2017年12月期 第1四半期 決算説明会
新野良介氏(以下、新野):みなさま、月曜日の9時からお集まりいただきまして、ありがとうございます。
事業の説明はすでに何度かさせていただいていますので割愛いたしまして、今日は決算についてご説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
連結ハイライト①
2017年第1四半期の結果は、SPEEDA事業・NewsPicks両事業とも好調に推移しております。
SPEEDAにつきましては、国内・海外ともに契約ID数の増加があり、事業拡大。
NewsPicksにつきましては、昨年黒字化を達成しましたけれども、今期に入りまして、売上・利益ともに大幅に拡大している状況です。総じて順調な決算であると認識しております。
連結ハイライト②
売上高は9.7億円ということで、昨年1Qの数字6.5億円と比べまして、前期比48パーセントの高成長を維持している状態です。
売上9.7億円の内訳は、NewsPicks事業で3.2億、SPEEDA事業で6.4億ということで、3分の1をNewsPicks事業、3分の2をSPEEDA事業が稼いでいるということになります。
ただし、成長率はNewsPicks事業のほうが高いので、NewsPicks事業の比率がじわじわと広がっていくかたちを想定しております。
連結ハイライト③
続きまして、利益面です。昨年の本決算までは、営業利益を最重要の利益項目として説明してまいりましたが、今後はEBITDAでご説明させていただきたいと思います。
最重要指標を営業利益からEBITDAに変更する趣旨は、昨年上場させていただきまして、今後は内部投資に加えて、M&Aも積極的にやっていこうと思っておりますので、よりキャッシュ項目に近い利益指標であるEBITDAのほうが、我々の事業を理解していただけるだろうということでEBITDAにしております。
2016年第1四半期のEBITDAは8,000万円水準でしたが、今期第1四半期の結果は1.5億円ということで、前期比71パーセント増の進捗となります。
この売上と利益を計画と比べたものが、(スライド)次のページ以降になります。
連結ハイライト④
今期の業績予想は、通期で売上44億6,000万円を想定しています。
先ほど申し上げましたとおり、第1四半期の結果は売上9.7億円ですので、進捗率22パーセントになります。
この22パーセントの評価になりますが、NewsPicksが若干計画よりも上回って推移しておりますが、総じて言いますと、ほぼ計画どおりというかたちになります。従いまして、計画外の大きなバッファもないし、逆にビハインドもないということになります。
ただ、我々の事業モデルはストック型、収益累積型のビジネスになっていますので、第1四半期に計画比でこけますと、通期で計画を取り返していくのが最も大変になるという構造にありますので、第1四半期が計画どおり終わったということで安心しています。
とは言いましても、第2四半期、第3四半期、第4四半期と残っておりますので、事業の売上成長に向けて注力して参りたいと思います。
連結ハイライト⑤
続きまして、利益面です。利益面につきましては、EBITDAで通期予想5.5億円をみなさまに開示している状況です。1QのEBITDAは1.5億円ということで、進捗率27パーセントになります。
この1.5億円・進捗率27パーセントに対する評価ですが、みなさまに報告開示している業績予想が元になっている計画対比で、利益が若干早めに出過ぎている状況です。
売上が計画どおりということですので、計画よりもコストが少ない。そのために利益が出ているという構造なわけですが、その心は「投資が若干遅れている」ということになります。
我々にとっての投資というのは、1番は人的投資、2番はデータ投資やコンテンツ投資になります。人的投資の面で、今期は約40名採るとご説明しておりますが、採用計画比で若干遅れていて、利益が出ているということです。データ周辺・コンテンツ周辺に関しても、計画よりも若干遅れている状況です。
我々の計画は常に保守的なので、遅れがちではありますが、計画どおりにやることが最重要だと考えておりますので、利益が早く出過ぎている分、つまり投資のところについては通期で取り返していき、きっちりと投資をしながら、みなさまにお約束している利益水準を達成して参りたいと思っています。
連結ハイライト⑥
次のページが、これを経年の推移で示したグラフになります。昨年はEBITDA率8.8パーセントとなりましたが、第1四半期では15.5パーセントとなっております。
通期予想では12.4パーセントの水準と認識していますので、それに向けて確実な進捗をしているというかたちになります。
ただし、今の利益の絶対額が必ずしも大きな水準ではないので、四半期ごとの推移を見た時に、採用が集中したり、大きな仕入れが発生したり、昨年の第4四半期のようなかたちで一時的なコストが発生した場合は、四半期ごとの推移だけを見ますと収益がブレます。
1Q、2Q、3Qと3ヶ月ごとの収益がきれいに右肩上がりだと美しいのですが、経営としては通期で個別に約束したことを達成していくことが大事だと考えていますので、15.5パーセントという数字はあまり良いとも悪いとも言えないと考えています。
計画どおりにいくことが一番重要だと考えているので、先ほど、投資が遅れていると言いましたが、若干利益が出過ぎていると考えている次第です。
以上が全体の決算ハイライトになります。
SPEEDA事業ハイライト①
続いてSPEEDA事業のご説明をいたします。まずSPEEDA事業を見ていく上で、最重要KPIであるID数を説明します。
SPEEDA事業はシンプルでして、「ID数×平均単価」で事業規模を測れるということです。平均単価は売上をID数で割っていただければだいたいわかるかと思います。
為替の影響などで若干異なる面もありますが、基本的にはグローバル統一価格ですので、平均単価については売上をID数で割っていただくかたちで見ていただくことになります。
それで「平均単価×ID数」ということですので、このID数の進捗がうまくいってるかどうかというのが、事業がうまくいってるかどうかを見ていただくうえでの最重要KPIであると認識していただければと思います。
第1四半期は、合計1,652IDという結果で終わりました。日本から1,473ID、海外から179IDということで、累積のID数がございます。これは昨年末、前期末と比べると、全体として80ID増となります。海外では11ID増。日本では69ID増というかたちになります。
実は海外でのIDの進捗が早くて、海外売上高が徐々に上がっている状態ですが、日本事業の成長も持続していますので、海外比率は引き続き10パーセント前後で進むと認識しています。
SPEEDA事業ハイライト②
続いてSPEEDA事業だけの売上となります。昨年2016年第1四半期の売上は4.6億円。2017年の第1四半期は6.4億円ということで、39パーセントの売上増になります。
SPEEDA事業は2009年からやっている事業ですが、引き続き昨対比約40パーセントの成長を維持しているという状況にあります。
この数字をしっかりと維持していくことで、NewsPicks事業の成長が非常に早いですけれども、SPEEDA事業も国内外ともに加速して、全体としてできるだけ長く40〜50パーセント近い成長率を維持していくことが重要だと認識しています。
SPEEDA事業ハイライト③
続きまして、SPEEDA事業の利益がこちらになります。昨年2016年第1四半期の結果は、EBITDA8,000万円。今期第1四半期のEBITAは1.1億円。前期比29パーセント増で順調に推移しています。
利益率が昨年の第1四半期より下がっている点ですが、ここはあまり気にしておりません。その心は、先ほど申し上げたとおり、昨年は1億円にも満たない利益の水準ですので、投資の時期によってブレてしまいます。
上場時にもご説明しましたが、逆に昨年の19パーセントという水準が少し出すぎているというかたちになりますので、そういう意味では、今の利益の絶対額では、減った・増えたということは見ることではないかなと認識しております。
我々としては、お約束した通期のEBITDA計画に向けて確実に進捗していることを重要視しているということです。
なので何度も申し上げてしまいますが、表面上、第1四半期で利益率が出ているのは投資の遅れという意味合いもありますので、良いか悪いかという意味においては、必ずしも良いとだけは言えないと。計画どおりにやっていることをもって最良だと考えている次第でございます。
SPEEDA事業ハイライト④
続きまして、第1四半期の最近のトピックスを申し上げます。まずSPEEDA事業におきましては投資が一巡していますので、より営業体制を強化していくことを前回もご説明しています。
その意味で、営業人員の採用を加速しているとともに、エリア的なカバレッジを強化すべく、西日本オフィスの開設をしております。
同じ商品力であれば、営業力を強化することによって、早く売上が上がると。ストック型のビジネスである以上、早く売上をとれば収益面でも早くキャッシュが上がってくるという構造でありますので、今期は営業体制を引き続き強化したいと思っております。
もう1つ、コンテンツ面の投資で最重要であるのは、前回、日本においてはスタートアップ企業のデータが非常に重要であるとご説明しましたが、1月に、日本最大のベンチャー企業のデータベースであるジャパンベンチャーリサーチさんを完全子会社化いたしました。
第1四半期にさっそくSPEEDA とentrepediaのシステム連携を進めておりまして、これが開始されたことで、SPEEDAにおいてentrepediaのデータも検索できるようになっています。以上、営業体制とコンテンツ面でのトピックスとなります。
続きまして、4月からNewsPicks事業全体の代表に就任した稲垣からご説明申し上げます。
NewsPicks事業ハイライト①
稲垣裕介氏:4月1日からNewsPicks事業の代表となりました稲垣と申します。みなさまの前でお話をさせていただくのは初めてとなるかと思います。
今後、NewsPicks全体、とくに日本事業に関しては私からご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
まずNewsPicks事業の最重要KPIとなっている有料課金ユーザー数に関しましては、順調に拡大しておりまして、昨年末3万1,987人という数字から、今期は3万6,990人というかたちで、約5,000人の伸びとなっております。
ちなみに「NewsPicksアカデミア」に関しましては、4月1日からスタートしておりますので、こちらの数字には含まれておりません。
注釈にも書かせていただきましたが、NewsPicks事業に関しましては、最重要KPIを有料会員数に絞っていきたいと考えております。
今後の方針といたしましても、戦略の大部分を有料会員の獲得に集中させていくことを考えているため、これまで開示させていただいていたDAUに関しましては、今後は非開示とさせていただければと思います。
NewsPicks事業ハイライト②
その有料会員も順調で、売上高も順調に増加しております。2016年の第1四半期と比較して、前年同期比70パーセント増になっております。
ご覧のとおり、有料会員がかなり伸びているところもありまして、かつ広告のほうも順調に伸びておりますので、その2つが順調な状態となっていることが、前年同期比70パーセント増という数字を出している要因になります。
NewsPicks事業ハイライト③
その売上が順調なところもありまして、EBITDAの数字もプラス3,000万円になっております。前回の時点ではほぼトントンの状態でしたので、パーセンテージでは出していないのですが、このような状態になっております。
EBITDA率に関しても、11.2パーセントとなっており、これからもこのようなかたちで良い数字を出していきたいと思っているのですが、NewsPicks事業はまだまだ投資フェーズにありますので、年間通して見ますと、この数字をもう少し抑えてでも投資を加速させて、しっかりと事業体を作っていきたいと思っております。
NewsPicks事業ハイライト④
最近のトピックといたしましては、3月24日に発表させていただいたのですが、リクルートさんから11.1パーセントの株式を買い戻させていただいておりまして、それによって1株当たりの純利益が向上しております。
もう1つ。4月1日に発表させていただいたアカデミア会員(月額5,000円)になりますが、こちらは今までネットで価値を提供していた有料会員に加えて、イベントや本というような、リアルなものを組み合わせた新しいプランとなっております。
こちらは今、実験を開始している状態なのですが、まず限定で800席(初回500名+追加300名)の会員の募集させていただいたところ、1日程度で完売するようなかたちになっておりまして、まず非常に重要な滑り出しとなっております。
まずリアルで提供していく中では、品質を担保した状態でお客さまに満足いただくというところで、この800名ぐらいが一定の目安の数字かなと思っているのですが、これをより拡大していくこととしまして、今年度中にもう1つの施策として、動画配信をしたいと思っております。
日本や東京にいらっしゃらない方にも、リモートで本来の価値を提供していきたいと考えておりまして、これによって会員の拡大もしてきたいと考えております。NewsPicks事業について、私からは以上となります。
連結BS増減比較
村上未来氏:貸借対照表(BS)のところで、一部補足させていただきます。BSをご覧いただくと、発表にありましたニューズピックス社の株式の買い戻しの資金として11億円借りたことによって、有利子負債が増加しております。
他方で純資産をご覧いただくと、9億9,300万円減少しておりますが、こちらは同様にニューズピックス社の買い戻しにより、少数株式持分と取得額の差額が会計処理上減少したものです。
純資産が大幅に減少してはおりますが、現状はD/Eレシオ約1倍というところで、自己資本と負債の比率としては、ちょうど健全なバランスを保った水準であるという認識のもと進めております。
株式分割のお知らせ
加えまして、お知らせさせていただいたとおり、株式を1対2で分割いたします。こちらは2017年7月1日を効力発生日として分割するものですが、一層の株式の流動性向上を企図したものでございます。以上でございます。
ユーザベースの成長戦略
新野:最後にみなさんにお伝えしておきたいのが、今経営陣が何に頭を使い、悩んでいるのかという点です。一番は投資のスピードと収益を改善するスピードのバランスになります。
この面で迷った時は、みなさまにご説明しているとおり、2019年度、遅くとも2020年度に向けて高い成長を維持しながら、正常収益である営業利益率3割を出していくことを目安にして、投資と収益のバランスをさせていくということを考えています。
他方で、ご案内のとおり、技術面の革新も業界のトレンドも、エリアの拡大のスピードもすべて早い状況で、競争環境がどんどん激変していくと。
そうなりますと、この3年だけを見た場合はそれでいいわけですけども、4年後・5年後の成長を考えた時に「今の挑戦の幅がこれでいいのか?」ということが一番悩んでいるところです。
2年後3年後に向けて、正常収益である営業利益率3割を出していくということとチャレンジの幅。チャレンジの幅というのは具体的な投資の量ですけれども、これのバランスを最後どう考えるかということになります。現在、NewsPicksにおいては米国への進出、SPEEDAでいうと事業会社の営業企画向けの新しいプロダクトを作っている挑戦、もしくはМ&Aを行っております。
これらについては、まずは小さく実験をしまして、それによってより追加投資したほうがいいというものに累積的に投資していこうと考えています。
そういう意味合いにおいては、すべて成功するかどうかは別にして、小さな成功をして、その手応えに応じて投資を加速していくということになります。
小さな実験がうまくいった場合は、より早く投資していったほうがいいということになりますので、先ほど私が申し上げたラインを越えて、さらに投資していくということが起こりうるとすれば、その際にはみなさんにしっかりご説明をしながら長期的な事業拡大・収益拡大を目指していきたいと思います。