2023年3月期第2四半期決算説明

原田哲郎氏(以下、原田):みなさま、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。代表取締役CEOの原田でございます。

はじめに、先ほど当社の最大のインキュベーション先であるアイペットの株式の譲渡決議を決算と合わせてリリースしました。決算への影響は第3四半期以降になりますが、影響が大きいため、本日の説明会の後半でご説明させていただければと考えています。

要旨

本日の要旨です。全体の概況としては、今年5月に中期経営計画を公表し、今のところ順調に進捗していると考えています。最大のインキュベーション先であるアイペットの譲渡も決議しました。

第2四半期の概況です。ビジネスプロデュースは順調に推移しており、売上高は前期比31パーセントの増加となっています。クライアントの新規事業ニーズが堅調で、陣容拡張、すなわち採用も今のところ順調に進んでいます。

インキュベーションの収穫も今のところ順調に進捗しています。第1四半期にワークスタイルラボとピークスの売却を発表しましたが、先ほどお伝えしたとおり、アイペットの株式譲渡も決議しました。また、ベンチャー投資の回収も順調に進んでいます。

中長期成長の仕込みとして、三菱UFJフィナンシャル・グループ、電通との協業も今のところ順調に強化が進んでいます。

目指す方向性

最初に、5月に公表した中期経営計画の要旨から簡単に振り返りたいと思います。まず、目指す方向性です。全体の成長戦略としてビジネスプロデュースに資源を投下、集中していくことが大きな考え方です。スライドの上段はビジネスプロデュース事業の拡張で、横軸でサービスライン拡張、縦軸で陣容や協業による拡張も進めていきます。

加えて、機能拡張も進めていきます。こちらについては、インキュベーションの収穫を適切に進め、これまで培ってきた組織能力や資金をビジネスプロデュース事業に融合していくことにより、拡張につなげていきたいと考えています。

企業価値向上への成長投資と株主還元をバランス

ビジネスプロデュースによるP/L利益の継続成長を前提とした経営への構造転換についてです。これに伴い、株主還元の考え方も見直していきます。

スライド左側の成長投資として、1つ目は採用・インフラなどのビジネスプロデュース基盤の強化、2つ目はビジネスプロデュース関連・周辺事業への事業投資を考えています。また、事業投資については、ROICで12パーセント以上の確保を前提に見極めていきたいと考えています。

スライド右側の株主還元については、ビジネスプロデュース事業を継続成長させることにより、安定的な配当財源を確保することが1点です。さらに、インキュベーション事業の収穫を実現した場合には、その時点での必要投資を除いて株主還元の財源に追加したいと考えています。

中長期の企業価値を最大化する観点で、左右のベストなバランスを常に判断していきます。

中期利益計画(2023年3月期~2025年3月期)

今後3年間の当期純利益の計画です。昨年12月にビジネスプロデュースの利益計画を開示しましたが、今年5月に発表しました中期経営計画においても変更していません。インキュベーションは非常にボラタイルですので、スライドのグラフの上に含み益を記載しています。

適切な収穫の時期を判断し刈り取っていきますが、刈り取ったタイミングでスライド下段のビジネスプロデュースの利益に上乗せされていきます。

2023年3月期 第2四半期 連結P/L(保険項目調整後)

足元の第2四半期の決算について概況をご説明します。まず、保険項目調整後の連結P/Lです。売上高が188.7億円、純損益が9.5億円となっています。第1四半期に続き、前期から大きく改善トレンドになっています。

アイペットの譲渡を決議したことに伴い、一部の税金費用を見越して計上する必要があり、経常利益と親会社株主帰属純利益の間に7.1億円の費用を計上しています。

2023年3月期 第2四半期 連結P/L(保険項目調整前)

保険項目調整前のP/Lです。いわゆる制度会計ベースの数字で、純利益は10.1億円となっています。先ほどの保険項目調整後と同様に、改善トレンドにあります。

2023年3月期 第2四半期 セグメント別P/L

第2四半期のセグメント別のP/Lです。ビジネスプロデュースセグメントは第1四半期に続き、第2四半期も好調に推移しています。新規事業ニーズが引き続き堅調で、採用の人員増も順調に進んでいることもあり、利益はほぼ横ばいとなっています。

ベンチャー投資セグメントは複数件の収穫を実現しています。比較的大きな規模のゲインもあったことにより、利益も前期から大幅にアップしています。また、第3四半期以降もパイプラインがあり、引き続き収穫を見込んでいます。

ペットライフスタイルセグメントも、ペット需要を背景に引き続き順調に推移しています。譲渡に関しては後半で別途ご説明します。ワークスタイルラボ、ピークスについては譲渡済みのため、当期より連結対象から外しています。

ビジネスプロデュース売上状況

ビジネスプロデュースの売上状況です。スライドの左側は、年間の計画に対する進捗です。約51パーセントの進捗で順調に積み上がっています。スライド右側は四半期ごとの推移で、第2四半期も第1四半期と変わらない順調なペースを維持しています。

陣容拡張:順調に伸展

陣容拡張として、採用についてです。採用市場は過熱気味ではありますが、今のところ陣容拡張は想定どおりのペースで進行しています。2023年3月期末時点で70名のビジネスプロデューサーを採用する計画でしたが、9月末時点で到達しています。

いろいろな取り組みを実施しており、業界の垣根を越え、スケールの大きなプロジェクトに参画できるビジネスプロデュースという仕事そのものが非常に魅力的であるということの訴求、またそれらをよりわかりやすくお伝えするために、オリジナルの漫画を作るなど、採用市場への多様なマーケティング活動も続けています。

引き続き優秀な人材の採用を進め、陣容拡張を継続していきたいと考えています。

協業によるビジネスプロデュース事業の成長加速

他業態との協業の拡張にも着実に取り組んでいます。三菱UFJフィナンシャル・グループとのビジネスプロデュースでの協業や、電通との連携も引き続き進めています。スライドでご紹介しているのは、ASEAN市場向けにクライアント企業に対するサポートプログラムを電通と共同で実施する取り組みの例です。

いずれも本格的な数字に表れるのはこれからですが、中長期の仕込みとして継続的に対応していきたいと考えています。

2023年3月期 第2四半期 連結B/S

連結B/Sに大きな動きはありませんが、現預金がインキュベーションの収穫に伴って3月からやや増えていることと、純資産が当期純利益の増加に伴って約16億円増えていることが主なポイントです。

2023年3月期 第2四半期末の投資状況

9月末時点の投資アセットの含み益の状況です。税引前利益が184億円、税引後利益が129億円となっています。

スライド左側の事業投資はアイペットの含み益ですが、ここでは9月末時点の株価で計算した含み益を記載しています。スライド右側のベンチャー投資は、インドでの投資を中心に含み益が増加傾向です。引き続き適切に育成しながら、適切なタイミングでの収穫を続けていきたいと考えています。

要旨

最後に、アイペットの株式の譲渡についてご説明します。まず、売却を決めた目的と背景です。ドリームインキュベータは、社名のとおりベンチャーのふ化器の役割を担っており、株式に投資して、育成したベンチャーをいずれ売却するというビジネスに取り組んでいます。そのため、アイペットについてもいずれ売却することはかねてから開示していました。

2011年に投資を開始してから約11年間の投資育成を続けてきた結果、大きく成長してきたと認識しています。アイペットは保険会社であるため、これからも継続成長していくためには、ソルベンシー・マージン対策として多額の資本増強が継続的に必要になります。

そのような点への対応を含めて、アイペットの次の成長に向けた新たなパートナーの必要性と、ドリームインキュベータとしても今後ビジネスプロデュースにリソースを投入・集中していくという方向性を踏まえ、最適なタイミングは今だと判断しました。

予定どおりにTOBが成立した場合、連結特別利益が約182億円、税引後のキャッシュインが約150億円と見込んでいます。その使途については株主還元に100億円、ビジネスプロデュースの成長資金に50億円という配分で考えています。詳細についてはこれから具体化し、期末決算までを目安に公表していきたいと考えています。

DI投資後、アイペットは大きな成長軌道に

スライドのグラフは、ドリームインキュベータが投資を開始してからのアイペットの成長を示したものです。2011年に投資を開始して、2022年3月末までで売上高は11倍、保険契約件数は9倍に成長しました。

ドリームインキュベータはアイペットの成長フェーズに合わせ、その時々で必要な支援、役職員の派遣などを多面的に行ってきました。ドリームインキュベータの事業育成の組織能力をいかんなく発揮できたのではないかと考えています。この組織能力は、今後のビジネスプロデュースの成長にも大いに活かしたいと思います。

インキュベーション事業(事業投資)パフォーマンス

事業投資全体の累計パフォーマンスの進捗状況です。案件別に総括的に振り返った内容を掲載しています。内訳は、売却済が5件、売却中が1件、投資中が1件です。引き続き、ドリームインキュベータの株式の価値が高まるように、最適なタイミングで最適な方法で収穫を進めていきたいと考えています。

売却に伴う収益分配方針:株主還元100億と成長投資50億

アイペットの売却が実現した場合の収穫資金の配分についてのイメージ図です。スライド左側に示したとおり、株主還元に100億円、成長投資に50億円を配分します。株式還元の時期・手法は期末決算までを目安に公表していきたいと考えています。

スライド右側はビジネスプロデュースの成長投資について表しています。成長投資の50億円は、ビジネスプロデュースの基盤強化、拡大・進化に活用していきたいと考えています。拡大・進化に向けた投資には、M&Aも選択肢に含まれると考えています。

DI = The Business Producing Company

アイペットの売却が完了した際は、財務上の見た目はこれまでとかなり変わるかと思います。ただし、ドリームインキュベータの目的は一貫して「社会を変える 事業を創る」ことであり、“Business Producing Company”であることには変わりがないと考えています。

このミッションの実現のために、ビジネスプロデュースの成長に引き続き邁進していきたいと考えていますので、応援いただければ大変ありがたいです。

質疑応答:競合と優位性について

司会者:「御社が意識している競合と優位性について教えてください」とのご質問です。

原田:当社のビジネスプロデュースは、大企業の大きな事業創造の戦略作りと実行支援において非常に特徴を持っていると自負しています。

その意味では、主な競合としては戦略系や総合系のコンサルティングファームになりますが、当社ほど事業創造にフォーカスして強みを持っているところはないのではないかと思います。当社の特徴・強みを活かして、これからも差別化を図っていきたいと考えています。

質疑応答:今後の企業価値について

司会者:「今の御社にとって、企業価値に占めるアイペットの割合は大きいと思いますが、今後はどのように企業価値を高めていくのでしょうか?」とのご質問です。

原田:これまではビジネスプロデュースとインキュベーションの2本柱で行ってきましたが、今後はビジネスプロデュースにフォーカスして成長していこうと考えています。

ビジネスプロデュース事業は、大企業の大きな事業創造の戦略作りが特徴です。サービスラインの中で、産業プロデュースは、既存の業界の垣根を超えて、場合によっては政府の産業政策と連携しながら、新しい産業を作っていくという非常にスケールの大きな戦略支援です。

また、産業レベルから、大企業の新しい大きな事業創造戦略の策定に踏み込んでいくビジネスプロデュースや、ビジネスプロデュースのグローバル展開、加えて戦略作りだけでなく実際の立ち上げも支援するBPインストレーションへ、サービスラインの拡張を進めています。

このように大きな事業の創造から戦略作り、仲間を集めて実際に挑戦していくところまで、一貫したプロセスで集中的に支援していくことで、ドリームインキュベータの柱としてビジネスプロデュース事業をさらに大きく成長させたいと考えています。

質疑応答:ターゲット層の規模について

司会者:「ターゲットとしている顧客層の規模感を教えてください」とのご質問です。

原田:今まで大きな事業創造の支援にフォーカスしてきたため、各業界上位のリーディングプレイヤーが我々のビジネスプロデュースのメインクライアントです。引き続きそのようなクライアントがターゲットになると考えていますが、継続的に規模を拡張していく中で、将来的には中規模のクライアントもターゲットになる可能性があります。

質疑応答:ビジネスプロデュースの売上減少と下期の見通しについて

司会者:「ビジネスプロデュースの第2四半期の売上減少と、下期の見通しについて教えてください」とのご質問です。

原田:ビジネスプロデュースの今年の売上計画は、スライドの左側に記載のとおり33億円を目標としており、上期はその半分強まで進捗してきました。

スライド右側の四半期ごとのグラフでは横ばいになったように見えますが、第1四半期が少し進みすぎたためであり、上期ベースではオントラックと捉えています。通期の見通しとしては、今のところ下期も計画のペースで進むのではないかという手応えを感じており、目標の33億円は達成できるのではないかと考えています。

質疑応答:アイペットへの支援について

司会者:「御社は長期にわたりアイペットに投資してきたとのことですが、どのような支援を行い、どのような価値を提供してきたのか、もう少し具体的に教えてください」とのご質問です。

原田:アイペットに投資した際の売上高は20億円ほど、実質赤字であり、ライセンスも少額短期保険という状態からスタートしました。

そこから、あらゆる経営支援を行ってきました。まず優秀な社員を採用し、経営体制やガバナンス体制を構築しました。

また、成長戦略の立案、損害保険業のライセンス取得、ペットショップが主要なマーケットにおいてのデジタルマーケティングチャネル構築、次第にペースが上がってきた中でIPO準備や資本政策、上場後にはM&A、DXの支援など、さまざまな観点から支援してきました。

そのような支援を行うために、当社から累計10名以上の役職員を派遣したと思います。結果としてここまで成長することができ、今回いよいよ卒業となります。このような事業を作り、戦略を立てて支援していく組織能力は、大企業向けのビジネスプロデュースにおいても今後十分に発揮していけると考えています。