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永井秀俊氏:バリオセキュア株式会社、執行役員CFOの永井です。2025年2月期の決算についてご説明します。

当社をご存じない方も多くいらっしゃるかと思います。そこでまず、当社がどのような会社なのかという会社概要をお伝えした後、2025年2月期の決算概要、2026年2月期業績予想および中期成長戦略の順にお伝えします。

会社概要

会社概要です。当社は創業20年以上の老舗の国産セキュリティメーカーです。従業員数は全体で100名弱、本社は東京で、大阪と福岡に事務所を構えています。2020年に東京証券取引所市場第2部に上場し、現在はスタンダード市場銘柄となっています。

事業内容は、単一セグメントの事業構成で、インターネットセキュリティサービスを提供する国産メーカーです。インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、ウイルスの感染やデータの盗用といった各種脅威から法人顧客のネットワークを守ります。

「企業のネットセキュリティに伴走し、安心・安全なビジネスを支えます」という経営理念をミッションとし、お客さまに代わって運用管理・保守を行う体制を保持して強力な販売代理店網を構築し、セキュリティ対策の「24/365WORK」を請け負うSecurity BPaaS「Vario Ultimate ZERO」を提供しています。

市場シェア

当社の市場でのポジションをご説明します。ITR社の調べによると、インターネットと社内ネットワークとの境界にUTMという防御機器を設置・運用・監視するサービス市場において、従業員1,000名未満の会社規模で、当社はトップシェアを誇っています。特に中小規模の企業に対して大きなシェアを占めています。

また、当社のビジネスモデルは、「ひとり情シス」という言葉もあるように、情報システム部門に予算や人員を割くことができず、会社の中に情報システム部門が存在していない、あるいは情報システム関連業務を総務部門が兼務している企業をターゲットとしています。

そのような企業は、自社でセキュリティに必要な人員を整えることなく、当社にすべて任せることができます。そのため、特に従業員100名未満の中小企業が、当社の主要なターゲットとなっています。

バリオセキュアの市場戦略

国内の中小企業数を考えると、本当はプロによるセキュリティ運用を行うべき段階であるにもかかわらず、自社内の「ちょっとITに詳しい」というレベルの担当者が日中の勤務時間の範囲内でセキュリティ担当となっているという会社が、おそらく100万社以上存在していると考えています。

このような課題をお持ちになっている中小企業さまをメインターゲットとし、サービス展開をしています。

中小企業へのサイバー攻撃の実態

中小企業へのサイバー攻撃の実態をご説明します。当社のチームが分析を行った結果の一部を抜粋したものです。

特徴的な事実ですが、2024年6月から7月にかけて攻撃がスパイクしている時期は、福島原発の処理水が海洋放出されるタイミングと一致しており、世間で報じられるニュースとサイバー攻撃には相関関係があると考えられます。

当社はこの事象とはまったく関係のない企業であるにもかかわらず、世間のトレンドに影響を受けたサイバー攻撃を受けていることを表しています。社員数が約100名の典型的な中小企業のサイズの当社でも、日々これだけのサイバー攻撃を仕掛けられていることがお分かりいただけると思います。

バリオセキュアの事業戦略

続いて、当社の事業戦略をご説明します。当社の強みは、自社開発した国産セキュリティシステムをBPOの基盤として提供し、BPOサービスで顧客企業をサイバー攻撃から守り切る「運用力」です。

まず、当社には創業以来24時間365日顧客企業のセキュリティ対策の運用業務を遂行してきた実績があります。さらに、「機器・ライセンスを導入しても十分ではなく、プロによる適切な運用管理が必須」との実経験に基づく「WORK」の提供をしています。また、全国で約8,000拠点にサービスを提供しており、どの拠点でも4時間以内にオンサイト可能な保守基盤があります。

重ねてになりますが、自社開発した国産セキュリティシステムをBPOの基盤として提供し、顧客企業をサイバー攻撃から守る力と実績を持っているからこそ、どう守るかを知り尽くした運用のプロとして最適なサービスを提供しています。

セキュリティのBPOをBPaaSと位置づけ、中小企業に高度なセキュリティ対策を丸投げして預けていただくサービスが提供できることが強みであり、「製品を入れれば安心」というだけではセキュリティ業界は通用しない今、どう守るかを知り尽くしている運用こそが、本質的なセキュリティ対策であるとお伝えします。

バリオセキュアBPOサービスの特長

バリオセキュアBPOサービスの特長は、まるで常駐しているかのように、社内セキュリティ運用業務を丸投げしていただくことができることです。

まず、当社提供のシステムの監視を24/365で実施します。駆け付け対応が必要な場合は、全国どこでも4時間以内にオンサイト対応を開始します。さらに、UTMのOSやセキュリティソフトのアップデート、アカウントの管理・ログの確認などを当社エンジニアが実施し、常に安心な状態を維持します。

また、セキュリティに関する疑問や質問に対し、常設のサポートセンターが対応します。そのため、今までセキュリティ対策ベンダーが実現できなかった、24時間365日常駐しているかのようなセキュリティ運用を丸投げいただけます。

セキュリティ対策のポイントと対策カテゴリ

スライドの図は、「Vario Ultimate ZERO」のサービスラインナップをネットワークの図で表現したものです。大局的ではありますが、当社が提供しているセキュリティサービスが何を守っているのかをわかりやすく示しています。

図の左上をご覧ください。「SOC」がお客さまの事業や資産を守るため、ネットワーク全体を監視しています。その下には、「守るべきもの」の切り口で「ネットワークアクセスを守る」「社内LANを守る」「ファイルを守る」「パソコンを守る」の4つの領域があります。これらの各領域に対応する当社のサービスがあり、「SOC」が見守っています。

バリオセキュアが抱えていた従来からの課題<1>

当社が抱えていた従来からの課題の1つ目についてご説明します。セキュリティBPOサービスの商材・サービス範囲をもっと広げる必要があることを課題にしていました。簡単にイメージしていただけるよう、BPOサービスの商材、サービス範囲を幕の内弁当で表現しました。

創業当時は主食(SOC)におかず(商材)はネットワークの出入り口を守るというVSRのみという内容のお弁当でした。しかし近年のリモートワークの普及やサイバー攻撃の高度化により、従来のセキュリティ対策だけでは企業の情報資産を十分に確保することは難しくなってきています。

このような状況を踏まえ、当社ではネットワークセキュリティサービスに加え、より包括的なサービス範囲を拡大しました。

創業当時はネットワークの出入り口を守るという、たった1つだったおかずが、今では自宅や外出先でのネットワークアクセスを守る、社内LANを守る、ファイルを守る、パソコンを守るという、時代の変化とリスクの多様化に対応し、ネットワークの脅威性対策にとどまらず、サーバ、データ、アクセス管理、復元対応などのおかずを増やし、幕の内弁当が出来上がるまで包括的なセキュリティサービスへと拡充しました。

すべてのおかずを選択する必要はなく、お好みで契約することも可能なため、他社の製品等も使い分けできます。「今まで対策はゼロだったので、ゼロからいろいろやりたい」という場合にはすべてご提案しますし、「もうファイアウォールは入っています」「パソコンにはもうウイルスソフトが入っています」というお客さまには、足りない部分をご提供するという方法も可能です。

お客さまのニーズに即した、必要最小限の商材を選んでいただき、お客さまのお好みの幕の内弁当を作っていただくことが可能です。

今回、2025年3月3日に発表しましたとおり、「サイバー保険」を自動付帯した安心に備える新保険「VarioSecure Cyber Insurance」の提供を開始しました。「特定・防御・検知・対応・復旧」までのサービスに、新たに「補償」というサービス内容が加わったことにより、サービス範囲を広げました。

次のページでご説明しますが、東洋メディアリンクス株式会社とセキュリティ分野における業務提携契約を締結しています。

バリオセキュアが抱えていた従来からの課題<2>

当社が抱えていた従来からの課題の2つ目としては、中小企業100万社をターゲットにするための販路が足りていなかったということです。販路開拓をするため、以下のことを実現しました。

2025年3月12日に、「バリオセキュア株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社の『セキュリティYOROZU相談』にサービス提供・パートナーシップを開始」というプレスリリースを発表しました。日本最大の通信事業グループとの業務提携により、これまで切り拓けなかった販路開拓を目指しています。

2025年3月25日に、「バリオセキュア株式会社、空間プロデュースビジネスを行う東洋メディアリンクス株式会社とセキュリティ分野における業務提携契約締結のお知らせ」というプレスリリースを発表しました。

前ページでもお伝えしましたとおり、監視カメラサービスを取り扱うことにより、サイバーセキュリティとリアルセキュリティを融合したサービスの提供を始めました。「サイバーセキュリティに対する感度が高くない中小企業にも、なぜか監視カメラは設置されている」という事実を踏まえ、中小企業に切り込んでいくための事業提携です。

2025年2月期 決算ハイライト・重要な業績指標

2025年2月期の決算についてお伝えします。こちらは2025年2月期のハイライトです。売上収益は26億6,700万円、予算比96.9パーセント、営業利益は4億9,200万円、予算比101.5パーセント、当期利益は3億4,200万円、予算比101.7パーセントでした。

売上収益については、価格転嫁の対応が遅れたことで予算に対して未達となりました。営業利益、当期利益については前年に対し減益となる計画ではありましたが、販管費等の合理化を行ったことで予算を達成することができました。

ストック型の売上比率は前年と同水準で87.9パーセント、エンドユーザー拠点数は前年比で141拠点の増加、当期の解約率は前年と同水準という結果になっています。

2025年2月期 財政状態

2025年2月期時点の財政状況です。資産合計は75億7,600万円、負債合計は16億8,400万円、資本合計は58億9,100万円と、前期末に比べて大きな変動はありません。

全体的な傾向としては、継続的な収益の積み上げと借入金の返済によって自己資本比率が徐々に上昇しています。その他の財務指標についても、安全性の見地から良化しています。

2025年2月期 サービス別業績

月額課金型のビジネスモデルであるマネージドセキュリティサービスは、価格転嫁の対応が遅れたことで予算に対し95.6パーセントとなり、売切型のビジネスモデルであるインテグレーションサービスは、ネットワーク構築が堅調に推移したため予算に対し107.4パーセントとなりました。前年比ではパソコンを守るEPSが伸長したことで増収となりました。

マネージドセキュリティサービス概況 解約率の推移

重要指標である契約の解約率は、ご覧のとおり低位で推移しています。第4四半期における3ヶ月間の解約率は0.71パーセントと、低水準でした。

2026年2月期 業績予想

2026年2月期の業績予想です。売上収益は29億7,200万円、営業利益は5億9,000万円、当期利益は3億9,900万円と、売上収益は前年比で11.4パーセントの成長を見込んでいます。

計画の実現のため、当社が抱えていた課題でも触れましたが、「セキュリティBPOサービスの商材・サービス範囲の拡大」「中小企業100万社をターゲットにするための販路開拓」を推し進めることでセキュリティフレームワークの拡充、販路の拡大を行います。

2025年2月期から推し進めている価格転嫁による影響が2026年2月期に通期に渡って寄与し、対象もさらに大きくなることで増収、増益を図っていきます。

中期経営目標

中期的な取り組みの目標として、2027年2月期決算においては、売上高37億6,300万円、営業利益9億2,000万円を目指しています。現状からストレッチした目標ですが、中期経営方針に沿った取り組みを着実に実行し、達成していきます。

本日の決算説明は以上です。最後までご清覧いただき、誠にありがとうございました。今後とも、当社をよろしくお願いします。