業績の概況

小池敏弘氏:本日はお忙しい中、2024年12月期第3四半期の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社サイバーセキュリティクラウド代表取締役社長兼CEOの小池です。私から、2024年12月期第3四半期の決算概要とトピックスについてご説明します。

まずは業績の概況です。第3四半期累計で、売上高は28億100万円、営業利益は6億9,700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億7,100万円と、順調に成長しています。また、各段階利益は期初予想を上回って着地しました。

最終的な通期予想は後ほどご説明しますが、第4四半期は積極的なマーケティング施策を実施したいと考えています。

ARRの推移

ARRの推移です。第3四半期は、前年同期比プラス25.3パーセントとなりました。第2四半期の成長率が前年同期比プラス21.3パーセントでしたので、成長が再加速しています。この要因はいくつかありますが、主に8月に実施した「WafCharm」の価格改定が全体のARR増加に寄与しています。

攻撃遮断くんとWafCharmの解約率

解約率です。今お伝えしたとおり「WafCharm」は価格改定を実施しましたが、特段目立った解約はなく、「攻撃遮断くん」「WafCharm」ともに低位で安定的に推移しています。

売上高の推移

四半期売上高の推移です。「WafCharm」の価格改定効果により、ストック収益が大幅に増加しています。

さらに、「CloudFastener(クラウドファスナー)」の新規案件や「WafCharm」の海外における大型案件の獲得などが重なり、第3四半期は四半期での新規受注金額が過去最高となりました。こちらは、第4四半期以降のARRや売上高にも寄与します。

営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移

営業費用は、第3四半期トータルで7億5,000万円となりました。製品開発や製品のインフラコストの値上げ等もあり、通信費と業務委託費が若干増加しています。

第4四半期は、昨年も参加したアメリカのラスベガスで行われる「AWS re:Invent 2024」への出展を含めたマーケティング投資を実施する予定ですので、費用は第3四半期より増えると想定します。

サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員

従業員数です。先日、受託開発事業の譲り受けにより、株式会社ジェネレーティブテクノロジーを新設しました。こちらはスライドの数字には反映されていませんので、今期末の人員はさらに増える予定です。

プロダクトの機能強化および提供範囲の拡大

2024年12月期第3四半期のトピックスです。まずは、機能強化および提供範囲の拡大についてです。

スライド左側の「WafCharm」は、お客さまにとってより使いやすい機能のアップデートを長らく検討していましたが、ようやく実現しました。今後も、さらに使いやすいプロダクトへ進化させたいと考えています。

「CloudFastener」は昨年、AWS版として第1弾をリリースしました。その後、今年7月にはGoogle Cloud、10月にはMicrosoft Azureにも対応し、まさにマルチクラウドのフルマネージドサービスが誕生しています。

上場企業への導入が着々と進むCloudFastener

「CloudFastener」の導入実績をご紹介します。スライドに記載のとおり、上場企業の中でもWebサービスやWebを使ったビジネスを展開しているお客さまへの導入が着実に進んでいます。

スライドには細かく記載していますが、概して言えば、セキュリティ人材や知識・経験が足りない場合に「CloudFastener」を活用することで、課題に対してセキュリティを担保する事例がどんどん出てきています。

先ほどご紹介したマルチクラウド版も、スライド右下のグローブライドでさっそくご利用いただいていますので、今後の成長が大いに期待できると捉えています。

CloudFastenerは更なる顧客獲得に向けた投資フェーズへシフト

「CloudFastener」は昨年10月に新商品としてリリースしましたが、構想はさらに1年ほど前から続けていました。製品として出した後、私たちが仮説で捉えていた課題やそれに対する解決策が世の中に受け入れられるかどうかは、わからない状況でした。

そのため、まず昨年10月以降は、私たちの製品がニーズに合っているかどうかを見るため、「WafCharm」や「攻撃遮断くん」の既存顧客を中心にご案内してきました。その結果、現在のお客さまの多くは既存顧客です。

クロスセルに成功し、顧客獲得コストもしっかりと抑えながら最初の第一歩を踏み出すことができました。そして今年はさらに大きくマーケティングを仕掛け、世の中の多くのお客さまにフィットする確信を持てました。

今年6月には、アメリカのフィラデルフィアで開催されたAWSセキュリティ専門のカンファレンスや、日本で開催された「AWS Summit Japan 2024」という非常に大きなイベントに出展しました。加えて、いろいろな外部イベントへの参加や自社セミナーの実施により、現在は新規顧客のリードがどんどん増えてきている状況です。

今後は「CloudFastener」という名称の認知度も向上させつつ、大型プロモーションを含めて価値を訴求するフェーズにシフトします。第4四半期から来期はしっかりとリードにリーチし、多数のお客さまにご利用いただきたいと考えています。

海外売上高比率10%超に向けてマーケティング施策を強化

グローバルについてです。当社は、2025年の成長戦略で「海外売上高比率を10パーセントにしたい」と掲げています。

これまでは具体的な海外売上高比率を公表できていませんでしたが、2024年第3四半期末は9パーセントまで上がってきています。当然ながら、2025年に向けて掲げた10パーセント超は達成していきたいですし、達成できる見込みで事業は進んでいます。

全体で見れば、海外売上高比率はまだ9パーセントですので、とても大きな金額というわけではありません。しかし、グローバルで大型顧客との直接取引が広がってきていることは、良いトピックスです。

特に北米や中南米においては、私たちが今年出展した海外カンファレンスなどを起点にしながら、大きな契約が取れ始めています。スライド左下に記載のとおり、中南米で非常に有名なフィンテック企業が、我々の競合製品から「WafCharm」へ切り替えいただきました。ARPUが非常に高く、ご満足いただいています。

第4四半期は、今年も再来週からラスベガスのイベントにブースを出展します。このような接点をもって、さらに世界中のお客さまに売っていきたいと考えています。

また、当社のアメリカの組織も順調に拡大し続けています。つい先日も、サイバーセキュリティ業界のマーケティング経験者がアメリカの現地法人に入社し、この12月のイベントがデビュー戦となっています。

加えて、以前からいろいろなパートナーと組んでビジネスを成長させていこうと試行錯誤してきましたが、その歯車がようやく回り始めています。お客さまを相互にご紹介しあったり、それぞれの製品を使って1つの課題を解決したりと、日本とは違うアプローチで柔軟なマーケティング施策やリード獲得施策を実行しています。

M&Aによりシステム開発事業がグループに加わり事業領域を拡大

M&Aによりシステム開発事業が加わりました。2024年10月1日にシステム開発事業を譲り受け、そのための法人を設立しています。

私たちの根幹はソフトウェアを作る会社であり、これからも変わりません。しかし、IT開発人材はどの会社も不足しており、さらにセキュリティがわかる開発人材やエンジニアは本当に少ないです。

それゆえに当社のサービスが利用されるわけですが、やはり人でしかできない部分やエンジニアリングでしか解決できない課題も多数あります。そこで、当社がシステム開発事業にセキュリティの知見やノウハウを融合させ、グループ全体でセキュアな開発環境を構築・運用することを一気通貫で提供していきたいと考えています。

業績予想の修正

業績予想の修正についてです。期初に掲げたレンジでの業績予想から、売上高は38億円、営業利益は7億円に修正しました。今回の修正におけるポイントは2点です。

1点目は、進行期の第4四半期において、来期に向けた大型の先行投資を行う予定だということです。第4四半期単体ではほぼ利益が出ませんが、これは成長戦略の最終年にあたる2025年をしっかりと超えていくための投資だと捉えています。

2点目は、今年は期初から不確定要素が多かったため、レンジでの開示を行っていたことです。最終的には数字が見え始めてきたため、修正を行いました。

私たちにとって最も重要かつ大きな目標は、当社初の中期経営計画を2025年にしっかりと達成することです。こちらに対する今年の仕込みは非常に順調に進んでいますので、今回もレンジ内に収まっていますが、期末に向けても大変楽しみにしているところです。

以上で、決算概要およびトピックスのご紹介を終了します。

質疑応答:第4四半期にコストが集中する理由について

「なぜこれほど極端に第4四半期にコストが集中するのでしょうか? 来期以降も、競争力維持に向けて相応のコストを要すると考えるべきでしょうか?」というご質問です。

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