【QAあり】トーカロ、売上高・経常利益ともに上期で過去最高 溶射加工は半導体・FPDと産業機械が堅調に推移
本日の内容

小林和也氏(以下、小林):みなさま、こんにちは。代表取締役社長執行役員の小林です。本日はご多用の中、トーカロ株式会社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。リアル参加とライブ中継を合わせて、80名近いみなさまにご参加いただいています。どうぞよろしくお願いします。
本日ご説明するのは、スライドに記載の4項目です。
第2四半期(上期)連結決算 ハイライト

2026年3月期上期の決算概要をご説明します。スライドのグラフは半期ベースの実績推移で、左側が売上高と営業利益率、右側が経常利益と経常利益率を示しています。
2026年3月期上期の実績は、売上高が約283億円、経常利益が約67億円、経常利益率が23.9パーセントとなりました。売上高と経常利益はともに期初予想を上回り、上期実績としては過去最高を更新しています。
2026年3月期 第2四半期(上期)連結決算の概要

こちらのスライドでは、参考として、売上高および各段階利益の前期上期との比較表を示しています。
2026年3月期 第2四半期(上期)売上高(分野別)

分野別の売上高についてご説明します。最大セグメントの溶射加工(単体)は、半導体・FPD分野と産業機械分野が堅調に推移し、前年同期比で3.3パーセント増となりました。
その他表面処理加工は、農業機械部品向けで顧客の在庫調整が長引いた影響により、減収となりました。一方で、海外子会社は半導体および鉄鋼関連を中心に好調に推移し、前年同期比45.2パーセント増となりました。
前年同期比 経常利益 増減要因分析

経常利益の前年同期比増減分析です。2026年3月期上期の経常利益は67億5,600万円で、前年同期比で12億3,500万円増加しました。主な増加要因は、売上の増加と変動費率の低下です。一方で、減少要因としては、人件費の増加や為替の影響が挙げられます。
なお、その他の項目には、経済産業省からご支援いただいた賃上げ補助金2億8,300万円が含まれています。
第2四半期(上期)連結決算 セグメント別

セグメント別の売上・利益について、前年同期との比較です。溶射加工(単体)は、半導体・FPD分野と産業機械分野が堅調に推移し増収となりましたが、人件費や償却費の増加により減益となりました。
国内子会社は、昨年8月から連結子会社となった寺田工作所の業績が加わったものの、日本コーティングセンターが自動車関連の伸び悩みから減収減益となり、トータルで増収減益となりました。
第2四半期(上期)連結決算 セグメント別

海外子会社は、半導体関連や鉄鋼関連が順調に推移したことで、増収増益となりました。
その他表面処理加工は、顧客の在庫調整により農業機械部品向けの受注が減少し、減収減益となりました。
セグメント情報

こちらのスライドでは、参考として、各セグメントの売上・利益の前期上期との比較表を示しています。
財政状態

2026年3月期第2四半期末の財政状況です。総資産は約843億円、自己資本は約626億円となりました。自己資本比率は、利益剰余金の積み上げにより前期末比で0.1ポイント上昇し、74.3パーセントとなっています。
有利子負債は、新規借入がなかったため前期末比で約6億円減少し、約31億円となりました。
キャッシュ・フローの状況

2026年3月期上期のキャッシュ・フローの状況です。営業キャッシュ・フローはプラス44億円ほど、投資キャッシュ・フローはマイナス27億円ほど、フリーキャッシュ・フローはプラス17億円ほどと、健全な状況にあります。
財務キャッシュ・フローは配当および借入返済によりマイナス30億円ほどとなり、その結果、当期のキャッシュ残高は約161億円となりました。
売上高と経常利益の見通し【2025年5月9日発表の業績予想から修正なし】

2026年3月期の連結業績予想についてご説明します。2025年5月9日に発表した業績予想から修正はなく、売上高が570億円、経常利益が130億円、経常利益率が22.8パーセントとなっています。
売上高は半導体分野が牽引し、過去最高を更新する見通しです。経常利益も増収に伴い、過去最高益を更新する見通しとなっています。
親会社株主に帰属する当期純利益とROEの見通し

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比3.5パーセント増の約83億円となり、ROEは13.3パーセントとほぼ横ばいで推移する見通しです。
2026年3月期 連結業績予想

2026年3月期のセグメント別の連結業績予想は、スライドに記載のとおりです。
2026年3月期 第2四半期(上期)進捗率

通期業績予想に対する上期実績の進捗率についてです。売上高の上期進捗率は49.7パーセント、経常利益の上期進捗率は52.0パーセントとなりました。
半導体・FPD分野の売上推移

半導体・FPD分野の売上推移です。2026年3月期の予想は約251億円で、その内訳は半導体が約235億円、FPDが約15億円です。
この通期予想に対し、上期の売上実績は約119億円で、進捗率は47.6パーセントとなっています。引き続き、今後の半導体市場の動向を注視していきます。
半導体・FPD分野以外の売上推移

半導体・FPD分野以外の売上推移です。当期の予想は約316億円で、前期の約299億円から5.7パーセントの増加を見込んでいます。
この通期予想に対し、上期の売上実績は約162億円で、進捗率は51.4パーセントとなりました。子会社が順調に成長しています。
設備投資額と減価償却費

設備投資額と減価償却費の推移です。2026年3月期の設備投資予定額は90億円で、上期実績は約51億円、進捗率は57.0パーセントとなりました。
主な投資実績としては、東京工場、神戸工場、北九州工場の建設費用38億円、海外子会社への投資7億円などがあります。
研究開発費

研究開発費の推移です。2026年3月期の研究開発費は17億円、売上高比率は3.0パーセントを見込んでいます。
この通期予想に対し、上期実績は7億8,000万円で、進捗率は45.9パーセントとなっています。
2026年3月期 下期予想

2026年3月期下期の予想についてご説明します。スライドのグラフは、半期ごとの売上高と経常利益の推移を3期分示したものです。
2026年3月期下期は、当期上期と比較して増収減益を予想しています。第2四半期で調整があった半導体関連の受注は回復基調にあり、産業機械や海外子会社も引き続き堅調に推移すると予想しています。
ただし、当社の半導体関連の売上は、受注に対して遅れて回復する傾向があるため、下期の半導体売上と利益については保守的に捉えています。よって、業績のさらなる上積みを十分に期待できると考えています。
今後の情報収集に基づき、見直しが必要と判断した場合には速やかに開示します。
1株当たり配当額と配当性向の推移

配当額と配当性向の推移です。当期の中間配当は直近予想から3円増額し、37円としました。2026年3月期の年間配当は、現在の業績予想に基づき配当性向を50パーセントとし、1株あたり70円を予定しています。
ROEとDOEの推移

ROEとDOEの推移です。2026年3月期は、ROE13.3パーセント、DOE6.7パーセントとなる見込みです。
中期経営計画(売上高)の進捗状況

中期経営計画の進捗状況をご説明します。2026年3月期は、5ヶ年計画の最終年度にあたります。売上高は、目標としていた530億円を1年前倒しで達成しました。最終年度である2026年3月期の売上高は、570億円と過去最高を更新する計画です。
次期中期計画については、2026年5月の決算説明会での公表を予定しています。
中期経営計画(経常利益)の進捗状況

経常利益の進捗状況をご説明します。こちらも、目標の120億円を1年前倒しで達成しました。最終年度にあたる2026年3月期の経常利益は、130億円と過去最高を更新する計画です。
半導体・FPD分野の生産能力強化

ここからは、トピックスを6つご紹介します。1つ目のトピックスとして、当社は半導体・FPD分野の生産能力強化を目的に、国内2拠点と海外2拠点での工場建設を進めています。
国内では、東京工場および北九州工場において新工場棟を建設しており、操業開始は2027年を予定しています。
海外では、台湾子会社である漢泰国際電子で新工場が竣工しました。アメリカでは、TOCALO USAの子会社として、TOCALO USA-Arizona LLCをアリゾナ州に設立しました。これから工場の設置を進めて、2027年の操業開始を予定しています。
一般産業分野の生産能力も強化

2つ目のトピックスは、一般産業分野についてです。名古屋工場の新工場建設に関し、昨日のリリースでお伝えしたとおり、愛知県知多市に工場用地取得の売買契約を締結しました。工場建設の目的は、航空機関連、産業機械、鉄鋼分野での受注増に備えた生産能力の拡張です。新工場の竣工および操業開始は2027年10月を予定しています。
また、昨年グループ入りした寺田工作所でも、生産能力拡大のため敷地内に新工場を建設中です。竣工は2026年4月を予定しています。さらに、2024年6月に完全子会社化したタイのTOCALO Surface Technology(Thailand)でも工場建設を進めており、2026年2月の操業開始を予定しています。
製造プロセスの高度化

3つ目のトピックスは、製造プロセスの高度化に向けた取り組みについてです。当社の機能皮膜をさらに進化させるため、高精度光加工機を導入しました。
この加工機により、1ミクロン未満の精度で微細加工が可能となります。当社独自のコーティング技術と微細加工技術を組み合わせることで、半導体分野の高精度部品への対応や精密電子部品向け金型の加工など、新たなアプリケーションの拡大を図っていきます。
次に、出張工事における溶射加工のロボット化に成功しました。従来、発電所ボイラー内では作業員が手作業で作業を行っていましたが、この工程をロボット化することで、作業員の負担が軽減されるとともに、安全な作業環境が実現できると考えています。また、均一で安定した皮膜の形成が可能となります。
今後も、さらなる技術革新と生産性向上を追求していきます。
サステナビリティ①

4つ目のトピックスは、環境負荷低減への取り組みについてです。非連結会社も含めたグループ会社全体で、温室効果ガス排出量(Scope1・2・3)の算出を完了しました。これに基づき、2024年度のグループ全体での排出量を開示しています。
トーカロ単体では、温室効果ガス排出量、水使用量、産業廃棄物排出量について、透明性と信頼性の確保を目的に第三者検証を取得しました。各事業所では、廃プラスチックのリサイクル、半導体研磨工程における廃油の削減、水の再利用など、環境負荷低減に向けた取り組みを継続的に推進しています。
詳しくは弊社コーポレートサイトに掲載していますので、ぜひご覧ください。
サステナビリティ②

5つ目のトピックスは、認証取得についてです。名古屋工場では、情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001:2022」の認証を取得しました。この認証は、航空宇宙産業用部品の表面処理に関するものです。この認証取得により、航空機分野の受注拡大に一層注力していきます。
また、10月には、従業員の仕事と子育ての両立を支援する企業として、厚生労働大臣から「くるみん」認定の上位にあたる「プラチナくるみん」認定を取得しました。
今後も持続的な成長を目指し、環境、ガバナンス、人的資本経営、社会貢献をはじめとするESGへの取り組みを継続していきます。
統合報告書2025発行

6つ目のトピックスは、8月末に発行した「統合報告書2025」についてです。今回は、トーカロの社是である「グッド・サービス」の説明や、私をはじめ、各役員からのメッセージを掲載しているほか、各部門の本部長による座談会や従業員のコメントなど、さまざまな視点から当社の拠り所となる考え方をご紹介しています。ぜひご覧ください。
ご説明は以上です。ご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:アリゾナ新会社設立に期待するメリットについて
質問者:アリゾナでの新会社設立は、場所の特性からリコート需要の取り込みが期待されるほか、装置メーカーの本国との強い関係性が大きな利点として挙げられると思います。北九州での体制と比較して、スピードの向上や連携強化など、具体的にどのようなメリットが見込めるのかを教えてください。
小林:アリゾナ工場の建設は、もちろんアメリカ市場への進出という意味もありますが、我々の顧客からの強い要望が背景にあり、連携を一層強化するための必然的な取り組みだと考えています。
半導体製造装置ビジネスにおける2030年から2032年頃の倍増計画に向けて、北九州工場1本では生産が足りないと考えています。北九州工場の生産を維持しながら、現地であるアメリカでの生産を向上することで、メーカーとの協調性を高めていけると考えています。
質問者:「顧客からの要望」とは「装置メーカーからの要望」という理解でよろしいですか?
小林:そのとおりです。
質疑応答:海外での人材育成や中途採用について
質問者:2020年前後に半導体業界の米中デカップリングが始まり、約5年が経過しました。その中で、御社は米国への展開を強化する体制が整ったものと見受けられます。海外人員の人材教育プログラムや、そこで育った人材あるいは中途採用をどの程度行ってきたか、また今後の中途採用のご予定について教えてください。
小林:正直なところ、まだ完全に揃ったわけではありません。ただし、3年前から社内で「グローバルチャレンジ」という制度を導入し、海外人員の育成に取り組んできました。我々としては、アメリカの子会社TCAで得た経験をいかに引き継ぐかを検討しつつ、すでに派遣する人材を決定し、現地への派遣を開始しています。
現地従業員の採用はまだ行っていませんが、当社内で進めている人材育成については順次進行している状況です。
質疑応答:アメリカでの展開におけるロイヤリティの方針について
質問者:海外案件はロイヤリティで対応するとのことでしたが、アメリカにおける展開でもロイヤリティの問題があると思います。
こちらが今回の案件とバッティングするのか、それとも今回の案件は半導体に特化しているため、既存のロイヤリティ対象先とのバッティングはあまり生じないのか、あるいは生じた場合にはどのように対応されるのか、そのあたりのご方針についてお聞かせください。
小林:既存企業とのバッティングについては、現時点でほとんどありません。IP(知財)できちんと区分けしているため、それによるバッティングは生じません。
質疑応答:名古屋工場における新棟建設の趣旨について
質問者:名古屋工場の新棟建設が発表されました。航空機や鉄鋼の分野においては、過去に明石播磨工場で大型案件に対応するための取り組みがありましたが、名古屋では5年から8年ほど前に拡充が行われたと記憶しています。
ただ、その後はあまり詳細をお聞きする機会がありませんでした。先ほど航空機関連で認証のお話も出ていましたが、今回の新工場棟は航空機がターゲットであると認識してよいのでしょうか?
また、仮にそうだった場合、防衛予算の拡大といった要素となにかリンクしているのか、それとも民間用途をターゲットとしているのか、名古屋工場における新棟建設の趣旨を教えてください。
小林:約7年前から、既存の取引先との関係がかなり深まりました。このたび、民間航空機メーカーのS社に別の企業を加えるかたちで、取引が倍増するような計画が立ち上がっています。これにより、民間航空機の需要拡大に対応するとともに、今後のビジネス拡大を目指しています。
質疑応答:市場流動性向上に対する考え方について
質問者:今回は過去最高の売上・利益を達成され、中期経営計画の進捗もすばらしい結果であったにもかかわらず、株価が急落しています。
半導体製造関連メーカーの影響を受けたのかと思いましたが、御社は決して過度に割高というわけではありません。東京エレクトロン、レーザーテック、アドバンテストなどのEBITDAと比べても、御社はそれらの3分の1程度にとどまっており、決して高い評価ではないように見えます。
その上で株主構成を調べたところ、市場流動性が低い点に要因があるのではないかと考えました。東洋経済オンラインの記事によると、彼らは独自の計算をしているものの「浮動株比率が7.3パーセントに過ぎない」と記載されています。
理想的な外国人機関投資家比率を擁しながらも株価が下落したのは、今回の決算で下期の見通しが慎重になったこともあり、市場コンセンサスに届かなかったためではないかと推測しています。しかし、市場流動性がもっと高ければ、ここまで株価が下がることはなかったのではないでしょうか。
そこで、市場流動性を向上させるためにあるべき株主構成や資本政策について、また新しい中期経営計画や今後を見据えた資本構成、個人投資家比率の在り方についてなど、マーケットアビリティに関した今後の方針があれば教えていただけますでしょうか?
後藤浩志氏:株主構成に関することですので、取締役専務執行役員管理本部長の後藤からお答えします。確かに、市場流動性が低いというご指摘はそのとおりで、当社の日々の出来高が少なかった時期もありました。しかしながら、ここ1年ほどで出来高はかなり増加してきたと考えています。
今回の株価の急変動については、ご指摘のとおり、市場コンセンサスが非常に高い水準で形成されていた一方で、当社が今期の年間見通しを据え置いたことで、上期の良好なパフォーマンスが差し引かれ、下期については「弱気」と捉えられた結果ではないかと考えています。
株主構成については、個人投資家が3割程度、海外の投資家が3割程度、残りは国内の機関投資家となり、一定のバランスが取れている状況かと思います。今後もさらに個人投資家に支持される取り組みを継続しますが、株主数も順調に拡大してきているため、これまでの活動を引き続き進めていきたいと考えています。
さらに、株価が今後ますます上昇する場合には、過去にも実施しているように、株式の分割などを検討していく予定です。
質問者:株主構成比率で3割が個人投資家という点は理解しましたが、株式稼働率が大事だと思います。株式を保持したまま動かさないのではなく、頻繁に売買が行われることで株価の構成や形成に影響が出ると思いますので、引き続きその方針で進めていただければと考えています。
質疑応答:生産能力拡大について
質問者:小林社長が決算説明会に初登壇されてから、ちょうど2年目にあたるかと思います。初登壇時は、半導体市況が調整局面にありました。その後半年ほどで市況が回復した際に、小林社長からは「生産能力をいかに増やすか」「トーカロとしてさらに自動化を進める必要がある」といったお話をされたと記憶しています。
本日の資料の29ページと30ページに、この1年間で発表された生産能力に関する資料が掲載されています。この資料に基づくと、当面の生産能力の拡張は一段落したと考えてよいのか、それともさらに拡張が必要と考えているのかについて教えていただけますか?
また、今回発表された生産能力強化についての内容は、主にハード面での生産能力の拡大に関するものです。先ほども少しお話がありましたが、これに関連してソフト面、特に人材に関する取り組みや、これから搬入される設備に関してお話しいただけることがあればお聞かせください。
こちらに付随して、小林社長が以前言及されていた「自動化率」についてもお聞きしたいです。例えば、今回新設される工場に導入する設備の自動化率が、従来と比較してどの程度向上し、それにより必要となる人員がどれだけ削減可能かなど、具体的なイメージを共有していただけると、稼働後の新工場が生む生産性の向上について理解が深まります。
小林社長のご専門分野でもあると思いますので、可能な範囲で詳細をお聞かせいただければ幸いです。
小林:当社では、一昨年から工場の改装や改築・増築を随時進めており、現時点で2027年計画に沿った30パーセント増産対応が可能な工場の準備が整っています。
しかし現在、装置メーカーを取り巻く状況としては、2030年目標から2032年に2年先送りされた雰囲気はありますが、現行の200パーセント増産を目指す計画があります。これを受け、日本の多くのメーカーが大規模な工場建設を進めています。
当社も2032年に向けて準備を進めており、計画が2年先送りされようとも、200パーセントの生産体制を整えなければならないと考えています。東京工場については現行と同等の製造キャパシティを持つ工場を立ち上げる計画を進めています。
詳細についてはお話ししにくい部分もありますが、生産性を向上させた生産設備の認定を次々と受けています。現在の半導体業界では「Copy Exactly(CE)」や「Change Control(CC)」などが基本となっており、現行設備の生産方法を変更することに相当な難しさが伴っています。
実際に生産体制を変えるには、じっくりと慎重に進めなければならず、「生産性が向上する」という言葉だけでは決して変えることができません。しかし、現在では実際に製品を試作し、認定を受けたシステムが次々に登場しており、それを導入することで現時点で生産効率がおおよそ30パーセント向上しています。
ただし、当社のコーティング部門では30パーセント向上しているものの、パッキングやハンドリングなど他の工程には時間がかかるため、全体としては生産効率が10パーセント程度の向上にとどまるかもしれません。それでも、設備自体の生産効率は30パーセント向上しているため、容積が小さくても現行と同程度のキャパシティを確保できる体制に変わりつつあります。
なお、北九州工場でも同様に新しいシステムを導入しており、生産性を50パーセントから60パーセント向上させる設備もある一方で、30パーセントの向上にとどまるシステムも今後導入予定です。これらを活用し、生産キャパシティをさらに向上させていきます。
途中で触れた「新工場棟の中に入れる装置」についてですが、生産キャパシティが来年度どうなるかというお客さまのフォーキャストに基づいて、投資を進めていきます。また、3年後の見通しが提示された状況を見据えながら、設備を導入・調整していく方針です。
要求キャパシティに対して30パーセントから40パーセントほどの余裕を持ちつつ、事前に練った計画を随時調整しながら進めていきます。まずは建物、すなわち器を作り、今の生産キャパシティを30パーセント増強する程度の投資を行い、その後の需要予測に応じて随時対応していく計画です。
質疑応答:中期経営計画の方向性について
質問者:来年春に新しい中期経営計画が発表されるということで、非常に期待しています。細かい数字は春の発表を楽しみにしていますが、方向性として、次期中期経営計画のアピールポイントがあればお聞かせください。
例えば「量から質への転換」「さらなる量の追求」あるいは「収益性の追求」など、イメージが湧くようなお話をいただけると非常に助かります。
小林:当社は、経産省の賃上げ補助金に応募し、計画上は単体で600億円、トータルで800億円といった目標を掲げています。現段階では今年度の売上高570億円を目指し、さらに5年後に800億円で十分なのか、900億円を目指すべきかを検討しています。そのため、現行の目標値に加えてプラスアルファの数字を織り込みながら、計画を進めようと努力しています。
具体的な目標としては、賃上げ4パーセント、成長率7パーセントを達成することを約束していますが、それ以上を目指して中期経営計画を策定しているところです。その詳細については、来年あらためて発表する予定です。
例として挙げられた「量か質か」で言えば、質を高める方針を優先しており、単に量を増やして売上高を伸ばしていくのではなく、現在評価されている利益率の高さをどのように維持するかを重視しています。この目標を踏まえながら、全社員で計画数値の実現に向けて取り組んでいます。
新着ログ
「金属製品」のログ





