2022年12月期決算および中期経営計画説明
久保浩氏(以下、久保):代表取締役社長の久保でございます。本日はご多忙のところ、当社の決算並びに「中期経営計画2025」の説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は企画・経理本部長の二藤部と2人でご説明させていただきます。冒頭で少しご挨拶させてください。
あらためて、日頃よりお世話になっています。今年は中期経営計画の節目の年度で、私も社長に就任してから今年度で3年目となります。前中期経営計画の2年目に社長に就任し、その年の2021年は前年のコロナ特需が続いて過去最高益を計上しました。
2022年はその勢いが続く前提で計画しましたが、年度の後半からコロナ特需の剥落による影響を大きく受け、計画どおりの結果を出すことができませんでした。新年度となる2023年12月期の計画は、連結売上高は横ばいではありますが、昨年度の未実現利益を当期に実現させるという内容となっています。
「中期経営計画2025」の初年度にあたりますので、しっかりと稼ぎにこだわって結果を出し、新たな成長エンジンとなる事業領域を確立する3年とする予定です。
また、既存のオーガニックの成長と新規事業からの稼ぎを加え、2030年の連結売上高目標は2,500億円と設定しました。組織再編もほとんど終了しており、すでに施策への取り組みや構想の案件化に精力的に取り組んでいます。
限られた時間ですが、本日の要旨をみなさまにご説明します。それでは定量面を二藤部から、定性面を私から、交互にご説明します。
2022年12月期 総括
二藤部浩氏(以下、二藤部):それでは、2022年12月期の決算概要からご説明します。まずは全般的な概況についてです。スライドには、当社の販売状況をお天気マークでお示ししています。このマークは、現地通貨ベースの売上高に基づいて設定しています。
主力である海外の小型屋外作業機械(OPE)について、プロユーザーである造園業などの緑地管理業を事業とする専門業者に対する販売需要は、従来から景気変動の影響を受けにくく、2022年12月期においても北米・中南米・欧州市場ともに販売が増加しました。
一方、ホームオーナーとも呼ばれる、自宅で使用する一般ユーザー向けについて、北米市場ではコロナ禍の巣ごもり需要の反動減や、インフレに伴う消費者購買行動の変化などの影響により、販売が減少しています。
そのほかの海外マーケットでは、主として北米市場の農業用管理機械、一般産業用機械の販売が高い伸びを示し、増収となりました。
国内に目を向けると、小型屋外作業機械は前年並みで推移しました。農業用管理機械は、前年の政府による大型補助金に伴う需要増加の反動で減収となっています。一般産業用機械についても、サプライチェーンの混乱の影響などもあり減収となりました。
2022年12月期 経営成績
損益計算書の抜粋となります。売上高は前年比9.7パーセントの増収となりましたが、営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも減益となりました。
連結売上高の地域別増減(円換算ベース)
円換算ベースの連結売上高の地域別増減です。売上高は前年比138億円の増収となりました。米州・欧州・その他地域も含め、海外向け販売の増加が国内の減収を補完しました。
北米については、小型屋外作業機械において一般ユーザー向け販売が減少しましたが、プロユーザー向け販売の増加や販売価格改定に加え、為替レートが円安になったことが増収に貢献しています。また、売上構成比は必ずしも大きくありませんが、米州では農機・産機の販売が高い伸びを示しました。
連結営業利益の増減
連結営業利益の増減です。大きな変動要因は為替です。為替が昨年と比較して円安で推移したため、利益を大きく押し上げることとなりました。
一方で、原材料価格の高騰などによる粗利率の悪化に加え、未実現利益の影響などもあり、営業利益は前年比7億円の減益となりました。未実現利益は米国子会社の在庫増加に加え、為替の影響に押し上げられ、結果として売上原価が増加し、営業利益を下押しすることとなりました。
四半期別業績推移
過去3期の四半期別の業績推移です。天候要因等もあり、年度によって異なるケースはありますが、売上高・利益ともに概ね上期偏重の傾向があります。特に第4四半期は売上高の水準が低く、例年赤字となっています。
セグメント別経営成績
セグメント別経営成績です。スライドの表の上段が売上高、下段が営業利益で、右端に前年比の増減率を示しています。小型屋外作業機械の売上高は前年比13.4パーセント増加したものの、営業利益は前年比0.7パーセント減少し、148億9,700万円となりました。
農業用管理機械と一般産業用機械は海外の伸びにより利益率が改善し、いずれも営業利益は増加しています。
セグメント売上高実績(地域別)
セグメント・地域別の売上高実績です。上段の棒グラフをご覧ください。先ほどお伝えしたとおり、国内売上高は各セグメントで前年比横ばい、または減少しているのに対し、海外は増加傾向にあります。下段の円グラフは、地域別の構成比を示しています。
中期経営計画2022の振り返り
久保:「中期経営計画2022」の振り返りです。「中期経営計画2022」は、その前の「中期経営計画2019」を踏襲し、スライドに記載の基本方針と経営理念を強く意識して、オーガニックに伸ばす計画としていました。
数値目標の達成状況
スライドの表に、3ヶ年の達成実績と2022年12月期の数値目標を記載しています。初年度と次年度はコロナ禍による追い風を受け、最終年度後半からは北米市場の一般ユーザー向け販売の減少と原材料価格等の高騰の影響を受けましたが、結果的にはコロナ特需の影響を大きく受けた「中期経営計画2022」となりました。
セグメント別の概況
スライドの棒グラフは、セグメントごとの単年度の売上推移と目標値です。その右側に国内・海外についての評価を記載しています。
小型屋外作業機械は、海外向けを大きく伸ばすことができました。農業用管理機械は、国内の農林業者向けが安定的に推移しています。一般産機用機械は、国内が計画未達となりました。
2023年12月期 通期予想
二藤部:2023年12月期の業績予想についてご説明します。計画の前提として、主力の小型屋外作業機械は北米市場の一般ユーザー向け販売が減少するものの、新製品の投入と販売促進により、国内並びに北米・欧州市場でのプロユーザー向け販売の増加を見込んでいます。その他のセグメントも含め、連結売上高は前年並みの推移を予想しています。
利益面については、引き続き原材料価格の高騰が利益を圧迫するものの、昨年に実施した販売価格への転嫁が年間ベースで相応に寄与する見通しです。また、前年末にかけて積み上がった在庫の販売が進むことで未実現利益が減少し、売上原価の減少が見込まれることから、増益を予想しています。
連結売上高の地域別増減予想(円換算ベース)
連結売上高の地域別増減予想です。先ほどお伝えしたとおり、円換算ベースで前年比9億円の増加を計画しています。
連結営業利益の増減予想
連結営業利益の増減予想です。売上高および為替要因で、それぞれ5億円の増加を見込んでいます。
未実現利益については、昨年後半に日本から北米子会社に出荷された製品や部品が、北米子会社で販売に至らず、在庫のまま期末を迎えた状況となっています。それらの在庫については円安の影響もあり、実現できなかった未実現利益が大きく膨らむこととなりました。
今期はその販売が進んで利益が順次実現していくことから、収益増加に大きく寄与すると考えています。
なお、今お伝えした営業利益に対しての未実現利益の増加は、今期における特殊要因と考えています。来年度以降は特殊要因がなくなり、通常の水準に戻る想定です。
粗利率については、原材料価格の上昇などを価格改定が打ち返すと想定しています。販管費は28億円の増加を見込んでいますが、主として国内および北米における人件費、開発関連費用、IT関連費用を積み上げベースで計上しています。
結果として、営業利益は135億円、営業利益率は8.6パーセントと前年比で大きく改善する計画です。
やまびこの存在意義
久保:「中期経営計画2025」の方針と事業戦略をご説明します。当社のパーパスである「人と自然と未来をつなぐ」は、2008年に設立してから続く、当社の企業理念です。この企業理念をパーパスとして、私は組織浸透を進めています。
中期経営計画2025の位置付け
スライドに記載のとおり、既存事業の成長と新規事業の収益化により、2030年に連結売上高2,500億円を目指しています。「中期経営計画2022」では、コロナ禍の影響を強く受けましたが、未来につなぐ開発体制の大再編や、DX戦略の策定、ガバナンス対応など変革の取り組みに着手しました。
GX(グリーントランスフォーメーション)社会へ貢献するため、開発方針とともに当社の方向性を明確にし、開発組織についても、本社をヘッドクォーターとして海外開発拠点の連携による3極体制を組み、この連携による成果が出せるよう、スピード実行する中期経営計画2025とします。
数値目標
数値目標です。売上高は1,700億円と、2022年12月期実績の1,561億円から大きな伸びはありません。営業利益率は7パーセントと効率を上げ、ROEは前中計の目標値である9パーセントから10パーセントを目標とします。
「中期経営計画2025」目標達成の背景として、売上高については海外OPE事業のオーガニックな成長に加え、北米市場を中心とした一般産業用機械セグメントでの伸長を見込んでいます。収益率については、グローバル生産体制の見直しや、デジタルを活用した経費低減を計画しています。
売上高目標(セグメント・地域別)
セグメント・地域別売上高目標を棒グラフで表しています。「中期経営計画2025」では、コロナ特需の剥落のため小型屋外作業機械において、北米一般ユーザー市場の需給の調整局面を迎えると想定しています。
また先ほどお話ししたとおり、一般産業用機械を伸長させる予定です。
事業戦略 事業の分類
事業戦略のご説明にあたり、これまでは小型屋外作業機械、農業用管理機械、一般産業用機械という用語を用いてきましたが、特に戦略的な説明の際にわかりづらく、ユーザー目線にしたほうがよいと考え、今回新たにスライド右側に記載しているように分類し直しました。
小型屋外作業機械の国内のユーザーは農家や林業従事者が中心ですが、海外のユーザーは緑地管理業者や大きな庭を持つホームオーナーです。プロダクトアウトであればスライド左側の分類のほうが適しているものの、ユーザーあるいはマーケットイン型で考えれば、スライド右側の分類のほうが当社の戦略が伝わりやすいと考えました。
小型屋外作業機械のうち、海外を「OPE事業」、国内を「農林事業」に分類し、国内については従来の農業用管理機械と合わせて戦略をご説明したいと思います。
海外OPE事業は、プロユーザー市場と一般ユーザー市場の2つのグループに分かれています。プロユーザー市場は専業者向けの市場で、コアユーザーはプロの緑地管理業者です。スライドでは写真を掲載していますが、海外ではプロの緑地管理業者がおり、夏場などは週に2日か3日おきに、30分ずつくらいで各家庭の庭を刈って回っています。
一般ユーザー市場は、主に自宅で使用する住宅所有者向けの市場です。海外では、大きな庭を自分で手入れされたいというユーザーも多くいます。この2つの市場に分けてご説明したいと思います。
ちなみに、OPE(Outdoor Power Equipment)は「屋外動力機械」です。OPE市場は、国内ではあまり知られてはいませんが、海外では数兆円の規模のマーケットと認知されています。そのうち、当社のマーケットに関しては、説明資料26ページでご説明します。
事業戦略
事業戦略は大きく5つあります。①②が「中期経営計画2025」の定量をつかさどる部分で、「③新規事業創造への取り組み」は2030年の売上高目標2,500億円に向けて成長のシーズをどのように作っていくかをご説明しています。
「④ESG経営の実践」「⑤やまびこのDX戦略」はサステナブル経営を回すための戦略です。いずれも当社のホームページに詳細を載せていますが、ここでも簡単にご説明します。
❶ 事業規模拡大(海外OPE事業)
1つ目の事業戦略「事業規模拡大」について、海外OPE事業、農林事業、産機事業の順にご説明します。海外OPE事業ではラインアップを充実させます。重点施策として、北米・欧州市場においては、プロユーザーのニーズを満たすエンジン製品、バッテリー製品のラインアップの充実を図ります。
一般ユーザーに関しては、バッテリー製品の需要増加に対応したラインアップの拡充を進めます。ユーザーの購買力が高まるアジア市場においては、環境性能が高いエンジン製品のビジネスを広げていきたいと思っています。
また、OPEバッテリー製品販売台数比率については、2025年までに20パーセントを視野に開発プログラムの策定に取り組んでいきます。
❶ 事業規模拡大(農林事業)
農林事業についてです。国内の農業市場では農業就労人口の減少と高齢化が進行しており、非常に厳しい分野です。林業市場では、日本が持つ森林資源に対して社会の目が向いています。これをチャンスと捉え、取り組みを強化します。
重点施策として、農業市場に対しては、省力化に寄与するラジコン草刈機を発表しています。また、小型屋外作業機械で展開している56Vバッテリープラットフォームを使った農機への導入を推進する予定です。
林業市場では、伐木競技支援を通じたブランド力向上に注力します。当社は日本のシェアの50パーセントを占めるチェンソーのトップブランドです。集客のため、ブランディングに投資すべきと考え、PR・訴求力の向上に着手しています。
なお、当社だけで林業事業に取り組むのではなく、思いを同じくする方々とのアライアンスを強化していきたいと思っています。
❶ 事業規模拡大(産機事業)
産機事業に関しては、環境負荷低減と作業効率の向上を目指し、電動化・ハイブリッド化、再生可能エネルギーを取り入れた環境配慮型システムの開発を推進するため、先行投資を行っています。
北米市場では、依然として既存の発電機需要が高く続いています。したがって、既存事業のサービスや、部品サポートを強化していきます。またさらなる需要の増加を見込んでおり、現地の生産体制、組立て体制を整備し能力増強を計画しています。それにより、国内の生産体制の効率化も進めたいと思っています。
欧州市場では、すでに好評いただいていますハイブリッド溶接機の拡販を進めます。CO2排出量を低減する低環境負荷なハイブリッド溶接機です。そういった環境負荷の低い製品の市場投入を加速していきます。
❷ 収益性の改善
2つ目の事業戦略「収益性の改善」についてです。今申し上げたOPE、農林、産機において、どのようにして稼ぐかスライドにまとめています。
海外OPE事業では、生産拠点を見直し、グローバルベースで戦略的再配置を行います。
また、米国販売店約6,500店のうち、約2,000店と直接取引を行います。当社は代理店、販売店、そしてお客さまという商流で海外OPE事業を展開しています。かつその販売店は北米においては概ねプロユーザーに訴求しています。当社はプロユーザーに強いブランドですので、プロユーザーに対してマーケットにグリップをかけていこうと考えています。
国内農林事業に関しては、マーケティングと、ブランディング強化に取り組みます。
産機事業に関しては、生産拠点の戦略的配置により、現地の生産体制、組立て体制を整備し能力増強を計画しています。生産能力の偏りを最適化し効率化を目指します。
以上のような施策に取り組むことで、2025年に営業利益率7パーセント、ROE10パーセントの達成を実現します。
❸ 新規事業創造への取り組み
3つ目の事業戦略「新規事業創造への取り組み」は、成長シーズの部分に当たります。社会のGX(グリーントランスフォーメーション)は、当社にとって大きな機会だと思っています。確かに内燃機関を主力としてきた当社にとって、脱内燃機関、カーボンニュートラルは脅威でもありますが、チャンスだと思っています。
当社は2サイクルエンジンのCO2排出量において世界最高レベルの環境技術を有しています。また、電動に対する取り組みでも、新しいグローバルプラットフォームで、昨年からフルラインで開始しています。これをさらに進めるために、スライドの中央に記載のとおり、開発の組織改組や本社にイノベーションセンターを開設するなど研究開発体制を整備しました。
本社イノベーションセンターを中心として、米国のR&D(手持ちのバッテリー系)と、やまびこヨーロッパR&D(ロボット系)の3拠点が連携し、本社がヘッドクォーターとなりまとめています。ようやく体制の整備が完了し、攻めの姿勢が整ったと感じています。
特に、スライド左上の「発電・蓄電システム」については、一昨年からさまざまなアライアンスパートナーと組んで、高電圧・低電圧などのハイブリッド発電システムを進めています。
スライド右下のeFuel(合成燃料)については、イーセップというスタートアップ企業と、触媒系では三井金属とアライアンスを組んでいます。
スライド右下のロボットについては、従来のロボット芝刈機に加え、過酷な作業環境で重たいものを運ぶ大変さを解消するための「台車ロボット」の開発を進めています。台車ロボットをベースに芝刈り機能を搭載したものが写真右側のロボット芝刈機といったイメージであり、農薬散布機能を搭載したものが従来の散布機というコンセプトで開発を進めています。
❹ ESG経営の実践
4つ目の事業戦略「ESG経営の実践」に関しては、着実に取り組んでいきます。
ESG.環境対応
まず、ESGのE(Environment・環境対応)については、GHG削減目標を設定し、TCFD提言に基づくレポートもホームページに開示しました。また、当社の現状を確認して対外的にも示すべく、CDPという著名なESG評価機関のスコアリングを開示しています。
ESG.社会
次に、ESGのS(Social・社会)についてです。社会にはいろいろな捉え方や切り口がありますが、ここでは人的資本投資に関して説明を加えています。人材を活用するために、エンゲージメントの向上や、リスキル・スキルアップに対して、具体的な取り組みを行っています。
2025年の目標として、女性管理職比率を9パーセント以上としました。ダイバーシティの中でも、当社の場合にはまだ女性の登用が遅れているため、女性管理職比率目標を設定しています。さらに、育児休業を2週間以上取得する男性従業員の割合の目標を40パーセント以上とし、確実に育児休業を取ってもらいたいと考えています。
ESG.コーポレート・ガバナンス
最後に、ESGのG(Governance・コーポレート・ガバナンス)についてです。新しいガバナンス体制を2022年3月末より運用中で、ちょうど1年が経過しました。コーポレートガバナンス・コードに基づいて、取締役会の充実を図っています。
以前は7名の取締役のうち社内取締役が5名で、社外取締役が2名でした。それを社内取締役4名、社外取締役4名としました。かつ、法律や人事権など、当社にとって必要な専門性を外部の専門家から得て運営しています。また、指名・報酬委員会に関しても、社外取締役4名を配置し、評価と報酬を協議しています。
❺ やまびこのDX戦略
DXに関しては、こちらもホームページで詳細に開示しています。守りのDXにあたるものが「DT1」、効率を向上させます。攻めのDXとなるものが、当社では「DT2」と称し、売上の拡大に貢献します。「TR」はトランスフォームを表しており、新しく、既存事業の枠組みに収まらないもので、攻めにも守りにも分類しにくいものを「TR」としています。
また、デジタル人材育成としてDXの推進を支える人材を育てるために、先月「やまびこアカデミー」を開校し人材育成に取り組んでいます。
株主還元政策
最後に株主還元施策についてです。配当の考え方に関しては、当社は過去の配当実績に基づいて、安定的な配当に努めていきます。
設備投資・研究開発費・減価償却費
設備投資・研究開発費・減価償却費についてです。先ほどお伝えしたように、IT投資が少し膨らんでいます。
業績推移
業績推移です。売上高は、現在から約900億円増やして2030年には売上高2,500億円というかたちで目指していきます。オーガニック成長に加え、新規事業に関しては先ほど申し上げた新しいシーズのほかプラスアルファでこの目標を実現します。
質疑応答:原材料費、物流費の上昇と値上げのバランスについて
司会者:「原材料費、物流費の上昇と値上げのバランスについてです。前期の実績と今期の両要因のバランスと見通しについて教えてください。また、部材調達状況や物流など、サプライチェーン動向についてもあわせて教えてください」というご質問です。
二藤部:昨年ほどではありませんが、原材料価格は引き続き上昇しています。物流費については、特に昨年大きく上昇したコンテナの海外輸送分が運賃の見直しでかなり下がってくる見通しです。
原材料価格と値上げの関係についてです。製品価格については、昨年より段階的に値上げをしており、今期は1年を通してその効果が表れてきますので、原材料価格の上昇を十分に吸収できると考えています。
部材調達状況とサプライチェーンの動向について、調達面では、一般産業用機械でエンジンを外部から調達している製品があり、電子部品の調達影響を受けて一部で少し滞っているものがあります。小型屋外作業機械、農業用管理機械については、調達面での問題は発生していません。
物流関係も、輸出・輸入ともに滞りなく、コンテナや海上輸送等についても問題なく確保できているという状況です。
質疑応答:米国での小型屋外作業機械の需要動向と今後の取り組みについて
司会者:「米国での小型屋外作業機械について、ホームオーナーとプロユーザーに分けての需要動向と、今期の拡販に向けての取り組みについて教えてください」というご質問です。
二藤部:米国の小型屋外作業機械、OPE市場は引き続き拡大すると見込んでいますが、ホームオーナーや一般ユーザー向けについては、前期からの巣ごもり需要の反動により、軟調な需要が継続すると見込んでいます。一方で、プロユーザー向けの需要は好調に継続すると見ています。
販売面については、引き続きプロユーザー向けの市場ニーズを満たすエンジン製品とバッテリー製品を提供するとともに、ホームオーナー向けには、バッテリー製品のラインアップ拡充を図り拡販を進めていきます。
質疑応答:自社バッテリー製品について
司会者:「マーケット全般のプロユーザーのバッテリー製品のニーズに加えて、自社バッテリー製品についてのホームオーナーとプロユーザーに分けて販売状況と、ユーザーからの評価を教えてください」というご質問です。
二藤部:エンジンの場合は大きな音が出ますが、バッテリー製品の場合は騒音が小さいという特徴があるため、住宅地での作業においては、ニーズが高いと見ています。当社では、プロユーザーが住宅の庭園管理などで使用するバッテリー製品の小型チェンソーの販売に注力しています。
なお、ホームセンターのTHE HOME DEPOTのカスタマーレビュー等では、星5つを満点とした評価において星4つ以上という評価を受けています。