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山田政彦氏(以下、山田):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。株式会社ストリームメディアコーポレーション取締役経営企画部門長の山田政彦です。これより、2025年12月期第1四半期決算についてご報告します。
本日の流れはスライドの目次のとおり、1番目に2025年第1四半期の業績、2番目に第1四半期のセグメント別トピック、3番目に第2四半期以降のセグメント別トピック、そして最後に、その他報告事項についてご説明します。
2025年第1四半期の業績
2025年第1四半期の業績についてです。スライド上段に、売上高と営業利益の推移を2022年から四半期ベースで示しています。
売上高に関しては、2024年または2023年に比べると少し低くなっています。営業利益に関しても同様にスモールスタートとなっています。これらについては、後ほど詳細をご説明したいと思います。
スライド下段のセグメント別業績からもおわかりいただけるように、2025年第1四半期の売上高は21億8,000万円と、前年同期比で28.7パーセント減となっているため、スモールスタートとなっています。営業利益は4,200万円で、前年同期比81.7パーセント減となっています。
とくにエンターテインメント事業に関しては、売上高が16億2,300万円、前年同期比で約8億円の減となっています。原因としましては、主力ビジネスであるエンターテインメント事業の中で、1番の売上を占めるのがコンサートになりますが、そのコンサートの開催時期が、上半期から下半期にかなりシフトしています。
今年に関しては特別な理由もあります。SM ENTERTAINMENTグループ創立30周年ということで、SMTOWN LIVEという大きなライブを、上半期にグローバルで行っています。
したがって、アイドルやアーティストのスケジュールが、日本においては計画的に、下半期にかなりシフトしています。2024年や2023年は上半期に多くのコンサートを入れていましたが、今年は下半期にかけてコンサートの開催数が多くなるというかたちになっています。
ライツ&メディア事業の売上高は5億5,600万円と、前年同期比約10パーセント減となっています。営業利益に関しても、前年同期比約3,000万円減となっています。ライツ&メディア事業には、KNTVの放送事業と版権ビジネスのライツ事業がありますが、KNTVはどちらかというと予定どおり、もしくは予定より少し良いという状況です。
ライツ事業に関しては、作品の獲得に尽力していますが、営業的には、第1四半期は少し目標には届きませんでした。しかし、1年を通していけば、おそらく昨年同等またはそれ以上の実績になるのではないかと予測しています。
2025年第1四半期サマリー
第1四半期の業績について、もう少し具体的にご説明します。売上高は21億8,000万円で、進捗率は今年の目標である98億6,600万円に対して22.1パーセントとなっています。
昨年の第1四半期はかなり大きなスタートをしていましたが、2025年は下期偏重の計画であるため、営業利益、当期純利益に関しても同様にスモールスタートになっています。しかしながら、全体的な売上、利益に関しては昨年より少しずつ伸びているため、スモールスタートであるということは強調させていただきます。
まず、エンターテインメント事業に関しては、スライド右側に記載のとおり、第1四半期に開催されたコンサートで延べ約30万人を動員しました。動員数の内訳としては、2024年11月からスタートした、3月までに累計20万人を動員する東方神起のライブツアーで、1月から3月に開催されたコンサートに約11万人を動員しました。
そして、NCT 127というグループは約9万人、その他にもいろいろなグループが実際にコンサートを行っており、トータルで約30万人を動員しました。
第1四半期の特別な点として、コンサート以外の事業の割合が51パーセントであるということです。例年に比べて、我々がかなり戦略的に押しているコンサート以外の比率を高めることができており、コンサートを上回る比率になっています。
ライツ&メディア事業に関してはスモールスタートではありますが、ライツ事業においては、多数のアーカイブ作品を持っているため、営業を強化しています。また、新規作品の獲得にも注力しています。
エンターテインメント|主要スケジュール及び実績
セグメント別の詳細についてご説明します。まず、エンターテインメント事業についてです。先ほどもお伝えしたとおり、東方神起の日本デビュー20周年ライブコンサートで、第1四半期に約11万人を動員しました。NCT 127に関しては約9万人、SHINee-MINHOのコンサートもありました。
その他には、RIIZEのコンサートも横浜のぴあアリーナMMで開催されました。RIIZEに関しては、昨日発表がありましたが、7月から9月にかけて全国ツアーが始まります。したがって、先ほどからお伝えしていますが、上半期から下半期にかなり偏重したかたちでのコンサート展開になっています。
スライド下段に記載のとおり、aespaやNCT、NCT DREAMのPOPUPストアなど、コンサート以外のいろいろな事業展開が、この第1四半期で積極的に行われました。
エンターテインメント|第1四半期の実績及び成長戦略の進捗状況
スライドのグラフは、今年は下期偏重であることを表しています。
メインであるコンサート事業に関して、2024年第1四半期は約55万人、第2四半期までは約85万人、第3四半期までは約123万人、第4四半期までは約157万人を動員しています。昨年はどちらかというと第1、第2四半期も動員数が伸びていました。
今年は第1四半期に約30万人、第2四半期から第4四半期は、まだ具体的にはアナウンスできませんが、トータルでは昨年より10パーセント近い成長を見せるというところで、170万人の動員を予定しています。
先ほどもお伝えしましたが、所属するアーティストやアイドルのスケジュール的に、上半期はグローバルかつ親会社グループでのコンサートでしたが、下半期は日本開催を増やすことで、おそらく170万人の動員は無難に達成できるのではないかと思っています。
次に、スライド右側に記載のある、アーティストのIPビジネスの拡張についてです。コンサート以外のビジネスの割合として、2024年第1四半期は31パーセントですが、2025年第1四半期は51パーセントとなっています。中期経営計画の発表にもありましたが、今年はコンサート以外を55パーセントまで伸ばしていくことを目標としています。
したがって、コンサートの動員数は約157万人から170万人に増やしつつ、コンサート以外の比率もさらに上げていくという戦略を立てています。
我々が戦略的に掲げている強いIPを展開していくためには、コンサートは150万人から200万人といった一定数を動員し、しっかりと収益を上げていきます。そしてそれをマーケティング手段の1つと捉えます。
150万人から200万人規模のコンサートを日本で開催するということは、開催期間でいうと100日間から150日間となります。その間我々が大型コンサートを開催しているということで、日本中が盛り上がる状況を作ることができます。
このようにIPをより強くすることにより、スライド右下に記載されているような、コンサート以外のMDやPOPUP、広告モデルなどをしっかり伸ばしていく戦略を掲げています。
第1四半期から、MDやPOPUPもいろいろ開催しているため、コンサート以外のビジネスの拡張に関してはしっかり取り組むことができています。広告に関しても、ルイ・ヴィトンやクロックスの広告など、グローバルで有名なブランドの広告を日本の中で獲得していくことができました。したがって、この部分は順調に進んでいるのではないかと思っています。
ライツ&メディア| 第1四半期の実績及び成長戦略の進捗状況
次に、ライツ&メディア事業についてです。まず、スライド左側に記載のKNTVについてご説明します。グラフは、KNTVのプレミアムコンテンツ放送タイトル数の累計を示しています。もともと、韓国ドラマを日本で初放送することが、大きな戦略的展開であり、強みでした。
しかし、ご存じのとおりNetflixやディズニープラス、または日本のいろいろな放送局で韓国ドラマを放送しなければ、視聴率は取れないという風潮になってきました。したがって、新規の韓国ドラマだけを放映するという戦略から、K-POPコンサートの生放送などを積極的に取り入れるということで、K-POPプレミアムコンテンツで年間20作品放映することを目標としています。第1四半期は、予定どおり5作品を放映することができました。
また、第2四半期から第4四半期にかけて、下半期になるにつれてコンサートの数が増えてきますので、国内外のコンサートの生中継などをKNTVでしっかりと放映していきたいと思います。
テレビ産業の現状として、KNTVはグローバル的に難しく苦戦しています。しかし、まだ赤字ではありませんので、しっかりとした収益性のある構造を作っていきたいと思っています。このようなことから、KNTVのプレミアムコンテンツを戦略的に展開しています。
次にライツ事業についてです。こちらはドラマの版権ビジネスになります。我々は、日本においてドラマの総合商社のようなビジネスを行っています。スライド右下の写真のように、毎年大型の新作韓国ドラマを新規で獲得しつつ、タイトル数を常時150から180ぐらいを保有することによって、既存の過去の作品をアーカイブ作品として、いろいろなところに販売しています。
2025年第1四半期においては、新たに6作品を獲得できました。時代劇に関していうと、日本のどのテレビ局もなかなか時代劇を独自で制作するのは難しいということで、基本的に日本の視聴者の方も、韓国の大型の時代劇を好んでいますが、そこが獲得できたのは1つの成果だと考えています。
これを獲得したことで第1四半期に売上が上がるというよりは、作品の契約期間に応じて、今後3年、5年と継続的に売上をしっかり取れる構造ができたと思っています。
エンターテインメント|第2四半期以降の主要トピック
第2四半期以降のセグメント別トピックについてお話しします。先ほどからお話ししているエンターテインメントでは、第1四半期に比べて後半にいけばいくほど、コンサートが盛りだくさんとなっています。
今年に関しては昨年とも少し違い、スライドに記載しているようなコンサートはもちろん、それ以外にも所属する全アーティストがまんべんなく日本でのコンサートや芸能活動をしていきます。
そのため、この4月以降はかなり多くのコンサートや活動をしていく真っ只中にあります。1つ特徴的なところでは、右下に女性のイラストがありますが、これは我々の新しいIPで、ガールズグループが10月にデビューする予定になっています。
基本的に、従来は韓国に所属するアーティストやアイドルを日本に持ってきて展開していましたが、今後は独自のIPを数年かけてキャスティングから育成まで行い、実際にデビューさせていこうと準備しています。
これまでは春から夏にかけてデビューするというお話をしてきましたが、数ヶ月ずれてのデビューになります。今、K-POPは競争が激しいため、仕上げにもう少しの投資と、成功の確率を高めるために時間をかけて、今回は10月デビューの予定としています。
10月デビューとすることによって、既存の投資が少し減少することで営業利益には良い影響と、10月以降のいろいろな活動を通して売上への貢献も見込んでいます。独自のIPでは、韓国の親会社グループへのロイヤリティが発生しない部分もあるため、利益面では他のアーティストに比べて少し勝るのではないかと思います。
今年というよりは来年、再来年の成長に向けた今後の1つの大きな柱になるのではないかと期待を持っているところです。
ライツ&メディア|第2四半期のトピック
ライツ&メディアです。こちらも先ほどお話ししたKNTVによるプレミアムコンテンツにしっかり注力していきます。
例えば、スライドに記載しているSHINee WORLD Ⅶ[E.S.S.A.Y]は、久しぶりにSHINeeの完全体のコンサートの生中継が準備されており、KNTVの新規の視聴者の獲得にかなり貢献していくのではないかと思います。今後、第2四半期以降はそのようなK-POPプレミアムコンテンツを数多く放映していきたいと思っています。
ライツ事業では、良い作品を継続的になるべく多く獲得して売上を確保できるようにしていきます。スライドに記載した作品はすでに第2四半期までには獲得している作品ですが、このようなところを継続して注力していきたいと思っています。
その他の報告事項
今回の第1四半期の内容以外に、報告事項が大きく3点あります。1つ目は2025年6月1日に行う予定の商号変更です。現状の商号から、株式会社SM ENTERTAINMENT JAPANへと商号を変更する予定です。
実際に、とりわけ海外の機関投資家の方たちと我々がお話しする中では、SM ENTERTAINMENTの名前はグローバルでかなり有名であり、ほとんどの人が認知しています。その中では、我々のストリームメディアコーポレーションという名前から説明をしていくことに少しハードルがありました。
このSM ENTERTAINMENTというブランド力を活用して、実際の我々の業績や活動が株価にも反映できるようにするという意味で商号を変更することになりました。
2つ目のトピックです。2020年8月1日に吸収合併したSMEJ社の発行したストックオプションが行使されなかったため、2億2,600万円の特別利益を計上する予定です。
3つ目は配当についてです。昨年は1株当たり1円で初めて配当を実施しましたが、今年は1株当たり2円と予想しています。
ただ、昨年は最初の業績予想では営業利益を1億円弱としていましたが、最終的には4倍の3億6,000万円になりました。今年は業績予想を営業利益4億円としているため、1株当たり2円の配当としていますが、今後業績が予想を上回ることができれば、配当についても変更していきたいと思っています。
現状、ばらつきはあるものの、エンターテインメント関連の競合他社に比べて取引の数が増えている傾向があるため、そのようなところへの影響も出したいと考えて、配当もがんばっていきたいと思っています。
業績の概況
業績の概況です。売上高と営業利益を四半期別にまとめています。ここで一言だけお伝えしたいのは、第1四半期はスモールスタートでしたが、実際に第4四半期の計画をご覧いただければ、合併以来一番大きいというところがおわかりになると思います。
そのような点で、この資料を参考にしていただきたいと思いますし、まだ第1四半期が終わったばかりですので、営業活動に注力して売上高や利益の上方修正もできるように持っていきたいと思っているため、ご興味を持っていただければと思います。
質疑応答:上方修正の可能性について
司会者:「ストックオプションの消滅とそれに伴う特別利益について開示がありましたが、上方修正はしないのでしょうか?」というご質問です。
山田:ストックオプションの消滅が5月1日で、まだ間もないため、これからしっかりと数字を見ていきたいと思っています。また、我々はエンターテインメントの特性上、かなり保守的な事業計画を出しています。
昨年もそうでしたが、追加的なコンサートやコンサート以外の事業を展開することもあって、売上高がかなり変わってくることもあります。
POPUPのように突発的で、計画になかったものが2ヶ月後、3ヶ月後に動くということがあるため、そのような動きをもう少し全体的に見ながら、数字がある程度わかってきた時に、必要に応じて速やかに開示したいと思っています。
現状としてこのような特別利益がありましたが、ここは時間をかけて見ていきたいと思っています。
質疑応答:新規IPの進捗状況について
司会者:「少し遅れているようにも思いますが、第2四半期以降のトピックスでご説明いただいた新規IPの進捗状況についてあらためて教えてください」というご質問です。
山田:新規IPは当社にとってかなり重要です。これまではSM ENTERTAINMENTグループのアイドルの日本展開を担当していました。アイドルの最終的な所属は韓国になるため、かなりのロイヤリティを韓国に渡して、韓国でアイドルやアーティストを育成するというかたちです。
ただ、我々にはIPビジネスの中ではオリジナルIPがすごく大事だという課題認識が数年前からあったため、かなりの投資とキャスティングを行い、今ようやくガールズグループやVRグループの準備ができてきています。
急いでデビューさせることは成功の確率を下げる危険性があると思っており、直近の経営判断としては、もう少し完成度の高いチームを作ってから日本デビューさせる方針にしています。
そのため、数ヶ月ずれて、その数ヶ月でまた投資が発生するため、今年の売上や利益へのインパクトはなかなか見込めないところですが、やはり継続的な成長と、さらなる大きな成長のために、少しデビューを遅らせることになりました。
こちらは確かに遅れていますが、あくまでも成功の確率を上げたいという思いからです。近々ティザーなども出ますので、そのような予告編も出していきながら、今後どのような成長があるのかを投資家のみなさまに感じていただける活動をしていきたいと思います。もう少しお待ちいただければと思います。
質疑応答:コンサート以外の事業の拡張性について
司会者:「コンサート以外の事業は持続性があるのでしょうか? コンサート以外の事業について今後の拡張性を教えてください」というご質問です。
山田:まず、コンサート事業については、150万人から200万人くらいをベースとして日本で展開したいとお話ししました。今年は昨年より10パーセント近く増員する見込みで、昨年の約157万人から170万人とすることは可能だと思っていますが、これを将来的に500万人から1,000万人と、どんどん右肩上がりで数を増やしていくのは難しいと思っています。
そのため、我々の戦略としては、もちろんコンサートの数は伸ばしていきつつ、コンサートチケットの価格も少しずつ上げて、そのチケットの組み合わせも普通の席とVIP席というかたちで価格設定を工夫して、もう少し利益率を上げるように努力しています。
先ほど「コンサートがマーケティングの手段」というお話をしましたが、継続的に大きな成長をしていくには、コンサートをしっかり行って、K-POPの強いIPを活用したコンサート以外のビジネスを展開します。
今年はその比率を55パーセントくらいまで上げていきたいと思いますが、将来的にはコンサート以外を80パーセントというくらい、もっと高い比率まで持っていきたいと思っています。
そうすることで、売上高と利益の部分もかなり成長していくのではないかと思っています。時間をかけることで、この80パーセントという比率は達成できると思いますが、5年くらいはかかると考えており、そこは投資をしていきたいと思っています。
そのような展開をしていきたいと思っているため、先行的に人員的な投資もかなりしています。コンサート以外の事業ができるようなスタッフ構成で良い人材を外部から招き、ビジネスの準備をしています。
前回の発表でもお話ししましたが、ミュージックビジネスのチームの立ち上げや、周辺の旅行事業など新規の粗利が獲得できるビジネスはどんどん拡大していく予定のため、持続性はかなりあるのではないかという判断です。