通期累計/ハイライト

吉松徹郎氏:株式会社アイスタイル代表取締役社長の吉松でございます。本日はお忙しいなかお集まりいただきまして、ありがとうございます。これより2019年6月期決算概要と、3年前に発表した中期経営計画の進捗についてお話しさせていただきたいと思います。とくに、前期は途中で修正を出させていただきましたので、この中期計画をどのように達成するかに重きを置いてお話しさせていただければと思います。

2019年6月期の通期決算概要からです。売上高は321億9,300万円、営業利益は4億7,600万円となりました。各セグメントの数字に関しましては、スライドをご覧いただければと思います。

通期累計/業績概要(業績予想に対する進捗)

予算との乖離でございます。修正後の予算の売上高が330億円に対し、売上高は321億9,300万円で、達成率は97.6パーセントとなりました。営業利益・経常利益等とも、発表させていただいたレンジ内に入っています。

当期純利益に関しましてはマイナス5億1,900万円の赤字と、大きな乖離になりました。大きな要因としましては、ソフトウェアの減損や、店舗の減損、繰延税金資産の取り崩し等があります。

連結売上高の推移

売上高は順調にトップラインを伸ばしている状況でございます。

セグメント別売上高推移(四半期別)

各セグメント別の実際の売上高でございますが、前年同期比ですと105.4パーセントとなっています。各セグメントごとの前年同期比でいくと、On Platformが93.9パーセント、Beauty Serviceが110.3パーセント、Globalが109.7パーセント、その他が93.4パーセントとなりました。

セグメント別売上高推移①

一番大きいポイントが、On Platformの前年同期割れだと思いますので、詳細についてお話しさせていただきたいと思います。On Platformの前年同期との比較になっていますが、売上ベースでいくと、19億5,700万円が18億3,800万円となり、前年同期比で93.9パーセントとなっています。

大きなポイントとして、2つあります。1つはイベントという大きな売上に影響することを実施しなかったことです。毎年第4四半期には「@cosme」に関わるイベントを行っているのですが、今回は行いませんでした。

その理由としては、新しい「ブランドオフィシャル」に営業体制・方針を大きくシフトしていることがあげられます。毎年は年度の終わりに向けて売上を積み上げていくのですが、今期は私たちの大きな柱になる「ブランドオフィシャル」に非常に集中していたため、今四半期は達成できておらず、前年同期割れとなっています。

実際に第1四半期・第2四半期・第3四半期を比較していただきますと、前年に比べて第1四半期・第2四半期・第3四半期は伸びているのですが、今四半期に関してはその先に集中させていただいています。

セグメント別売上高推移②

Beauty Serviceですが、店舗に関しましては103.8パーセント、eコマースは約140パーセントとなっています。今期は出店が1店舗あったものの、改装・撤退がありましたので全体としての店舗数は伸びていませんが、各店舗が成長し、堅調に伸びています。

何より大きかったのがeコマースです。化粧品のeコマースの起爆剤になるんだと思いながらできていませんでしたが、2018年12月3日に行った「Beauty Day」という、イベントで大きくユーザー数を伸ばし、それが安定的なリピーターにつながっています。今期も行いますので、これでようやく、eコマースの大きな成長が見えてきたという状況でございます。

セグメント別売上高推移③

Globalでは、前年同期比で109.7パーセントとなっています。全体としては伸びていますが、ECや卸に関しまして86.7パーセントと、前期同期を下回っています。大きな取引があったので、そこが下がってしまっています。一方で、店舗は伸びております。EC・卸に関しましては、中国のEC法等の不透明なところもあるので、ここの領域は今後も注意しながら伸ばしていきたいと思っています。

セグメント別売上高推移④

その他事業ですが、このスライドは人材派遣を中心としたビジネスについてでございます。求人の広告に関しましては競争相手が出てきているので、私たちとしては人材派遣と、その延長で店舗を丸ごと請け負う事業に成長の可能性を見出しています。そのための正規雇用派遣のスタッフを増やしているために、全体としては費用増で減益となりました。

販売管理費の推移

販売管理費ですが、中長期を踏まえた上で今期は成長に大きなコストがかかっています。

人が増えたことが、1つの大きなポイントになっています。来期に向けての態勢はほぼ整いましたので、今後は採用より教育・育成に力を入れていこうと考えています。

もう1つのポイントが、システムの費用です。今回リリースした「ブランドオフィシャル」に伴う償却コストが増えてきたことによって、システムの費用が先行している状況でございます。

セグメント別営業利益の推移

各セグメント別の営業利益の推移は次のようになっています。On Platform事業は、「ブランドオフィシャル」という事業でソフトウェア資産の償却が先行したために、減益となっております。

ざっとでしたが以上で、2019年6月期の数字についての説明を終わります。

@cosmeの月間ユニークユーザー数の推移

各サービスの数字でございます。「@cosme」のユーザー数は現在1,330万人となっています。2018年のちょうど同時期ごろにGoogleのアルゴリズムの変更があって、非常に大きな影響を受けました。

SEO対策をしっかりと講じたことで、2019年に入ってからはユニークユーザー数が伸びてきましたが、直近でまたアルゴリズムが変更されています。

結果的には、SEOを行っていくことで伸ばせる領域だと思っていますし、そこに対する体制もできてきていますので、これからも順調に伸ばしていきたいと思っています。

@cosmeの会員数の推移

「@cosme」の会員数は540万人で、これも順調に伸びているところでございます。

マーケティング支援サービスのKPI「コネクト」の推移

今後の大きなKPIになっていくと私たちが考えているコネクト数も現在、順当に伸びています。ポイントは、これを大きく飛躍させることです。中期目標は1億コネクトと言っていますので、これをどう伸ばしていくかは、また後ほどお話しさせていたします。以上が2019年6月期と、サービスに対する数字でございます。

中期経営計画「Road to 2020」の再掲

中期事業計画「Road to 2020」を出してから、ちょうど3年目となります。今期からは4期目になりますが、実際の進捗と我々が目標とする数字に対して達成できるのかを、各セグメントごとについてお話しさせていただければと思います。

中期事業計画ですが、「Road to 2020」ということで、大きな3つの方針のもとに4ヶ年のフレームを出させていただきました。最初に可能性の拡大をしながら選択と集中をし、投資をして、最終的に刈り取っていくというお話しをしています。

中期経営計画「Road to 2020」に対する現在の進捗

目標としては売上高500億円、営業利益70億円です。そこに対して、前期は売上高322億円、営業利益4億8,000万円で、まだまだ大きな乖離があるのが現状でございます。

現在の進捗と中期経営計画の売上高目標との乖離①

各セグメントごとに、どのように乖離しているかを見ていきたいと思います。

On Platformは、もともと150億円です。今は4ヶ年計画のちょうど3年が経ったところですので、中間での評価となります。4年目で150億円に達する計画で、3年終わったところで76億3,500万円となっています。

それぞれのサービス別に見ていきますが、広告が84億円に対して52億1,900万円、BtoB課金が45億円に対して15億7,300万円となっています。両方合わせて約130億円弱を目指していこうと考えていますが、BtoB課金の「ブランドオフィシャル」の立ち上がりや、サービスのリリース・開発の遅れに伴う立ち上がりが遅れていることが、非常に大きく影響しています。ここに関しましては、実際にはサービスもリリースされ、動き始めておりますので、両方三角とさせていただいています。

BtoC課金はサービスの整理を行いましたが、現在はBtoB側の課金に勝ち筋を見出しており、プライオリティを振っているので、バツとしています。トランザクション、アフィリエイトはECに大きく振っていますので、三角とさせていただきました。結果、150億円に対して今は76億3,500万円、約50.9パーセントという状況になっています。

現在の進捗と中期経営計画の売上高目標との乖離②

Beauty Serviceは2020年に、4ヶ年で240億円を目指すという目標を立てていました。

eコマースですが、4年目で50億円の計画で、前期の終わりが約30億8,000万円で61.6パーセントという状況になっています。50億円が見えてきており、評価は丸とさせていただいています。

店舗も140億円に対して111億9,400万円で、店頭(での売上)が順当に進んでいきます。とくに今期は原宿に出店するので、十分達成できるだろうということで丸としています。サロン等運営・化粧品以外に関しましては、現在手が付けられてないのでバツです。プライベートブランドにつきましては、いくつか出させていただいた上で、日の目を見そうな商品も出てきていますので、三角とさせていただきました。

現在の進捗と中期経営計画の売上高目標との乖離③

Globalは全体の規模としてはアヘッドしていると思っています。

EC・卸等で66億円と言っていたところは約63億900万円で、95.6パーセントです。店舗やメディア・その他で34億円のところは、24億3,300万円で83.3パーセントとなっており、全体に関しては100億円に対して91億4,100万円になっております。今期中には100億円のオーバーが見えてくる状況になっています。

EC・卸に関しては、評価は丸です。店舗に関しましては、台湾・香港・タイを含め約10店舗を出していますが、うまくいっているお店とそうでないお店が出てきています。そういった意味では、黒字化を見据えてある程度の撤退や新規出店等の入れ替えが発生すると思い、三角にしています。メディア・その他も、まだ黒字化に持っていくためにPMIを含めて取り組まなければならないことがあるため、三角とさせていただきました。

現状を踏まえ、中期経営計画「Road to 2020」を延⾧

これらの状況を鑑みて、私たちの中期経営計画に関しては、延長させていただきたいと思っています。大きな戦略に関しては、大きく変えることはいたしません。あくまでもビューティープラットフォーム構想に乗った上で、BID・UIDをつなげていきます。そのなかで各セグメントの戦略は、スライドのように進めていきたいと思っています。

一番ポイントなのは、積み残しをしっかりと処理するということです。それによって、目指している数字に近づいていくと我々は考えています。とくにOn Platformの収益の柱であるであろう「ブランドオフィシャル」に関しては、最後まで達成したいと思っています。

今後2か年のマイルストーン

各フェーズごとのイメージですが、私たちは最初の選択と集中や、投資拡大がどうしても1年延びてしまったと捉えています。システムの開発が半年から1年、立ち上がりを含めて全体的に1年遅れてしまっているので、この1年間できちっと取り戻していきたいと思っています。

現状を踏まえたFY21までの業績目標を策定

それを踏まえて、全体の売上と利益です。今期が390億円、来期で500億円を超えていく計画を作っていきたいと思っています。

今期に関しましては、赤字が営業利益で約12億4,000万円という営業損失を見込んでいますが、来期には500億円の売上黒字で見ていきたいと思っています。トップラインの500億円は見えてきていますが、実際に営業利益の70億円がどのタイミングで達成できるかは改めて検討し、みなさまにお伝えしていきたいと思っています。

主な投資領域の推移

今期のマイナスが、どこでどう起きているのかというお話でございます。各年の営業利益と、それに対する主な投資領域を持ってきました。

中期経営計画を出すまでは、アイスタイルは「@cosme」を中心とした広告・メディア事業が中心となっていたため、それに伴うシステム費用として毎年3億円から4億円ほどのコストがかかっていました。

今回、大きくビューティープラットフォーム構想に取り組むことによって、システムの投資やその他諸々の投資コストが膨れています。

とくに今期、@cosme Beauty Dayにかかるコスト、@cosme TOKYO、原宿にかかる店舗と、この3つが大きくのってきています。

@cosme Beauty Dayは、2018年が約4.8億円、今期はマイナス2.6億円になっております。昨年で売上が3億円、今期は10億円を目指しています。売上全体の規模は出てきていますが、かかる投資コストはまだ0までもっていける規模感ではないので、マイナス2.6億円とさせていただいております。

原宿に出す店舗は、マイナス7.5億円です。これは店舗の初年度でもありますし、12月のオープンを踏まえてすでに9月からスタッフの教育等々、コストがかかっているため、全体としてマイナス7.5億円となっています。

ソフトウェアの償却は、今までの「@cosme」というメディアだけではなく、プラットフォーム全体にかかるシステム償却が増えてきていることによって、トータルでマイナス12.4億円とさせていただいております。

我々は、2020年には少なくとも@cosme Beauty Dayにかかるコストと、店舗にかかるコストが0になっていることを目指しています。

ブランドオフィシャルによるソフトウェア投資の回収目途について①

ブランドオフィシャルのそれぞれの償却の回収になりますが、先ほどのソフトウェアとそれに対する売上高と書かせていただきました。

ブランドオフィシャルの売上とソフトウェア償却のギャップが、セグメントの営業利益に影響しています。営業利益としてソフトウェアの償却のギャップで、過去最大で4億円~5億円くらいありましたが、今期はソフトウェアの償却が先行することによって、利益分が小さくなってきています。

来期中には過去最大のギャップを生み出していこうというところまで、計画をしています。

ブランドオフィシャルによるソフトウェア投資の回収目途について②

全体で現在残っている仮勘定を含めたソフトウェア資産は約29億円あります。ソフトウェアに非常にお金をかけているというのは事実でございます。

回収の手段ですが、あくまでもBtoBのSaaSビジネスなので、これが積み上がることによって十分回収できるだろうと思っています。

6月末で約110、現在は160を超えるぐらいのブランドの方々との契約ができてきています。(契約数)約300を超えるとMRRで約1.5億円、年間で18億円ぐらいが見えてきます。仮に500にいくと、一発で十分回収できるぐらいになってきますので、SaaSでソフトウェアをしっかり回収していきたいと思います。

2019年6月期末時点の29億円には、アプリやその他もろもろでかかっているコストも入っています。単純にブランドオフィシャルだけではなく、データベースの連携やアプリなどもあり、アプリ自身もまだ単体での広告収益が上がってきているわけではありません。全体のプラットフォーム構成にかかるシステム全体を、このブランドオフィシャルだけでも吸収できるようにしていきたいと考えております。

2020年6月期計画

2020年6月期の事業計画は、売上高が390億円、営業利益がマイナス12億4,000億円、経常利益がマイナス13億9,000万円、当期純利益がマイナス17億2,000万円というかたちになっています。

2020年6月期計画/セグメント別

各セグメント別の内訳はスライドのようになっております。

売上高と営業利益は、次のスライドでウォーターフォールになっているので、比較しながら見ていただければと思いますが、On Platformに関しましては売上高が76億3,500万円から、今期は80億円とさせていただいております。

各セグメントの増減と要因:売上高

まずなによりも、ブランドオフィシャルの積み上げを大きなキーにしています。広告に関しましては前期を落とさないようにしつつ、SaaSビジネスを立ち上げるというところにシフトしていきます。

各セグメントの増減と要因:営業利益

ソフトウェアの償却が先行していることと、それに伴う人件費ということで、10億円ぐらいのギャップがあって、営業利益は12億5,000万円となっております。

Beuaty Serviceも大幅増収になっていますが、上期(にオープンした)店舗は、12月の店舗オープンまでの赤字が大きいということで、年度を通しての利益は0出ていません。

Globalも増収計画になっておりますが、まだまだ投資フェーズのため少しだけ減益となっております。

FY20の上期と下期の計画

これをつくっていくなかでみなさんにお伝えしておくポイントは、上下での営業利益の構造が、ものすごく大きくギャップが出てきているということです。

上期における@cosme Beauty Dayのマイナス2.6億円、オープンは12月の後半を考えていますが、店舗オープン前の9月から家賃も発生しますのでそこにかかるコスト、もろもろ、ブランドオフィシャルの償却費等々を考えると、どうしても上期はこのような数字になってしまいます。

ただ、これがあるからこそ、下期黒字化と、その先に繋がっていくのだと考えています。

FY21に黒字化となるための根拠

FY21が黒字化になるためには、ブランドオフィシャルがすごく大きくなるということ、@cosme Beauty Dayをちゃんと回収できるビジネスモデルにしていくこと、旗艦店である@cosme TOKYOを黒字化にもっていくこと……、この大きい柱があって、大きな収益の改善に向かっていくと考えています。

中⾧期の見通し

繰り返しになりますが、中期経営計画期間は1年延長とさせていただいた上で、売上高500億円、黒字化を達成しながら、黒字の大きな回収をつくっていきたいと思っております。

「なぜアイスタイルはブランドオフィシャルで勝負できると思っているの」「50万円って高いんじゃないの」などというご質問も何度かいただいております。

これは別紙になっておりますので、別紙をご覧いただいて、我々のブランドオフィシャル、@cosme Beauty Day、なぜ今回原宿を出すのかということをここでお話しさせていただければと思います。

アイスタイルの持つ優位性

みなさんご存知のように、我々は「@cosme」を中心にEC、ショッピングという3つのモデルをつくってまいりました。

ネットからリアルまで展開する強みを活かしたサービスを提供

我々の本質にあるのは、ユーザーとブランドを繋ぐということでございます。今お話にありましたように、「@cosme」というWebをつくりながらEC、店舗、アプリもつくっていますが、広告の大きなところはWebで、スマホWebを中心としながら広告で儲かっているというところになります。

ユーザーから見ると、このサービスは一体型になるまで、プラットフォームの構造のなかで連携がとれるようになってきました。

クライアントから見ると、広告はアイスタイル、ECは「cosme.com」、店舗はコスメネクストと、全部ばらばらの会社になっています。事業数字だけ見ても、それぞれの 規模の拡大をした足し算でしか数字が上がってきません。

とくに現在、ネットメディアが非常に苦しくなってきているなかで、本当にこの規模だけの足し算でいいのか、この中期事業計画を出させていただいた時の最初の議論になりました。

我々は我々の持っているものを価値化し、価値を最大化していくことで収益を生み出そうと考え、このプラットフォームのすべてのデータベースを繋いでいく話をさせていただき、収益をどうつくっていくのかが、ブランドオフィシャルというEnterprise SaaSです。

これは広告ではないというお話をさせていただいています。今までブランドファンクラブは、広告のパッケージの1つだったものがこのEnterprise SaaSということで、月額50万円のサービスというお話しをさせていただきました。

これとともに、これからは販促含めて、生活者とクライアントを繋いでいく収益モデルをつくっていこうというのが現状でございます。

広告とEnterprise SaaSの両輪でクライアントの課題にこたえる

今までは「@cosme」の面が非常に大きく、何ページビューや、1ページビュー当たりの単価などがありましたが、それを繋がりというかたちでクライアント側に価値化させていこうというコンセプトになっています。

ブランドオフィシャルを2019年12月に大幅アップデート予定

ブランドオフィシャルは機能がたくさんあるので、2018年の4月から先行してリリースをさせていただいています。すでにCMS的な情報発信はありますが、12月からよりブランドがユーザーを分析できるようなツールを、リリースしていきます。ここで大きくアイスタイルのサービスが変わっていくと考えています。

ブランドオフィシャルでユーザーを階層別に定義

実際にどういうことをしているのかというと、ユーザーとブランドの関係を育てていくということで、「@cosme」にはたくさんのユーザーの方々が来ますが、クライアントから見た時に、ユーザーエンゲージメントランクと名付けた指標を設けています。

単純にその商品を見ているだけのユーザーはE、よりクチコミを見たり、深く情報に接触しているユーザーをD、それをLike、followしているユーザーをC、実際にオフラインでイベントとかで接触したユーザーをB、買っているユーザーをA、そしてクチコミしたりリピートしているユーザーをSとランク付けさせていただきました。

クライアントさんがCRMで持っているデータベースは、購買以上の、A~Sだけの顧客データはたくさん持っていますが、自分たちの顧客になる前の将来顧客のデータベースを、「@cosme」で分析してとらえられるのが大きなポイントになるシステムと考えています。

例えばドラッグストアで一般に販売している商品は、買っている商品は同じような同価格帯の商品なんですが、こういう商品を買っている人たちはラグジュアリーなブランドを見ているということは、実はライバル商品ではないところにも広告を出していくということがあるのではないか、逆に自分たちの商品を買っていない人たち、まだ単純にオンライン・店頭で繋がっている人たちは、ほかにどういうブランドを見るのかということが見えるようになってきています。

実際にそのユーザーに対してアンケートをとるなど、いろんなことができるような仕組みができました。

一般的なCRMツールとの違い

私たちは「@cosme」というのは単なるメディアとしてのアクションだけではなく、各既存のCRMではとれないお客さま、顧客データベースに入るお客さま、将来顧客というお話をさせていただいているんですが、そこにアクションできるのが「@cosme」の一番大事なポイントだとご説明しております。

今までは見てもらうというところから買ってもらうというところが、すごい飛躍していましたが、私たちのプラットフォームを使いながらコミュニケーションをとっていきましょう。

他社と比較して見えるアイスタイルの競争優位性

私たちのサービス、ブランドオフィシャルの競合は何かというと、CRMであるSalesforce、SAP、Googleのツール、さらに最近それを繋ぐところではマーケティングオートメーションといういろいろなツールです。

これを「@cosme」のなかでは顧客とともに月額50万円で提供するというのが、私たちがお話しさせていただいているサービスです。

@cosme Beauty Dayを起点にしたつながり構築の事例

これが@cosme Beauty Dayとどう関係してくるのか、どのように伸ばしていくのかというお話ですが、2019年12月3日に限定商品をつくってもらうブランドは約500ほどになっています。

例えば限定商品を100個用意してもらいます。今回のポイントは、予約抽選販売になりまして、例えば100個に対して2,000人のお客さまが予約をしたとします。

そうすると、100個しか当たらないので、今まではこの100が我々の@cosme Beauty Dayの売上でしたが、同時に1,900人のその商品を欲しかったお客さまデータとのコンタクトができるようになります。そのお客さまに対してクーポンを配るなどして、お客さまを育てていくというのがポイントになります。

同時に、最初の予約の1,000人、2,000人を増やすためにどうするかという話でございます。そのためには、単純に当日いきなり限定商品を出すのではなく、例えばその前から「『@cosme』と一緒に限定商品を用意することになりました」「このような商品を販売しています、どのような色にしましょうか」など、コミュニケーションを取りながら、10,000人、20,000人、100,000人とコミュニケーションをとっていく必要があります。

この一連の流れがあるからこそ、@cosme Beauty Dayというところが大きなキーになると思っています。

アイスタイルに商品を卸して何個売れたかと同時に、どれぐらいの興味を持っているお客さまが集まったかという(情報の獲得が)、我々が2019年12月3日に向けて力を入れている一番の大きなポイントです。

実際に、すでに「@cosme」のなかの繋がりは、Twitterやソーシャルの情報よりも大きいというデータが出ています。これをもっと活用していただきたいと思っています。

@cosme Beauty Dayによってブランドオフィシャルを拡大

今回の@cosme Beauty Dayですが、前回はオリジナル商品のskuは約44でした。今回は500を目標に集めています。大変多くのブランドさんがこれに参加してくれることになっています。

今回は約10億円で、お買い物をしてもらえるユーザーは15万人と考えています。2018年の44の限定商品のページを見ただけで、約90万人ぐらいの方が来ています。今回は、この限定商品のところをアプリ経由で見られるコンテンツにしますので、アプリユーザーは一気に100万人までもっていこうと我々は思っています。

大型路面店@cosme TOKYOを起点にしたつながりの構築

この@cosme TOKYO原宿も同じようなポイントになっています。商品を買う前のお客さんとの繋がりをつくるのは、もうWebだけではないと思っています。店頭ではカウンセリングやサンプリングも、すべてアプリをとおしてコミュニケーションをしていくかたちになります。

今回は、約400坪の売場面積になりますが、今までの各デパートと同等の各ブランドさんを揃えていく状況になっています。そのなかで、新しいユーザーとの接点と、繋がったお客さんを育てていくためのイベントスペースもここでつくっています。そういったかたちでユーザーとの繋がりを一気に変えていくサービスにしていきたいと考えています。

ブランドオフィシャルはSaaS型のストックビジネス

アイスタイルは今、ビジネスの構造が今までの広告からEnterprise SaaSをベースにした積み上げ型のサービスへと大きく変わろうとしています。ここで売上の4割ぐらいはつくっていけるのではないかと思っています。

ブランドオフィシャルの今後の計画

今後のブランドオフィシャルの計画は、6月末に電話番号110ブランド、現在で160を超えるブランドさまの導入がほぼ見えてきています。@cosme Beauty Dayの先ほどの500ブランド、500skuをベースにしながら、今期末に約300ブランドを目標にしています。

そして来期500ぐらい、近いうちに800をどうつくっていくかを目標にしながら、計画をつくっていきます。

この@cosme Beauty Dayでの売上で、将来顧客をどれだけつくるかに集中していきたいと思っています。

この短期間で150を超えるまで積み上がってきていることに、我々としては非常に手応えを感じています。ここにドライブをかけていくと同時に、アプリ化することと、@cosme Beauty Day、そして店頭という3つの組み合わせによって、より強固なサービスに育てていきたいと思います。

今期は中期事業計画に比べて乖離が出てしまっているのは、本当に心苦しいのですが、今進んでいる方向性で間違いはないと思っています。今期、そして1年間の猶予をもらって、またその先まで続けていきたいと思っております。

簡単ではございますが、私の説明は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。