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野崎正博氏(以下、野崎):みなさま、おはようございます。一正蒲鉾株式会社、代表取締役社長執行役員の野崎でございます。本日はご多用のところ、当社決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。ただいまより、2022年6月期の決算概要と2023年6月期の業績見通し、ならびに第二次中期経営計画の進捗と今後の取組みについてご説明いたします。

本日ご説明する内容はスライドのとおりです。説明の最後に、東証プライム市場の上場維持基準適合への取組状況についてもご説明します。

2022年6月期サマリ

はじめに、2022年6月期決算内容についてご報告します。2022年6月期決算のポイントです。原料価格やエネルギー価格の高止まりによるコスト上昇が業績に大きなインパクトとなり、減益決算となりましたが、黒字は確保しました。

売上高は収益認識に関する会計基準の適用影響と、期中の連結子会社の清算影響を除けば、おおむね前年横ばいのレベルですが、計画値ベースでは7パーセント下回る結果となりました。

水産練製品・惣菜事業は、厳しい市場の見通しをふまえて、新しい取引先の開拓に取り組みましたが、この期では目標に届かず、売上計画値は未達となりました。

また、きのこ事業は、競合他社の増産により市場が供給過多となったため、販売単価が軟調に推移し、出荷量は確保しましたが、金額ベースでは計画値比未達となりました。

先ほどお話ししたとおり、主原料のすり身価格はエネルギー価格の高止まりによるコスト上昇があり、営業利益は前期から約7割の減少となりました。

また、水産練製品・惣菜事業の吸収しきれないコスト分として行った、2022年3月の価格改定の効果は、前期には限定的となっています。したがって、2023年6月期は通期での貢献になると見込んでいます。

損益状況

営業利益の増減についてご説明します。売上について、きのこ事業は先ほど説明したとおりですが、水産練製品事業は価格改定で本来増収となるべきところ、前期では改定効果が短期間であったこと、おでん商材の揚物類が軟調に推移したことにより、減収となっています。

これに加えて、原料費、エネルギー費、人件費の上昇影響が大きく、生産性効率化も2億円程度に留まったため、営業利益が5億5,000万円となりました。

財務状況

財務状況です。固定資産、有利子負債が増加していますが、これはすでにご案内のとおり、来春に稼働する本社第二工場の建設に関わるものです。2023年6月期にこの工場の全投資分が計上されます。

セグメント別業績-水産練製品・惣菜事業-

セグメント別業績についてご報告します。水産練製品・惣菜事業は、収益認識に関する会計基準の適用影響と、連結子会社のマルス蒲工業株式会社の清算影響を除けば、売上は前期並みです。

おでん商材では、秋口の気温が低めに推移したことにより、調理済おでんは需要が高まりましたが、揚物類は軟調に推移しました。

当社がトップブランドである、カニ風味かまぼこ市場では、消費者のニーズに変化が表れています。依然として、スティックタイプのカニかまが主流であることに変わりはありませんが、この1年で、より大ぶりでカニ足形状のカニかまが各社から発売され、伸長しています。このニーズに応えた、当社の「ガブリッチ 魅惑のカニかま」も売上を拡大しています。引き続き、お客さまのニーズを捉えた商品の開発、提供を進めます。

営業利益は黒字を確保しましたが、主原料であるすり身価格の高騰とエネルギー価格の高止まりが大きく影響しました。

セグメント別業績-きのこ事業-

きのこ事業は、収益認識に関する会計基準の適用による2億円の減少を除けば、4億円の減収に留まりました。他社増産による供給過多の市場状況の中で、ビタミンDを豊富に含む新品種「クリーム色のまいたけ 希なり」を開発・販売し、新業態へのアプローチを強化して潜在ニーズを掘り起こしたことは、次につながる取組みになったと考えています。

しかし、軟調な市場価格の影響は大きく、営業利益は2億円の減益となりました。

事業上のリスクと対策

2023年6月期の業績予想についてご説明します。スライドでは、今期の最重要リスクと、現時点での対策および取り組むべき課題を整理しています。

事業上の最重要リスクは、前期から引き続き、原料価格の高騰とエネルギー価格の高止まりです。主要原料のすり身については、魚需要の高まりに加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ヨーロッパ諸国が白身魚の調達先を北米産に移行することによる、需給バランスの変化が起こっています。したがって、短期的にすり身価格が元のレベルに戻ることはないと考えています。

この状況に対して、2022年3月の価格改定に続き、9月からの価格改定を進めてきました。本件に関しては、お取引先さまのご理解・ご協力を賜り、ほぼ計画どおりの改定となる見込みです。

一方で、生活を取り巻く全般的な値上げの状況は、消費者心理に影響を及ぼし、購買数量の減少リスクを抱えています。価格改定によりコスト構造は改善できても、販売数量が減少すれば、金額ベースではカバーできたことになりませんし、お取引先さまにもご迷惑をかけることになります。

したがって、第二次中期経営計画の達成に向けた道筋に戻すためにも、新たなマーケットの開拓、取組み業態の拡大による販売数量の拡大、およびさらなる構造改革が2023年6月期の課題となっています。

課題への具体的対策

2023年6月期における具体的対策をご説明します。まず、国内事業についてですが、水産練製品・惣菜事業では、財務状況でもお話ししたとおり、本社第二工場が2023年春に稼働します。

太陽光発電やコージェネレーションシステムの導入など、環境に配慮するとともに、カニかま専用工場として合理化・省人化を実現した、生産性の高い製造ラインの設置を予定しています。利益構造の改善と生産能力の拡大による商品供給の安定化を進めるとともに、営業部門では、カニかま市場のシェア拡大に向けた活動を推進します。

きのこ事業では、前期に機能性を強化した付加価値型新品種を市場に投入しましたが、今期はその育成と機能性訴求の深掘りを進めていきます。生産では、第二次中期経営計画にも掲げた、包装部門の省人化に向けたスマートファクトリー化試験をさらに強力に推進します。

営業では、これまで進めてきた新しいマーケットの開拓や売り方の提案が成果につながっており、今期は成功事例を横展開することで、量的な拡大を確保します。

課題への具体的対策

また、「ICHIMASA30ビジョン」に掲げたグローバル企業の実現に向けて、海外事業では積極的な拡大を図ります。事業戦略の再構築により、ターゲットが明確になったこと、海外専用の輸出商品の開発・生産体制が確立されたことで、当社の海外事業の基盤作りが進んでいます。輸出ビジネスは、スライド右下のグラフのとおり、近年、急速に伸長しています。

2023年6月期業績予想

2回の価格改定および販売数量拡大策を踏まえた、2023年6月期業績予想です。9月の価格改定は、原料価格の高騰とエネルギー価格の上昇をカバーするものです。販売数量拡大策による約9億円の増収が、販売費の上昇約4億円をカバーし、増益となる計画です。

2021-2025年度 第二次中期経営計画概要

2021年度から2025年度の第二次中期経営計画の進捗状況と、今後の取組みについてご説明します。2022年6月期に発生した原料価格の高騰、エネルギー価格の上昇の課題については、2023年6月期の中で一応の目処をつけ、あらためて第二次中期経営計画の達成を目指します。

スライドは、第二次中期経営計画の概要です。この計画は、2026年度から始まる超長期ビジョン第二ステージ「成長の10年」につなぐ、「成長軌道への5年」と位置付けています。

数値目標は、売上高400億円、営業利益26億円としています。これを実現するにあたっての重要戦略は、スライド中段に掲げた5つです。この5つの重要戦略の進捗状況についてご説明します。

重要戦略:変革と創造

まずは「変革と創造」についてです。この戦略の根幹は、新たな価値創造に向けた研究開発にあり、2045年のあるべき姿を定めた「ICHIMASA30ビジョン」に掲げる「食品バイオ企業」にもつながるものです。

海洋資源の減少・枯渇リスクについては、当社の事業のみならず、世界的な課題としてSDGsにも掲げられています。当社はこの課題に対して、すり身の可能性追求と培養魚肉の研究推進の2方向から取り組んでいます。

まず、すり身の可能性追求については、すり身を原料とした代替シーフードである「ネクストシーフード」のさらなる拡大が軸になります。すでに発売した「うなる美味しさ うな次郎」や「ネクストシーフード うに風味」は、見た目や美味しさで高い評価をいただいています。

カニ風味かまぼこから始まった開発技術をさらに高め、新たな需要創造を図ります。また、従来の代替シーフード開発だけではなく、3Dプリンターでの活用可能性に関する研究も外部機関との共同研究が進んでいます。

また、培養魚肉の研究については本日午前9時にニュースリリースしました。

細胞培養スタートアップ企業のインテグリカルチャー社とともに「魚類」の筋肉細胞培養技術の確立に向けた共同研究開発を開始

スライドは本日リリースしたニュースです。細胞培養スタートアップ企業のインテグリカルチャー株式会社とマルハニチロ株式会社と当社の3社で共同研究開発をスタートすることを発表しました。これは「次世代の魚肉タンパク」を研究開発し、水産加工食品向けの培養魚肉の商業化生産を目指すものです。

当社にとっても新しいチャレンジになりますが、サステナブルな資源開発として意義のある取組みであると考えています。そして、当社の新たな価値創造に力を貸していただけるパートナーとアライアンスを締結して前進できることは、今後の成長の大きな糧になると考えています。

当社は「ICHIMASA30ビジョン」で、あるべき姿の1つとして「食品バイオ企業」になることを掲げており、この「次世代の魚肉タンパク」の研究開発への参画は、超長期ビジョン実現につながると考えています。

重要戦略:変革と創造

きのこ事業では、ビタミンDの機能性研究を軸に、事業の付加価値を拡大していく方針です。ビタミンDは海外で非常に注目度の高いビタミンですが、日本ではまだその機能・効能の理解が低い状況だと考えています。当社は国内外の研究機関とアライアンスを組み、研究を進めています。

サプリメントによるビタミン摂取も可能ですが、当社は「食べる健康」としての科学的なバックボーンを持った付加価値型まいたけの開発・生産を進めています。この領域を深掘りすることは「食品バイオ企業」につながる研究開発となり、大きな可能性がある領域だと考えています。

重要戦略:選択と集中

「選択と集中」についてご説明します。第二次中期経営計画における「選択と集中」の中核は、生産性の効率化に向けた省人化・スマートファクトリー化です。水産練製品・惣菜事業では、カニかま専用工場である本社第二工場の稼働により、カニかま生産ラインの集約を行い、効率化・生産の安定化が進むことになります。また、集約後には新たな消費者ニーズに対応した商品の生産ラインの導入検討も進めます。

第二次中期経営計画には、きのこ包装部門の省人化40パーセントを掲げています。すでに栽培センター内にモデルラインを設置し、包装のスマートファクトリー化の試験に着手しています。今後はこのモデルラインで得られる知見を活用して、省人化目標の達成に向かって進めていきます。

重要戦略:DX・新規事業

DX・新規事業についてですが、この2つの戦略はまだ基盤を整備中です。DXについては、データ化を行う「デジタイゼーション」の段階です。最終的には「スマートファクトリー化」のような事業のトランスフォーメーションに活用していく計画ですが、まずは基盤を整備し、着実に進めていきます。

新規事業については、水産練製品・惣菜事業、きのこ事業に並ぶ第3の柱を探索しています。現在、経営で「既存事業の隣接領域」への展開と「既存事業の周辺領域」における市場開拓の検討を進めています。

数値目標の進捗状況

数値目標の進捗状況については、ご覧のとおりです。2023年6月期で課題に一応の目処が立てば、当初策定した第二次中期経営計画への道筋に戻って進むことになると考えています。

サステナビリティへの取組み

最後に、サステナビリティへの取組みと上場維持基準の適合に向けた取組状況についてご説明します。2021年7月に制定した「ESG経営宣言」は、第二次中期経営計画のベースとしており、持続可能な社会の実現への貢献と企業価値向上の両立を目指しています。

「ESG経営宣言」の喫緊の課題は、地球温暖化防止や気候変動課題への対処ですが、当社は2022年8月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動に係るリスクと機会を分析し、当社の強靭性分析に着手しました。

TCFD提言への取組みについては、取締役会・経営会議の下にサステナビリティ委員会を設置し、環境課題を重要な経営リスクと捉える体制を構築しています。シナリオ分析の手法を活用し、将来起こり得る状況を幅広く想定する中で、当社の経営への影響を考えていきます。リスク管理については、環境マネジメントシステムであるISO14001をベースとした運用を行っていきます。

サステナビリティへの取組み

TCFD提言の「指標と目標」は、カーボンニュートラル政策との整合性を踏まえて、CO2排出量削減目標を2013年度比で50パーセント削減と設定しています。当社は2013年度から行ったさまざまな環境への取組みが成果を上げており、2021年にはすでに30パーセントの削減を実現しています。残り20パーセントの削減方法と見込みコストの最善解を求めながら、実施の判断を進めていきたいと思います。

CO2排出量削減に限らず、サステナビリティに係るコストの増加の方向が続くことは前提と考えざるを得ません。したがって、サステナビリティコストを経営計画へ織込みながら推進していくことが重要だと考えています。

サステナビリティへの取組み

サステナビリティへの取組みの考え方は以上ですが、具体的な事例をいくつかご紹介します。スライドは商品のエコ包材化への取組事例です。当社NO.1商品である「サラダスティック」での取組みを検討し、包材の一部をバイオマスプラスチック化しました。出荷数が多い商品であるため、バイオマス包材やエコ包材の認知拡大にも貢献したいと思います。

スライドの下部は、デザイン変更による包材量の削減事例です。この取組みはハム・ソーセージやお菓子などさまざまな業界で取り組まれていますが、当社のお客さまの中からも改善のご提案があり、変更のために背中を押していただきました。

サステナビリティへの取組み

再生可能エネルギーの活用を進めています。まいたけ栽培センターのデータでは、日中に使用される電力の約25パーセントを太陽光発電によって供給しています。2023年稼働予定の本社第二工場への設置も計画しており、各工場・事業所への設置も順次検討しています。

サステナビリティへの対応としては、現場からの個別・具体的な取組みの積み重ねと、経営判断を伴う方針決定の両面からサステナビリティ委員会の機能をフル活用して進めていくことになります。

上場維持基準適合に向けた取組状況・配当戦略

東証プライム市場上場維持基準適合についてご説明します。上場維持基準の4項目のうち、3項目は達成しています。現在、流通株式時価総額を精査しており、9月頃の開示を予定しています。引き続き、第二次中期経営計画の達成を目指すとともに、当社を正しく知っていただくIR活動の強化を進めます。

最後に、配当戦略についてご説明します。株主さまへの還元の強化については、安定的な配当を継続することを基本方針とし、配当性向20パーセント以上、DOE1.5パーセント以上を目処にさらなる充実を図ります。

以上で、前期決算概要と今期業績予想、および第二次中期経営計画の進捗と取組みについてご説明しました。私からのご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:コスト上昇分の回収について

司会者:「原材料費やエネルギー費などの高騰分は、3月と9月の2回の値上げによってどの程度回収できる見込みでしょうか?」というご質問です。

野崎:2022年6月期は価格改定を行ったのが3月だったため、収益への寄与は限定的でした。2023年6月期については、2023年6月期の業績予想でお伝えしたとおり、9月に予定されている2回目の価格改定を含め、コスト上昇分を吸収する見込みとなっています。

質疑応答:新規事業の開発の検討状況と見通しについて

司会者:これは関心の高いところだと思いますが、「中期経営計画で5つの重要戦略を掲げていますが、新規事業の開発の検討状況と見通しについて、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。

野崎:現在、当社には水産練製品・惣菜事業ときのこ事業があります。しかし、VUCAの時代といわれている中、収益源の多様化は必須と考えており、さまざまな角度から新規事業の可能性を探索している段階です。

具体的には、自社の経営資源を効率的に活用した既存事業の隣接領域への展開がファーストステップとなると考えていますが、既存事業の周辺領域における市場開拓もあわせて検討しています。

また、インテグリカルチャー株式会社やマルハニチロ株式会社との共同研究のような、まったく新しいビジネスモデルも含めて、M&Aやオープンイノベーションによる革新領域への挑戦を続けていきます。

質疑応答:省人化計画の達成見込みについて

司会者:「中期経営計画の取組みの1つである省人化について、水産練製品事業でもきのこ事業でも大きな数字を掲げていますが、計画どおり達成できるのでしょうか?」というご質問です。

野崎:水産練製品事業については、4工場に分散して生産している主力商品「サラダスティック」を、現在建設中の本社第二工場に集約することにより、45パーセントの省人化を計画しています。新工場は2023年3月から稼働する予定で、達成できるものと考えています。

また、きのこ事業については、2026年6月期までの第二次中期経営計画期間中に、包装過程で約40パーセントの省人化を計画しています。計画達成に向けて、当期からモデルラインを稼働し、スマートファクトリー化の試験をスタートしました。課題はありますが、第二次中期経営計画中に達成できるものと考えています。

質疑応答:コスト上昇が続く中で検討している新機軸の取組みについて

司会者:「9月の値上げで原材料費の高騰分を回収するというお話がありましたが、販売環境が厳しい中、計画値達成のためのリカバリー策となる新機軸の取組みなどは考えていますか?」というご質問です。

野崎:水産練製品・惣菜事業は3月1日に価格改定を実施しましたが、その後も原材料価格の高騰に加えて、エネルギー関連のコストアップが継続しているため、9月1日から再度の価格改定を実施予定です。相次ぐ商品の値上げや物価高騰の影響により、お客さまの節約志向や低価格志向が予想されますが、賞味期限の延長や健康機能などの付加価値の強化とともに、カニかまやネクストシーフードなどの当社の強みを活かした独自性のある商品の拡販を進めていきます。

海外事業の展開について

司会者:「『ICHIMASA30ビジョン』で掲げている食品グローバル企業の実現に向けた海外事業の今後の展開について教えてください」というご質問です。

野崎:海外事業については安定成長が見込まれるターゲット市場の選定が終了し、これから本格的に海外展開を強化していきます。具体的な戦略としては、国内工場とインドネシアの合弁会社の2拠点で販路の拡大を目指していきます。

国内市場からは、カニかまや「ネクストシーフード」などの強みを活かした商品で輸出エリアを拡大していきます。例えば、カニかまに関しては、海外での健康志向の高まりや日本食ニーズの拡大を踏まえ、かねてよりテスト販売を実施していた「Sea Salad(シーサラダ)」「MARINE STICK Plus+(マリンスティックプラス)」の販売エリアを拡大しています。

特に「Sea Salad」は常温商品のため、冷蔵環境が少ない地域でも持ち運びが可能で、お客さまのニーズも高く、手軽にタンパク質を補給できる商品として、今後も拡販していきます。「ネクストシーフード うに風味」もお客さまから高評価をいただいており、当社の独自性を活かした販売戦略を展開していきます。

質疑応答:プライム市場の上場維持と株価上昇のための施策について

司会者:厳しいご質問ですが、「プライム市場の上場は維持できるのでしょうか? 株価がなかなか上がりませんが、何か対策は打たないのですか?」というご質問です。

野崎:2021年6月期末の基準では、流通株式時価総額と一日平均売買代金が基準に達していませんでしたが、スライド27ページでお伝えしたとおり、一日平均売買代金は基準をクリアしました。流通株式時価総額は現在精査中のため、上場維持基準の適合に向けた計画書に基づく進捗状況については9月に適時開示する予定です。

これまで流通株式時価総額の基準達成に向けて、株価の上昇と流通株式数の増加対策に取り組んできました。株価はアメリカの金利上昇を背景とした株式市場の低迷の影響もあり、2021年6月末の終値937円から812円となりましたが、流通株式数は非流通株式の売却促進や政策保有株式の縮減にあわせた持ち合い解消などを実施しました。引き続き、上場維持基準の適合に向けて、第二次中期経営計画の達成とIR活動の強化を行っていきます。

質疑応答:細胞培養の共同研究について

司会者:「細胞培養の共同研究について、もう少し詳しく教えてください」というご質問です。培養魚肉の研究については本日9時にリリースしたばかりのため、みなさま全員がご存じではないと思いますので、社長からご説明ください。

野崎:当社は魚類の筋肉細胞の培養による食品生産を目指しています。そこで、細胞培養スタートアップ企業のインテグリカルチャー株式会社とマルハニチロ株式会社の3社で、研究開発契約を締結し、魚類の筋肉細胞培養技術の確立に向けた共同研究開発を推進します。

インテグリカルチャー株式会社が独自に展開する食品グレード培養液と汎用大規模細胞培養システム「CulNet System(カルネットシステム)」は、牛と家禽の細胞で有効性が確認されています。本共同研究開発では水産加工食品向けに対象を拡大し、培養魚肉の商業化生産を目指します。

当社は2045年のありたい姿として「ICHIMASA30ビジョン」を定め、常に技術を探究し、未来に向けてあらゆる食の情報を発信する「食品バイオ企業」を目指しています。昨今の世界的な魚類需要の高まりと海洋資源の減少傾向に対して、この取組みによって環境リスクを低減した持続可能な水産資源を確保し、サステナブルな資源管理と新たな価値創造に貢献できると考えています。

質疑応答:本社第二工場の稼働によるカニかま事業への寄与について

司会者:「本社第二工場の稼働により、カニかま事業の生産量・生産性はどのくらい改善するのでしょうか? また、市場シェアの拡大も見込めるのですか?」というご質問です。

野崎:2023年3月から稼働予定の新工場は、国内工場4拠点で製造していた主力商品「サラダスティック」を集約したカニかま専用工場となっており、集約化における生産性向上を図ります。

また、本工場では合理化・省人化に向けたスマートファクトリー化のための積極的な投資も実施しており、生産量は約5パーセント増、省人化45パーセントとなる計画です。

カニかま市場は練製品市場の中でも伸長率が依然として高く、引き続き市場は拡大していくと予想しており、当社のカニかま部門の売上も順調に推移しています。今後も、カニかま市場シェアNo.1の「サラダスティック」やその姉妹品、健康機能を訴求した「高たんぱく&糖質50%オフ ジューシーカニかま」、食べ応えのある「ガブリッチ 魅惑のカニかま」などの豊富なラインナップによりシェアの拡大を図っていきます。

質疑応答:きのこ事業の今後の展望と対策について

司会者:「きのこ事業は厳しい市場環境ですが、今後の販売単価の展望と対策を教えてください」というご質問です。

野崎:まいたけの年間平均価格は2019年6月期をピークに3期連続で減少しています。東京都中央卸売市場の統計データによると、2021年頃から取扱数量の増加が顕著なため、他社増産の影響はあると思われます。まいたけは気温や野菜相場に影響を受けるため、今後の価格推移の予想は難しいですが、ビタミンDを多く含む「クリーム色のまいたけ 希なり」の健康機能の訴求に努めていきます。

質疑応答:円安の影響について

司会者:「円安の影響はあるのでしょうか?」というご質問です。

野崎:当社で使用している材料には海外から輸入しているものがあり、基本的には円建てで調達しています。輸送費の上昇などもある中で、調達先からの価格改定の要請もあるのですが、その中には円安による為替負担分も含まれているため、円安影響を受けていると言えます。想定レートはお答えできませんが、現在の為替相場に対して、アローワンスを見た為替リスク管理を行っています。