決算総括(対前年同期)

中島幸男氏:シスメックスの中島です。2021年3月期の第1四半期の決算概要についてご説明します。3ページをご覧ください。決算総括です。売上高は605億1,000万円で伸長率が11.7パーセントの減、営業利益が69億5,000万円で38.3パーセントの減、四半期利益が44億8,000万円で33パーセントの減となりました。

売上高はコロナウイルス感染拡大により、全地域で外来患者や入院患者が減少した影響で試薬売上が減少したことに加え、円高もあり減収となりました。営業利益は減収による粗利の減少に加え、利益率の高い試薬売上の減少により原価率が悪化し、減益となりました。

為替は前年同期比でドルは2.3円、ユーロは5円、元は0.9円で、それぞれの通貨で円高となりました。為替の影響は、売上で23億5,000万円のマイナスインパクト、営業利益は2億6,000万円のプラスインパクトとなりました。

四半期利益は為替差損益はプラスになりましたが、営業利益の減少により減益となりました。税率は31.4パーセントで、対前期でほぼ横ばいとなりました。

売上高の増減要因(地域別)

4ページをご覧ください。地域別の売上高の増減要因です。すべての地域において円及び現地通貨ベースともに減収となりました。売上への為替の影響は、全体では23億5,000万円のマイナスインパクトです。

地域別では米州で4億6,000万円のマイナスインパクト、EMEAが8億7,000万円のマイナスインパクト、中国が8億1,000万円のマイナスインパクト、APが2億円のマイナスインパクトとなりました。

売上高の増減要因(品目別)

5ページをご覧ください。品目別の売上高の増減要因です。

機器は各地域でのロックダウンや行動規制により機器設置の遅延が発生するも、サウジアラビアやメキシコにおけるヘマトロジー機器入札案件や、ドイツの大手検査センター向けヘマトロジー機器案件の獲得に加え、凝固機器売上においてロシアやトルコなどの直販地域や、米国などのアライアンスパートナー向けの売上も堅調に推移し、増収となりました。

試薬はコロナウイルスの影響により、ヘマトロジー分野、尿分野、免疫分野の試薬は減少するも、凝固分野はコロナウイルス重症化のモニタリング指標として活躍される「D-Dimer試薬」の伸長などもあり増収となりました。

売上高の増減要因(事業別)

6ページをご覧ください。事業別売上高の増減要因です。ヘマトロジー分野、尿分野、免疫分野については、コロナウイルスの影響により試薬売上が減少し、とくに尿分野は一般外来や健康診断での利用が多く、影響が拡大しました。

凝固分野は直販地域やアライアンスパートナー向けを含め、APを除く各地域で需要が増加し、また、コロナウイルス重症化のモニタリング指標として活用をされる試薬の伸長もあり、増収となりました。

ライフサイエンス分野は、前年の第1四半期には発売がなかった「NCCオンコパネル」やコロナウイルス用のPCR検査キットの売上が伸長し、「OSNA」や「OGT」の落ち込みをカバーして微増となりました。

営業利益の増減要因

7ページをご覧ください。営業利益の増減要因です。粗利の減少に加えて試薬売上の減少等により原価率が悪化し、減益となりました。為替の影響は2億6,000万円のプラスインパクトで、原価率は4.6ポイント悪化しました。

要因は中国や米州におけるサービスコストが減少したものの、利益率の高い試薬の売上構成費の低下や、機器、試薬の生産量の減少により製造原価が上昇したこと、米国における検査数減少に伴うCPT(Cost Per Test)売上の低下などによります。

尚、原価率における為替の影響は1.4ポイントのプラスインパクトとなります。販管費はロックダウンや行動規制に伴い事業活動が制限され、展示会やセミナーなどのイベント中止や出張中止等により経費が減少しました。

研究開発費は今後上市を予定している新製品開発等に加えて、新たにコロナウイルス関連の開発費用も発生したために前年並みとなりました。

米州(地域別)

8ページをご覧ください。ここからは地域別の取り組みです。まず米州ですが、売上高は139億7,000万円で、伸長率が11.6パーセントの減、現地通貨ベースで見ると9.7パーセントの減となりました。中南米において機器が好調に推移しましたが、試薬はコロナウイルスの影響を受けて減収となりました。

機器は北米における凝固分野の伸長やメキシコにおける公立病院グループへのヘマトロジーの入札案件獲得がありましたが、北米でのヘマトロジー分野の機器導入遅延などにより減収となりました。試薬はコロナウイルスの影響によりヘマトロジー分野において減収となりました。

地域別の現地通貨ベースでの売上伸長率ですが、米国が11.7パーセントの減、カナダが27.9パーセントの減、中南米が3.8パーセントの増です。尚、米国において研究用のFCM測定装置「XF-1600」の販売を開始しました。

EMEA(地域別)

9ページをご覧ください。EMEAです。売上高は182億1,000万円で、伸長率が5.1パーセントの減、現地通貨ベースでは1.1パーセントの減となりました。

ヘマトロジー分野の機器売上や凝固分野の直販地域における機器試薬売上が好調に推移しましたが、コロナウイルスの影響を受け、ヘマトロジー分野、尿分野の試薬売上が減少し、減収となりました。

機器はドイツにおける大手検査センター向けヘマトロジー機器案件や、サウジアラビアにおけるヘマトロジー機器入札案件により、増収となりました。試薬はコロナウイルスの影響により、ヘマトロジー分野、尿分野の試薬売上が減少し、減収となりました。

地域別の現地通貨ベースでの売上伸長率ですが、主要5ヶ国は5.1パーセントの減、その他欧州は4.6パーセントの減、中東は33.7パーセントの増、東ロシアは0.7パーセントの減、アフリカは1.8パーセントの増となりました。尚、欧州最大規模の検査センターとヘマトロジー分野において独占契約を締結しました。

中国(地域別)

10ページをご覧ください。中国です。売上高は138億4,000万円で、伸長率は21.7パーセントの減、現地通貨ベースで17.1パーセントの減となりました。尿分野や免疫分野の機器売上は増収となりましたが、ヘマトロジー分野を中心に試薬売上が減少し、減収となりました。

機器は尿分野と免疫分野が好調に推移し、増収となりました。試薬は受診者数が回復傾向にありますが、前年の第4四半期に代理店がコロナウイルス流行に備え試薬を前倒しで購入していた影響を受けて減収となりました。

分野別の売上伸長率は、現地通貨ベースでヘマトロジー分野が35.1パーセントの減、尿分野が30.9パーセントの減、免疫分野が3.5パーセントの減、凝固分野が7.9パーセントの増となりました。

中国での現地生産を予定している「XN」の薬事承認が取得でき、下期より販売を開始する予定です。また、「OSNA」による乳がんのリンパ節転移検査システムの販売を開始しました。

AP(地域別)

11ページをご覧ください。AP(アジアパシフィック)です。売上高は50億9,000万円で、伸長率が10.8パーセントの減となりました。コロナウイルス感染拡大に備え、代理店による機器の購入が増加しましたが、試薬の売上が減少し減収となりました。

機器はタイやバングラデシュなどにおいて代理店が安全在庫を確保したことにより、ヘマトロジー分野を中心に増収となりました。試薬はコロナウイルスの影響によりヘマトロジー分野や尿分野において減収となりました。

地域別の現地通貨ベースの売上伸長率ですが、東南アジアは1.6パーセントの減、南アジアは24.6パーセントの減、オセアニアは29.3パーセントの減、東アジアは10.7パーセントの減となりました。

尚、韓国、台湾において凝固分野の新製品「CN-3000」「CN-6000」の販売を開始しました。また、2019年に大流行したデング熱ですが、インドネシアやシンガポールなどの一部の国で再流行の兆しが出てきています。

日本(地域別)

12ページをご覧ください。日本です。売上高が93億8,000万円で、伸長率が7.5パーセントの減です。前年同期に大型案件があったことやコロナウイルスの影響により機器及び試薬売上が減少し、減収となりました。機器は前年同期の大型案件の影響に加え、緊急事態宣言の影響による機器の導入遅延などにより減収となりました。

試薬はヘマトロジー分野の精度管理用試薬や凝固分野の「D-Dimer」を中心に堅調に推移しましたが、コロナウイルスの影響により免疫分野、尿分野の需要が減少し、減収となりました。

サービス・その他は、前年6月に開始したNCCオンコパネルシステムの受託件数増加などにより増収となりました。尚、好調に推移している凝固分野の機器「CN-6000」「CN-3000」に凝固分子マーカー測定機能を加えた新製品「CN-6500」「CN-3500」を8月より販売開始します。

売上の見通し(単四半期、現地通貨ベース)

通期の業績予想についてはコロナウイルス感染が拡大しており、現時点で合理的な業績予想、算出が困難であるということで未定とします。市場の需要動向に与える影響を精査し、今後、業績予想の算定が可能となった時点ですみやかに公表します。

14ページをご覧ください。売上見通しについては、第2四半期、第3四半期で、地域別に単四半期ごとに現地通貨ベースで対前年同期比を参考に表示しています。

第1四半期実績は各地域で機器売上が想定よりも堅調に推移し、5月時点の想定に対して現地通貨ベースでは上振れのマイナス8.3パーセント、円ベースでは円高になったことによりマイナス11.7パーセントとなりました。

第2四半期予想はコロナウイルスの影響の長期化が想定され、5月の時点の想定より下振れのマイナス5パーセントから10パーセントを予想しています。尚、為替の予測レートはスライドの下部に記載しています。

第3四半期予想は新興国や途上国では回復に時間を要するも、先進国や中国を中心に回復傾向となり、プラス5パーセントの増収と予測しています。

ヘマトロジーテスト数の推計

15ページをご覧ください。各地域のヘマトロジーテスト数の推移です。地域ごとに違いはありますが、主に先進国を中心に大規模病院、検査センターにおけるテスト数のトレンドを表示しています。すべての地域や資料のデータではありませんが、参考として掲載しています。

検査数のボトムですが、中国はほぼ2月、米州、EMEAは2月はじめ、日本は5月はじめ、オセアニアを中心としたAPは3月末から4月はじめくらいで、そちらをボトムにその後は緩やかに回復していることが見られると思います。

現時点で前年並みあるいは前年を上回っているのは中国、日本で、やや下回っているのは米州、EMEA、APのオセアニアです。

新興国や途上国については接続数が少ないため、十分に反映されたものにはなっていないと思っています。尚、このテストデータ数は当社の売上とダイレクトに紐づくものではないため、そのあたりはご注意をお願いしたいと思います。

予想配当額

予想配当額ですが、当社は継続的な安定配当に留意すると共に、業績に裏付けられた成果の配分を行なうことが基本方針です。業績予想を開示することが現時点で困難ですが、今期の業績は外部要因であるコロナウイルス感染拡大の影響によるものであり、業績は下期から来期にかけて確実に回復していくと見込んでいます。

このため、今期の配当は前年同額の中間36円、期末36円、年間72円の配当案としています。以上で説明を終わりますが、18ページ、19ページにコロナウイルス関係製品の取り組みを記載していますので、参考としてご覧いただけたらと思います。以上です。