2022年3月期第2四半期 連結決算について

羽根英臣氏:それでは、2022年3月期第2四半期の決算実績について、経営推進室の羽根よりご説明します。会社案内については、資料の内容をご確認いただければと思います。

まず、当期においても、前年度から引き続き緊急事態宣言の発令およびまん延防止等重点措置による休業や時短営業の要請を遵守したことにより、当社グループでは300店規模の店舗において通常営業を行うことができませんでした。また、前年度には直営店55店舗の閉鎖を行ったことにより、当第2四半期の売上高は前期より17億円減少し、40億円に留まりました。

しかし、食動機の強い「オオギヤと宇奈とと」、台湾まぜそばの「はなび」とのダブルネーム業態への展開を進めています。特に「オオギヤと宇奈とと」業態は9月末時点では6店舗体制でしたが、2ヶ月後の11月末時点では31店舗体制へと着実に展開を進め、売上高向上の対策を進めています。

営業利益は、前年度に実施したコスト構造改革により利益の出しやすい体質へと改善を進めた結果、利益額を前年度より7億円大幅に改善し、マイナス6億円となりました。経常利益についても営業利益と同様に、利益額を前期より9億円改善し、マイナス4億円となりました。当期純利益については、時短協力金および雇用調整助成金による収入の増加などにより利益額を前期より29億円大幅に改善、プラス10億円を計上し最終黒字を確保しました。

2022年3月期第2四半期 連結決算(前期比)

損益計算書の前期比較についてご説明します。売上高については、先ほどお伝えしたとおり、直営店を55店舗閉鎖したこと、また、行政からの休業や時短営業の要請を遵守したことにより、前期実績57億円から17億円減少し40億円となりました。

一方で営業利益については、事業会社ごとに持っていた機能を本部へ集約し効率化を図ったこと、前年度に実施した全従業員数の約1割にあたる42名の早期退職を実施したこと、また、不採算店舗の閉鎖を行うなどのコスト削減を進めてきた結果、前期実績マイナス13億円から利益額を7億円大幅に改善し、マイナス6億円となっています。経常利益についても、前期実績マイナス13億円から9億円改善し、マイナス4億円となっています。

当期純利益については、コスト構造改革により大幅なコスト削減効果が表れたことや、時短協力金および雇用調整助成金による収入の増加、時短協力金に伴う特別損失の計上によりキャッシュフローが回り始め、前期実績マイナス18億円から利益額を29億円大幅に改善しました。赤字から黒字へ反転しプラス10億円を計上、最終黒字を確保することができています。

2022年3月期第2四半期 連結決算(組み替え損益)

こちらでは、前年通期および当第2四半期損益の参考値としての組み替え損益を記載しています。当社グループでは、引き続き公認会計士協会から出された新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項に基づいて損益計算書を作成しています。

政府や地方自治体からの要請による店舗の臨時休業期間中に発生した固定費には臨時性があるとし特別損失に計上する一方で、臨時休業に対する協力金は特別利益に計上するものです。しかしながら、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間は非常に長期化しており、この状況に臨時性がないと判断した場合の組み替え損益になります。

組み替えの内容は、特別利益に計上した時短協力金は売上高の補填、雇用調整助成金は人件費の補填として収益計上を行い、一方で、特別損失に計上した休業期間中に発生した固定費は販管費として費用計上したものです。

この組み替えを行った結果、当第2四半期における営業利益はマイナス6億円からプラス9億円へと、赤字が黒字に反転する結果となっています。また、前年通期の組み替え損益と比較しても、当社グループは利益の出しやすい体質へと順調に体質改善を進められているとみることができます。したがって、経営環境が戻った場合には黒字化する兆しが見えてきたと考えています。

2022年3月期第2四半期 連結決算(BS)

最後に、当第2四半期末時点における純資産残高についてご説明します。前年度においても、コロナ禍による非常に厳しい経営環境下での営業を余儀なくされたことに加え、戦略的損失として、49億円の特別損失を計上しました。

その結果、純資産残高はマイナス44億円と債務超過していましたが、今年4月には事業再生ADR手続きが成立したことにより、金融機関からは借入金の株式化による45億円のご支援、ファンドからは15億円の資本調達を行っています。

また、第25回新株予約権の行使による3億円の資本調達を行い、加えて、当第2四半期においても当期純利益10億円の計上により、当第2四半期末時点における純資産残高は、前年末時点と比べ73億円増加しプラス28億円となり、債務超過は解消され、財務の健全化を図っています。

以上をもちまして、2022年3月期第2四半期の決算説明を終わらせていただきます。ご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

続いて、事業方針について、代表の楠元よりご説明します。

楠元健一郎氏:みなさま、本日はご参加いただきまして誠にありがとうございます。社長の楠元でございます。この説明会は年末のお忙しい時期でよいのかと悩みましたが、つい先日、IR説明会でいろいろとお話しした結果、中間決算である第2四半期の数字はやはりしっかりとご説明すべきだろうということでお集まりいただきました。誠にありがとうございます。

可能でしたら、この会くらいからリアルで行いたいと思っていたのですが、世の中のいろいろな流れにより、やはり諸般の事情に鑑みれば、今はまだWebのみがよいだろうということで、このような会にさせていただきました。Web会議による開催に対し、ご理解とご協力をいただき、誠に感謝申し上げます。

羽根からご説明したスライドの11ページの数字については、このような説明の仕方が本当に望ましいのかを悩みに悩みましたが、実態として、多くの店舗が特別利益や特別損益に計上する方向に振り替えました。通常営業しているお店は通常どおり売上高と営業利益で計上されており、この開示されている数字を本来のP/Lに組み替えたものが、右側の組み替え後の数字です。協力金や助成金により売上や営業利益は上がったものの、この実力やいかにということになります。

この体制になったのは4月28日の臨時株主総会以降で、まだ8ヶ月です。後ほどご説明しますが、私が最初の半年間に行ったことは大幅なコスト構造の大改革です。それを行った結果、協力金をいただければ、なんとかこの9億円の営業利益が実態的には残せる状態になったということです。

もし、コスト構造改革がなかりせばのシミュレーションを行った場合、ここはかなり大きなマイナスとなり、この逆数の倍くらいの数字にまでなっていたのではないかと考えますと、断腸の思いではありましたが、多くの店の閉店や本部コストの完全なる組み替えが行えたことは結果的にはよかったと思っています。

これでさらにトップラインが戻るという言い方がよいのか、新たな収益を出していくと言ったらよいのかはわかりませんが、後ほど説明する今の水準が続けば、間違いなく年度ベースで黒字になっていく水準までは戻せたという数字です。

つい先日、IR説明会でもお話ししたため繰り返しになりますが、その後、具体的な施策が進み始めていますので、今日は第2四半期の決算説明会ですが、この12月20日までに行ってきたことについて、包括的に事業方針をお話ししようと思っています。

事業方針_既存店舗売上高前年比推移

みなさまがよく見ている、去年の第1回目の緊急事態宣言以降の推移を、ヴィアグループ全体の売上高に沿って折れ線グラフにしています。

スライドの下部に記載したこちらは、コロナ前の2019年との対比で見ています。売上は、この9月に45.5パーセントだったものが、10月、11月に73.3パーセント、79.9パーセントということで、コロナ禍前との比較で8割くらいまで戻っている状態です。

12月はもともと忘年会などの宴会が立て込んでいた時期ですので、フルに営業できていた2年前の水準と比べると、純粋な比率は若干落ちると思います。しかし、完全に営業を再開した今年11月と比べても、売上高は確実に右肩上がりで伸びています。

そのため、このままの売上水準が続けば、ADRを通じて示した再建計画のかなりの部分で利益が追いついてくると考えています。つまり、再生可能な水準を満たし始めている状況です。

事業方針_事業再生の3フェーズ

コストの構造改革と、協力金・助成金で黒字を出せる体質まで持っていくことを第1フェーズの目標としてきました。先日の説明会でもお伝えしましたが、今年9月の第2四半期までを第1フェーズの期間とし、組織のスリム化を徹底してきました。

協力金がもらえている間に、コストの構造改革を行いました。ウィズコロナ・アフターコロナの状況は当面続くと思いますが、売上高が戻ってきた分だけ利益が上がるような体質へと変わろうとしています。

そのためには、支出を減らして黒字化を達成する必要があったため、55軒の赤字店舗を閉店せざるを得ませんでした。また、それに伴う従業員の減少や本社事業部の一本化など、組織の整理と再編を行ってきました。

事業方針_第1フェーズ(事業・組織再編)

具体的な内容は16ページに記載しています。従来、コロナ禍以前には事業会社ごとにすべての機能を持っており、財務管理・人事労務管理・総務管理のみヴィア・ホールディングスが一括して請け負っていました。

現在は、営業企画などの現場に関わる後方部隊である店舗支援の機能を、業態別ではなくヴィア・ホールディングスとして1つの組織に集約させました。これにより、ヴィアグループとして初めて組織横断的な情報の共有機能と施策の横串機能を持つことができました。組織のスリム化はコスト削減が第1の目的ではありますが、一方では、情報共有のスピード化が格段に高まったと自負しています。

また、「扇屋」「紅とん」を1つの括り、「フードリーム」は従来どおり、「一丁」「一源」を1つの括りとして、3業態に集約しました。株式会社としては別々の法人格のままですが、実態的には経営陣を統一し、同一のマネジメント下に置くことで効率化を図りました。

これにより、多くの部分で情報が共有化されるため、本社の人員を現場に下ろしやすくなりました。このような施策によって第1フェーズを乗り切り、先ほどお伝えした数字を確保することができ、本当によかったと思っています。

経営システムについては、SCM(サプライチェーンマネジメント)に着手したばかりで、現在進行中です。また、人財開発にも着手しています。現場と本部、あるいは従業員と経営陣の距離を徹底的に縮めて、経営のコンセプチュアリティを短期間で現場に浸透させていく仕組み作りに注力してきました。これにより、風通しのよい組織ができあがったと自負しています。

そして、この後ご説明する今後の事業展開・事業方針が第2フェーズに当たります。現在進んでいる計画であり、今年10月から来年9月までの1年間で黒字化することを目標としています。

さらに、来年10月以降、2年から3年をかけて新たな価値を創造し、大きな革新をもたらすのが第3フェーズです。そのための種まきと、ベースである既存店の回復・ブラッシュアップは第2フェーズから動いています。

前回の説明会でもお伝えしましたが、最近よく「脱・居酒屋」という言葉を耳にします。我々としては、居酒屋の看板を下ろすつもりは一切ありませんが、旧態依然の居酒屋から変わっていくための「脱・旧居酒屋」「脱・大型店舗」を掲げています。

コロナ禍によって、人々の飲食店の使い方は変わりました。特に、巨大な宴会場を持った業態は苦しいだろうと考え、「脱・大型店舗」を掲げました。

「脱・旧居酒屋」としては、新しいコンセプトの事業を展開する手前の段階で、夜の飲み屋の顔からの脱却を図っています。例えば、食動機に振って焼肉屋に転換したり、定食屋に転換したりと試行錯誤している企業もあります。

このような他社の事例はすばらしいチャレンジだと思います。しかし、素早く結果を出すためには、我々がもともと持っている立地や今までの業態のあり方などを踏まえるべきだと考えました。

そこで、1年という短期間で夜の顔から脱却するために、昼の顔を持った飲食店と組んで、メリハリを効かせる施策を考案しました。新たな化学反応を探す中で、二毛作とダブルネームを実施してきました。

事業方針_第2フェーズ(脱・旧居酒屋)①

二毛作の具体例をご紹介します。例えば、「紅とん ​​南新宿店」はもともと夕方6時半になると常連さまであっという間に満席になっていたお店でしたが、この1年半はテレワークにより周囲の労働人口が減っていました。さらに、もともとランチ営業をしていないお店だったため、ランチ営業を始めたとしても集客見込みが不透明でした。

そのため、二毛作として他社とのコラボレーションを実施しました。ランチタイムに幕を下ろすと「はなび」になり、夜に幕を上げると「紅とん」の看板が出てきます。数百万円という少額の投資でこのスタイルに変えることができます。

「紅とん 南新宿店」は、「はなび」のランチ営業を始めたことで、コロナ禍以前のフル営業できていた頃の数字にほぼ追いつきました。スライド右側にある「ぼちぼち 本厚木店」も、看板と懸垂幕を張るだけで、昼の時間は別の顔を持ってくることができます。

事業方針_第2フェーズ(脱・旧居酒屋)②

ダブルネームとは、ランチタイムと夜の顔を変えずに、昼から夜まで常に2つの業態を共存させる施策です。例えば、先ほども登場した「はなび」ですが、今度は幕を下ろすのではなく、「はなび+紅とん」という看板に付け替えています。他にも、「オオギヤと宇奈とと」という新しいブランドも作りました。

我々はこれをスクラムコラボと呼んでいます。スクラムコラボとは、業態自体が一緒になるのではなく、ある限定的な部分で恊働してブランドだけを立ち上げるということです。一例としては、ビックカメラとユニクロが新宿に作った「ビックロ」があります。

スライドにあるのは「オオギヤと宇奈とと 静岡千代田店」ですが、これは今年9月末までにオープンした6つの実験店のうちの1つです。現在では、36店舗まで拡大しています。

正直に言いますと、ようやく収益が上がり始めた店舗と、コラボレーションがうまく進んでいない店舗の勝敗の分かれ目が見え始めたところです。勝てる店舗が6割、まだ答えが出ていない店舗が4割ほどですが、この4割についても十分に改善可能だと思っています。そのため、施策を推し進めた分だけしっかり利益が乗ってくるだろうと確信しています。

事業方針_第2フェーズ(脱・大型店舗_一丁)

大型店である「一源」「一丁」は多くの店舗を閉めることになりました。しかし、将来的には、都市部においてはお酒と食事のバランスが取れたお店のほうが生き残るだろうと考えています。そのため、新しい時代・コンセプトでも戦えるネオ居酒屋を作るための実験を行っています。

スライドには、今年11月にリニューアルオープンした「うおや一丁 新宿三光町店」の事例を記載しています。出入口は1つですが、大きな水槽を撤去して吹きさらしにしたため、換気のよい環境です。

そして、簡易なテーブル席を置き、「一丁」が待望していたコの字カウンターの中でお寿司を握っています。寿司カウンターを作って、コの字の中で従業員・店長・調理長と会話をしながら、楽しんでいただくスペースです。実はこの奥は、旧の「一丁」のままのボックス型のシートをそのまま維持しています。欲張りながら、「一丁」のオールドファンのみなさまと、新しい「一丁」の客層両方の方々に来ていただこうというお店です。

今月に入ってちょうど忘年会のシーズンとはいうものの、みなさまはあまり派手に忘年会を開いておられませんが、実は今、新型コロナウイルス前の「一丁」が戻ってきたのではというくらい大変な活況です。

かつては「一丁」くらいのお店を全部リニューアルする場合、数千万円かかっていましたが、数百万円くらいでこれだけの改装ができました。その結果、新型コロナウイルス前の「一丁」の売上が確保できるのであれば、非常に有意義な実験結果だったと思います。

ここを切り出して、「では中型店、小型店と新店を出したらどうなるのか」「もう大型宴会場を持たなくても、十分戦えるのではないか」という確信にはまだ至ってはいませんが、この2ヶ月間の中でかなり手応えを感じる実験ができています。

それがちょうどスライドの中央にある第2フェーズの「脱・旧居酒屋」「脱・大型店舗」、業態実験につながっています。

事業方針_第2フェーズ(脱・大型店舗_いちげん)

業態実験については、前回すでにお話ししましたが、新しい取り組みとして鶏焼肉店「いちげん」を武蔵浦和で始めており、「かなりの店に展開ができそうだ」という手応えを持っています。1皿税抜299円で、鶏ではありますが、焼肉が食べられます。

焼鳥のように切らなくてよい、串に刺さなくてよい、しかも、お客さまが自分で焼いてくださいますので、非常に効率がよいのです。ただ、相対的には、みなさま非常に焼肉屋がお好きで、牛中心で頼まれますので、当然ではあるのですが、やはり客単価は上がっていきます。

随分安い焼肉屋が出てきましたが、やはり「牛を食べたな」と満足感を味わいながら、それだけのお金を払っておられます。一方、鶏であれば、同じくらいの満腹感と焼肉を食べた感を持っていただきながらも、牛の焼肉屋の半分くらいのコストで済みますので、お得感を非常に感じていただいています。

独立した業態となり得る可能性を非常に感じており、もう少し多くの店で展開してみようと思っています。

事業方針_第2フェーズ(新業態/新規事業)

これも前回お話ししましたが、鶏ラーメン屋「黄金拉麺 鶏のおかげ」と、こだわりの鶏を中心とした町中華「鶏中華 ヤンヤン飯店」を新しいチャレンジとして開発しています。「ヤンヤン飯店」は2店舗目を新橋に出店し、中目黒と新橋でいろいろと修正しながら絶賛実験中です。

もう1つ、実は「一丁」では大田市場内にお魚の加工場のヤードを借りていました。そのつながりもあり、大田市場内で働く方々を対象に、カウンター席のある食堂を持ちました。市場内では通常火を使うことはできませんが、この食堂を持つことによって、この裏側でだけは火力を使っての加工が可能になりました。

ここのキッチン内で加工したものでパッケージ化をして、あるいは従来どおりお魚を捌いて、「一丁」の各店舗に卸すかたちのものを作り、外部に売れるようにしました。スーパーマーケットや他の外食業態の方々、場合によってはEコマースにつなげられるような、いわゆるEコマース向けの商品開発を着々と進めており、少しずつではありますが、外部受注のお声をかけていただくことができています。このように、将来的な新規事業の実験として、まだひっそりではありますが、仲卸事業の業態にも挑戦しています。

この短期間に黒字化する方法論、イコール第3フェーズにストレートにつながるような実験を繰り返しながら、先ほどお話ししたように、社内風土として経営と従業員、現場と本部の距離をぐっと縮めることで、みんなでワンチームになって変革へ挑戦する組織に生まれ変わりつつあるという手応えを感じています。

そこに、世間でよく言われているDX、リアルとデジタルの融合をどのようにしていくかです。本当のDX移行は第3フェーズになるのだろうとは思っていますが、「どのようなトランスフォーメーションをしていくのか」「それを行うために最適なデジタルツールとは何か」を来年9月までに徹底して検証し、1つの方向性を定めて一気になだれ込む準備を進めています。

このような第2フェーズを来年の9月までになんとか成し遂げたいと考えていますので、ぜひみなさまにもいろいろなご指導やアドバイス、ご支援をいただければありがたいです。

第3フェーズは文字にしている以上のこともないのですが、今の第2フェーズをしっかりこなせた上で何かが見えてくると思います。スライドの最後に「一軒の力」とありますが、今まで我が社はチェーンストアとしての強さをずっと主張してきました。

そのよさを残しつつ、地域に根づき個人店にも見えるような魅力的な店作りにしていくことを、あくまでも目指していきたいと考えています。「一軒の力」では、そのために今すべきこと、そのために今足りないものを、この第2フェーズの中で徹底的に洗い替えていきます。

この背景には、前回も簡単にお話ししましたが、やはり新型コロナウイルスの影響で全世界的にいろいろなことが起きました。一方で、食材を扱っている我々にとって、どんどん進む地球温暖化は、本当に退っ引きならない状況なのだと感じます。ましてや、コロナ禍のようなことが起きると、世界の中で日本はもっと孤立するリスクがあると思い始めています。

やはり日本の社会、また将来の自分たちの子どもや孫、その先の世代に、日本の食に対して、文化の伝承だけではなく食環境や食のサステナビリティをどのようにして確保するかを考える必要があります。

食糧危機が起きないように、食に関わる我々はどのようなことをしていくかを考えながら、「どのような店作りをしていくんだろう」「そのために地域とどのような連携をするんだろう」「生産者やメーカーのみなさまとどのように協力して、そのようなことに取り組んでいくんだろう」ということを、各店舗がしっかり考える力を持てるような会社作りを目指すことによって、そのようなことに協力していきます。

そうすることによって我々の存在意義がはっきりしてきて、ここで行っている細かな具体的な施策に対して、お客さまによいと思ってもらえる会社になるのではないかと考えています。第3フェーズをにらみながら第2フェーズの活動をしていることを、今日あらためてみなさまにご報告し、現在行っている事業改革方針の説明に代えさせていただきます。

プライム市場上場維持基準の適合状況及び計画期間

続いて先週開示したばかりですので、これからの議論になりますが、あと5分くらいお時間をいただきます。ご承知のとおり、いろいろとおっしゃる方もいることは重々承知ですが、東京証券取引所の新市場区分の選択でプライム市場へエントリーしました。

とはいうものの、上場のルールにおける適合基準では、我々は時価総額以外は基準を満たしていますので、要はシンプルに「株価が安すぎる」のです。これはひとえに、このような経営状態、収益状況であることに尽きますので、先ほどからお話ししている事業方針をしっかり取り組み切った上で目論んでいる成果が出せれば、この点は自動的にまかなえるはずの部分です。したがって、まずはプライム市場に残ることに高い志を持ってトライしたいと考えています。

これは、先週12月15日の開示資料に書いてあることですが、基本的にどのようにして株価の上昇を図っていくかです。結局、P/Lで収益が出なければ何を言っても犬の遠吠えになってしまいますので、まずはこの点をしっかり取り組んでいくことによって、理論上は3年後にはプライム市場上場維持基準を十分に満たす水準にいくはずだ、とシミュレーションしています。ここをひたすら目指していくことに尽きると思います。

もう1つ、みなさまにお伝えしなければいけないのは、私どもは事業再生ADR手続きを活用して、既存の金融機関のみなさまと、いわゆる再生に近いエンカレッジファンドさまに、60億円もの資本を入れていただきました。これはなんらかのかたちで、通常の普通株のみによる資本構成に切り替えていかなければいけない宿命を負っています。

そのためにいろいろなことを考えなければいけないのですが、まずはP/Lを再構築していくことが第一義です。それが成し得た時には、今後の会社の成長や、私のこの画面の向こう側にいらっしゃるステークホルダーのみなさま、新しい株主のみなさまに来ていただけるように、最適な望ましい資本デザインに作り直さなければなりません。

そのようなことを考えた時に、その選択肢の出口が多くあるのはプライム市場だと判断して、ここは意地でもプライム市場に残って、まっとうな資本構成に一刻も早く戻れるようにがんばっていきたいと決意していますので、ぜひご理解と応援をしていただければありがたく思います。

以上をもちまして、私からの説明は終了でございます。ご清聴ありがとうございました。