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渡邉淳氏:Mipox代表取締役社長の渡邉淳でございます。日頃より、私どもMipoxのご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。

通常であれば決算説明会の場を設けて、株主さまや投資家のみなさまにご来場いただき開催するところではございますが、感染症の影響も考慮しながら、今回もWeb上で配信するかたちを取らせていただきました。ご理解いただきたく、よろしくお願いいたします。それではただいまより、2022年3月期通期の決算説明会をさせていただきます。

01-1 業績概要

全体の業績についてご説明します。2022年3月期通期の売上は、受託事業の好調と製品事業のハイテク関連の増加を主軸として、売上高は104億4,900万円となり、前年の73億6,100万円を30億8,800万円上回りました。

営業利益は14億6,700万円となり、前期の3億5,900万円を11億800万円上回りました。経常利益は16億1,300万円となり、前期の3億100万円を13億1,200万円上回りました。純利益は15億5,000万円となり、前期の8,700万円を14億6,300万円上回りました。

売上が飛躍した背景は、前期に引き続き製品事業のハイテク関連製品を中心に、リモートワークやWeb会議などの社会的な促進によりデータ需要が高まったことで、当社製品の需要が増加したことや、受託コーティング・スリットサービスにおける次世代ディスプレイ用部材の生産が期初から本格稼働したことが主要因で増加しました。また、半導体関連の受託研磨サービスについても、需要増で好調に推移しました。

01-2 特別損益について

2022年3月期連結累計期間、すなわち2021年4月1日から2022年3月31日において、スライドに表示のとおり、営業外収益及び特別損失ならびに繰延税金資産を計上しました。これらの金額は、2022年3月期通期決算に織り込み済みです。

01-3 利益増減要因(対前期⽐較)

利益に関してですが、利益率の高い製品が増えたことや、受託事業の受注が増え稼働率が高まったことにより、大幅に増益となりました。加えて、2022年3月期および今後の業績動向を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額4億3,600万円を計上しました。

01-4 セグメント別業績 - 製品事業

製品事業についてです。製品事業における売上の内訳を、前期では「日本研紙製品」と表記していましたが、子会社合併により「一般研磨関連」にまとめています。

ハイテク関連は、ハードディスクや光ファイバー、半導体といったハイテク関連分野での売上が引き続き増加しました。また、感染症の影響で遅れていた半導体機械装置の検収が上がったことにより、全体的に前年度を上回りました。

ハイテク関連の主な構成比は、期ごとのズレはありますが、ハードディスク、光ファイバー、半導体、その他が「3対3対1」の割合です。一般研磨関連は、感染症の影響からの回復と新規顧客獲得などもあり堅調に推移し、前年度を上回りました。

その結果、製品事業全体の売上高は75億7,000万円となり、前期比で11億5,400万円増加し、前期比18パーセント増となりました。売上高増加による生産量増加などにより、セグメント利益は8億8,400万円と、前期に比べ5億4,500万円増加し、前期比161パーセント増となりました。

01-5 セグメント別業績 - 受託事業

受託事業についてです。受託研磨加工は、次世代半導体やその他ウェーハ加工分野に関する引き合いを中心に需要が伸び、前期を大幅に上回る結果となりました。受託塗布・スリットサービスについては、次世代ディスプレイ用部材の生産が本格稼働したことが主要因で、売上が増加しました。

その結果、増収増益となり、受託事業全体の売上高は28億7,900万円で、前期に比べ19億3,500万円増加し、前期比205パーセント増となりました。セグメント利益は5億8,200万円と、前期に比べ5億6,300万円増加しました。

01-6 賃借対照表推移

貸借対照表のご報告です。当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ33億500万円増加の146億600万円となりました。主な内容は、売掛金の増加1億8,100万円、仕掛品の増加2億4,400万円、前払い金の増加27億5,500万円、繰延税金資産の増加1億9,800万円などです。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ4億1,200万円減少の65億1,500万円となりました。主な内容は、支払手形および買掛金の増加1億3,900万円、未払法人税等の増加2億5,600万円、賞与引当金の増加1億100万円、長期借入金の減少7億1,600万円、繰延税金負債の減少2億3,700万円などによるものです。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ、37億1,800万円増加の80億9,100万円となりました。主な内容は、新株の発行による資本金の増加10億1,300万円、及び資本余剰金の増加10億1,300万円、親会社株主に帰属する当期純利益15億5,000万円、為替換算調整勘定の増加1億4,000万円などです。

01-7 CAPEX / R&D の推移及び計画

設備投資額、減価償却費、研究開発費の数値ならびに推移はご覧のとおりです。2023年3月期の設備投資額の計画には、2022年4月1日に取得した鹿沼事業所の取得費用も含まれています。

01-8 キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ6億2,800万円減少の22億3,400万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュフローの状況をご説明します。営業活動によるキャッシュフローは、16億5,600万円の増加です。主な内容は、税金等調整前当期純利益14億1,900万円、減価償却費3億2,900万円、減損損失8,200万円、賞与引当金の増加9,900万円、関係会社整理損失引当金の増加7,100万円、売上債権の増加による減少1億5,800万円、棚卸資産の増加による減少3億2,500万円などです。

投資活動によるキャッシュフローは、33億3,600万円の減少となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出33億100万円などです。財務活動によるキャッシュフローは9億3,200万円の増加です。主な内容は、長期借入金の返済による支出11億5,800万円、株式の発行による収入20億1,400万円などです。

02-1 業績見通し

2023年3月期の通期業績見通しについてです。当数字は5月13日時点で入手している情報及び合理的と判断する一定の前提に基づいており、実際の業績などはさまざまな要因により大きく異なる可能性があります。感染症や世界情勢などの影響による不透明感は続くものの、売上は横ばいで推移する見通しです。

前期と比較して利益が下がる要因は、資源、燃料高による原価の上昇懸念と、4月1日に取得した鹿沼事業所の固定資産の償却費増、3月にリリースしたタイの子会社の清算、京都工場の閉鎖に関わる設備移転、移設費の増加などによるものです。

2023年3月期は、鹿沼事業所の取得で一時的に負担は増えるものの、今後は生産体制の再編により利益回復を目指します。

02-1 セグメント別見通し ‒ 製品事業

製品事業の業績予想についてご説明します。旺盛な半導体需要に加え、データセンター及び高速通信向けが好調に推移する見通しです。自動車分野は半導体不足の影響により、回復は緩やかな見通しです。生産リードタイムの短縮、適正在庫の見直しによる即納体制を構築し、サービス向上による売上増加を見込んでいます。

組織改編に伴い、事業部内に開発部門を設けることにより、新製品開発の活性化と販売まで一貫した組織運営に基づき売上増加を目指していきます。

02-2 セグメント別見通し ‒ 製品受託事業

受託事業についてです。受託塗布・スリットは引き続き堅調に推移する見通しです。しかし、現在、北杜事業所の受託塗布関連設備の操業度が最大に達しています。4月1日に取得した鹿沼事業所には、北杜事業所にある受託塗布設備と同等のものがあり、今後の受注獲得のために、この設備の早期稼働を目指します。

受託研磨関連は、次世代半導体関連の国内外からの需要の高まりを受け、新規案件の引き合いも堅調に増加する見通しです。しかし、一部大口受注が終了したため、受託研磨全体としては売上が減少する見通しです。

今後は受託研磨に加え、常温接合のサービスの実績化を進めることで受注を増やす活動に取り組みます。そのために、受託研磨関連の設備を鹿沼事業所に移設し、床面積を北杜事業所比で4倍にしました。

02-3 配当

配当に関して、2022年3月期末の配当金は、1株当たり15円で復配予定となりました。2023年3月期の期末配当金は、1株当たり10円での配当予想となっています。以上が、2022年3月期通期の業績見通しのご説明となります。

03-1 鹿沼事業所

2023年3月期通期の取り組みについてご説明します。まずは、新工場についてです。2022年4月1日に栃木県鹿沼市に工場を取得しました。これにより鹿沼事業所を新設し、順次稼働へ向けた取り組みを行っています。

工場取得の理由は、以前のリリースなどでご説明したとおり、受託事業の生産能力拡大、事業成長のための場所の確保、BCPの観点からの生産体制のリスク分散となります。現在、稼働に向けて受託事業を中心に、設備・機械・人材の移動、新規導入、増強を実施しており、順次立ち上げを行っています。

鹿沼事業所の稼働に伴うMipoxグループ全体の動きとしては、グループ内での製造、受注などの複雑化の解消と、日本国内での一気通貫体制の構築、生産体制の再編を行っていきます。

それに伴い、2022年3月22日付の「連結子会社の解散及び精算、事業所の閉鎖に関するお知らせ」にあるとおり、連結子会社であるMipox Thailandを解散し精算することとしました。また、お知らせにあるとおり反射材の製造、販売を鹿沼事業所へ生産移管し、京都工場を閉鎖することとします。

現在、すでに受託事業の一部業務は鹿沼事業所にて稼働しており、今期における早期の稼働を目指し取り組んでいきます。今後も開示すべき事項が生じた場合は速やかにリリースをもってお知らせします。

03-2 スマートファクトリー

人・もの・情報すべてとつながる工場、スマートファクトリー化の強化に向け、引き続きデジタルデータ活用により業務プロセスの改革、品質・生産性の向上を継続的、発展的に実現する工場へ向けた取り組み強化を進めていきます。

その中で、工場やシステムだけでなく、働く人のDX化にも注力していきます。組織内でDX人材を中⻑期的に育成し、各製造部門や開発部門、生産管理部門などでDXにかかわる知識やスキルを持つことで、スマートファクトリー化に向けた動きをより加速させることができます。

03-3 ハイテク分野

ハイテク分野についてです。生活様式や働き方などにおいて、コミュニケーションの変容によりテクノロジーの成長が急激に加速しました。PCやスマートフォン以外にも多種多様なデバイスが進化し、あらゆるものがインターネットにつながるようになりました。5Gは本格的な普及期に入り、仮想空間での新しいコミュニケーションスタイルが生まれつつあります。

それに伴い、さまざまなものがインターネットにつながるための膨大なデータ量が必要になってきています。データ量の増加に伴い、消費電力も膨らんでいます。デジタル化とともに、脱炭素社会、カーボンニュートラルに向けて技術の進化、機器の高性能化、省電力化が急がれています。

Mipoxでは、次世代半導体の「課題」解決に対するニーズに、Mipoxのコア技術を組み合わせた「『創造』×『エンジニアリング』」で応えていきます。受託請負ではなく、課題に一緒に取り組むエンジニアリングパートナーとして、Mipoxにしかできない付加価値を提供します。また、製品事業と受託事業の両方において、設備・ノウハウ・人材の共有により製品能力・開発能力をともに向上させることで、最先端のニーズに対応していきます。

03-4 エンジニアリング

エンジニアリングについてです。Mipoxの「エンジニアリング」とは、社会やお客さまに付加価値を創造し続ける精神、姿勢を表します。我々のコア技術「塗る・切る・磨く」で、その分野のプロフェッショナルとしてのチャレンジを続け、社会やお客さまが実現したいことを具現化し、世界を変えていきます。

さらに、お客さまの成功のための付加価値を創造する環境を作るため、多様な働き方を推進していきます。先ほどお伝えした次世代半導体の「課題」解決に対しても、さまざまな取り組みを行っています。

03-5 グリーンイノベーション基金事業

グリーンイノベーション基金事業の概要です。日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げました。日本の新たな成長戦略として、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、2兆円の「グリーンイノベーション基金」がNEDOに創設されました。

カーボンニュートラルに経営課題として取り組む企業に対し、研究開発・実証から社会実装までの継続した支援が行われることになりました。本プロジェクトでは、2030年までに次世代パワー半導体向けの超高品質8インチSiC(炭化ケイ素)ウェーハを社会実装するため、溶液法とプロセス・インフォマティクス技術を活用したSiC結晶成⻑技術の開発と、大口径SiCウェーハ向け加工・評価技術の開発を行っていきます。

グリーンイノベーション基金の「次世代パワー半導体に用いるウェーハ技術開発」事業は、2030年までに当プロジェクトを含む3プロジェクトに約186億円の支援が投じられます。本事業は、オキサイドを幹事会社とし、Mipox、UJ-Crystal、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学、アイクリスタル、国立研究開発法人産業技術総合研究所の6者で受託します。

テーマの「次世代パワー半導体に用いるウェーハ技術開発」において、当社は独自の卓越した結晶加工技術と結晶評価技術により、SiCウェーハ量産加工技術・評価を担当します。

03-6 Customer Experience

今期をMipoxのCX元年と銘打ち、カスタマーエクスペリエンスを軸とした多様化するニーズへの対応に注力していきます。CX向上の実現に向け、製品・サービスの提供能力を強化していきます。

セールス部門の細分化により、リード獲得までの連携とフォローアップ体制の強化、生産リードタイムの短縮と適正在庫の見直しによる即納体制の構築、エンジニアリングによる製品・サービスの向上および新しいニーズに合った新製品の開発を進めていきます。

メーカーとして「モノをつくって売る」だけのビジネスから、「価値を提供する」ビジネスへ、さまざまな取り組みや改革でカスタマーエクスペリエンスの向上を実現していきます。

以上をもちまして、2022年3月期通期の決算説明を終わらせていただきます。ご視聴いただき、ありがとうございました。