株式会社ランディックス 代表取締役 岡田和也 氏 中小企業診断士、個人投資家 kenmo 氏 フリーアナウンサー 荒井沙織 氏
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企業理念
岡田和也氏(以下、岡田):株式会社ランディックス代表取締役の岡田和也です。本日はよろしくお願いします。
我々の企業理念は、「唯一無二の豊かさを創造する」です。昭和から続く住宅の大量生産モデルから、これだけ豊かになった時代において、それぞれのお客さまが自分好みの住宅、デザイン、間取りをパーソナライズで作ることのできる世界を広げていこうと、このような理念を掲げています。
当社のビジネスモデルの概観
岡田:当社のビジネスモデルについてです。今まで不動産、特に住宅は、1回買うと10年、20年と買うことのない、特別な商品でした。そのため、今までの不動産会社は売ってしまえばそれで終わりで、そこからのお付き合いはない、言ってみれば自転車操業的なビジネスモデルが多かったかと思います。
それに対して私たちは、ハイクラスのお客さまとの間に意思を通じたビジネスモデルを構築すれば、安定した売上・利益の実現と、長いお付き合いを通してお客さまにも喜んでいただくことが可能だと思っています。
そのため、紹介やリピートなどお客さまとクロスセルしていくようなビジネスモデルを進めています。
顧客ニーズに対応した事業ポートフォリオ
岡田:具体的な主力事業は、戸建住宅事業です。東京都心の富裕層が好む高級住宅エリアにおいて、戸建住宅事業をメインにしています。このような土地に当社の建築コーディネーターや1級建築士が寄り添いながら、オーダーメイド住宅の建築を推進しています。
関係構築ができたお客さまとの2番目のお取引として、個人向け1棟収益用不動産を資産対策としてご購入いただくクロスセルとなっており、この2本柱が主力事業になります。
こちらに併せて、現在手がけている成長事業として、建築会社マッチング事業と、先日M&Aしたマンション住宅事業があります。住宅事業の1次ニーズ、収益用不動産の2次ニーズと、資産構築からさらに豊かな人生へということでサードプレイス事業、これらを成長事業として進めています。
サードプレイス事業では、東京から2時間ほどで行けるような海沿いや湖、山など特殊な場所に別荘を持ち、使っていない時にはレンタルすることで収益を得ながらご自身も楽しめる物件の開発を手がけています。
2024年3月期 第2四半期のハイライト
岡田:第2四半期の決算ハイライトです。1番目に、四半期利益として過去最高額をあげることができました。売上高も、ほぼ過去最高の水準です。若手社員が戦力化していることが、大きな理由の1つになっています。
2番目は、利益水準の回復です。営業利益率を意識しながら経営しており、開示予測の8.8パーセントを上回る9.4パーセントまで回復しています。
3番目は、来期在庫の早期積上げです。次の期首在庫水準をしっかりとキープし、優良物件をセレクトできるゆとりを持ちながら、現在は折り返しターンにあることがハイライトの1つとなっています。
決算数値と経営指標サマリ(2025年3月期 2Q)
岡田:決算数値です。売上高は94億9,000万円、営業利益は8億8,900万円、純利益は5億3,500万円です。
スライドに記載しているのは、毎四半期でご説明している指標です。平均在庫保有期間(土地)は4.85ヶ月と、前期数字より良い数値が出ています。経常利益率は8.7パーセント、確定在庫は173億2,600万円、そして自己資本比率は41.9パーセントとなっています。
kenmo氏(以下、kenmo):こちらのスライドについていくつか質問したいのですが、よろしいですか?
岡田:お願いします。
kenmo:まずは、前提の確認です。以前、昨期の業績が落ち込んでしまったのは、エリア拡大によってノウハウの少ない地域での土地の仕入コストが上がってしまったからだというお話をお聞きしました。
今期はあらためて原点に返り、城南エリアにフォーカスを当てて取り組んでいるという理解でよろしいですか?
岡田:おっしゃるとおりです。エリア拡大のため、まずは面を取っていこうと積極的に攻めていきましたが、荒くなってしまったかと思っています。エリア拡大自体は諦めていませんが、我々がもともと強いエリアへと意識的に軸足を移したことが回復につながっていると思います。
kenmo:ありがとうございます。先ほど、利益率の話がありました。今期は8.7パーセントとなっていますが、2年から3年前には10パーセントを超えたような時期もあります。
そこと比べると、昨期よりは少し回復しているようには見えますが、いずれまた10パーセントという数字に戻していけるのでしょうか? それとも、コストがかかってきているため、売上を伸ばしていく方向性なのでしょうか?
岡田:まず、経常利益率10パーセントは常に意識しておきたいと思っています。ただし、我々にはまだまだ成長の余力があるため、現在は新卒メンバーをはじめとする採用に積極的に注力しています。
ある程度人数が増えていく中で、それによるコストを消化しながら利益率を少し戻していることは、非常に良い傾向だと思っています。
ご質問いただいたとおり、経常利益率を意識しながらも成長を加速していく、また、人員コストをしっかりと賄いながら伸ばしていくという両輪で考えています。
連結P/L(2025年3月期 2Q)
岡田:P/Lの状況です。業績予想達成率をご覧ください。
売上高は47.5パーセント、営業利益は50.8パーセント、経常利益は50.7パーセント、当期純利益は50.5パーセントと、概ね中間地点として順調な進捗です。
以前からお伝えしているとおり、第4四半期には大型物件を含めた収益用不動産開発の引き渡しを控えています。しっかりと予定どおりにこなせられれば、目標達成はできるだろうと考えています。
四半期業績推移 (連結 売上高・営業利益)
岡田:スライド内の棒グラフは、四半期の業績推移を示したものです。オレンジ色の部分をご覧ください。この四半期で売上高はほぼ最高水準、利益も過去最高の数字を出せています。
今期の四半期売上高の進捗予想
岡田:進捗予測です。今後第3四半期・第4四半期とあり、第4四半期の約65億円には、先ほどお話しした収益物件をはじめとするいくつかの引き渡し予定物件が含まれています。
連結業績予想および配当予想 (2025年3月期)
岡田:連結業績と配当の予想です。こちらは、現時点で変更はしていません。当初予想のとおり、売上高は200億円、営業利益は17億5,000万円です。営業利益においては、前期比で36.7パーセント上回る計画です。
株主還元の実績と方針
岡田:株主還元の実績と方針です。あえて配当下限予測という言い方をして、75円の配当予測としています。しっかりと業績を達成し、増配できるように努力を続けていきます。
2025年3月期の売上・利益改善への打ち手の経過
岡田:売上・利益改善への打ち手の経過です。打ち手として「積極採用の継続と若手人材登用」や「人材のパフォーマンス向上」を行っています。後者は、「日経新聞」にも大きく取り上げていただきました。全社単位で給与のベースアップを行っています。
「収益用不動産事業の強化」は、現在非常に順調に進んでいる事業です。私たちが持っているデータに基づいた土地の目利き力と、その土地に我々のスタッフやデザイナー、1級建築士が作り上げていくデザインの収益用不動産が、非常に好評を得ています。
また、「営業活動の効率化」も行っています。当社には自社メディアがあり、こちらが順調に成長していると感じています。加えてリンネ社という、マンションに特化した不動産テック企業をM&Aしました。そちらのノウハウも活用していけるだろうと考えています。
kenmo:ありがとうございます。こちらのスライドは、来期以降の戦略にもつながってくると思われるため、いくつか質問したいです。
まずは足元の人材採用、そして育成の状況についてもう少し詳しく教えていただけますか?
岡田:採用については、現在応募してくれる母数も増えており、その中からミスマッチにならないような施策を毎年ブラッシュアップしながら進められている実感があります。
その中で、今後は採用したスタッフたちをどのように育成していくかです。これは前期に数字を落としてしまった内的要因の1つでもあると私は思っており、あらためて評価制度をブラッシュアップし、一新しました。
具体的には、社外の人が作り上げた評価制度から、社内主要メンバーで作成したものへと変更しました。
もともとの制度では「ちょっとミスマッチが大きいね」ということもありましたが、現在の評価制度は非常にマッチしていると感じています。
資源高などもある中、このような内部要因によって落としてしまったものをブラッシュアップによって良いかたちで積み上げられている実感があり、これからも継続していきたいと思っています。
kenmo:ありがとうございます。打ち手の3つ目の「収益用不動産事業の強化」について、極端ですが、収益用不動産事業の売上が好調であれば、社内リソースをそちらに全振りするような戦略もあるとは思います。
一方で、御社はあくまで住宅がメインであり、その次の柱として収益用不動産というイメージもあります。あくまで住宅をメインにしているのは社長自身のこだわりでしょうか? それとも中長期的な戦略面での判断なのか、そのあたりについてもう少し詳しく教えてください。
岡田:こちらは中長期的な戦略です。かつての不動産事業は、買ってもらうまでが勝負である、自転車操業的なビジネスでした。
リーマン・ショックの際は、多くの収益物件を手がけて好調だった企業が突然死するようなことがありました。決してそのようなことがないビジネスモデルを構築する、というスタンスです。
そして、この両軸を持っている会社がそこまで多くはないため、これが他社との差別化にもなるだろうと考えています。
仮に思わしくない状況になった場合でも1人勝ちできるような状況を作るためにも、このバランスをキープすることは、当社の独自性があっていいのではないかと思っています。
kenmo:市況の悪化にも備えられる体制を作っていらっしゃるということですね。
岡田:そのとおりです。
kenmo:ありがとうございます。また、具体的な内容として「自社メディア強化」という記載があります。こちらはどのような取り組みなのか、もう少し詳しく教えていただけますか?
岡田:多くの不動産会社は、自社メディアを持っていません。外部メディアや媒体、一番大きなところではリクルート社の「SUUMO」があり、それらに頼り切ることになるかと思います。
自社でどれだけ新規集客ができる力を持っているのか、そして自社のオリジナルでどのようにお客さまと関係構築するのかは、その会社の企業価値とイコールではないかと私は考えています。
集客、そしてコミュニケーション、もっと言えばインサイドセールスのような働きとして、自社メディアを持つことができれば、他の不動産会社と大きく差別化できるかと考えています。
当社の事業KPI:平均在庫期間
岡田:当社の事業KPIです。平均在庫期間は4.85ヶ月となります。
どのような期間かというと、まずは当社が土地を仕入れてお金を支払い、造成し、商品として売れるような状態まで作ります。そしてお客さまにお引き渡しをして、お金が入ってくるまでの期間です。つまり、お金が出てから入ってくるまでの期間が4.85ヶ月ということです。
例えば、不動産業界の中でマンションを1棟建てる場合、お金を払ってから入ってくるまで2年半かかるところ、当社は4.85ヶ月と、財務面で非常に安定していると思っています。
当社が不動産事業の中でもいかに安定した事業展開ができているかを株主のみなさまにお知らせする意味でも、この4.85ヶ月という数字をお伝えしながら、順調であることを発表しています。
また、確定在庫は今期末および来期につながる大事な数字であり、引き続きお知らせしています。優良在庫を順調に積み増しできており、現時点で173億2,600万円程度の在庫があります。
当社事業の優位性:顧客からの紹介・リピート
岡田:当社の優位性である、お客さまからの紹介やリピートについてです。不動産業界では、一度購入したら再度購入する機会が少ない中、口コミや紹介を通じてお客さまとの成約が多いことは大きな強みであると思っています。
このような結果となっている理由として、なかなか獲得が難しい富裕層のお客さまにターゲットを絞っていることが挙げられます。また、自社メディアやネットを通じた成約が大きな比率を占めており、効率的な経営ができているのではないかと思っています。
リクエスト反響では、当社独自の取り組みが影響しています。当社へのお問い合わせは、ネット広告やインターネットを通じたものでなく、売り出している現場に当社のロゴが入った看板が掲示されており、そちらを通じてお問い合わせいただくお客さまが含まれています。
中長期の成長イメージと取り組み
岡田:今後の成長イメージについてです。当社は毎年20パーセントの売上成長を目標に掲げています。
現在の既存事業である住宅事業や収益事業を基盤にしながら、進行期において組織体制の強化、評価制度、報酬面、モチベーション向上に関わるさまざまな手を打ち、効果を発揮し始めています。
こちらをベースに、新しいビジネス展開と既存事業の成長を進めていきます。当社のターゲットであるハイクラスなお客さまのニーズに応える商品を開発し、クロスセルしていきます。また、シナジーのある企業をM&Aしていくことでさらに成長を目指していきたいと考えています。
当社事業の優位性:早期販売の再現性が高いレジデンスシリーズ
岡田:収益物件についてです。掲載されている写真は、すべて当社のデザイナーや建築士が手がけたデザインです。入居者のみなさまからの評判も非常に良く、高い入居率を維持しており、ほぼ100パーセントの水準をキープできています。
また、購入いただいた投資家のみなさまからも非常に好評をいただいており、まだまだ成長の余地があると考えています。
サードプレイス事業の展開とその進捗状況
岡田:サードプレイス事業についてです。東京からさほど遠くない場所で豊かな生活を提供するというコンセプトで、第1号案件は山梨県の富士山が最も美しく見えると言われる場所にあります。
富士山の写真を専門に撮影するカメラマンが、この近くを撮影ポイントとして写真集を出版するほどです。目の前に美しい富士山がある立地に、3棟の建物を建設します。
さらに、第2号案件は千葉県の海沿いで手がけています。特に館山は、富裕層の方々が住居を移したり、別荘を建てて住んだりしている方が多いエリアです。
AR技術の活用(リアルな映像で生活感がよりイメージしやすく)
岡田:AR技術の活用についてです。現在は更地となっている土地に将来建設される建物を、内装も含めてお客さまにお示ししています。
従来、不動産会社では紙の資料を基に物件の良し悪しを判断することが一般的でしたが、AR技術を用いることで、よりリアルで完成品とほぼ同じものをご確認できるようになっています。
当社事業の優位性:独自の建築会社マッチング
岡田:建築会社マッチングサービス「sumuzu」は、建築会社とお客さまをマッチングし、喜んでいただこうという事業です。
建築は、人生で何度も経験することではありません。そのため、当社の1級建築士が支援することは非常に大きな強みとなっています。
直近3年間の建築会社マッチングGMVと平均建物金額の推移
岡田:「sumuzu」でのマッチングGMVと平均建物金額の推移です。平均建物金額は5,594万円と、みなさま高い価格で建物を建てられています。これまで3年間の建物取扱高は42億7,000万円と、毎年しっかりと増やしていく計画です。
質疑応答:都内の土地の仕入れ状況について
kenmo:マーケット環境について質問です。都内は競争が激しいため非常に厳しいとのことですが、土地の仕入れ状況について教えてください。
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