業績推移

西川圭介氏:アズワン株式会社コーポレート本部長の西川でございます。これよりアズワン株式会社2020年3月期決算説明を行ないます。まず、新型コロナウイルス感染防止対策のため、今回は動画配信での決算説明となりますこと、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

冒頭に、当社の決算説明を初めてご覧いただく方のために、当社の業績の推移と特徴について簡単にご説明します。このグラフは、2008年3月期から2020年3月期までの13年間の業績の推移をお示ししたグラフです。棒グラフの青のバーが売上高、緑が営業利益、赤が当期純利益を示しています。当社の特徴は、着実に収益を上げ、安定的に成長していることです。ご覧のように、リーマンショックのときでも大幅な下落はなく、売上、利益ともに安定的に成長を続けてきています。とくに、2016年3月期からの中期経営計画「Project–NANA–」の実行期間においては、成長を再加速することができました。

収益率推移

次のグラフも端的に当社の特徴を表したものとしてご紹介したいと思います。赤の折れ線が売上高総利益率、緑が販管費率、青が営業利益率を示しています。売上高総利益率が3割、販管費率が2割、営業利益率が1割で推移しています。ブレが少なく、商社にも関わらず安定した高収益性が当社の特徴です。

20/3期 業績概要

今回の決算説明では、2020年3月期の決算概要、2021年3月期の通期業績の予想について私からご説明します。次に、2021年3月期からスタートする新しい中期経営計画について、当社代表取締役社長の井内がご説明します。

まず2020年3月期の決算概要です。2020年3月期の売上高は703億8,000万円で前年同期比5.5パーセント増、営業利益は85億5,000万円で前年同期比13.1パーセント増、当期純利益は59億6,000万円で前年同期比13.3パーセント増となりました。売上高は9年連続、営業利益は4年連続、当期純利益は8年連続で過去最高の業績となりました。

研究産業機器部門科学機器(ラボラトリー)売上

事業部門別の売上高です。まず、研究産業機器部門の科学機器(ラボラトリー)分野についてご説明します。売上高は410億7,000万円、前年同期比5.5パーセント増となりました。大手企業向けの集中購買やインターネット通販会社向けの売上、実験室備品、保護用ウェア類が伸長しました。上期は消費税増税の駆け込み、下期は第4四半期に防護関連用品が伸長しました。

研究産業機器部門産業機器(インダストリー)売上

産業機器(インダストリー)分野です。売上高は151億1,000万円で前年同期比2.6パーセント増となりました。インターネット通販会社向けの売上や、実験室用品、MROサプライ、防護関連用品が伸長しました。

病院・介護部門(メディカル)売上

続いて、病院・介護(メディカル)分野です。売上高は137億7,000万円で前年同期比8.8パーセント増となりました。消耗品、ウェア類が伸長し、とくに第4四半期は新型コロナウイルス感染対策用品が伸長しました。またその他部門として、100パーセント関連会社のトライアンフ21の購買代行サービスのシステム利用料売上が4億2,000万円、前年同期比1パーセント減となりました。

中計3施策の実績

続いて、2016年3月期から5年間の計画で策定しました中期経営計画「Project–NANA–」の主要施策の実績についてご説明します。「Project–NANA–」の主要施策は、eコマース、海外、新規商材の3つです。本プロジェクトの最終年度にあたり、eコマースは大手企業向け集中購買とインターネット通販向けを合わせ、売上高133億円、前年同期比23.4パーセント増となりました。

中国を含めた海外は、とくに中国で米中貿易摩擦による経済の低迷が影響し、売上高37億円、前年同期比6.7パーセント減となりました。新規商材は、新規物販商材、特注、校正、レンタルなどのサービス商材が伸長し、売上高は40億円、前年同期比32.8パーセント増となりました。主要3施策の合計は、売上高210億円、前年同期比18.3パーセント増となり、売上構成比で3割にまで成長しました。

営業利益増減理由(粗利)

売上総利益は219億4,000万円、前年同期比6.5パーセント増となりました。eコマースや品揃え拡充による増収効果、PB輸入品の粗利率改善効果により、粗利率は31.2パーセントとなり、前期比0.3ポイントアップしました。

営業利益増減理由(販管費)

販管費は133億9,000万円で、前年同期比2.6パーセント増となりました。運賃・倉庫作業料は、売上の増加と単価値上げの影響で、前年から約3億5,000万円の増加となりました。カタログ費1億2,000万円の抑制やその他経費運用の抑制により、ほぼ計画どおりの水準となりました。

20/3期 損益計算書

結果として計画は未達ではありますが、売上、利益全項目において過去最高の業績となりました。

21/3期通期業績見通し

続いて、2021年3月期の通期業績の予想をご説明します。2021年3月期通期業績は、売上高が725億円で前年同期比3パーセント増、営業利益が63億4,000万円で前年同期比25.9パーセント減、当期純利益が45億円で前年同期比24.6パーセント減と計画しています。見通しの前提条件として、売上高に関しては新型コロナウイルスによる上期中の経済活動の停滞を見込んでいます。また、本年5月より稼働の新物流拠点「Smart DC」の初年度コスト負担を踏まえ、減益の計画としています。

分野別通期売上見通し

事業分野別の見通しです。ラボラトリー部門は売上高421億2,000万円で前年同期比2.6パーセント増、インダストリー部門は153億6,000万円で前年同期比1.6パーセント増、メディカル部門は146億1,000万円で前年同期比6.1パーセント増をそれぞれ見込んでいます。また、物販を除くトライアンフ21の手数料売上のその他部門は4億円、前年同期比5パーセント減を計画しています。

粗利見通し

売上総利益は226億2,000万円で前年同期比3.1パーセント増の計画です。新型コロナウイルス対策用品の需要の高まりを受け、需給のバランスにより、上期においては前年よりも高い粗利率を見込み、下期に関しては前年需給バランスの反動減を見込んでいます。通期においては、前年同程度という粗利率を見込んでいます。

販管費見通し

販管費は162億8,000万円、前年同期比21.5パーセント増の計画です。「Smart DC」の稼働により、不動産賃借料、マテハン等の減価償却費、備品消耗品費、移転などの一時費用を足した、初年度約17億円のコスト負担となります。また、運賃・倉庫作業料に関しても、値上げの影響で上昇継続を見込んでいます。

21/3期予想損益計算書

2021年3月期においては、売上高は過去最高を見込むものの、一時的に減益の見込みです。主要なコストの「Smart DC」の稼働費用については、当社の成長のために必須の投資であり、自動化された効率的な物流オペレーションにより、当社の今後の収益性にも寄与するものと見込んでいます。今期に関しては、次期以降の収益成長の準備期間との位置づけと考えています。

配当予想

配当予想は1株あたり121円、前年比39円減としています。配当性向は50パーセントを継続し、配当予想として数年後には過去最高水準の更新を見込んでいます。

投資推移

投資計画については、「Smart DC」の立ち上げに引き続き、今後もIT物流投資を継続していきます。

償却費推移

償却費は、これまで年間約10億円前後で推移してきましたが、2021年3月期より「Smart DC」の償却費が定率法により加算されます。これにより、2021年3月期は減価償却費、ソフトウェア償却費、のれん償却費の合計17億5,400万円を計画しています。

次に、当社代表取締役社長の井内より、2021年3月期よりスタートする中期経営計画「PROJECT ONE」についてご説明します。

1–①.前中計–NANA–(15/3期~20/3期)では成長の再加速軌道に乗った

井内卓嗣氏:社長の井内でございます。今回は、新しい中期経営計画の発表のタイミングでもあり、本来であればお目にかかってご説明をしたいところではありますが、Webでの配信となりますことをご容赦いただきたいと思います。私からは、中期経営計画の振り返りと5年先を見据えた新中期経営計画について、会社の未来や方向性を含めて約20分ほどお話をします。

まず当社の売上の推移です。創業以来、前年の売上を割ったのはITバブルとリーマンショックの2回だけです。研究、医療の分野が主体ということもあり、着実に成長を積み上げていきました。

今期、歴史に残る世界的な不況を覚悟しなくてはいけませんが、当社の特色として、世の中の景気がグンとよくなってもさほど成長しませんが、世の中の景気が悪くなってもさほど落ち込まない傾向があります。過去、前年を割り込んだときも1桁減でした。ちなみに、今年度スタートの4月は、前年よりも売上アップでスタートしており、引き続き感染対策品、ネット通販が好調となっています。

1–②.前中期経営計画–NANA–の振り返り

前中計の振り返りです。目標は3つありました。成長への再加速として売上高を520億円から700億円へ、高収益性の追求として営業利益率を11.5パーセントから13パーセントへ、株主価値の最大化としてROE8.8パーセントから11パーセントへ、それぞれ引き上げることを目標としてきました。結果については、ご覧のようにおおむね2勝1敗と認識しています。

なお、余談ではございますが、未達の営業利益は社会の想定を大きく上回って高騰した物流費、作業費に大きく起因しており、想定内であれば達成ができたと認識しています。

1–③.前中期経営計画–NANA–の振り返り

主要な指標です。過去5年間の平均成長率は6.2パーセントで、営業利益率は1.4倍、EPSは1.5倍となっています。中期経営計画で掲げた、売上・利益の再加速が実現できていることをご覧いただければと思います。

2.経営理念・経営ビジョン

5年先、10年先の未来に向けて、当社の目指すべき姿です。まず、不易流行の格言がごとく根底が変わらないのは、経営理念「革新と創造」です。経営ビジョンは、「科学」・「医療」を軸とした専門領域において、必要な商品・サービス・情報をワンストップで提供し、社会の課題解決に貢献することです。新しい中期経営計画では、「連続的進化への挑戦」を掲げ、「PROJECT ONE」と命名し、スタートを切っています。「ONE」のそれぞれの頭文字には、「Opportunity of Next Evolution」と1,000億円を目指すことの2つの意味を込めています。

今中計の発表を控えた中で、思いがけないコロナ危機の発生により、社内では目標を引き下げるべきという声もありましたが、その渦中で私の目に留まったのは、経済学者ジャック・アタリの「コロナ危機が示したことは、命を守る分野の経済的な価値の高さだ」という言葉です。命を守る分野とは、健康、食品、衛生、デジタル、物流、教育、文化、そして研究とありました。これらのキーワードに対して、当社はほとんど関連しており、当社の存在意義や社会への使命、責任を担っていることをあらためて認識しました。

こうした背景もあり、今回の中計では「連続的進化への挑戦」をキーワードに、長く変わることのなかった慣習を社内外でリセットし、目標は当初のまま、未来に向かってなりたい姿に挑戦しようというかたちになりました。

3–1–①.研究者のルーティンワークとアズワンの関係

研究者を取り巻く環境です。社会の課題を解決するために、研究者の知力、想像力、実験は欠かせません。しかしながら、研究者が本分である研究に割ける時間は3分の1から4分の1とも言われています。貴重な時間を事務や付帯業務に費やしているのが現状です。今後、当社はそうした面倒な雑務を請け負い、研究者や医療従事者の方々が本業に専念できる環境を実現させたいと思っています。

3–1–②.アズワン・プラットフォーム

アズワンはこれまで、モノを販売する物販で成長を遂げてきました。前回の中計において、サービス部門へもビジネス領域を拡張していきましたが、まだ序章に過ぎません。本当の意味での「ヒト・モノ・カネ・サービス」を網羅するプラットフォームに進化させていきたいと思っており、実現に向けて社外とのアライアンスに積極的に取り組んでいきます。

3–2.新中期経営計画の目標

新中計「PROJECT ONE」で掲げる、5年後の目標値です。成長のシフトアップとして売上高を703億円から1,000億円へ、収益性の向上として営業利益率を12.1パーセントから12.5パーセントへ、企業価値の向上としてROEを10.9パーセントから12パーセントへ、それぞれ目指しています。

3–3–①.「アズワン・プラットフォーム」の強化に向けた主要施策

事業戦略の主要な施策は4つです。まだまだ伸びしろのあるeコマースや品揃えは、拡充しながら業界のデータベースに育てていきます。また、ユーザーの困りごとを解決するサービスメニューの拡充し、新たな「Smart DC」を核に業界に効率的な物流をもたらしていきます。

eコマースの強化①

では、それぞれの施策についてご説明します。まずeコマースです。当社のeコマースは3本の柱で構成されており、大企業向けには集中購買システム「ocean」、中堅企業向けには、販売店の社名が付いたECサイトを当社が裏方で作成して提供している「Wave」、小企業向けには「AXEL Shop」がそれぞれラインナップされています。

当社の紙カタログでは約10万点の商品が掲載されていますが、この商品データベースには、カタログ40冊以上にも相当する420万点もの品揃えがあります。今後は、AIデータ解析も活用した効率的な販促、マーケティングにより、現在のeコマースの売上は133億円ですが、5年後には2倍の260億円を目指していきたいと思っています。

eコマースの強化②

ユーザーアカウント数についても、今後5年でおおむね倍増させたいという計画です。これまで、集中購買や通販サイトの増加要因は人手不足や利便性が主体でしたが、新型コロナウイルスの影響により、「人の接触や人手を減らしたい」「コストや間接業務を削減したい」という、さらなる要因が加わっています。これらを好機と捉え、新たなお客さまの開拓も加速させていきます。

品揃えの拡充①

品揃えの拡充です。取扱アイテム数は現在の420万アイテムから700万アイテムに引き上げる計画であり、ロングテール商品をさらに充実させ、研究者と企業のあらゆるニーズを充足させていきます。

4つの観点として、付加価値が高く低コストなオリジナル品の拡充、専門性の高い商材の拡充、海外ネットワークを活かしたグローバルな調達、集中購買の導入企業などから寄せられるリクエスト商材の増加を行ない、業界のデータベースを目指していきます。

品揃えの拡充②

メーカーへのeコマース参入支援についてお話をします。大手のネット通販企業の会社に商品の掲載をお願いするためには、さまざまな製品データの事前登録が必須となっています。一方、民生品の大きなマーケットとは違い、年間10個売れればよしという小規模で職人的なメーカーがたくさんあります。ものづくりには長けているが、ITは苦手で手が回らないというお声もよく聞かれます。

そこで、当社の「Smart DC」では、商品ごとの梱包サイズや重量、画像データ、自動倉庫に対応する各社の専用ラベルの貼付など、面倒な付帯作業を肩代わりします。これまでeコマースの販売に二の足を踏んでいたメーカーの商品登録や拡販もサポートしていきます。

サービスの拡充

サービスにおいては、モノを売るだけではまかないきれない研究者の困りごとを解決するメニューの多様化を図っていきます。研究者の困りごとは、主に時間がない、予算がない、もったいないの3つです。こうした課題に対し、これまでレンタル、校正、受託、特注等、人を介するアナログ的なサービスを増やしてきましたが、今後はITやデータ解析といった新たなIT系のサービスメニューも展開したいと考えています。

新規ビジネスの展開

新規ビジネス展開の一例として、これまで基盤としていた物販に加え、ユーザー企業の手間を省く手数料型のビジネスも展開が始まっています。一昨年グループ企業になりましたトライアンフ21では、「OffSide」という購買代行システムをリニューアルすることで、物品だけではなくサービスも含めてすべての間接購買が完結するシステムを提供し、システム利用料を頂戴しています。これにより、物販のように利益率に縛られることなくユーザーが必要とするあらゆる製品やサービスにアプローチが可能となり、さまざまなジャンルへの派生が期待されます。

物流機能の強化・活用①

物流機能の強化・活用です。新たな中計を飛躍に導く牽引役として、「Smart DC」を今月末から段階的に稼働します。延べ床面積は約5万平米以上で、広さに例えると東京ドーム7.2個分、テニスコート200面以上という広大なスペースとなっています。今までの物流センターとの比較では、約2倍の広さと出荷能力がある一方、最先端のマテハンやロボットの導入により、人員は半分でオペレーションできる見込みです。

建物は、1階と2階部分を当社専用設計において賃借となっていますが、使用するマテハンやロボットについては自社の資産であり、投資金額は約50億円です。今期大きく減益となるのは、このマテハンの定率償却が始まるためです。今回のコロナ対応という緊急下でも、国内外の調達ネットワークで豊富な在庫を医療現場にきっちりと届け、物流の総合力をご評価いただき、感謝の声もたくさんいただくことができました。今後、ますます物流の総合力を磨いていきます。

物流機能の強化・活用②1/2

今後、業界内における共同配送サービスを提唱していく所存です。錯綜する物流の現状、ネット通販に代表される小口化、多頻度化の傾向は業界においても同じ傾向となっています。また、ここ数年、路線便業者から年に複数回の値上げを要請をされ、受け入れざるを得ない状況です。運賃の高騰はメーカー、卸、販売店、ユーザーともに頭を抱えています。

物流機能の強化・活用②2/2

目指すシンプルな姿をスライドにお示ししました。当社のハブ機能と「Smart DC」の効率的なインフラを活用し、環境とコストの両面に配慮した効率的な物流網を業界に提唱していきます。すでに食品やビール、医薬品業界においては、競合同士であっても共同物流に踏み切っています。当社では、「Smart DC」の稼働により、路線便から自社配達便への比率を高め、運行数を増加させることを機会と捉え、集荷・出荷を組み合わせた方式などによって積載効率を上げ、コストを下げることで、受託も物流も1つの柱に育てていきたいと思っています。

アライアンスの展開

アライアンスの展開です。当社では、モノのハブ、情報のハブ、人と人をつなぐハブの3つのハブを提唱することで、「ヒト・モノ・カネ・サービス」の総合プラットフォームを目指しています。それらを実現する上で、さまざまな領域でのアライアンスを行なっています。

例えば、フィービジネスについて、先ほどトライアンフ21の「OffSide」を紹介しましたが、アズワン本体は収益性を重視しており、収益性の少ない商材は扱いません。グループ内に手数料ビジネスを持つことで、今まで扱うことのできなかった物品やサービスまで関わることが可能となります。

コミュニケーションビジネスでは、「direct」という業務用SNSをはじめとしたチャットボット等のコミュニケーションツールを提供するLisBに出資し、共同で研究者の集う情報コミュニティサイト作り等を検討しています。

IT・システムビジネスにおいては、HPCシステムズという上場企業に提携、出資しています。スーパーコンピュータを活用した計算化学とリアルな実験の融合により、研究に飛躍的な加速をもたらすことが期待されています。HPCシステムズからは、当社が持つ研究室へのネットワークの販売利用を期待されています。

ロボットビジネスにおいては、繰り返しの単純作業から若手の研究者を解放させるため、シンプルかつ安価な反復ロボットの普及を図っていきます。事業化支援ビジネスにおいては、線虫を使ったガンの1次スクリーニング技術を持つHIROTSUバイオサイエンスに出資し、安い検査がより精度高く提供できるよう機材や消耗品などを共同で開発しています。これらに共通する思いは、研究の成果を加速させ、社会に還元することです。

3–3–②.目指すべき方向

目指すべき方向性は、当社がハブとなり、リアルとバーチャルを融合させた世界です。デジタル一辺倒ではなく、人を介したアナログの世界にも活かしていきながら、研究者の困りごとである「予算がない」「時間がない」「もったいない」の3つの「ない」を解消し、成果を出すまでの時間短縮に貢献していくことです。

海外展開

海外展開です。現在、国内は13拠点です。海外は、中国に6拠点、米国に1拠点で、欧州は出資先を通じて展開しています。本年度に欧州への出店を予定していましたが、目下の状況でペンディングとなっています。状況を見極めながら再検討に入りたいと思っています。

チャネルの拡大

目下、世界の経済が停滞しており、先行きもきわめて不透明ではありますが、アズワン上海における中国ビジネスにおいては、新型コロナウイルス発生後に都市封鎖期間は売上が激減したものの、直近の月では新型コロナウイルス発生前の売上にまで急回復しています。今年度についても一定の成長を見込んでいます。

販売面においては、中国で昨年の25億円から5年後に41億円、東南アジアで倍増の20億円を目指しています。海外の調達面において、アメリカの調達は13億円を目指します。現地法人を活用した試薬やライフサイエンス機器の商圏を獲得するなどを見込んでいます。欧州では、出資先のLLGをベースに、欧州全体から調達額を8億円にまで引き上げる計画をしています。

3–3–③.売上高1,000億円へのロードマップ

以上、ご説明しました施策の組み合わせにより、5年後の1,000億円、年平均7.3パーセント成長に向けてチャレンジしていきます。

3–4.収益性の向上

収益向上の重点4項目は、利益率の高いプライベートブランド、自社輸入品、サービス売上の拡大や、電子受注比率の拡大による間接業務コストの削減、ITの活用による生産性の向上、「Smart DC」のロボット投資によるオペレーション作業効率のアップです。

3–5.経営基盤の強化

財務戦略において、今後見込んでいる余剰金融資産と営業キャッシュフロー350億円の配分計画です。IT・eコマース投資で150億円、M&Aに50億円、株主還元に150億円を計画しています。このように、株主還元もしっかりと継続をしながら経営基盤の強化も図っていきます。

3–6.計数目標

年度ごとの数値目標はご覧のとおりです。

連続的進化への挑戦

今後は想定外が常態化すると言われていますが、ダーウィンの進化論のごとく、環境に適応できた者だけが生き残ります。この厳しい言葉は歴史が示す事実だろうと思っています。このような激変の環境下でもしっかりと生き残っていけるよう、「連続的進化への挑戦」を掲げ、プラットフォームを継続的に進化させることで、1,000億円企業を目指していきます。どうか今後ともご指導ご鞭撻をお願いいたします。ありがとうございました。