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アルピコホールディングス株式会社297A

東証スタンダード

小売業

目次

伊藤篤氏:アルピコホールディングス常務取締役の伊藤です。2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。

本日は目次に記載のとおり、当社の事業の特徴・強み、2026年3⽉期第2四半期決算概況と2026年3⽉期の見通し、⻑期ビジョン及び中期経営計画の概要の順番でお話しします。

アルピコグループとは

まずは、事業の特徴・強みについてご説明します。当社グループは、長野県を中心に流通・運輸・観光・不動産事業などを展開している、長野県を代表する「総合生活関連企業グループ」です。

社名の由来は、日本アルプスを背景とする地域で事業を展開していることから、「ALPINE CORPORATIONS」の頭文字を取り、「ALPICO(アルピコ)」と命名しました。

事業拠点、エリアは、スライド左側の地図に示すとおり、長野県内全域に広がっています。運輸事業は長野県外でも展開しており、東京都と大阪府にも営業所があります。さらに、海外ではインバウンド誘客を目的として、バンコクにオフィスを設けています。

当社は、地域に根ざしながらも全国・海外に展開する体制を整え、長野県の交通・観光・生活インフラを支える企業グループです。

国内外に⼈気な観光資源の活⽤:⻑野県観光地での事業展開

長野県の観光資源を活用した事業展開についてご説明します。長野県は、国内外から高い人気を誇る観光地を多数有しています。県の統計によると、延べ利用者数の上位30ヶ所の観光地のうち、19ヶ所が当社グループの事業エリア内に位置しています。

主な観光地としては、軽井沢高原、善光寺、上諏訪温泉・諏訪湖、志賀高原・北志賀高原、白馬山麓、霧ヶ峰高原、東白樺湖・白樺湖、戸隠高原、蓼科、上高地、上田城跡、安曇野湧水群、美ヶ原高原、菅平高原、諏訪大社、松本城などが挙げられます。

これらの観光地の中には、当社グループの事業エリアも多く含まれています。例えば、上高地・白馬・蓼科などでは観光輸送を担うバス・タクシーを運行しており、松本市や諏訪市では宿泊事業を運営しています。

当社グループの主要な事業セグメントと数字でみる各事業

主要な事業セグメントについてご説明します。当社グループは、「流通」「運輸」「観光」「不動産」を主力事業として展開しています。

流通事業は、食品スーパー「デリシア」51店舗、「業務スーパー・ユーパレット」9店舗と、長野県内最大店舗数となる計60店舗を展開しています。加えて、移動スーパー「とくし丸」やネットスーパー、セルフ型無人決済店舗など、新たな販売チャネルの開拓にも取り組んでいます。

運輸事業は、松本・長野・茅野の市街地や上高地、白馬、蓼科などの観光地を中心に、バスやタクシーを運行しています。保有車両はバス395台、タクシー408台の合計803台と、いずれも長野県内で最大規模です。また、鉄道8両を保有しており、地域交通の重要なインフラを担っています。

観光事業は、松本市内5施設、諏訪市内1施設で宿泊事業を運営しています。客室数は667室と、長野県内企業としてトップクラスの運営施設数を誇ります。また、サービスエリア4施設、諏訪湖SA上、梓川SA上、姨捨SA上・下や、蓼科高原でゴルフ場やキャンプ場などを運営しています。

不動産事業は、国内トップクラスとなる標高1,200メートルから1,800メートルに位置する蓼科・原村エリアで949万平方メートルと広大な別荘地を開発しています。また、松本駅前の商業施設「アルピコプラザビル」や白馬村の白馬八方バスターミナルなど、長野県内各地に不動産を保有し、賃貸しています。

多様な事業展開

当社グループは、安定成長を続ける流通事業を基幹とし、訪日外国人観光客の増加に伴い、今後も成長が期待できる観光事業と運輸事業により、バランスの取れた事業ポートフォリオで事業を展開しています。

スライドのグラフは、横軸に各事業の営業収益構成⽐を、縦軸に報告セグメントベースの営業利益率、バルーンの⼤きさで営業利益の規模を示しています。

営業収益構成比は流通事業が最も大きく、全体の約80パーセント近くを占めています。営業利益率は不動産・運輸事業が比較的高く、流通事業は低いものの、グループ全体の収益を安定的に支えています。

(ご参考)最近の新規事業

最近の新規事業についてご説明します。当社グループでは、保有資産を活用した新規事業の開発を進めています。

1つ目は、「蓼科高原キャンプ場」です。蓼科高原の遊休地を活用して新たに開発されたキャンプ場で、2023年7月にオープンしました。自然環境を活かし、アウトドア需要に対応しています。

2つ目は、「アルピコドローンアカデミー」です。2024年1月に開校し、松本駅前の商業施設「アルピコプラザ」を改装して屋内訓練場として活用しています。

3つ目は、「MATSUMOTO GAKU都 BREWING」です。ホテル「ブエナビスタ」の地下1階を一部改装してクラフトビール醸造所を設置、醸造をはじめ、2024年7月より販売を開始しました。

(ご参考)最近の新規事業

4つ目は、新スマート物流のドローン物流です。長野県全域への拡大を目指し、地域課題の解決と地域経済の活性化を目的とし、セイノーラストワンマイル、エアロネクスト及びエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYと業務提携を行い、2025年1月31日より協働で事業化を推進しています。

5つ目は、eスポーツ事業です。長野県内における大規模eスポーツイベントの共同企画などによる新たな地域活性化を目指し、2025年2月26日にRe.road社と業務提携契約を締結しました。

2026年3月期 第2四半期(中間期)P/L(連結)

連結損益計算書です。営業収益は前年同期比103.5パーセントの541億700万円となりました。

セグメント別では、流通事業が前年同期比102.2パーセントの391億9,200万円、運輸事業が前年同期比109.0パーセントの71億3,900万円、観光事業が前年同期比106.4パーセントの68億2,000万円、不動産事業が前年同期比94.9パーセントの6億5,300万円、その他サービス事業が前年同期比101.3パーセントの3億100万円となっています。

運輸業等営業費及び売上原価は、前年同期比102.6パーセントの368億8,300万円、販売費及び一般管理費は前年同期比104.0パーセントの144億6,600万円となりました。

結果として、営業利益は前年同期比113.8パーセントの27億5,700万円、経常利益は前年同期比114.9パーセントの25億7,300万円、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比98.3パーセントの16億2,300万円となりました。

全体として、流通・観光・運輸事業の増収がグループ業績を牽引しています。

エグゼクティブ・サマリー:2026年3月期第2四半期総括と下半期の⾒通し

ここからは、2026年3月期第2四半期の総括と下半期の見通しについてご説明します。

エグゼクティブ・サマリーです。2026年3月期第2四半期の営業収益は前年同期比103.5パーセントの541億700万円となりました。営業利益は前年同期比113.8パーセントの27億5,700万円、経常利益は前年同期比114.9パーセントの25億7,300万円です。

当中間期は、不動産事業が減収となった一方で、流通、運輸、観光、その他のサービス事業では、顧客数の増加や運賃・商品価格の改定により、営業収益は前年同期比で増収となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費や電気料などのコスト増があったものの、概ね計画どおり推移し、営業利益・経常利益はいずれも前年同期比で増益となりました。

なお、営業収益・営業利益・経常利益は、いずれも中間期の過去最⾼を達成しています。

一方で、親会社株主に帰属する中間純利益は、前期までで繰越欠損金が解消したことにより税金費用が増加し、前年同期比で減益となりました。

下半期については、第2四半期までの業績動向を踏まえ、概ね計画どおりに推移する見込みです。

通期業績予想については、第2四半期の実績差異を反映するかたちで第2四半期決算発表と同時に修正を開示しています。

また、主なトピックスとして流通事業では、「デリシア川中島店」が2025年10月9日に新規オープンしました。

運輸事業では、2025年10月16日に軽井沢営業所を新車6台で開所し、11月にジャンボタクシーを1台増車する予定です。

観光事業では、2026年春に下諏訪町で複合施設「SUWA Cominal(スワコミナル:仮称)」の開業を予定しており、2025年9月に起工式を実施しました。

四半期業績推移(連結)

四半期業績の推移についてご説明します。営業利益・経常利益は、運輸・観光事業が寄与し、第2四半期の比重が高い傾向が続いています。

事業セグメント別営業収益、営業利益(連結)構成比

事業セグメント別の営業収益・営業利益の構成比についてご説明します。第2四半期累計期間の営業収益の構成比は、流通事業が72パーセント、運輸事業が13パーセント、観光事業が13パーセント、不動産事業とその他サービス事業がそれぞれ1パーセントと、流通事業が最も大きな割合を占めています。

第2四半期累計期間の営業利益は、流通事業が33パーセント、運輸事業が42パーセント、観光事業が22パーセント、不動産事業が3パーセントと、運輸事業が流通事業を上回りました。例年同様、観光シーズンであることから運輸・観光事業の⽐率が⾼くなっています。

流通事業:四半期業績推移

流通事業の四半期業績推移です。中間期の営業収益は前年同期比2.2パーセント増の391億9,600万円、営業利益は前年同期比6.1パーセント増の10億100万円となりました。

営業収益が増加した要因に、商品単価上昇による増収が挙げられます。一方で、仕入原価の上昇をすべて転嫁することは難しく、売上総利益を圧迫しましたが、人件費の増加分をカバーし、営業利益は増益を確保しました。

スライドの四半期推移のグラフをご覧ください。第2四半期は概ね堅調に推移しており、季節要因の影響はなく安定した収益構造を維持しています。

<参考資料>流通事業 スーパーマーケット 月別売上高の前年対比

スライドのグラフは、スーパーマーケットの対前年月別売上高です。米価上昇の影響もあり、一品単価は概ね103パーセントで推移しました。

第2四半期の売上高伸長率は約102パーセントと堅調に推移しています。

運輸事業:四半期業績推移

運輸事業の四半期業績推移です。中間期の営業収益は前年同期比9.2パーセント増の71億8,100万円、営業利益は前年同期比31.5パーセント増の12億7,000万円となりました。

運輸事業の業績は天候等に左右されやすいものの、観光需要の回復や概ね天候に恵まれたこともあり、増収となりました。

また、季節要因の追い風がある中で、バス事業の⼀部路線での値上げや鉄道事業での物品販売収⼊等もあり、営業利益は⼤幅増益となっています。

四半期推移についても、スライドのグラフにあるとおり営業収益・営業利益ともに好調に推移しています。

運輸事業:観光関連の路線バス(夏期:上⾼地など)

4月から9月の夏期期間における観光関連の路線バス需要についてご説明します。スライド右端の棒グラフをご覧ください。上高地・乗鞍・白骨エリアの路線バス需要は、前年比約110パーセントと大幅に増加しました。概ね天候に恵まれたことに加え、インバウンド観光客の増加も寄与しています。

観光事業:四半期業績推移

観光事業の四半期業績推移です。中間期の営業収益は前年同期比6.4パーセント増の68億3,200万円、営業利益は前年同期比20.7パーセント増の6億8,700万円となりました。

7月から9月の第2四半期期間中概ね天候に恵まれたことに加え、ホテル・旅館事業の増収、サービスエリア事業での客単価上昇と旅⾏事業での取扱件数増が増収に寄与しました。

また、ホテル・旅館事業での稼働率と単価上昇、利益率の⾼い旅⾏事業の増収等により、営業利益は増益となりました。

四半期推移としては、スライドのグラフのとおり、例年どおり堅調に推移しています。

<参考資料>観光事業 ホテルの施設別稼働率と単価の推移

ホテルの施設別稼働率と単価の推移です。「ブエナビスタ」は稼働、単価ともに前年を上回りました。早期の団体予約受注が下支えし、単価の上昇につながりました。

「アルピコプラザ」「エースイン」は、⾼単価を維持し売上を最⼤化する販売戦略により⼀部の⽉で稼働が前年を下回ったものの、売上は好調に推移しています。

全体として、客室稼働率は好調に推移しています。

<参考資料>観光事業 旅館の施設別稼働率と単価の推移

旅館の施設別稼働率と単価の推移です。「翔峰」は、個人客は概ね堅調に推移しました。団体客は単価を重視する方針で運営し、売上は前年を上回りました。

「朱白」は2025年5月1日にリニューアルオープンし、客室の改装による高付加価値化により客単価が大幅に向上しました。

「ルミエスタ」は、2025年6月に上高地エリアの通行止めなどの影響がありましたが、全体では稼働・単価ともに堅調に推移しました。

「朱白」「ルミエスタ」は休館の影響もありましたが、全体として客室稼働率は堅調に推移しています。

不動産事業:四半期業績推移

不動産事業の四半期業績推移です。中間期の営業収益は前年同期比マイナス4.6パーセントの7億4,600万円、営業利益は前年同期比マイナス27.3パーセントの9,400万円となりました。

前期にあった別荘分譲地の区画販売の反動により減収減益となったものの、スライドのグラフのとおり、第2四半期期間中の営業収益・利益水準は前期並みでした。

2026年3月期 第2四半期決算 B/S(連結)

連結貸借対照表についてご説明します。総資産は593億5,000万円、前期末比10億300万円の増加となりました。

流動資産は、売掛金の増加等により増加し152億9,300万円となりました。固定資産は440億5,600万円です。

流動負債は借入金の返済により減少し187億6,500万円、固定負債は借換えによる借入金の増加により248億3,900万円となりました。

純資産は配当金の支払いがあったものの中間純利益の計上により利益剰余金が増加し、157億4,500万円となりました。

2026年3月期 ⾒通し(連結)

2026年3月期の通期見通しについてご説明します。

当社は、2025年11月12日に通期業績予想の修正を公表しました。営業収益は前回予想比1.9パーセント増、前年同期比3.5パーセント増の1,075億円としています。

営業利益は前回予想比16.1パーセント増、前年同期比5.5パーセント増の36億円、経常利益は前回予想比23.1パーセント増、前年同期比4.6パーセント増の32億円です。親会社株主に帰属する当期純利益は前回予想比20.0パーセント増、前年同期比21.5パーセント減の18億円に修正しています。

今回の業績予想の修正は、下期の営業収益が現時点で概ね計画どおりに推移する見込みであり、第2四半期累計期間の業績予想との差異を通期業績予想に反映したことによるものです。

販売費及び一般管理費は、人件費や電気料の増加があるものの、概ね計画どおりに推移する見込みです。

営業収益、営業利益及び経常利益はいずれも過去最高を見込んでいます。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、繰越欠損金の解消に伴う税金費用の増加などの影響により、前年同期比で減益を見込んでいます。

今期の主要施策

今期の主要施策としては、流通事業では新フォーマットの「デリシアミールズ」の新規出店及び店舗改装を計画しています。運輸事業では観光路線バスの強化を、観光事業では施設改装による高付加価値化を進めます。

流通事業の成⻑戦略

今期の成長戦略としては、流通事業では中食需要の拡大に対応するため、総菜強化型店舗の新規出店や改装を進めます。また、移動スーパーやネットスーパーを通じて、さらなる販売チャネルの開拓に取り組んでいきます。

運輸事業の成⻑戦略

運輸事業ではさらなるインバウンドの増加が期待される、上高地・白馬エリアを中心とした観光路線バスの強化を推進し、タクシー事業では、軽井沢エリアにおいて2025年10月に新車6両で営業所を開所し、11月にはジャンボタクシー1両を増車する計画です。

スライド右側に写真を掲載していますが、2025年7月から松本・諏訪エリアで「Uberアプリ」による配車サービスを開始し、利便性の高い移動手段の提供を進めています。

観光事業の成⻑戦略

観光事業では、ホテルや旅館の客室の改装による高付加価値化を進め、客単価の上昇を狙います。

株主還元について

当社は、グループ全体の経営基盤の強化、企業価値の向上を図ることで財務体質を強化し、株主のみなさまに対して安定した配当を維持し、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。2026年3月期の期末配当金は、普通株式1株当たり5.00円を予定しています。

⻑期ビジョン概要(2035)

2035年に向けた当社の長期ビジョンについてご説明します。

当社は「楽しさ・ときめき」を創出し、地域価値を高めることで持続可能な地域の発展に貢献する企業グループを目指しています。従業員が誇りを持って活き活きと働ける環境を提供し、お客さまには高品質なサービスや商品を提供します。また、地域社会との連携を深め、お取引先とは相互利益を追求する強固なパートナーシップを築きます。

長期的な企業価値の向上を目指し、これらの取り組みを進めていきます。

⻑期ビジョン概要:2035年までの方向性

2035年までの方向性についてご説明します。

当社グループは、生活インフラ提供と観光振興を通じて地域価値の向上を図り、「楽しさ・ときめき」を創出しながら地域と共に成長していくことを目指します。

中期経営計画(2025-2027)概要

こちらのスライドでは、中期経営計画についてご説明します。

2027年までの中期経営計画では、グループ総合力を発揮し、新たな事業価値を創造する企業グループを目指します。生活インフラや観光インフラを基盤に、付加価値の高いサービスを提供し、活力ある信州をリードしていきます。

また、環境に配慮した活動を積極的に実践し、持続可能な社会実現に貢献することを重要な方針として掲げています。

中期経営計画(2025-2027)の骨子:3つの基本方針

中期経営計画の骨子についてご説明します。

2035年に向けた持続可能な成長を目指し、以下の3つの基本方針を設けています。

1つ目は「大胆な成長戦略」です。既存事業の成長に加え、M&Aの推進や新規事業創出によって成長を加速します。

2つ目は「変化に立ち向かう柔軟な構造改革」です。変化の激しいビジネス環境に適応できる柔軟な組織を築きます。

3つ目は「地域の未来を創るサステナビリティ経営」です。人材への投資を強化し、地域に貢献する持続可能な社会を実現します。

連結業績推移(計画)

こちらは、中期経営計画期間及び長期ビジョンの最終年度に向けた業績のイメージを示したスライドです。

既存事業の拡大と同時に、中長期的な課題へ対応した新しい事業戦略を遂行するため、2035年を見据えた成長戦略の基盤を築く施策を着実に推進します。

私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。

質疑応答(要旨)①

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