目次

腹巻知氏:おはようございます。株式会社ノーリツ代表取締役会長の腹巻です。ただいまより、2025年中間期の決算説明を行います。

本日は目次の順に、中期経営計画「Vプラン26」の概要、2025年の計画、2025年の中間決算報告、そして「Vプラン26」の進捗をご説明します。

価値創造ストーリー

決算説明資料の11ページから30ページまでは「Vプラン26」について掲載しています。その概要をご説明します。

「Vプラン26」では、当社独自の価値創造ストーリーを定めています。

価値創造ストーリーでは、外部環境を踏まえ、当社の価値創造の源泉である6つの資本と、プロセスとしての事業活動を通じてマテリアリティを達成し、2030年にありたい姿や提供価値の実現へとつながる一連のストーリーを描いています。

価値創造ストーリー

このスライドは、「Vプラン26」における企業価値向上の考え方を示しています。2030年のありたい姿の実現に向け、縦軸の財務価値と横軸の非財務価値の向上を両輪で推進することが重要だと考えています。

基本方針

「Vプラン26」では、3つの重点戦略「事業ポートフォリオの変革」「戦略投資の拡大と資本政策」「サステナビリティ経営の推進」に基づき、財務価値および非財務価値の達成を目指しています。

基本方針

「Vプラン26」の最終年度の業績計画です。2025年2月13日に公表しましたが、昨今の外部環境の変化を鑑み、業績計画を売上高2,100億円、営業利益45億円に見直しています。

事業ポートフォリオの変革

1つ目の重点戦略である「事業ポートフォリオの変革」についてご説明します。まず、国内事業の方向性についてです。

国内事業では、住宅向け温水分野に偏重した事業構造を変革し、厨房分野と非住宅分野を拡大することで、国内事業全体の売上と利益の拡大を目指します。

事業ポートフォリオの変革

次に、海外事業の方向性についてです。海外事業では、売上高および利益の構成比が大きい中国への依存リスクを軽減するため、北米エリアでの事業拡大と東南アジアでの事業展開を加速させ、リスクを分散する経営を目指します。

原価低減

事業ポートフォリオの変革における原価低減の方針についてです。「Vプラン26」では、総額30億円の原価低減を目指します。

戦略投資の拡大と資本政策

重点戦略の2つ目である「戦略投資の拡大と資本政策」についてご説明します。

戦略投資の拡大についてです。「Vプラン26」では、ROEの改善を最重要課題と位置づけ、収益性を高めるために総額325億円の投資を計画し、そのうち235億円を成長分野に投資します。

戦略投資の拡大と資本政策

資本政策として、株主還元の強化、政策保有株式の縮減、自己株消却を進めることで、キャッシュアロケーションの改善を目指します。

サステナビリティ経営の推進

重点戦略の3つ目である「サステナビリティ経営の推進」についてご説明します。

当社がサステナビリティ経営の推進に向けて取り組むべき課題は、ESGに当社独自の品質を加えた「Q+ESG」の4項目です。詳細は次のスライドにマテリアリティとして掲載していますので、ご確認ください。

経営指標

2025年度の業績見通しです。2025年は売上高2,050億円、営業利益30億円を計画しています。国内事業と海外事業それぞれについてご説明します。

経営指標 国内事業

国内事業は、高付加価値商品や環境配慮型商品の拡販による売上高の向上、新たなビジネス機会の創出による付加価値の取り込み、さらに顧客接点基盤やブランド浸透の強化を通じた事業基盤の構築により、売上高1,370億円、営業利益15億円を計画しています。各分野の施策と指標については、決算説明資料の35ページをご参照ください。

経営指標 海外事業

海外事業は、2024年の業績を踏まえ、既存事業の立て直しと現地法人の自立化を進めます。また、新規事業開発として東南アジア市場の開拓を進め、売上高680億円、営業利益15億円を計画しています。各エリアの施策や指標については、決算説明資料の36ページをご確認ください。

概要

2025年中間期の業績結果です。売上高は前年同期比25億円増の985億円、営業利益は同17億円増の16億円で、増収増益となりました。純利益は営業利益の増加に伴い、前年同期比15億円増の12億円となりました。

以上の業績に至った要因を、国内と海外に分けてご説明します。

国内事業の結果

国内事業の結果をご説明します。国内事業は、温水空調分野において、高付加価値商品や環境配慮型商品の好調に加え、年初に実施した価格改定が順調に進捗しました。また、厨房分野ではレンジフードの好調が続き、売上高は652億円となり、前年同期比で41億円の増加となりました。

この増収効果に加え、グループ全体での販管費抑制により、営業利益は6億円、前年同期比で13億円増加し、増収増益を達成しました。

国内事業における「Vプラン26」の課題に対する進捗と成果については、次のスライド以降で説明します。

温水空調・住宅用分野

住宅向け温水空調分野では、チャネル別に政策を推進し、社会課題を解決する高付加価値商品を訴求するとともに、環境配慮型商品の標準化を進めています。2025年上期には、高付加価値商品である「プレミアム給湯器」が、除菌・睡眠サポート機能を訴求する販促活動により、前年比1.2倍に伸長しました。

また、ハイブリッド給湯器はカーボンニュートラルを目指す潮流の中で、住宅の省エネ補助金や当社独自のキャンペーンによる採用拡大が継続し、前年を上回る販売台数を記録しました。さらに、給湯器の高効率化も2ポイント向上し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが進展しています。

温水空調・非住宅用分野

非住宅分野では、同分野の拡大を目的に対人領域の深耕と非対人領域の開拓を進めています。

2025年上期には、業務用給湯器の価格改定があったものの、宿泊施設での取替時に最適なパッケージを提案・導入することで販売台数を増加させています。また、2024年12月19日に発表した新規事業である熱ソリューション事業も、機器の未利用熱の流量・温度を監視・制御するシステムを開発・納品するなど順調に進捗しています。

非住宅分野の売上は2桁増となり、対人領域の深耕と非対人領域の探索が着実に進捗しています。

厨房分野

厨房分野では、ビルトインコンロのシェア拡大と中高級機種の比率向上を進めるとともに、レンジフードの需要開発やシェア拡大にも取り組んでいます。

2025年上期は、ビルトインコンロが商品ミックスの悪化により中高級比率が2ポイント低下しましたが、レンジフードは強化チャネルの開拓が順調に進み、販売が1.2倍に伸長しました。その結果、厨房分野全体で増収となり、売上拡大に貢献しました。

事業基盤構築

このスライドでは、国内事業の事業基盤構築として、新たなビジネス機会の創出と「つながり基盤構築」について説明しています。

2025年上期には、ユーザーとのつながりを活用した安心・安全の訴求により、つながりを起点とした故障前の取替件数が1.2倍に増加し、順調に進捗しています。また、給湯器リサイクルの回収台数は、業務提携先である販売事業者や福祉施設の拡大で1.3倍となり、こちらも順調に進捗しています。

給湯器リサイクルに関しては、新たにクローズドリサイクルのスキームに着手し、資源循環と地域共生を進める旨のプレスリリースを2025年6月11日に発表しています。こちらもぜひご確認ください。

原価低減

国内事業における原価改善についてです。2025年には8億円の原価改善を目指しており、上期では3億5,600万円の改善を達成しました。政策的に進めている原価低減は、順調に進捗しています。

海外事業の結果

ここからは、外事業の結果をご説明します。海外事業の売上高は、構成比の大きい中国の市況低迷が続き、前年同期比16億円減の332億円となりました。一方、営業利益は減収にもかかわらず、中国を中心とした費用のコントロールや、北米での利益率の高い暖房の原価改善、オーストラリアでのタンクレス給湯器・ヒートポンプ式給湯器の好調な販売が寄与し、前年同期比で3億円増の9億円となりました。これらの結果、減収増益となりました。

海外事業の「Vプラン26」におけるエリアごとの課題に対する進捗と成果については、次のスライド以降で説明します。

中国エリア

中国エリアでは、市況の低迷が続く中、温水機器のネット販売とリアル店販売の戦略を見直し、地方都市での販売台数拡大に加えて、ネット販売での台数確保に取り組んでいます。一方で、厨房機器の販売台数確保も目指しています。

2025年上期はネット販売が、上海エリアでは販売台数が伸びたものの、市況低迷の影響を大きく受けた地方都市での販売台数が前年より減少し、売上の大半を占める家庭用給湯器全体で販売台数が減少しました。

また、厨房機器も市況低迷の影響を大きく受け、販売台数が減少しています。しかし、販売台数の減少を見越した生産体制の調整と縮小により、費用をコントロールすることで利益を確保し、中国エリアは減収ながら増益を達成しています。

北米エリア

北米エリアでは、カーボンニュートラルの推進に貢献する高効率給湯器の流通開発や業務用機器の販売促進、そして昨年販売台数が落ち込んだ暖房用ボイラーの立て直しに取り組みました。

2025年上期において、家庭用分野ではタンクレス給湯器の需要が増加する中、販売員の増員やコントラクター向け研修会の実施など販促を強化しました。また、新商品の発売により販売台数を伸ばし、高効率給湯器の販売台数は前年比1.1倍となりました。

業務用給湯システムの販売台数も増加しています。さらに、収益性の高い暖房用ボイラーでは、販売台数の増加と部材調達の正常化による原価改善が進み、北米エリア全体の損失幅縮小に貢献しました。

豪州エリア

豪州エリアについてです。豪州では市場の電化に対応するため、ヒートポンプ式給湯器などの電化商材の拡販に取り組んできました。

2025年上期は、電化政策を追い風に、ヒートポンプ式給湯器の販売台数が前年比2倍に伸びています。業務用給湯器は微減となったものの、家庭用タンクレス給湯器が好調で前年比1.1倍と堅調に推移しました。

豪州全体では為替の影響で減収になりましたが、現地通貨ベースでは増収となり、ヒートポンプ式給湯器と家庭用タンクレス給湯器の販売増加に加え、生産設備の更新による原価改善により増益となりました。

東南アジアエリア

新エリア市場の開拓と商品開発についてです。具体的には、東南アジアにおける現地市場向けの新商品開発と販売ネットワークの構築を目指しています。

2025年上期には、現地市場向けに電気温水器、浄水器、厨房機器の開発が順調に進み、ベトナムを起点とした周辺国への販路開拓も進展しました。また、持分法適用会社であるカンガルー社に対しては、当社グループによるもの作り支援を行い、原価率を4ポイント改善しました。

株主還元

ここから56ページまでは、資本政策とサステナビリティ経営の推進についてです。このスライドでは、株主還元として、配当方針と自己株式の取得進捗をご説明します。配当方針に変更はなく、2025年2月13日に公表したとおり、前年より2円増配となる1株あたり71円を予定しています。なお、中間配当は35円を予定しています。

また、同時に公表した20億円を上限とする自己株式の取得については、2025年7月16日に取得額が上限の20億円に到達し、終了しました。

「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に3年連続選定

サステナビリティ経営推進の成果についてです。当社のサステナビリティ経営が本年度も高く評価され、ESGへの優れた対応を行う企業を対象としたFTSEの構成銘柄に3年連続で選定されました。選定の基礎となるESGスコアも、昨年を0.4ポイント上回る3.7ポイントを獲得しています。今後もさらなる前進を目指して、ESGへの取り組みを強化していきます。

以上が本日ご用意した内容です。長時間ご清聴いただき、誠にありがとうございました。