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2026年上半期の外部環境

吉村昇氏(以下、吉村):みなさま、本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社代表取締役社長の吉村昇です。

2026年12月期第2四半期決算についてご報告します。まずは、2026年上半期の外部環境についてです。

大きな出来事として、米国によるイラン攻撃は、正確には第1四半期中の2月末に発生しましたが、その影響がさまざまなかたちで明確に表れたのは第2四半期(4月から6月)だったと考えています。この点については、後ほど詳しくお話しします。

また、円安基調が継続しました。日米金利差の問題では、特に米国で利下げ方向からインフレの長期化に伴って利上げ方向へトレンドが変化する中、日本銀行が利上げに踏み切ることもある程度想定されていましたが、円安基調自体は大きく変わらず、為替介入が行われたものの、基本的には1ドル155円から160円の範囲で推移しました。

米国関税については、いわゆる「トランプ関税」が昨年開始されましたが、今年に入り米国連邦最高裁判所が、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくトランプ関税を違憲とする判決を下しました。

これに対し、トランプ政権側が新たな関税措置を発表するなど、違憲判決を含め先が読みづらく、対策を立てにくい状況が続きました。このような不透明な要因が続いたことで、当社だけでなく、当社のお客さまにもさまざまな影響が及んだと言えます。

当社がビジネスとして関わっているEV業界については、米国によるイラン攻撃を受けて原油価格が上昇し、それに伴いガソリン価格も上昇しました。結果として、EV志向が高まり、各EVメーカーが販売台数を増やすトレンドが見られます。

金利に関しては、利下げから利上げへと方向が変わり、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の交代もありましたが、当社が大きな影響を受ける長期金利が高止まり、あるいは一層の上昇を見せる状況となっています。

オフィス向けビジネスに関しては、悪化している印象はありませんが、改善しているとも言いがたい状況です。不動産マーケットは金利の影響を大きく受けるため、当社のビジネスにとっては重しとなったと考えています。

2026年上半期の外部環境〜原材料価格高騰の影響〜

米国によるイランへの攻撃の影響が4月以降に色濃く表れました。スライドのナフサ価格の推移のグラフのとおり、4月以降ナフサ価格が高騰しています。

4月以降、多くのサプライヤーから「今月は従来どおり供給できるが、来月以降はお約束できません」と通達され、当社では原材料の調達に不安を感じながら操業せざるを得ない状況でした。また、当社が使用している原材料の多くがナフサ由来のため、各サプライヤーから度重なる値上げの要請がありました。

価格についてはやむを得ない部分もありますが、最も問題だったのは、翌月の調達に関して確約が得られなかったことです。

当社の対応としては、必要なお客さまへの供給責任を果たすため、原材料の確保を最優先とし、一部の原材料については手元在庫を厚めに持つようにしました。そのため、全体の在庫調整を行いつつ、販売量に対して生産量を大幅に抑えるオペレーションを実施しました。

背景として、原材料の確保に加え、価格の動向が読みづらい中で原材料価格が高い時期に無理に生産することは避けようという判断がありました。

一部の原材料は特に4月と5月に市場価格が急騰しましたが、6月以降は調達が落ち着くにつれて価格も下がってきました。そのため、4月から6月にかけて生産を調整した判断は、オペレーション的に適切だったと考えています。

ただし、原油やナフサの価格がある程度落ち着いてきているとはいえ、価格が期初に比べて下がっているわけではありません。現状の情勢を考えると、大幅に下がって以前の水準に戻ることは想定しにくいと見ています。

また、ナフサ価格だけでなく、日本では人手不足や物流問題に加え、航空燃料の逼迫による航空便の減便なども影響を及ぼしました。

この上半期、特に4月以降に高い原材料を使って製造した製品は、ほとんど販売がなかったため、コスト上昇の影響はありませんでした。しかし、生産を抑えて在庫を効率化するために在庫を削減したことは、キャッシュフローにはプラスの影響を与えた一方で、P/Lにはマイナスの影響を与えた部分が大きかったと考えています。

今回のナフサを中心とした原材料価格の上昇は下半期から影響が出ると想定しています。下半期だけで約1億2,000万円のコストアップを想定しており、来期以降の価格転嫁を検討していきたいと考えています。

用途別連結売上収益

売上に関して、第1四半期(1月から3月)は各セグメントで販売が堅調でしたが、第2四半期(4月から6月)は第1四半期の反動もあり、販売数量が減少しました。

上半期全体では、航空機用が非常に好調で、家具用も良好だったため、これらのセグメントが自動車用の減収を補いました。ドルベースでは、ほぼ前年並みの実績となっています。期初予想比では、円安の影響により円ベースでは予想どおりの結果となりましたが、ドルベースでは見込んでいた売上に到達できませんでした。

家具用については、前年同期比で改善しています。マーケット環境自体に大きな変化はありませんでしたが、昨年、当社製品から中国製品へ切り替えた一部のお客さまが、中国製品ではうまく製造できないという問題に直面しました。

そのようなお客さまにさまざまなアドバイスを行った結果、ビジネスを取り戻すことができ、オフィス向けやヘルスケア向けなどが好調でした。しかし、全体の市場環境が大きく改善したわけではないため、期初予想と比較すると下振れしました。

自動車用については、前年同期比で若干のマイナスとなりました。スモールパーツ向けの需要は回復したものの、シート向けについてはプログラムの変更などが影響し、減収となりました。

航空機用については、民間航空機向けが想定どおりに伸び、前年同期比で15パーセントを超える大幅な増収となりました。また、期初予想に対してもおおむね計画どおりに進みました。

その他については、金利の影響を最も受けやすいキャンピングカー向けのセグメントが苦戦したものの、スポーツ用手袋やクルーザー向けが好調でした。結果、その他全体としては前年同期比で増収となりましたが、期初予想には届きませんでした。

自動車用が振るわなかった部分を、航空機用や家具用が補い、その他のセグメントも大きな足かせにはなりませんでした。ただし、第1四半期に比べて第2四半期の業績が良くなかったこともあり、最終的にこのような結果となりました。

連結損益計算書

結果として、売上高は約109億円となり、期初予想比100.2パーセントとほぼ同じレベルを維持しました。

営業利益については、若干の下振れとなりました。これは、在庫調整によるP/Lへのマイナス影響が大きかったことが主な要因で、10パーセント弱の下振れとなりました。一方で、持分法による損失がそれほど大きくなかったこともあり、税引前当期利益および当期利益は期初予想を若干上回る結果となりました。

連結損益計算書

連結損益計算書の増減要因は、スライドに記載のとおりです。円安効果や、期初の値上げ効果、関税、サーチャージなどが売上のプラス要因となりました。また、航空機用製品が全体的に好調で、売上に寄与しました。全体としては、数量自体は若干減少しましたが、売上高はそれなりに増えました。

売上原価の増加には、先ほどからお話ししているとおり、在庫効率化や未実現利益戻入の減少等が最も大きく影響しました。

販管費については、売上などの状況を踏まえ、できるだけ適切なコントロールを行い、一定の成果を収めました。

増加分の多くは、円安の影響により海外で発生する販管費が円建てで増加したことによるものです。また、今後のビジネスをさらに改善するために、新しいビジネスや新製品開発に注力しました。この部分については、コスト削減をあえて重視しない方針で取り組んだため、費用が増加しました。

一方で、顧客向けサンプル費用や広告宣伝費などについては、工夫を重ねて削減可能な部分を見直し、これらのマイナス要因を若干補いました。

連結損益計算書

在庫に関しては、さまざまな理由から生産を抑えて在庫を減らしましたが、それによる販売への影響はあまり見られませんでした。

当社では特に家具向けを中心に在庫を保有し、カタログ販売を行っています。カタログに掲載されているため、当然お客さまはカタログを見て注文されます。その注文があった際には在庫から出荷します。

一番懸念していたのは、在庫が減少することで、カタログを見て注文された際に在庫不足により対応できず、失注のリスクが生じる点でした。しかし、6月末時点の在庫水準では、そのような影響はあまり見られず、お客さまの満足度も維持できたと考えています。

連結貸借表・連結キャッシュフロー表

貸借対照表およびキャッシュフローについてご説明します。一番大きなポイントは、現預金が前年度末比で9億円増加したことです。その最大の要因は棚卸資産の減少です。

また、その他にもいくつかキャッシュポジションを増やす要因があり、結果としてキャッシュポジションは改善しました。

連結貸借表・連結キャッシュフロー表

営業キャッシュフローは前年上半期と比較して増加しています。千代田工場の稼働を含めた投資が一巡したため、投資キャッシュフローのマイナス幅は大幅に縮小しました。上半期としては、キャッシュフローがかなり改善されたと考えています。

航空機用売上の推移

ここで、航空機用ビジネスについてお話しします。航空機用ビジネスが全体の売上に占める割合は、コロナ禍前の2019年度で9.3パーセントでした。これに対し、2026年上半期は先ほどのスライドにも示したとおり、19.5パーセントと倍以上になり、全体の売上に占める割合が2割に近づいています。

急速に伸びている背景と今後の見込みについてご説明します。

従来の主力であるビジネスジェット向け市場は、製造できる機体数が限られているため、成熟市場と言えます。その中で当社のシェアも比較的高く、売上高は長期的に横ばいで推移しており、今後も多少の変動はあるものの、同水準で推移すると見込んでいます。

一方、民間航空機向けについては、顧客数の増加が成長の要因となり、コロナ禍前と比較して約5倍の売上規模へと拡大しました。民間航空機業界については、今後も一定の成長が見込まれると考えています。

市場環境

みなさまもご存じのとおり、飛行機の製造数には限りがあり、「来年は今年の2倍製造する」といった急激な増加はありません。そのため、製造される機体数はおおよそ決まっています。

それにもかかわらず、当社の売上が機体数の増加以上に伸びる理由は2つあります。1点目は、すでに飛行機を保有しているお客さまを新たに獲得できることです。

2点目は、当社の素材に定期的な張り替え需要があることです。これは明文化されたルールがあるわけではありませんが、おおむね4年から6年に1度、張り替えが行われると言われています。そのため、一度契約が成立すれば、4年から6年に1度、定期的に張り替え需要が発生することになります。

一度当社の内装材をご採用いただき、気に入っていただければ、特に大きな問題がない限り、そのまま継続して新しい機材にも採用いただける確率が高いため、その分が順調に積み上がっていくことになります。

ここが自動車ビジネスと大きく異なる点です。自動車ビジネスの場合、モデルチェンジのたびに競合が発生し、プログラムを失う可能性がありますが、航空機の場合は一度採用されると、大きな品質問題などがない限り継続して使用される可能性が極めて高いです。

その結果、既存のお客さまによる継続分に加えて、新規の顧客分が積み上がっていく構造となります。今後、民間航空機の機体数自体の伸びは5パーセント弱と想定されていますが、当社はそれ以上の成長率が期待できると考えています。

また、航空機ビジネスにおいて重要なのがサステナビリティであり、航空会社各社は「NetZero」を目標に掲げ、再生燃料の使用や燃費のよい機体への変更を進めています。そのような中で、内装材についても軽量性や環境負荷の低減が求められる傾向があります。

航空会社によっては「サンプルよりも、まずあなたたちのサステナビリティストーリーを聞きたい」ということからスタートするお客さまもいらっしゃいます。このような背景の中で、これまでもその方向で努めてきたつもりですが、今後もサステナビリティストーリーの構築と関連投資を着実に進めることが重要だと考えています。

航空機用内装材市場における当社の強み

当社にはいくつかの強みがあります。まず取り上げるのは、ファブリック(布)と比較した場合の耐久性の高さです。例えば、航空機に搭乗した際に布製のシートをご覧になったことがあると思います。そこにコーヒーをこぼすと、シートを張り替える必要があります。

一方で、当社の製品は拭き取るだけで済みます。そのため、耐用年数が長く、廃棄物を削減できることが、サステナビリティを重視する航空機会社にとっての大きなメリットとなります。

また、軽さに関しては、本革や競合するPVC(塩化ビニル)と比較すると、重量が半分から3分の2程度と非常に軽量である点が特徴です。

さらに、先ほどコーヒーをこぼした例をお話ししましたが、当社の製品は薄いアルコールや中性アルコール、水で薄めた中性洗剤で拭く程度であれば、劣化することはほとんどありません。この清掃のしやすさは特に、コロナ禍以降で重視されており、その点で非常に大きな特徴となっています。

当社ではシートの部分ごとに異なる製品を提案することもしています。具体的には、背もたれ部分には快適性を重視した柔らかい製品を採用していますが、座面に関しては高い難燃性が求められるため、背もたれとは異なる複雑で重量のある構造を採用しています。この課題を解決するために、軽量化および構造の簡素化を実現した「Atago」という製品を提案しており、販売しています。

スライドに示されている座席のイラストの赤い部分は、特に通路側で人やキャリーバッグが触れる部分に該当します。この箇所については強度を重視した製品を別途提案しています。

このように、当社のビジネスは単に単品の製品を販売するだけではなく、多面的な提案を行っています。このような構造の異なる製品を組み合わせて提案する、ソリューション型のビジネスを展開しています。

航空機用売上の成長ポテンシャル

今後、どうやってシェアを拡大していくのかについてご説明します。

当社のシェアは徐々に上昇しており、現在は15パーセント弱となっています。シェア拡大の余地はまだあると考えています。

また、当社は北米で非常に高いシェアを誇り、多くのエアラインで採用されています。一方で、アジアやヨーロッパといった地域ではまだ伸ばす余地があり、北米以外の地域にシェアを拡大していくことで、グローバル展開を進めながら成長性を確保できると考えています。

航空機ビジネスの特徴として、自動車のような大規模な市場ではないため、なにか施策を行っても急激な売上増加にはつながりませんが、市場全体としては今後も堅調な成長が見込めます。この分野では採用実績が重要で、新規参入の障壁が非常に高いビジネスです。一度採用されると、その後も継続される可能性が高いことが特徴です。

既存のお客さまには高品質な製品やサービスを提供し、満足していただくことに加え、新規顧客の獲得を推進することでさらなる成長を目指していきます。

2026年度 通期見通し

最後に、通期の見通しについてお伝えします。為替レートの前提条件を、下期において当初の150円から155円に変更しました。

2026年度 通期見通し

売上については、アップサイドもダウンサイドもあると考えています。ビジネスにおいては当然のことですが、現時点の想定として、ドルベースでは上期は当初の計画に到達しておらず、下期でその分を完全に補うのは難しいと見ています。そのため、ドルベースでは通期でも未達となることを想定しています。

売上に関しては円安の効果が寄与する一方で、コスト面では原材料費の価格上昇の影響が下期から本格化する見込みです。これらの要因を総合的に判断した場合、円ベースでの通期利益は期初予想どおりに着地する見通しです。

配当に関しては、現時点では変更する要因はありません。仮に変更する要因が生じた場合には、速やかに公表します。

質疑応答:売上見通しの進捗について

質問者:修正されなかった売上計画の中身についてうかがいます。中期経営計画の売上見通しの中で、今期の各セグメントの売上成長の数字を前回の決算説明会でご提示いただきました。この期初の見立てが現在どのような数字になっているのか、可能な範囲でお知らせいただきたいです。

吉村:現時点の見込みでは、ドルベースでは航空機以外は期初予想を下回るものの、円ベースではほぼ期初予想どおりとなる見通しです。

質疑応答:自動車新規プログラムの変更要因について

質問者:社長のプレゼンにおいて、自動車の新規プログラムの開始およびプログラム変更についてご説明がありましたが、具体的には、これらがどのような要因によるものなのか、もう少し詳細を教えていただけますか?

また、構造的なシェア創出に関係するお話なのか、それとも単なるモデル切り替えなどによる一時的な増減や動きに関連するものなのかについても併せて確認したいです。

吉村:これはどの会社も同じだと思いますが、いくつか車種が存在し、それらの車種がモデルチェンジする際に関わるお話です。これを個別にお話しすると、お客さまとの契約に抵触する可能性があるため、一般論としてご説明します。

例えば、我々の素材がよく売れている場合は、当然ながらその部分は継続します。一方で、一般論としてですが、色や素材の好みは地域ごとに違いがあります。そのため、ある素材について、例えばある地域において我々の素材が使われている車があまり売れないという状況があれば、そのオプションを削除して別のオプションを採用することがあります。

逆に我々のオプションが新たに採用されるケースもあります。このような入れ替えは、頻繁に起こるわけではありませんが、車種が切り替わるタイミングで、ある車種で採用されていたプログラムがなくなり、新しい車種のプログラムで採用されるといった入れ替えが発生します。

この入れ替えが生じるタイミングでは、どうしても前の古い車の在庫整理が先に進むため、そこでの影響が大きく出ます。そのような影響が4月から6月には若干見られました。

しかし、我々としては、下期については、現時点ではそのような影響を想定していません。

質問者:期初見通しに織り込んでいなかったプログラムの動きがあったのだと思いますが、これは対象車種の販売動向によっては、下期にポジティブな方向に動く可能性があるという理解でよろしいでしょうか?

吉村:その理解でかまいません。

質疑応答:配当政策のスタンスについて

司会者:「配当については、過去の水準に戻すためには業績回復をしてからとのお考えとお見受けしますが、業績回復に時間がかかった場合はさらなる減配もやむを得ないと考えているのか、ある程度は配当レベルの維持をするつもりなのか、現時点でどのようなスタンスなのでしょうか?」というご質問です。

吉村:配当に関しては、まずキャッシュポジションとの関係を見ています。先ほど今期のキャッシュフローについてお話ししましたが、営業キャッシュフローが増加していく中で、投資キャッシュフローのマイナス幅が減少しており、この両方がキャッシュフロー上はプラス要因となります。

営業キャッシュフローは営業努力によって増加させていくものですが、投資に関しては判断の上で行うものです。その兼ね合いで言えば、先期の説明の際にもお話ししましたが、現状では大きな投資は想定していません。

したがって、営業キャッシュフローを活用しながら、粛々と借入金を返済していくことになります。この観点では、利益水準が大きく変動しない限り、配当を減らす必要性を私自身は感じていません。

もう1つの観点は、資本との関係になります。我々の現在の純資産は約170億円です。この水準が適切かどうかについては、資本政策として考えています。

現時点の計画では、営業キャッシュフローの投資に回らない部分は返済に充てられ、借入金が減少していきます。その結果、D/Eレシオが改善していくことになります。このような状況で、資本政策として配当性向を下げて配当を出さない場合、資本が増加してしまうため、それを行う必要があるかどうかが、もう1つの論点だと考えています。

当社としては、現時点で負債との関係や事業リスクとの関係から資本が不足しているとは考えていません。したがって、資本を増やすというよりも、配当を確実に行っていく考えです。

仮に業績が多少悪化したとしても、それに連動して減配する必要があるかについては、もちろん私1人で決定できることではなく、取締役会できちんと社外取締役を含めて議論する必要がありますが、その方向では考えていません。

質疑応答:下期の営業利益水準の改善要因について

質問者:下期の営業利益水準についてうかがいます。ハーフ・オン・ハーフの議論はあまりなさらないかもしれませんが、下期の営業利益水準は上期実績を5割程度上回る想定になっています。この達成に向けた改善要因の中身について、どのように理解すればよいでしょうか?

為替前提は下期のほうが厳しく、原材料コストアップについてもお話しいただいています。この状況下で、どのような要因でこの利益水準を目指していくのか、詳しく教えていただけますか?

吉村:生産調整を行って在庫を圧縮し、販売数量に対して生産数量が少なかったことは、原価面でかなり大きなインパクトがありました。下期については、現時点ではそのような対応を行う予定はなく、基本的には販売数量に合わせた生産を行う通常のオペレーションに戻す方針です。

もちろん、ホルムズ海峡に関する問題など新たな要素が発生した場合には対応を検討しなければならないと思いますが、現状ではその必要はありません。その結果、上期のマイナス要因が剥落するため、営業利益の改善要因になると考えています。

言い換えると、上期はその部分がマイナスに働いていましたが、下期はその影響がなくなるため、自然体の数字に戻る想定で現在の計画を立てています。

質疑応答:原材料価格高騰に伴う価格転嫁の見通しについて

質問者:原材料価格の高騰について、ナフサのお話をうかがっています。この価格転嫁がどの程度スムーズに進む見込みなのかについて教えてください。

来期以降、価格転嫁を検討されるとのことですが、コスト上昇をスライド転嫁するフォーミュラ契約がすでに固まっているのか、それとも根本的な交渉を含めてまだ見通しが立っていないのか、ご解説いただけますか?

吉村:我々の価格設定は、2つの形態があります。1つは車両や航空機を中心に、個別のお客さまとプログラムごとに交渉して決定する方法です。この場合、競合他社との関係が影響しますので、競争の中で競合他社が提示する価格などが、価格をどこまで上げられるか、あるいは下げざるを得ないかという要因になります。

もう1つは、カタログ販売です。こちらは当社が価格を決定しているため、意図すれば翌日からでも価格を上げることが可能です。

この場合、問題は価格を上げることで販売数量にどのような影響を及ぼすかです。値上げにより販売数量がどれほど減少するかについては事前に完全には予測できず、場合によっては想定外の結果を招くこともあります。このため、価格をどれだけ上げれば販売数量に影響が出ないのかを慎重に見極める必要があります。

過去の実例としては、米国でコロナショックの後、物流コストなどが上昇してインフレ状態になった時期に、「価格を上げたい」という当社の意向に対してお客さまの納得度が比較的高かったことがあります。

この点については、インフレ状況や経済指標というよりも、企業間の物価感覚や物のコスト感覚が重要です。「もうこういう状況なのだから上がるのは仕方がないよね」とお客さまが考えるか、それとも「なんでこんな状況の中で値上げするの?」と受け取られるか、といった点を慎重に見極めながら進めていく必要があります。

したがって、交渉で決定する価格については、どの程度強気な交渉が可能かを見極めます。それは、競合他社との関係や当社製品の評価など、さまざまな要因を総合的に判断した上で進めることになります。

また、当社が設定する価格については、お客さまがそれをどのように受け取るかを慎重に判断する必要があります。その上で、値上げに踏み切るのか、あるいは値上げできる状況ではないためコストとして吸収するのかを判断していくことになると思います。

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