2018年9月期決算説明会
堀田哲平氏:みなさんこんにちは、堀田でございます。このたびはお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は決算説明が3分の1、中期経営計画について3分の1、そして質疑応答が3分の1の構成でまいりたいと思います。
それではまず、決算説明からまいりたいと思います。
2018年9月期 決算ハイライト
まず、2018年9月期決算ハイライトです。
特徴は、売上高が過去で一番大きかったことです。
それと、営業利益は少し減りましたが、M&Aの関連費用や固定資産の減損がありましたので、そこがなければその部分も過去最高となっておりました。そのため、配当を35円から36円に引き上げさせていただいたというのが、今回の決算の特徴となります。
2018年9月期 損益計算書
では、なぜ(売上高が)増えたかという部分ですが、新規案件の増加が大きな要素の1つになったと考えております。昨年(2017年)の10月にIPOした結果、会社としての信用力が向上したことにより、新規のお客さまからの引き合いが増えたことが特徴になります。
現段階で、当社においては研究段階を経て、そして製造段階に移っていきます。よく「売上に直接寄与するには、2~3年かかります」ということを説明しているのですが、もうすでに研究段階で走っているものがありますので、今後も新規案件はどんどん増えていくというのが、当社の予測になってきます。
今研究案件で行っていることが増えてきておりますので、今後は製造部隊の増強のみならず、研究開発部隊の増強……これが人の部分です。そして、製造プラントおよび研究開発の部分についての投資も、増やしていく予定になっております。
臨時的費用の発生に関して
今回は、売上高も伸びて、営業利益も(過去)最高にいく予定ではあったのですが、実際にM&Aを行おうとしたところ、デューデリジェンスの結果、「その会社は、買収には不適切」という判定がありました。そこで、手数料等がかかった部分があります。
そこの費用と、今後生産を増強するために、既存設備を一部撤去して新規設備の増設を行ったところ、会計上固定資産の処分ということで損益になっている部分があります。
これを合わせますと、ほぼ5,000万円になります。これが今回の決算において、営業利益が最高利益になっていなかった理由の1つになります。
「今回は、M&Aが失敗だったのか?」というと失敗ではなく……積極的に今後の展開を伸ばしていこうとしたなかで、デューデリジェンスの結果、会計士・弁護士から、その会社においてのリスクについて、かなりのところ隠れていた部分が見えてきました。そのため買収を中断したということで、結果的にはここの部分で止めておいて、非常によかったというところです。
それと、固定資産の損益の出たところですが、積極的な投資を今後行って、設備の増強を行うにあたって、既存設備の撤去になりますので、今後の収益増加のために必要な措置であったと考えております。
2018年9月期 貸借対照表
こちらは貸借対照表です。
昨年度のIPOによる公募増資で資金等をかなり入れていただきましたので、現金においても資産の部分(が増加し)、今後の投資を十分に行っていくには、かなり手元に余裕がある状況となっております。
ですので、今後しばらく人員の増強であったり、研究開発拠点・設備の増強をどんどん図っていく考え方にしております。
2018年9月期 キャッシュ・フロー計算書
こちらも上場に伴う費用が発生したり、いろいろ投資を行ったりした結果です。
全体としてキャッシュ・フローは……いろいろお金は使いましたが、公募増資により潤沢な資金があるので、積極的な展開が見込めるということで今後の計画もいろいろ立てておりますので、またのちほど聞いていただければと思います。
売上高推移
では、売上高がどう伸びたかという部分です。
全体として6.8パーセントの増加になりました。比率としましては、受託加工……材料をお客さまからお預かりして、それを顧客の望むかたちで加工する受託加工が、全体の4分の3を占めております。そして、研究開発が5分の1という構成で、残りがプラントサービスという部分になります。
「じゃあ、これが今後どのように伸びていくか?」ということなんですが、今後一番伸びが期待できるのが、今(割合としては)3パーセントの売上になっているプラントサービスの部分になります。
事業の流れとしては、まず研究開発を行います。そこでうまくいった案件で顧客から生産を委託され、当社にとっては受託加工と呼ばれる部分になりますが、こちらで収益を上げる。そして、いよいよ大規模生産に顧客が移っていく段階になれば、当社からプラント設備そのものを販売したり、生産技術を販売したり、特許の使用権を与えたり……というかたちで、収益を上げていくプラントサービスの部分に、収益が結び付いていきます。
ですので、まず伸びてくるのはこの受託加工の部分なんですが、5年後・10年後といったところでは、プラントサービスの部分が売上の大きな地位を占めてくることが計画されています。
研究開発支援
では、まずスタートの段階の研究開発。こちらがどれぐらい伸びたかということです。
こちらは、全体として4パーセント伸びています。研究開発は、実際は売上が立たない部分もかなりあります。共同研究等で無償で行っているものもありますので、全体として案件は増えていますが、売上としては4パーセントの伸びということになります。
今回の特徴は、これまではケミカル系……化学産業からの引き合いが当社の大半を占めていたのですが、これまであまり取引のなかったような農業関係や食品関係といったところからの研究依頼も増えてきました。これまでなかった業界からの引き合いも増えてきたというのが、この研究案件の特徴となります。
ただ、秘密保持の関係上、具体的な会社名は挙げられないのですが、いろいろな業界からバランスよく引き合いがとれているというのが特徴になっています。
受託加工
受託加工です。
こちらも堅調に伸びまして、やはり電子材料であったり液晶材料・光学材料といったような先端技術、ファインケミカルと呼ばれる分野からの引き合いが多かったのが、今回の特徴です。
今は医薬向けというところも、かなりの数をいただけるようになりまして、景気の動向に左右されにくい案件が増えているのではないかというのも、特徴の1つではあります。
プラントサービス
プラントサービスは、設備を販売した部分の数値で書いております。
「今後一番伸びる」と申し上げていた、プラントサービス。まず、プラントそのものを顧客に販売したり、生産技術を提供したりというかたちでプラントサービスを行っていくんです。ここの特徴は、「1回で売り切り」というものではなく、一度販売したプラントは毎年のようにメンテナンス需要が発生します。
そして、減価償却が終わった段階では、プラントそのものの改良・発展が顧客側から望まれますので、一度売ったプラントで、顧客と(の間に)できたパイプを活かして、長きにわたって収益を上げていくことができる。これがポイントになります。
プラントそのものを売った段階では収益は3割ぐらいにならないかもしれませんが、メンテナンスや改良といったところになりますと、粗利は実に半分になってきますので、数を売っていけば、将来的にそのこと自体が収益を確保していく要因になっていくというものです。
ですので、先ほど申し上げたように、5年後・10年後といったところが楽しみだというのは、実際のほとんどの顧客の償却年数は、だいたい7~8年でとっておられることが多いので、それぐらいのタイミングでプラントそのものの改良であったり、増設であったり……といったところも計画されていきます。このプラントサービスは、そういった5年・10年単位の目で見ていくのは、必要になっていく分野だと考えています。
純売上高推移
これは、純売上高(推移です)。
弊社の一番売上の多い受託加工の部分でありますが、こちらは顧客から材料を預かり、そのお預かりした材料を加工して提供するという商売を行っています。
ただ、ものによっては、一度当社が原料として買い上げて原料費に加工費を乗せたり、原料費に研究開発費を乗せてまた販売するという形態をとっているものも、一部あります。そうしますと、実際に原料として買った部分ではなくて、純粋な加工費および研究開発費としてどれだけ伸びたかというのが、こちらの指標になります。
それで見ますと、全体として7.1パーセントの増加。当社の実態を一番よく表しているのは、こちらになります。ですので、真水の部分では約7.1パーセント売上が伸びたと解釈していただいたらよろしいかと思います。
従業員数推移
今まではお金の話だったんですが、「実際にプラントを動かす『人』という部分についてはどうなのか?」ということなんですが。
製造にあたる人員は、今まで35名だったところが42名に増えました。これは、2014年から約4年間で倍の人数に増えたことを意味します。この(2016年9月期の)手前は書いてないんですが、約4年間で倍に増えてきています。
だいたいここの部分が難しいところでして、「仕事があるのであれば、どんどん人を増やして売上を伸ばせばいいのではないか?」という考え方もできるのですが、そうしますと、安全・品質・環境対策をきちっと担保して仕事をしていこうとすると、倍々ゲームで人を増やしてそこができるかと言ったら、そうではないです。
当社の過去の経験では、約15~25パーセントぐらいの増員率であれば、平均的に伸ばしていくことがよかったり(する)部分になりますので、人の増員は、1年間において15~20パーセントというところが1つの目安になってくると考えています。
通期業績予想
今後に関してです。
来年の2019年9月(期)で、どれだけ売上が伸びるかというところですが、今年(2018年)が12億1,400万円というところでしたが、来年は12億5,900万円を予測しております。
そして(営業)利益につきましては、(2018年の)2億100万円から2億500万円というところの予測があります。利益がもう少し伸びそうかというところなんですが、こちらは設備投資等を積極的に行っていきますので、そちらの償却がありますから、利益の伸び方は緩やかになるというところです。
では、「利益がいつ伸びるか?」ということになってきますと、設備投資がある程度一巡して償却等の費用が発生しにくくなってくると考えますと、これはだいたい5年後から10年後ぐらいというところになります。やはり、ここ5年ぐらいは設備投資等をしっかり行って、将来への種まきをしていく時期になりますので、売上は伸びますが、利益の伸びはそれに比べて少し緩やかになります。
将来的に、5年後からだんだんと利益率が上がっていって、10年後等を目指していくのは……世界的なファインケミカルに関わっている企業の、売上に対しての営業利益は、約3割といったところがたくさんあります。
当社も結果的に、そのような売上に対して営業利益が3割に近づいていくというのが、今後の見通しになります。
連続蒸留パイロットプラント新設
「将来的に投資を行っていきます、研究開発もします」ということですが、具体的にどういったものを行うのかという一例を示したいと思います。
こちらは「連続蒸留パイロットプラント」というもので……「なんだそれは」ということなんですが、連続蒸留棟の「連続」というのは、「材料を連続的に投下して、製品を連続して取得できるプラント」という意味です。
当社が得意としていますのは、「バッチ式(回分式)」と呼ばれる、一回材料を入れて、一度製品をつくり上げるといった設備です。これを中心として今まで行ってきましたが、顧客の要望により、事業の大型化(に適した連続式を導入します)。研究段階が終わり、小規模生産・中規模生産が終わって大規模生産に移行したあとは、連続で生産を行う必要があります。
その顧客が連続で生産を行うにあたって、スムーズに大規模生産に移行するためには、連続生産のパイロットプラントを大阪油化工業が制作して、顧客の設備投資を行う前に、大阪油化工業で大規模生産を行う前の段階のテストを実機で行う。
これまではコンピュータ上のシミュレーションで行われることが多かったんですが、それではどうしても、「あくまでも計算機上の答えにすぎない」ということがあります。やはり計算機で出た結果と、実際にプラントを動かして得た結果の差を見ていくことで、より生産効率・エネルギー効率を上げていくことに繋がります。
この連続蒸留パイロットプラントの制作により、これまでの研究開発はフラスコレベルの小さな部分の研究開発が中心だったものが、大規模な工場を設立するための、大規模な設備投資を行われる会社の設備を導入される前のテストも受けていくことができるというのが、特徴になります。
「これに、どれぐらいの需要があるか?」ということなんですが、私も学会等に出席していますと、「大型の設備を導入する前のテストを行ってほしい」「計算機だけではなく、実機でデータをとりたい」というお客さまの声を、いろいろ耳にすることがありまして。実際に業界から今求められているサービスということで、設備投資を行いました。
ですので、今後の設備投資としては、実際に顧客の声があってつくっていったものということで、将来的な売上増加や研究開発能力の増強に繋がっていくものと考えます。
大型蒸留設備改造
大型化したプラントのためのシミュレーションであったり、テスト結果の必要性は今申し上げたとおりなんですが。既存の設備においても、実際に今1万リットルの容積の設備があります。これは、当社で一番大きな容積の設備になります。
今求められている顧客の問題点として、「今までよりも省エネルギーで、さらに高度な内容の物質を生産したい」といった要望が増えてきました。その時に、我々が技術者として対応しなければいけないのは、これまでよりも設備そのものの能力を増強することです。
その一例として、これまでよりも高い温度域や高い真空度域での設備を持つことが必要となりますので、既存の設備の改良・発展により、受けられる仕事の幅も広げていく。これが、設備の改造となります。
今、全会社のプラントを設備改良を順次計画しておりまして、すべての設備の改良が終わりましたら、生産能力そのものは3割近く増えるということになります。
本社移転・東京営業所開設
我々は社名のとおり大阪に営業所があり、本社も大阪にあるのですが、今売上の半分以上は関東地区からのものとなっております。
顧客サービスの一環ということもありまして、顧客と実際にスピードよく円滑に話を進めていくにあたって、東京営業所の設立が強く望まれていたこともありますので、まず来年(2019年)の1月から東京営業所をスタートすることにしました。
もうすでに場所も選定が終わりまして、先発メンバーが行っております。今後、東京を中心としたお客さまからの開発案件や製造案件を、よりスピード感をもって対応していくために東京営業所をつくります。そして大阪も、これまで工場と営業所が一緒になっていたんですが、工場は工場の機能(に特化させ)、そして営業所は駅前の利便性のよい場所に移動することにしました。
これは、新大阪駅や京都駅の新幹線のホームを降りてから1時間以内に行ける場所ということで選定した結果、枚方駅前に営業拠点・本社機能をもっていくことを決めました。これが、顧客対応の質の向上をさらに図っていくことに繋がります。
事業の流れ
事業の流れというところ(をご覧ください)。これが、当社の事業の最大の特徴であります。
研究開発が得意な会社もあれば、製造が得意な会社もあったり、設備を提供するのが得意な会社(など)、いろいろあります。これらの3つともトータルでサービスを行うということが、当社においての特徴です。
会社によっては、「グループ内で研究開発も製造も、そしてプラント設計も、みんな行う」という業態もあります。ただそれは、社会に広くサービスとして提供されているのではなく、グループ内だけの仕組みとして機能している例も多いのではないでしょうか?
この精密蒸留の分野において、研究開発から小・中規模生産、そして大規模生産にいたるまで、循環してサービスが提供できる。これが大阪油化工業の特徴であり、今後事業が伸びていく要因の1つだと考えています。この一気通貫でのサービスを提供するということがポイントになります。実際に、アメリカやドイツの、我々と近いファインケミカルに関わるような生成をやっている会社は、この仕組みで回しておられます。
日本は、技術的にアメリカやドイツに遅れているわけではなく、(ただ)ビジネスの仕組みとしては、やはり欧米のほうが先に進んでいた部分は多いと言われるこの化学の業界ですが、何が(当社の)特徴かといいますと、「開発から大規模生産にいたるまで、循環型で機能している」というところが1つの理由として挙げられます。その仕組みをきちっと導入してきたというのが、この表になります。
それではここをもちまして、決算説明とさせていただきます。
事業領域
では、続きまして、次の3年の中期経営計画についてのお話を聞いていただければと思います。
「我々大阪油化工業が、何をやっている会社か」というところを振り返ってみますと、蒸留という、ものの沸騰する温度の違いを利用して必要な成分を回収したり、不要な成分を除去したりする技術を持った会社と(いうことです)。
そのなかでも、新しい蒸留技術を開発したり、顧客に置き換わって小・中規模生産を高度な内容で提供したり。そして最終的には、大規模生産に移行する顧客に対して生産設備を提供したり、生産技術を販売したりするということで行ってきた、「蒸留技術のリーディングカンパニー」ということが言えます。
大阪油化のこだわり
では、何にこだわって「精密」と言っているのかと(いうことです)。
「精密」の定義ですが、「精密」に行っているのは、この(精密蒸留)技術のところにあります3つの部分です。
「温度」「時間」「圧力」というところで、まず温度におきましては0.1度きざみ。圧力におきましては、大気圧の1万分の1の単位でコントロールしていきます。そして時間は、0.1秒単位でのコントロールを図ります。この「温度」「圧力」「時間」のコントロールを精密に行っているのが、「精密蒸留」の特徴です。
料理に例えていただくと、少しわかりやすいかもしれません。料理の場合も、実際の温度管理であったり時間の管理であったり……(精密蒸留の)圧力の代わりに、料理の場合は塩加減というものになってくると思うんですが、「まったく同じ材料を使っても、使う技術者によってできあがりが違う」ということです。それが、この精密蒸留にも当てはまります。
そして、我々がなによりも重視してまいりましたのが、「安全対策」「品質対策」「環境対策」といったところです。これは、法令に定めてあるものを遵守するのはもちろんですが、現在の技術的に可能な部分は最高レベルで提供していくのが、大阪油化工業の方針です。
我々は、顧客に研究開発を依頼されたり生産を委託されたりする立場でありますので、顧客企業よりも品質、安全そして環境に対しての取り組みが優れていなければ、評価の対象となり得ません。でありますので、この3つは非常に重要視して行ってきました。
大阪油化の実績(1)
先ほど見ていただいたとおり、売上も順調に伸びております。その実績をつくってこられたのは、やはり過去からの積み上げが大きな要因となっています。
来年で創業して70年となりますが、その70年間の間に生産した品目は、実に1,000品目を超えます。研究案件も含めますと、3,000品目以上の実績があります。
この実績を買っていただいて、次の仕事に繋がっているということになりますので、これは新規参入等が難しい要因の1つだと考えている部分です。ですので、我々にとって大切なのは、この実績を信頼してくださるお客さまに対して、誠実にお応えしていくことだと言えます。
大阪油化の実績(2)
取引分野は、もう多岐にわたっています。
今は「ファインケミカル」「機能科学」「先端科学」と呼ばれる分野や領域を超えて、幅広い分野から(お客さまが)きております。
見ていただいたとおり、過去はやはり「電子材料」「液晶材料」「光学材料」などが多かったのですが、今は「食品」「農業」「医薬品」といった、バイオ関係からの受注も増えているというのが特徴になります。
これは、特定の分野がどんどん伸びていくというのは、全体としても垣根がほとんどなくなってきているなというのが印象です。
もう、会社として先端科学や機能科学を研究しておられるところは、もう領域を問わない時代になってきました。技術を試行して基礎研究にしっかり力を入れておられる会社は、これからも顧客対象となっていくというのが、我々の考え方です。
外部環境
それでは、次にまいります。いよいよ、「3年後、どうするか?」という話です。
まず、市場の成長はどうかというところでいきますと、このファインケミカルの市場は、だいたい世界的に見て4パーセント成長していると言われております。こちらは、日本の得意な素材分野に限って言いますと、5パーセント以上の成長が見込めていると言われる分野になります。
世界的には約5,000億ドルのマーケットがあると言われており、日本のマーケットはその1割ですので5億ドル、約5兆5,000億円程度のマーケットがあるとされています。
そのなかでも、各企業で約3.56パーセントといった研究開発費をかけていることがありますので、研究部分においても、約2,000億円の市場規模があると考えています。
これまでは、各グループ内で研究開発を完結させている例が多かったのですが、今は非常に高度な内容に世界中の研究が移行していることを考えますと、もはや自社グループだけで研究を終わらせるのではなく、外部の専門家の力を借りる会社が増えてきたのが特徴です。
そうしますと、我々のような専門家の出番が、今後ますます増えていくものと考えます。
定量目標
「実際に、どれぐらい伸びるのか?」ということなんですが、「3年後に、売上高を16億円まで伸ばす」というのが、1つの目標になってまいります。そして、売上高に対して営業利益(率)も20パーセントを超えて、3億円に伸ばしていくというのが目標になります。
今後は売上高も伸ばしていくんですが、営業利益率というところも、3年後は20パーセントを超えたところが……今後の10年後とかを目指して、売上に対しての営業利益率が3割を超えるような体制にもっていくというか、自然とそうなっていくというのが、我々の所属している業界の特徴ではないかと考えています。
設備投資計画
そのためにも、積極的な設備投資を今後行っていくと(いうことです)。
もうすでに行っているんですが、まずは既存のプラントを大事にして、さらに改良・発展することで仕事の幅を広げていく。そして、新しい研究開発のための設備をつくったり、研究開発の拠点をつくったり、新しい生産設備を増強していくということを、今後3~5年かけて、しっかり行っていきます。
ですので、ここ3~5年については、売上を伸ばしていくことはどんどん増えていきますが、営業利益の伸びは、売上の伸びに対して少し緩やかになるというのが特徴になってきます。
事業戦略
では、「じゃあ、何で売上を伸ばしていくか?」ということなんですが。
今一番売上が立っている4分の3の部分は、受託事業で顧客からお預かりした原料を加工するというものです。この受託事業からの売上が伸びています。やはり、こちらも今後の伸びに期待できるところですし。
さらに、一番伸び率のいいところになりますと、2番のプラントサービスというところです。プラントを販売して、そのプラントの販売した収益であったりメンテナンス費用であったり改良費用をいただいていくことで、顧客とともに売上を伸ばしていく部分が、プラントサービスになるというところです。
そして、3つ目。当社の売上は、ほぼ100パーセントが日本国からの受注になります。海外案件もけっこうこなしているんですが、間に商社が入ったり、顧客企業の日本法人からの受注となったりしていますので、今後直接海外の事業体からの取引を増やしていくというのが目標になっていきます。
そのためのプロジェクトチームを発足いたしまして、今後具体的にどのようなかたちで海外展開を伸ばしていくのかといった計画を詰めているところになります。
輸出を中心とするのか、輸入を中心とするのか、研究開発に重点を置くのか、それとも設備販売を重点的に行っていくのかといったように、まずは何を重点的に行っていくかということをしっかり詰めて、今後の売上・利益増強に繋げていくという考え方になります。
1-1.受託蒸留の売上目標(研究開発支援)
各分野ごとの売上目標を、どのように伸ばしていくかということです。
そもそもは、研究開発からスタートします。こちらの研究開発は無償で行っているものもありますので、すべてが売上に結び付くものではありませんが。
売上に結び付くものを合わせていきますと、3年後は約3億円といったところが、今後の増強の計画になっていきます。
そのためにも、新しい研究開発拠点や研究開発のための人員の増強を積極的に図っておりまして、今後の基礎をつくっていく部分と考えていただければよろしいかと思います。
1-2.受託蒸留の売上目標(受託加工)
そして、今もっとも売上を上げているのは、この受託加工の部分になります。こちらも3年後、約11億円の売上を目指していく部分になります。
既存設備の能力増強であったり、新規設備を入れることで、受託できる案件の量を増やしていき、さらに売上を伸ばしていく計画になります。
2.プラントサービスの売上目標
最後に、新しい装置を販売したり、そのメンテナンス費をいただくことで、先ほどから説明しているプラントサービス(で)、3年後には売上を2億円という部分に育てていくというのが、今後のもくろみになります。
先ほどの研究開発・受託加工、そしてプラントサービスの全部を合わせて(売上高が)16億円、そして営業利益が3億円というのが、今後3年後の計画になってまいります。
3.海外展開に向けた施策
最後に、海外展開をどう行っていくかということです。
今は新しい案件を、商社を仲介することなく直接受けることによって、顧客にとっても費用を抑えられますし、我々にとっても利益を伸ばしていくことに繋がったりするということです。今後も伸ばしていけば、さらに海外案件が伸びていくのではないかと思います。
実際に、引き合いそのものはいろいろときております。我々のように高度な精密蒸留を行えるのは、北米・オセアニア・ヨーロッパしかないです。東アジア(にも)精密でない蒸留を行える会社はいろいろありますが、研究開発であったり高度な生産を行ったりするとなりますと、どうしてもこの東アジア圏を拠点として機能できるのは、今のところ日本しかないです。そういう意味において、いろいろと問い合わせも増えております。
この海外事業で、具体的にどこの地区から引き合いが増えるかと言いますと、近隣でありますと中国・台湾・韓国といったところもありますし、実際に問い合わせがきているところでは、ベトナム・インドネシアといった東南アジアも含めた範囲。そういったところからも、シンガポールも含めて計画に入ってきているところになります。
あとは、実際にヨーロッパ・アメリカからの引き合いはどうかと言いますと、こちらはわりと大きな組織体が多く、日本法人を持っておられることが多いです。そこはやはり、日本法人であったり商社を通しての案件が増えていくのではないかなというのが、今の感触です。
3年後の目標数値
最後に(3年後の目標)数値の確認になりますが、売上高は16億円、そして営業利益は3億円、配当性向としては3割を超えるようにしていこうというのが、大阪油化工業としての考え方になります。これが、中期経営計画となります。
以上、説明とさせていただきます。ありがとうございます。