2025年3月期 上期決算の概要
舩木俊之氏(以下、舩木俊之):代表取締役会長兼社長の舩木俊之です。本日はご参加いただきまして誠にありがとうございます。
新型コロナウイルスによる混乱期後、IDECとしても、大幅な構造改革に取り組んでいます。そちらについて、取締役上席執行役員の舩木崇雄と、マーケティング戦略担当上席執行役員のアルノ・モンディよりご説明し、その後、ご質問にお答えします。
上期連結決算のポイント
元山理映子(以下、元山):コーポレートコミュニケーション室室長の元山理映子です。上期業績についてご説明します。
上期の業績は、流通在庫調整の影響や、欧州の需要落ち込みなどにより、売上高は前年同期比12.5パーセント減の331億円、営業利益は前年同期比61.7パーセント減の16億円となりました。中間配当は当初計画どおり65円としています。
連結業績概要<連結損益計算書>-1
業績概要です。在庫の影響による売上減少に加え、労務費は減少したものの、為替の影響により販売管理費が増加したことなどにより、営業利益率は4.7パーセントとなりました。
連結営業損益変動要因
営業利益の変動要因です。製品価格改定効果があったものの、収益性の高い日本の売上減少や、原価率の悪化などにより、前年同期比で約25億円減少しました。
連結業績概要<連結損益計算書>-2
四半期別では、収益性の高い日本の売上が回復したことなどから利益率も改善し、第2四半期の営業利益率は7.5パーセントとなりました。
仕向地別売上状況
仕向地別では、日本はロボットや工作機械などの主要産業での足踏み感に加え、流通在庫やエンドユーザー在庫の調整局面の影響により、売上が減少しました。
米州では、流通在庫が一定水準に落ち着き、受注も回復傾向となったものの、受注残の消化が進んだことで、売上は減少しました。
EMEAは、欧州市場における景気低迷や地政学的リスクの影響などにより、主要産業の需要が落ち込んでおり、減収となりました。
アジア・パシフィックは、引き続き中国経済の景気減速の影響を受けたことで、減収となりました。
仕向地別売上状況(四半期推移)
四半期別推移では、日本の売上が第1四半期比で回復した一方、欧州の影響を受けたEMEAの売上は減少しました。
製品別売上状況
製品別売上高です。グローバルでの流通在庫の影響により、各事業で売上は減少しました。
オートメーション&センシング事業については、主に米州においてプログラマブルコントローラーが減少し、売上は減少しました。
安全・防爆事業については、日本や中国市場を中心に、半導体や工作機械などの主要産業の需要が減少したため、安全関連機器の売上が減少しました。
製品別売上状況(四半期推移)
製品別売上の四半期別の推移は、スライドのとおりです。
受注状況
受注高については、流通在庫の影響はまだ残っているものの、EMEA以外の地域では前年同期比で増加傾向となっています。
受注状況(四半期推移)
受注高の四半期別の推移です。ドイツやフランスなど、欧州における市況悪化の影響を受けたEMEAや、OEM先からの受注が減少しているアジア・パシフィックについては、当初想定よりも厳しい状況となっています。
受注状況(四半期推移)
受注高の推移は、スライドのとおりです。
連結業績概要 <連結貸借対照表>
連結貸借対照表です。資産については、売上債権や固定資産、棚卸資産が減少したことなどにより、総資産は前期末比で約48.9億円減少しました。
自己資本比率は、前期末比で1.1パーセント上がり、62.3パーセントとなりました。
連結業績概要 <棚卸資産>
棚卸資産の推移は、スライドのとおりです。前第2四半期をピークに徐々に減少しています。
後ほどご説明しますが、今後は過剰在庫を廃棄した上で、適正水準を維持できる体制へと転換していきます。
連結業績概要 <連結CF計算書>
連結キャッシュ・フロー計算書です。営業活動によるキャッシュ・フローについては、売上債権および契約資産の減少などにより、約67.4億円となりました。
新生IDECに向けた構造改革
舩木崇雄氏(以下、舩木崇雄):北米事業、生産、SCMを担当している、取締役上席執行役員の舩木崇雄です。私より、構造改革の取り組みの詳細についてご説明します。
現在、新しいIDECへと生まれ変わるための構造改革をグローバルベースで推進しています。2025年3月期は、飛躍に向けた基盤固めの年と位置づけ、グローバルでの事業再編や、人材、在庫の適正化を進めています。
新生IDEC実現に向けたロードマップ
「新生IDEC」の実現に向けて、顧客中心のビジネス構造の構築と、「One IDEC」の実現が必要不可欠と考えています。グローバルでマーケットニーズに即応できる体制を作るため、業界・顧客中心の事業・マーケティング戦略への転換、顧客ニーズを踏まえたソリューション事業の拡大を図っていきます。
事業推進体制としては、アジア・北米・欧州での開発拠点の整備や、事業・拠点のグローバル最適配置を進め、それを支えるために、人材の獲得・育成、グローバルITシステムの構築などを推進しています。詳細は後ほどご説明します。
顧客課題を解決するソリューション事業拡大
アルノ・モンディ氏(以下、モンディ):マーケティング戦略担当、上席執行役員のアルノ・モンディです。私から、ソリューション事業についてご説明します。
IDECでは、お客さまの課題を解決する、真のソリューションプロバイダーとなるために、4つの取り組みを推進しています。
1つ目に、特定の注力業界やアプリケーションに特化したチームを強化し、クロスファンクショナルなチーム体制を作っていきます。
2つ目に、プロダクトマーケティングチームを強化し、キーコンポーネンツとなる製品の収益性の向上や差別化に力を入れていきます。
3つ目に、お客さまの付加価値を提供できる、ez-Wheelプロダクトやレーダセンサといった競争力のある製品を中心に、専任プロジェクト体制を作り、各機能が一体となってスピーディな提案を行っていきます。
4つ目に、コンサルティング・サービス事業を創出することで、単なる製品の提供にとどまらず、幅広い提案ができる体制にしていきます。
【事例紹介】 ez-Wheel プロダクト
2023年に買収したフランスのez-Wheelの製品は、多様なソリューション展開のキーデバイスとなる製品の1つです。
この製品は、多様な業界から引き合いをいただいています。特徴的な製品として、既存の台車に取り付けて簡単に電動化することができる、アシストホイールドライブの動画をご覧ください。
【事例紹介】アシストホイールドライブによる台車省力化ソリューション
採用事例をいくつかご紹介します。こちらは、アシストホイールドライブによる、台車の省力化ソリューションの事例です。
建築機械の製造ラインでは、重い部品を人が運ぶため、退職者が多いことが課題となっていました。IDECのソリューションを採用していただくことで、台車を簡単に電動化でき、1人でも簡単に台車を操作できるようになりました。
【事例紹介】セーフティホイールドライブ(SWD)によるAMRソリューション
こちらは、海外の自動車メーカーで使われている、AGVやAMRを使ったソリューションの事例です。IDEC独自のナビゲーションソフトを搭載したAWRソリューションを採用いただくことで、国際規格に準拠でき、開発工数を大幅に短縮できました。
顧客ニーズに基づくソリューション、HMI-Xをリードする製品群
ソリューション提案の実現のために、IDECでは「HMI-X」を掲げており、新しい機能を持った多様な製品のラインアップ拡大を進めています。
さまざまなソリューションの採用事例がグローバルで増えていますので、より拡大していけるよう、体制の整備を進めていきます。
One IDECを実現する経営基盤の構築と適材適所な経営資源の配置
舩木崇雄:「One IDEC」を実現するための戦略について、私からご説明します。
今後、グローバルベースで、より顧客中心のビジネス構造へと転換していくために、グローバルでの事業・拠点の再編や、プロセス・IT、人材戦略を進めていきます。
事業再編
事業の選択と集中を進め、より収益性を向上させるために、事業ポートフォリオの見直しを進めています。
その一環として、IDECグループのノンコア事業である、太陽光発電事業の東京ガスグループへの譲渡契約を締結しました。また、ファインバブル事業の承継を実施しました。太陽光発電事業については、2025年3月末にクロージング予定としています。
拠点戦略:拠点のグローバル最適配置
拠点戦略として、APEM買収後のPMIの一環で、過去からグローバル拠点の最適配置を行ってきました。2024年9月には、買収した拠点である京都と木場の事業所を閉鎖し、尼崎へと集約しています。
今後さらに、需要の変動や地政学リスクへの対応、お客さまへのサービス向上を目的とした、グローバルベースでの拠点最適化を進めていきます。
また現在、IDECとAPEMのさらなるシナジーを追求していくために、北米事業の統合を推進しています。2026年3月期に完了する予定ですが、統合後は開発・生産・販売機能を強化することで、より北米市場にマッチした製品を、スピーディに開発・販売できる体制を構築し、シェアの拡大を図っていきます。
開発拠点については、日本、フランス、米国の3拠点をグローバル開発拠点として、組織や体制の整備を進めていきます。
IT・プロセス戦略:グローバルレベルの需給管理強化
IT・プロセスの戦略の一環として、グローバルで生産供給とマーケットをシームレスにつないでいく「Global SCP System」の導入を行っています。これにより、各地域の需要動向を把握し、将来動向を見据えた迅速な生産供給の調整を行い、資本効率の向上を図っていきます。
また、抜本的な事業改革に伴い、現在課題となっている在庫については、過剰在庫を破棄した上で、適正水準を維持できる体制へと転換していきます。
人材戦略
人材戦略として、「新生IDEC」を支える人材を継続的に確保、育成し、グローバルで活躍できる環境を整備していきます。
また、タレントマネジメントにより、国や地域を超えて適材適所に人材を配置することで、グローバルでの事業拡大を進めていきます。
人材戦略:セカンドキャリア支援制度の拡充
グローバルでの事業構造改革の観点から、日本においてはセカンドキャリア支援制度を拡充していきます。多様化するライフプランをサポートするとともに、組織人員の最適化を図っていきます。
より詳細な内容は、中期経営計画としてあらためて発表する予定です。このような構造改革を進めていくことで、基盤を整備し、「新生IDEC」として生まれ変わっていきたいと考えています。
2025年3月期 通期業績予想の修正
元山:通期の業績予想についてご説明します。通期業績は、流通在庫の調整の影響や欧州における景気低迷により、主要製品群の需要回復が予想以上に遅れるなど、厳しい状況が続いているため、下方修正しました。
なお、持続的な高収益企業となるための構造改革に伴って発生する、特別利益や特別損失を計上することで、来期以降の収益性向上を目指していきます。
2025年3月期 通期業績予想
修正予想では、売上高669億円、営業利益率4.8パーセントとしています。
2025年3月期 連結売上高予想
売上高の修正要因としては、日本や欧州の売上が想定より減少する影響が大きいことが挙げられます。
また製品別では、HMI事業が欧州の売上減少の影響を受けており、オートメーション事業はOEMの受注が減少しました。
2025年3月期 配当予想
配当については、期初予想から変更なしの130円としています。予想配当性向は269.7パーセント、DOEは6.0パーセントです。
以上で、決算概要と構造改革の取り組みに関するご説明を終わります。
質疑応答:受注・需要環境の変化について
質問者:需要環境は、第1四半期の市況と比較して、何か変化がありますか? それとも、当初の想定どおりでしょうか?
また、第2四半期の受注は米州や欧州での為替の影響や欧州の季節性もあり、前四半期比で少し下落し、特にアジアの下落は顕著だったかと思います。その要因について、教えていただければと思います。
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