問題意識
福留大士氏:それでは株式会社チェンジ、2020年9月上半期の決算説明を行ないたいと思います。今回は新型コロナウイルスの影響で動画配信になるかと思いますが、決算説明資料をもとに説明したいと思います。
当社のミッションは、「Change People, Change Business, Change Japan. 」ということで、人を変え、ビジネスを変え、日本を変えることです。
ビジョン
着眼点としては人口減少が挙げられます。とくに今後、労働人口の減少が日本を襲ってくるため、労働人口の減少に対応したかたちで生産性を「CHANGE」し、人材の育成と技術の活用や新しいテクノロジーの活用によって、より少人数で、より多くの仕事を生産性を上げて行ない、日本の社会をサステナブルするのが、我々の仕事です。
新型コロナウイルス感染拡大の中でも、やはり、人の働き方や、技術の活用が非常に注目されており、これまで以上に生産性を上げていくような社業の発展に取り組んでいきたいと思っています。
上期 業績概況(連結)
まずは上期の概況ですが、第1四半期が非常に好調でしたので、上期の通算では通期の目標をだいたい倍程度上回るというかたちで利益水準を達成しています。第2四半期については、1、2月非常に好調な滑り出しだったのですが、とくに3月の新型コロナウイルスの影響で減速しており、いったん情報修正しています。また、のちほど、詳しくご説明しますが、現時点では上期の実績である売上61億8,500万円、営業利益で26億1,000万円の水準です。EBITDAに関しては、29億3,500万円ということで、30億円に迫る勢いです。
業績概況 補足 ~NEW-ITトランスフォーメーション事業~
業績の概況に対する細かい補足をしたいと思います。第2四半期の案件は新型コロナウイルスによる混乱の中で非常にインパクトを受けています。上のほうのDX投資案件をご覧ください。この3月末に納品を予定していた一部の案件で延期が発生しています。また、通常であれば、第2四半期に受注して短期で納品するという、いわゆる大企業による予算消化案件が発生していたのですが、そのようなものがほぼ延期・中止となりました。
このようなところでかなりマイナスのインパクトがありましたが、第3四半期以降4月から一気に立て直しを図りまして、主にリモートワークの体勢を整備するところが好調な引き合いをいただいています。このようなかたちでマイナスの影響を最小限にしながら、なんとかプラスにもっていこうとしているところです。
DX投資に関しては、やはり「不要ではないが緊急性が低い案件」と企業の中では捉えられており、どうしてもあと回しになってきた部分だと思います。新型コロナウイルスの影響によって「DXは必須だな」と重要性の認識が高まってきていますが、「じゃあ、いまやるか」と言われると「もう少し先にしていこう」という意思決定をしている会社が大半です。
もう1つが、今期我々がデジタル人材育成にかなり注力をしていましたが、こちらが2月の下旬から3月の開催に関しては、ほとんどのトレーニングが延期・中止となりました。やはり、集合研修は「三密」の典型ですが、我々にとってはお客さまとの距離を縮めるためには非常にメリットが大きく、人材育成を経て、DX組織を立ち上げ、実際のDXのプロジェクトを展開し進んでいくため、「急がば回れ」ということで、いきなりITの投資案件に入っていくのではなく、まずはじっくり人材の育成を行なってからDXのプロジェクトを推進していきましょうという格好で進めていたわけです。それが人の密集する空間はなくしていこうという基本方針でなくなりました。
我々はIT企業ですので、3月の末から4月の頭にかけて、これまでオフラインで行なっていた集合研修をすべてオンラインに対応し、延べ数で言うと約2万人の方にこのオンラインのトレーニングを提供したかたちになっています。
この新入社員以外の人材育成施策に関して、オンライン化の引き合いもいただいていますので、ここについては3月にかなり厳しいマイナスのインパクトがありましたが、4月以降は完全に立て直しが完了している状態です。
業績概況 補足 ~パブリテック事業~
もう1つはパブリテック事業で、今回、新型コロナウイルスへの対応にふるさと納税の仕組みを使い、例えば、3月の上旬から学校が休校になりましたが、その休校に伴って使われなかった数百人分の牛乳や食材をふるさと納税の返礼品に乗せて寄付を集めるということであったり、医療従事者に対する支援をこのふるさと納税のスキームを使って行なったりしています。これらは経済に対するインパクトも、その地域を持続可能なものにしていく観点でも非常に大きいわけですが、我々もできることをやろうではないかということでしっかりガバメントクラウドファンディングと言われる自治体の課題解決のためのクラウドファンディングを企画したり、あるいは影響を受けている企業……例えば観光や外食など、一気に需要が縮んでしまった業界の支援を行なっています。
このようなときこそお互いに思いやりの心を持って支え合うことが重要かと思うのですが、例えば、子ども食堂などが閉鎖になりますと、貧困家庭の子どもの栄養が非常に心配になってくるわけです。そのようなところをサポートするなどの活動も行なっています。
いままではふるさと納税と言うと、「地域の地域の特産品がもらえてお得」というイメージがあったかと思うのですが、地域の特産品をいただくことで、その地域をより深く知るのはもちろんのこと、お互いに困ったときに支え合う新しい寄付をこのふるさと納税を通じて浸透させていくことができているのかと思います。
第2四半期 主なトピック ~在宅勤務立ち上げ支援~
第2四半期の主なトピックとして、大企業においては、とくに在宅勤務やテレワークの準備ができていなかった部分があり、そのような実態を受けて急遽、大企業向けのテレワーク支援パッケージを立ち上げて展開しました。
大きく言うと、この助成金の申請からルールの策定……とくにルールの策定で、就業規則の見直しなどをしないと、なかなかテレワークは難しいところがあります。そのため、早急にルールを見直し、一部休業に追い込まれるようなところ、需要が九十何%減という業種・業態などに関しては助成金の申請などもサポートしています。
プラス、IT・インフラを刷新・最新化するということで、チャットツールやクラウドベースのストレージ、あるいはWeb会議、オンライン会議といったような、いわゆるこれまでのIT・インフラを刷新・最新化するような取り組みがかなり大きく動いています。
最後に我々の事業の特徴としては、「ニューノーマル」と言われる新しい働き方になかなか人材が対応できないところをきっちりサポートし、人材の育成まで含めてツールを習熟したり、ツールに対する習熟度を高めたりといった部分で、新しい働き方をどうやってリモートでマネジメントをしていくかが挙げられます。
第2四半期 主なトピック ~集合研修のオンライン移行支援~
そのようなことも含めて人材の育成に取り組んでいるところで、それに加えて4月の新入社員向けにさまざまなトレーニングサービスを提供したわけですが、のべで言うと約1万8,000人のオンライン研修を提供したため、この累積を体系化し教育事業者向けにどうやって集合研修をオンライン化していくかというサービスです。
あと企業のとくに人事部の企業の人材育成の担当者向けにいわゆる集合研修でやってきたものをどうやってオンライン化するかというその両面に挑戦していくことでうまく構造転換を促しています。この企業研修の市場規模は5,000億円あり、そのうちの60パーセント、3,000億円がいわゆる集合研修で、人が集まってクラスルームでトレーニングをする形式です。
これはやはり新しい働き方ということで、トレーニングのやり方を根本的に見直さないといけないという事態になっています。そちらをしっかり我々が支え、頑張ってマーケットをリードしていきたいと思っています。
第2四半期 主なトピック ~コロナ禍の自治体支援寄附隆盛~
子会社のトラストバンクにおける新型コロナウイルスに対する自治体の支援寄付ですが、とくに北海道の医療関係者向けの支援と、各自治体の医療関係者を支援するところをしっかりサポートしており、寄付を伸ばしているところです。こちらは手数料自体はいただかずに、あくまでも社会に対する貢献として行なっているプロジェクトになります。
当然、ニュースを見た方々が、寄付と同時に返礼品を選んでふるさと納税をすることもありますので、当然、ビジネスに対するプラスのインパクトがあります。そちらがトラストバンクを子会社化した一番の狙いです。
現在、日本全国都道府県を合わせて1,788の自治体がある中で1,560の自治体が登録しており、80パーセントを優位に超えて、そろそろ90パーセントに達しようかという、トラストバンクの顧客基盤に対して親会社である当社が持っているITソリューションをどんどん展開していくのが大きな狙いだったわけです。
第2四半期 主なトピック ~自治体業務を支えるLoGoシリーズ~
自治体向けのICTソリューションという観点で、まずは第1弾で去年の秋にロボチャットという自治体向けに特化したチャットツールを展開しました。こちらは自治体の業務の中で、迅速に情報共有したり、スピーディーに意思決定や判断を行わないとならないという局面で重要なインフラとしての活用が進んでいる状態です。
4月の末時点で、261自治体、15万ライセンス弱まで伸びています。自治体のなかでのコミュニケーション、自治体と自治体の間のコミュニケーション、あるいは都道府県と市町村とのコミュニケーションを極めて効率化しています。例えば、埼玉県の深谷市で実際に効果測定をしたのですが、1時間で1職員あたり44時間の時間の削減効果があるので、人件費換算で2億円程度のコスト削減につながるため非常にROYの高いIT投資になっています。
このように自治体の業務を支えるITのソリューションをどんどん展開していくと、いまも10万円の給付申請で、なかなかオンライン化のサービスが国民から指示されないといったような状態がありますが、このような自体を我々は変えていきたいと思っています。やはり公共向けのITサービスというのはもっと利便性を高めていく必要があり、もっとコストを安くしていかないとならないというのが我々の問題意識です。
この安い・うまい・早いというこのITサービスをしっかり自治体向けに展開していくところをいま徹底して行なっています。ロゴシリーズのロゴチャットの次に来るのがロゴフォームでして、まさに先ほどの給付金の申請なども含め、いままで自治体が紙でやっていた、あるいは郵送で行なっていた事務処理をすべてデジタル化するのがLoGoフォームです。このようなフォームの普及をしっかり第二弾として行なっていくところです。
第2四半期 主なトピック ~株式会社Orbに出資~
Orbはブロックチェーンに関連する分散型台帳技術という技術を持っているフィンテックの会社ですが、この会社をその傘下に収め地域通貨をしっかり展開していこうと思っています。地域通貨を何のために展開していくかと言いますと、地域の中でお金がグルグル回っていくという地域経済循環をサポートをしていくのが1つの狙いです。
これは新型コロナウイルス下での経済対策でも使われており、例えば、今週ちょうどリリースされましたが、西伊豆町で町民全員に地域の商店街で使える地域通貨を1万円ポイント配り、町民はそれを使って地元で消費するというスピーディーな経済対策にも使えるというものがあります。
我々の狙いは行財政開拓でして、そのお金の代替というよりもその地域の自治体と住民のエンゲージメントを高めていくツールとして使っていきたいということです。どういうことかと言うと、例えば、埼玉県全体のジェネリック薬品の利用率は、目標も需要もだいたい80パーセントなのですが、埼玉県深谷市のジェネリックの利用率は75パーセントなのです。
つまり、この75パーセントから80パーセントに、その埼玉県の平均までジェネリックの利用率を引き上げると自治体の財政に対するインパクトは3,000万円になります。つまり、5パーセント引き上げると3,000万円の財源が浮くということです。ということは、3,000万円の20パーセントの600万円を地域のポイントにしてジェネリックを使ってくれた方々に還元しても、市の手残りは2,400万円、住民には600万円ということになるわけです。
新型コロナウイルスの影響もあるため、住民と自治体の関係を良くすることで政府観光庁は経済を支えていかなければいけないわけですが、ある程度落ち着いて来たら、今度は財政がかなり悪化しており財政をちゃんと立て直すためのソリューションが求められると思っていますが、そのようなものは世の中にあまりないのです。
ですので、我々はITあるいは金融の技術を使って、地域の財政を立て直すためのソリューションをしっかり展開していきたいということで、ブロックチェーンの会社とトラストバンクを傘下に収めています。その他トピックについては、資料をご覧いただければと思います。
“withコロナ”の基本的な考え方
今後の展望ですが、まずはこのwithコロナの基本的な考え方で、また緊急事態宣言が今後解除される、されないといったような議論ですとか、どれだけ我々集団免疫を獲得できるかという議論がありますが、長期戦の構えで行なっていく必要があると思っています。数ヶ月単位で終息する前提には立たないということで、やはり海外の動向を見ても、第二波、第三波が見込まれていますし、例えば、6月から元に戻るかと言うと、やはり下のほうにも書いてあるとおり、不可逆的な構造転換を余儀なくされると思います。一定期間後も「新型コロナウイルス以前」と同じ姿には戻らず、このオンライン説明会もこれまでは会場で皆さまと「face to face」で質問を受け付けながら行なっていたわけですが、おそらく、簡単にはもとには戻らないと考えています。とにかく、新型コロナウイルスを含めた感染症と同居した生活や働き方に我々が適応していくことと、従来と異なる新しい行動様式、産業構造などに我々社会全体をアップデートしていく必要があると考えています。
基本方針 ~グループ経営全体~
3月の中旬から、経営のアジェンダを新型コロナウイルスの影響が長期化したときに我々がどういうふうに備えていくかと議論を重ねまして、全体方針としてはこの3つで固まりました。まずは、財務の安全性を最重視し、とにかく景気の急減速のシナリオをちゃんと想定したうえであくまでも「Cash is King」ということで、しっかり流動性を確保していくことです。
万が一、売上がゼロになる可能性は、ほぼないと言いますか、半分ぐらいは、少なくともストックで見込まれる収入ですので、ゼロになることはあまりないですが、それでも9ヶ月は持続可能です。それで、仮に売上が半減した場合、半分になった場合、それでも27ヶ月もちますということで、万が一のその需要の急減シナリオでも十分に軌道修正ができる状態をもって財務の安全性を担保していくところです。
もう1つが、リモートでのサービス提供体制で、こちら政府の緊急事態宣言が発出される前の3月下旬から完全リモートでのサービス提供体制に移行しており、我々のサービス提供に問題がないと品質を維持できることを証明し、そちらをちゃんとお客さまに対して展開していくことを確立しています。
この2点目がリモートでのサービス提供体制への確立です。もうこちらもできています。3点目は、これはまだ着手の途中ですが、顧客ポートフォリオの見直しと顧客の再配置を行なうということで、とくに今のような環境の中で、小売りや運輸、あるいはグローバル製造業、にはかなり投資を減らすかペンディングしています。
今期の業績予想が立たない大企業のお客さまは非常に多いですが、そのような会社は基本的に新しい投資を控えており、このような中でもある程度投資体力を見込める官公庁、金融、SI、システムインテグレータといったようなところがターゲットになっています。
基本方針 ~各事業~
この全体方針を受けたうえで各事業の方向性として、NEW-IT トランスフォーメーションを顧客の事業を存続・刷新させていくことになるため、まずお客さまのリモートワークを実現したり、研修のオンライン化で、しっかりデジタルトランスフォーメーションを実戦するという意味で、アナログを単にデジタルに置き換えていくというだけでなく、しっかり付加価値をあげていく、あるいはいままで2人でやっていた仕事を1人でできるようにするといったようなことをサポートしていきたいところです。
パブリテックに関しては、しっかり最前線の自治体の活動を支えましょうと、とくに生産性向上を、切迫した状況の中で実現していきたいと思っています。
例えば、10万円の給付金を含め、行政が市民を守るために行なっているさまざまな手続きや行政サービスは、どうしてもまだまだ効率がよくないということがありまして、この効率の悪さをしっかり解決していくソリューションを我々がどんどん展開し、最近は中央省庁向けのプロジェクトを減らしていたのですが、中央省庁のプロジェクトをまたチェンジで獲得し、そして中央省庁向けで、例えば、商務省でAIのプロジェクトをとったら、そのできた成果というものをトラストバンクが各自治体に展開し、地方に展開する連携をしていきたいと思っています。
投資は固い案件に絞り込みたいと思っています。このような状況ですので、もともとは今期もかなり大型のM&Aを含めて事業を飛躍的に成長をさせるような投資を加速させていこうと思っていたのですが、やはりいまは守るべき局面かなということで、まずは本業の成長でその増収・増益をしっかり達成していくことに焦点をあてています。
2020.9期 業績見通し修正の考え方
業績見通しの修正の考え方ですが、まずはこの先般上方修正させていただいたものは、上期の実績をそのまま採用し、この修正目標とさせていただいています。あとは4月に入ってかなりこの3月の不調から一気にこの4月にV字回復をさせていますので、4月単月で言うと、売上・営業利益ともに、売上が9億円、営業利益が2億5,600万円とじゅうぶんな伸びを達成している状況です。
2020.9期 修正目標
上方修正後の目標値でいきますと、売上105億円、営業利益26億1,900万円という水準になっています。この数字を踏まえると、この2020年の修正目標がかなり2021年の目標の前倒しに近づいてきていると思います。もともとは13億円で出発した今期、2020年の9月期ですが、いったん26億円のところまで上方修正をさせていただいて、もちろんさらに上を目指していくと中計の前倒しを狙うという格好で考えています。
新型コロナウイルス下ではございますが、できるだけ前倒しでこの中計を進捗させたいなと考えていますので、引き続きよろしくお願いします。
私からの説明は以上となります。どうもありがとうございました。