2017年6月期決算説明会
臼井貴弘氏:当社は昨年7月21日にJASDAQに上場しまして、今期はその上場1期目でございました。まずは、日頃のみなさまのご支援に、心よりお礼申し上げます。
創業から約10年で上場という1つのマイルストーンを通過し、新たなステージを歩み始めた1年でございました。
本日の説明会では2017年6月期の決算実績に加えて、各事業の状況や今後の見通し、そして今後の方針を説明し、改めて当社についてのご理解を深めていただきたいと思います。
本日の説明会では、はじめに当社の概要と事業サイクルを改めてご説明いたします。
次に、2017年6月期の決算実績のハイライト、事業環境、当社の強みを順にご説明しまして、最後に今後の方針と今期の見通しをご説明いたします。
会社概要
当社の概況ですが、当社は笑顔創造を企業ミッションとして掲げております。
資産の1つとして、長期的に持っていてよかったと思える不動産の開発と分譲により、お客様の幸福に貢献したいと考えております。
また、ロゴマークは3本の矢と波をイメージしております。
「強く、優しく、おもしろく」という3つの精神と、新たな波を起こすという気持ちを込めております。
当社の事業サイクル
当社の事業サイクルを簡潔にご説明いたします。
当社は不動産の企画・開発・分譲・管理・運用・仲介をワンストップで行っております。
事業セグメントは3つに分かれております。
主力となる不動産販売事業では、東京23区徒歩10分以内を開発基準としたマンションXEBEC(ジーベック)の企画・開発・分譲を行っております。
不動産賃貸管理・仲介事業では、不動産販売事業で分譲したマンションの賃貸管理業を行っております。
賃貸管理業は、サブリースと管理業務の受託によるストック型のビジネスでございます。
海外不動産事業では、シンガポールやマレーシア、香港、上海、台湾などの東南アジア諸国において、コンサルティング事業を行っております。
コンサルティングは海外の投資家に対するインバウンド事業と、国内投資家に向けたアウトバウンド事業の双方向で行っております。
国内・海外投資家に向けて、資産性の高いマンション、XEBECを供給することで、賃貸管理戸数の積み増しを行い、ストック型のビジネスを拡大することで、事業の安定化を図るのが当社の事業サイクルでございます。
2017年6月期決算ハイライト
続いて、2017年6月期の決算実績をハイライトでご説明いたします。
2017年6月期は当初の計画に沿って増収増益で着地いたしました。
売上高は前期比38パーセント増の96億円となりました。
これは昨年のJASDAQ上場から含めて、過去最高の売上高で、7期連続の増収となり、利益面においても営業利益で前期比10.3パーセント、経常利益は4.8パーセントの増益となりました。
また、後ほど補足させていただきますが、シンガポール大手不動産の『DWG社』との提携や、IoT、仮想通貨といったテーマへの取り組みも徐々に開始いたしました。
分譲⼾数・管理⼾数の推移
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年間の分譲戸数についても297戸で過去最高となりました。
賃貸管理戸数も順調に増加し、1,500戸を超える管理戸数となりました。
管理戸数が増加する一方で、平均入居率も97パーセントという高い水準を保っており、マンションXEBECの駅近の立地による稼働率の高さが裏付けられました。
損益計算書
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売上高は96億9,700万円、営業利益は4億5,300万円、経常利益は3億4,500万円、当期純利益は2億2,000万円と、概ね当社の事業計画に沿って着地いたしました。
リートへの売却など、これまでにはなかった大口の販路を拡大したことにより、全体の利益は低下しました。
主力の販売不動産事業では、販売戸数は297戸で前期比29.7パーセント増、賃貸管理戸数は1,560戸と前期末から25.2パーセント増加し、事業規模は順調に拡大をしております。
貸借対照表
当社は昨年7月21日に東証JASDAQへ上場いたしました。
それに伴う増収により、純資産が2億7,000万円増加し、また、当期純利益により、利益余剰金が2億2,000万円増加し、当期末の純資産は13億8,600万円となりました。
純資産が増加した一方、販売不動産の仕入れに伴う資金借入により、有利子負債が4億8,400万円増加し、結果として自己資本比率は前期末19パーセントから当期末24パーセントとなっております。
キャッシュ・フロー計算書
次に、キャッシュ・フロー計算書の概況をご説明いたします。
営業キャッシュ・フローは、仕入れにより今期も2億1,000万円のマイナスとなりました。
仕入れによるキャッシュ・アウトは、金融機関からの資金借入および上場時の株式の発行による収入でまかなっております。
これらの結果、財務キャッシュ・フローが7億800万円のプラスとなり、全体のキャッシュ・フローは2億9,400万円のプラスとなっております。
期末残高は、前期末の6億2,200万円から、当期末は9億1,700万円に増加しております。
セグメント別業績ハイライト
次のページへお進みください。次に、セグメント別の業績についてご説明いたします。主力の不動産販売事業は、前期比38.6パーセント増の、売上高83億8,800万円となりました。
ストック型のビジネスの不動産賃貸管理、仲介事業は、前期比21.1パーセント増の12億2,600万円となりました。海外不動産事業では、前期比60.3パーセント増の8,100万円となりました。
主力の不動産販売事業が全体を牽引して、全セグメントで増収となりました。売上高構成比については、87パーセントを不動産販売事業が占めております。
事業環境①
次に、事業環境と当社の強み、差別化のポイントについてご説明させていただきます。大局的には、地価は上昇の状況になります。
また、賃料相場も穏やかに上昇しております。国土交通省の公示地価によりますと、当社の物件開発エリアである東京都では、地価の上昇傾向が続いております。とくに駅周辺の商業地では、上昇傾向が強くなっております。
また、不動産経済研究所の首都圏投資用マンション市場動向によりますと、首都圏マンション価格は、2017年1月から6月で戸当たり単価が前年同期2.6パーセント、平米単価が前年同期0.6パーセント上昇しております。
このように不動産価格は全体として上昇傾向にあり、適正価格での開発用地の確保、物件仕入れがよりいっそう重要な環境となっております。
事業環境②
住宅需要の面につきまして、東京都の人口予測によりますと、2025年までは現在の人口流入傾向が続く見通しになっております。人口流入に伴いまして、単身世帯と2人世帯の増加が続いてまいります。
事業環境③
当社は25平米から30平米程度の1Kタイプの開発を得意としておりますが、最近では、こういった広めの1Kタイプに2人で入居するケースも増えております。
単身世帯だけでも、2015年から2025年までの10年間で、約6万3,000世帯の増加が予想されますが、これに先ほどの2人世帯を踏まえますと、10年間で22万戸の世帯増加が予想されます。
これは、単純に年平均で換算すると、約2.2万戸の住宅需要となります。これに対しまして、供給の面では、東京カンテイの統計によると、最近5年間のワンルームタイプの供給は、年間1.2万戸のペースで推移しており、当面はこの需給バランスが継続するものと考えております。
当社の強み・差別化③
このような事業環境の中、当社の強み・差別化となるポイントは、駅近物件の開発、XEBECの分譲実績、賃貸管理業の入居率、そして海外展開という以上の4点となります。
それぞれのポイントについて、次のページでご説明いたします。まず、当社の強みである、駅近物件の開発力についてです。
当社では、駅徒歩10分以内という開発基準をぶらさず、XEBEC=駅近というイメージを守っております。
駅から近いということは、長期的に見ても安定した賃貸需要が維持できるということであり、持っていてよかったと思える物件の条件だと認識しております。過去の供給物件は、駅徒歩5分以内の物件が、この開発力は当社の強みでございます。
「XEBEC」は16世紀から19世紀の地中海で使用された小型高速の帆船の名称でございます。これをマンションに置き換え、コンパクトな設計でありながらも機能的で、需要に合わせて前進する、そんな開発コンセプトを込めて、ブランド名としました。また、この開発コンセプトは当社の社名、デュアルタップにも通じております。
デュアルが2重、タップが開発となっており、資産性と実需の両面から、当社ならではの豊かな感性で開発を行うという意味をこめております。
利便性に加え、外観やエントランスにも高いデザイン性を取り入れ、内蔵のグレードにより高級感ある物件にするなど、工夫を行っております。創業当初から一貫しているこのコンセプトは、今後の物件開発でも大切にしていきたいと思っております。
当社の強み:駅近物件の開発力
次のページへお進みください。次にXEBECの供給実績についてです。今期は297戸のマンションの供給を行いました。
創業時からの累計にしますと、XEBECシリーズは東京23区内で41棟、1,413戸の供給実績が積み上がってきております。資産性と利便性を兼ね備えたブランドマンションとしての、着実に実績を積み上げております。
当社では、1戸1戸の分譲を自社の営業部門が行っており、実際にお客さまと正面から向き合って、直接分譲をしております。これまで積み上がった分譲実績は、お客さまからの信頼の証であり、当社の自信となっている部分でございます。
当社の強み:XEBECの供給実績
こちらは今期の供給物件の一例となっております。今期は、荒川区、墨田区、台東区などの城東エリアを中心に物件供給を行ってまいりました。
いずれも、駅徒歩10分以内という開発のコンセプトのもと、安定した賃貸需要が見込め、お客さまの資産形成に寄与する物件でございます。
2017年6月期の販売物件一覧
次に、賃貸管理業の高い入居率についてです。当社ではストック型ビジネスとして、賃貸管理業を行っております。
主に自社で分譲したマンション、XEBECの賃貸管理を行っております。今期はXEBECの分譲実績に加え、お客さまがご所有されている別の物件の管理もご用命いただき、期末時点での管理戸数は1,560戸と、前期比で314戸増加いたしました。
拡大基調の賃貸管理業ではございますが、強みはその入居率の高さにございます。今期は期中平均で97.9パーセントという高水準で推移いたしました。
これは、業界平均と一線を画した水準であると思っております。各地域の不動産仲介業者とのコミュニケーションを積極的に行い、細やかな対応に努めていることが、入居率の高さにつながっております。
また、XEBEC以外でも、関東圏の物件や現状空室の物件など、ご用命をいただいた場合は積極的に管理を行い、お客様が募集されている物件の資産性の向上に寄与しております。
入居率の高さについては、お客さまにとって資産性の向上につながることはもちろんのこと、当社にとってもストック型のビジネスとして、収益力の向上に寄与しております。
当社の強み:賃貸管理業の高い入居率
賃貸管理業においては、強みとなっている入居率の高さに加えて、差別化のポイントとして、3ヶ国語対応のオーナーさま専用Webを開設しております。当社にご用命いただいた物件は、この専用のWebサイトからいつでも管理状況をご確認いただけるようになっております。
XEBECのオーナーさまは、日本全国、世界各国にいらっしゃいます。この専用Webサイトは、オーナーのみなさまの安心感に寄与しております。
当社の差別化:3ヶ国語のオーナー様専用Web
次に、海外展開についてご説明いたします。当社では、企業価値拡大の成長ドライバーとして、海外不動産事業に注力しております。当事業では、子会社のDualtap Internationalが、国内外の投資家に双方向で収益不動産を紹介する、クロスボーダー事業を展開しております。
当社はいち早く、クロスボーダーでの不動産投資ビジネスの将来に着目して、創業6年目の2012年に子会社Dualtap Internationalを設立し、マレーシア、シンガポール、およびタイでの不動産紹介ビジネスやテナント管理業を展開してまいりました。
とくにマレーシアでは、現地子会社を通じて4,400戸以上の大型レジデンスを管理するなど、実績が積み上がってきております。現地のディベロッパーや仲介会社とのネットワーク拡充を図り、更なる事業拡大を目指してまいります。
海外不動産事業における当社の強みは、シンガポール、マレーシア、現地子会社が事業を展開していることです。2014年には、海外不動産事業拡大を目的としてシンガポールに進出。2015年には、建物管理業を目的としてマレーシアに進出いたしました。
現地に自社の拠点を構え、きめ細かいフォローを行っていることが、他社との差別化につながり、海外の投資家から高い信頼を得ております。
また、本年2月にも公表させていただきました、シンガポール大手不動産会社、DWG社との業務提携は、すでに大手町プロジェクト、日暮里プロジェクトの2棟の物件で、販売成果につながっております。
当社の強み:海外展開
こちらは、アウトバウンド事業で取り扱っている海外物件の一例でございます。海外不動産事業では、これまでに主にマレーシアの収益物件の紹介を行ってきましたが、最近では投資家ニーズに応えた、タイやイギリスの不動産を取り扱っております。
海外物件のご紹介
左の物件は、The Lai Thaiというサービスアパートメントで、豊かな自然と美しいビーチがある、タイのクラビエリアの物件でございます。
こちらの物件には、ホテルの運営会社の賃料保証がついており、ネットで7パーセントの利回りとなっております。また、購入者には30日間のホテル無料宿泊権もございます。
右の物件は、2 moor fieldsという高級アパートメントで、イギリスのリヴァプールの物件でございます。イギリスの不動産は、ポンド安を背景として、投資家の関心が集まっております。こちらの物件は、駅直結で利便性が高く、2016年にフルリノベーションも行われております。
海外物件については、これらの物件以外にも、資産として安定感に優れた、日本の不動産とはひと味違った物件を、多数取り扱っております。
当社の差別化:マレーシアでの取り組み、建物管理事業
当社は2015年マレーシアに進出し、現在ジュホール州南部を中心にレジデンス、商業施設、複合施設の13棟、4,426戸を管理しております。
マレーシアはルックイースト政策に始まる東南アジアでも有数の親日国であり、日本人特有の規律性やおもてなし精神を基礎とした日本品質が管理上のアピールポイントとなっております。
当社はマレーシア唯一の日系管理会社であり、日本の先行する管理手法、長期修繕計画の作成や建物大規模修繕の工事の手法、セキュリティシステムの機械化によるコストダウンの提案などを提供することでインフラの輸出による他社との差別化を図っております。
当社が拠点としているマレーシア南部のジョホール州は今後、新築コンドミニアムの完成が多く予定されている有望市場でございます。
現地の競業大手は進出がまだ少なく、先行者利益が狙えるマーケットに、環境にあると考えております。
今後の方針
次のページへお進みください。続いて、成長戦略についてご説明いたします。
今後の方針としまして、まずは東京都の単身世帯の増加を背景に、主力である不動産販売事業の成長安定を目指してまいります。
具体的には主力商品であるワンルーム型住戸の分譲で、年5パーセント以上の成長を目標としております。
その上でストック型ビジネスである賃貸管理業はXEBEC以外の管理も積極的に行い、拡大を目指してまいります。
また、良質な収益不動産の保有にも常にアンテナを張ってまいります。将来的にはストック型ビジネスで当社の固定費をカバーできる程度の収益力を目標としております。
また、海外不動産展開については引き続きアジアを中心にしたグローバルな投資活動の拡大に努めてまいります。
マレーシアでのビル管理事業の定期貢献も1年以内に目指してまいりたいと思っております。
更に新領域の取り組みも進めてまいります。具体的にはXEBECへのIoTの導入とその活用。中古マンションの買い取り再販を進めてまいります。
2018年6月期通期計画
次に現在進行中の2018年通期業績予想についてご説明いたします。
売上高で前期比6.1パーセント増の102億8,900万円を計画しております。創業当初からひとつのマイルストーンとしていた売上100億円を目標値といたしました。
2018年6月期通期計画のポイント
その他のポイントにつきましては次のページでご説明させていただきます。
2018年度計画のポイントをご説明いたします。まずは粗利率の改善です。今期は販売チャンネル拡大を目指す過程でリート等への1棟販売を実施しました。
また、各自治体の条例による建築規制により、供給物件にファミリー住戸が59戸含まれておりました。
当社はファミリー型住戸を主力商品としておりませんので、効率的に他社への一括卸を行いましたが、これにより全体の粗利率が低下いたしました。
2018年はファミリー型住戸の供給予定を29戸に抑制できましたので、これにより粗利率の改善を見込んでおります。
また販管費については海外展開の加速と、人材育成、人材獲得のコストを保守的におりこんでおります。
以上が2018年度のポイントでございます。
トピックスInternet of Things(IoT)
次のページにお進みください。今後の方針につきましていくつかのトピックスを補足させていただきます。
まず海外展開についてですが、先ほどもありましたとおり、本年2月にシンガポール大手不動産会社のDennis Wee Reality社と業務提携をいたしました。
Dennis Wee RealityはDennis Wee Groupを形成しており、GWG社と呼称しております。
提携の内容は双方が持っている物件情報の共有を目的としたもので、従来からスポットで行っていた内容を明文化したものでございます。
ついに大手町プロジェクトと日暮里プロジェクトの二棟についてGWG社との販売契約を締結しております。
またGWG社からの海外グループ圏の情報供給も受けており、今後の双方の発展を目指してまいります。
次にIoTのの取り組みにつきまして、東証一部上場企業のインベスターズクラウド社の子会社であるRobot Home社とのOEM契約を締結いたしました。
Robot Home社が提供するIoT製品をXEBECに導入し、利便性と将来のデータの連携を進めてまいりたいと思っております。
トピックス仮想通貨
次のページにお進みください。次に仮想通貨についてです。当社グループが運営する賃貸仲介店舗においてビットコイン決済を導入しました。
仮想通貨にはまだ壁はございますが今後の普及は確実だと思っております。
まずは少額な賃貸仲介手数料から導入し、将来的には不動産の売買取引で仮想通貨決済を目指してまいりたいと思っております。
利益還元
次のページにお進みください。
最後に利益還元の方針についてです。利益還元に方針については配当金30円のベースを維持する方針です。
当面は30円をベースに会社の成長に合わせて増配を検討してまいりたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。