Ⅰ.2018年度 第3四半期(4月-12月)決算の概要

堀越健氏:CFOの堀越でございます。2018年度第3四半期決算の概要について説明させていただきますが、その前に、第1四半期から説明している米国会計基準における新年金会計基準の適用による損益計算書の表示の組替えについて、一言触れさせていただきます。

2018年度から新年金会計基準を適用したことにより、勤務費用以外の退職給付費用を「その他の収益(費用)」の部分に計上しています。従来はこの分をセグメント利益に計上していました。これに伴い、2017年度の数値も遡及して組替表示しております。内容は、そこ(スライド)に書いてある表をご参照いただければと思います。

2018年度 第3四半期(10-12月)の概況

それでは、2018年度第3四半期(10-12月)の概況について説明させていただきます。最初に、為替レートは1ドル113.5円、1ユーロ129.6円、1元16.4円でした。前年同期比で、ドルに対しては円安になりました。一方、ユーロ・元に対しては円高となりました。また、こちら(スライドの表)には記載していませんが、ロシアルーブル・豪ドルについても円高になっています。

物量が増加したことに加えて販売価格差等があり、連結売上高は前年同期比でプラス8.3パーセントの7,005億円となりました。四半期として過去最高の連結売上高です。

営業利益は、物量の増加や販売価格差等により、(前年同期比で)プラス27.6パーセントの955億円となりました。営業利益率は(前年同期比で)プラス2.0ポイントの13.6パーセントです。純利益は(前年同期比で)プラス10.3パーセントの588億円でした。

なお、営業利益・純利益とも、第3四半期としては過去最高となりました。

2018年度 第3四半期(10-12月)の各セグメント売上⾼と利益

続きまして5ページでは、各セグメントの売上高と利益について説明いたします。建設機械・車両セグメントの売上高は、前年同期比でプラス8.5パーセントの6,453億円。セグメント利益は、(前年同期比で)プラス11.5パーセントの886億円となりました。物量が増加したことに加えて販売価格差等もあり、増収増益となりました。

リテールファイナンスの売上高は、前年同期比でプラス13.5パーセントの167億円となりました。セグメント利益は、(前年同期比で)プラス16.3パーセントの35億円です。主に北米での資産の増加に伴い、増収増益となりました。

産業機械他の売上高は、前年同期比でプラス8.0パーセントの457億円。セグメント利益は、プラス19.4パーセントの51億円となりました。自動車業界向けの工作機械の販売が増加したことに加え、エキシマレーザー関連などの販売増加に伴い、増収増益となりました。

<建設機械・⾞両> 2018年度 第3四半期(10-12月)の地域別売上⾼(外部顧客向け)

6ページでは、建設機械・車両部門の地域別売上高の状況を示しています。建設機械・車両の売上高は、前年同期比でプラス8.2パーセントの6,403億円となりました。

中国での売上高は、昨年度(2017年度)は主に党大会後の需要増の影響があったため、昨年度と比較して減少しましたが、アジア・CIS・日本などでの売上高は大きく伸長いたしました。

戦略市場の比率は、前年同期と変わらず54パーセントとなりました。

2018年度 第3四半期(4-12月)の概況

7ページからは、2018年度第3四半期の9ヶ月(4月-12月)の概況になります。為替レートは、1ドル111.0円、1ユーロ129.8円、1元16.6円でした。前年同期比で、円はドルに対しては円高、ユーロに対しては円安、元に対してはほぼ変わりなしとなりました。また、こちら(スライド)に記載はありませんが、ロシアルーブル・豪ドルに対しては円高となっています。

連結売上高は、物量が増加したことに加えて販売価格差等もあり、前年同期比でプラス11.8パーセントの2兆186億円となりました。営業利益は、物量の増加・販売価格差・KMCの一時費用の減少等により、プラス59.0パーセントの2,958億円となりました。営業利益率は、(前年同期比で)プラス4.4ポイントの14.7パーセントです。純利益は、(前年同期比で)18.8パーセントの1,841億円となりました。

なお、連結売上高・営業利益・純利益は、第3四半期累計としては過去最高となっています。

2018年度 第3四半期(4-12月)の各セグメント売上⾼と利益

8ページでは、各セグメントの売上高と利益について説明いたします。建設機械・車両セグメントの売上高は、前年同期比でプラス11.3パーセントの1兆8,458億円。セグメント利益は、(前年同期比で)プラス49.9パーセントの2,725億円となりました。(売上高は)物量が増加したことに加え販売価格差等もあり、増収。利益は、物量の増加・販売価格差・KMCの一時費用の減少等により、増益となりました。

リテールファイナンスの売上高は、前年同期比でプラス0.4パーセントの461億円と、ほぼ横ばいとなりました。前年同期にチリにおいてリース契約の中途解約による中古車売上があったことを考慮しますと、実質的には増収と考えています。セグメント利益は、プラス46.6パーセントの131億円となりました。増益の主な要因は、中国での貸倒引当金の戻り益によるものです。

産業機械他セグメントの売上高は、前年同期比でプラス17.5パーセントの1,427億円。セグメント利益は、プラス38.8パーセントの126億円となりました。自動車業界向けの工作機械の販売増加に加え、半導体市場の好調に伴うエキシマレーザー関連などの売上増加により、増収増益となりました。

各セグメントの増減要因については、後ほど説明させていただきます。

<建設機械・⾞両> 2018年度 第3四半期(4-12月)の地域別売上⾼(外部顧客向け)

9ページでは、建設機械・車両部門の地域別売上高の状況を示しています。建設機械・車両の売上高は、前年同期比でプラス11.3パーセントの1兆8,355億円となりました。

日本と中近東を除くすべての地域で売上高が増加し、とくにアジア・北米・オセアニアなどで売上が伸長しました。戦略市場の比率は、前年同期の54パーセントから55パーセントに上昇しました。

<建設機械・⾞両> 2018年度 第3四半期(4-12月)の売上⾼とセグメント利益の増減要因

10ページは、建設機械・車両部門の売上高とセグメント利益の増減要因です。売上高は、従来コマツの部分での物量増加や販売価の値上げ効果に加え、KMCでも物量が増加したことにより、前年同期比でプラス1,869億円の増収となりました。

セグメント利益は、為替差でマイナスの影響がありましたが、物量の増加や(販売価の)値上げ効果に加え、KMCの一時費用の減少等により、売上高セグメント利益率は前年同期比でプラス3.8ポイントの14.8パーセントとなりました。

<建設機械・⾞両> 2018年度 第3四半期 KMCの概況

11ページでは、KMCの概況について説明いたします。まず、2018年度第3四半期9ヶ月(4-12月)の部分です。9ヶ月分のKMCの売上高は、前年同期比で16.3パーセント増の2,749億円となりました。

そのうち、本体は前年同期比でプラス12.9パーセントの524億円。部品は(前年同期比で)プラス14.9パーセントの981億円。サービス等は(前年同期比で)プラス19.0パーセントの1,242億円と、増収となりました。

一時費用を除く営業利益は410億円。また、一時費用のマイナス83億円を含めた営業利益は326億円となり、それぞれ大幅な増益となりました。

一時費用については、昨年度(2017年度)発生しましたPPA(パーチェス・プライス・アロケーション)の棚卸資産に係る償却費が258億円ありましたが、これがなくなったことにより、前年同期比では324億円の減少となったということです。

セグメント別の売上高比率は、露天掘りが49パーセント、坑内掘りが51パーセントでした。また地域別売上高では、北米の割合は45パーセントとなりました。

続きまして、3ヶ月(2018年10-12月)の部分について説明いたします。3ヶ月分の売上高は、前年同期比でプラス10.1パーセントの940億円となりました。

そのうち、本体は前年同期比でプラス6.0パーセントの209億円。部品は(前年同期比で)プラス10.7パーセントの326億円。サービス等は(前年同期比で)プラス13.3パーセント増の406億円と、増収になりました。

一時費用を除く営業利益は105億円。また、一時費用のマイナス28億円を含めた営業利益は76億円となり、増益となりました。

一時費用を除いたベースの営業利益率は、前年同期比で1.7ポイント増加しています。改善の理由は、2017年度第3四半期の製品保証引当金による費用増、またコスト改善・シナジー効果によるものです。

なお営業利益率は、前第2四半期と比較して収益性が低下しています。低下の理由は、製品構成差、つまり製品ミックスや地域構成差、そして一時費用の増加によるものです。

<リテールファイナンス>2018年度 第3四半期(4-12月)の資産と収益

12ページは、リテールファイナンスの資産および収益の状況を示しています。リテールファイナンスの資産は、前年度末比で685億円増加しました。主に北米等において、販売が増加したことによるものです。

売上高は、資産増加の効果はありましたが、前年同期にチリにおいてリース契約の中途解約による中古車売上がありましたので、ほぼ横ばいになりました。これを除くと、実質的に増収です。セグメント利益は、中国での貸倒引当金の戻り益と北米での販売増加等により、増益となりました。

<産業機械他>2018年度 第3四半期(4-12月)の売上⾼とセグメント利益

13ページでは、産業機械他セグメントの売上高とセグメント利益の状況を示しています。産業機械他部門の売上高は、自動車業界向けの工作機械の販売増加に加え、半導体市場の好調に伴うエキシマレーザー関連などの販売増加により、前年同期比でプラス17.5パーセントの1,427億円となりました。

セグメント利益は、前年同期比でプラス35億円の126億円。セグメント利益率は、前年同期比でプラス1.4ポイントの8.9パーセントとなりました。

【参考資料】 産業機械 受注/売上指数(6ヶ月)

ここで、産業機械の受注と売上の状況について、34ページの参考資料で説明させていただきます。ここ(スライドの折れ線グラフ)では、産業機械の受注と売上の指数の推移を示しています。直近6ヶ月の受注額を、同じく6ヶ月の売上高で割った指数の推移です。

コマツ産機はプレス機械・板金機械等の販売サービスを行っていますが、足元の受注が堅調であり、指数は100パーセントを上回っている状況であります。

一方、(スライドの)下のグラフ(に示された)コマツNTCは、トランスファーマシン・マシニングセンタ・クランクシャフト加工機等の工作機械の設計・製造・販売を行っています。現在の指数は100パーセントを下回っていますけれども、足元の受注状況を考慮しますと、大きな変化は見られません。

連結貸借対照表

続きまして、14ページの貸借対照表について説明いたします。総資産は前年度末比で1,367億円増加しました。増加した要因は、主に棚卸資産が増加したことです。棚卸資産につきましては、前年度末比では953億円増加しました。これは主に米国の需要増、また中国の春節対応に向けた需要増に対応するため、在庫を積み増ししていることによります。

借入金・社債は、前年度末比で1,556億円増加の9,662億円となりました。これは、先ほど述べました棚卸資産の増加に加え、日本においてサプライヤーへの支払いを早期化したことが影響しています。株主比率は前年度末比でマイナス0.5ポイントの48.9パーセントとなりました。

今吉琢也氏:経営管理部長の今吉です。それでは、ここから2018年度業績見通しと、主な市場の状況等についてご説明いたします。

2018年度の業績⾒通し(概要)

これまで9ヶ月間(2018年4-12月)の全社の業績、売上高・利益は、おおむね昨年(2018年)10月の公表値レベルで推移していることから、年間の業績見通しについては今回変更していません。16ページの資料は、昨年(2018年)10月の公表値をそのまま掲載しています。

<建設機械・⾞両>主要7建機の需要推移と⾒通し

17ページでは、主要7建機の需要推移と見通しについて説明させていただきます。数字については、当社推定の速報値です。

2018年度第3四半期の主要7建機の需要は、中国の需要が減少したものの、北米・欧州の需要が引き続き伸長した結果、前年同期比でプラス2パーセントとなったもようです。

<建設機械・⾞両>主要市場の需要推移と⾒通し︓ ①日本

18ページ以降は、主要市場の状況についてご説明いたします。まず、日本市場です。2018年度第3四半期の日本の需要台数は、前年同期比でプラス12パーセントとなったもようです。

需要増の主な要因は、2017年9月に開始された国内排ガス規制の駆け込み需要の反動減に歯止めがかかったことに加え、災害復興等によるレンタル需要が増加したことによります。

<建設機械・⾞両>主要市場の需要推移と⾒通し︓ ②北⽶

19ページは北米市場です。2018年度第3四半期の北米の需要は、前年同期比でプラス6パーセントとなったもようです。米国では中部・南部での土木・エネルギー分野、カナダでは住宅・非住宅がともに堅調でした。

第3四半期累計の需要は、前年同期比でプラス17パーセントです。前年度下期の需要がすでに高水準であったことから、伸び率は鈍化していますが、好調な状況が続いています。

<建設機械・⾞両>主要市場の需要推移と⾒通し︓ ③欧州

20ページは欧州市場です。2018年度第3四半期の需要は、前年同期比でプラス14パーセントとなったもようです。主要市場であるドイツ・イギリス・フランスの需要が引き続き堅調に推移したことに加え、東欧の需要が伸長しています。第3四半期累計の需要は、前年同期比でプラス11パーセントです。

<建設機械・⾞両>主要市場の需要推移と⾒通し︓ ④中国

21ページは中国市場です。需要の数字は外資メーカーの数字になります。2018年度第3四半期の中国の需要は、前年同期比でマイナス8パーセントとなったもようです。中・大型は減少していますが、小型については引き続き堅調に推移しています。

四半期ベースでは、2016年度第2四半期から直前の四半期(2018年度第2四半期)まで、前年同期比プラスが継続していましたが、10四半期ぶりに前年同期比でマイナスとなりました。

第3四半期累計の需要は、前年同期比でプラス19パーセントです。昨年(2018年)7月に、中国政府からインフラ投資拡大の方針が示されましたが、その効果はまだ確認できていません。経済の減速など、中国市場先行きの不透明感は続いています。今後は、春節明けの需要動向を注視していきたいと思っています。

<建設機械・⾞両>主要市場の需要推移と⾒通し︓ ⑤東南アジア

22ページは東南アジア市場です。2018年度第3四半期の東南アジアの需要は、前年同期比で横ばいとなったもようです。最大市場であるインドネシアの需要は引き続き増加しているものの、前年同期比の伸び率は前四半期に比べ鈍化しました。

<建設機械・⾞両>鉱⼭機械の需要推移と⾒通し

23ページでは、鉱山機械の需要推移と見通しについてご説明いたします。2018年度第3四半期の鉱山機械の需要は、前年同期比でプラス26パーセントとなったもようです。北米・中南米・CIS・オセアニアなどの需要が伸長しています。

【参考資料】 鉱⼭機械(本体) 受注/売上指数(6ヶ月)

ここで鉱山機械の新車の受注と売上の状況について、32ページの参考資料のBBレシオでご説明いたします。32ページは鉱山機械本体の受注と売上の指数の推移を示しています。

先ほど同様、グラフは直近6ヶ月間の新車の受注額を、同じく6ヶ月間の売上高で割った指数の推移です。(グラフ上段の)コマツアメリカ(マイニング)は、超大型ダンプトラックを製造しています。指数は100パーセント近辺で推移しており、受注・売上の状況に大きな変化はありません。

中段のコマツドイツ(マイニング)は、超大型の油圧ショベルを製造しています。ダンプトラックに比べて全体の販売台数が少ないため、指数のボラティリティは高い傾向にあります。100パーセントを挟み、中期的に推移しています。

下段のコマツ単独(マイニング)の指数は、100パーセント近辺で推移しています。受注・売上とも堅調に推移しています。

【参考資料】 KMC製の鉱⼭機械(本体) 受注/売上指数(6ヶ月)

続いて33ページでは、KMC製の鉱山機械本体について、2015年9月以降の受注と売上の指数の推移を示しています。(グラフの)上段のKMC<露天掘り>は、ロープショベル・ブラストホールドリル等の露天掘り鉱山向け機械の指数を記しています。受注に多少の波はあるものの、堅調な状態が続いており、指数は100パーセント前後で推移しています。

下段のKMC<坑内掘り>は、コンティニュアスマイナ・シアラー等の坑内掘り鉱山向け機械の指数を示しています。足元の指数は100パーセントを若干下回りましたが、受注は堅調な状況が続いています。

<建設機械・⾞両>鉱⼭機械の売上⾼の⾒通し

戻りまして、24ページで鉱山機械の売上高について説明いたします。このページ(のグラフ)では、2017年度からKMCを含めた鉱山機械の売上高を表しています。

2018年度第3四半期の売上高は、KMCを含む鉱山機械全体として、前年同期比でプラス10パーセントの2,779億円となりました。KMCを除く従来コマツの売上高は、前年同期比プラス10パーセントの1,839億円でした。従来コマツのベースでは、中南米・インドネシア・CISなどで売上高が伸長しました。

<建設機械・⾞両>部品の売上⾼の⾒通し

25ページでは、部品の売上高をご説明します。2018年度第3四半期の部品の売上高は、前年同期比でプラス6パーセントの1,551億円となりました。為替の影響を除くと、プラス8パーセントです。

内訳は、従来コマツの一般建機がプラス3パーセント、鉱山機械がプラス11パーセント、KMCがプラス10パーセントです。アフターマーケットの需要を確実に取り込んだ結果、売上高は前年同期比で伸長しています。

コマツ産機「FABTECH2018」に出展、コマツNTC「JIMTOF2018」に出展

最後に35ページです。左側(の写真)がコマツ産機です。コマツ産機は、昨年(2018年)11月に米国アトランタで開催された北米最大の板金・鍛圧機械の展示会「FABTECH2018」に、最新鋭の産業機械を出展しました。左下の写真にあります新型の3次元ファイバーレーザ加工機や、小型サーボプレスの実機に加え、中型サーボプレスの稼働ビデオや製品サンプルも展示し、受注も順調でした。

右側(の写真)がコマツNTCです。コマツNTCは、同じく昨年(2018年)11月に東京ビッグサイトで開催された「JIMTOF2018」に、最新鋭の工作機械を出展いたしました。これも実機の展示に加え、コマツ独自のIoT生産支援プラットフォーム「KOM-MICS(コム・ミックス)」を紹介し、多くの来場者にご注目いただきました。

私からの説明は以上です。