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堀内康隆氏:ブックオフグループホールディングス代表取締役社長の堀内です。これより、ブックオフグループホールディングス2024年5月期決算説明会を開催します。

6月に公表のとおり、前期末の実地棚卸にて発見された不正に基づき、その内容とそれ以外の案件について第三者の専門家を中心とした特別調査委員会を立ち上げ、調査してきました。調査は10月15日に終了し、調査結果を踏まえた決算内容を同日公表しています。

今回の案件について、株主のみなさまをはじめ、投資家のみなさまに多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを、まずは深くお詫び申し上げます。

本日は、はじめに今回の不正の概要とその不正が業績に及ぼす影響についてご説明した後、2024年5月期決算概要と取り組みの進捗、現在私たちが掲げている中期経営方針、2028年5月期に向けた取り組みの状況についてお話しします。

不正の概要と特別調査委員会調査報告書の内容について

今回発見された不正の内容について、調査報告書に基づきご説明します。こちらのスライドが不正の概要です。不正総件数で29件発見されました。影響額は、グロストータルの金額で計8,100万円となります。

不正の内容を大きく2つに分けて記載しています。1つは、従業員による現金の横領、あるいは商品の内引きを伴う不正で、件数は8件、影響額は6,400万円です。このうち、実際の横領・内引きの被害額は5,600万円となります。

もう1つは、現金の横領や商品の内引きを伴わない在庫の計上、あるいは不適切な処理を行った不正で、件数は21件、影響額は1,700万円です。

これらの内容について、調査委員会で一つひとつヒアリング調査を進めた結果、本件事案すべてにおいて組織的な不正は認められなかったと総括されています。今回の不正の背景としては、個人的な利得や個人の評価に伴う店舗数値の達成を企図して実行されたとまとめられています。

10月15日に調査報告書を受領し、再発防止に向けた提言もいただいています。現時点では報告書の内容精査、議論を重ねた上で、役職者の処分と併せて11月上旬にあらためて発表します。

業績への影響

本不正の影響については、2024年5月期の決算に織り込んでいます。具体的には、営業利益、経常利益、純利益の段階で、不正そのものの関連損失として6,800万円を計上しています。

また、6月から10月にかかる特別調査委員会の運営および追加監査に伴う実費相当について、前期決算で引当を行っており、その金額は5億5,000万円となります。

連結損益計算書

以上の内容を踏まえ、2024年5月期決算についてご説明します。まず、連結決算の概要です。売上高1,116億5,700万円、営業利益30億5,100万円、経常利益34億4,800万円、純利益17億500万円となりました。

売上高から経常利益の段階では、中期経営方針に掲げた積極的な出店や事業の取り組みの結果、増収増益となりました。純利益については、2023年5月期の税金に係る特殊要素と、2024年5月期に計上した特別調査委員会引当金の影響に伴い、減益となっています。

連結損益計算書 四半期別実績推移

損益の状況を四半期別に示しています。売上高は出店の効果もあり、前年同期を上回る結果となりました。経常利益はこのあとセグメントごとに説明しますが、販売施策の取り組みの成果が四半期ごとの増減に表れています。

特に第3四半期については、ピークのタイミングで前年同期の利益を大きく上回り、通期における経常利益の増加要因となっています。

連結貸借対照表

結果として、期末日時点の貸借対照表では、総資産545億4,200万円、純資産205億700万円となりました。有利子負債は、積極的な投資に伴って増加傾向にありますが、安定した財務バランスを継続しています。

連結キャッシュ・フロー計算書

連結キャッシュ・フロー計算書です。2024年5月期は、営業キャッシュ・フローが40億8,400万円、投資キャッシュ・フローがマイナス24億1,100万円、財務キャッシュ・フローがマイナス1億円の結果となっています。

営業利益の増加に加え、積極的な投資と在庫回転の効率化が功奏しました。在庫は増加傾向にあるものの、その増加幅が一定程度にとどまったことから、営業キャッシュ・フローが大きく伸びています。

結果として、財務キャッシュ・フローを大きく上回る営業キャッシュ・フローを獲得しています。

連結売上高 増減要因

セグメントごとの売上高の増減要因です。スライドに示すとおり、主要3セグメントすべてにおいて増収を果たしました。

連結経常利益 増減要因

経常利益の増減も同様に、主要3事業すべてにおいて増益を果たしています。

ポイントとして、全社コストが大きくマイナスとなっている点が挙げられますが、こちらはセグメント開示の開始に伴い、前年のシステム費用の組み替えを行ったことが影響しています。

事業セグメント別実績

続いて、セグメントごとの概要と主な取り組みについてご説明します。

まず、セグメント別の売上・利益です。国内ブックオフ事業は売上高990億3,600万円、セグメント利益45億300万円、プレミアムサービス事業は売上高67億5,000万円、セグメント利益4億2,000万円、海外事業は売上高46億6,800万円、セグメント利益7億2,400万円となりました。

事業セグメント別 新規出店一覧

先ほどご説明のとおり、主要3セグメント事業すべてにおいて増収増益を果たしています。その背景にあるのは、主力3事業で重ねてきた積極的な出店です。スライドに記載のとおり、グループ全体で15店舗以上の新規出店によって売上を伸ばし、利益をプラスにしていく動きが見てとれます。

国内ブックオフ事業 実績

セグメントごとの数値と取り組みの詳細です。国内ブックオフ事業は、先ほどご説明したとおり増収増益となっています。

商材別の取り組みとしては、直営既存店において、トレーディングカード・ホビー、アパレル、貴金属・ブランドバックなどを中心に、インバウンド需要等も功奏し、売上を伸ばしています。

特に、国内ブックオフ事業のピークのタイミングである第3四半期において、着実に買取と売上を伸ばしたことが増収増益につながりました。

国内ブックオフ事業 直営既存店の状況

商材別の内訳の詳細をご説明します。全体として、年間を通じた既存店の売上高は前年比106.5パーセントとなりました。主に、直近で積極的に取り組んでいるトレーディングカード・ホビーなどの大きな伸びに加え、アパレル・ブランドバッグなどが前年を大幅に上回っています。

トレーディングカードについては、昨年夏にポケモンカードの相場高騰による偏重がありましたが、その影響をホビー商材が取り返し、トレーディングカード・ホビーの分野で大きく売上を伸ばしています。

結果として、ブックオフの事業で売上の中核となる本・ソフトメディアについては、売上構成比が50パーセントを下回り、48パーセント内外となったものの、引き続き前年並みの売上を確保しています。

中核の商材が売上を確保したことに加え、新たに取り組む商材も売上を伸ばし、既存店売上を成長させています。

国内ブックオフ事業 インバウンドの状況

最近、売上伸長の1つの要素として活況を呈しているのが、インバウンドによる需要です。私たちに限らずさまざまな産業、小売・サービス業でプラス効果をもたらしており、インバウンドによる私たちの売上高は、コロナ禍前と比べて3倍以上の伸びを示しています。

コロナ禍前は、主に貴金属・時計・ブランドバックがインバウンド需要の中心でした。しかし、直近の取り組みを進めていく中、ブックオフの店舗ではトレーディングカード・ホビーの商品が充実してきました。

また、日本のコンテンツが世界に注目されることで高まる需要に伴い、トレーディングカード・ホビーもさることながら、IPに関わるソフトメディアも大きく売上を伸ばしています。

プレミアムサービス事業 実績

プレミアムサービス事業の状況です。先ほどお伝えしたとおり、年間を通じて増収増益を果たすことができました。貴金属相場の高騰に加え、常設店舗のみならず、買取イベントの回数増加により仕入高が増え、売上利益に貢献しています。

後ほどご説明しますが、中期経営方針では、プレミアムサービス事業での積極的な出店に伴い、人員拡充と人材育成の機会の提供を推進しています。新規出店についても、機会があれば時期を問わず進め、第4四半期には積極的な先行投資による影響が表れています。

プレミアムサービス事業 仕入高推移

プレミアムサービス業の仕入状況です。プレミアムサービス事業においては、仕入・買取を増やし、売上利益への転化をいかに加速していくかがテーマとなっています。

主たるパッケージ事業である「hugall」「BOOKOFF総合買取窓口」の合計では、前年同期比120.1パーセントを達成しました。

海外事業 実績

海外事業についても、2024年5月期は1年を通じて増収増益となりました。

アメリカで展開する「BOOKOFF」、マレーシアを中心とする「Jalan Jalan Japan」それぞれが出店を加速し、売上利益の伸長に寄与しました。積極出店を後押しするため、マレーシアでは大型倉庫への移転も実現しています。

海外事業 店舗パッケージ別売上高推移

結果として「BOOKOFF USA」「Jalan Jalan Japan」の売上は、それぞれ110パーセント水準で堅調な伸びを見せています。

ブックオフグループ中期経営方針 概要

昨年発表した中期経営方針とその進捗についてご説明します。

あらためて、私たちが創業から30年以上の運営で大切にしてきた考え方は、2つの経営理念に基づく運営と、人材育成を中心とした事業拡大です。その道しるべとしてMission・Visionを掲げ、経営しています。

昨年、2028年までの中期経営方針を発表しました。その方針のもと、私たちが目指す姿は、引き続き強いブックオフという事業を中核に抱えながらそれを深掘りしていくこと、そしてまだ取り切れていない市場やチャンスをものにしていくための探索を進め、持続的な成長を果たしていくことです。

ブックオフの事業はさまざまな変化を遂げ、非常に強くなってきています。その力を活かしながら、「ブックオフだけじゃないブックオフグループ」にするためにグループ全体で事業ポートフォリオの変革を行い、持続可能な成長を果たしていきます。

ブックオフグループ価値創造MAP

その目指す姿を示したのがこちらのスライドです。先ほどからお話ししている主要3事業については、国内ブックオフ事業が安定した収益を稼ぎ続ける中で、プレミアムサービス事業と海外事業で引き続き出店を加速し、事業規模・利益規模の拡大を狙っていきます。

それと並行して、この3事業にとどまらず、新たな事業機会やM&Aをきっかけに、グループの姿をより堅固なものにしていきます。

利益目標と獲得イメージ

目指している売上・利益の水準としては、売上高1,300億円以上、経常利益45億円以上を掲げて進めています。

この売上・利益の伸びについては、主に探索領域として掲げているプレミアムサービス事業、海外事業、あるいは現在事業開発を行っている戦略領域がより大きく寄与していく世界を目指しています。

国内ブックオフ事業 中期方針

各事業の中期方針のおさらいと、取り組みの進捗をお話しします。

まず、国内ブックオフ事業は売上・利益ともに約8割を構成しており、これからも非常に大切な事業となっています。私たちは、国内ブックオフ事業を通じてお客さまへ最高のリユース体験を提供することで、リユース人口を増やしていきます。

それを実践していく上で、私たちの強みである本を中核商材とし、それと組み合わせながら地域に合わせた商材の拡張を図っていきます。

その過程において「​​BOOKOFFを超便利に・超面白く」を方針として掲げ、「顧客戦略」「買取戦略」「デジタル戦略」「人財戦略」という4つの柱で取り組みを進めています。

国内ブックオフ事業 中期方針

商材のトレンドとしては、スライド左側に示しているとおり、本・ソフトメディアで大きく市場が伸びていくことは見込みにくい状況です。しかし、人々にとってソフトメディアや本は今でも必要不可欠なものであると認識しています。

本・ソフトメディアを安定的に供給し、お客さまに喜んでいただく世界を続けていきながら、それ以外のさまざまな商材を拡張していくことで伸ばしていきます。

それを実践していく上で、当然ながら店舗パッケージをより大きなものにしたり、あるいは専門業態を開発していくことが重要です。接客においても、よりそれぞれの商材に合わせた内容にしていく必要があります。

また、他の小売・サービス業と同様、今の時代の流れとしてはデジタルの活用が必要不可欠です。私たちとしても、人の育成もさることながら、いかにデジタルを活用していくのかといったところを並行して進めていく方針です。

国内ブックオフ事業 商材毎の方針

商材ごとの直近までの進捗です。特に本・ソフトメディア以外の商材に関しては、それぞれの商材に応じた動きを進めています。

アパレルについては、非常に多くの同業プレイヤーがいる中で、より単価の高いものを取り扱いながら魅力を上げています。

ブランドバッグ・貴金属等については、査定の効率を上げ、より信頼性を高めていく動きを進めています。

本・ソフトメディアに関連して、私たちの強みとなりつつあるトレカ(トレーディングカード)・ホビーについて、特にトレカはモノを買う・売るだけでなく、遊ぶ場所としての価値を高めていくための売り場構成を行っています。

ホビーについては、さまざまなジャンルを取り扱うことに加え、プラモデルの組み立てイベントなど、取扱商材と遊びの要素を加えながら、場所の魅力を高める動きを進めています。

スポーツ用品については、昨今の暖冬の影響を鑑み、引き続き強いマリンスポーツ・ウィンタースポーツの取り組みを進めていきます。また、通年で楽しめるスポーツやアウトドア商品の拡充も進めているところです。

一方で、土台となっている本・ソフトメディアについては、引き続きたくさんのお客さまから商品を引き受け、販売していく動きが中核となります。

特に1次市場の本については、新品の本の価格が年々上がってきている傾向です。このトレンドに応じた価格施策を進めていくことにより、売上・利益の確保を考えています。

国内ブックオフ事業 アプリを軸とした販売施策・買取施策の進捗

デジタル活用については、従前取り組んでいる公式スマホアプリを中心に、ご来店いただかなくてもいつでもどこでも「BOOKOFF」を楽しみ、注文できる取り組みを行っています。さらに、今後成長していくために必要となる買取の増強に向けた利便性の向上も図っています。

ネットで注文して店舗で受け取る「店舗受取サービス」はご好評いただいており、引き続き前年比110.5パーセントという水準で堅調な伸びを示しています。

「店舗受取サービス」が来店のきっかけを生み、そのうち3人に1人の方に「ついで買い」をしていただけます。売り場に来ていただくことで「BOOKOFF」の変化を感じていただける取り組みにつながっています。

一方、足元で強化している取り組みとして、スライド右側に示している買取サービスがあります。「キャッシュレス買取サービス」は、現金でなくキャッシュレスで買取金額をお支払いすることで、店舗にお持ちいただいた後は店内で待つことなくお出掛けしていただけるサービスです。

宅配買取においても、宅配業者がご自宅にうかがうという集荷スタイルだけでなく、コンビニエンスストアに持ち込んでいただくことで、ご自身のタイミングで発送できる「持ち込み買取サービス」を拡充しています。

国内ブックオフ事業 アプリ会員数推移・アプリ会員別利用促進施策

中核となる公式スマホアプリ会員は、前期末の段階で750万人を突破し、現在も毎月堅調に増えています。

会員の方々に当社サービスをより活発にご利用いただけるように、公式スマホアプリ会員へのサービスとして、「ロイヤルティプログラム」の提供や来店促進ポイントの付与、タイミングに応じたポイントの付与、クーポンの配布を行っています。

これにより、会員数の獲得だけでなく、毎月ご利用いただける会員(MAU)の拡充に挑戦しています。

国内ブックオフ事業 IT投資の進捗

これらの事業を下支えしているのは、私たちが運営に使用しているIT基盤です。昨年来、開発を進めていた新しい店舗のPOS(販売管理)システムは2023年12月に開発が終了し、現在は直営店・加盟店に順次展開を進めています。

今後はより一層買取しやすい環境にしていくための買取サイトの再構築に加え、ネットの機能を拡充していくためにEC庫内のシステム強化を進めていきます。

プレミアムサービス事業 中期方針

プレミアムサービス事業の中期方針のおさらいです。

中核となるブックオフ事業が広く多くの消費者の方々にリーチできる一方で、一定の所得層以上、あるいは金融資産をお持ちの方々にとっては少し縁の遠い店舗となっている状況を鑑み、あらゆる方々にリユースを提供したいと考えています。

そのために、私たちが長年培ってきた運営力や安心感をより幅広いお客さまに提供しようということで、プレミアムサービス事業では一定の所得層以上、金融資産をお持ちの方々をターゲットとして事業を展開しています。

プレミアムサービス事業 店舗パッケージ別店舗数の進捗と見込み

目指している姿としては、積極的な出店を通じて2028年5月期末のタイミングで100店舗体制を構築していくため、現在は店舗展開を進めています。

プレミアムサービス事業を構成するのは、百貨店を中心に展開する「hugall(ハグオール)」、路面店を中心に展開する「BOOKOFF総合買取窓口」、そしてジュエリーを専門に、買取だけでなくリメイクやリペアを提供する「aidect(アイデクト)」です。

この3つのサービスを通じてさまざまな接点を用意し、ご利用いただける機会を提供しようと進めています。3つをうまく織り交ぜながら、現在の50店舗近い体制を100店舗に引き上げていくことで、買取を伸ばしていきます。

特に東京都の都心部では、ドミナントの形成ができつつあります。20店舗以上のドミナント出店を行うことで、安定した運営が行える状態を作っていきます。

100店舗から集められる買取商品を売上にうまく転嫁していくことにより、仕入が売上に変わり、利益につなげていくという戦略です。

プレミアムサービス事業 売上高の進捗と見込み

販売チャネルとしては、まず、BtoB販売があります。こちらは、主に百貨店に展開している「hugall」で買い取った高単価商材を活用しています。それ以外の「BOOKOFF総合買取窓口」や「aidect」の店頭では、お客さまに直接販売を行っています。

そして、買い取った商品をさらにお客さまに広くお届けするためのEC販売も進めていくことで、買取の増加が売上・利益の増加につながる世界を作っていきます。

プレミアムサービス事業 販売チャネル開発の進捗

直近では、特にEC販売の動きを加速しています。2023年1月にECサイトをリニューアルし、「rehello(リハロ)」という名前でブランドを立ち上げて進めてきました。「rehello」のEC販売は前年比138.6パーセントと、堅調な伸びを示しています。

出店によって店舗数が拡大する中で、ECサイトとプレミアムサービス事業の店舗をつなぎ、「店舗お取り寄せサービス」や高単価の品物を実際に見てご購入いただける環境を作ることで、幅広いお客さまにご満足いただける世界を作っていきます。

海外事業 中期方針

海外事業の中期方針の内容と進捗です。こちらは、海外の「BOOKOFF」としてアメリカを中心に展開する部分と、国内で買取を行い、残念ながら売り切ることができなかった品物を海外に輸出し、マレーシアを中心に展開する「Jalan Jalan Japan」という事業があります。

この2事業については、まだ広げられる余地が大きいと考えています。長期プランとして、2033年5月期にアメリカの「BOOKOFF」を100店舗、「Jalan Jalan Japan」を世界に100店舗展開するという構想を掲げ、それを実現していく上で国内との連携を進めていくことに取り組んでいます。

海外事業 店舗パッケージ別店舗数の進捗と見込み

当面の目標として、アメリカでのブックオフ事業は、2028年5月期末までに直営店で30店舗体制の展開を考えています。

マレーシアの事業は、マレーシア国内のみならず、カザフスタンにも展開しながら、2028年5月期末に50店舗体制まで広げていこうと考え、積極的な出店を進めています。

海外事業 出店方針 BOOKOFF USA

アメリカでは、長年運営を続ける中で、西海岸のカリフォルニア州を中心に店舗を展開してきました。

アメリカ国内における日本のアニメコンテンツに対する注目度の高さは、新型コロナウイルスを契機に高まってきています。また、インバウンド需要に代表されるように、日本に来日して楽しんでいただく方々が増えたことを背景に、現在は全米にチャンスがあると考えています。

まずは一つひとつの州、メガシティをターゲットに、2つの店舗のパッケージを用意して出店を広げていく計画です。

1つは、日本の「BOOKOFF」と同じように本が中核商材であり、プラスアルファでアニメ商材、またはそれに関連する商材を取り扱っていきます。もう1つは、できるだけ本はコミックスのみに限定し、アニメ専門のパッケージとして小規模店舗で展開することで広げていく予定です。

前期はカリフォルニア州に続き、アリゾナ州への出店がスタートしました。これを契機に、東海岸でも中西部でも店舗を広げていく動きを加速していきます。

海外事業 出店方針 Jalan Jalan Japan(マレーシア・カザフスタン)

「Jalan Jalan Japan」は立ち上げ以来、マレーシアを中心に展開してきました。

マレーシアではクアラルンプールを中心として、南部のジョホール、あるいはペナンに直営店や加盟店を展開していましたが、直近では東海岸への出店も含め、マレーシア全土への出店プランを組み立てています。

また、気候が温暖なマレーシアにとどまらず、寒冷地でも取り組みができるのではないかと考えています。カザフスタンの事業者からお声掛けいただいたことをきっかけに、2022年1月、2023年10月には、カザフスタンの主要商業都市アルマトイに「Jalan Jalan Japan」の加盟店を出店しました。

その反響は非常に良く、日本に対する信頼感や、日本で利用される、あるいは日本製であることへの信頼性に伴い、非常に堅調な推移を見せています。この事業性の高さを踏まえ、現地事業家と合弁会社を設立し、2024年4月より直営店での出店をスタートしました。

海外事業 Jalan Jalan Japan 全国Rヤードとリユース・リサイクル

それを下支えしているのは、国内における商品の供給体制です。国内にある「BOOKOFF」の売り場から提供される品物をより幅広く確保するため、札幌やつくばなどにヤードを構え、より多くの品物を「Jalan Jalan Japan」に供給できる体制を作っています。

また、私たちの姿勢として「できるだけ価値のあるモノを価値あるかたちにしたい」と考えています。マレーシアでの「Jalan Jalan Japan」事業は、国内で使用されていた、まだ利用価値のあるモノを海外へお届けする事業です。

残念ながらそこにかなわないものについても、外部パートナーを交えながら、スライド右下に記載のとおり、本から家電まであらゆる商材をリサイクル等につなげられる動きを加速することで、環境負荷の軽減に貢献していきます。

財務方針

主要事業について、現在の取り組みと中期で目指す姿についてお話ししました。こちらのスライドでは、グループ全体の財務について、どこを目指していくのかを示しています。

先ほど「目標とする経常利益の水準は45億円以上」とお伝えしましたが、当然ながら財務効率を念頭に置いた運営を行っていきたいと考えています。

現在のROAの水準は6パーセント強ですが、より効率的な経営・運営を行うことにより、経常利益ベースで9.0パーセント以上のROAを目指していきます。

資本コストを意識した経営の実現に向けた対応

先ほどお伝えした中期の数値目標に照らして考えると、2024年5月期は経常利益34億4,000万円、ROA6.6パーセントとなりました。

より資本効率の高いプレミアムサービス事業、海外事業を伸ばすことによる成長や、国内のブックオフ事業の在庫効率をより高めていく取り組み等の推進によって、ROAを高めていきます。

サステナビリティTOPICS① 基本方針

財務的な目標以外で大事な要素は、私たちが持続可能な成長をしていくためのサステナビリティに関する取り組みです。

昨年、みなさまにご説明した「ESG」の切り口で掲げている基本方針に変更はありません。特に気候変動に関しては、私たちの主たる事業であるリユース事業が大きく貢献できると思っています。

サステナビリティTOPICS② 気候変動への対応

我々自身も、排出者としてカーボンニュートラルの世界を目指していく必要があると思っています。TCFDへの賛同に伴い、私たちとしてはみなさまにしっかりと状況を開示していく取り組みを進めています。

現在は2045年度でのカーボンニュートラル達成に向け、2030年度にCO2排出量を半分にする動きを進めています。

また、再生可能エネルギーの導入も積極的に進めています。CO2の排出量については、スライド右下に記載しているとおり、昨年は再生可能エネルギーを活用することでScope2の排出量の水準を大幅に削減することができました。引き続き、取り組みを進めていくことで目標達成に努めていきます。

サステナビリティTOPICS③ 人的資本への対応

私たちが人材を中心に会社を成長させていくことを掲げている中で、人に対する目標は非常に大事な要素となっています。

さまざまな取り組みがありますが、目標としては女性の活躍、また、働きやすさの代表的なものとして育児休暇を取得しやすい環境整備、それによって仕事と生活を両立できる世界を目指していくことを進めています。

働きやすさの改善は先行して進めており、育児休暇の取得は目標水準を超えています。しかしながら、まだ女性の活躍機会については道半ばです。

キャリアデザインをより具体的に認識していただけるような勉強会を進めていきながら、時間をかけて達成に向けて取り組んでいきます。

サステナビリティTOPICS④ 各種取り組み

昨今、私たちの取り組みにご賛同いただける自治体や関係者の方々が非常に増えていると感じています。

私たちが誠実にいろいろな方々とパートナーシップを組むことで、リユースという世界をよりポジティブにしていけると思っています。仕方なくリユースするのではなく、一人ひとりがより前向きにリユースをすることで豊かな生活につなげていくような世界を目指していきます。

2025年5月期 連結業績と配当予想

2025年5月期の見通しについてご説明します。

連結業績の見通しについて、売上高1,200億円、営業利益35億円、経常利益38億円、純利益は21億円と、増収増益の見通しを掲げています。中期の経営方針に則り、引き続き積極的な出店を重ねていくことで、増収増益を進められると思っています。

純利益については、前期は特別調査委員会の調査費用等の影響で減益となりましたが、今期はそのような要素がなくなってくるため、大きく増益を果たしていきたいと考えています。

2025年5月期 業績予想の前提

2025年5月期の取り組みの前提は、スライドに記載のとおりです。主要3事業に加え、トレカ専門店も出店を広げていくことによって、年間30店舗以上の出店を実現していく方針です。

2025年5月期 連結経常利益予想 事業セグメント毎の増減

スライドには、利益の増減をセグメントごとに記載しています。

国内ブックオフ事業は、前期のITの取り組みが少し遅れてしまったことに伴い、費用が今期にずれ込んだことが影響しています。加えて全社費用とのセグメント取引の影響等があり、若干の減益です。

プレミアムサービス事業も、前期の販売政策、あるいは全社コストとのセグメント取引における取引費用の見直しに伴う影響が出ています。

しかし、グループ全体としては増益を果たしていきます。この1年であらためて足場を整えていくことによって、通期の経営方針に則った成長を進めていけるよう、積極的な投資姿勢、人材の確保を各事業で進めていきます。

前期の決算については、特別調査委員会を立ち上げざるを得ないこととなり、大変ご迷惑、ご心配をおかけする状況を作ってしまいました。あらためて、最後にこの場でお詫び申し上げます。

今回このようなことが発生しましたが、私たちの中期経営方針で掲げている目指す姿は、引き続き変わりはありません。リユース市場が成長を続ける中で、私たち自身がこの業界をリードできる存在になれるようにあらためて襟を正し、再発防止策も含めて取り組みを進めていきます。

1年ずつ、目指す姿を目標に結果を出していきます。引き続きご指導いただければと思います。私からの説明は以上です。

質疑応答:2025年5月期予想売上高の内訳について

「2025年5月期の見通しでは売上高1,200億円ということですが、その内訳を教えてください」というご質問です。

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