2022年8月期第1四半期決算説明会
佐藤慎一郎氏:バリュエンスホールディングスの佐藤でございます。本日はお忙しい中、決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。
当社では本年度より、本決算および第2四半期の決算発表については代表の嵜本から、第1四半期および第3四半期に関しては私、佐藤からご説明をさせていただきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
さっそくですが、説明に入ります。本日は会社概要のあとに第1四半期の業績、第1四半期トピックス、第2四半期以降の取組、最後にサステナビリティについてご説明したいと考えています。
バリュエンスグループ
まず、会社概要です。バリュエンスという社名は、「Value」という言葉と「Intelligence」「Experience」という言葉を掛け合わせた造語です。これまでに培った知見を活かし、私たちのあらゆる事業活動を通じて、私たちに関わる方、一人ひとりの人生を変えるような価値ある体験を提供することを考えて、2020年3月に社名を変更しました。
グループ理念
グループ理念です。Missionは「らしく、生きる。」、Visionは「Valuable Experience 人生を変える価値を」というかたちで事業活動を行っています。
会社概要
会社概要です。代表は嵜本晋輔で、創業は2011年の12月です。ちょうど先月が創業10周年でした。資本金は11億円、従業員は871名、連結子会社10社、持分法適用関連会社1社で事業運営を行っています。
事業ブランドは、ブランド品の買取を行う「なんぼや」「BRAND CONCIER」、骨董品や美術品の買取を行う「古美術八光堂」、不動産事業を行う「なんぼや不動産」、オークション事業としては、ブランド品などのオークションの「STAR BUYERS AUCTION」、骨董品、美術品のオークションの「THE EIGHT AUCTION」、スポーツオークションの「HATTRICK」があります。
また、「ALLU」というブランドで小売事業を展開しています。そして、資産鑑定アプリの「Miney」も運営しています。
ビジネスモデル
ビジネスモデルです。当社は「CtoBtoB」という独自のビジネスモデルで事業展開してきました。主に一般消費者から店舗、出張、宅配、オンラインでブランド品、美術品、骨董品などを買取り、自社オークションおよび他社販路におけるBtoB販売に加え、一般消費者に対して小売販売を行っています。主力となるのはBtoBの自社オークションで、売上の約半数がこのオークションを通じての販売です。
中期経営計画では、このビジネス基盤に加え、同業他社のリユース事業者からオークションでの委託出品を受け、また、落札商品の一般消費者への販売委託を受けるフルフィルメントサービスを提供していきます。当社のBtoBのプラットフォームに加え、BtoCのプラットフォームでリユース事業を展開するビジネスモデルに進化していく計画を立て、事業活動を行っています。
2022年8月期 第1四半期 サマリー
2022年8月期第1四半期の業績です。売上高は132億円で前年同期比12.1パーセント増、営業利益は1.9億円で前年同期比57.5パーセント減という結果になりましたが、こちらは概ね期首の計画どおりの進捗です。
すでに本決算の時にご説明しましたが、昨年8月の新型コロナウイルスの感染者急増により来店客数にかなりの影響を受け、8月の仕入が少なくなった事象がありました。その結果、期首の在庫不足という状況でのスタートとなりました。それに加え、第2四半期以降に予定している小売強化のために小売在庫を戦略的に確保しました。
あえて売上高を大きく作るのではなく在庫を確保することを優先した結果、売上高が132億円にとどまりました。これは計画に織り込んでいます。そして、9月中旬から新型コロナウイルスの感染者は急激に減少し、接客数が回復しています。その結果として、第1四半期の仕入高は四半期ベースで過去最高を更新しています。
2022年8月期 第1四半期(9月-11月) トピックス
トピックスです。先ほどもお伝えしたように、買取に関しては9月中旬以降に回復し、仕入高は過去最高を更新しました。9月にテレビCMを放映し、認知率の改善に貢献しています。グループ全体の店舗数は、国内、海外ともそれぞれ3店舗ずつ増加し、国内が128店舗、海外が24店舗となりました。
販売面です。何度もお伝えしますが、計画には織り込んでいたものの、売上高は前四半期に比べると約20億円減少しました。一方で、小売売上高に関しては、後ほどご説明しますが、前四半期比で1.5倍程度の増加になっています。
また、第2四半期以降の施策に備え小売在庫を確保しました。「SBA(STAR BUYERS AUCTION)」のパートナー会員数は引き続き順調に拡大しており、前年比で倍増の1,426社までになりました。また、「SBA」は11月より、毎日開催する毎日オークションとし、大幅に開催数を増やしています。
2022年8月期 第1四半期 業績
第1四半期の業績をさらに詳細にご説明します。いずれも前年との比較になります。売上高は132億円、売上総利益は35億円、売上総利益率は26.9パーセントと、前年比0.6ポイント改善しました。
売上総利益は前年比14.6パーセント増に対し、販管費は33億円で前年比27.3パーセント増となり、営業利益は1.9億円で前年比57.5パーセント減という結果になりました。
売上高・売上総利益率
売上高・売上総利益率の推移です。先ほどお話ししたとおり、前年比で増収という結果になっていますが、前四半期比で151億円から約20億円、売上高が減少しました。これは期首在庫不足および小売在庫の確保が要因です。売上総利益率は、前年比0.6ポイントの改善、前四半期比では0.5ポイントの悪化となりました。
悪化要因としては、「THE EIGHT AUCTION」および「SBA香港」の開催数が少なかったことです。「THE EIGHT AUCTION」は子会社間の再編による合併等があり、通常は毎月開催しているのですが、2回にとどまりました。「SBA香港」は、前四半期は2回開催しましたが当四半期の開催は1回で、比較的利益率が高いこれら2つのオークションの開催数の減少が要因であると分析しています。
仕入高・店舗数
仕入高・店舗数の推移です。9月中旬までは低調でしたが、それ以降は来店客数が回復し、四半期会計期間での仕入高として過去最高の102億円を記録しています。
販管費推移
販管費推移です。販管費は33億円となりました。売上高は、前四半期に比べ約20億円減少していますが、販管費はほぼ横ばいの約6,000万円の減少にとどまっています。販管費についてはほぼ固定費と考えていただいてよいと思っています。
また、NEO-STANDARD社を統合した前期第2四半期以降の販管費の推移をご覧ください。統合により販管費が26億円から32億円と、約6億円増加しましたが、それ以降は32億円から34億円の間でほぼ横ばいで推移しています。ですので、販管費に関しては現時点ではほぼコントロールできる水準だと思っています。
バランスシートの概況
バランスシートの概況です。小売在庫を確保した結果、商品については39億円から45億円と、前期末に対し約6億円増加しました。
そのほか、小売店舗の新規出店に伴う有形固定資産の増加、現預金の増加等を短期借入金で賄っています。
[売上高]販路別(to B, to C)
販路別の売上高推移です。こちらは前四半期に比べ、自社オークションの売上が92億円から66億円と、約26億円減少しました。一方で、小売部分は11億円から17億円と、約1.5倍に増加しています。それ以外の地金や、その他の卸はほぼ横ばいの水準となっています。あえて「SBA」で売り急がなかった結果だと考えています。
[売上高]販路別(国内, 海外)
国内外の販路別推移になります。海外の売上高が28億円から22億円に減少していますが、「SBA香港」の開催回数が2回から1回に減少したこと、また「SBA」の売上減少に伴うものです。
[売上高]オークション実績
オークション実績です。前四半期の98億円に比べ70億円と、約28億円減っています。
[GMV]GMV推移
GMV全体で見ると、自社オークションの割合が減り、卸売・小売の割合が増えています。以上が、第1四半期の業績の内容になります。
SBAパートナー会員数
続いて、第1四半期のトピックスについてご説明します。「SBA」のパートナー会員数は、前年比で約2倍の水準の1,426社となり、順調に拡大しています。
SBA落札額の国内/海外比率
「SBA」落札額の国内/海外の比率です。当四半期の海外落札比率は26パーセントと引き続き高い水準を維持しています。
SBA開催数を大幅増加
「SBA」開催数は10月まで月2回開催でしたが、昨年11月より毎日開催するかたちでスタートしています。こちらはtoC向け戦略・販売の強化を補完する施策です。
在庫回転期間が短いという当社の強みを維持しつつ、小売で高い粗利を取っていく戦略を実行するために、オークションを毎日開催することで在庫回転期間を短くするための施策を行っています。
また、パートナーはいつでも委託出品ができるようになったため、パートナーの委託出品数の増加も期待しています。いくつかの課題はすでに把握しており、現在チューニングを繰り返しながら開催方法を最適化しています。我々が企図した効果がさらに得られるように調整しているところです。
買取店舗展開
買取店舗数の推移です。国内は盛岡、宇都宮、高松に3店舗と、地方都市への出店を加速しています。海外についても、パートナーとの協業により3店舗増やしており、合計6店舗増加しています。
買取におけるアライアンス強化
店舗展開のほか、出張、オンライン、宅配など、当社は多種多様な買取手段を用意しています。それに加えて、買取における他社とのアライアンスを強化しています。特に手応えを感じているプロジェクトは、三越伊勢丹が運営する「i’m green(アイム グリーン)」です。集客、顧客対応は三越伊勢丹で実施し、査定サポートはバリュエンスが行うという協業形式であり、三越伊勢丹が買い取った商品については、すべてバリュエンスが買い取るかたちで事業を行っています。
2020年10月に日本橋三越本店で試験的に開始しました。2021年10月から伊勢丹新宿店でも開始し、取組を本格化した結果、非常に好調に推移しています。仕入規模は順調に拡大しており、「なんぼや」顧客以外からの仕入が拡大する結果をもたらしています。このようにお客さまとの関係を構築している会社とのアライアンスは、今後も横展開を含めて強化していきたいと考えています。
テレビCMの展開
テレビCMの展開です。昨年の4月および9月にテレビCMを全国放映しました。我々の課題は、なんといいましても「なんぼや」の認知率の低さでした。CM放映前の認知率は5.8パーセントでしたが、CMを2回放映した結果15.4パーセントとなり、10ポイント改善しています。
1回目、2回目に加えて、3回目のCM放映を本年4月に予定しています。新しいイメージキャラクターによるさらなる効果を期待してCMを放映する予定となっています。
なんぼや銀座本店のリニューアル
第2四半期以降の取組です。なんぼや銀座本店が、現在の鳩居堂ビルの6階から地下1階へと移転します。これを契機にデザインを大幅に一新し、バリュエンスグループ随一の買取金額を誇る旗艦店として、より洗練された店舗にしていきたいと思います。
また、これまで使用していた6階に関しては、当社グループの古美術八光堂銀座本店が入居し、鳩居堂ビルに2店舗、当社グループの店舗を構えるかたちで、銀座本店の買取力をますます強化していきたいと考えています。
toC向けビジネスの拡大
冒頭よりお伝えしているtoC向けビジネスの拡大ですが、2つの施策があります。1つ目として、銀座、心斎橋に次いで、小売店舗3店舗目となる「ALLU表参道店」を今年の2月に東京の表参道にオープンします。店舗面積は銀座、心斎橋よりも大きく、当社の小売店舗を代表する旗艦店として期待しています。
販売のみならず、時計修理などの周辺サービスも提供し、顧客接点を強化していきたいと考えています。
施策の2つ目として、toC向けのオークションを2022年の春に立ち上げる予定です。「SBA」は、toB向けのオークションとして圧倒的な地位を確立してきましたが、そのノウハウを活かし、toC向けのオークションを開始します。「ALLU」ブランドの最上位と位置づけ、今後、希少性の高い商品を出品していく予定です。
ロイヤルカスタマーの創出
これまでの一度きりの買取サービスの提供ではなく、当社のサービスを繰り返し使っていただけるロイヤルカスタマーの創出により、リカーリング型のビジネスへと転換したいと考えています。toC向けビジネスをさらに強化していくという意味でも、「なんぼや」等で買取をしたお客さまを小売ブランド「ALLU」のお客様にしていきたいとも思っています。
そのための施策として、なんぼや銀座本店、およびALLU銀座店のちょうど中間地点くらいに、プレミアム会員が利用可能な「銀座ラウンジ」を用意します。これは2022年3月にオープン予定です。上質な空間を演出し、査定会や販売会などの限定サービスなども実施する予定であり、ロイヤルカスタマーの創出に取り組んでいきたいと考えています。
国内リユース業界初、エレン・マッカーサー財団へ加盟
サステナビリティの取組についてです。本日プレスリリースを発表しましたが、エレン・マッカーサー財団に加盟しました。エレン・マッカーサー財団とは、気候変動、生物多様性の損失、廃棄物、汚染などの現代における課題解決に取り組むために、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を開発・推進する、英国に本拠地を置く国際慈善団体です。
当社は、リユースというかたちでサーキュラーエコノミーの中心にあるビジネスを行っていますが、英国にてサーキュラーエコノミーを推進している団体に加盟しました。日本のリユース事業では初めての加盟になります。
加盟を通じて、日本でも率先してサーキュラーエコノミーを浸透させていく活動を行っていければと思っています。世界の先進企業約300社が参画するネットワーク団体であり、参加企業とともにサーキュラーエコノミーの推進を行っていきたいと思っています。
南葛SCの活動強化
南葛SCの活動についてご報告します。昨年の8月に南葛SCというサッカーのクラブチームに出資しました。ご存知のとおり、『キャプテン翼』の高橋陽一氏が立ち上げたチームであり、リアル南葛SCとして活動しています。南葛SCの経営参画を通じて、地域やスポーツ文化の活性化に貢献していきたいと思っています。
そして、クラブ経営においても、世界に類を見ないようなサッカークラブのビジネスモデルを展開し、南葛SCのクラブチームそのものの強化につなげていきたいと考えています。
具体的には、『キャプテン翼』のIPを利用したビジネスを展開することによって、そこで得た収益を南葛SCの強化費に充て、クラブを運営していきます。現時点で国内外10社とIP契約を進めており、これらで得られる収益を今後のクラブ経営に活かしていきたいと考えています。
また、南葛SCは昨年末の入れ替え戦で勝利し、2022シーズンは関東1部リーグで活動することになりました。将来的にはJリーグへの昇格を目指して、独自のクラブ経営を推進し、世界的なクラブチームに育てていきたいと考えています。
取締役の体制
最後に、取締役の体制です。昨年11月に株主総会を開催し、取締役を10名選任しました。社外役員として日本のサステナビリティの第一人者である夫馬賢治氏、また、弁護士の大村恵実氏が選任され、サステナビリティとリーガル面がさらに強化されました。ガバナンス面においては、社外役員が過半数、独立社外役員も半数というかたちで、引き続きガバナンスの強い体制で会社運営を行っていきます。
今期はこのような経営体制で事業を行っていきたいと思っています。みなさま引き続きご支援のほどよろしくお願いします。私からの説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。