前期比増減概要

本間洋氏(以下、本間):みなさま、こんにちは。NTTデータの本間でございます。

私、10年前の2007年から広報部長をしておりまして、今の細谷の立場で、決算発表では司会をしておりました。今日はまた違う役割で出席をしておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。それではさっそく、2017年3月期第3四半期決算の概要と事業環境につきまして、ご説明したいと思います。まず、4ページをご覧ください。

まず前提となりますが、昨年の11月にクロージングしたことを発表いたしました、旧Dell Servicesにつきまして、当四半期より連結を開始しております。

ただし、当四半期ではバランスシートの連結のみでございまして、損益については第4四半期より反映されることになりますので、そのようにご理解いただきたいと思います。

さて、決算値の説明に入りますが、第3四半期は第2四半期に引き続いて順調な決算だと捉えております。受注高は、昨年の第3四半期にあった大型受注案件の反動減によりまして上期よりも伸び幅が縮まってはおりますが、対前期比でプラス5.2パーセントの増と、好調を維持しております。

また売上高・営業利益につきましても、引き続き増収増益を維持しておりまして、それぞれ対前期比で、プラス3.1パーセント、プラス16.0パーセントの増となっております。税前の純利益につきましては、特別損失の計上に伴いまして、対前期比で減少となっておりますが、こちらはのちほど詳しくご説明いたします。

受注高セグメント別増減

5ページをご覧ください。ここから、受注・売上・営業利益の増減内訳につきまして、ご説明いたします。

まず受注になりますが、全体的なトレンドは上期から大きく変わっておらず、公共・社会基盤セグメントで前期の大型受注案件の反動減はありますが、その他のセグメントは総じて前期を上回っております。

金融セグメントにつきましては、上期ほどではありませんが、引き続き前期を大きく上回っておりまして、銀行向けの大型案件の獲得などが貢献をしております。

グローバルにつきましては、増減理由がいくつかありますので、分解してご説明いたします。まず、為替による減少。すなわち円高による押下げになりますが、マイナス600億円弱あります。よって、為替の影響を除きますと、約1,400億円の大幅のプラスになります。

これは主に、上期に獲得をしましたオーストラリア・ビクトリア州の交通スマートカードチケットシステムの契約や、またスペインにおける大型の受注案件の獲得などでございます。

また、第1四半期からご説明しておりますが、NTTデータEMEA社の連結期間を12月末決算から、3月末決算に揃えたことに伴いまして、今期のみ3ヶ月分増えている影響も約160億円含まれております。

売上高セグメント別増減

6ページをご覧ください。

続いて、売上になりますが、こちらも総じて増収基調である点は、上期と同様です。最も増収額が大きいのが、法人ソリューションセグメントです。流通サービス業界向けの様々な案件や掲載サービスなどにより、順調にビジネスが拡大をしております。

金融のセグメントは、ベースとしては、増収基調ですが、昨年、第3四半期に一過性の大型案件があったことから、その反動によりまして、一時的に若干のマイナスとなっております。これも年度当初から想定をしておりましたので、とくに、通期の予想値に影響を与えるものではございません。

また、ここでもグローバルにつきまして、増減理由の内訳をご説明いたします。まず、為替による減少が約マイナス500億円含まれておりますので、それを除きますと、プラス約640億円と大幅な増収になります。とくに好調なのは、スペインを中心としたヨーロッパですが、それにNTTEMEAの3ヶ月分の上乗せが約210億円加わった結果、このような大きな増収となっております。

営業利益セグメント別増減

続いて、営業利益になります。

こちらも上期に引き続いて、全般的に増益基調になっております。グローバルセグメントでは、のれん償却前でマイナスの17億円となっておりますが、これには、旧DELLサービスの買収に関わるアドバイザリー費用の35億円など、一過性のコストが含まれております。ベースとしては、増益基調。利益率も改善傾向にあるとご理解いただいてよいと思います。

このアドバイザリー費用につきましては、通期予想に販管費として織り込んだのは20億円でしたので、予想よりも多くなっていることにはなりますが、旧DELLサービスの買収関連コストには、ほかに特別損失としまして、織り込んで約140億円もありまして、この特損との合計でみると、予定額の範囲内に収まる見込みとなります。ですから、税前利益の押し下げにはつながらないとご理解ください。

国内3セグメントは、基本的に増収に伴う増益に、不採算案件の減少が加わっているという構造になります。不採算案件につきましては、第3四半期までの9ヶ月間で約43億円、対前期比でマイナス58億円の減少で、主に公共社会基盤と金融セグメントの増益の要素となっております。

通期の予想では、60億円のリスクバッファとして織り込んでおりますが、その範囲内に収まるレベルにありまして、管理は有効に機能していると思っております。

次のページから各セグメントごとに数字をまとめております。こちらは後ほどご覧いただければと思いますが、グローバルセグメントだけ、特別損失につきましてご説明いたします。

グローバル

11ページをご覧ください。営業利益とセグメント利益の前期比の増減を比較してご覧ください。

営業利益はマイナス20億円と減益ですが、セグメント利益をそれを150億円ほど上回る、マイナス172億円の減益になっております。これは特別損失として主に2件の費用を計上している為で、一つは主に、旧Dellサービスの統合作業に伴い発生しております関係会社の再編成で40億円。

もう一つは、上期にすでに計上しております、スペインのeveris社に関連した一過性の費用127億円になります。いずれも通期予想に織り込み済みの費用でございます。

2017年3月期業績見通し

第3四半期決算についての説明は以上ですが、次に通期の見通しについてお話しをいたします。12ページをご覧ください。

通期の業績見通しにつきましては、こちのら資料の通りでございますが、すでに公表している予想値から変更はございません。第3四半期までの状況を踏まえますと、受注や売り上げが予想値を上回る可能性もございますが、一方で、受注時期の変化や、為替相場の状況など、不確定の要素もございますので予想値は据え置いております。

ただし通期目標に対しては、順調に進捗をしておりますので、達成に向けた確度は高まっている状況と捉えております。

NTT DATA Services 統合の状況

次に、旧Dellサービスの統合の進捗につきましてご説明したいと思います。資料の13ページをご覧ください。

昨年11月のクロージングの直後から、ロゴやブランドに関しましては、すでにNTTデータに統一して事業運営をしております。2017年の4月1より、統合後の新体制にスタートいたしますことをご報告いたします。具体的には、組織運営、人事面においても、北米事業を一体化します。

本社の所在地は米国のテキサス州のプレイノ市。NTTデータ,inc.のCEOであり、NTTデータの執行役員でもあるジョン・マケインを中心とした体制で旧Dellサービスの事業も含めた北米全体のマネージメントを統合して行い、さらに北米事業を大きく飛躍させていきます。

また、社内ITシステムとの統合作業は、4月1日以降も続きますが、これらも予定通り進めてまいります。なお、今回の買収により発生しましたのれんPPAにつきましても、みなさまのご関心が高いと思いますので説明をいたします。

第3四半期末のバランスシートには、のれんを約1,460億円、PPA資産を約920億円、計上しております。ただし、この金額は現時点での概算値でありまして、今後引き続き精査を行ってまいります。

また、償却期間についても引き続き精査中の為、本日の段階では確定した結果をお伝えすることはできませんが、のれんについては大型案件でもございますので、長い期間に渡って償却する方向で検討しております。

また、為替の影響も受けておりますので、今後、変わる可能性がありますことをこ理解いただきたいと思います。さて、最後に事業環境、トピックについてご説明をさせていただきます。

当社を取り巻く事業環境と今後の見通し①

資料の15ページをお願いいたします。

まず、国内の公共・社会基盤分野の事業環境です。中央府省の関連ビジネス全体は引き続き、競争の激化やコストの削減要求などがありますが、一方でIoT、AIといった分野でのチャンスが期待できます。また、マイナンバー関連やユーティリティ業界向けのビジネスについては、引き続き成長機会がある領域だと認識しております。

当社を取り巻く事業環境と今後の見通し②

続いて、国内の金融分野になります。16ページをご覧ください。

金融分野では、不安定な国際金融情勢を背景に、各金融機関向けのIT投資姿勢がどうなるのか気になる部分はありますが、決済の高度化、グローバル化、またフィンテックなどのビジネスチャンスは引き続き期待できる環境でございます。

当社を取り巻く事業環境と今後の見通し③

続いて、国内の法人・ソリューション分野です。17ページをご覧ください。

国内の一般事業法人では、一部IT投資に対する慎重姿勢が続いている面もありますが、一方で、オムニチャネルやAI、IoTなど、デジタル領域での投資は活発化してると認識をしております。

当社を取り巻く事業環境と今後の見通し④

続いて、海外になります。資料18ページになります。

北米につきましては、業務の効率化やビジネス成長のために新しい技術を活用するというようなIT投資によりまして、引き続き市場成長が見込めますが、米国の新政権の動向とそれが及ぼす影響につきまして、よく状況を見極めていく必要があると思っております。

とくに入国の禁止令のような、人の移動を制限するような動きにつきましては、さまざまなリスクを想定してマネジメントを行っていかなくてはならないと思っております。

欧州の市場につきましても、足元は堅調に推移をしておりますが、ブレグジットの影響によってマクロ経済が冷え込んで、IT投資も慎重姿勢になるというシナリオもありえますので、注視が必要だと思っています。

2017年3月期第3四半期までの主な取組み①

19ページになりますが、中計の戦略の1つであります、リマーケティングのさらなる進化として、公共・社会基盤分野では、電力やガス業界の制度変更によって生まれるITのニーズの取込みや、また国内事例の海外展開による新規マーケットの創出などを進めております。

19ページにあります2つの事例は、まさにその戦略の成果でございまして、順調な進捗を表すものと考えております。

2017年3月期第3四半期までの主な取組み②

また、次のページになりますが、金融分野のリマーケティングには、当然フィンテックをキーワードとした新規ビジネスの創出が含まれておりますが、20ページにありますとおり、「BeSTA FinTech Lab」を立ち上げまして、強固なリレーションを持っております既存のお客さまと、ベンチャー企業、当社の3者をつないで、これまでも進めてきましたが、新規ビジネスを生み出す仕掛けをさらに発展させていきます。

また、この取組みは、中計のもう1つの戦略である「技術革新による価値創造」の一環でもあります。

2017年3月期第3四半期までの主な取組み③

次のページになりますが、法人・ソリューション分野では、リマーケティングのテーマとして、デジタルマーケティング、IoT、コネクテッドカーの3つを掲げております。

21ページに記載をしております事例は、いずれもこの戦略にもとづいた成果や取組みでありますが、公共や金融などのリマーケティング戦略も含めて、これらの活動は中計の目標である、売上高2兆円超、調整後の営業利益50パーセントアップの達成につながるものと考えております。

それと、一番下にございますDell Servicesの買収でございますが、これは中計の定性的な目標であります、ローカルプレゼンスの向上やグローバルブランドの確立に大きく貢献することは、これまで説明をしてきたとおりでございます。

2017年3月期第3四半期までの主な取組み④

最後、22ページになりますが、こちらは研究開発のトピックスをご紹介しております。

リマーケティングと並びまして、もう1つの中計戦略として、技術革新による価値創造を進めておりますが、ここに記載したトピックスはまさにその戦略に沿った取組みでございます。

1つ目と2つ目の取組みは、当社のコアコンピタンスであるシステム開発技術やソフトウェア生産技術を高めることにつながります。技術力を高めることによりまして、単に原価低減を実現するということだけではなくて、システムやサービスをより早く、そして柔軟に提供できることを目指してまいります。それによって、収益性の改善だけでなく、トップラインの成長の原動力にもしていこうと考えております。

以上のように、3ヶ年の中計が始まりましてまだ9ヶ月ではございますが、短期の業績も順調でございまして、戦略的な取組みもいくつか成果として現れております。引き続き、今中計のゴールであります、グローバルブランド確立に向けて、着実に進んでまいりたいと考えております。

私の説明は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。