2021年9月期決算説明会

船津浩三氏:みなさま、本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。株式会社ニーズウェルの代表取締役社長、船津でございます。よろしくお願いいたします。

本日の説明ですが、1つ目に2021年9月期の通期決算概況についてお話しします。2つ目が、すでにスタートを切っている2022年9月期の業績予想です。3つ目に、今後の事業成長戦略についてお伝えします。また、今回資料の後半に参考資料を添付していますので、必要に応じてご参照ください。

1.1)決算ハイライト①

それでは、決算ハイライトについてお話しします。2021年9月期ですが、10期連続の増益となり、過去最高益を達成しています。通信と物流、ソリューションが好調に推移し、コロナ禍の影響を克服することができました。

ちなみに、売上高は57億5,200万円で前期比プラス7.2パーセント、経常利益は5億8,200万円で前期比プラス13.2パーセント、経常利益率は10.1パーセントでした。また、当期純利益は4億2,100万円で前期比プラス21パーセント、当期純利益率7.3パーセントを確保できました。どちらの利益においても2桁の伸びを確保しています。

1.1)決算ハイライト②

ハイライトの2つ目ですが、四半期ごとの内訳を表示しています。売上は第1四半期間において若干足踏みしたものの、第2四半期以降に前年同期を上回り、最終的に前期比プラス7.2パーセントを確保できました。続いて、利益ですが、第4四半期間で優秀な人材確保のための昇給、賞与・教育費の増加や、新型コロナウイルスに関する助成金の減少などにより、営業利益は前年同期を下回りました。しかし、累計期間として2桁成長を確保できたため、営業利益率も17.7パーセントを達成することができました。

1.2)東証市場再編への対応

また、当社は2022年4月の東証市場再編にあたり、プライム市場の基準充足に向け、中長期的に施策を講じていきます。10月14日に「上場維持基準への適合に向けた計画書」を東証に提出し、開示しました。今後は経過措置の適用を受け、プライム市場に移行する予定です。

現在流通株式時価総額が不適合となっておりますので、こちらへの対策を取りつつ、適合に向け、努力していきたいと考えています。ハードルはかなり高いですが、努力することで企業、社員の成長にもつながると考え、このように判断しました。

1.3)業績達成率

業績達成率の内訳についてご説明します。業務系システム開発の通信、物流と、高付加価値化を狙ったソリューション・ビジネスが好調に推移しました。

売上高は57億5,200万円と、業績達成率100パーセントに近い状況です。業務系システム開発は携帯電話の料金改定に伴う需要が伸び、売上をアップすることができました。また、ソリューション・ビジネスがかなり好調です。当社は経費管理クラウド向けに、当社の独自のノウハウや機能を加えたソリューション「Speed EA」と「Invoice PA」を提供していますが、これが好調に推移し、前期比から見てもプラスとなりました。

1.4)経常利益(累計)増減要因分析

続いて、経常利益の増減要因分析です。生産性向上と高付加価値案件の獲得が貢献し、売上総利益が前期比10.4パーセント増と大きく伸びました。

また、売上総利益が1億3,300万円増えています。こちらは今年入社した新卒社員50数名の早期戦力化や、リモート開発を活用し生産性を向上したことに起因しています。一方で、給与・賞与、そして教育費用に5,600万円投資し、最終的に経常利益は2桁成長の13.2パーセント増を達成できました。

1.5)損益計算書(累計)

続いて、損益計算書の累計をお示しします。経常利益率は10.1パーセントで前年同期比0.5ポイント増と、高水準の利益率を達成しています。経常利益は5億8,200万円で前期比113.2パーセント、経常利益率は10.1パーセントとなり、IT企業の平均以上の収益を達成できています。

1.6)貸借対照表

こちらは貸借対照表です。自己資本比率が80.2パーセントで、前年比でも5.8ポイント上昇しており、引き続き高水準で安定した財務体質を確保できています。「現金及び預金」は約28億円確保できていますので、今後はこちらを活用した積極的な研究開発投資やM&A、資本業務提携を実施していきたいと考えています。

2.1)2022年9月期 業績予想

2022年9月期の業績予想についてご説明します。2022年9月期は新卒の早期戦力化による生産性向上、そして高付加価値案件の獲得により、2期連続の増収と11期連続の増益を予想しています。

売上高は62億600万円と、前期比7.9パーセント増を予想しています。こちらの内訳のうち、ソリューション・商品等の部分が6億5,800万円で前期比106.1パーセントを見込んでいますが、この部分は若干慎重な数字であると思っています。今のところ第1四半期の進捗状況は好調ですので、このあたりが増えてくるのではないかと予想しています。

営業利益は5億9,700万円で前期比2.9パーセント増、営業利益率は9.6パーセントと、若干低めの見込みになっています。当初、大幅な昇給を実施したため慎重になっていましたが、リモート開発などの生産性向上が進んできており、ソリューション・ビジネスも計画以上に推移している状況ですので、業績予想に対しおそらく好調に推移すると見ています。

こちらの計画は、M&Aのような未定のものは含んでいないため、それらが加われば、この予想を上回ることができるのではないかと考えています。

2.2)配当と株主還元

続いて、配当と株主還元になります。2022年9月期は1株当たり20円と、普通配当ベースは2円増配になり、4期連続の増配を予定しています。

昨年は35周年の記念配当として、さらに5円プラスしていました。その分はなくなりますが、配当性向は47.5パーセントと、引き続き高い水準を維持していきたいと考えています。

3.1)経営理念・経営スローガン

当社の経営理念と経営スローガンをご紹介します。経営理念は「広く経済社会に貢献し続ける」です。「貢献し続ける」とは、永久に、という意味です。また、「広く経済社会に」という部分は、我々がIT業界の中において、システム開発を通じて社会に貢献していきたいという願いが込められています。

また、経営スローガンは「Try&Innovation」を掲げています。技術革新が常に激しいIT業界で、新しいものを試し、挑戦しつつ革新を掲げ、広く経済社会に貢献し続けるというスローガンのもと、全社一丸となって動いています。

3.2)成長の軌跡

続いて、当社の成長の軌跡をお話しします。設立は1986年10月になります。現在は35年を過ぎ、36年目に入っています。当初は経営コンサルから開始しましたが、これまでいろいろな施策を実施してきました。途中、2008年のリーマンショックや、2020年、当社で「コロナショック」と呼んでいる新型コロナウイルスの影響と、経済環境が苦しい状況があり、そのあたりは売上や成長が鈍化しました。

そのような中、35期も無事に終わり、社員数も552名まで増えました。今年度はさらに売上を伸ばそうと、10月に零壱製作という会社をM&Aにより取得しました。こちらの売上規模が小さいため、今回は連結対象にしていませんが、今後は事業を伸ばしつつ連結対象にしていく予定です。

3.3)中期基本方針

それでは、中期基本方針についてご説明します。中期基本方針は「派遣型ビジネスからの脱却、そして真のシステムインテグレータへ」となっています。従来まで、当社は人材をお客さまのもとに派遣し、ITのシステム開発をお手伝いしていました。これからは会社として「真のシステムインテグレータ」になり、請負型ビジネスやソリューション・ビジネスを独自に行い、景気に左右されないような強い企業集団として、高収益企業へ転換していきたいと願っています。

3.4)3つの強み

当社の3つの強みをお話しします。1つ目は「金融系システム開発力」です。当社は、スタート当時から金融系のシステム開発を中心に扱ってきました。そのため、業務系システムの売上高のおよそ半数が金融系になっています。中でも、生命保険・損害保険分野の比重が高く、強みとなっています。また、銀行・クレジットカード・証券でも多数の実績を備えています。

そして2つ目が「エンドユーザー取引力」です。従来まで生命保険会社・大手ホテル・通信キャリアなどと直接取引があったため、これが売上構成比の50パーセント超と高水準を上げ、収益力につながっています。

3つ目は「ソリューション提供力」となります。これは、5Gに関連したセキュリティ系や、DX化に関するAI、RPA、そしてテレワークを実現するソリューションなど、お客さまのビジネスの目的に合わせた最適なソリューションサービスを提供しようということです。この3つが当社の強みになります。

3.5)中期経営計画 ①業績目標

中期経営計画における実際の業績目標をご説明します。2023年9月期までに売上高100億円の企業を目指していきたいと考えています。また、経常利益は10億円、経常利益率は10パーセントの高水準を維持していくことを目指しています。

2023年9月期の売上規模については、23.1パーセントとかなり高い成長率が求められます。そのため、こちらについてはM&Aやシナジーを有効に活用し、100億円企業を達成していきます。経常利益も24.8パーセントの成長率の推移で進めるとありますが、実際は年ごとに10パーセントの収益率を確保しつつ、2023年9月期に10億円の経常利益を確保したいという考えです。

3.5)中期経営計画 ②売上拡大

売上拡大に関してお話しします。特に我々が力を入れている物流ビジネスの市場は、2020年に800億円だった市場規模が1,030億円まで伸びるだろうと予想しています。また、DXを含めたAI関連の市場は、2020年に320億円の市場が、倍の640億円の規模まで膨れ上がると考えています。

昨年、物流ビジネスにおいて当社が開発した倉庫管理システム「SmartWMS」は、今のネット社会では重要な製品となるでしょう。これらを活用し、12億円ほどプラスしていきたいと考えています。

あわせて、ソリューション・ビジネスはDXを絡めたAIに力を入れ、企業におけるDX化の推進支援に取り組みたいと考えて、プラス9億円としています。

さらに2023年までに23億円規模でM&Aと資本業務提携を活用していきたいと考えており、投資として約20億円を活用します。以上を合わせて47億円の売上をプラスとし、100億円を達成しようという考えです。

3.6)重点施策

次に、そのための重点施策を7つ掲げています。「企業価値向上の推進」「物流ビジネスの拡大」「AIビジネスの拡大」を進め、そして、人材不足を補うために「ニアショア開発の拡大」を行います。また、「事業基盤の確立」を達成し、そして「ソリューション・ビジネスの拡大」「エンドユーザー取引の拡大」により、安定した受注の獲得と収益性を高めようと考えています。

3.6)重点施策 ①企業価値向上の推進 ⅰ

重点施策の詳細についてご説明します。「企業価値向上の推進」の1つ目として、こちらは当社の経営理念に沿って進めていきたいと考えています。

1つが業績面です。スライド左下に記載のように、2023年9月期に売上高100億円、プライム市場へ移行を目的とした流通株式時価総額100億円という目標達成のために、M&Aや資本業務提携を推進していこうと考えています。

IR・PRについては、今回の決算説明会は機関投資家向けのIR活動ということになりますが、個人投資家向けとしては昨年コロナ禍の影響により若干抑制した面があったため、今後はこのようなオンライン説明会などを実施しながら、広く個人投資家に向けてもIR活動を展開していきたいと考えています。PRという面で、当社はメディアへの露出度が低かったため、知名度向上のためにも今後は露出を増やしていきたいと思います。

資本政策に関しては、M&Aと資本業務提携を活用するということで、詳しい取り組み状況は次ページ以降でご説明します。サステナビリティについては、ESG、SDGsにも力を入れており、委員会を設けて定期的に活動しています。

3.6)重点施策 ①企業価値向上の推進 ⅱ

「企業価値向上の推進」の2つ目として、M&Aと資本業務提携の取り組みの状況をご説明します。2020年2月から本格的に動き出し、まずはソフトウェアのパッケージを中心に販売している東証一部のアイティフォーと資本業務提携し、人材や仕事を共有しています。

2020年3月にはエンドユーザーである明治安田生命保険、明治安田システム・テクノロジーと長期的な開発技術者を維持するためにコアパートナー契約を交わしました。

さらに、物流倉庫関係に力を注ぐために、2020年12月、WMSを当社が開発し、オフィスエフエイ・コムがロボットの制御系を担い、物流革命が運用系を中心にコンサルティングするというかたちで、3社で協業を締結しました。こちらは、物流における倉庫管理システムの販売を強化する狙いがあります。

2021年3月にはソフトウェア開発の総研システムズと資本業務提携し、現在は開発人材の供給を受け、要員不足を補ってもらっています。

2021年7月にはキヤノンマーケティングジャパンの子会社である、キヤノンITソリューションズと資本業務提携し、生産性を高めるためのローコード開発ツールで協業し、お互いに開発案件を拡大しようと取り組んでいます。

2021年9月には携帯系の販売代理店事業を全国的に展開している、東証一部のコネクシオの法人部門と業務提携しました。当社の現在持っているソリューション系、経費精算といったところを含めて、プラスアルファしながらツートップでのビジネスを進めています。どちらかと言いますと、コネクシオが営業系を中心に担い、当社がサービスを提供するというお互いにwin-winな状態でビジネスを広げようと取り組んでいます。

最後に2021年10月には、ゼネコン向けの開発を得意としている零壱製作の株式を7割取得しました。ゼネコン向け受託開発とMVNO事業で協業しながら、お互いの力を入れているビジネスを拡大できればと考えています。

M&Aと資本業務提携の取り組み状況については以上です。

3.6)重点施策 ②物流ビジネスの拡大

物流ビジネスの拡大についてですが、先ほど重点施策の冒頭でご説明したとおり、現在はネット通販への需要が高まっており、倉庫の人手不足が深刻な状況になっています。そこで、我々のソフトやロボットで人出不足を解消しようと、当社は「SmartWMS」という倉庫管理のソフトを開発しました。特徴としては、省力化・ペーパーレス化、お客さまの課題を見える化する、迅速な対応を行うといったシンプル設計が挙げられます。

このソフトを活用しながら、オフィスエフエイ・コムのロボット技術を適用し、運用面では物流革命とともに展開することで、業界の倉庫管理システムの拡大に努めていきたいと思います。

3.6)重点施策 ③AIビジネスの拡大

AIビジネスの拡大に関してです。当社では「Work AI」という業種別のAIソリューションを提供しています。まだまだ始めたばかりですが、現在は「Speak Analyzer」という、コロナ禍において、対面ではなくリモート教育が可能となる、AIリモート教育のソリューション製品を提供しています。

また、建築業界の部材の概算見積もりをするための、AIを活用した自動化システムについてもPoCが終了しました。現在は、製品化に向けて具体的に動きつつあります。新たな展開がありましたら、また発表させていただきます。

今後もいろいろな業種向けに、企業が持っているデータをうまくAI化し、人が考えなくてもコンピューターが行うようなAI機能を活用しながら、効率化を狙った製品を提供していきたいと考えています。

3.6)重点施策 ④ニアショア開発の拡大

ニアショア開発の拡大について、こちらはあくまで目標として、2024年9月期までに長崎開発センター100名体制を目指すということを掲げています。ニアショアということで、長崎開発センターでは関東の仕事について開発を担います。長崎開発センターを開発拠点と位置付けて、地方の優秀な人材を確保することにより、人材不足によるビジネスロスを防ぐ狙いがあります。

3.6)重点施策 ⑤事業基盤の確立

事業基盤の確立として、これまでは業務系システム開発で、ハイスキル技術者の育成により特に金融系を中心に拡大してきましたが、今後はさらに開発ツールを上手く取り入れ、ローコード開発などをうまく活用しながらシェアの獲得に努めていきたいと思います。

3.6)重点施策 ⑥ソリューション・ビジネスの拡大

ソリューション・ビジネスの拡大については、売上高構成比目標で2023年9月期売上100億円に対して、その15パーセントの15億円を達成したいと考えています。

その目玉が、当社独自のソリューションとして提供している「ITリエンジニアリング」サービスで、スライド右の図のように、基幹システムERPを周りで支援するような製品です。周辺システムを連携することで、RPAやAIを活用しながら、手入力によるミスなどを防止します。現在のDX化を推進しながらペーパーレス化、テレワーク化を積極的に実現していきたいと考えています。

もう1つは「2025 Solutions」ということで、2025年の崖問題を支援するツールを準備しました。こちらをうまく活用しながら、世界の技術者不足を補っていくソリューションを提供していきます。

RPAツールにも力を入れており、NTTデータの「WinActor」とマイクロソフトのTeamsのチャット機能を活用するような連携ソリューションを、とある建築会社と進めています。完成すれば積極的に販売開始していきたいと考えていますし、それに伴いソリューション・ビジネスはかなり好調に推移するものと思います。

3.6)重点施策 ⑦エンドユーザー取引の拡大

エンドユーザー取引の拡大に向けては、受注安定化と収益向上のため、今後もエンドユーザー比率50パーセント超を維持拡大していきたいと考えています。2021年9月期は57.7パーセントのエンドユーザー比率でしたが、これを60パーセントまで維持拡大したいと思っています。特にソリューション・ビジネスが拡大するとおのずとエンドユーザー取引も拡大するため、こちらに注力しながら今後も進めていきたいと思います。

3.7)ESG・SDGs ①事業と直結する取組み

当社が力を入れているESG・SDGsの取り組みについて、あらためてご説明します。事業と直結する活動を進めることで、サステナブルな経営を目指していきたいと考えています。

1つは、ニアショア開発の促進です。長崎開発センターを2024年までに100名体制にすることで、地方の人口減少の対策に貢献できればと考えています。また、DXをアシストする新たなソリューションの開発ということで、ITリエンジニアリングサービスを活用しながら、企業のDX化を支援していきたいと思います。

パートナーシップの推進についても、事業成長に向けて、当社だけではなく他社との協業でビジネスを伸ばしていく所存です。

3.7)ESG・SDGs ②制度や支援活動から支える取組み

制度や支援活動から支える取り組みとして、特に働き方改革・人材育成には力を入れており、有給取得奨励日やプレミアムフライデー、残業目標20時間以内に抑制するといった取り組みを進めています。もちろん企業としてもワークライフバランスを推進していますし、テレワークを活用することで生産性を高め、仕事とプライベートをうまく分離できるような働きやすい環境作りに努めていきたいと考えています。

以上で本日の決算のご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。