逆境から利益率世界一になったモバイル事業
それではただいまから招集通知43ページに記載の当社グループの対処すべき課題の内容として、今後の事業戦略を私のプレゼンテーションで説明をいたします。
それではこのプレゼンテーションをご覧いただきたいと思います。ソフトバンクの成長戦略でございます。
既にみなさんご存知の通り、ソフトバンクには大きく分けて2つのビジネスモデルがあります。
左側の「事業資産」、ブルーのところですね、そして右側の「投資資産」の部分であります。この2つのビジネスモデルを我々の右手と左手という形で事業を運営しております。
まず左手の部分ですけれども、ビジネスモデルとしてソフトバンクモバイルですね、国内での通信事業。そしてスプリント。さらにヤフージャパンがございます。これらは我々自身が自ら事業の責任をもって運営する事業体でございます。
たとえばソフトバンクモバイルは開始して10年が経ちましたけれども、最初はですね、いったいどうなるんだろう、ということで我々も大変心配しました。ボーダーフォンジャパンも真っ逆さまに営業利益が落ちてるという状態でありました。
あと1年待てばもしかしたらタダで買えたんじゃないかというくらですね、このグレーのところの棒グラフが真っ逆さまに営業利益落ちてるという状況でありました。
もちろん1年2年待つという選択肢もありました。そしたらきっと安く買えたんだろうと思います。しかし私は待てませんでした。なぜならば私の頭の中には既にこれからモバイルインターネットの時代が来るという確信があったからです。
もちろんその時はですね、まだスティーブ・ジョブズがAppleのiPhoneを発表する前です。世の中の多くの人々はモバイルインターネットのなんたるかと、スマートフォンという言葉すらも生まれていない状況でした。
ですから1つの大きな賭けであったんですけれども、わたくしは絶対これからケータイが単に通話をするための道具から、ケータイが携帯電話ではなくてスマートフォンとしてですね、モバイルインターネットマシンとして役割を果たす時代が来ると読んだわけですね。
そこで大きな賭けをして、ソフトバンクの体力以上に、考えられるすべての力を振り絞って大借金をして、買収したわけです。
非常に苦しみました。悩みました。恐ろしく思いました。しかし、結果はそれから10年間で約10倍の利益を出すに至ったわけですね。「やってよかったな」と思います。
また、ソフトバンクの携帯といえば、通信がつながらない携帯ということで、多くの批判をいただきましたし、私自身、責任を感じておりました。
借金だらけですから、設備投資をするのにも大きなさらなる借金を増やせないという状況のなかで、限られた設備投資、CAPEXですね、我々は約4.3兆円設備投資に使ったわけですけれども。
借金だらけの我々にとって、新たに借金を増やして設備投資をするという贅沢はなかなか許されなかったわけですね。
許認可を得ていた電波の周波数も、あまりつながりやすい電波をいただいてないという状況でしたので、なおさら大変でした。
しかし、限られた設備投資の金額で、我々は接続率でNo.1というところまでネットワークを改善することができました。おかげで、先ほど言いましたように、業績は営業利益で約10倍というところまで来ました。
ここにいる宮内を中心として、我々経営幹部、そして全社員が一丸となって、この事業に取り組み、結果は、売上高に対する償却前の営業利益で54パーセントという利益率を誇るまでに改善することができました。
この54パーセントというのは、みなさん、言うのは簡単なんですが、実は世界一なんですね。
世界にたくさん携帯電話の事業を行っている会社があります。こういう事業というのは、規模、お客さんの数、規模というのがものすごく競争上重要な要素でありまして。
お客さんの数を倍持っていると、同じ設備投資をしても倍のお客さんからの収入で割り算できるから利益率は高くなるんですね。
お客さんの数が半数しかいなくても、日本全国に設備投資しなきゃいけないから、どうしても経営効率・利益率は悪くなるんですけれども。日本で3位のソフトバンクが世界一利益率が高いという業績を出すことができるようになったんですね。
もちろん世界では、アメリカだとか中国だとか、あるいはヨーロッパ全域をカバーしてるような会社もあるわけです。
そういう会社のほうがお客さんの数が多いから、どうしても設備投資の回収する利益率はよくなるんですけれども。日本で3位の我々ソフトバンクが世界一利益率高いと。54パーセントです。
これは簡単に実現できることではないんですね。日本だから利益率が高いというのではなくて、世界のさまざまな企業と比較しても世界一の利益率になったと。これはやっぱり全社員が一丸となって努力した結果だと思います。
もちろん利益率といっても、結局現金で回収できないと、会計上の利益だけでは済まないわけですね。
いろんな設備投資をすると、現金の回収もそれだけ難しいわけですけれども。やっとソフトバンクモバイルは、我々の借金を返して返済していって、現金でその会社にリターンを得るというステージがやってきました。
去年1年間で1年前に比べて約4倍の現金収益を上げることができました。これは税引後、設備投資後の実際に会社に残る、株主のみなさんの資産となる部分ですね。1年間で4倍というのは大きな進展だと思います。
じゃあ、この現金収益率が、世界のほかの会社と比べてどうかというと、実はこれも世界一になったんです。17パーセントですね。売上高に対して会社に残る現金の収益、これが売上高に対して17パーセント。世界一になったわけです。
今年はこの17パーセントをさらに大きく上回って、おそらく20数パーセントになると思います。この20数パーセントというのは、ほかの世界の並みいる会社と比べても、圧倒的一番の現金収益率になると。フリーキャッシュフローですね。
これは言うのは簡単ですけど、実現するのはなかなか難しいと思います。まあ、「ずいぶん遠くの道、来たもんだな」と思います。
「大失敗」だったスプリント買収
そのノウハウを、私はSprintに一刻も早く確実に実現させたいと決意しております。これは、これまた言うのは簡単ですけど、実現させるのは大変ですね。
日本じゃないわけです。アメリカです。アメリカにはさらに強大なライバル会社がたくさんあります。
もちろん最初は、AT&TとかVerizonのように遥かに巨大な会社と対抗するために、真の戦いのためにはこちらも大きな規模を得なきゃいけないということで、T-Mobileをほぼ同時に買収して、2社を合併させて、ほぼ同じ規模を持ってAT&TとVerizonと戦うと。
こういう基本戦略でいたんですが、残念ながら、米国の政府当局には我々のこの意図は理解してもらえませんでした。ですから、合併の承認が得られそうにないということで、仕方なくSprint1社で船出をするという状況になりました。
私は自信をなくしました。相当自信をなくして、これは失敗したなと、「間違った手を打ってしまった」とずいぶん後悔しました。後悔しましたし、寝られない夜を過ごしました。「これは売らなきゃ、しょうがないな」とも思いました。
買い手を探しにいきました。何社かあったんですけれども、誰も買ってくれそうにないということで、「これはアカン」と。「まあ、しょうがない」と。「誰も買ってくれない」と。
2兆円投資して買ったんだけども、これは大失敗だったということで、人生最大の不覚ということで反省をしましたが。まあ、買ってくれない以上は、もう自分たちで立ち直すしかないということで。
そこからもう今度は逃げも隠れもせずに正面からSprintの業績改善に取り組むということで。私ももう背水の陣、不退転の覚悟で。夜も寝ないで、毎晩毎晩、夜の11時12時1時から夜中の2時3時までSprintの電話会議と。時差がありますからね。
昼間はソフトバンク、ほかのいろんな事業経営をしながら、夜中はSprintということで、ずいぶんその結果髪の毛も減りましたし、白くなりました(笑)。
年間2000億円の経費削減を達成
徹底的に議論して、なにをどうすればいいのかと。まずはやっぱり経費の削減だと。そして、ネットワークの改善だということで、答えが出ました。
また、私自身はチーフネットワークオフィサーとして、自らSprintのネットワークの設計、設備投資、これらの戦略の直接責任者になって、Sprintのネットワークエンジニアと一緒に設計に取り組みました。
また、Sprint全体の会社の経営は、優れたパートナーとして、マルセロ(・クラウレ)が自ら家族もカンザスに引っ越して、この経営に奮闘努力と。
おかげさまで、反転の兆しが見えてまいりました。Sprintのネットワークはこれはまた「つながらない・遅い」というネットワークの代名詞として、ボロボロの状況だったんですが、この2年間でだいぶネットワークの改善が見えてきました。
接続の速度も続々とNo.1の地域が増えてきましたし、ネットワークもだいぶつながるようになりました。
私もアメリカに行くたびに、スプリントのネットワークを使って携帯を実際に体験しておりますけれども、以前はブツブツ切れてばっかり、あるいは圏外、という状況だったのが、随分つながるようになった。
マルセロを中心としたスプリントの経営陣、社員がこれまた奮闘努力して、顧客の獲得も純増で過去3年で最高というところまで反転してきました。
それまで毎月純減という状況だったので、本当に心配しました。顧客が減りだすと売上がボコボコに減りますから、ますます採算が合わなくなるんですね。
しかし顧客の獲得で純増に反転できましたので、ずいぶんこれで安心感が増えました。
また、コストの削減も約1000項目洗い出して、会社のゴミ箱のゴミの回収も専門の業者にお願いしてたんですが、いまやスプリントの全社員が退社するときにゴミを持って出てくと。そういう小さい積み重ねで1000項目洗い出しました。
1年間で2000億円の経費削減。これを2年続けてやりました。合計で4000億円。年間の経費で4000億円削減するというのは、本当に大変なんですね。それをマルセロ中心になってやっております。
おかげさまでこの2年で4000億円の経費削減という道筋ができまして。
今年は営業利益でも、過去10年間、営業利益ずっと赤字だったんですよ?
買収する前から、毎年毎年10何年間、ずっと赤字という万年赤字の会社がですね、ついに、マルセロを中心としたスプリントの経営が、営業利益でなんと黒字になったんですね。
これ大変なことです。ずいぶん私も勇気づけられました。また今年はさらに追加で2000億円の経費の削減がきちっと計画ができて、着々と進んでいます。
今年さらに営業利益の増大ができると思っています。今年は1000数百億円の黒字と。スプリント創業以来じゃないかというくらい増益になる。
アメリカの会社の歴史の中でも、これほど大きな、毎年数千億円の赤字から、10000~2000億円規模の営業利益で黒字というのは、まれに見るV字回復の事例になるんじゃないかなと。
また、設備投資もいっぱいしなきゃいけないので現金が必要なんですが、その設備投資を含めて、現金収益で初めてプラマイゼロまでいけると。本の数年前までは、現金収益でマイナス4000~5000億。そこからすると、随分改善できたんじゃないかなと。
スプリント単体でAT&T、ベライゾンを抜くというのはこれは難しいです。
モバイルもですね、いまだに国内で3位なんですね。ユーザー数、売上。だけど、世界一の利益率になれたんですね。
規模は3位だけど、世界一の現金収益率まできました。だから、スプリントもAT&T、ベライゾンを抜いて、アメリカイチのユーザー数、売上というのは、これは大変です。
Tモバイル買収が、政府に認めてもらえなかったわけですから。しかし、利益率ではソフトバンクモバイルが日本でやれたことを、アメリカで再現するということが不可能かと言われると、難しいですけど不可能とまでは思わない。
ソフトバンクモバイルとスプリントを足して、世界一のフリーキャッシュフローの会社。合算して、少なくとも携帯業界では世界一の利益率、現金収益率の会社にするということは、目標として掲げていいんじゃないかなといまは自信を深めています。
19年連続、最高益更新のヤフージャパン
次にヤフージャパンです。こちらは開始して約20年になりましたけれども。
いま、宮坂くんがここにいますけれども、率いて、再度ヤフージャパンが若返って、もう一度成長のいろんな種をまいて。
アメリカのヤフーがですね、赤字続きという状況の中で、ヤフージャパンは創業以来19年連続、毎年最高益更新。1年も欠かさずですね。
これまた言うの簡単ですけど、アメリカのヤフーと同じブランド同じビジネスモデルで開始した会社が、アメリカでは赤字の連続、と。
実はヤフージャパンはアメリカのヤフーより先に利益が出るようになったんです。それだけじゃなく、毎年増益を繰り返した。これを実現したヤフージャパンの社員、経営陣は本当に賞賛に値すると思っております。
ヤフージャパンも継続して、これからも伸ばしていきたいと思います。
アリババの取扱高60兆円 10年後は200兆円に?
また、我々が新30年ビジョンで掲げた次の30年のための多くの社員から出た意見は、ロボット。これから21世紀はスマートロボットの時代がくると。
すぐには利益でないけれど、将来のために取り組もうということで始めたpepperですが。これまた当面赤字かなと思ってスタートしたんですが、発売して1分で売り切れというのを7ヶ月連続で実現できて、またいま法人のお客様から続々と試してみたいとお声をかけていただき、非常におもしろいスタートダッシュが切れたと思っています。
ということで、我々はオペレーション事業ですね、自らが運営していく事業、左手の部分。順調にいっています。スプリントもおもしろい展開がこれからできるんじゃないかと感じていますが。
もうひとつ右手の側のあらたな攻めのところ、投資資産として我々のグループ経営をやっております。
投資というとですね、短期的な銭・金だけのものと感じるかもしれませんが、ソフトバンク流の投資事業というのはちょっと色合いが違います。
我々は短期的な投資ではなくて、起業家ですね。新しいテクノロジー、ビジネスモデルの様々な国の新しい、若い起業家とともに事業を生み出していくと。
たいていの場合、我々は筆頭株主です。創業者とその仲間たちが1割2割株式を持っていて、我々は2割3割、場合によっては4割株を持ってですね、創業者の彼らと一緒にビジネスモデルのサポートをして、一緒に長期戦略を組み上げて、彼らの成長を大きく促進させる。
そして、我々のグループ会社が相乗効果を出せるように。単なる投資会社ですと、普通は3~5パーセント持って、受身形の投資ですけれども、我々は能動的に経営陣とともに事業戦略を考えて、お互いのグループシナジーを出していくというモデルでやっています。
その典型的な事例がアリババであります。創業間もないころのヤフーのアメリカもそうでした。そういうかたちでヤフージャパン、ジョイントベンチャーをつくって。
このアリババが10年間、無料でいろんなサービスをして、赤字でした。でもいったん黒字になりだすと、あっという間に何千億の純利益を出すに至って、取り扱い金額では世界圧倒的ナンバーワンのウォルマートを抜くに至りました。
取り扱い金額で約60兆円ですね。
私はこれ、単なる個人的な予想ですけれども、いまから10年経つと、200兆円くらいの取り扱い金額になるんじゃないかと思っています。
去年60兆円になったんですけど、いまだに年間20~30%伸びてるんですね。だからこの勢いでいくと、10年後には200兆円くらいになるんじゃないかと。
200兆円というとみなさん、どのくらいの規模かわかりますか? インド全体のGDPが200兆円です。イギリス全体のGDPが200兆円です。イギリス、インドと言えばかなり大国ですよ。イギリスとかインドとかいったら、もうかなり大国ですよ。その国全体のGDPがアリババ1社の取り扱い金額で追いつき追い越すというところまでくるんじゃないかというのが私の読みです。
そういうことで、我々はアリババグループ、グループの中でもたいへん重要な戦略的なパートーナーと思っています。
今日は事情により、ジャック・マーは出席してませんけれども、今週の金曜日にジャックと私は1対1で夕食をする予定になってます。
ほぼ毎月彼とあって、ほぼ毎週電話だとかEメールで今でもやり取りを1対1で彼とやってます。本当に重要な事業パートナーだと思ってます。
ということで、アリババ、たいへんうまくいきました。世界最大の歴史的最大のIPOをつい最近やったばかりですね。
打倒Uberを目指す投資先企業群
このアリババに相当するインドの会社が、私は、snapdealだと思ってます。同じビジネスモデルで同じように成長してます。非常に楽しみな会社です。いま年間90パーセント取扱額が伸びてます。
また、同じように韓国で年間293パーセント伸びてると。対前年比4倍ですね。この会社がcoupangであります。こちらもいま急成長で非常にだと思ってます。韓国での今No.1のeコマースになります。
最近、未上場の会社で一番大きな評価金額を得てるのが、上場したらこれまたその年の最大の上場になると思いますけれども。Uberという会社がありますね。
これ、私、失敗したんですよ。一昨年ぐらいにUberの経営者にあって、「なかなかおもしろいな」と。「投資しようかな」とずいぶん思ったんですけれども、その時決断つかなくて。もうすでに金額けっこう高かったので、決断つかなくて、投資しませんでした。
これはいま後悔してる会社の1つですね。「やっときゃよかった」と。やっぱり頭悪いんだなと自分で反省しましたけれども。
このUberに相当するインドでの会社、これがOLAであります。アメリカで投資チャンスを逃しましたけれども。せめて今度はインドでということで。
インドにおける圧倒的No.1のシェア。今Uberと戦ってますけどね。インドで勝ってます。インドで圧倒的No.1のUberモデルの会社。これがOLAであります。前年対比で10倍でいま伸びてます。
それから、インドネシア、タイ、フィリピン、シンガポールということで、中国、そしてインド以外のほとんど大半の東南アジアの国を押さえているのが、Grabであります。
これまた前年対比5倍で伸びてます。各国でUberに勝ってます。この会社、我々が筆頭株主になりました。両方ともですね。
また、中国でこれまたすごいんですよ。最近アップルがこの会社に投資すると発表しましたね。アップルにとっては珍しいんですけどね。アップルよりも先に我々が投資をしました。
この会社は、我々のグループのアリババと競争相手であるテンセントが、お互い子会社を作って、バッチンバッチン競争してた会社です。その両者が合併をして、滴滴(ディディ)という会社になっております、合併後。
これがまた中国で圧倒的No.1です。中国1国だけで1社だけでUberの全世界の乗車数を抜きました。すごいですね。
これらの国では、日本と違って地下鉄とか電車網があんまりないわけですね。ですから、タクシーだとか、そういう車で配車サービスというのはいわゆる交通機関の一番中心です。その会社で、その国全体の基幹交通網といっていいポジションにいるわけですけれども。
これで圧倒的No.1。おそらく90数パーセントのマーケットシェアじゃないかと思います。これまた中国ではUberに圧倒的に勝ってます。この会社も我々のグループであります。
フィンテックのNo.1カンパニー SoFiへも投資
また、先ほどニケシュが言ってましたように、アメリカではFacebookだとかGoogleだとかAmazonとか、本当はこの3社とも上場前に、ソフトバンク、投資機会があったんですけども。
当時は、Yahoo!BBブロードバンドとかですね、ソフトバンクモバイルの買収とかでもう金がないということで投資……。上場前に私は、それぞれ創業者に親しくしてて、投資機会あったんですけども、投資できませんでした。
アメリカではもう、そういう意味では、かなりインターネット業界成熟してきておりますが。新たな分野として、アメリカではフィンテックがこれから大きく伸びるということで。
フィンテックのNo.1カンパニー、これがSoFiです。これはまだ未上場です。こちらは我々ソフトバンクが30数パーセントということで、筆頭株主になることができました。いま世界で一番のフィンテックの会社だと思います。
もう今年は貸付残高で1兆円の規模になるというところまで来ました。まだ創業して3、4年ですよ。3倍以上で伸びているという会社であります。
ということで、我々は新たな投資も続々と継続しております。過去の実績を見ますと、3,800億円の投資をして。
その投資に対するリターン、複利で、この18年ぐらいで44パーセント。投資した金額に対するリターンが25倍という成績を出すことができました。
私もいろんな会社、アメリカ、ヨーロッパ、日本含めて、ベンチャーキャピタルとか、あるいはプライベート・エクイティの投資ファンド、知ってますけどね。
この規模で44パーセントという。複利で毎年44パーセント増えるんですよ。そういう業績を出してる会社、聞いたことも見たこともありません。
ですから、そういう意味では、複利で44パーセント毎年リターンを得るというのは、これは言うのは簡単ですけど、これまた実は世界一だと認識してます。
アリババ、Supercellの株式を売却した理由
これは投資しても、さっきニケシュが言っていたように、現金化しなきゃ意味ないんですけれども。「孫正義は投資するのは好きだけど、売却は好きじゃないよね。苦手だよね」と言われてきました。まあ、事実なんですね(笑)。だから言われてもしかたがないと思います。
でも、やっと今年は「売らなきゃいけない」という状況に追い込まれるかたちではなくて、自らの意思である程度現金を手にするということで。
ニケシュもたいへん活躍いただきまして、彼の存在は非常に大きかったと、心から私感謝してますけれども。この約1ヶ月間で2兆円弱の現金を手にすることができました。
先ほどから言ってますように、私はアリババの将来、惚れ込んでるんですよ。信じこんでます。いささかも、1秒たりとも疑ったことありません。
ですから、本来であれば1株も売りたくないということなんですけれども。まあ、会社のバランスも必要だよねということで、一部現金化しようよと。
それから、Supercell、ガンホーについても、我々が選択と集中ということで、会社のバランスも大切だということで、これも今回、昨日の夜、Supercellの売却も正式契約、調印が完了しましたので、あわせて昨日の夜発表させていただきました。
この1ヶ月間で約2兆円弱の現金を手にすることができました。結果、ソフトバンクの純有利子負債、我々のEBITDAに対する比率として3倍というところまで改善することができました。
先ほど言いましたように、我々の投資に対するリターンが44パーセントということを言いましたけれども、Supercellは93パーセントです。ですから、今までがラッキーだったとかまぐれだったと。確かにラッキーはラッキーだったんですよ。
でも、44パーセントの概数に、また新たに1兆円近い規模で、Supercellが約1兆円規模の今回売却の価値で、ソフトバンクが手にしたお金は約8千数百億円ですね。
投資した最初の金額が1千数百億円、後で追加で1千億円入れましたけれども、この投資に対しても93パーセントのIRRで利益を得れた。3年間の複利でですね、これはなかなか言うのは簡単ですけれども、実現難しかったと思います。
ということでガンホーも、ガンホーも確か30数パーセントですね、みなさん銀行に預金集めてもなかなか1パーセントも利益を得られない状況のなかで、ソフトバンクが、もちろん後でたくさんみなさまからですね、もっと配当増やせという意見がきっと出ると思いますが、配当するのはもちろん大事なことですよ、でもちょっと考えてみてください。
今あるお金を、余ったお金をですね、全部配当に回すという選択もありますよ、でもソフトバンクの長い成長を考えた時にですね、ソフトバンクにある現金は、ソフトバンクの経営陣に任せておけば、ソフトバンクが投資したお金は平均44パーセントで、複利で利回りで稼いでくるとしたら、もうちょっと預けておいた方が良いと思いませんかみなさん。
(会場拍手)
ちょっとだけ拍手をいただいております(笑)。そのくらい悪くないと思うんですよ私は。すぐに現金を手にするという手もありますけどね。もうちょっと私も若いという認識を今回改めて再認識しております。もうちょっと任せていただきたいと思います。
ということで我々は世界一のグループ投資ですね、IRR、投資リターンで世界一の規模の率、また規模の会社になっていきたいと。これを続けていきたいと思っています。
ということで右手と左手。左手で我々は世界一のフリーキャッシュフローの会社を目指したい。そして右手で世界一のグループ投資事業ですね、このリターンを得たい。この両手、両方足してですね、世界一になっていきたいと思います。