなりました。

ファンケル化粧品はマイルドクレンジングオイルのプロモーション効果や、大手コンビニエンスチェーンへの卸販売の開始、マチュア世代向け化粧品「ビューティブーケ」の本格展開などにより、国内の売上は前年比プラス9.5パーセントとなりました。

アテニアは「ミッドナイトモイスチャライザー」などの新製品効果に加え、Webを活用したコミュニケーション戦略によりお客さま数が大幅に増加し、前年比プラス27.2パーセントとなりました。

栄養補助食品事業は、機能性表示食品「カロリミット」が好調に推移したことなどにより、国内の売上は前年比プラス9.1パーセントとなりました。

以上の結果、営業利益は前年同期から13億2,900万円改善し、12億1,500万円の黒字となりました。

なお、計画に対して売上は国内売上が計画どおりだったことに加えて、インバウンドが計画を上回ったことにより約5億円上振れし、営業利益はマーケティング費用の使用時期の一部見直しなどもあり、約10億円上振れて着地しております。

営業利益の増減分析

営業利益の前年差比較についてご説明いたします。経費以外の増減では、売上の増加による粗利の増加が16億8,300万円、原価率の改善による粗利の増加が1億7,400万円となりました。

コストの内訳ですが、宣伝費は売上増に伴い販売促進費などの経費が増加したことなどにより、全体では5億4,200万円増加しました。

なお、広告費はアテニアの広告費を増額した一方、ファンケルにおいてネット広告へのシフトによる効率化を図ったことなどによりまして、1,500万円減少しました。

固定費は、人件費が直営店舗の増加などにより増加したものの、ITシステムの償却費の減少などにより、全体では1,400万円減少しました。

以上の結果、営業利益は12億1,500万円となっております。

広告実績

次に広告実績についてご説明いたします。今期はTVCMなどのマス広告を減らし広告費の効率化を図るとともに、化粧品を中心にレスポンス広告をネットにシフトすることで、効果的に売上拡大を図ることを目指しています。

ご覧のとおり、広告費は製品広告については前年を下回った一方、ネットの比率を高めることで前年を上回る新規のお客さま獲得数となりました。

また、従来どおりの情報発信にとどまらず、広告とPRを連動させて世の中の興味・共感を醸成する取り組みを行っており、5月はダイエットセミナー、6月はベースメイクセミナーを開催しております。

また、企業ブランディングのために4月から「正直品質。」という企業スタンス広告をスタートさせました。継続的なスタンス広告により、ブランドの信頼、愛着を高めてまいります。

(参考)お客様数(既存)の推移(前年同月比)

9ページはのちほどご覧いただければと思います。

ファンケル化粧品

続いて、化粧品事業についてご説明いたします。まずファンケル化粧品です。今期はターゲット別のアプローチを強化しております。

若年層、いわゆるアラサー向けには「アクティブコンディショニング ベーシック」「アクネケア」ラインを戦略製品に位置付け、ネット中心のマーケティングを実施し、34歳以下の新規獲得数は前年同期に比べプラス36パーセントと高実績となりました。

一方、マチュア世代向けには昨年10月に発売した「ビューティブーケ」を強化しており、4月から通販で本格スタート、直営店舗でも全店に導入しました。なお、流通卸、ドラッグストアでの拡大に向けて静岡エリアでテストを実施しており、成功パターンを確立後順次展開エリアを拡大していく方針です。

加えて製品面では、スキンケアにとどまらずベースメイクに拡大していきます。今後も製品数を増やすとともに、既存製品の改良も加えながら「ビューティブーケ」については売上拡大に努めてまいります。

現在メインユーザー層である30代後半~40代には、独自性の高い製品を選定しクロスセルを強化しております。一部の製品ではすでに成果が出ており、一層の強化を図ってまいります。

アテニア/ボウシャ

次にアテニアについてご説明いたします。Webを活用した独自のコミュニケーションモデルと革新的な製品を毎月のように投入し続けていることにより、第1四半期の新規のお客さま数は前年比プラス42パーセントと、好調だった前年をさらに上回る実績となっております。

3月に発売した「ミッドナイトモイスチャライザー」が、@cosmeの上半期新作ネットコスメクリーム部門で1位を獲得するなど、複数の製品が口コミサイトや美容雑誌などで高評価を得ており、第2四半期はこれらを新規獲得商材として本格的にアプローチを行ってまいります。

また、ボウシャは年率15~20パーセントの成長を継続していますが、とくに第1四半期は「ブラックシリーズ」の好調などにより一時的に出荷が集中しており、前年比プラス60パーセントとなりました。

5月には「ブラックシリーズ」の新製品「チャコール ゼリーボールクレンザー」を発売しました。現地メディアの関心が高く、SNS上でも話題となっており、想定以上の販売数となっております。

2010年に発売しボウシャの成長のきっかけとなった「ブラックマスク」に次ぐ製品として期待しています。

[サプリメント]スター商品のシリーズ化

次に健康食品事業についてご説明します。「カロリミット」シリーズの売上は、昨年9月に「カロリミット」が機能性表示食品となって以降好調な売上が続いており、第1四半期の売上は計画を上回る実績となりました。

6月20日以降は「大人のカロリミット」の機能性表示食品に合わせ、TV集中プロモーションや「食べ写 de カロリミット」と題したSNSを活用した立体的なキャンペーンを展開しています。

「えんきん」シリーズの売上は、前年同期の機能性表示食品1周年キャンペーンの反動や、TVCMの鮮度がやや低下してきたことも影響して、前年を若干下回っております。

ただしこれは一過性のものと捉えております。現在TVCMを含めたコミュニケーションを見直しているほか、流通でもアイケアコーナーなどサプリメント売場以外にも置かせていただけるよう積極的に提案を行っており、秋以降にその成果が出てくるものと考えております。

また、3月に発売した「スマホえんきん」は40代以下のお客さまが7割を占めており、「えんきん」と住み分けが図られております。

スマホ老眼を切り口にターゲットを明確にし、「えんきん」ではアプローチできない若年層の獲得を強化してまいります。

[サプリメント]お客様育成の状況

次にお客さま育成の状況についてご説明いたします。先行的な広告投資により多くのお客さまを獲得し、ライト層は中計スタート前の2014年に比べ3.1倍に拡大しています。

定期サービスの登録促進や、お客さまの属性に合わせたきめ細やかなフォロー施策により、徐々にライト層からミドル層に育成されてきており、ライト層の上のミドル層も2014年の1.2倍に増加しております。ライト層からミドル層に移行することで、購入単価のアップにもつながっています。

一方、製品面では5月に「基本栄養パック」、6月に「糖値サポート」、「内脂サポート」を発売しました。今後これらの製品のクロスセルにも取り組んでまいります。

とくに体重・体脂肪を減らす働きを持つ「内脂サポート」は、次期のスター製品候補として重点的に育成していく方針でおります。

チャネル戦略

次にチャネル戦略についてご説明いたします。通販チャネルはネット中心のビジネスモデルに変革しており、今期は情報誌の見直しに取り組んでいます。

現在、情報誌(カタログ)は毎月約70万部発行し、40代をメインターゲットにすべての方に同一の情報を提供していますが、今後は若年層にはWeb中心、中高年層には紙媒体中心と、各世代に適した媒体を活用し、情報も世代ごとに変えてまいります。

これによって情報誌の発行部数を削減するとともに、送付対象者を見直すことなどでさらなるコスト削減につなげてまいります。

一方、店舗はカウンセリングの取り組みを強化しており、カウンセリング率は確実に向上しています。個店ごとにカウンセリングの指標を目標設定し、優秀店舗を表彰する制度を設けたほか、接客コンテストの実施などにより、スタッフの意識改革が図られてきたと考えています。

これらの取り組みの結果、購入単価も今年に入ってから前年を上回るようになりました。今後も内外利用提案など、ファンケルならではのカウンセリングを強化し、売上拡大に努めてまいります。

上期見通し

次に上期・通期見通しについてご説明いたします。第1四半期は計画を上回って着地しましたが、第2四半期は第1四半期未使用となったマーケティング費用を使用する予定のため、見通しに変更はございません。

通期見通し

次に通期の見通しについてご説明いたします。第1四半期の結果を受け、事業ごとの内訳は若干見直しておりますが、連結全体の売上・利益見通しについて変更はございません。

下期は上期に比べ売上計画が高く、インバウンドの押し上げ効果も限られると考えておりますので、しっかり取り組んでいく必要があると考えております。

売上高は前年比プラス9.0パーセントの1,050億円を見込んでおります。化粧品は前年比プラス10.6パーセントの629億5,000万円の見通しです。

内訳はファンケル化粧品が前年比プラス6.8パーセント、アテニアがプラス23.6パーセント、ボウシャがプラス38.2パーセントです。栄養補助食品事業は前年比プラス9.1パーセントの350億1,000万円を計画しております。

営業利益は増収効果に加え、ネットを中心とした効率的なマーケティング費用の使用に努める結果、前年比2.7倍の60億円となる見通しでございます。

通期見通し 営業利益の増減分析

21ページの通期の計画に対する営業利益の前年差は、ご覧のとおりでございます。

3月から新体制がスタートし、約5ヶ月が経過しました。最後にわたくしから現状の認識をご説明させていただきます。

第1四半期を終えて

今期は「ALL‐FANCL ONE‐FANCL」を方針に、研究・製造・販売まで一気通貫で展開できるファンケルの強みをもう一度復活させ、「稼ぐ力」を強化したいと考えております。

とくに力を入れているのが、組織の一体感の醸成と経営のスピードアップです。これまで持ち株会社体制では各事業と販売チャネルとの連携が不十分で、機動的に動けないところがありました。今回、それらを統括する機能として「マーケティング本部」を新設し、わたくしが本部長を兼務しております。

自ら研究所・工場・直営店舗を巡回しているほか、商品企画や広告の会議、PRの場にも積極的に出ていって、掌握感を持って経営を推進しており、一体感はできつつあると考えております。

今後の重点テーマはサプリメントとネットの一層の強化です。サプリメントは当社の強みや独自性を明確にして、一つひとつの製品を大切にしてスター製品に育成していくことが重要と考えております。

一方、ネットはカタログとWebの融合、SNSなどを活用したお客さまの共感を生む新しいコミュニケーションモデルを確立していく必要があります。まだ途中ではありますが、手応えは感じ始めております。

第1四半期はよいスタートを切れたと考えておりますが、第2四半期以降は計画値も高くなっていますので、楽観はできないと考えております。引き続きスピード感を持って取り組んでまいります。

以上でわたくしからのご説明を終了いたします。ありがとうございました。