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五十嵐幹氏(以下、五十嵐):みなさま、こんにちは。株式会社クロス・マーケティンググループ代表取締役社長の五十嵐幹でございます。本日はお忙しい中、お時間をいただきまして大変感謝しております。それではさっそくですが、説明会を開催させていただきます。

今回初めてご参加の方も多数いらっしゃいますので、初めに会社概要をご説明し、その後に第2四半期の決算概要、トピックス、2022年6月期業績予想について、株主還元・配当金額、最後に中期経営計画の概要についてお話ししたいと思います。

会社概要(2021年12月末時点)

はじめに会社概要についてご説明します。株式会社クロス・マーケティンググループは、創業は2003年4月1日で、本年度をもって20周年を迎える会社です。

主たる事業として、デジタルマーケティング事業、データマーケティング事業、インサイト事業の3つの事業を保有しています。詳細については、後ほどご説明しますが、関連会社はグループ全体で29社であり、グループ運営をしています。従業員数は1,361名であり、国内で約950名、海外で約400名という構成になっています。

代表取締役紹介

次に、私自身の簡単な自己紹介になります。1973年、東京生まれで現在48歳です。今年、年男になると思います。大学卒業後、日本アジア投資というベンチャーキャピタルで、いわゆるベンチャー企業に対する投資事業の推進とIPO支援を中心に行っていました。

その後、2000年前後は世の中がネットバブルの中、いろいろなネット企業が生まれてきました。その頃、いろいろな投資先を含め、ネットのメディアの会社を作っていこうということで、別の会社を新規立ち上げし、役員という立場でそちらの取締役に就任しています。

その数年後、過去の実績の中で培った事業をさらに事業展開していこうということで、2003年にクロス・マーケティングという会社を創業しています。私が29歳の時です。その後、5年で東証マザーズに上場し、その10年後には東証一部上場企業となっています。

外部の仕事としては、東証一部上場企業のレアジョブというオンライン英会話の会社の社外監査役も、IPO前から務めています。また、日本マーケティングリサーチ協会の副会長も兼ねています。そのような意味では、役員経験もすでに26年あり、また自分自身の会社の経験もすでに20年あることになります。

事業セグメントと主なグループ企業

事業セグメントと主なグループ企業についてのご紹介です。私ども29社は、それぞれサービスを持っており、この3つの主力事業にそれぞれのグループ会社がブランドごとに所属しているという構造になっています。

デジタルマーケティング事業は、現在最も主力の事業であり、売上全体の41パーセントを占めるまでに成長しています。事業領域の概要として、いわゆるデジタルプロモーション、システム構築、その他ITエンジニア等の人材派遣サービスを展開しています。

次の主軸はデータマーケティング事業、いわゆるインターネットリサーチのビジネスであり、売上の34パーセントを占めています。私どもはオンライン上に500万人超のアンケートに答えられる会員の組織を持っており、それを日々活用していくかたちで、消費者のデータを集めるという仕事を手掛けています。

インサイト事業はいわゆるマーケティングリサーチであり、売上全体の25パーセントを占めています。消費者データを集めた後、お客さまのマーケティング課題に沿ってコンサルテーションしていくビジネスです。

これらが簡単なグループの売上の構成と主力事業の位置づけになります。

企業理念

私たちは、企業理念である「未来をつくろう。」を掲げて事業を進めています。もともと私たちの主たる仕事は、お客さまのマーケティング支援ビジネスであり、商品を作り、それを世の中に広めていくことで数々の新商品が登場する支援を行っています。それらを通じて、消費者の未来の生活をよりよくし、新しいものを生み出していこうということで、このような企業理念を持ちながら会社を進めています。

主要な事業展開 及び 実績推移

2008年に上場して以来、会社が拡大してきた流れについてお伝えします。売上27億円前後で上場しています。上場日は10月26日ですが、リーマンショックで日経平均が6,800円を叩いた時に上場したということで、お祝い事というより、ストップ安覚悟で上場した会社です。

そこから会社の業績をきちんと拡大していこうということで、現在、今期の業績予想としては売上高約230億円まで成長してきており、上場した後も売上規模を8倍まで拡大させています。

上場時は、いわゆるネットリサーチのアウトソーシング事業で、単体のビジネスで上場しました。その後、2013年までの5年間で、マーケティングリサーチ会社としてのいわゆる総合化を図っていくために、数々のM&Aをしながら基盤強化を図ってきました。

その後、ITソリューション、いわゆるスマホシフトも含めて、数々のモバイルアプリが誕生していく中、会社の中で開発部門を内製化しながら自分たちで開発基盤を持つ必要を感じました。また、モバイル対応をしていくことも含め、ITソリューションのビジネスを立ち上げています。その頃から徐々にDXの領域に進出していきました。

一方、海外展開も並行して行っており、当時日中関係が良好だった頃に、中国そして次のマーケットである東南アジアを見据えたかたちでマーケティング支援をしていくことになりました。上海、シンガポールにも拠点を作り、海外展開を始めています。

2016年には売上が大きく伸びていますが、アジア圏内を中心に事業展開していたKadenceという会社の買収に踏み切りました。それによって海外ネットワーク基盤の強化も図っています。

2016年以降は、さらにデジタルプロモーション系の強化を行っています。昨年はドゥ・ハウスという会社のM&Aも実行し、メディア強化というかたちで、DX領域のビジネスを進めていくソリューションのために、数々のM&Aも実施しています。創業のビジネスを行うとともに、今まで11社以上のM&Aも行っており、それを経営改善しながら次の事業領域の開発を順次進めている会社だとご認識いただければと思います。

2018年から2020年あたりで成長が若干落ちているのではないかという話もありましたが、海外の会社を買収した後のPMI、体制強化を実施していた時であり、日本の上場企業の仕組みを入れていくことも含めて、海外ビジネスのテコ入れを図っています。

その体制強化が終了した段階で一昨年にコロナ禍が始まり、当初は若干影響を受けました。しかし、先期からだいぶ回復過程に入ってきており、今期の進行期においても過去最高売上、過去最高利益にまで到達してきている状況です。

事業の変遷

今お伝えした事業の変遷を記載しています。まとめますと、創業のビジネスとしてネットリサーチに始まり、その後総合化を図るということで、マーケティングリサーチ全体に対してビジネス展開しています。その後、ITソリューションの強化を図りながら、マーケティングソリューションへ展開しました。

現時点では、グループ全体をさらに統合していこうということで、マーケティングの中でも特にDXの領域に会社全体の主軸を向けています。DXソリューションの商品の幅、サービスの幅を増やしながら事業展開を進めており、今の中計も含めて主軸になってきています。

グループ全体の強み

グループ全体の強みということで、後ほど事業のサービスと照らし合わせながらお伝えしますが、大きく分けて4つのポイントがあります。1つは、800万人超のパネルネットワークを保有しています。関係会社を通じて約300万人のアンケートモニターのサイトもありますし、またドゥ・ハウスという会社は約100万人の会員組織です。最近、スキップという会社を買収したのですが、そちらでも350万人のネットワークがあり、かなり大規模なメディアもグループ入りしてきています。

それ以外の取り組みとして、いわゆる「ニフティ」や中堅メディアと、約30メディアの事業提携関係にあり、それを1つのアドネットワークのようなかたちで、私たちのデータベースの中でシングルソースのネットワークを持っています。大規模な詳細データを保有しているパネルネットワークをプロモーションやリサーチに活用しているということで、これが日本最大級の詳細データを保有しているパネルネットワークの1つになってきているということです。

2つ目は、データアナリティクス技術で、300名超のアナリスト組織があります。近年、BIツールの普及とともに、データサイエンティストの世界がもてはやされてきています。人材不足ということと、そもそもデータサイエンティストはエンジニア出身の方が非常に多いということがありますが、一方、私どもは長年マーケティングリサーチというかたちで、消費者データのデータ分析をしてきた会社です。

そのようなことも含め、私たちもマーケティングリサーチビジネスの拡張ということで、消費者のアンケートデータだけではなく、POSデータ、CRMデータなどのいろいろなデータを統合分析していく流れも出てきています。私どもは300名以上のリサーチャー部隊を抱えていますが、その素養、スキルが非常に大きく活きていくということで、この能力拡張に入っています。

3つ目の強みとしては、5,000社、7万2,000窓口と記載しています。マーケティングを行っている会社のいろいろなセクション、グループ会社を通じて約5,000社のアカウントがあるということと、7万2,000窓口の発注者を押さえているということです。ここに対して、グループの力を結集しながら、さまざまなサービス群、ソリューション群においてクロスセルをかけていくことも1つの大事な要素になってきます。

4つ目は、ネットリサーチシステムを含めて、100名超のエンジニア組織を内製化しています。そのため、早期に自社のソリューション群を立ち上げていくことができるということで、完全に外部委託している会社ではなく、エンジニア集団も抱えている組織であるということが、1つの開発基盤として強みになっています。

グループ全体の強み【パネル活用】

先ほどご紹介した大規模ネットワークについてです。口頭でお話ししたことの整理となっていますが、私どもは全体で800万人のデータベースを持っています。これは、通常のメディアが持っているような、いわゆる性別、年齢など、会員登録する際に登録されている情報ではなく、自分たちで投資をしているため、約2,000項目にわたる個人データを、いわゆるリサーチ会社のような発想で作っています。

すなわち、どこの金融機関とお付き合いがあるのか、どのカードを持っているのか、ご自宅はどのような形態か、また、どのようなお車をお持ちなのか等、2,000項目に及ぶ詳細データを保有しており、そのデータベース800万人分を私たちの権利として保有しているということになります。

いわゆるデータマーケティング事業で、ネットリサーチは年間2万案件くらいの配信を行っていますが、このようなリサーチ可能な会員の524万人に対して配信をしています。また、デジタルマーケティングにおいては、いわゆる広告プロモーションという考え方の中で、いろいろなプロモーションをプロモーションパネルに配信したりしています。

つまり、グループ会社の中にいろいろなサービスがありますが、この1つのシングルソースパネルを活用するかたちで、大変効率のよい、また低コストで配信できるツールを持っているということになります。これが近年、会社の中でも非常に力を持ってきています。

グループ全体の強み【パネルネットワーク数】

パネルの拡張については、発注者とモニターの維持の両方が必要になってきますので、毎年約50万人ずつを安定したかたちで成長させてきています。リサーチのパネルに関しても、4年前は375万人だったものが、現在524万人にまで到達しています。同様に、現時点でプロモーションパネルも800万人にまで到達してきています。

当社グループのビジネスモデル①

当社グループのビジネスモデル、つまりどのようなフローで動いているのかについてです。私たちは基本的にBtoBのマーケティング支援会社です。スライド左側に、顧客のマーケティングプロセスと記載していますが、基本的には新商品を作る消費者調査、データ収集に始まり、その生活者に対して実際にどのようなマーケティングの施策を打っていくのかを考案します。結果的には、このDX領域においてどのように展開させていくのかという一連の流れをサポートしていきます。

特に、私たちのデータが活用されているところは、大企業のマーケティング部門、商品開発部門、また経営企画部門で、その経営会議において、行うか行わないかの大事な意思決定の要素としてデータを提供しています。

スライドに記載したプロセスに沿ったかたちで、私たちのグループ会社が配置されており、例えば生活者のデータを効率的に集めるデータマーケティング事業においては、日々アンケート対象者からアンケートの回収を行っています。

インサイト事業に関しては、上がってきたデータを、他の調査手法も活用しながら、消費者のデータを分析し、レポートを作成してマーケティングの示唆のようなものを出していきます。

DX領域に関しては、アプリのシステム開発から入り、さらにそこからどのようにして会員を集めていくのか、もしくは商品を広めていくのかを、プロモーションネットワークの全体に対して配信していきます。

私たちの強みは、基本的にはそれぞれ自社のサービス網の中で単体のサービスとして持っているということで、それぞれの領域でビジネスが成立しているということと、さらに場合によっては全体で総合提案していくということです。決して代理店というポジションではなく、自社のサービス群を製造から販売まで全部行っているという構造です。

当社グループのビジネスモデル②

さらに、一番の強みは、このリサーチ機能を内製化して、大規模なものを持っているということです。経営の意思決定をするために、このようなマーケティングリサーチを活用していくわけですが、やはり非常にコストがかかるものです。

したがって、私たちのサービスを作っていく中でも、リサーチ機能が内製化されていることによって、低コストで自社供給できます。最近、大きく業績を伸ばしているプロモーション領域では、提案段階で消費者のファクトデータをつけることができるのですが、これは他社にないもののため、コンペでの勝率が上がってきています。

本来、エージェンシー側から言えば、自分たちでデータを集めるコストを負担する必要があるため、提案段階でなかなかコスト負担できないものですが、私たちはリサーチ機能を内製化していることもあり、低コストでデータを集め、合理的な提案ができています。つまり、私たちの肝は、リサーチ機能を内在化し、かつそれをマーケティング実行支援として展開できるグループ力であり、これが非常に大きな強みになっているのです。

デジタルマーケティング事業(事業内容)①

それぞれのサービスの具体的な内容を簡単にご紹介していきます。まず、デジタルマーケティング事業における、システムインテグレーションの領域についてです。こちらは数々のアプリ開発、Webサイト開発の実績がありますが、その中でも一番の実績は、金融機関向けのアプリ開発です。

私どもは、大和証券グループさまの「CONNECT」のオンライン証券アプリも作っていますし、いわゆるネットのオンライン証券で60パーセントの会員が使っているようなものを、いろいろな金融機関に提供しています。

得意なことは、絶対にミスをしないようなかたちで取引を回せるという仕組み、かつスマートフォンからのアクセスによる大量のトラフィックを同時に回せる技術があるということで、金融機関から数多くの依頼を受けています。

カード会社や旅行会社からの依頼もあります。私どもはHISさまの国内旅行サイトなども開発しており、取引系のアプリに関してはかなり豊富な実績があります。

デジタルマーケティング事業(事業内容)②

次に、メディア事業です。一昨年12月にドゥ・ハウスという会社を買収しています。売上規模としては一昨年で30億円くらいです。

ドゥ・ハウスは「モラタメ」という会員数100万人のサイトを運営しています。こちらはオンラインで商品のサンプリングをするサービスです。新商品、特に食品やお菓子はスーパーなどで試供されていますが、そうしたものをオンラインで配布することによって試してもらうということです。

最近の新商品の販売においては、やはり単純に商品を配るだけではなく、ウェブサイトの受け皿の準備ということで、大量の口コミデータが必要になってきます。これはSEO対策からも、キャンペーンサイトを作っていく中でもかなり大事な要素になってきているのですが、このサービスは年間で120万件ほど新商品を配っています。

かつ、並行して大量にクチコミを集めてお客さまに納品します。これを行うと、お客さまは新商品を使った方の声をそのまま自社サイトに活かすことができますし、いろいろなプロモーションにも活用できます。これが「モラタメ」の強みです。

このように世の中に新商品を広めていくための第1ステップとして使われ始めているサービスで、前年比30パーセント程度の大きな伸びを示している領域です。

デジタルマーケティング事業(事業内容)③

先ほどお伝えしたパネルネットワークの補足ですが、このドゥ・ハウスはだいたい年間120万個のサンプリングを行っており、ディーアンドエムのほうは年間で5,000件ほどのプロモーションを行っています。

これは先ほどお伝えしたとおり、2,000項目にわたる大規模な詳細データをシングルソースで持っているため、非常に反響性のよいメディアネットワークになっています。その構造を活用することによって利用率が上がってきています。

データマーケティング事業(事業内容)

データマーケティング事業です。こちらはネットの特性とマーケティングリサーチの特性を持ち合わせている事業で、業界最大級の約524万人のパネルネットワークを活用し、消費財メーカーを含めたエンドユーザーに商品を届けているお客さまからのニーズに基づいて、日々アンケートの回収をしています。

インサイト事業(事業内容)①

インサイト事業はお客さまのマーケティング課題に沿ったかたちで消費者データを集め、さらに分析・レポーティングをする仕事です。海外のネットワークが世界10カ国、20拠点以上で展開されており、これらを含めて総合的にサポートします。

私どもは日本国内のみならず、海外のマーケティングリサーチも総合的にサービスを展開しています。特にアジア圏内はほぼインドまで展開が終わっており、アジアに強いマーケティングリサーチ会社のネットワークになっています。

拠点はロンドン、サンフランシスコ、ボストンにあり、狙いとしては日米欧のグローバル企業の、いわゆるネクストマーケットであるアジア大陸のデータが欲しいというニーズに応えるために拠点を展開しています。

近年、海外においてもやはりアメリカのビジネスが大きく伸びているため、海外のグローバルIT企業等からの発注が増えています。

インサイト事業(事業内容)②

インサイト事業を支える調査のインフラということで、食品系に対応するための会場調整やインタビュー調査も行っています。それらを総合的に対応していくことによって、さまざまなマーケティング課題に対して解決策を導き出す仕事をしています。

Executive Summary

これらを踏まえ、2022年第2四半期の決算概要に移ります。ポイントとしては、第2四半期6ヶ月の累計で営業利益17.1億円と、前年同期比で約2倍に成長しています。また、通期においては過去最高営業利益が13.4億円でしたが、すでに半期でそれを上回るような業績までたどり着いており、非常に好調に進んでいます。

全体を牽引しているのが2つ目のポイントであるデジタルマーケティング事業です。こちらの売上高が2.4倍に拡大しています。またそのほかのデータマーケティング事業・インサイト事業も2ケタ増収しているということで、すべての事業体において好調に推移しています。

通期の業績予想に対しても高進捗であり、足元の状況を見ても好調を継続していくだろうということで、成長への投資加速やオミクロン株の動向も踏まえながら通期業績予想を上方修正しました。これが3つ目のポイントです。

決算概要

実際の数字の比較です。売上高は82.9億円から123億円となり、前年同期比約150パーセントです。営業利益は8.2億円から17.1億円で前年同期比208.4パーセントです。当期純利益は4.3億円から11.1億円ということで、半期ベースで当初予測の1年分の当期利益にすでに到達している状況です。

同期間(7~12月)業績の推移

5ヶ年の同期比の比較です。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響も受け、売上高は82.9億円となりましたが、今期はそこから大きく成長しています。

営業利益の増減要因(前年同期間比)

それぞれ昨年から何が変わったのかを紹介します。まずは営業利益の増減要因として、データマーケティング事業の売上高が増加し、外注費が減ったこと、また生産性が強化されたことによって粗利が6.7億円増加しています。

また、インサイト事業も同様の傾向があり、筋肉質になっている中で売上高が増加し、1億円の営業利益のプラスです。デジタルマーケティング事業も売上高が2.4倍になっていく中で、粗利率の向上を含め3億円の粗利増となりました。

一方で主に先行投資としての販管費の増加は3.7億円ということで、人件費や広告宣伝費などが増加いたしました。加えて、ドゥ・ハウスの新規連結による営業利益の増加がプラス1.9億円です。それらが複合的に作用しながら、営業利益17.1億円を半期でたたき出しています。

通期予想に対する進捗状況

進捗状況です。今期から四半期ごとにフォーキャストを出しています。引き続きオミクロン株の影響が予測されるということで、数字に幅を持たせて開示しています。第3四半期の見通しとしては、売上高が57億円から62億円、営業利益が5億円から7億円です。

第3四半期累計では、売上高が180億円から185億円に到達し、営業利益も22億円から24億円となる見通しです。それらも含めて進捗が第3四半期の段階で非常によく見えているということで、オミクロン株の影響も考慮していますが、上方修正を図ったかたちです。

第2四半期に関しては、基本的に日本企業の1月から6月というのは閑散期になってくるため、私どもにとっては未来の先行投資を図る時期でもあります。それらも含め、通期の業績動向についてはまたわかり次第、順次開示していきます。

デジタルマーケティング事業①

それぞれの事業の数字面の動きです。デジタルマーケティング事業は主力セグメントとして大幅な増収増益で全社業績を牽引しています。昨年度の2021年1月からドゥ・ハウスの連結効果も出てきています。約半年で売上高約22億円、セグメント利益約1.9億円の寄与をしています。

そしてデジタルプロモーションの中核会社であるデータマーケティングも含め、既存のデジタル領域はすべて好調です。セグメント利益も規模の拡大とともに改善してきており、10.4パーセントと2桁に到達し、より効率的な組織が生まれつつあります。

ポイントとしては、半年でデジタルマーケティング事業の売上高が50億円に到達したことです。本年度の通期では100億円まで持っていこうと推進していますが、順調に進捗しています。

データマーケティング事業①

次にデータマーケティング事業です。こちらは新型コロナウイルス感染症の影響がほぼ終わり、一昨年の売上高35億円に対して41.7億円まで回復しています。

一方で、やはりコロナ禍で会社全体の業務のデジタル化、リモートワークの推進をはじめ、余分なコストを削減しながらバック体制の見直しを図った結果、かなり筋肉質になっています。増収もありますが、結果としてセグメント利益率は33.9パーセントへ上昇し、ビジネスモデルとしても高利益率になっています。

ただ、売上高は前年比2桁で回復していますが、一昨年と比べると若干追いついていません。こちらについては、通常の景気回復過程に入るとトップラインもさらに上がってくるということで、さらに好調になっていくと予想しています。

インサイト事業

インサイト事業も同じような構造です。2020年7月から12月までは新型コロナウイルス感染症の影響がありましたが、そこから前年比15パーセントの増加と2桁のV字回復をしています。一方で、先ほどのデータマーケティング事業と同じように、デジタル化の推進によって筋肉質な状態となっており、利益は前年比約1.7倍に拡大しています。

事業全体としては、新型コロナウイルス感染症の影響がほぼなくなりつつあり、かつ世の中のDX化の流れも受けながら、DX領域は特に好調となっています。

データマーケティング事業②

次にトピックスです。上期は数々の投資を行っており、特にDX領域の商品・サービスの開発を進めています。例えば、スライドで紹介しているカスタマーサクセスBIという、リサーチビジネスに特化したBIツールも自社で供給を開始しています。

こちらはいわゆるリサーチDXという文脈で、お客さまのマーケティング部門でデータを取り扱いやすくするためのツールです。データを扱いやすくする仕組み作りということで、BIツールの提供に踏み切っています。

デジタルマーケティング事業②

ディーアンドエム領域では、調査・分析ノウハウを活かした戦略的なサイト企画を活かすということで、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)も提供しています。

M&A戦略の推進

本年度1月31日にスキップという会社を買収しています。こちらは固定読者379万人を保有している美容メディアの運営会社です。「日本すっぴん協会」「つやプラ」という2つのメディアを運営していますが、基本的には化粧品や健康食品、特にビューティ関係の情報を掲載しているメディアです。

私たちとの親和性としては、化粧品を含めた新商品が発売するタイミングにおいて「モラタメ」というサービスもありますし、このような記事広告型のメディア出稿もできるということで、より強力なマーケティング支援を図っていくため、買収に踏み切りました。

当社はデータベースの拡充およびこのようなメディア力の拡充を目指しており、これらの領域の拡大はビジネス戦略ともつながっています。

グループ体制の強化

経営構造の改革ということで、グループ会社が29社ある中で、より効率的にビジネス全体のマネジメントを行うため、グループ内部の統合作業も実施しています。

今年3月1日に効力が発生しますが、ネットリサーチを行っているクロス・マーケティングと、ミステリーショッパー事業を持つショッパーズアイの事業統合を図る予定になっています。より効率的な組織運営を行うためのものです。

グループ組織再編

また、海外事業のほうもポートフォリオの変更を図っており、海外子会社であるインドのMarkelytics社を含め4社の株式を売却しています。こちらは海外ビジネスにおいて、複数のブランドがある中で重複エリアや重複機能の排除として優先順位の低いものは売却しながら、よりガバナンスを効かせ、効率的にビジネスを進めていくための体制強化を図っています。

資本政策①

次に資本政策ということで、2月14日に決算の開示をしましたが、その時に株式需給緩衝信託を新しく設定しています。こちらはプライム市場残留に向けて流通時価総額を増やすため、固定化されている大株主の売却を行うことでより流動性を高めていき、より売買を行いやすい状況を作っていくことを目的としています。

大株主の方と調整し、株式の約13パーセントを保有していた、今は電通のグループ会社になっていますCARTA HOLDINGSから8パーセント放出してもらうという資本政策を打っています。

ただし、その際に市場に対しての影響があるため、需給緩衝信託という名前のとおり、市場になるべく影響を与えないかたちで流動性を増やしていこうと投資信託のかたちで設定しています。終了日は6月30日を目処に、ゆっくり売却を進めていきます。

資本政策②

こちらのページに信託設定についての詳細の記載があります。後ほどご覧ください。

2022年6月期連結業績予想

2022年6月期の業績予想です。さきほどお伝えしたとおり、通期業績予想を上方修正しています。中期経営計画を昨年夏に開示していますが、その3年間の1年目となります。この売上高300億円達成に向け、過去最高業績を目指していくことが根幹となっています。

スライド右側の表にあるように、通期業績予想を上方修正しています。売上高は230.5億円が235億円から240億円、営業利益は19億円が22億円から24億円に修正しました。

中期経営計画で発表したデジタルマーケティング事業を強化する方針ですが、そこが非常に好調であるため、約100億円から約103億円に引き上げたかたちです。

株主還元・配当金額

次に、株主還元と配当金額についてご説明します。配当方針に関しては配当性向15パーセントを目安に、継続増配を前提としたかたちを決めています。

したがって中間配当金は上期の業績が好調であったことから、継続増配を前提としながら、中間配当金を4.1円から4.3円に引き上げました。現時点においては6月の期末配当が4.1円で据え置きとなっています。

長期ビジョン

中期経営計画である「DX Action 2024」の概要について簡単に触れておきたいと思います。長期ビジョンとしては、私どもの一番の根幹は、スライド中央にある「生活者のWhyの解明」となります。私たちは、非常に広範囲の消費者のデータを集める力を持っており、「消費者がなぜ動くのか」ということを分析する力があります。

「Whyの解明」を起点としたサークルには、グループ会社が配置されています。このグループ会社を通じて、外側のサークル、いわゆるマーケティング支援ビジネス全体に対して事業展開を図っていくことになります。そして外側のサークルに沿って、会社の成長戦略、サービス強化を図っていきます。

ただし、根幹に関しては「生活者のWhy」を十分に理解、分析した上で事業方針を決めていくことが私たちの1番の強みになっているとご理解いただければと思います。

中期経営計画の指針

中期経営計画の方向性について、グループ全体のサービス開発、事業開発ではどこへ根幹を置くのかということをお話しします。基本的には、「マーケティング領域におけるDXパートナーになっていこう」と考えています。つまり、DX領域における、リサーチDXやマーケティングDXなどのすべてのサービスラインを集中させていくという基本方針を出しています。

中期経営計画数値目標①

中期経営計画の方向性を踏まえて、KPIを具体的な数字で掲げているのが、スライドに記載の「Triple Three」となります。この3ヶ年で、時価総額300億円、グループ連結売上高300億円、グループ連結営業利益30億円を達成していこうという目標です。

なお、下側には、2021年6月30日段階の売上、時価総額、営業利益の動向を付記しています。

中期経営計画数値目標②

中期経営計画に向けて、もう1つの指標としてEPSがあります。2021年6月期のEPSは27.5円でした。今期末は67.5円から72.6円、最終年度である2024年6月には90円を達成することが1つの目標となっています。

目標達成に向けて、着実な業績の積み上げを図っていくこと、IR活動の強化、資本政策を含めた流動性のアップも含めて、より市場に認知されていく動きを明確にしながら着実に進めていくことが基本方針です。

各セグメント施策及び数値目標

各セグメントの施策および数値目標についてです。スライドに3つの主力事業である、デジタルマーケティング事業、データマーケティング事業、インサイト事業を配置しています。デジタルマーケティング事業は、CAGRで最低でも20パーセントの成長をさせていきます。

一方、スライド右端に記載している新規事業、M&Aについては、約30億円の予算組みを行っています。基本的には、このM&Aも含めて、特にデジタルマーケティング事業に加算していくことになっており、300億円のうち半分を投資して、より積極的に推進する方針です。

また、中央のデータマーケティング事業とインサイト事業に関しては、着実にマーケットの成長率以上にCAGRを高めていく予算組みとなっています。データマーケティング事業は約7.2パーセントの成長率、インサイト事業に関しては5.9パーセントの成長率を安定して作っていきます。

結論として、当社が中長期的な成長をどこで作っていくのかというと、デジタルマーケティング事業を徹底して伸ばしていくことであり、1つの主力事業になっていきます。

グローバル戦略

グローバル戦略の新規拠点に関しては、もう少し余力が出てきてからの実行となります。世の中全体の新型コロナウイルスの影響が収まってから再着手していく予定です。

全体感としてはUSファーストであり、USのグローバル企業をどのように落としていくのかということも含めて、USでの拠点展開、人員強化を図っています。上期でも海外ビジネスの成長のドライバーになっているのはUSの企業となっているため、ここ1年、2年はUSに大きくシフトしながら収益機会を捉えていくことになると思います。

株主還元施策

株主還元施策です。先ほど、配当については15パーセント前後を目安として、継続的に安定増配を図っていくという方針をお伝えしました。当然ながら、バリュエーションが低ければ、自己株式取得などの機動的な資本政策を行うことを予定しています。

一方で、短期的には流動性アップも1つの経営方針になっているため、そのあたりのバランスを見ながら、適宜資本政策を実施することになっていくと考えています。

以上、足早になりましたが、第2四半期の決算概要、グループ会社の概要をご説明させていただきました。約45分間、少し長場ではありましたけれども、ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。

質疑応答:上半期と中計の収益性について

質問者1:収益性について質問です。まずは上半期の収益性について、営業利益率が非常に高いですが、一過性のものなのか、それとも継続可能な利益率の水準なのかを確認させてください。

また、中計の営業利益率が10パーセントとなっており、今期の計画の10パーセントと変わっていませんが、売上の拡大によって収益性はもっと上がっていくことはないのでしょうか? そのあたりの考え方も教えてください。

五十嵐:上期の収益性が高まった要因としては、先ほどご紹介したとおり、パネル領域のビジネスが非常に伸びたことが挙げられます。データマーケティング領域において、インターネットリサーチの案件数が大幅に増加したということも含めて、非常に効率よくデータベースが回っている状態です。

また、プロモーションに関しても、パネルを使うことによって増収となっており、パネルの効果によって生産性が非常に上がり、利益率が非常に高まりました。

結果的にこの1年間で、会社もデジタルマーケティング領域も売上が倍増となりました。現時点では、ビジネスモデルの確認も私たち自身で進めていく流れになっているため、パネル領域のビジネスが今後より強化されれば、構造的には当然、営業利益率がより高まっていく可能性はあると考えています。

一方で、新型コロナウイルスの影響下でもあるため、計画は保守的に作らなければならず、私たちの筋肉質なビジネスモデルの確認も先行して取り組んでいます。ですので、比較的保守的に計画を作っていると見ていただいてよいと思います。今後はパネルの拡大とともに、プロモーション領域を含めて、収益性はより高まっていくと考えています。

質疑応答:デジタルマーケティング事業の収益性について

質問者2:今はデジタルマーケティング事業の収益性が他の事業に比べて低いと思うのですが、今後は上がっていくと考えてよろしいでしょうか?

五十嵐:デジタルマーケティング事業の中で特に収益性が低いのはSI領域で、受託開発という領域になります。デジタルマーケティング事業の中には、ほかにメディア事業、プロモーション事業がありますが、収益性が比較的低いシステム事業に関しては受託開発として伸ばすことはあまり考えていません。

世の中全体がDX推進の流れになっている中で、エンジニア不足の問題があります。人に依存したビジネス領域になってくるため、私たちはどちらかというと、データベースをからめたデジタルプロモーション、メディアの開発などのより収益性の高いところに集中投資を図っていきます。その初年度ということで投資してきた結果が、早速上半期に出たかたちとなっています。

質疑応答:USへの事業展開の戦略について

質問者3:今はUSに力を入れていくというお話でしたが、大手のクライアントを獲得しにいくということだと思っています。デジタルマーケティングの領域では、例えばNielsenのような大企業がけっこう強いと思いますが、一方で御社は日本に土地勘があります。海外で御社が大手のクライアントを落としていく戦略として、どのようなものがあるのでしょうか?

五十嵐:当然大手企業としてNielsenなどがあります。しかしながら、最近大手企業はデータベースの販売へと主軸を移してきています。いわゆる視聴率、POSデータのようなデータの販売です。

一方で、マーケティングリサーチの領域においては、商品開発のためにこまめにアドホック型のリサーチを行わなければならないというニーズも、実は市場の半分以上を占めています。

ですので、基本戦略としては、私たちは大手企業と戦うのではなく、アジア圏で情報収集拠点を持ちながら、いわゆるグローバル企業がアジア展開したいときのアドホック調査、特に商品開発等にまつわる調査領域を中心にお客さまを確保しています。

私たちにとってのUSでの特に大きなお客さまというのは、大手のリサーチ会社というケースもありますが、大半はコンサルティング会社です。商品開発を請け負っているコンサルティング会社と一緒に組みながら、非常に大きな仕事に取り組むというかたちが1番の主力になってきています。

質疑応答:オミクロン株のビジネスへの影響について

質問者4:アジアのオミクロン株の状況などが、地域のビジネスに大きく影響したり長引いたりといった現状はありますか?

五十嵐:おっしゃるとおり、当然あります。アジアの場合は国ごとに状況が違い、今後はタイやインドネシアではオミクロン株が増加してくる傾向があります。一方、経済環境としては、最悪な時期から見ると、経済回復に踏み切ろうという国々が多くなってきています。昨年と比較した受注残の状況も含めて、回復過程に入ってきていると思います。

また、オミクロン株は重症者数が比較的少ないというのは、海外においても日本国内と同じで、今後はよりビジネスを動かしていこうという状況です。まだ完全には回復していませんが、新型コロナウイルスの影響はなくなってきているといえます。一方で、UKや米国に関してはほぼ回復してきており、米国の企業は好決算もあってマーケティングコストを著しく使い始めている印象があります。

質疑応答:マーケティングコストについて

質問者5:お客さまの動きとして、マーケティングコストを他部門に投じることはありますか? 例えば、広告宣伝費から補ったり、アロケーションを変えたりといった傾向があれば教えてください。

五十嵐:マーケティングリサーチに関してはあまりないと思います。どちらかというと、安定的に商品開発を進めていくために販管費の一定パーセントを予算として積み上げていく業態になるため、いわゆるリサーチに関しては非常に安定的だと思います。

一方、プロモーションに関しては、テレビのマス広告からタクシー広告に移ったり、プロモーションの予算を増額したりするなど、いろいろなかたちになってきていると思います。

質疑応答:マーケティングリサーチ業界への中国企業の台頭について

質問者6:海外の事業環境の変化について質問です。リサーチのテクノロジー分野では、中国の企業が高い技術力をすでに持っているのではないでしょうか? 政治的な背景もあって、プレイヤーとしては資本主義には入っていないのだと思いますが、消費財ではブランド力などを大幅に高めている企業が増えています。そのような中で、リサーチや分析などの分野で、中国企業がプレイヤーとして台頭してくる時期として、いつ頃があり得ると考えていますか? 社長の考えをうかがいたいです。

五十嵐:すでに中国のマーケティングリサーチ業界は中国企業の成長とともに急成長しています。そのため、中国のリサーチ会社がある面では高いほうへ展開していくということは当然考えられます。

ただし、先ほどNielsenのお話があったとおり、基本的にはマーケティングリサーチ業界の仕事の半分は、いわゆる安定したデータベースです。視聴率のデータ、POSデータ、CRMデータの販売といった領域の展開は、実は欧米のリサーチ会社によってすでにほぼ終わっています。そこへ新規参入するためにはM&Aくらいしか方法がなく、中国の企業であってもそのような会社からデータを買うしかないというのが実態です。

一方、商品開発段階のアドホック調査に関しては、会社の大小はあまり関係ない構造になっています。そのため、リサーチャーのコンサルティング能力によって発注してもらうことが可能です。そのような構造も含めて、中国企業に紐づいた中国のリサーチ会社がアドホックリサーチの主力のプレイヤーになってくることは当然考えられると思います。

質問者6:時期について、非常に早い段階で中国企業が台頭してくる可能性はありますか? もしくは、すでにそれが現実となっているのでしょうか?

五十嵐:すでに中国企業が台頭してきています。日本よりも資本規模も大きくなっており、ある面では中国のリサーチ会社も急成長しています。