2020年12月期第1四半期との比較について

山田大介氏:財務・経理担当の山田でございます。本日はよろしくお願いいたします。まずスライド4ページをご覧ください。

はじめに、決算期の変更についてご説明します。当社は2019年12月期より、当社および連結子会社の決算期を12月に統一しました。2019年12月期より決算期を3月31日から12月31日に変更したことに伴い、本説明資料において、2020年12月期第1四半期は、表左側の赤枠部分にありますように、前年同一期間と申し上げた時は2019年1月から3月を比較していますので、よろしくお願いいたします。

2020年12月期 第1四半期決算ハイライト

5ページは、2020年12月期第1四半期決算ハイライトです。第1四半期は、イクシスLNGプロジェクトが順調に稼働したことから、天然ガス生産量、販売量が増加するなどの増収増益効果はあったものの、Brent平均油価が51ドル弱と、前年同一期間の2019年1月期から3月期と比較して20.4パーセント程度下落したことの影響が大きく、結果として、前年同一期間との比較において、売上高は195億円減収の2,496億円、経常利益は265億円減益の1,077億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は157億円、31.9パーセント減益の335億円と、減収減益の決算となりました。

なお、第1四半期においては、有価証券減損以外の減損損失は計上していません。ただし、原油価格の大幅な下落等に伴い、現在グループ全体の資産の再評価を行なっています。

今後の原油価格見通しやプロジェクトの計画見直し等により、清算中のプロジェクトを中心とした一部の資産で減損損失等を計上する可能性があり、決算へ影響が生じる見込みとなった場合には、判明次第速やかに開示します。

貸借対照表ですが、イクシスLNGプロジェクトに対する投資も一巡したことから、大きな変動はありません。総資産は前期末比で1,272億円減少の4兆7,227億円、負債は688億円減少の1兆4,839億円、純資産は584億円減少の3兆2,387億円となりました。また、2020年12月期第1四半期のネット生産量は、前年同一期間と比較し、16.1パーセント増加の日量61.3万バレルとなり、イクシス、アブダビをはじめとする当社主要プロジェクトは順調に進捗しています。

2020年12月期第1四半期 純利益 増減要因分析

6ページで純利益の増減要因分析についてご説明します。前年同一期間との損益の比較について、ステップバイチャートにまとめました。売上高は、天然ガスの販売量増加も、原油価格下落にともなう販売単価の下落を支えきれず、195億円の減収となりました。売上原価はイクシス増収に伴い71億円増加し減益要因に、探鉱費、探鉱関係引当金は、44億円減少し増益要因になっています。販管費は横ばいであり、営業外損益は保有上場株式の減損等により、37億円悪化し減益要因となっています。

特別損失は、前年同一期間に計上した減損損失が剥落したことに伴い、55億円の増益要因に、法人税は減益により123億円減少し増益要因に、非支配株主損益は70億円の減益要因になり、結果として、第1四半期の親会社株主に帰属する純利益は335億円と、前年同一期間費で157億円の減益となりました。

2020年12月期 連結業績予想の修正

7ページをご覧ください。2020年12月期、連結業績予想の修正に関してご説明します。将来の油価動向が不透明な状況の中、業績予想の前提となる原油価格を、3月の油価平均実績を考慮し、前回予想時の60ドルから30ドルに引き下げ、結果として通期の平均油価を35ドル強としました。なお、為替水準については、110円と前回予想時のまま据え置いています。

原油価格条件の引き下げにより、通期業績予想の連結売上高は、前回発表予想1兆2,040億円から4,940億円、41パーセント減収の7,100億円に、連結経常利益は、前回発表予想5,360億円から3,730億円、69.6パーセント減益の1,630億円に、親会社株主に帰属する純利益は前回予想1,450億円から1,350億円、93.1パーセント減益の100億円に、それぞれ下方修正しました。

なお、現状では、将来油価を見極めることが極めて困難な状況にあるため、今次業績予想修正にも減損損失は織り込んでいません。また、イクシスLNGプロジェクトの利益貢献額は通期で120億円程度と見込まれており、前回予想の1,050億円から大幅に減少します。

親会社に帰属する当期純利益修正の減益幅1,350億円は、原油価格前提条件の変更による1,540億円強の減益と、探鉱費の減少等による130億円程度の増益と、プロジェクト関連の損益修正等による60億円程度の増益があり、この3つの要因に大まかに分解できます。

なお、全社的なコスト削減努力による操業費、探鉱投資の削減効果は、キャッシュベースでは300億円強を見込み、税引後の当期利益押し上げ効果としては200億円前半を見込んでいます。したがって、コスト削減努力がなければ赤字の決算になったところを、コスト削減努力により当期利益を押し上げ、100億円という修正予算を作ったものです。

また、後ほど社長よりご説明しますとおり、成長投資全体では820億円の削減を見込んでいますが、そのうち開発投資額は670億円の削減を見込み、足元のキャッシュ・フローの改善などを期待しています。私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

今回の油価下落局面における当社の基本対応方針

上田隆之氏:社長の上田でございます。本日はお忙しいところお集まりいただき、大変ありがとうございます。ご存知のとおり、今年の3月以降油価が下落しており、足元Brentで30ドル前後というかたちで推移しています。新型コロナウイルス感染症の流行に加え、この低油価という大変困難に直面しています。このような局面に対してどのように対応していくのか、当社の基本的な方針について私からご説明したいと思います。

9ページをご覧ください。当面の最大の目標は、需要の減少あるいは低油価のような市場の激変に対応し、低油価環境の下でも安定的に事業の継続を行なっていくことです。これが基本的な方針でもあります。

このために、まず1つ目は投資・コスト削減を行ないます。油価下落に対応するため、当社全体では期初の見通しから開発投資について20パーセント超、探鉱投資について40パーセント超の削減を図ります。2つ目に、十分な流動性確保と財務基盤の更なる強化を図っていきます。その上で、中期経営計画に掲げています安定的な配当という還元方針を踏まえて配当を実施していきたいと考えています。

また当社の使命として、新型コロナウイルス感染症への対応を十分に講じた上で、イクシス、アブダビ、国内といった当社の生産アセットにおける操業を継続し、エネルギーの安定供給も継続していきます。次のスライド以降で、各方針について詳しくご説明します。

①投資・コスト削減

10ページのスライドをご覧ください。まず、投資とコストの削減についてです。油価下落により売上収入の減少が避けられない中、投資並びにコストを削減することで、フリー・キャッシュ・フローの確保に努めていきます。

削減目標としては、2020年度において当社全体で、期初見通し比で開発投資を20パーセント超、探鉱投資を40パーセント超の削減をします。また操業費、あるいは各種の管理費についても効率化を進め、削減に努めます。これらは現時点での目標ですが、私どもとしては、この目標を超えて更なる削減を目指し、継続的に投資およびコスト削減に取り組んでいく所存です。

削減目標を織り込んだ今期の投資額見通しとしては、開発投資額等は期初見通しの2,680億円から2,010億円と、670億円、25パーセントの削減となります。探鉱投資は300億円から160億円へと、140億円、47パーセントの削減となります。その他投資は、30億円から20億円へと、10億円、33パーセントの削減となります。以上を合計しますと、成長投資全体で、3,010億円から2,190億円へと、820億円、27パーセントの削減となります。2020年のフリー・キャッシュ・フローはプラスということですが、これら投資のコスト削減は、このフリー・キャッシュ・フローの上積み要因となるわけです。

個別のプロジェクトにおける具体的な方策については、1つの例として、イクシスにおける計画の見直しによる投資の先送りや投資額の削減、操業作業の見直しやロジスティクス作業の効率化等により、投資とコストを削減していきます。

アブダビにおいては、掘削費用の削減や各種作業の中止・先送りを検討します。シェール事業であるイーグルフォードにおいては、すでに生産中の生産鉱区では、一部継続をしますが、生産・操業を縮減し、新規開発については予定作業の大半を先送りし、最低限必要な義務作業のみの実施に止め、シェール事業の特性である油価に応じた柔軟な計画変更により、対応していきます。

探鉱投資については、豪州、メキシコ湾、アブダビ陸上、南イラクにおいて、試掘井の掘削先送りや中止を検討していきます。また、新規案件については、当面慎重に検討するものとし、投資を行なう場合であっても、厳格に評価した上で判断することとしています。

②十分な流動性確保・財務基盤の更なる強化

次に、十分な流動性確保と財務基盤のさらなる強化についてご説明します。資料の11ページをご覧ください。当社は引き続き十分な手元資金の保有により、手元流動性を維持します。これに加え、コミットコアバンクからの十分な規模のコミットメントラインをすでに確保しているところですが、財務基盤のさらなる強化を図るべく、日本政策投資銀行の新型コロナウイルス感染症向け危機対応業務における融資制度を活用した借入の実行を予定しています。

なお当該借入に併せて、3メガバンクからも借入を実行する予定です。引き続き不測の事態にも対応できるよう、調達構造の多様化、高度化、盤石化の加速をしていきたいと考えています。

配当

12ページの配当については、まず当社の還元方針として、中期経営計画でもお示ししていますとおり、安定的に配当を実施していくことを基本としています。

先にご説明のとおり、足元の急激な油価下落を受けて、当社は事業環境の悪化に直面し、今期は大変厳しい業績見通しとなっていますが、この還元方針を踏まえて、今期は普通株式1株当たり中間12円、期末12円、合わせて年間24円の配当予想に修正します。

エネルギーの安定供給の継続

最後に13ページをご覧ください。エネルギーの安定供給についてご説明します。当社が操業を行なう豪州のイクシスLNGプロジェクト、国内の南長岡ガス田、直江津LNG基地等の、当社の事業基盤となる主要プロジェクトにおいては、従業員の健康・安全を最優先とすることを前提にして、さまざまな対策を講じながら、安定操業を着実に継続しています。

操業現場における新型コロナウイルス感染症への具体的な対応としては、まずイクシスLNGプロジェクトでは、操業要員以外の現場への立ち入りを禁じるとともに、操業要員が勤務を開始する前に14日間の隔離期間を設け、さらに陸上・海上ともに操業要員数を可能な限り削減し、感染リスクの低減を図り、安定操業の維持に努めています。

また、国内現場においても、操業要員の隔離、あるいは敷地内への操業要員以外のアクセス制限、感染者発生時に備えた予備人員確保等の対策を講じています。その他、当社が関わる世界各地の原油・ガス生産操業においても、引き続き新型コロナウイルス感染防止策を強化しながら、エネルギーの安定供給を継続しています。

以上の基本的な対応方針に沿って、当社は足元の低油価が一定程度継続した場合の影響を最小化すべく、引き続き取り組んでいきます。私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。