業績ハイライト

齋藤茂氏:あらためて、おはようございます。本日はよろしくお願いします。2019年8月期の業績ハイライトについてご説明申し上げます。

2019年8月期の事業計画は、1年間の売上の45パーセントを第4四半期に計上するという、これまでにない変調型の計画になっていました。そのため、第2四半期までは売上高が17億9,000万円、営業損失が400万円という結果でしたが、とくに第4四半期に開発部門が開発業務に取り組んだ結果、期初予想を上回り、売上高・利益ともに前期に比べ大幅な増収増益となりました。

とくにデジタルエンタテインメント事業の、一部のスマートフォン向けゲームの大型案件において、翌期に完了がずれ込むタイトルが発生しました。また。家庭用ゲームソフトの大型案件に対し、顧客の要望による仕様の追加等がかなりございまして、作業量の増加や、その他の開発案件も順調に完了しました。この結果、開発売上が伸長し、売上高は前期に比べて18.5パーセントの増となりました。

利益面については、増収の効果のほか、営業利益が前期に比べて58.8パーセント増となりました。効率的な事業運営が効果を発揮した結果でございます。

デジタルエンタテインメント事業(売上構成)

デジタルエンタテインメント事業の売上構成についてご説明申し上げます。

主力のデジタルエンタテインメント事業については、先ほど申し上げましたとおり、家庭用ゲームソフトの開発売上が伸長した結果、ゲームソフト関連の売上は、前期に比べて30パーセントを上回る増収となりました。全体の売上高に占める比率は、46.6パーセントでございます。

モバイルコンテンツについては、昨今の国内スマホゲーム市場における競争激化、一部顧客要望による運営の終了、運営規模の縮小などが発生しましたが、開発のスマートフォン向けゲームの大型案件がおおむね順調に完了し、前期に比べて増収になったということでございます。

一方、パチンコ・パチスロ関係は近年の規制の影響により、案件数の回復には至りませんでした。

その他事業 (売上構成)

その他事業についてご説明いたします。

その他事業においては、当社のBTD STUDIOによるSI事業、子会社のフォネックス・コミュニケーションズによる家庭用カラオケ楽曲配信事業、コンサート事業、クレーンゲーム事業の新規事業を展開しています。

SIでは、非ゲーム系アプリやシステムの開発に加え、昨今のゲーム開発において必要となるインフラ構築・サーバー構築・保守運営などを行っています。

当期はとくにSI事業について、顧客ロイヤリティ向上をいっそう図り、事業拡大に努めました。その結果、新規案件の受注を獲得し、開発が順調に完了したことで、前期に比べて75パーセントを上回る大幅の増収となりました。

セグメント別概況

その他事業について、SI事業の業績は好調に推移しましたが、子会社のフォネックス・コミュニケーションズのコンサート事業やクレーン事業といった新規事業に関わる経費が、売上を大きく上回った結果、少しではございますが、営業損失が発生いたしました。

業績予想ハイライト

2020年の業績予想でございます。

すでに発表していますが、引き続き、引き合いは好調でございます。したがって、売上高は上昇し、開発ラインもすでに埋まっている状況でございます。この計画で進めた場合は、売上高はほぼ前期並みとなります。

利益につきましては、昨今いろいろ話題になっております、5Gを活かした新しい取り組み(を利用した)いろんな事業が考えられています。また、PS5のハイスペックなゲーム対応や、話題になっているクラウドゲームへの対応等で、後ほど説明いたしますが、かなりいろいろな技術への対応の準備が要ることになります。

2020年8月期においては、新組織体制の運営実行・人材投資・ベースアップなどに多額の費用を使う計画ですので、減益になる予想を立てています。これはあくまでも次世代への投資ということで、こちらにつきましては、後ほど渡辺から、今後の取り組みでご説明いたします。

デジタルエンタテインメント事業(予想売上構成)

デジタルエンタテインメント事業は、この2020年に対してモバイルの受注が残っており、これを仕上げることを含め、モバイル関係が増加する見込みになっています。

その他事業 (予想売上構成)

その他事業は、SI事業が引き続き伸長し、非ゲーム系アプリやシステム開発が好調に推移するということで、売上高は40パーセント増を見込んでいます。

開発完了タイトルの見通し

開発完了タイトルについては、先ほど申し上げたように、スマートフォン向けのコンテンツを中心に、通期で9本の開発完了を予定しています。本数的に少ないように見えますが、1タイトルあたりの売上が以前と比べものにならないほど大きく、売上は同じぐらい上がる予想になっています。

据置型ゲーム機は、マルチプラットフォーム向けが2本となっています。また、ストック収入として安定的な収益を見込む運営サイトは、終わるものもあれば始まるものもあるところですが、25サイトという高水準を見込んでいます。

大型プロジェクト

スライドをご覧いただくとおわかりいただけると思いますが、大型タイトルは1億円規模以上の増加をする見込みになっています。モバイルがプラス4件で、引き続きオーダーをいただいている状況でございます。

株主還元

設立以来41年間、ずっと配当を行っているわけですが、企業体質の強化・新たなビジネス分野への積極的な投資と内部留保資金の充実も図りつつ、株主還元は安定的に維持していく方針を立てています。ですので、年間25円という配当は継続していきたいと考えています。

今後の取り組みについて、渡辺からご説明いたします。

事業環境

渡辺康人氏:渡辺でございます。よろしくお願いいたします。まず、当社グループを取り巻く事業環境についてご説明いたします。

今後、次世代ゲーム機や「Stadia」をはじめとするクラウドゲームサービスの登場・普及により、ゲーム市場のさらなる拡大が期待されています。また、それに対応するソフトの拡充に伴い、開発需要はさらに高まると考えています。

一方で、国内のスマホゲーム市場においては、ここ数年で成熟が進み、新作タイトルのヒットが難しくなってきています。こうしたなかで、各社が新作タイトルを絞り込む、開発クオリティを上げるための各タイトルの開発期間の長期化、開発費の高騰などが続くと予想しています。

このような事業環境のもと、各ゲームメーカーさまは新しい市場・開発クオリティやユーザー満足度の向上など、あらゆる面で対応されていきますので、その対応力が私たちにも求められてまいります。今後、市場の機会を確実に捉え、厳しい競争を勝ち抜いていくためにも、企画開発力・運営力の高いパートナーがよりいっそう必要とされると考えています。

当社は各ゲームメーカーさんに選ばれる存在であり続けるために、次世代ゲーム機やクラウドゲームへの対応を行う必要があり、よりいっそう企画力・技術力を向上させることが求められます。また、今後予想される大規模な開発に耐えうる開発体制も再構築していかなければなりません。今は、それらを着実に進める大事な時期と考えています。

中期経営ビジョン 2020年8月期の位置づけ

中期経営ビジョンの復習となりますが、本年6月1日付で組織体制の変更を実施しました。開発本部をなくし、各開発スタジオが経営体制と直結するように開発組織のフラット化を行いました。

また、開発部門には2つの機能ユニットを構築いたしました。2020年8月期は、中期経営ビジョンである「NEXT 2021」に基づき、本年6月1日から始動した新体制の定着と実行、積極的な人材投資を着実に推進してまいりたいと思います。

重点施策

2020年8月期の重点施策について、3つ挙げています。1つ目は、事業変化に柔軟に対応できる新しい組織への強化、2点目としては、開発事業の実行力・発展を支えるための積極的な人材投資、3点目は、グローバル体制の基盤づくりです。これらに取り組んでまいります。

新組織体制の定着・実行

それらを1つずつ説明してまいります。まず1つ目の、事業環境の変化に柔軟に対応できる組織体制についてでございます。

事業環境のご説明でお話ししましたとおり、ゲーム業界は今後、大きな変化の時期を迎えます。その変化に柔軟に対応し、意思決定の迅速化・現場の状況を踏まえた事業推進力の向上を図るために、研究開発推進部・企画開発推進部の2つの組織を新設しました。

研究開発推進部は、次世代ゲーム機やクラウドゲームへの対応を図るため、エンジン・開発手法・開発効率化の向上の研究、各スタジオへの技術支援を行う部署となっています。

企画開発推進部は、世界に通用するコンテンツの品質への対応力強化のため、スタジオを支援してまいります。また、ソーシャルゲームの運営や課金ノウハウに、マーケティング分析を強化し、今後の持続成長を叶える企画開発力・運営力を、各スタジオと連携して高めていくことを目標にしています。

従来との違いについては、今までは各スタジオ単位で各事業戦略を実行していましたが、この2つの新設組織が幅広く開発部門の意見を取り入れながら方向性や戦略を定め、各スタジオの事業推進をサポートしていくかたちとなっています。そのなかで、各スタジオはスタジオ間でも連携を図り、スタジオをまたいだ人材活用を含め、戦略的に開発事業を推進していく体制を確立してまいります。

積極的な人材投資

2つ目の積極的な人材投資についてご説明いたします。この数年間、離職者が本当に多く発生していたことで、開発ラインやプロジェクトは人材の配置や役割の変更などを行わなければならず、これまで以上に従業員の負担が大きい状況となっていました。

言うまでもなく、私たちは事業を着実に推進し、技術の進化やお客さまからの高まる要求に応えるためには、優秀な人材の確保・育成・定着が重要となっています。そのためにも、2020年8月期においては、人材確保・育成・定着への投資を積極的に行い、従業員が働きやすい組織環境づくりや、風通しのいい企業風土づくりに取り組んでまいります。

具体的には人事制度の改革・従業員の待遇改善・コミュニケーションの活性化などを実施することで、従業員の声を組織づくりや新しい発想に活かしていく活動をしてまいります。スタジオ間のコミュニケーションが向上することにより、スタジオごとに分断されていた人材の力をうまく活用し、当社の事業の力をさらに高めていきたいと考えています。

2018年8月期・2019年8月期には、若手社員の昇給や昇格、福利厚生や社内イベントの見直し、フレックス制度の導入などを行ってきましたが、2020年8月期においてもより積極的な人材投資を行っていく予定でございます。

グローバル体制

3点目の、グローバル体制の基盤づくりについてご説明いたします。

当社はかつて、アメリカ・ロサンゼルス・中国・上海に子会社を設置していましたが、取引のほとんどが日本のゲームメーカーからのタイトルであり、グローバル化はあまり進んでいませんでした。

しかし、ゲーム業界はどんどんグローバル化が進んでおり、世界でヒットする上位のタイトルは、海外企業が多くを占めております。また、国内より海外の売上が多い日本のゲームタイトルも生まれてきている状況でございます。

当社は、未だに日本のゲームメーカーからの依頼で、開発ラインが埋まっています。グローバル化に向けた足がかりとして、トーセフィリピンを確立させようと考えています。

そのためには、トーセの各スタジオとの連携を強化することで、トーセフィリピンの開発力向上、教育制度の強化、グローバル基盤に向けた体制づくりを図ってまいります。

2019年8月期もこの活動を推進する予定でしたが、日本国内での離職者の発生により、各スタジオで開発体制の維持および開発完了への対応に追われる状況にあり、トーセフィリピンへの働きかけが思うように行えない状況でございました。

しかしながら、この数ヶ月は改善が進んできています。日本からの業務の発注や、教育支援の規模が膨らんできており、今年にトーセフィリピンに迎え入れたメンバーも、日本のスタジオと連携が進んできていますので、2020年8月期はしっかりと前進させていきたいと考えています。

以上が、2020年8月期の重点的な施策となっています。

最後に、繰り返しとなって恐縮でございますが、2020年8月期は持続成長を実現するための新組織体制の運営実行・人材投資を、積極的に実行してまいります。常にお客さま・従業員から選ばれる企業として、全社一丸となって事業を推進し、企業価値を向上してまいりたいと考えています。

以上で、説明を終わりにいたします。ご清聴ありがとうございました。