会社概要
依藤敏明氏:日本空調サービス代表取締役社長の依藤敏明です。これより、2025年3月期第2四半期決算に関するご説明をします。
まずは、当社の会社概要を簡単にご説明します。当社は1964年に事業を開始し、今年で創業60周年を迎えました。
本社は名古屋市名東区にあり、中核事業は既存の建物における設備のメンテナンスです。
売上高は連結で582億円です。拠点数は、国内は88拠点と、海外に10拠点あります。
従業員数は3,202名ですが、その内の2,552名、約8割が技術系従業員という構成になっています。
創業からの歴史
当社は1964年4月の設立以来、徐々にではありますが、右肩上がりで成長してきました。
棒グラフの一番右側が、今年の6月に発表した「2024中期5ヵ年経営計画」の終了年度である、2028年度の売上高目標740億円です。
新中計の目標達成を目指して、長期ビジョンと経営理念を軸に事業活動を進めています。
当社は創業当初から3つの目標があり、1つ目は海外進出で、1999年に中国に進出し、これを達成することができました。続いて、2つ目の目標は東証・名証に上場することで、これは2006年に達成できました。3つ目の目標は全都道府県に進出であり、これは2018年に達成することができました。
建物設備の維持管理サイクル
当社の事業概要は、建物設備のメンテナンス・維持管理、設備・環境診断、ソリューション提案、リニューアル工事によるトータルサポートで、右図のどの段階からでも自社対応できるという特徴があります。
保守・維持管理やメンテナンス・リニューアルだけに留まらず、各種設備・環境診断やソリューション提案も含めてトータルで管理できることを強みとしています。
日頃からお客様とのコミュニケーションを充実させ、的確にニーズを把握して対応することで、高い評価をいただいています。
事業部門
事業部門は大きく分けて3つあります。
PMは、当社の営業所からお客様の施設へ赴き、保守点検やメンテナンス等を行う部門で、 当社グループの営業所は47都道府県全てにあり、全国をカバーしています。
FMは、病院等、お客様の施設に当社社員が常駐し、設備の維持管理を行う部門です。
RACは、主にPM、FMから派生する設備の入れ替え工事を行う部門です。
事業部門別の売上高構成は、PMが37パーセント、FMが31パーセント、RACが32パーセントという割合になっています。
Ⅰ.業績ハイライト
続いて、2025年3月期第2四半期決算の概要についてご説明します。
2025年3月期第2四半期の業績は、売上高は269億円で、前年同期比プラス11.6パーセントとなりました。
営業利益は17.9億円で、前年同期比プラス59.6パーセントとなり、第2四半期において過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する中間純利益は、11.7億円で前年同期比プラス51.7パーセントとなりました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
2025年3月期第2四半期の経営成績です。
メンテナンスは前期・前々期を上回るペースで順調に推移し、第2四半期において4期連続過去最高を更新し、リニューアル工事は過去最高を更新しました。
その要因は、設備投資需要の高まりに対して業界の供給能力が不足していることで、競争が緩和されていることや、それにより採算性の良い案件を受注できていること、高品質サービスの提供を前提とした適正価格での受注等が奏功していること等によります。
また、ベースアップの実施や、60周年記念優待等の実施により販管費増加に繋がったものの、それを上回る売上高の確保により、利益も伸長しました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
前期における対予算達成率と、今期における対予算達成率のグラフです。
今期は、先ほどお伝えした、設備投資需要の高まりに対して業界の供給能力が不足していることで、競争が緩和されていることや、それにより採算性の良い案件を受注できていること等により、第1四半期から想定以上に良いスタートを切ることができ、売上高は前期比50億円増加の予想に対して、前期進捗率を超えています。
営業利益、経常利益、最終利益についても、昨年に引き続き今期も実施した正社員の給与の引き上げによる原価・販管費の増加を吸収し、前期を上回る進捗率となっています。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
四半期別売上高です。売上高全体としては、第2四半期において2期連続過去最高を更新しました。
主力のメンテナンスサービス売上高は、主に製造工場、オフィスビル等におけるスポットメンテナンスの増加により、第2四半期において4期連続過去最高を更新しました。
リニューアル工事完成工事高においても、主に製造工場、オフィスビル等での案件消化が好調に推移し、第2四半期において過去最高を更新しました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
売上総利益は、資機材の調達価格や人件費の上昇等による原価の増加を吸収し、年間契約、スポットメンテナンス、工事の全てで利益が拡大しました。
完成工事総利益率は、受注環境が良好なことにより、前期・前々期と比較して大きく伸びました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
ベースアップによる人件費の増加や、創業60周年における記念優待の実施等により販管費は増加していますが、それを上回る売上高の増加により、営業利益は額、率ともに前期・前々期を上回りました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
受託施設別の売上高では、病院及び研究施設において、スポット案件と工事が堅調に推移しました。
製造工場等は、メンテナンス・工事ともに増加し、自家消費型太陽光設置工事の大型案件、機器の更新・増設工事等案件の増加が寄与しました。
その他の特殊な施設については、スポーツ施設等での大型工事案件が発生しなかったものの、データセンター関連の修理・整備案件が増加しました。
オフィスビル等については、学校や銀行・ホテル等での大型の更新工事案件増加が寄与しました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
受託施設別売上高を年間契約、スポットメンテナンス他、リニューアル工事完成工事高に 分解したグラフです。
年間契約は安定しており、スポットメンテナンス他は製造工場等とオフィスビル等が成長を牽引しました。
リニューアル工事完成工事高は、単価が上がっていることや、大型の案件を受注できていること等により、製造工場等、オフィスビル等の売上高が伸びました。
Ⅰ.2025年3月期2Q経営成績
海外売上高について、タイは自動車産業の低迷等により苦戦しています。ベトナムは受注が増加しているものの、上半期に完成した案件が多くありませんでした。
中国は売上高が増加し、海外全体としては前期・前々期を上回る売上高となりました。
海外営業利益については赤字が膨らんでいますが、海外事業は将来の企業価値向上のための基盤になると考えており、日本からの人材応援のサポートを継続しながら外国人技術者を増やし、技術力の底上げと利益の確保を目指していきます。
Ⅰ.2025年3月期2Qキャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローについて、2025年3月期第2四半期は、当社九州支店の移転に伴う用地取得等に関連する有形固定資産の取得による支出が増加したことにより、投資キャッシュ・フローが減少しました。
また、当社の技術・研修センター建設費用に関連する長期借入金が増加したことにより、財務キャッシュ・フローが増加しました。
Ⅰ.2025年3月期2Q財政状態
財政状態については、当社の技術・研修センター建設費用に関連する長期借入金の増加により、有利子負債が増加しました。
Ⅰ.2025年3月期業績予想
2025年3月期の業績予想について、緑色の部分に示しています。
不安定な国際情勢や物価の高止まり等が続くと予想するものの、省エネや省コスト等に関する潜在ニーズを掘り起こし、増収・増益を目指していきます。
新型コロナウイルス感染症の影響が解消されたことや、国内回帰、資材不足の解消といった複合的なポジティブ要因を受け、今期は第1四半期から良いスタートが切れており、このまま今期の目標達成ができるよう、尽力していきます。
いき、続けるために。
次に、「2024中期5ヵ年経営計画」についてご説明します。
前回の「2019中期5ヵ年経営計画」が2024年3月期で最終年度を迎えたため、新たに策定しました。
当社は1964年に設立され、今年で創業60周年を迎えました。
60周年を迎えるにあたり、当社をアピールできる良いキャッチコピーはないかということで、第61回宣伝会議賞(株式会社宣伝会議が主催)に参加しました。
1万5,400件ほどの応募作品の中から今回選んだのが、「いき、続けるために。」です。「いき」は、呼吸の「息(いき)」、生命の「生(いき)」、活力の「活(いき)」の3つが掛け合わさっており、新中期経営計画を体現するキャッチコピーとして使用しています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画
「2024中期5ヵ年経営計画」の基本方針についてご説明します。
PURPOSE(存在意義)は「お客様の事業活動のサステナビリティに寄与し、社会全体の価値向上を図る」です。
MISSIONは「お客様に安心感を与える最適な環境を維持するために、技術力と人的資源を結集させ、高品質サービスを提供する」です。これを果たすべき使命と位置づけています。
VISIONは「サステナブルな全てのステークホルダーの幸せ向上」です。こちらを我々のありたい姿として掲げています。
VALUEは「人的資本の価値向上によるサステナブルな付加価値創出と還元」です。行動指針を従業員に浸透させることにより、新中期経営計画の達成を目指したいと思っています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画
VALUEについてご説明します。
当社は、KPIとして8つの指標を用いたいと考えています。
1つ目に、「最大の財産である従業員のパフォーマンスを最大化させるエンゲージメントの向上」です。
社員エンゲージメントスコア70ポイント以上の維持を目指していきます。
2つ目に、「高品質サービスの中核となる従業員の技術力を向上させるためのコア技術力指数」です。
これは、「2019中期5ヵ年経営計画」でKPIに掲げていた技術力指数を運用する中で、より本業の成長と相関が高いと考えられる公的資格がはっきりとわかりました。より現場で必要な資格の取得者数が増えてくると、売上が伸びるという相関性が見えましたので、まずはコア技術力指数を上げていきたいと思います。
3つ目に、「特殊な環境を有する施設を中心とした、事業活動のサステナビリティ向上を目指すお客様への傾注」です。こちらは以前も傾注していましたが、オフィスビルの利益が意外にも良かったため、そのあたりを多少考慮します。売上高比率の目安は、特殊な環境を有する施設が7割、その他が3割で、柔軟に調整していくことも大事かと考えています。
4つ目に、「お客様の事業活動のサステナビリティを向上させるための省エネ提案の強化」です。商品提案はこれまでも行ってきましたが、今後はお客様の事業活動における温室効果ガス排出量削減として年間1万トンCO2以上を目指していきます。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画
5つ目に、「事業活動のサステナビリティを向上させるための海外事業の拡大と強化」です。海外売上高は35億円、海外営業利益は1.75億円、海外営業利益率は5パーセントを目標としていきます。
6つ目に、「サステナブルな全てのステークホルダーの幸せ向上を達成するための利益水準の維持」です。営業利益率は、前中期経営計画の目標値5.5パーセントに対し、6パーセント程度の維持を目標にしたいと考えています。
7つ目に、「企業価値創造に必要となる資本コストを上回る資本生産性の維持」です。前中期経営計画でも設定していましたが、株主資本コストの8パーセントを着実に上回る平均ROE10パーセント程度の維持を目指していきます。
8つ目に、「サステナブルな株主還元の実施」を掲げています。新中期経営計画では1株当たりの年間配当金の下限を設定しています。まずは1株当たり年間配当金の下限を40円とし、配当性向50パーセント、純資産配当率5パーセントを目安とした持続的な利益還元を目指します。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画
「2024中期5ヵ年経営計画」の目標のまとめです。
2029年3月期に、売上高は740億円、営業利益は43億円、期間平均営業利益率は6パーセント、経常利益は45億円、親会社株主に帰属する当期純利益は32億円を目指します。EPSは93円、期間平均ROEは10パーセント程度を維持したいと考えています。
特殊な環境を有する施設売上高比率は70パーセント程度、海外単体での営業利益は1.75億円を目標にしていきます。さらに、社員エンゲージメントスコアは70ポイント以上を維持し、コア技術力指数CAGRは3パーセント以上を掲げています。
配当性向は50パーセント程度、1株当たりの年間配当金はEPSの値を踏まえて46円程度と考えています。純資産配当率は5パーセント程度です。
このようなKPIを掲げ、スタートしています。
Ⅱ.2024中期5ヵ年経営計画
当社では、「人的資本の価値向上」が付加価値創造につながる重要な部分だと考えており、「人的資本の価値向上」の加速を目的として、現在、名古屋市南区に技術・研修センターを建設中です。
竣工予定は11月末で、2025年4月より本格稼働の予定です。来年度の新入社員はこちらで研修がスタートできると思います。
今までは新入社員が仕事をこなせるようになるまで5年ほどかかっていましたが、クリーンルームやお客様の施設に近い設備を整備することにより、3年から4年程度に短縮することが可能と考えています。
生産性の向上に大きく寄与すると考えていますので、この取り組みに注力していきます。
長期ビジョン達成に向けて
長期ビジョン達成に向けてということで、「2024中期5ヵ年経営計画」を総括します。
「本業の競争優位性を高めることに最大限注力する」という方針のもと、「価値創造体質」・「人的資本」・「資本構成」・「ガバナンス」について着実に取り組みを進めていくことで、企業価値の拡大をめざし、また、株主還元の強化に繋げていきます。
売上高は2029年3月期に740億円、期間平均営業利益率は6.0パーセント程度維持を目指します。
また、安定的で持続可能な利益還元を目指します。
やるべきことをやる。
冒頭で「いき、続けるために。」というキャッチコピーがありました。
「いき、続けるために。」「やるべきことをやる。」をしっかりと従業員に浸透させ、新中期経営計画を達成したいと考えています。
Ⅲ.株式情報
次に、株主還元についてご説明します。
直近の株価は1,000円台で推移しており、時価総額は366億円程度です。
2025年3月期の年間配当予想は1株当たり40円です。
配当性向は49.1パーセント、配当利回りは3.90パーセント、株主数は14,992名、PERは12.58倍、PBRは1.48倍です。
右側のグラフは、2019年を100.0とした場合の配当利回りと株主総利回りの推移です。
配当込みTOPIXと比較して、当社は近年、TOPIXよりアンダーパフォームで推移しており、付加価値創出力の一層の向上とIR活動の強化が必要であると考えています。
Ⅲ.株主還元
スライドのグラフは、過去の株主還元における配当を示しています。17期連続で累進的な配当を実施しました。
ただし、2022年3月期のオレンジ色の部分では、政策保有株の売却による特別利益を特別配当として還元しています。翌年は配当金が減少していますが、元の水準に戻ったという表現が適切かと思います。
今期については、1株当たり40円(中間配当20円、期末配当20円)の年間配当を実施予定です。
Ⅲ.株主還元
株主還元の方針です。
「安定的で持続可能な利益還元」として、1株当たり年間配当金の下限を40円に設定し、連結配当性向を50パーセント程度に維持することを目標としています。
さらに、ROEの水準は10パーセント程度、純資産配当率の水準は5パーセント程度を目安に維持していきます。これらを安定的に実行していく考えです。
Disclaimer
ここからは、補足資料です。お時間のある際にぜひご覧いただけますと幸いです。
今後も更なる企業価値向上に向け、一層邁進していきますので、引き続きご支援・ご指導のほど、よろしくお願いします。
以上で、2025年3月期第2四半期決算説明を終了します。ありがとうございました。