2019年3月期 第2四半期トピックス
守本正宏氏(以下、守本):こんにちは、FRONTEOの守本でございます。
それではさっそく、2019年3月期の第2四半期連結業績となります。
本日もいつもどおり、第2四半期の連結業績概要に続いて、事業アップデート、2019年3月期ガイダンス・中期見通し、そして質疑応答というかたちで進めさせていただきます。
まず、この第2四半期のトピックスです。
リーガルテック事業に関しましては、昨年(2017年)から進めてまいりました構造改革によって、利益体質は十分築いたと(いうことです)。
もう1つ重要なことは、アメリカでアジア(大型)案件をとってくることを進めてまいりました。アジアの日本も含めた大型案件受注を、ようやくアメリカでとることができてくるようになりました。
実際に、このアジアの大型案件の受注もできたのですが、第1四半期・第2四半期に関しましては、売上高としては(増減が)一定幅ではありますが、一応(営業)体制としては十分に強化できていると考えています。
また、AIソリューションに関しましては、ようやく我々も、お客さまが実際にAIを使えるかどうか試すフェーズから、もう製品も含めた実際の運用・導入まで進めていくという、我々の営業体制も含めた新しいフェーズに移行したということで、進めております。
売上高に関しましては、期末への偏重(型の傾向)という部分がありますので、年度の売上の進捗率としては22パーセントでしたが、基本的にこれは想定内(レンジの推移)であると考えています。
その結果、トータルとしましては、上期は全体の通期計画に対して、弱含みであることは間違いないのですが、戦略的なアクションに関しては着実に進捗して、下期パイプラインも獲得しておりますので、通期予想(の達成)に、現在順調に進んでいると考えております。
2019年3月期 第2四半期 連結損益計算書
それでは、連結業績概要をご説明します。
売上高に関しては、先ほどご説明したとおり、上期としてはまだ(計画対比で)弱含みということは(事実として)あります。
まずリーガルテック事業に関して、第2四半期の営業利益は3,400万円ということで、(前年の)上期に比べて落ちておりますが、これは利益体質が悪くなったということではありません。
この第2四半期は、我々がもともと課題として昨年度(2018年3月期)に掲げました、(米国の)内部統制強化に向けたコンサルティング費用として、約1.5億円規模のものを外部に委託してやりましたので、今回は一時的な費用が発生しております。それを除きますと、我々の営業利益率はほぼ(変わらず)十分に維持していると考えております。今後はこの一時的な費用は発生しませんので、下期に向けて、利益はまた十分に出てくると考えております。
AIソリューション事業は、第2四半期に関してはまた利益が出てくるということで、さらに今後は下期に向けて売上も上がってきますので、(より)十分に利益を確保できると考えております。
連結売上高の推移 サービスタイプ別
次に、サービスタイプ別の連結売上高の四半期推移です。
メッセージはもうシンプルで、確実にステージ(Stage3)のなかで(想定の)レンジのもとで動いているということで(はありますが)、少しでも早くこのレンジから抜け出せるように、次のステージにいけるように、売上をもっていく必要があるというところでございます。
リーガルテック事業 売上高・営業利益の推移
リーガルテック事業の売上高・営業利益の推移です。
やはり、アメリカでアジア案件をとる体制は強化しておりますが、先ほどもご説明しましたように、第1四半期・第2四半期に関しては、まだ売上高の数字としては(貢献できるものに)できていないと(いうことです)。
一方で、先ほどご説明したように(米国の内部統制強化に向け)コンサルティング費用がかかっておりますので、営業利益も全体としては少ないということです。これは、一時的なものです。
リーガルテック事業 大型案件顧客の推移
(リーガルテック事業の)大型案件顧客の推移です。
今年度(FY2018)も第2四半期に2社獲得していますので、これも順調に推移していると考えております。
リーガルテック事業 顧客ホームカントリー別売上高の推移
リーガルテック事業の顧客ホームカントリー別(売上高の推移)です。
要は「アジア案件を、どれだけとれているか」ということなのですが、この(黄色のグラフにある)ように、第2四半期では、まだ売上としては上がってきておりませんが、今後の第3四半期・第4四半期に向けて、アジア案件の売上が上がってくると考えております。
AIソリューション事業 分野別 売上高の推移(海外AIを除く)
次に、AIソリューション事業です。
前年同四半期比1.4倍の売上ということで、期末偏重(型)であって、まだ第1四半期・第2四半期ではそれほど大きな伸びがありませんが、これも想定レンジ内で推移していると考えております。
AIソリューション事業 導入社数の推移
導入社数に関しましては、すでに(累計で)121社を超過しております。
第2四半期で上がってきましたので、これも今後、売上に反映されてくると考えております。
2019年3月期 第2四半期 連結貸借対照表
連結業績概要の最後の、連結貸借対照表です。
ポイントとしては2つありまして、(1つ目は)「現預金の減少が10億円」とあるのですが、これは主に、借入金の返済によるものとなっております。
それから(2つ目は)自己資本比率が、前連結会計年度末より4.4パーセント改善したと(いうことです)。これに関しては、やはり利益が出ているからだと言えると思います。
リーガルテック事業 アジア大型案件獲得に向けた取り組み
それでは次に、事業アップデートに移ります。
これは従前からお話ししておりますように、アジアのクロスボーダー案件の営業をとるようにしたことが、確実に動いてきたということです。現在、日系大手メーカー、アジア資源エネルギー系の案件(がFY下期パイプラインにございます)。
あとは、これはアジア案件ではありませんが、共同してアジアとの地域の情報交換などを行った結果、米国大型金融系(複数)や、米国大手IT企業の案件なども、パイプラインとしては入っているということです。下期に関しては、今後売上を上げていくと考えております。
これまでと大きく違うのは、アメリカの調査案件なども、立ち上がってきても、今までは日本で一生懸命営業して、日本でなんとかとっていくということしかなかったのが(現在は)アメリカでも(案件が)とれてくるということです。
とくに、アメリカでもいち早く(案件を)キャッチして、もう企業さまだけではなく、法律事務所が我々を推薦してきて、大型案件等をとることができている気がします。そのため、我々が本当にやりたかったことが、ようやく実現できている状況であると言えます。
リーガルテック事業 作業を飛躍的に効率化するための取り組み
さらに現在は、営業体制の改善によって、今後の売上を伸ばしていこうということを進めていますが、それに加えまして、テクノロジーによるイノベーションを進めていこうと(いうことです)。
これまで(多かったもの)は、とくにマーケットサイズの大きい、レビューのビジネスです。「ドキュメントレビュー」というビジネスは、やはり弁護士さんのように専門性がある方がレビューをするとか、あるいは人件費が安い地域・国のレビュアーを使ってやっていきます。そこで、クオリティはともかく、コストの競争などがあります。
ということで、我々がロストした部分も多かったのですが……AIを使った、圧倒的な技術力の差。これまで(人海戦術による)ドキュメントレビューが、1人1時間です。(その時間で処理できる限界が)50ドキュメントや60ドキュメントというところを、(AIを使うことによって)一気に100ドキュメント、あるいは300ドキュメント。場合によっては1,000ドキュメントまで(に拡大するということで)人では絶対にできない、でもAIでやって(いけるということです)。
しかも、訴訟でも証拠として認められる体制を作っていくことで、現在は我々のAIレビューソリューションを開発しています。これも順調に推移していまして、今年度(2019年3月期)中にリリースをしていきます。
これを来年度(2020年3月期)、実際にマーケットに出していきます。ポイントとしては、アメリカでこれをリリースします。アメリカでリリースしてマーケットに出すことによって、圧倒的な差をもって(ドキュメント)レビューの市場も獲得していくことを目指してまいります。これも現在、順調に推移しています。
AIソリューション事業 本格導入の促進に向けた取り組み1
一方で、AIソリューション事業です。
先ほどもお話ししましたように、我々はすでに、AIをお客さまに使ってもらって、本当に使えるかどうかを試す、いわゆるPoCという段階はほとんど終えており、今度は最終的な(業務への本格)導入に向けて、プロモーションをさせてもらっています。まさに、業務への本格導入フェーズに入りました。
ですので、コンサルティング業務を理解する最初の導入部分から、データ解析もPoCという、導入に向けた準備ということで進めさせていただいています。もう、我々がすでに持っているアプリケーションをそのまま提供するか、場合によってはお客さまのシステムへ導入するための受託開発をするか(という段階です)。
いずれにしても、導入に向けたステップを進めて、場合によっては運用も支援していく。このような体制も作って、今は提供しています。
AIソリューション事業 本格導入の促進に向けた取り組み2
その(AIソリューション事業の、本格導入の促進に向けた)中の重要な施策の1つとして、我々の人工知能の「KIBIT」のそのものの能力を上げています。
第2世代の「KIBIT」ということで、(2018年)11月5日に「KIBIT G2」を発表いたしました。
主な改善点としましては(3つの技術革新があり)「Scalability」、あと「迅速性(Speed)」などがありますが、これまでの規格で並列処理をすることによって、データを入れて答えを出していくことが、現在(の「KIBIT G2」では)リアルタイムでの処理も可能になりました。
さらに今後、お客さまのシステムへの導入、あるいはパートナーさま等が持っているシステムとの連携を強化するためのAPI連携機能も付加しています。「KIBIT Connect」と呼んでいますが、これもリリースします。
さらに、パートナーさまとの拡販体制の構築も進めています。すでに、パートナーさまからの大型案件の受注なども始めています。
AIソリューション事業 本格導入の促進に向けた取り組み3
そして、さらに本格導入の促進の目玉の1つを、今週の金曜日(2018年11月16日)にオープンします。すでに発表しているのですが、「FRONTEO AI BizDevOps Lab.」です。簡単に言うと、AIの導入を推進・支援するための施設・設備・チームを立ち上げました。
実際に導入・運用するために(必要なものが)いくつかあるのですが、大きく分けて2つのチャレンジがあります。1つは、「教師データ」の作成です。教師データの作成は、けっこう大変なところがありまして、実際にお客さまにAIを使ってもらうためには、まずAIに(データを)覚え込ませなければいけないのですが、覚え込ませるためのデータが教師データになります。
その教師データを最適化しないといけないのですが、教師データを最適化するためには、いくつか条件を設けて、最適なところを統計的に出していくことが必要になりますが、そこを我々が持っているノウハウで支援していく。
実は、この教師データを「作る」「最適化していく」ということで、1つのチャレンジがありまして。それは、AIでは普通、大量の情報を覚え込ませないといけないのですが、我々の場合は少量(の情報)でできますので。
少量のデータがあることによって、効率的に、しかも迅速・正確に精度良く最適化ができるということです。これは、導入に非常に重要な(ことで)、少量の教師データでできることがポイントです。それも併せて、教師データの作成・最適化支援を行ってまいります。
また、もう1つのチャレンジは何かと言うと、AIが出してきた(解析)結果を、実際にお客さまの運用・業務の改善にどのように使うか。これも、1つのチャレンジになります。
(どのようなことかと言うと)AIが出してきた結果を、スコアリングして重要なデータを出すときに、「じゃあそれを、一体どう使うんだ?」と。リスクがあることを理解して、AIが(データを)出してきた。
「じゃあ、これを実際にどうやって業務に運用して、問題を解決していくんだ?」というところも、実は大きなチャレンジなのですが。その部分も、これまでの120件以上の導入事例などから……我々の中にも、そのようなノウハウを持っていますので、お客さまと一緒に運用方法の提案などもできるということです。これを、「FRONTEO AI BizDevOps Lab.」でやっていきます。
さらにもう1つは、これまでの経験、またこれからのお客さまとの業務の中で、技術部隊へのフィードバックをして、我々の「KIBIT」を使ったアプリケーションの改善なども、この「FRONTEO AI BizDevOps Lab.」で行っていきます。
我々のAI事業の一番の特徴は、AI技術があって、それを(活かして)お客さまのニーズにどうやって応えようか。あるいは、どのニーズに応えようかということをやっていたわけではなくて。
もともと、ドキュメントでテキストベースの情報から、ある専門家が判断していく。その難しさのところを、AIでカバーしていく。そのようなソリューションに特化していますので、業界が違ったとしても、やっていることとしては同じものを提供しています。
そのような意味では、お客さまのニーズと、我々の技術のギャップはほぼない状態で、我々は(ソリューションを)ご提供しているということです。(お客さまの)運用にも非常に近いですし、実際に貢献できているということが言えると思います。
どちらにしても、この「FRONTEO AI BizDevOps Lab.」は今後、お客さまの導入のために非常に重要な施設・設備になると考えています。ある意味、象徴的なソリューションになります。
2019年3月期 ガイダンス
それでは最後に、(2019年3月期)ガイダンス・中期見通しになります。
先ほどご説明したように、我々が取り組んでまいりましたアクションは、現状、順調に推移していると考えています。基本的には、売上高あるいは営業利益の部分に関しましては据え置きで、これに向けて進めてまいります。
中期見通し
同様に、中期見通しに関しましても、すでに来年度に向けた活動を始めています。
Next Levelへの成長イメージ
これも順調に推移して、2021年3月期におきましては、年間売上高で300億円という次のステージ(Stage4)を目指していくということで、進めてまいります。
我々の事業は、先ほどもご説明したように、テキスト(記録)の中からリスクやチャンスを見つける。これによって、さまざまな不公平な情報を……人によっては「証拠が見つかる」「見つからない」とか、「病気の診断が正しい」「正しくない」ということを、AIによって少しでも改善していくということで、情報社会にソリューションを提供していきます。
お客さまのもとに(ソリューションを)届けられるように、今後も全社一丸となって進めてまいりたいと考えています。
以上で、ご説明を終わります。ありがとうございました。
質疑応答:リーガルテック事業の費用について
質問者1:ご説明ありがとうございました。質問を、簡単に3点お願いいたします。
1点目ですが、「第2四半期の3ヶ月で、リーガルテック事業で費用が1.5億円かかって、利益を圧迫しました」というお話でしたが、この1.5億円はご計画に含まれていたんでしょうか? それとも、突発的と言いますか、四半期(内)で判断されて使われたのでしょうか? そこについて、確認させてください。
上杉知弘氏(以下、上杉):管理本部長の上杉でございます。ご質問ありがとうございます、お答えいたします。
1.5億円に関しましては、計画に含まれていました。すべては計画進捗どおりに進展しているということで、ご理解いただければと存じます。以上です。
質問者1:2点目の質問でございますが、「売上高は、計画比が弱含み」というコメントだったかと思います。一方で、利益については何も書かれていないのですが。具体的な数字がお聞きできるかどうかわかりませんが、ご計画に際して、上期の売上高・利益は、どのような着地になったのかを教えてください。
上杉:お答えいたします。売上高については、守本のプレゼン資料(の4ページ目)にもありましたとおり、弱含みで、計画を下回っている状況でございます。利益については、ほぼ想定どおり(の進捗)でございます。
質問者1:リーガルテックもAIソリューションについても、確か「今期は、下期のほうが強く出ます」という話をけっこういただいていたのですが、上期はいくらぐらい下振れるかは、お聞きできないんでしょうか?
上杉:当初、第2四半期では売上高で30億円以上を想定していました。また、第2四半期の実績は28億5,400万円ということで、そのぶん下振れということで、ご理解いただけるかと思います。
質問者1:わかりました。
最後の3点目は、コンサルティングのところですが、今回この1.5億円を入れられて……漠然とした質問で申し訳ないのですが、コンサルティングを入れた場合と入れていない場合で、将来的に、業績に「このようなところに違いがあります」というものがなにかありましたら、教えてください。「1.5億円」は、御社の営業利益率に対して(インパクトが)大きいので、どのような考え方で入れられたのかを教えてください。
上杉:弊社は残念ながら、3年連続でマテリアル・ウィークネスです。内部統制上の重要な欠陥(によるもの)で、確かにこれ(1.5億円)のあるなしで、売上に直結するものではないのですが、やはり会社上……NASDAQを含めて上場している会社の安定性という意味では、やはり内部統制をしっかりと整備する。これも、会社の基本的なインフラだと認識しています。
今回は、非常に強い決意で「内部統制を抜本的に改革する」というところで、やはりいろいろな内部統制のコントロールのデザインを抜本的に見直しているところで、これだけではないのですが、多くの資金を戦略的にここへ投入したかたちです。今後の会社の成長の下支え、ベースとなる投資だと前向きに捉えています。
質問者1:ありがとうございました。
質疑応答:リーガルテック事業の下期パイプラインについて
質問者2:先ほどリーガルテック事業のところで、(FY2018の下期の)パイプラインの動向の話をされていましたが、そもそもリーガルテックだと、お客さんの需要を取って案件が始まる傾向がありますし、案件について(先方と)いろいろと話しても、結局は他のところにさらわれるということも、けっこうあると思うのですが。
そもそもパイプラインをどう捉えてらっしゃっていて、それが業績の先行きを示すにあたって、そもそも意味がある情報なのかというところ。もし、それに意味があるのであれば、案件数で言うとどれぐらい増えているのかという(ことについて)過去3四半期ぐらいの動向を、教えていただければと思います。
守本:まず、パイプラインの考え方です。以前はパイプライン(について)、とくにアジア案件も増えて、パイプラインそのものが、アメリカからではなく、日本で情報を得ることが多かったということがあります。
日本で得ると、パイプラインそのものが……先ほどおっしゃったように、ある程度情報を得ても、「格の高いパイプライン」として、本来の売上につながるパイプラインとして数えられるかと言うと、昨年度(2018年3月期)の体制のままだと、つながらなかったのですが。
今回も、これらの案件がほぼ始まりそうなところから、USで情報を得て、それを我々のパイプラインの中に入れて追いかけていって、実際にこれらの案件と(なると)いうところです。
おっしゃったように、確かに以前の場合だと、あとで「(他の会社に、案件を)取られました」とか、一生懸命営業をかけても、例えば「日本の企業さまでは使っていただくことがあったのですが、結局アメリカでひっくり返された」みたいなことがありましたが、もう(現在では)アメリカも含めて、我々に推薦をいただくという体制になってきていますので(案件受注に関して)以前よりかなり高めの確度が出ていることは、言えると思います。
具体的な案件としては、ここではお話しできませんが、これまでのような調査系の案件や、あるいはアメリカで受注して、しかも日本の中でも大きいと思われている案件のものでも、(繰り返しますが)アメリカでも我々を推奨してもらえる体制になってきていることは、大きいことだと考えています。
質問者2:定性的に言うと、規模感ではどれぐらい増えている感じでしょうか?
守本:規模的には、まさに我々の考えているミリオンダラーに近い案件が、もう複数個パイプラインとして上がってきていることが、下期には動いていますので、「かなり高い確度で、きている」ということは、言えると思います。
質問者2:確認ですが、リカーリングで進行している案件は、このパイプラインとは関係なく、そのようなものは常に利益として発生している。新規案件とか、あるいはスポット的な案件がパイプラインの中で動いていて、それが徐々に伸び上がってきたことを示唆している。そのような考え方でいいですか?
守本:そうです。これまでのベースというか、もともとある企業の継続性のものとかに加えて、新しい案件でございます。
質問者2:わかりました、ありがとうございます。
質疑応答:大手ローファームとの提携はあるか?
質問者3:よろしくお願いします。
1つ目は(第2四半期決算の)数字なのですが。
先ほどのコンサルティングの件なのですが、「(費用が)1.5億円かかりました」ということでした。それをマイナスすると、だいたい四半期あたりで11億円ぐらいの販管費になるかと思うのですが、このようなペースが続くと考えていいのか。
それとも、まだいろいろ(経費等の)削減とかを続けて、どんどん落ちるのか。それとも、またこれから人を増やしていくので、上がっていくのか。販管費の部分で、どのような方向性があるのかを教えてください。それが、1つ目になります。
上杉:ありがとうございます。基本的には、売上・利益の状況を見ながら(の判断)ですが、経費は投資を増やしていきたいと考えております。
去年(2018年3月期)の第4四半期の決算説明会でもご説明いたしましたが、経費をかなり絞って運営しておりました。(2019年3月期の)第1四半期・第2四半期で、ようやく通常の状況に戻しましたが、我々の今後の短期・中期の成長で言うと、人的投資と、やはり認知度のさらなる向上を踏まえますと、広告宣伝……イベント等での出展を含めて、もう少ししっかりと投資をしていきたいと考えております。
ですから、第3四半期・第4四半期で売上・利益の状況を見て、マネージしながら、投資できるところは引き続きして、成長を目指していくという考え方で、ご理解いただければと存じます。
質問者3:2つ目は、リーガルテックのところです。米国などの大手ローファームからの紹介を受けるといったところだと思うのですが。
大手かどうかはわからないのですが、例えばそこと提携するとか、大手のローファームに(御社を)専属で使っていただけるとか、そのような提携戦略・パートナー戦略みたいなものをやることは、可能なのでしょうか?
守本:すでに、いくつかの大手ローファームと……もう「アジア案件に関しては、弊社に仕事をいただける」という体制は、ほぼできてきておりますが、公に「パートナーシップを結びます」というのは、逆にできないと(いうことです)。それは、ローファーム側のポリシーとかもあってできないのですが。
実際には、我々に仕事をいただける体制の大手ローファームが、もういくつか出てきているんです。
質問者3:それは、いわゆる「五大ローファーム」みたいなところと(仕事をする体制ができている)ということなんですか?
守本:アメリカではもう「(トップ)100」とか……日本のトップ100の日本の三大(ローファーム)とかが入らないぐらいの、大きなローファームばかりなんです。
これも、世界規模のローファームなんです。我々が今一緒に仕事を(させて)いただいているところは、たぶんこの業界では、どなたも知っているようなところです。
質問者3:同じパートナー戦略なのですが、AI(ソリューション事業)のところで、前回の説明会の時に、「SIerの方々とパートナー契約を結んで、いろいろ販売をしていただく」ということをお話しになっていたと思うのですが、その効果はすでに出始めているのか、それとも、まだこれからという状況なのか。それについて、教えていただけますでしょうか?
守本:まだ、全体感としては……もともと我々は、今後の年度の売上の3割ぐらいは、SIerからとれるように進めていきたいと考えておりますが、現段階では、まだそこまでにはいっていません。ただ、パートナーさまから、もう大型案件を獲得できているというのもありますので、これから本格的に動いてくるのではないかなと思います。
ですから、パートナー契約を結んで、実際にトレーニングをして……我々のツールも実際に、逆にパートナー企業さまに導入して運用して(その後で)お客さまに提供していただけるという体制の準備を今は進めていますので、下期にかけて(業績の)数字としては、もっと上がってくるという感じです。
質問者3:最後なのですが、今回はヘルスケア(分野)のコメントがなかったのですが。いろいろと開発されていると思うのですが、あまり進展がないととらえていいんですか?
守本:ヘルスケアに関しては、「今は申し上げられない」というところで、進展はかなりあります。「かなりある」ということだけは、自信をもってお話しさせていただきたいのですが、かなりパートナーさんとの関係もあって、現状はお話しできない部分はあるのですが……逆に、ほとんどお話しできないのですが、「非常に順調に進んでいる」ということは、申し上げておきたいと思います。
質問者3:ありがとうございました。
質疑応答:AIソリューション事業のビジネスモデルは?
質問者4:AIソリューション事業のところで、導入社数が今は121社を超えたということで、非常に伸びておりますが、そこの今後のビジネスモデルというか……なにかこれは、ストックビジネスみたいな、そのようなあれなんでしょうか?
守本:ストック型というか、実際に我々もアプリケーションを持っていますので、「アプリケーションを導入されたライセンスで、毎年更新してもらう」というビジネスモデルを、我々は進めています。
同時に、まだ我々の事業そのものが始まったばかりで、実際にシステムを……そのまま中で構築して、我々がAIを使ったシステムを構築していくというプロジェクトが、いくつか走っています。
現段階で、すべてがストックモデルの構造にはなってませんが、ストック型のモデルも今後は増えていくようなかたちになっていくと考えています。
質問者4:競合他社は、いろいろあると思うのですが。GoogleとかMicrosoftとかIBMとか、そのようなところは、ものすごくお金をかけていろいろやっている状況の中で、御社の強みはどのような感じなんでしょうか?
守本:我々の場合は、まず「リーガルテック」という、証拠を見つけていくという技術を、ソリューションの中から必要なAIを開発してきたということがあります。そもそも、その「あるソリューションを解決するためのものであった」ということで、現実的に問題を解決するということを非常にやっているものが、当社と(いうことです)。
「AIを作ろう」と思ってAIを作ったわけではなくて、もともとある問題を解決しようと思って作ったら、結果的にAI・機械学習にリソースを使って、自然言語処理を使って、我々独自の方法で問題を解決したいということ(に、結果としてなったの)が、まず1つで。
実際にリーガルテック業界で、ここまでやってAIを使ったソリューションをしている会社は、実はアメリカでもないんです。
これがまず1つと、あとはそこ(リーガルテック)に特化しますので、「ドキュメントを分析する」こと、しかも「専門家が判断しなければいけない」というところに関しては、もう意外と(ニーズとしては)「証拠を見つけていく」というだけではなくて。
例えば、それこそ「営業日報を見ましょう」とか、お医者さんで「患者さんとの会話から診断しましょう」とか、あるいは「看護師さんが書いている看護記録から判断しましょう」という、けっこう同じようなニーズがあるところが、いっぱいあって。
イメージとしては、我々がリーガルテックで、実際に訴訟案件とか、アメリカの司法省に提出する証拠で使っているものを、そのまま使って横展開していると(いうものです)。
ただ、これは業界によって、さまざまな微妙な調整は必要なのですが。そのようなことができていることが、たぶん大手さんとも一番違うところだと考えています。
すごく大きな投資をして(いますが)、いろいろなAIの技術なども、基本的にはお客さまの問題を解決するというところには、なかなか乖離があるので、そこの逆を向いていくことは難しいというところ。
あとは、先ほども少しお話ししましたが、我々のアプローチはもともと「証拠」を探さなければいけないので、証拠を探すためには、AIを立ち上げるのに時間がかかってはいけないので……短時間で、もう明日にでも使えるようなAIを作らなければいけないと(いうことです)。
AIというか、そのようなソリューションを作らなければいけなかったので、結果的にお客さまに導入する時に、その導入コストが非常に少なくとも短時間で(立ち上げが)できるというのも、導入が進んでいる理由だと思います。
ここに関しては、我々には圧倒的な自信がありまして。これは世界でも、我々のやっている方式のAIエンジンというのは、おそらくアルゴリズムがありませんので、この分野に関しては、我々がこのまま進んでいったら、おそらく我々がリーディングカンパニーになれると確信しております。
質問者4:最後に、中期見通しのところです。今後は、やはり2025年~2030年にかけて、さらに人工知能のAI分野は、どんどん売上が立ってきそうなところだとは想像されますが。
例えば2025年から2030年にかけても……まだ漠然となのですが、この確度でリーディングカンパニーにいった場合には、どう(成長できると)考えられるのでしょうか?
守本:(間違いなく、さらに急成長できるのではないかと)考えています。
リーガルテック事業に関しても、AIと少し違うようなイメージをお見せするかもしれませんが……これは完全に、来年度以降はAI事業に変わっていくと思います。
マーケットサイド(の動き)もありますし、お客さまからもニーズがありますので、これは間違いなく、さらに急成長できるのではないかと考えております。
質問者4:ありがとうございました。
質疑応答:何に投資しているのか?
質問者5:1点だけ、お願いします。
中期見通しを出していらっしゃって、中計を作られたときと現状との違いと、同じ部分をおうかがいしたいのですが。とくに、もう来期が見えてきている中で、来期が例えば、仮に200億円の売上ということでいけば……。
何ページでもいいのですが、例えば23ページの「Stage3 Current Level」から、そろそろ「Stage4(Next Level)」に向けた動きが、どこかの四半期で出てこなければいけないのかなと、数学的な単純計算で思うのですが。それがいつ出てくるかどうかということを、おうかがいするつもりはありませんが。
どのようなものをドライバーに(して)、どのようなタイミングで(進めていく)みたいなことで、可能な範囲でご教示いただければと思います。よろしくお願いします。
守本:まず、リーガルテック事業に関しては、昨年度の大型案件が出てくるタイミングは、だいたい年末にかけて、米国の調査も含めて本格化します。「そのタイミングで刈り取る体制が、アメリカでできているか?」がすごく重要で、そのために、これまでずっとアメリカへの進出を進めてまいったのですが。
来年度以降は、今のこの時点で、アメリカで(案件を)取れる体制ができていますので、これがもう来年度は、もっと(期の)最初から寄与すると思いますので。「タイミングとして、どうなるか?」というのも、これは時期はありますが、たぶん上がるときは、一気に上がると思います。
AI事業に関しては今後、パートナー戦略なども含めて、もう導入体制はできていますので、もう試す時期(PoC)よりは、ディストリビューションをさらに進めていくことをやっていって。
イメージとしては、急峻に……今までの(Stage1からStage2、Stage2からStage3の)ようなかたちで、本当にStageが変わる感じで上がってくるというイメージをもっています。
質問者5:別の聞き方でいきますと、計画を作られたときと今を比べて……まあ、「計画」は計画なので、「すべて、確信がある」というわけではない(と思う)のですが。
だんだん(「Next Level」の)時期が近づくに従って、そこの部分はかなり具体的に見えているのか? 「見えている」と言うか、来年・再来年ということも含めて、この計画が十分活きているのか?
ないしは会社として、達成できるかできないかということを別にして、「目標として追い求めていける」という、現実的な目標であるのかどうかというあたりも、ご教示いただけますか?
守本:「現実的にできる」と確信していますし、環境としても、我々が今見ている外部の環境も、基本的に当初の計画とほとんど変わっていないと考えていますし、(「Next Level」の時期が)近づくに従って、我々自身の能力としては十分(達成)できると考えています。
実際にお客さまのニーズも、我々が予想しているよりもかなりあると確信していますので、十分達成できると(いうことです)。
質問者5:わかりました。
すみません、ついでにもう1点だけお願いしたいのですが。先ほど、「下期から、投資にお金を使っている」というお話がありましたが、「投資」って、何に投資されるのかということ。
それと絡むかもしれないのですが、今の御社の見通しで、例えば……。
売上をこうやって(Stageとして)拡大していくときに必要なリソースとして、将来(必要だが)今はないもの。例えば、「もっと人を増やさなければいけない」とか、「もっとパートナーを増やさなければいけない」とか。
その意味で、なにか「努力して増やさなければいけないリソース」が、あるのかどうか。そこを、ご教示いただければと思います。
守本:投資に関しては、これも「必ずやることが、もう決まっているもの」ではないのですが、状況としては、販売促進のためのマーケティング費用であるとか、人材の確保とかになると思います。
「努力して(増やさなければいけない)必要なリソース」というか、「投資に、これは必要だ」と考えているものに関しては、人の数というよりは、事業拡大のためのマネジメントの……どちらかと言うと、かなり経営層に近い人の確保が、今後は課題になってくると思いますし、そこに注力していきたいと考えています。
質問者5:わかりました。
本当に最後に、今のお話で「マネジメント(人材)の確保」ということですが、マネジメントの人とは、どのような……「マネジメント」って、いろいろなマネジメントがあると思うのですが。
どのような「素養」とか、どのような「業務」の方という感じなんですか? そのマネジメントとおっしゃるのは。
守本:やはり、事業推進をしていく(人材)ということで。
質問者5:それは別に、「とくに専門業界の知識が必要だ」とか、あるいは「一般的な総務・経理(の人材)」ということなのかという……そのようなところは、どうなんでしょう?
守本:やはり、我々は今、ヘルスケアと金融系のソリューションとか、人事系のソリューションとかがありますので、それらに特化した事業を推進できるレベルの人は、いたほうがいいと思います。
ある意味でいくと、業界(への特化)は関係ないかもしれませんが。できれば知っておいたほうが、導引もしやすいということもありますので、そこは考えながらやると思いますが。
あと、管理系に関しては、これも必要に応じて(強化していきます)。事業が拡大していくと、その部署ごとで管理者も当然必要になってきますので、そこは強化していきたいと考えています。
質問者5:わかりました、ありがとうございました。