中国における『アラド戦記』の成長要因
質問者1:野村証券のヤマムラです。私からは3点お願いしたいと思います。
1点目は中国の『アラド戦記』についてです。(プレゼンテーションの)冒頭で、オーウェン社長から根源的な強さについてお話しいただきましたが、第1四半期と第2四半期の要因分析をもう少し細かくお伺いしたいと思います。
第1四半期はレベルキャップの解放とユーザーの底上げという両方の好調な理由があったと思います。第2四半期に入って、押し上げ要因がなくなったもの、第1四半期と変わらず続いているもの、もしくは第2四半期にこんなことがあったというお話があれば教えてください。これが1点目です。
植村士朗氏(以下、植村):ご質問ありがとうございます。
中国の『アラド戦記』が非常に好調で、第1四半期においても非常によかったとお伝えしておりますが、今回においてもいいと。さらに言うと、おそらく第3四半期においてもいいであろうと見ております。
これは第1四半期においてレベルキャップの解放やコンテンツのアップデートが非常に大きく当たったとお伝えしたと思います。
このゲームに関しては、我々にとって非常に重要なゲームであるので、急激な成長も急激な減退も起こらないようなかたちで、慎重に運用を行いたいと常々申し上げてきました。
そのような運用をずっと心がけてきたのですが、具体的に言うと、やはりゲームから取れるさまざまな数値等の分析やユーザーとの対話によってかなり細かな分析をして、「今、何をやるべきか」ということを、我々は「Free to Play」の長い経験の中で培ってきたものがかなりあるので、それらをずっと運用を行ってきました。
高品質なアップデートときめ細やかなライブ運用、という話でお伝えしてきたかと思いますが、背景にはそのような細かい分析等々で運用を行ってきたということがあります。
それが功を奏しまして、非常にいい状況にありますし、例えばKPIのMAUで申しますと、YoYでは増加しておりますし、Paying User(課金しているユーザー)も増加しています。
一方ARPPUに関しては、ほぼ一定というかたちになっておりますので、簡単に言うと成長しているゲームの特徴だと言えると思います。
従って、第1四半期でもかなりいい成績を残しましたが、第2四半期でも今回のような結果を出してくれたということです。
このモメンタムは第3四半期でも続くであろうと見ておりますので、ゲーム自体を本当に日々細かく分析・運用していくことによって、このゲームが適度な成長を描いていると認識しております。
質問者1:ありがとうございます。2点目は、第2四半期のロイヤリティ費用についてお伺いしたいと思います。
私の勘違いだったら申し訳ないのですが、一時的な契約金の支払い等々が含まれているようにも見えます。それとも単にIPを使ったコンテンツが増えたので、シンプルにロイヤリティ費用が増えたということでよろしいのでしょうか?
第1四半期・第2四半期で若干比率が上がっていますので、細かい話で恐縮ですが、そこだけ確認させてください。
植村:ロイヤリティ費用に関しましては、当然その時にどのようなタイトルがヒットしているかによって変わってくるので、必ずしも一定の比率にはならないということがありますが、第2四半期において若干高く見えるのは、『真・三國無双 斬』等が非常に好調であるというところで、ロイヤリティの支払いが増えているということになると思います。
韓国における『ダークアベンジャー3』のヒット要因
質問者1:最後の質問です。『ダークアベンジャー3』や『LawBreakers』などの新作がありますが、私からは『ダークアベンジャー3』についてお伺いしたいと思います。
韓国で『リネージュ』シリーズのRPGの大きなタイトルが1位と2位を占めていて、今後ほかのRPGが実績を残すのは難しいのではないか、という見方もあったかと思いますけれど、今、始まったばかりではありますが、『ダークアベンジャー3』は非常に好調にスタートされてます。
(『リネージュ』シリーズとは)ゲーム性がぜんぜん違うのですが、きちんとしたものを出せば同じRPGでも今後も勝っていけるということなのか、今の(『ダークアベンジャー3』の)成功の背景をどのように分析されているか、コメントをいただけますでしょうか。以上です。
植村士朗氏(以下、植村):韓国においては、非常に厳しい競争環境であるということは事実でありますし、かなり強いタイトルが上位にひしめいているということも認識しておりますが、やはり今おっしゃったように、高品質でおもしろいゲームを提供していければ、先ほど社長からも「2位にランクインした」との話がありますが、上位のゲームに食い込んでいくことは可能だと思っています。
『ダークアベンジャー3』についてさらに言うと、我々は一時のランキングを重視するというよりかは、継続性を重視したいと思っております。
そういった意味では、『ダークアベンジャー3』は今のところ我々が期待する継続率を出し続けておりますので、非常に期待の持てるタイトルだと思っておりますし、我々としてはクオリティの高い良いゲームを配信できていると思っております。
質問者1:ありがとうございました。
『ダークアベンジャー3』『LawBreakers』の将来性
質問者2:ドイツ証券のハンジュン・キムです。いくつか質問があります。まず『ダークアベンジャー3』に関して、KPIについてはわかりましたが、『ダークアベンジャー1』『ダークアベンジャー2』と比べて、『ダークアベンジャー3』のほうがより幅広いKPIがあるのか、より継続性が高いのか、ということについてお願いします。
オーウェン・マホニー氏(以下、マホニー):先ほども言いましたけれども、私たちは現在の継続率にとても満足しております。
これから少し(データを)待つ必要があると思いますけれども、とりあえずはとてもいいということです。ありがとうございます。
質問者2:2つ目の質問は、『LawBreakers』に関してです。良い評価が出ているということで、PSファンも多いと思うのですが、もっとニッチオーディエンスのゲームということなのでしょうか?
FPSは非常にハードコアであると思うのですが、マスマーケットに受けるのかどうか。これは(ゲームとして)象徴的に重要なのか、またはコンソールマーケットに入ったということが重要なのか、または何らかの大きな財務的な貢献がこれから数年間で出てくるのでしょうか?
マホニー:今はそのとおりだと思います。『LawBreakers』はアリーナFPSという特定のユーザー層の市場に向けたゲームです。もともと一般向けではありません。やっていただければわかると思いますが、SteamやTwitchなどのレビューを見ても、みんな同じようなことを言っています。とても難しいということです。もともとアリーナのファーストパーソン・シューティングゲームであるということです。
ただ、私たちの考え方としては、これはなかなか作品の少ないマーケットだということです。プレーしたい人はおそらくロイヤリティが高くなるだろうということで、そうであれば少しずつ、より幅広いマーケットに広がっていくと考えています。
開発者は非常にすばらしいゲームを作ってくれたと思います。当初のユーザーは、それをとても感じているようです。ここからは、これまであまりなかった市場に入っていけると思います。これまであまりゲームがなかった分野であるということです。
それから、本当に見るのが楽しいゲームでもあります。プレイすると難しいということで、観客が集まるスポーツにもなり得るということで、いわゆるチャンネルとしてゲームを見るのが好きな人、TwitchとかYouTubeといったところの期待もできます。
それから、eスポーツのポテンシャルもあると考えています。eスポーツに関して言うと、私たちのようなゲーム開発者は、eスポーツのゲームがどうなるかというのは私たちが決めるのではなく、やはり楽しむ人たちが決めるものだと思っています。
楽しんでくれているようですし、「E3」(※1)のイベントでも反応が見られますので、ポテンシャルは高いと思います。 ※1 Electronic Entertainment Expo: 米国のロサンゼルスで開催される世界最大のコンピューターゲーム関連の見本市です。
今後eスポーツをどのように進めるか
質問者2:ご回答ありがとうございます。難しいことはわかります。なにかしきい値などはありますか。
マホニー:これによって、eスポーツをさらにプッシュしていくことや、そこから成長していく数値的な例はないと思います。どういうふうにこれが動いていくかというと、コミュニティの中から出て、育っていくということです。
これが欲しい、これがサポートしたいという気運になれば(育っていく)ということです。私たちは、eスポーツに関しては、一番長くやっているパイオニアだと思っています。ビデオ業界では、そうだと思います。韓国の長い経験に基づいています。
そういった経験からわかることは、準備ができたとしたら、マーケットのほうから(私たちに)言ってくるということです。
質問者2:もう1つ質問です。『Player Unknown Battle Ground(以下PUBG)』からなんらかのプレッシャーはありますか?
マホニー:私の見方としては2つあると思います。これは前にもお話ししたと思いますけれど、マーケットシェアの奪い合いの話がよく出るわけですが、私は、このゲーム業界はそうではないと思います。
つまりゲーム業界は、他のエンターテインメントのセクタのように、面白いゲームが生まれることで業界はより活性化します。アメリカのテレビやアニメで起こっていることです。ゲームでも、それが起こっていると思います。
ですから、『PUBG』についてはすばらしいと思います。しかし、私たちの経験としては、よりよいゲームが出てくればゲーム業界のゲーマーも増える。より頻繁にプレイしてくれるということで、これ(前例)は何回も出てきているわけです。
非常に競争が激しい韓国でもそうです。ですから、短期的なインパクトは出ますけれど、その他のノイズからそれを排除することは難しい。長期的に見ればとてもいいことだと思います。よりよいゲームがあれば、業界にとってとてもいいということです。
質問者2:ありがとうございました。
PCゲームとモバイルゲームの比率
質問者3:日本経済新聞社のサクライと申します。2点質問があります。1点目は、今御社のゲームの比率は、PCが76パーセント・モバイルが24パーセントです。海外でも、比率はまだPCゲームのほうが高いと考えております。今後は、モバイルのゲームの比率をもっと増やしていくのかについてお伺いしたいです。
2点目は、アメリカなどではeスポーツの大会もあると思います。今後日本で、御社のゲームを利用してeスポーツの大会を開いたり、違う主催者の方に開いてもらったりする計画があれば、教えてください。
マホニー:ご質問ありがとうございます。まず最初のご質問の答えですが、おっしゃったとおりです。足元の四半期において、PC(ゲームの比率)は75パーセント強になっております。
我々は特段、ある割合で行こうとは考えてはおりません。今までの歴史として、多くのPCのタイトルを持っております。そこが我々の会社の出発点だからです。例えば、韓国や中国はPC寄りの市場となっております。我々のタイトルは、長期的に遊んでもらえるものであり、どんどん成長しております。
そういう意味で、モバイルゲームで新しいゲームをローンチしたとしても、PCゲームの競争にさらされるというかたちになります。
そうはいうものの、例えば『ダークアベンジャー3』や、その他の新しいモバイルタイトルというのをローンチしておりますし、今後のパイプラインにも入っております。
ただ、我々としては、このPCとモバイルの割合はあまり考えておりません。2年から5年先を考えていきますと、今後の市場では、PCとモバイルはどんどん融合していくと思います。
例えばデバイスとしても、iPadやタブレット、またライトなPCなどもあります。タブレットは大型のモバイルデバイスと同じですので、ハードの方でも融合がみられています。
時間が経てばこれらのPCもモバイルも、融合・収斂していくと思いますので、我々は割合についてはあまり考えておりません。戦略的に、例えば将来的に(PCとモバイルの割合を)何パーセントでいくと考えているのではなく、これらの融合さえできますので(考えておりません)。そういった事態に備えて、経営を管理しております。
さて、2つ目のeスポーツに関わる質問ですが、ちょっとまだ日本では時期尚早だと思います。北米においても近いです。これはあくまでも私見です。
この業界で、私に異を唱える方もいらっしゃいます。欧米では、eスポーツに対する投資が相当行われています。
例えば、eスポーツチームなどがその例です。インフラがどれだけ整備されているか(の度合い)、また韓国の成熟度は、日本と比べて先に行っているということが言えます。
もしソウルを訪問する機会があれば、ぜひネクソンのアリーナにお越しください。550人の人がいて、300以上のイベントが毎日開かれています。何夜にも及ぶイベントとなっており、大勢の方が参加します。大体、女性が60パーセント、男性が40パーセントという割合になっています。
eスポーツのゲームをライブで見ることは、ソウルにおいて、夜の楽しみの1つになっています。それは、北米でeスポーツのゲームを見に行くこととは違った状況です。
(私は)大型のeスポーツゲームに参加したことがあります。例えばファミリーリストは、Streamerなどが見るように構成されていますが、実際のライブ参加者は、会社のメンバーやその家族です。
(eスポーツゲームをライブで見る)動きがありますが、まだ初期段階にあるかと思います。誤解もある(言い方な)のですが、ゲーマーは「とても競争の激しい状況で楽しみたい」「もっとeスポーツ的なものをやりたい」「チームを自分で編成したい」「ぜひサポートしてください」と言ってきます。
これで回答になっていましたでしょうか。ご質問ありがとうございます。
『ダークアベンジャー3』のKPI
質問者4:BMPパリバのジェイ・ハンです。1点目は、『ダークアベンジャー3』について質問です。最初のKPIはどういうものでしょうか? ネクソンではゲームごとのKPIは公開していないと思います。
概算で、ヒットと比較してどうなのか伺いたいです。このゲームのポテンシャルを理解したいです。2点目は、『ダークアベンジャー3』のグローバル化計画について。次の対象国はどこか。日本なのか東南アジアなのか、ということです。
植村:ありがとうございます。『ダークアベンジャー3』に関して、継続率は満足するものがあると、先ほどお伝えしました。ヒット作と比較して(KPIが)どうかというご質問だと思います。
おっしゃるとおり、我々はタイトルバイタイトルでKPIを細かく開示することは、ほぼないです。(そのため、)ヒットと比較しても遜色がないと、今の段階ではいえると思っています。
ただ、取り巻く環境、とくに韓国が非常にスピーディに変化しております。そういう意味では、ヒットが大ヒットした環境と、『ダークアベンジャー3』の今の環境とは、少しは違うと思います。
先ほども申し上げたように、いっときのランキングを気にするわけではありません。息の長いタイトルにしていきたいという意味では、ヒットと近しい現象を、今はじき出しているといえると思います。
(次のご質問の)グローバル化に関してお答えします。こちら内製タイトルで、我々としてはとくにアジアの中で強いIPですので、これはどんどん展開していきたいと考えております。今のところ、具体的にどの国とは申し伝えることができませんので、またアナウンスできるときがきましたら、お話しさせていただきたいと思っております。
質問者4:ありがとうございます。3点目、税率について質問です。第2四半期の税率はどうでしたか? また、下半期の税率ついてもお答えください。
植村:税率に関しては、四半期ごとにそれぞれいろいろな要因があり、変化があります。だいたい年間を通すと、20パーセント前後と見ていただければいいかと思います。特別ななにかが起きない限りは、2017年に関しても、20パーセント前後であると試算しております。
質問者4:ありがとうございます。