【QA あり】日清オイリオグループ、国内油脂の立て直しと、チョコレート用油脂等の期初想定どおりの着地により利益計画の達成を図る
2025年度第2四半期(中間期)決算 および 2025年度(通期)業績予想 サマリー

三木浩嗣氏:財務部長の三木です。私から、2025年度第2四半期の決算概要および2025年度業績予想についてご説明します。はじめに、2025年度第2四半期決算および2025年度業績予想のサマリーです。
2025年度第2四半期の決算ポイントについてです。
1つ目は、グローバル油脂・加工油脂です。販売数量の増加およびパーム油相場上昇を背景に販売単価が上昇したことにより増収となりました。しかし、利益単価の低下に加え、パーム油取引の時価評価の影響もあり減益となっています。
2つ目は、油脂・油糧についてです。ホームユースでの販売数量の減少やミールの販売単価低下の影響により減収となりました。利益面でも、油脂コストの上昇や価格改定の遅れによる利益単価の低下、さらに販管費の増加も重なり、減益となりました。
3つ目は、加工食品・素材です。主にチョコレートの販売単価上昇により、増収増益となりました。
2025年度業績予想についてご説明します。今般、連結売上高を5,400億円、連結営業利益を150億円に業績予想を修正しました。連結売上高については、グローバル油脂・加工油脂の販売数量増加および販売単価上昇、さらにチョコレートの販売単価上昇により、前期比で増収を見込んでいます。
連結営業利益については、国内油脂およびチョコレートの利益単価低下の影響により減益となっています。具体的には、グローバル油脂・加工油脂において、チョコレート用油脂の利益単価向上および販売数量増加により、増益を計画しています。
一方、国内油脂では販売数量の減少、油脂コスト上昇、販管費増加などにより減益を見込んでいます。加工食品・素材に関しても、チョコレートの販売数量減少や原価上昇が要因となり、減益を見込んでいます。
2025年度第2四半期(中間期) 決算概要

2025年度第2四半期の決算概要を資料に沿ってご説明します。2025年度第2四半期における連結業績は、売上高が2,699億円、営業利益が69億円、経常利益が59億円、親会社株主に帰属する中間純利益が185億円となりました。
売上高は前年同期比で増収となりましたが、営業利益と経常利益は前年同期比で減益となりました。なお、親会社株主に帰属する中間純利益は、第1四半期に計上した固定資産譲渡による特別利益の影響で増益となっています。
2025年度第2四半期(中間期) セグメント別実績(売上高・営業利益)

スライドに、セグメント別の実績を記載しています。売上高について、油脂・油糧で減収となったものの、グローバル油脂・加工油脂、加工食品・素材、ファインケミカルで増収となり、連結全体では増収となりました。
営業利益については、グローバル油脂・加工油脂、油脂・油糧で減益となりました。特に油脂・油糧の影響が大きく、連結全体でも減益となりました。
2025年度第2四半期(中間期) セグメント別 営業利益増減

セグメントごとの営業利益の増減要因についてご説明します。
グローバル油脂・加工油脂についてです。ISFにおいては、パーム油相場の上昇に伴い、原料代が増加しました。その中で販売単価も上昇しましたが、前年同期に一過性の高マージンでの販売があったため、結果的に前年同期比で利益単価が低下しました。また、パーム油取引に係る時価評価の影響もあり、減益となりました。
ISF ItalyやISF 上海などを合わせた結果、営業利益は全体で24億円から14億円となりました。
2025年度第2四半期(中間期) セグメント別 営業利益増減

油脂・油糧についてご説明します。コスト要因についてです。原料代、為替、ミール販売を合わせた大豆にかかるコストは減少しましたが、菜種のコストは増加しました。その他商品のコストや製造費を含めた結果、全体では37億5,000万円のコスト増加となっています。
販売面においては、販売単価が上昇したものの、価格改定が想定以上に難航したこともあり、増益要因は17億円にとどまりました。また、数量は家庭用を中心に減少しました。
販管費・その他の費用が増加したこともあり、加工油脂では増益となったものの、全体として営業利益は58億円から27億円に減少しました。
2025年度第2四半期(中間期) セグメント別 営業利益増減

加工食品・素材についてです。チョコレートでは、大東カカオによる価格改定の実現により利益単価が向上しました。機能素材・食品においては、MCTを適正価格で販売したこともあり、営業利益は13億円から20億円へと増加しました。
ファインケミカルについてです。国内では、化粧品原料の販売数量が増加しましたが、海外での製造コストの上昇により、利益は前年同期と同水準にとどまりました。
連結貸借対照表・キャッシュフロー

スライドには、連結貸借対照表とキャッシュフローを掲載しています。営業キャッシュフローは、一時的な在庫の増加による運転資本の増加などの影響によりマイナスとなっていますが、通期では改善する見込みです。
以上が、2025年度第2四半期の決算概要です。
2025年度 業績予想

2025年度業績予想についてご説明します。
2025年度の業績についてです。売上高は5,400億円、営業利益は150億円、経常利益は140億円、親会社株主に帰属する当期純利益は235億円にて見直しを行っています。ROEおよびROICの見込みについては、スライドに記載のとおりですのでご確認ください。
2025年度 セグメント別予想(売上高・営業利益)

スライドに、セグメント別の予想を記載しています。営業利益については、スライド右端に記載している8月の第1四半期決算時に開示した数値と比較してご説明します。
グローバル油脂・加工油脂は、62億円から56億円に下方修正となりました。ただし、パーム油取引に関わる時価評価の影響額の見直しが主要因であり、事業活動における利益計画に大きな変更はありません。
油脂・油糧です。下期において、価格改定の実勢価格が進む見込みではありますが、上期の落ち込み分をカバーするには至りません。また、油脂コストの上昇および数量減少が見込まれることから、100億円から53億円へと大きく下方修正しました。
加工食品・素材については、チョコレートの販売数量が減少するという見直しから下方修正しました。一方、ファインケミカルに関しては大きな変更はありません。
2025年度 セグメント別 営業利益増減

セグメントごとの営業利益の前期比増減要因についてご説明します。グローバル油脂・加工油脂です。販売数量とパーム油取引時価評価を減益要因として見込んでいますが、コスト要因および販売単価要因により、ISF(マレーシア)では増益を計画しています。
結果、ISF ItalyやISF上海なども含め、セグメント全体の営業利益は56億円を計画しています。なお、スライド右上に記載しているとおり、ISFグループにおけるチョコレート用油脂の販売数量については、前期比13パーセント増加を計画しています。
2025年度 セグメント別 営業利益増減

油脂・油糧についてご説明します。コスト要因について、オリーブオイルは原価低下による影響で、その他商品・製造費が減少すると見込んでいます。しかし、大豆・菜種のコスト増加により、全体では58億円のコスト増加を見込んでいます。
販売面では、業務用・加工用、家庭用ともに単価は上昇する見込みですが、数量については減少を見込んでいます。その結果、販管費・その他コストの増加も相まって、加工油脂の増益を含めても、油脂・加工油脂は前期比27億円の減益を見込んでいます。
全体の営業利益については、これに子会社などを含めて53億円を計画しています。
2025年度 セグメント別 営業利益増減

加工食品・素材およびファインケミカルについてご説明します。加工食品・素材については、チョコレート市場の縮小や販売価格改定による販売数量の減少に加え、原価上昇による利益単価の低下により、減益を見込んでいます。ファインケミカルについては、前期並みの計画となっています。
連結貸借対照表・キャッシュフロー

スライドに、連結貸借対照表とキャッシュフローを記載しています。2025年度の営業キャッシュフローは、現時点で200億円を計画しています。
2025年度 全社およびセグメント別ROIC

2025年度の全社およびセグメント別ROICについてご説明します。全社ROICは、4パーセントを見込んでいます。
セグメント別に見てみると、グローバル油脂・加工油脂では利益が増加する一方で、ISFグループおよび北米での投資により、ROICは一時的に低下する見込みです。
油脂・油糧および加工食品・素材は、利益減少の影響が大きく、ROICは前期比で低下し、3.2パーセントを見込んでいます。ファインケミカルセグメントは、前期から上昇し、10パーセント超のROICを計画しています。
以上で、私からの決算説明を終わります。
2025年度上期までの進捗と今後の取り組みについて

久野貴久氏(以下、久野):代表取締役社長の久野です。私から「Value UpX」の進捗と今後の取り組みについてご説明します。
まず、こちらのスライドで2025年度上期までの進捗と今後の取り組みについてご説明します。
直面している課題については、国内油脂における汎用油の価格改定が進捗していないこと、さらに汎用油、とりわけホームユースでの販売数量の減少が挙げられます。また、昨年度から引き続きオリーブオイルの収益圧迫が課題となっています。
営業キャッシュフローについては、多少季節性が伴っているものの、「Value UpX」で掲げた計画に対して立ち上がりの遅れが見られる点が挙げられます。
計画どおりに進捗している点として、ISFに関しては一部評価損による影響はあるものの、大きな懸念はなく、チョコレート用油脂の販売数量はおおむね計画どおりに進んでいるといえます。ファインケミカルについては、国内での新規採用が進み、化粧品原料の販売数量が増加しています。
これを踏まえ、2025年度の営業利益目標を150億円と設定しています。それに向けて喫緊の課題への取り組みと、さらに2028年度に向けた中期的成長に向けた取り組みについてお話しします。
喫緊の課題への取り組みとして、なによりも国内での油脂価格改定の早期完遂が重要です。あわせて、オリーブオイルの数量回復と利益率改善を両立させること、さらに経費面での取り組みが挙げられます。
足元で下方修正を行ったことを受け、時間軸を踏まえたしっかりとした配分の見直しなどを短期的に進めていく方針です。
2028年度に向けて、国内市場については、市場の変化に対応した数量の着実な回復を目指します。特にホームユースが顕著である点を重視し、それを起点とした製品ポートフォリオの見直しを進めます。これらの事業動向について、精緻な分析を行った上での対応となります。
これを踏まえ、持続的な成長につながる戦略のブラッシュアップに取り組むとともに、資本効率性の追求を引き続き目指していきます。
継続的な取り組みとしては、CBEを中心としたチョコレート用油脂の拡販による利益成長の拡大、そして化粧品原料の拡販とグローバルシェアの拡大があります。上期の実績を踏まえ、これらを予定どおり、または少しでも積み上げを進めながら取り組んでいきたいと考えています。
ISFグループの利益成長の進捗

個別に若干説明を加えたいと思います。
1つ目は、ISFグループの利益成長の進捗についてです。チョコレート用油脂の2025年度上期の進捗は、おおむね計画どおりに進んでいます。特に、CBEの販売数量も計画どおり増加している状況です。
下期の計画についてですが、計画どおり進めています。上期同様、計画に沿って販売を進めることに加え、2025年度の下期以降、順次生産能力の拡大を実現していく予定です。
このように、生産能力の拡大に合わせた販売の拡大を図ると同時に、主要顧客との取引拡大を目指し、新たな価値製品の開発に向けた共同取り組みも模索しながら進めていきます。
その結果として、チョコレート用油脂の販売数量については、2028年度において2025年度対比で数量は26パーセント、売上総利益は62パーセント増加する計画を立てています。
化粧品原料の進捗と機能性油脂/油剤の成長戦略について

化粧品原料の進捗状況と機能性油脂・油剤の成長戦略についてです。化粧品油剤の上期の進捗は、概ね計画どおり進んでいます。
この春に開設したタイ駐在事務所を拠点に、東南アジアでの販促活動を活発化しています。下期に向けては、旺盛な需要を踏まえ、注力製品の優先的な生産および価格改定を推進する予定です。
一方で、供給面で若干の制約が生じてきているため、精緻な販売計画と連動した生産計画を立案し、確実にボリュームを確保していきます。
中国のローカルメーカーとの関係強化に加え、国内および東南アジアを中心とした注力製品の販促活動を強化していきます。中国市場については、中国ローカルメーカーの著しい成長を背景に、これまでの経験や取り組みを活かしながら、拡大に向けて注力していく方針です。
これを踏まえ、2025年度と比較した2028年度の計画では、売上高を43パーセント増加させることを目指します。
機能性油脂・油剤について、一言でご説明するのは難しいものの、これらはさまざまな機能素材を植物油脂に融合した製品です。油脂の機能を超えた付加価値をユーザーのみなさまに実感いただくことを目指し、そのために最終製品に機能を付与していきます。
具体的には、調理工程の簡略化やミスの低減を実現し、ユーザーのみなさまが抱える課題を解決することを主眼に置いています。
売り方や成長に向けた戦略についてです。これまで、当社が培ってきたアウトバウンド型の営業に加え、近年力を入れているインサイドセールスを活用し、未顧客やこれまでなかなかリーチできなかったお客さまにも販路を広げていきます。
これを実現するために、昨年設立したインキュベーション機能の活用や、ユーザーサポート機能のさらなる強化を組み合わせて取り組んでいきます。
スライド右側には、この秋に上市した機能性油脂・油剤に分類される商品の具体例をご紹介していますので、後ほどご覧ください。私からは以上です。
質疑応答(要旨)①
質問者:グローバル油脂・加工油脂事業において、直近のカカオ価格が下落していますが、CBEの需要や価格に影響は出ていないのでしょうか?
久野:カカオ豆相場はピーク時から下落していますが、CBEの需要や販売価格へは事業計画を見直すほどの影響が出ている訳ではないと認識しています。カカオ豆の価格の落ち着きに伴い、直近で縮小傾向にあったチョコレート市場は回復するものと考えています。CBEの事業環境が良い期間にこそしっかりと販路の拡大と定着を図っていきたいです。
質疑応答(要旨)②
質問者:来期のCBEの販売価格および販売数量の見通しを教えてください。また、今後の生産量の方針についても教えてください。
久野:2026年度の販売価格は2025年度の平均値並みと考えておけば大きくずれることはないと思います。2027年度以降については現時点での予測は難しいですが、計画上は2026年度と同程度と想定しています。
販売数量については、2026年度は2025年度より生産量が増えるため、販売数量も増加が可能です。トレンドとしてチョコレート市場は拡大していくものと考えており、CBEの生産量についてはそれを前提に拡大していく方針に変わりはないです。
質疑応答(要旨)③
質問者:油脂・油糧事業における汎用油の価格改定の進捗と販売数量の状況を教えてください。
久野:価格改定の進捗は、想定よりも遅れています。2021年から2022年の価格改定と比較して、主要原料相場が比較的安定しており、原料需給のひっ迫感が想起されにくいことが進捗遅れの要因として考えられます。
販売数量については、ホームユースを中心に大きく減少しました。これは油脂業界に限ったことではなく、日本の市場全体が消費者の生活防衛意識の高まりの影響を受けていることが要因であると考えています。
ただし、ホームユース市場の中でクッキングオイルの需要バランスに変化が起きており、この数年間で付加価値型商品の消費は拡大しています。具体的には、大豆油・菜種油の減少が大きい一方で、オリーブオイルやごま油の定着、健康オイル市場の活性化、こめ油の増加などが挙げられます。
質疑応答(要旨)④
質問者:油脂・油糧事業の来期の見通しと、「Value UpX」で掲げる目標の軌道にどのように戻していくのか教えてください。
久野:短期的には汎用油の価格改定の実勢化とオリーブオイルの収益回復が重要です。汎用油については、実勢化した価格を定着させ、2026年度の収益回復につなげていきます。
また、オリーブオイルについては、まずは数量を回復させ、次いで利益率の改善を目指します。当社のオリーブオイル製品に対するお客さまからのご支持は強いと考えており、しっかりと進めていきます。
一方で、ホームユースのクッキングオイル製品の需要バランスの変化への対応については、あらためて足元の状況を分析した上で、製品構成のあり方をできるだけ早く再構築していきます。
また、業務用および加工用においても、お客さまのニーズを把握し、「機能性油脂/油剤」のような付加価値型製品群の価値訴求を行っていきます。
質疑応答(要旨)⑤
質問者:国内油脂の販売数量が減少する中で、生産キャパシティが業界として余剰になることはありませんか? また、このような環境の中では、製油パートナーズジャパンのような他社と協働した取り組みが重要と考えますが、今後の見通しや取り組みについて教えてください。
久野:業界全体として生産キャパシティに大幅な余剰がすぐに発生することはないでしょう。2030年までの市場環境の見通しは、人口は減少しますが1人当たりの油脂消費量が若干増加することで、総需要は大きく変化しないと想定していました。
しかし、人口減少が国の試算よりも早く進行していることの影響は出てくると思われます。このような想定の中、同業他社との非競争分野での協業の考え方については、これまでと大きく変わることはなく、できることを着実に進めていきます。
質疑応答(要旨)⑥
質問者:国内の製油事業の消費環境・コスト環境が厳しい状況にある中で、市場に合わせた経営変革の必要性についてどのように考えているかを教えてください。
久野:ご質問の点は「Value UpX」の期間の前半で決着をつけて、その先につなげていかなければならない課題であると認識しています。国内油脂の総需要は短期的には急減するものではないと考えていますが、商品群の二極化が進んでいくことが想定されます。
例えば、オリーブオイルやごま油など価値訴求をしっかりできる商品群と、安定的かつ低価格での供給が求められる商品群とで二極化が進んでいくでしょう。このような変化に対して、販売、生産、物流の仕組みや営業スタイルを作り直していく必要性が高まってきていると認識しています。十分に分析を行った上で対処していきたいです。
※質疑応答部分は、企業提供の要旨になります。
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