売上高の推移

株式会社朝日ネット代表取締役社長の土方でございます。2022年3月期上期の決算についてご説明します。

2022年3月期の期首から「収益認識に関する会計基準」を適用しています。その影響をわかりやすくするため会計基準適用前と会計基準適用後の数値を比較してお示ししています。

売上高についてです。2022年3月期上期の売上高は56億9,300万円となりました。2013年3月期から10年連続で伸びており、過去最高の売上高を更新しました。年度予想である114億円に対する進捗率は49.9パーセントとなりました。計画に向けて順調に推移しています。

会計基準適用前の数値で比較した場合、売上高は前年同期比で8.8パーセント増加し、4億8,800万円の増収となりました。昨年度は新型コロナウイルス感染症に伴うインターネット接続の需要増加と退会率減少により増収額および増収率が例年よりも高い結果となりました。2022年3月期上期も引き続き各事業が堅調に推移しており、高い増収額および増収率を維持しています。

売上高 前期比差異

2021年3月期上期から2022年3月期上期にかけての売上高1億1,500万円の伸びについて、主な要因をご説明します。

まずは「v6 コネクト」です。売上高は2億9,200万円の増収となりました。提携事業者との取り扱い通信量が増加したことが主な増収の要因です。2022年3月期上期の提携事業者数の増減はありませんでした。

続いて「光コラボ」です。 NTT東西の光コラボレーションモデルを活用した「AsahiNet 光」と「ASAHIネット ドコモ光」が1億9,000万円の増収となりました。光コラボは法人顧客からの受注増加が寄与しています。

NTT東西と販売チャネルを協業し、マンションオーナーおよび居住者へのインターネット接続サービスを提供している「マンション全戸加入プラン」は3,300万円の増収となりました。

モバイル接続サービスのLTE・WiMAXは1,700万円の増収となりました。

教育支援サービス「manaba」は1,500万円の増収となりました。要因は2021年3月期から利用を開始した大学の月額利用料によるものです。2022年3月期上期の全学導入校数に増減はありませんでした。

その他のうち、減収しているサービスは、ダイヤルアップなどのナローバンドや、新規受付を停止しているADSLなどが挙げられます。

その結果、会計基準適用前の売上高は前年同期比8.8パーセント増の4億8,800万円となりました。

会計基準適用による売上高の影響は3億7,200万円の減収です。スライド4ページの「その他」の6,200万円減収に含んでいる一部サービスの売上高の計上を総額から純額へ変更したこと、並びにキャッシュバック等の販売費及び一般管理費を売上高から減額したことによるものです。

営業利益の推移

営業利益は9億4,400万円となりました。年度予想である17億9,000万円に対する進捗率は52.7パーセントと、計画よりも順調に進捗しています。営業利益率は16.6パーセントとなっています。

会計基準適用前の数値で比較した場合、営業利益は前年同期比21.1パーセント増加し、1億6,200万円の増益となりました。

営業利益 前期比差異

2021年3月期上期から2022年3月期上期にかけて営業利益が1億7,500万円の増益になったことについて、主な要因をご説明します。

スライド左側に示しているのは、会計基準適用前の前期からの差異です。先ほどご説明したとおり、売上高の増加は4億8,800万円となりました。

売上原価は4億4,200万円増加しました。増加の主な要因として2点ご説明します。

1点目はFTTH接続サービスの新規契約数増加に伴う回線仕入れの増加です。「AsahiNet 光」やLTE・WiMAXの変動費として売上原価が増加しています。

2点目はサービス品質を維持するための通信費および減価償却費の増加です。2022年3月期上期は、引き続きNTT東西と相互接続するIPv6ネットワークの追加契約を第1四半期に行いました。また2021年3月期に約13億の設備投資を行ったことにより、減価償却費が増加しています。トラフィックの増加を効率的に処理するための設備拡張や、遠隔授業によりアクセスが増加している「manaba」においてサービス品質を維持するためのサーバー増強などが該当します。

販売費及び一般管理費は1億1,600万円の減少となりました。ISP「ASAHIネット」における新規会員獲得が計画よりも効率良くできたためです。2022年3月期上期は主として法人顧客の獲得に注力しており、代理店等の新規パートナー開拓へ販管費を投入しています。前年同期比に開きがあるのは、昨年度は個人会員に向けた新規獲得施策に積極的に販管費を投下していたためです。

会計基準適用による営業利益の影響です。売上高は先ほどご説明したとおり、3億7,200万円の減少となりました。売上原価は一部サービスで売上高を総額から純額に変更したことにより、回線仕入が3億6,400万円減少となりました。販管費はキャッシュバック等を売上高から減額することにより2,200万円減少しました。その結果、会計基準適用による営業利益の影響は1,300万円増益となりました。

EBITDAの推移

EBITDAとEBITDAマージンの推移についてご説明します。スライド6ページ、売上原価の主な増加要因として、サービス品質を維持するための設備投資および減価償却費についてお話ししました。

当社は対処すべき課題として「増加する費用を抑え、利益が出せる構造を維持すること」「お客さまに満足いただける品質のサービスを今後も提供し続けること」の2点を、以前の決算説明会資料でご説明しています。対処すべき課題に取り組む効果的な手段として、将来を見据えた適切な設備投資を進めています。

設備投資による減価償却費の影響を除いた収益力の推移をお示しするため、営業利益に減価償却費を加えたEBITDAの推移を資料に追加しました。当社は経営指標として営業利益を重要視していますが、補完的な指標としてEBITDAも見ています。 2018年3月期からのEBITDAの5年推移をスライドにお示ししています。ISP、VNE、manabaの増収により企業としての収益力が年々増加していることがご理解いただけると思います。

2017年3月期には、新たにIPv6接続サービスへ参入するために約9億円の設備投資を行いました。2018年3月期からISP「ASAHIネット」の会員向けにIPv6接続サービスを提供し、2019年3月期から「v6 コネクト」を他の電気通信事業者へ提供し、その後は売上拡大とトラフィック増加に備え必要な設備投資を継続的に行っています。

2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染症により新たな生活様式の変化が進行し、トラフィック増加が顕著となりました。そのため2022年3月期においては従来の計画よりも前倒しで必要な設備投資を進めています。

経営成績

2022年3月期上期の損益の状況です。売上高、営業利益は先ほどご説明したとおりです。

経常利益は前年同期比15.2パーセント増の9億4,800万円となりました。四半期純利益は前年同期比15.2パーセント減の6億7,100万円です。2021年3月期上期は特別利益として投資有価証券売却益3億3,800万円を計上しておりました。その結果、1株当たり四半期純利益は24円5銭となりました。業績予想に対する進捗率は記載のとおりです。

財政状態

2022年3月期上期の財政状態です。資産は前期末比4億8,400万円増の132億9,800万円となりました。負債は前期末比3,600万円増の19億2,000万円、純資産は前期末比4億4,700万円増の113億7,700万円となりました。自己資本比率は85.6パーセントとなっています。

株主還元

2022年3月期の配当です。中間配当金については、予定どおり1株当たり10円とします。2022年3月期の配当金は、中間配当金で10円、期末配当金で10円、年間で1株当たり20円を予定しています。その結果、配当性向は40.7パーセントとなる予定です。

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の1つとして認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としています。

朝日ネットの事業

続いて、事業ごとに分解してご説明します。2022年3月期の期首より事業ごとの売上高を開示することにしました。

インターネット接続サービスとして、ISP「ASAHIネット」VNE「v6コネクト」の売上高を開示しています。インターネット関連サービスとして、教育支援サービス「manaba」「その他」の売上高を開示しています。

インターネット接続サービスの構造

はじめにインターネット接続サービスの状況についてご説明します。インターネット接続サービスの構造は、スライド左上の①が、当社がISPとして自社サービス「ASAHIネット」を提供している部分です。スライド右上の②が、当社がVNEとして電気通信事業者へIPv6接続サービス「v6 コネクト」を提供する部分として分かれています。

インターネット接続サービス 売上高

2022年3月期上期のインターネット接続サービスの売上高はご覧のとおりです。ISP「ASAHIネット」は42億6,100万円、VNE「v6 コネクト」は6億4,300万円となりました。

各サービスにおける売上高の前年同期比は、会計基準適用前の数値で比較した場合、ISP「ASAHIネット」は4.3パーセント増加し1億9,100万円の増収となりました。 VNE「v6 コネクト」は83.3パーセント増加し、2億9,200万円の増収となりました。

ISP「ASAHIネット」インターネット接続契約数の推移

ISP「ASAHIネット」の事業の状況についてお話しします。「AsahiNet 光」などのFTTH接続サービスの契約数は、2021年9月末に前年同期末比1万3,000ID増の43万4,000IDとなりました。

ADSL接続サービスの契約数は4,000ID減の1万2,000IDとなりました。モバイル接続サービスの契約数は1,000ID増の4万6,000IDです。インターネット接続サービス契約の退会率は0.76パーセントとなり、引き続き低い水準を維持しています。

なお、2021年9月末時点でのASAHIネット会員数は前年同期末比1万5,000ID増の64万9,000IDとなりました。

2022年3月期上期は、売上高でご説明した「AsahiNet 光」の法人受注が堅調に推移しており、FTTH接続サービスの契約数を牽引しています。ADSL接続サービスは2021年9月末で終了を迎えたサービスの影響により、契約数が減少しています。モバイル接続サービスはWiMAXおよびLTEに固定IPを組み合わせて利用する法人需要が増加しています。

ISP「ASAHIネット」の取り組み チャネル

ISP「ASAHIネット」はスライド14ページでお示ししたインターネット接続契約数と、月額利用料を掛け合わせて売上高としています。契約数増加と契約単価向上が将来に向けた増収の要因となります。

2022年3月期は、FTTH接続サービスおよびモバイル接続サービスの契約数増加を目指し、さまざまな販売チャネルを活用した施策を進めています。販売チャネルごとに注力している取り組みをご紹介します。

1つ目は直販チャネルです。当社営業部やコールセンターおよびWebサイト経由での獲得を推進しています。2022年3月期上期においては直販チャネル経由で法人会員からの「AsahiNet 光」の契約数が増加しています。

2つ目はWeb施策です。検索エンジン広告やインターネット上のコンテンツマーケティングの利活用を進めています。当社が強みとする固定IPアドレスオプションの活用事例を広く告知することでWebサイトへの誘導と申し込みを進めています。新たな行動様式の拡大により、情報収集がリアルチャネルからWebチャネルへシフトしていることも後押ししています。

3つ目は代理店などのパートナー施策です。BtoBtoXとして、個人法人含めエンドユーザーに対して自社サービスと当社の接続サービスをセットにして販売いただく形態の拡大に注力しています。通信品質だけではなく、当社パートナー間でのオペレーション低減など、当社が強みとしたい付加価値向上に努めています。

ISP「ASAHIネット」の取り組み 事例

具体的な取り組み事例です。

1つ目は店舗のIT化/DX化です。店舗内に設置したさまざまな機器をデジタル活用する取り組みです。

店舗に設置してある商品値札を本社から遠隔で操作するダイナミックプライシングを実現するための仕組みや、店舗に設置してある監視カメラを使って商品やサービスをお客さまへインターネット経由で紹介する取り組みなどです。「『Asahi Net 光』+固定IPアドレス」による通信ネットワークを構築いただいています。

2つ目はIoT/M2M機器とモバイル回線です。遠隔地に設置した機器からモバイル回線を利用して収集したデータを活用する取り組みです。再生可能エネルギーが注目されており、太陽光発電や風力発電に参入する事業者が増加しています。電力会社からの出力制御に従い発電機を遠隔で操作したり、スマートシティとして、屋上に設置した発電機などをBEMSやHEMSと呼ばれる消費電力のみえる化の手段に当社サービスを利用いただいています。

3つ目は新型コロナウイルス感染抑止策としての事例です。新型コロナウイルスの感染抑止対策を起因とした新しい生活様式の取り組みです。学童保育に設置されている紙の教科書や学習書籍が感染抑止のため児童が触れることができなくなりました。その対応策として、教科書や学習書籍を電子化し、書籍に直接触れずに施設内で知的財産を保護しながら児童が安全に利用できる仕組みの一環として当社のサービスを利用いただいています。

VNE「v6 コネクト」売上高と提携事業者数の推移

続いて、VNE「v6 コネクト」についてです。スライドでは売上高と提携事業者数の推移をお示ししています。

2022年3月期上期の「v6 コネクト」の売上高は6億4,300万円、前年同期比83.3パーセントの増収となりました。提携事業者数は前年同期末比1社増の11社です。売上高は提携事業者のビジネス拡大と1回線当たりのトラフィック増加により増収となりました。

参考として、総務省が2021年7月に公開した1契約当たりのトラフィック推移は前年同期比21.0パーセント増加の556.8kbpsです。2020年5月から2020年11月までの増加率は大きくありませんでしたが、2020年11月から2021年5月までの増加率は大きく伸長しています。

1回線当たりのトラフィック増加は、これまでどおりの動画視聴やオンラインゲームの利用機会に加えて、遠隔授業やテレワークの増加なども影響していると捉えています。

IPv6普及・高度化推進協議会は、フレッツ光ネクスト網におけるIPv6の普及状況が目標普及率である80パーセントに達したとのリリースを、2021年8月20日に開示しています。IPv6普及率の向上とトラフィックの増加は「v6 コネクト」成長の後押しになると考えています。

インターネット関連サービス 売上高

続いて、インターネット関連サービスの状況についてご説明します。インターネット関連サービスは教育支援サービス「manaba」と、メールやセキュリティなどの関連サービスが含まれます。

2022年3月上期のインターネット関連サービスの売上高はご覧のとおりです。教育支援サービス「manaba」は、前年同期比4.3パーセント増の3億8,500万円となりました。「その他」は2.8パーセント減の4億200万円となりました。

教育支援サービス「manaba」の概要

教育支援サービス「manaba」についてご説明します。「manaba」は教育機関、主に大学に対して当社が開発、販売、サポートを行っているクラウド型のアプリケーションサービスです。

教育支援サービス「manaba」契約ID数の状況

2021年9月末の契約ID数は、前年同期末比5万9,000ID増の80万1,000IDとなりました。全学導入校数は前年同期末比2校増の98校となりました。2021年3月末から全学導入校数の集計対象を、大学と短期大学のみへ変更しています。

教育支援サービス「manaba」の取り組み

2022年3月期上期の取り組みについてです。本日付で「manaba」に関連したニュースリリースを2件開示していますので、内容についてご説明します。

文部科学省が大学に求める「教育の質保証」を実現するための機能開発を進めています。大学は昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策を行いながら授業運営を行っています。ライブ型やオンデマンド型など、インターネットを経由した授業運営が主ではありますが、一部では対面授業が再開されるなど教員と学生の学びの機会は多様化しており、ICTを活用した取り組みが進められています。

1点目は「教育の質保証」の取り組みに対応したポートフォリオ機能の拡充です。具体的には、ディプロマポリシーへの達成度評価を実現する機能、学生の目標を自己管理するための機能、学外のアセスメントテストの結果や資格取得実績をポートフォリオに登録する機能、「教育の質保証」で求められる4年間の学修成果をポートフォリオ上で可視化する機能を提供します。

本機能は2021年11月から複数の大学へパイロット版の提供を開始します。導入大学数は2025年に向けて50大学を目指します。

2点目は出席管理機能です。学生が授業に参加したかを示す出席情報は大学にとって学生の学修成果や「教育の質保証」を測る一つの指標です。また、教員にとっては学生の最終成績をつける素点であるため、出席情報の完全性と可用性が求められています。本機能の提供により、大学は学生の正しい出席情報を取得すること、並びに教員は正しい出席情報を簡単な操作で管理できます。結果として文部科学省が求める出席情報や出席率の管理を実現します。

これらの取り組みにより、当社は「manaba」を多様な学びを支えるサービスとし、大学教育へ貢献していきます。

2022年3月期 上期決算まとめ

2022年3月期上期の決算まとめです。

1点目は業績についてです。2022年3月期上期の売上高は56億9,300万円となり、過去最高を更新しました。2013年3月期から10年連続の増収となります。業績予想に対する進捗率は49.9パーセントです。

営業利益は9億4,400万円となりました。業績予想に対する進捗率は52.7パーセントで、売上高、営業利益ともに順調に推移しています。

2点目に事業の状況についてです。ISP「ASAHIネット」のFTTH接続サービスの契約数は前年同期末比で1万3,000ID増の43万4,000IDとなりました。法人の受注が堅調に増加しています。

VNE「v6 コネクト」の売上高は前年同期比83.3パーセント増の6億4,300万円となりました。主に提携事業者のビジネス拡大と1回線当たりのトラフィック増加による増収です。

教育支援サービス「manaba」の契約ID数は前年同期末比で5万9,000ID増の80万1,000IDとなりました。全学導入校は98校となりました。

参考:「収益認識に関する会計基準」適用内容

最後に、参考として、2022年3月期の期首から適用している「収益認識に関する会計基準」の影響についてご説明します。大きく2つの変更点があります。

1点目は、インターネット接続サービスの一部取引について売上高を総額から純額へ変更しています。会計基準適用前はスライドの図に記載したとおり、売上、売上原価、売上総利益で計上していました。会計基準適用後は売上総利益を売上高として計上しています。

2点目は、キャッシュバック等の販売促進費を販売費及び一般管理費の計上から契約期間に応じた売上按分へ変更しています。会計基準適用前はスライドの図に記載したとおり、販管費として計上していました。会計基準適用後は販管費を契約期間で按分し、売上高から減額しています。

以上、2022年3月期上期の決算についてご説明しました。ありがとうございました。