NewsPicksと提携メディアの取り組み
質問者1:NewsPicks事業について、提携メディア約40社に対する金銭的なバックはどれくらいあるんですか?
梅田優祐氏(以下、梅田):ご質問ありがとうございます。まずメディアのみなさまとのスタイルは3つあります。
1つ目は、RSSなどを配信していただいて、我々のほうからトラフィックをお送りさせていただくというかたちです。こちらは金銭的なやりとりはありません。
2つ目は、我々に記事・コンテンツを配信していただいて、我々は無料会員に対してそれをお見せするというかたちです。
今でいうと、ロイターさんや時事通信さんとやらせていただいている取り組みになりますが、こちらは固定料金をお支払いさせていただいております。契約金額は、メディアのみなさまとお話をさせていただいて決めています。
3つ目は、ウォール・ストリート・ジャーナルさんと提携させていただいているものになります。こちらは有料会員に対して記事をすべて配信していただいて、金銭をバックしていくというものです。
大きくこの3つのタイプがありますが、これに関しましては、メディアのみなさまの戦略があるかと思います。
トラフィックを増やしていきたいのか、安定した収入が必要なのか、有料会員を増やしていきたいのかということですね。
そのメディアのみなさまの戦略と我々の戦略が合致するものを、この3つのスタイルから取ってやっていくというかたちになります。
ただ、我々が最も価値を出さないといけないと思っているのは、やはり3つ目の有料会員のところです。
今はまだ、世の中に有料課金のニュースプラットフォームがありませんので、これをしっかり育てていき、オリジナルコンテンツだけではなく、他のメディアのみなさまたちにも収益をお返しできるようにしていかなければいけないと思っています。
そのためにはまだ規模が小さすぎると思っておりまして、そのためのプールである有料会員の規模を増やしていかなければいけない、伸ばしていかなければいけないという認識でいます。
質問者1:今後、既存のメディアから「儲かっているんだから、もうちょっとバックしろよ」と要求されたり、すでにそういうことになっていたりしませんか?
梅田:まだそのようにはなっていません。
ただ、ご指摘のとおり、これらの取り組みは、WIN-WINの関係にならない限り永続性がないと考えておりますので、今そのようなお声がないからと言って、それに安住してはいけないと思っています。
繰り返しにはなりますが、そのためにはまず有料会員を増やしていくこと。これがすべてのプールになりますので。
今、ウォール・ストリート・ジャーナルさんとやらせていただいて、一定のWIN-WINの関係ができているかなとは思っています。
ただ、ここから提携メディアを増やしていくとなると、もっと有料会員のプールが必要になってきますので、規模を拡大することで、最終的にしっかりとWIN-WINの関係を築けるということにつながっていくと認識しています。
質問者1:既存メディアからRSSで記事を送ってもらうケースでも、ピッカーによるコメントがいろいろ載るわけですよね。
そうすると、(記事の内容が)くさされるケースも出てくるのではないかと思います。それに対して、配信元から「ちょっとなんとかしてくれ」という声はないんでしょうか?
梅田:「提携メディアの方が望まないコメントがつく」というご質問の趣旨でしょうか?
質問者1:そういうことです。
梅田:それに関しましては、確かに事実としてあると認識しております。しかし、これはTwitterやFacebookを含めたSNSのプラットフォーム共通の課題だと思っています。
我々はそのなかで、コメントに関してはしっかりと品質を担保し、そこに投資をしていくということは努力している自負がありますので、そのような事象が起こったときにはしっかり対処していきたいと思っています。
質問者1:ありがとうございました。
M&Aに関するユーザベースの方針
質問者2:これからM&Aを増やされるわけですけれども、1つはバリュエーション(企業価値算定)をどのようにされているのかということ。
また、今は日本会計基準ということで、償却期間をどうするのかということ。これは対象によって変えるのかどうか。
それから、先ほど(のプレゼンテーションで)少しずつ買われて、うまくいきそうだったらガバッといくというようなお話でした。仮に少し買われて「失敗したな…」という時にはすぐ減損されるのかどうか。1問1答でお願いします。
村上未来氏(以下、村上):ご質問ありがとうございます。
バリュエーションはどうしているのか、のれんの償却期間はどうするのか、投資を失敗した場合の減損はどう考えるのか、についてご説明いたします。
まずバリュエーションにつきましては、ある程度の規模のM&Aであれば第三者機関のバリュエーションを入手し、かつ社内にも金融出身者が多数おりますので、社内でもバリエーションをしっかり行いまして、それらを勘案し、外部に説明できる価格であるということを取締役会で承認して実行するというかたちでやっております。
質問者2:ユーザーベースにとってのポリシーはあるのか、全部金融機関任せなのかという哲学のところを教えてください。
梅田:そこに関しまして補足させていただきますと、まず今の我々の規模で、会社の利益を見て買収するということは基本的にありません。
我々のフェーズであれば、まずは人やプロダクト・技術という、まだ数字に表れていないところを見て買収するということが出てくるかなと思いますので、数値面での基準・ポリシーは持っていないというお答えになると思います。
質問者2:机上の計算かもしれませんけど、将来キャッシュフローを計算して、現在価値を求めていくということはされないんですか。
梅田:それはするのですが、まず我々が何よりも大切だと思っているのは人であり、技術でありますので、そういったところがファーストプライオリティーになります。
新野良介氏(以下、新野):またM&Aの知見という意味におきまして、現状の我々にいきなり大規模なM&Aをするケイパビリティや知見はないと認識しています。
その意味合いでも、まずは知見を蓄えていこうと思っておりまして、その第1弾がジャパンベンチャーリサーチということになります。
先ほど梅田が説明したとおり、ジャパンベンチャーリサーチの投資についても、中長期的にはもちろん利益を求めるのですが、現状においては、彼らが持っているコンテンツや能力そのものを表明している要素が強いということになります。会計基準と減損の部分については村上のほうから回答いたします。
村上:会計基準につきましては、現状はJGAAPで進めておりますが、将来的にはIFRSへの移行を検討していかなければいけないと考えております。しかしながら今「このタイミングで切り替える」と決まっていることはございません。
「のれんの償却期間が案件によって異なりますか?」というご質問ですが、こちらはすべて一律で何年というかたちではなくて、案件によって変えていくという方針でやっています。
さすがに何通りもあるというわけではないのですが、例えば、買収したものが一定程度長期的に収益寄与すると判断できるものには10年程度の想定期間を設けて、そうでないものには5年といったかたちで進めていこうと考えています。
減損の方針ですが、こちらはいったん取得した子会社や関係会社が、監査法人と協議をし、必要になれば、もちろん減損していかなければいけないということでございます。
先ほどバリュエーションの方針をご説明しましたが、あまりにも無理なバリュエーションで取得することは当然やりませんので、想定した計画をきちんと進捗させていき、基本的には減損しないようにPMIを含めてじっくりと進めていくというかたちです。
創業以来掲げてきたのは「何があっても潰れない経営」
質問者2:バランスシートについて質問があるのですが、今、貴社の売上規模のなかでキャッシュが多いのですが、これに関してはどのような認識ですか? M&Aをするからこれぐらい持っておきたいという方針なのか教えてください。
新野:ご質問ありがとうございます。まず我々が掲げているのは、両事業(SPEEDA事業・NewsPicks事業)の収益基盤の強化になります。
力を蓄えている理由としては、M&Aだけではなく、内部投資に関しても「これは勝負できる」といったものに対して大規模に投資していくということがあります。そのために常に準備していくということが、我々のバランスシートの意思になります。
質問者2:それはよくわかりまして、「非常に固い経営をしているな」という印象を持つのですけれども、例えば今はもう上場されているわけですし、ある意味御社の設備投資の感覚で、有形固定資産となって、けっこう回転が効くと思うんですね。
そういった意味では、もっと借入を増やして、もっと大胆にスピードを変えるという意味でやってもいいんじゃないか、もっと現預金比率が低くてもいいんじゃないかという気もしますが、やはりそこは怖いという感じなんでしょうか。
新野:安全性に関しては、DEレシオ1倍というのを1つの目安にしております。それは怖いというよりは、「何があっても潰れない経営」というのを創業以来ずっと標榜しているので、普通のIT企業よりは、より安全サイドに立ったバランスシート構造を最適だと考えているということです。
質問者2:最後の質問です。販管費の中のR&D(研究開発)費をどのように考えているのか教えてください。今後、人の投資や新しいIT技術への投資も含めてあると思いますが、御社における研究開発投資というのは、普通の会社と違うところがありますので、そこをSGA(販管費)の中で見るのか、どのように見たらいいのかヒントをいただければと思います。
新野:R&D費用として換算しているというよりかは、まず事業を作るうえでは、小さくても実際にマネタイズに取り組んだほうが事業も早く立ち上がるという経験値があります。
あくまでも技術的な実験で、いつ収益になるかわからないけれどもやるというレベルのR&Dをやるには時期尚早だと考えています。
今期に入らなくても来期の数字には入ってくるような小さな水準の実験を繰り返していきますので、P/L上もR&Dとして別になっているというよりかは、現業の中に含まれると考えています。
それが少し立ち上がってきたら、できるだけ早期に別法人にしていくと。もしくは別法人にしなかったとしても、社内でカンパニーを分けていくことを早期に考えています。
それはNewsPicks事業もそうですが、まずは「いつまでにマネタイズする」ということでチャレンジして、それが一定程度になれば、社内でガバナンスをかけていくことが逆に事業を強くするので、よりP/Lが見える構造になったほうがそれを担う執行役員や担当取締役も非常に緊張感をもってやれますので。一定程度になって「これはいける」となれば、分けていくことを考えています。
質問者2:よくわかりました。ありがとうございました。
NewsPicksの事業戦略・海外展開について
質問者3:3点お願いいたします。
1点目は、NewsPicksについてです。IPOの時は、有料会員も伸ばしていくし、広告も伸ばしていくという認識をしていたのですが、今回のお話をいただくと、少し有料会員の獲得に力点をあてていて、前回に比べると広告はトーンダウンしているのかなという印象を持っております。その背景のところを教えていただきたいと思います。
2点目は、1点目の質問と矛盾するようですが、そうはいっても広告は伸びておりますので、そこをどうドライブさせていくのかいうところについても教えていただければと思います。
最後3点目、米国進出とおっしゃったのは「NewsPicksの進出」という理解でいいのかということと、進出するのであればどのようなかたちを考えていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。以上3点をよろしくお願いいたします。
新野:今いただいた3点につきまして、私から簡単に概要をご説明したあと、補足があれば梅田、稲垣に補足させるかたちでご回答申し上げます。
まず1点目は、もともと説明してきたこととしましては、広告は一番早く立ち上げるためのエンジンとなるもの。
次に中期的にエンジンとなってくるものは有料会員だと考えていまして、広告はよりスポット型、獲得型のビジネスになります。
有料会員は累積型のビジネスになりますので時間がかかりますけれども、引き上げていって広告よりも規模を拡大させて、広告を深追いしないということがもともとの方針です。
従って今期の事業計画の立て方も、広告事業については保守サイドに立っています。有料会員については引き続きアグレッシブにつくっている次第ですので、方針を変えたという意味合いはありません。
このような方針のもと、売上比もまだ1対1にはなっていませんが、有料会員ビジネスも相応の規模となり成長率も非常に高いので、より有料会員売上にシフトすることを鮮明にしたほうがいいだろうということになります。
広告をどう伸ばしていくかということは、稲垣・梅田からご説明しますけれども、基本的には迷ったら有料課金に寄せていきますが、広告も引き続き重要な指標になりますので、こちらは2人に今の取り組みを説明させます。
最後に、米国への進出については、現状ではNewsPicksでの進出を考えているということになります。では梅田、稲垣からご説明します。
優先順位は「有料会員>DAU>継続率」
稲垣:私から後の2点についてご説明をさせていただきます。一番のポイントとしましては、これまでDAUと有料課金ユーザーの2つを追ってきた中で、どうしてもコンフリクトが起きることがありました。
例えば、先ほど(プレゼンで)お伝えさせていただいた「アカデミア会員」というものは、有料会員の単価をあげて満足度を向上させていくことになりますが、数字上でみるとDAUと相関性がすごく低かったりしますので、やはり両方を同時に追おうとすると、なかなか難しいと思っています。
私の経営スタイルにも関わってくるのですが、私たちが何に注力して、どのように事業を立ち上げていくかということは、できるだけメッセージをシンプルにしていくことが大切だと思っております。
新野からお伝えしましたように、これまでは広告で事業を立ち上げてまいりましたが、今後、有料会員のほうを成長ドライバーとして重要視してゆくなかで、今後のメッセージは、有料会員1本にしていくことが経営を加速させる一番のやり方ではないかと思い、意思決定をいたしました。
こちらはあくまでみなさまにお伝えするメッセージという意味合いですので、DAUや広告売上については社内では各チームの重要指標として置き、引き続き追いかけてまいります。
広告事業をどうドライブするかという質問につきましては、現在は「ブランドストーリー」というクリエイティブを制作するということが多いのですが、今後はよりお客さまの視点に立って、イベントやリアルも組み合わせたかたちでブランド価値を訴求していきたいと考えております。
梅田:1点目について補足させていただくと、ファースト・プライオリティの指標が有料会員、それを先行するセカンダリーの指標としてDAUがあります。さらに3番目の指標としてユーザーの継続率を置いておりまして、DAUや継続率が減ることは将来の有料会員が減ることにつながりますので、引き続き重要な指標として、社内では追いかけてまいります。優先順位を「有料会員>DAU>継続率」と整理したことが、今回の変更の大きな部分です。
2点目については稲垣から申し上げた施策に加えて、リクルーティング広告も、我々にしか価値を出せない、NewsPicksならではの有望な広告商品だと考えております。引き続き成長させてまいります。
3点目につきましては現時点で発表できるものはございませんが、鋭意準備中でございます。(※2017/5/22 追記:NewsPicks米国版について開示いたしました。NewsPicks米国版の提供に向け、Dow Jones社と合弁会社を設立)
新野:最後に私から、誤解がないように補足をしたいのですが、先ほど「深追いしない」と申し上げたのは「やらない」とも「力を入れない」とも言っているわけではございません。
長期的には(有料会員売上、広告売上の)両ビジネスを伸ばしていく前提ですが、50名ほどしかいないNewsPicks事業において、リソースを集中させる必要があります。
我々の強みとして、SPEEDA事業もあるため、NewsPicksで短期的に売上を出す必要は相対的に弱いこともあるため、無理にリソースをかけて高い目標を追わない、という主旨になります。
質問者3:NewsPicks事業が50名とのことですが、広告ビジネスを立ち上げるために、アドテクノロジーの会社などとの展開は考えているのでしょうか。
梅田:先ほど申し上げたように、優先順位を変えたというだけであり、広告ビジネスを重要視していることは変わりありません。
そのために必要な提携や、増員といったことはやってまいりますが、ユーザー体験を損なう広告はやらないというのが、NewsPicks立ち上げ当初からの私たちの方針です。ですのでアドネットワークといった事業者との提携は、考えておりません。我々でコンテンツクオリティまで担保できる広告に集中して、提供してまいります。
アーリアダプターからマスへ〜NewsPicksが抱える課題
質問者4:SPEEDAのID数について、1点目は足元では海外より国内が四半期ベースでは伸びていますが、最近増えているIDの傾向。そして新野さんがこれから増やしていきたいIDの方向性を短期、長期でご説明いただきたい。
2点目は、(NewsPicks事業は)指標の優先順位を整理したという意味合いかと思いますが、経営陣として中長期的に重視している指標があればご説明いただきたいです。
3点目としては、いちユーザーとしてNewsPicksを見ていると、利用者がアーリーアダプターからマジョリティに移行してきており難しいフェーズと思いますが、どのような課題に直面していてどう考えておられるのかについて教えてください。
新野:SPEEDAのID数について、海外より国内のほうが伸びているのではとのことですが、経営としてはそのように見ておりません。
海外は事業体が小さく組織力のバッファが小さいので、営業体制が変わったりといった少しの体制変更でID数が前後してきます。その中で想定通りのID数を獲得できている、というのが経営からの見え方です。
次にどのようなお客さまを増やしていきたいかですが、先行する日本事業では、金融機関やコンサルティングファームなどのプロフェッショナルと、事業会社の両方が利用するサービスになってきています。
このようなサービスは他にありませんので、両方が利用する企業・業界情報プラットフォームとしてスタンダードになることを重要視しています。
そういう意味ではプロフェッショナルはシェアを伸ばしていますので、事業会社に注力したいと考えています。海外はまず立ち上げることが重要ですので、日本事業の成功パターンを踏襲し、引き続きプロフェッショナルでの利用拡大に注力してまいります。
稲垣:2点目につきまして、重要視しているのは有料課金ユーザー数です。私たちが重要視している指標として今後は、有料課金ユーザー数にフォーカスして数字を公開してまいります。
3点目に関しましては、アーリーアダプターの方々への満足度向上施策としては、アカデミア会員と考えております。
今後も力を入れてまいりますが、最大のポイントといたしましては、私たちが目指しているグローバルやテクノロジーというものを、よりわかりやすくみなさまにお届けしていくことかなと思っています。
やはり世界最先端のものや、海の向こうで何かが起こっているということは、ニュースとして伝わっていくなかで、何かしらのわかりにくさがあったり、身近に感じにくいといった部分があると思います。
そういったニュースを、ビジネスパーソンに身近に感じていただける内容としてつくっていくことが重要だと思っています。それは記事コンテンツの内容もそうですし、コメントの質も含めて、その辺りを課題と捉えてクリアしていくことが大切かなと考えております。
質問者4:そうしますと、(サービスを)アーリーアダプター中心からマスに振っていく上で、当然ユーザーの動きにも波が出てくると思います。
その中で、継続率などの数字のここ1四半期ぐらいの状況というのは、経営陣の方から見てどんな動きをしていらっしゃるのか。また、それをどうしたいのかという点についても、可能な範囲でご説明いただければと思います。
稲垣:今回、非開示とさせていただいていますが、非会員を含む総DAUは過去最高となっております。順調に伸びてきている状態ですので、これからもしっかりと伸ばしていきたいと考えております。
ただ、アーリーアダプターの方々への満足度やユーザー個別の属性においての施策は打っていかなければならないと思っていますので、しっかりと見極めて、それぞれの方たちの満足度を上げていくことを考えていきたいと思っています。
「NewsPicksは影響力がなければ意味がない」
梅田:2点目ですが、このNewsPicksを長期的に見て、何を最も重要な指標として考えているかというご質問かと思いますが、それについては有料会員数という回答となります。
やはり我々が目指すべき姿としては、昔の紙の新聞と同じ姿です。これはもう有料会員数というのが、すべての指標になっていたかと思います。
海外を見ると、例えばNetflixのように、課金がそのままサービスの質を表すものになっている、影響力を表すものになっているということがあります。
我々はそこまで持っていく必要があると思っていますので、マネタイズに関しても、我々が将来目指していくべきビジョンについても「有料会員数」であることは一緒ですという補足となります。
3点目のアーリーアダプターのところに関しましては、やはり我々は、伝統的な企業の中堅、30代40代のビジネスパーソンの方々へのリーチがまだ弱いと認識しております。
先週、ある大手企業の課長の方と面談した時に、NewsPicksを「聞いたこともない」と言われて非常にショックでしたが、これは我々の完全なる伸びしろだと思っておりますので、ここはしっかり取っていかなければいけないと。
そのためにはまずコンテンツ、あとはプロピッカーのみなさまです。我々の特集を見ていただくと、日立の特集をしたりですとか、大手企業の方々が今一番見たいであろうものに集中し始めているところです。プロピッカーの方々の顔ぶれも非常にバラエティが出るかたちになってきていまして、伝統的企業の中堅の方々を、読者としてしっかり取り込んでいかなければいけないという施策の表れだと捉えていただければと思います。
「そういうことをするとアーリーアダプターの方が離れていって、一時的に数字が下がる可能性があるのではないか?」というご指摘かと思いますが、それは一時的にあると覚悟はしております。
ただ、NewsPicksというのは影響力がなければ意味がないサービスですので、それでも拡大を目指していく方針は変わりません。
質問者4:稲垣さんのご回答で、おそらく3月はDAU自体は四半期で過去最高の数値だという趣旨のご回答があったと思いますが、私の記憶でいくと、確か前回、会員DAUはあまり伸びなくて、非会員DAUが大きく伸びたと思います。
そうすると、今回もそういうトレンドが続いていて、だからこそ会員向けのDAUを増やしていかなくてはいけない、それが有料会員の増加により結びつくだろうという文脈なのでしょうか? それとは違うのでしょうか?
新野:少し数字面だけ説明させていただきますと、3月末がどうだったかというと、前期末に比べて非会員を含む総DAUも会員DAUも上昇しているという現状になります。それをどう評価するかということは、稲垣から説明いたします。
稲垣:状況としては、新野が話したとおりになります。もちろん今後もより会員DAUを伸ばしていきたいという思いもありますが、それよりも足元の数字がどうだからどう施策を打つということより、我々が目指す事業体の形に対して、あるべき方向に向かうというメッセージを皆様にお伝えしたいということです。
ゼノデータ・ラボ社との提携の背景
質問者5:xenodata lab.(ゼノデータ・ラボ)さんとの取り組みについて、これはどのような問題を解決できるのかを教えていただければと思います。
新野:機械学習の取り組みというのは、我々は今、内部でもやっていますし、外部の力もどんどん活用していこうと思っています。
その一環として、我々のメンバーであった関(洋二郎)社長が立ち上げたxenodata lab.社と提携したということになります。
彼はSPEEDA事業の開発を担っていた男ですので、SPEEDAのことも熟知しておりますし、我々の文化も熟知してますので、この提携によって機械学習という新しい技術の波をテイクアップしていくには最良のパートナーの1社だと考えて、今回提携を決めました。
今後も他のところとの提携を増やしていくつもりですので、機械学習の取組は内部でもやりますが、外部ともやりますということになります。
梅田:少しだけ補足すると、コンテンツを作成する領域は、我々の中でもまだまだ労働集約的な部分が多いですし、パートナーの中でも多いです。ここをいかに機械化していくかというのは、コスト競争力であり、今までのビジネスモデルを変えていくものになりますので、我々はそこに投資をしているという文脈においての提携となります。
質問者5:ありがとうございます。
司会:お時間となりましたので、以上をもちまして説明会を終了します。
新野・稲垣・梅田:ありがとうございました。