INDEX
若松孝彦氏(以下、若松):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の若松です。個人投資家向け会社説明会を始めたいと思います。
本日のアジェンダは、会社概要、事業概要と強み、業績動向、成長戦略、株主還元です。
企業情報
若松:会社概要です。当社は1957年に創業し、今年で67年目を迎えます。
本社は大阪と東京の2本社制で、現在の資本金は17億7,200万円、従業員数は742名、東証プライムに上場しています。
創業の原点・経営理念
若松:我々は「日本の経営コンサルティングのパイオニア」と呼ばれていますが、その始まりは、創業者の田辺昇一が勤めていた会社の倒産にあります。社会的な損失である会社の倒産を身をもって体験したことで、「この国には企業を救う仕事が必要だ」という思いを抱き、弊社がスタートしました。
当時は「経営コンサルタント」という言葉がまだ一般的ではなかったため、「ビジネスドクター」と命名して事業を開始しました。そのことから、現在も「We are Business Doctors」というメッセージを発信しています。
我々が「日本の経営コンサルティングのパイオニア」と呼ばれている所以には、創業当初から経営コンサルティングファームであったことが関係しています。それが、我々の大きな価値にもなっているのです。
一般的に、会計系やシステム系、キャリア系など、1つの機能を祖業とし、後からコンサルティングを開始するケースが多いのですが、我々は創業時から経営全体に向き合う経営コンサルティングファームでした。
創業以来、「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念を掲げ、現在に至ります。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):創業当時から「ビジネスドクター」と名乗っていたとのことですが、どのような業種の方がビジネスドクターを頼ったのでしょうか?
若松:当時は高度成長期だったため、製造業など、ものづくりの会社が多かったです。しばらくすると、経営というものは生産や製造ではなく、それぞれの機能の集合体であると創業者は気づきました。機能の全体となる経営が大事だということを、創業時から発信し続けています。
我々は、「会社は社長や経営者で決まる」という気づきを踏まえたアプローチを大切にしてきた歴史のある会社なのです。
坂本:当時は製造業が盛んな高度経済成長期だったとのことですが、会社を引っ張っていく立場として、どのようなことをコンサルタントに求めたのでしょうか?
戦後に会社を立ち上げ、製造設備などのサイクルや企業からの大量注文のさばき方など、どのようなものが求められていたのか、どのようなご指導をされていたのか教えてください。
若松:現場で必要となるのは、見本やモデルです。時代に合わせた設備投資や工場建設が必要になりますが、当然ながら、そこには資金繰りやキャッシュフローの問題が出てきます。
生産や製造などの次のフェーズとして、どのような投資をして経営に反映させるのか、そこに当時は見本やモデルがなく問われる部分だったことから、弊社はこの分野での開発を行ってきました。
坂本:非常によくわかりました。次に、これからの変遷について教えてください。
パーパス(貢献価値)&バリュー(私たちの価値観)
若松:弊社は創業の原点・経営理念を大切に、現在は「その決断を、愛でささえる、世界を変える」というパーパスを掲げています。
「決断」は経営者の仕事です。また、それを支える経営コンサルティングには、経営理念に基づいた姿勢や視点、そしてクライアントに対する「愛」がなければなりません。経営者の「決断」には企業や社会、世界を変える力があります。クライアントのみなさまと一緒に100年先の未来を創っていこうということです。
ここにはグローバルも含まれます。社会や常識なども変えていこうといった思いも含まれています。
タナベコンサルティンググループ概要
若松:ホールディングス化により、現在はタナベコンサルティンググループとして東証プライム市場に上場し、事業会社としてタナベコンサルティング、その下に「ストラテジー&ドメイン」「デジタル・DX」「HR」「ファイナンス・M&A」「ブランド&PR」の経営コンサルティング領域があります。
さらに、デジタルマーケティングのリーディング・ソリューション、M&Aやシステム関連事業のグローウィン・パートナーズ、ブランディングやデザインのジェイスリー、PR関係のカーツメディアワークス、そして直近2024年8月にSurpassという会社がグループインし、現在はグループ7社体制となっています。
坂本:グループ化されて、傘下にも多くの企業がありますね。冒頭にお話しいただいたとおり、求められているものが非常に増えてきたことで、このような体制になったのではないかと思います。
全体でどのくらいのコンサルタントが在籍されているのでしょうか? イメージを膨らませるためにも、教えてください。
若松:現在は650名ほどになります。
坂本:かなり大所帯ですね。
若松:約650名のコンサルタントが、今ご説明している経営コンサルティング領域に配置されています。
坂本:ありがとうございます。続いて、グループインしたばかりの企業のご説明をお願いします。
株式会社Surpass のグループイン(2024年8月30日)
若松:8月30日に、60パーセントの株式を取得してSurpassという会社をグループ化しました。同社は、「女性と社会の架け橋になる」というミッションのもと、「日本社会から“女性活躍”という言葉がなくなる日」を目指しています。
坂本:女性の活躍が普通のことになれば、言葉自体はなくなるということですね。
若松:そういうことです。石原社長は「女性活躍」という言葉そのものに問題意識を持っており、女性チームによる組織コンサルティング、新規事業や既存事業における顧客創造といったマーケティングプロジェクト、女性活躍推進総研といった発信機能や人材育成も手がけています。
我々としては、HRにおける、人的資本領域のコンサルティングでシナジーを発揮したいと考えています。また、90パーセントという高いリピート率を有している大企業向けのBtoBセールスおよびマーケティングの支援に関してもシナジーを期待しています。
また、我々TCGのDE&Iおよびサステナビリティ経営を実践・加速させたいと思っています。Surpassがグループインしたことにより、TCGの社員男女比は、男性が50パーセント、女性が50パーセントと、経営コンサルティングファームとしては大変珍しい数値になりました。
TCGが考える経営コンサルティングファームのあるべき姿
若松:事業概要と我々の強みをご紹介します。こちらのスライドは、TCGが考える経営コンサルティングファームのあるべき姿です。
1つ目として、先ほどからお話ししているとおり、経営者視点であることが非常に大切です。人事、財務、デジタルは個別機能なので、経営とは呼べません。
経営には全体の融合が求められます。その周知を集め、決断していくのが経営者やCEOの仕事です。それをトップマネジメントアプローチによって、戦略や組織の本質的な課題を解決していきます。
2つ目として、それに必要な専門性と総合性がポイントです。固有の課題に対して高い専門性を有する複数名のコンサルタントで最適なチームを編成しコンサルティングにあたります。つまり、ビジネスドクターとして治療にあたるということです。
3つ目は、一気通貫の支援です。コンサルタントチームとして人事、財務、デジタル面などを融合し、経営の上流である戦略策定から下流である実装・実行まで一気通貫で支援を行います。
我々が目指しているのは、クライアントのビジョンを実現することであり、それがLTV(顧客生涯価値)を高めるモデルにつながっていきます。以上の3つを、非常に大切なあるべき姿として捉えています。
コンサルティング業界について①
若松:我々は、コンサルティング業界は主に3つのカテゴリに分類できると考えています。
1つ目は顧客企業の売上高規模です。グローバル企業や中堅企業、中規模企業、零細企業、場合によってはスタートアップもあり、規模によって経営課題は異なります。子ども、大人、高齢者など、それぞれに差異がある人間の体と同様です。
2つ目は業種と機能です。業種が得意なコンサルファームもあれば、人事や財務、デジタルのような機能が得意なところもあります。戦略・経営型と特化型があると表現していますが、我々は戦略・経営型に入ります。特化型とは、人事、財務、デジタルなどの特定の機能に特化しているということです。
3つ目は支援領域です。外資系コンサルティングファームに多い戦略・経営/上流支援型は、経営や戦略の上流工程だけを担い、しっかり組み上げていくアプローチです。戦略・経営/一気通貫支援型は、我々のように戦略・経営を一気通貫で支援するコンサルティングスタイルです。
特化型/一気通貫支援型は、例えば人事や財務、デジタルなどの特定の機能に特化した上で、一気通貫で支援を行います。もう1つの特化型は、下流支援型です。こちらはSaaSやサブスクなどのオペレーション、または地域の士業の方々が該当します。
このように、我々は「売上高規模」「業種/機能」「支援領域」の3つのカテゴリでコンサルティングを分類できると考えています。
コンサルティング業界について②
若松:スライドの図は、先ほどのご説明を少しわかりやすくしたもので、縦軸が顧客の売上高規模、横軸が支援領域です。
上流工程を担う戦略ファームや外資系ファームもあれば、下流工程を支援する士業の方もいて、さまざまなかたちで括られています。
競争優位性① 競合他社の少ない独自のポジション
若松:先ほどご説明したとおり、我々の経営コンサルティング領域は、中堅企業を中心に、売上高30億円から3,000億円ほどの中規模企業から大企業の、戦略から実装まで、一気通貫で支援することが可能です。
坂本:幅広い分野と会社規模でコンサルティングを行っていらっしゃいます。売上高が30億円から3,000億円の規模では、かなりの社数になるのではないでしょうか? 戦略の策定から実装・実行まで、広範囲にカバーしている同業他社はありますか?
若松:この領域をカバーし、特化している会社はあります。しかし、戦略や経営の実装まで一気通貫で入っていく会社は我々だけではないかと自負しています。
先ほどお話ししたストラテジー&ドメインからブランド&PRまで、ほとんどの領域をカバーしていなければ、戦略と経営のコンサルティング支援は成り立ちません。
我々の周囲を見てもそのような会社はないので、唯一の位置付けではないかと自負しています。
坂本:窓口が1つで相談できるのは、非常に良いことだと思います。売上高が30億円に近づいてくると、ブランディング、PRやM&Aを頼むのも大変になってくるため、知見が非常に活きてくるのではないかと思いますが、3,000億円近くの企業には専門部署があるのでしょうか?
若松:おっしゃるとおりです。
競争優位性② 全国で中堅企業を中心に大企業から中規模企業を支援
若松:こちらのスライドは、経産省が発表しているデータです。「中堅企業や中規模企業が日本経済の牽引役にならなければいけない」「大企業ばかりではない」といった発信になっています。
我々はまさに中堅企業を中核として、この前後の領域をカバーしています。後ほどお話ししますが、全国で半世紀以上にわたり地域密着で支援を行っているため、我々のクライアントには「業界No.1」「地域No.1」「日本一」などの優良企業が非常に多いです。
結果として、地域創生という地域に貢献できるモデルを会社のビジネスモデルとして構築していることも、我々の強みや特徴、優位性だと思っています。
競争優位性③ トップマネジメントアプローチ×チームコンサル×一気通貫
若松:競争優位性の3つ目は、トップマネジメントアプローチという経営者視点であること、チームコンサルティングで行うこと、それを一気通貫で支援することを、スライドの図で示しています。
チームを組んで実装すると、本質的な課題を発見・解決し、それをまたトップマネジメントに課題として挙げることになります。このサイクルがぐるぐる回っていくことで、結果的にビジョンが実現し、ご縁が長くなります。
坂本:1周だけでなく、何周も行うということですか?
若松:そうです。何周も回していくかたちで、現場の声をトップに上げ、トップの声を現場へつなぎ、それらを解決していくという、顧客企業のことを非常に理解できる体制が組まれています。
坂本:その体制には、おそらくかなりのコンサルタント人数が必要だと思います。大きなところだと何人ほどになるのでしょうか?
若松:大きなところでは、15人から20人ほどになる場合もあります。
坂本:それだけいらっしゃると、かなり心強いですね。
若松:それぞれの経営コンサルティング領域のチームが、全体のバランスを見ながら行っています。実際に入ってみるとプライオリティは変わっていきますが、最初の段階では、そのようなかたちで入らなければわからないケースもあります。
1.トップマネジメントアプローチ
若松:こちらは「トップマネジメントアプローチ」という考え方です。
病院で例えると、診療科目になります。デジタルだけでは経営とは言えませんし、HRだけでも経営とは言えません。ファイナンスとM&Aだけが経営ということもあり得ませんよね。
私自身も社長をしていますが、基本的にはスライドの5つの領域で戦略を考えています。ここに、我々が全方位で入っていくということになります。
2.チームコンサルティング
若松:それをチームコンサルティングで展開していきます。
2.チームコンサルティング(全国展開・地域密着)
若松:特にチームコンサルティングで強調したいのは、先ほどお話しした全国展開しているということです。現在、北海道から沖縄まで10の地域で、ファームのスタイルをとった営業所ではなく、事業所にコンサルタントが常勤しています。
坂本:かなり昔から開設されていますね。
若松:およそ半世紀にわたり、それぞれの地域に密着しています。海外でPRができる体制や、M&Aがクロスボーダーでできるようなネットワークを構築しており、国内外でトータルに展開できる体制を組んでいます。
3.一気通貫の支援
若松:一気通貫に関しては、先ほどご紹介したような経営コンサルティング領域に対し、トップマネジメントアプローチによって、上流から下流まで支援します。こちらが、先ほどスライドの図でも示したとおり、高い継続率を実現できる一因となっています。
長期契約の実現(業界No.1メーカーA社の事例)
若松:もう少し詳しくご説明すると、例えば弊社には「40年契約」というものがあります。
坂本:ずっと契約を更新してきた結果、40年になるということですか?
若松:おっしゃるとおり、結果的に40年です。40年、30年、20年と、長きにわたり契約を更新いただいています。
ビジョンを策定し、そのビジョンに基づいて5年間活動します。その中でさまざまな課題が出てきます。HR、M&A、ブランド、デジタルなどの課題を常に改善しながら会社を成長させ、それがまた次のビジョンへつながり、再び課題が出てきます。
私はよく「クライアント以上にクライアントのことを知る」という表現をしますが、40年の契約にもなると、経営者も3代から4代へと続いていきます。
坂本:地方などは比較的非上場企業が多く、世襲制だったりします。そのつなぎも、しっかりトップマネジメントされていますか?
若松:我々がしっかり入っていくという関係性が構築できています。
マーケティングの全体像(顧客創造&顧客生涯価値)
若松:さらに、弊社は独自のマーケティングモデルを持っています。専門Webサイトを経営コンサルティング領域ごとに持っており、全国でセミナーを開催したり、300行以上の金融機関と提携もしています。このような独自のマーケティングモデルで、先ほどお話しした体制を組み上げていきます。
坂本:顧客創造の部分は、御社の新たな顧客の流入という非常に大事な接点だと思います。私も御社からメルマガが届くと読んでいますが、こちらはどのチャネルで流入が多いのか教えてください。
若松:1つ目は、地域に密着していることもあり、長年コンサルティング支援を行っている方からのご紹介が多いです。クライアントからクライアントというかたちで、経営者仲間も含めてご紹介いただけています。
2つ目は、「顧客創造」の一番上に記載しているデジタルマーケティングの戦略専門サイトからのお問い合わせです。3つ目は、セミナーや研究会などに問題意識のある経営幹部の方がお見えになり、それがきっかけになるケースです。
また、ナーチャリングを行う専門のCRM部隊なども持っており、連携しながら行っています。
高い契約継続率(LTV)を実現
若松:結果として、10年以上継続する顧客企業が15パーセント、5年から10年が30パーセント、つまり5年以上継続が45パーセントとなります。1年以上継続が75パーセントということで、「70パーセント以上のリピート率」と表現しています。LTVとしては、非常に長いということです。
坂本:スライドの図には、1年未満のスポットなどもあります。御社は包括的なコンサルティングも得意ですが、1つだけコンサルティングをお願いするという依頼などもあり、それが全体に広がることもあるのでしょうか?
若松:そうですね。
坂本:同業他社でスポットをお願いしたあとに御社にお願いするといった、乗り換え的なこともありますか?
若松:両方あります。顧客企業が人事を改善したい場合、もちろん人事を改善しなければなりませんが、ビジネスドクターが企業全体を見てみると、自覚症状と問題の本質が異なる場合があります。顧客が「自分はこういう病気だ」と考えていても、「社長、それは違いますよ」という話です。
まずは病気を治しますが、それ以外の症状が出てくるため、そこもしっかりと治していくことで企業は良くなります。そのためのビジネスドクターとしての視点や見立てが、今仰ったとおり、信頼と長期契約、そして課題解決につながっていくのです。
2025年3月期第1四半期決算概要
若松:業績動向についてです。2025年3月期第1四半期の決算概要です。売上高と各段階利益は増収増益で、過去最高の売上高および利益となりました。
売上高は30億7,900万円、営業利益は2億8,000万円、経常利益は2億8,900万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億9,200万円、前年同期比の伸びはスライドに示しているとおりです。
営業利益増減要因分析(前期比)
若松:前期比5.5パーセントの増収により、売上総利益も1億1,300万円増えています。また、採用や人的資本、新規事業やデジタルへの投資も行いましたが、それらを吸収し、最終的な営業利益は前期比2.4パーセントの増益を達成しています。
坂本:増収増益の理由は顧客の増加、もしくは値上げでしょうか? 両方あると思いますが、ウエイトはどのようになっていますか?
若松:顧客と単価の両方で増えていっているかたちです。
経営コンサルティング領域別売上高分析
若松:売上高の内訳として、先ほどご説明した経営コンサルティング領域別売上高です。ストラテジー&ドメインからブランド&PRまで、スライドに示しているような構成となっています。
表の右から2番目が前年同期比、一番右側が構成比です。いずれもほぼバランスよく構成が取れていることと、それぞれの領域で伸びていることがご覧いただけるかと思います。
経営コンサルティング領域別事業概況
若松:コンサルティング領域別の事業概況です。
ストラテジー&ドメインでは、インフレによって失われた30年から経済が大きく変わったため、ビジョンや中期経営計画を見直したいという会社が非常に多いです。
さらに円安の影響で、「グローバル戦略をどうすればいいのか」「ビジネスモデルを変えたい」「M&Aでポートフォリオを変えたい」といったご依頼も非常に多く寄せられています。
デジタル・DXに関しては、コロナ禍以降、デジタル化がますます加速しています。我々は「DXビジョン」と表現していますが、AIも含め、「どのように取り組んでいけばいいのか?」などのご依頼があります。
また、ここ数年でデジタルの壁が迫っており、各社でERPという経営統合システムを入れ替えなければならない部分をご支援することが多いです。また、「リスキリングのためにDX研修や人材育成をしなければならない」というご依頼も増えています。
HRに関しては、「デフレからインフレへの転換で人事処遇制度を大きく変えなければならず、見直したい」という依頼が多いです。企業内大学など、次世代の経営者を育成するためのご依頼も多くなっています。
ファイナンス・M&Aに関しては、「後継者不足で、事業承継をどうすればいいのか」「ホールディングス化したい」というご依頼、M&A、サクセッションプランなどに関するご依頼が多くなっています。
ブランド&PRに関しては、パーパスやブランディングを変えていくにあたり、「現在はリアルとデジタルのハイブリッドなので、両方で組み上げてくれないか」というご依頼に加え、PRなどのご依頼も非常に多くなってきています。
主要KPI① チームコンサルティング売上高・件数・社数
若松:主要KPIとして我々が大事にしているのは、チームコンサルティングの売上高、件数、社数です。これらはすべてにおいて成長しており、前年を上回る過去最高の結果となっています。
主要KPI② ベース売上高
若松:我々は長期契約での売上高を「ベース売上高」と表現しています。このベースになる売上高も、過去最高の結果で推移しています。
従業員数の推移
若松:従業員数の推移です。グラフの右から2番目の青い部分が今期の目標です。目標は660名、第1四半期の実績は614名です。
先ほど9月1日の状況をご紹介したとおり、現時点で742名とすでに目標は超えているため、中期経営計画の目標である来期の800名に向け、プロフェッショナルを増やしていこうと考えています。
坂本:専門的なお仕事をされるため、中途採用のほうがコンサルタントとしては即戦力だと思います。どのような方が転職されているのでしょうか? また、新卒をコンサルタントとして育てることは可能なのでしょうか?
若松:スライドのグラフ右側にも記載のとおり、我々には経営コンサルティング領域が多いため、さまざまな間口でコンサルタントを採用することができます。
また、コンサルタント経験者の入社はほとんどなく、実は実務家ばかりです。例えば、事業会社の人事担当者等、実務がわかる方を戦力化していくため、柔軟な採用が可能です。
新卒採用については後ほどご紹介しますが、新卒社員も育成できるプログラムがあるため、両方で採用戦略を取っています。
2025年3月期第1四半期 バランスシートの状況
若松:バランスシートの状況です。自己資本比率は76.1パーセントと、高い水準を維持しています。
新たな取り組み(トピックス)
若松:新たなトピックスです。1つ目はリコージャパンとの提携で、全国の中堅・中規模企業のDXを支援しています。
先ほどお話ししたとおり、我々には北海道から沖縄まで事業所がありますし、リコージャパンもグローバルに展開しています。リコージャパンも同様の体制を持っているため、全国津々浦々しっかりとした展開が可能です。
2つ目は「中堅企業の経営をつなぐM&A」ということで、我々の顧客企業同士のM&Aです。オーサワジャパンと尾賀亀という会社です。後継者不在で困っている会社の「経営をつなぐ」という実績のご紹介です。
2025年3月期通期第2四半期(累計)および通期連結業績予想の修正
若松:続いて、2025年3月期第2四半期の累計および通期連結業績予想の修正についてご紹介します。
まず、2025年3月期第2四半期の修正について、売上高は62億円から66億円へ、営業利益は6億500万円から7億1,000万円へ、親会社株主に帰属する中間純利益は3億5,500万円から4億6,000万円としました。
これに伴い、2025年3月期通期の修正も発表しています。売上高140億円、営業利益14億8,500万円、経常利益15億円、親会社株主に帰属する当期純利益8億円です。なお、いずれも期初計画比は表の右側に示しているとおりです。
2025年3月期通期 業績見通し
若松:業績見通しについてです。表の一番右側に前期比を示しています。
売上高は前期比9.9パーセント増、営業利益は47.0パーセント増、経常利益は48.1パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は24.8パーセント増です。
通期の見通しでは、売上高と営業利益ともに過去最高を更新する計画です。
中期経営計画(2021〜2025) 数値目標
若松:成長戦略についてです。中期経営計画では、2026年3月期に売上高150億円、営業利益18億円を目指しています。スライドの枠で囲っているところが、先ほどご紹介した今回の修正後の売上と営業利益です。
スライド右端に記載のとおり、その売上と利益を達成するため、いわゆるオーガニックで事業成長していく130億円に、M&Aによる20億円を加え、売上高150億円を達成するという計画です。過去のトレンドとしても、現在は順調に成長しており、この目標を引き続き目指しています。
坂本:M&Aについては、来期あたりまではどのような業種をお考えですか? 御社は自己資本比率もかなり高く、そのあたりを活用できると思いますが、現在必要な分野を教えていただけたらと思います。
若松:先ほどの成長性とニーズも含めて、HR領域はまだこれからであるため、そこを強化していきたいです。また、デジタル領域もまだこれからであることから、こちらにも力を入れていきたいと考えています。
プロフェッショナルDXサービスモデルの強化
若松:スライドに示している、プロフェッショナルDXサービスの領域をこれからも強化していきたいと考えています。
中期経営計画(2021〜2025) 経営コンサルティング領域別売上高計画
若松:先ほど、中期経営計画で150億円の売上目標を示しましたが、こちらは経営コンサルティング領域ごとの構成目標です。もちろん変化はありますが、デジタルやHR領域をますます強化していくことを示しています。
プライム市場上場維持基準への適合
若松:プライム上場維持基準にはすでに適合していることを、あらためて掲載しています。こちらもご理解いただければと思います。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
若松:資本コストや株価を経営でどのように実装させていくかについて、中期経営計画の数値目標とセットで掲載しています。ROE10パーセント、時価総額250億円以上を目標に掲げています。
2024年8月30日時点の株価の終値と時価総額を記載しており、これからも成長と努力を重ねていきたいと考えています。
サステナビリティ戦略(ESG)
若松:サステナビリティの戦略に関しては、サステナビリティ委員会を設置し、マテリアリティの特定やコーポレート・ガバナンスについてそれぞれ順調に取り組んでいます。
冒頭で述べたSurpassは、女性社員が100名程度在籍し、女性が活躍する会社です。そのような仲間にグループインしていただきました。こうした部分も含め、我々自身もサステナビリティを実践していこうと力を入れている分野です。
サステナビリティ戦略(ESG)(S)人的資本マネジメント(採用・育成・活躍・定着)
若松:サステナビリティに関してよくご質問をいただく、人的資本についてです。「採用・育成・活躍・定着」と記載しています。
採用では、新卒も含め、業界に精通した実務家を積極的に採用しています。また、弊社には全国展開により北海道から沖縄まで事業所があります。現在は採用難と言われていますが、IターンやUターンもあり、我々は採用において極端には困っていません。
この業界は、コンサルファームを渡り歩くような採用にフォーカスしてしまうと、やはり難しいです。
坂本:流動性が高すぎますし、アサインした方がいきなり辞められるということもありますよね。
若松:そのようなこともあるため、我々はそのようなスタイルをとっていません。また、育成については、企業内大学としてTCGアカデミーというプロフェッショナルコンサルタントを養成するビジネススクールを自ら作っています。
現在は13学部、約900個の動画講座があります。リーダーシップ学部やM&A学部、マーケティング学部など、大学のように学部を運営し、それらを通じてコンサルタントを養成しています。
以前は育成に5年ほどかかっていましたが、2年から3年で育成できるようになりました。こちらもさらに強化していきたいと思っています。
こうした人的資本経営を推進しているため、活躍・定着についても、ライフイベントに合わせた働き方や、DX投資によって環境を変え、生産性も上げてきています。定着率も3年平均で89.0パーセントと、業界では比較的良い数字です。
坂本:コンサルタントであれば、異なる会社に引っ張られることがあるため、この定着率はおそらく非常に高いですね。コンサルタントを採用せず、実務家を採用しているからということがあるのでしょうか?
若松:ありますね。もう少しさかのぼると、少し違った表現になりますが、弊社は日本の経営コンサルティングのパイオニアとして、我々は日本に経営コンサルタントがいない時代から事業を始めているため、実は、コンサルタントをどのように定義して育てるかが得意です。ある程度は使命のように捉えて取り組んできたところもあり、そのような体質やカルチャーになっていることも背景にあるのかもしれません。
坂本:さらに、御社は地方に展開されているという点もありますか?
若松:それはありますね。
坂本:東京であれば、転職しやすいですよね。
若松:おっしゃるとおりです。
坂本:転勤はあまりないのでしょうか?
若松:転勤もありますが、そこまで頻繁ではありません。地域に密着して長年活躍しているコンサルタントが多いですね。
株主還元方針
若松:最後に、株主還元についてです。株主還元方針は大きく3つあります。1つ目の連結総還元性向100パーセントを目安、2つ目はDOE6パーセント以上、3つ目は機動的な自己株式の取得です。
株主還元(配当金)
若松:実績についてです。2025年3月期は、年間配当金が前期比プラス2円の47円です。配当性向は96.7パーセント、総還元性向134.2パーセントを計画しています。
9月11日に配当予想の修正を発表し、中間配当金が19円から20円、年間配当金が46円から47円となっています。スライド右側のグラフにあるように、DOEは7.1パーセントです。
引き続き、株主のみなさまの期待に応えられるような株主還元の方針を推進していきたいと考えています。
坂本:ここ数年は配当性向がかなり高くなり、100パーセント近くになっています。さらに、自社株買いも行っているため総還元性向が100パーセントを超えていて、株主としては非常に良い状況だと思います。
御社はバランスシートも含めた自己資本を手厚くできるのが良い点だと思いますが、どのぐらいまで配当政策を維持されるのでしょうか?
若松:まずは、先ほどお示しした来期150億円の売上と18億円の営業利益まで、しっかりこの政策で進めることを明言しています。それを踏まえて次の中期経営計画をしっかりと策定し、みなさまにも発信したいと思います。
ただし、私自身は社長に就任してから一貫して、増収・増益・増配という考え方を非常に大事な経営基調だと考えています。TCGの成長基調として、引き続き増収・増益・増配をしっかり堅持できるような経営をしていきたいと考えています。
以上、ご説明しました。Appendixは資料ですので、後ほどご覧いただければと思います。
質疑応答:TCGの強みについて
荒井沙織氏(以下、荒井):「競合他社と比較して、御社にしかない強みを知りたいです。あらためて教えてください」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。